特許第5957548号(P5957548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957548
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】現像剤容器及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   G03G15/08 347
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-20877(P2015-20877)
(22)【出願日】2015年2月5日
(62)【分割の表示】特願2012-261313(P2012-261313)の分割
【原出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-108843(P2015-108843A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100161953
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 敬直
(72)【発明者】
【氏名】吉井 達彦
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−053391(JP,A)
【文献】 特開平11−143196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いて現像処理を行う画像形成装置に用いられる現像剤容器であって、
前記トナーを収容するトナー収容空間と、該トナー収容空間と連通する合流空間と、を有する容器本体と、
前記キャリアを収容すると共に前記合流空間と連通するキャリア収容空間を有し、前記容器本体に着脱可能に装着されるキャリアタンクと、
前記容器本体に回転可能に設けられ、前記トナー収容空間から前記合流空間へと前記トナーを搬送する本体側搬送部材と、
前記キャリアタンクに回転可能に設けられ、前記キャリア収容空間から前記合流空間へと前記キャリアを搬送するタンク側搬送部材と、を備え、
前記容器本体は、前記合流空間の下側に現像剤排出口を有し、
前記容器本体の側壁には、前記キャリアタンクを挿入可能な装着凹部が設けられ、
前記容器本体及び前記キャリアタンクは、前後方向に長い形状を成し、
前記本体側搬送部材は、前後方向に直線状に延びるスクリュー軸を有し、
前記タンク側搬送部材は、前後方向に直線状に延びる回転軸を有し、前記回転軸は、前記スクリュー軸の上方に設けられ、
前記本体側搬送部材は、前記トナー収容空間に収容される一の部分と、前記本体側搬送部材による前記トナーの搬送方向において前記一の部分よりも下流側に設けられて前記合流空間に収容される他の部分と、を有し、
前記本体側搬送部材の前記一の部分によって前記トナー収容空間から前記合流空間へと搬送される前記トナーと前記タンク側搬送部材によって前記キャリア収容空間から前記合流空間へと搬送される前記キャリアが前記合流空間において合流し、前記本体側搬送部材の前記他の部分によって該合流空間から前記現像剤排出口を介して外部に排出されることを特徴とする現像剤容器。
【請求項2】
前記容器本体は、上面側が開口された箱型形状を成し、前記トナー収容空間と、前記合流空間と、を内部に有することを特徴とする請求項1に記載の現像剤容器。
【請求項3】
前記容器本体に回転可能に設けられ、前記トナー収容空間に収容されるトナーを攪拌する攪拌部材を更に備え、
前記タンク側搬送部材は、前記攪拌部材と同軸上に配置されると共に、前記攪拌部材と一体に回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像剤容器を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアを収容する現像剤容器と、この現像剤容器を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラム等の表面に形成された静電潜像を現像装置によって現像している。この現像の方式としては、トナーのみから成る一成分現像剤を用いる方式と、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いる方式とが知られている。
【0003】
二成分現像剤を用いる場合、現像装置内の現像剤に含まれるキャリアが経時的に劣化するため、現像装置の寿命が短くなるという問題がある。このような問題に対処するため、現像装置にトナーを供給する現像剤容器にトナーだけでなくキャリアも収容しておき、現像剤容器から現像装置に随時新たなキャリアを供給していく方式(所謂「トリクル現像」)が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。このようなトリクル現像を採用することで、現像装置内のキャリアの経時劣化を抑制して、現像装置の長寿命化を実現することができる。
【0004】
ところで、このようなトリクル現像を採用する場合、画像濃度のばらつきを防止して高画質化を図るためには、現像剤容器から現像装置に供給される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合(混合比)を極力安定させることが重要である。この点、例えば、現像剤容器内にトナーとキャリアを順番に充填していく方式では、充填完了後にトナーとキャリアを攪拌したとしても、この攪拌が不十分な場合には、現像剤容器から現像装置に供給される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合が不安定になる虞がある。また、トナーとキャリアが現像剤容器内の同一の空間に充填されることになるため、一度トナーとキャリアを現像剤容器に充填すると、その後にトナーとキャリアを分離することはできず、トナーとキャリアの割合を再調整することが困難になる。
【0005】
一方で、特許文献3には、予めトナーとキャリアを拡散させたプレミックストナーを現像剤容器(「トナー容器7」参照)に充填する構成が開示されている。しかしながら、この従来技術では、プレミックストナー内においてトナーとキャリアが均一に拡散していないような場合に、現像剤容器内にトナーとキャリアを順番に充填していく方式と同様、現像剤容器から現像装置に供給される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合が不安定になる虞がある。
【0006】
これに対して、特許文献4には、別個に設けられたトナー容器(「トナーカートリッジ33」参照)とキャリア容器(「キャリアカートリッジ48」参照)をチューブによって現像装置に接続する構成が開示されている。この構成では、トナー容器から排出されるトナーとキャリア容器から排出されるキャリアがチューブ内において混合されることになるため、現像装置に供給される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合を、安定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−258538号公報
【特許文献2】特開2007−086093号公報
【特許文献3】特開2007−133057号公報
【特許文献4】特開2007−101598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4に記載の従来技術では、トナー容器とキャリア容器が別個に設けられているため、トナー容器に設けられる回転部材(例えば、搬送スクリューや攪拌パドル)を回転させるための駆動源とは別に、キャリア容器に設けられる回転部材を回転させるための駆動源が必要となり、製造コストの上昇を招く。また、トナー容器とキャリア容器が別個に設けられているため、チューブに対してトナー容器とキャリア容器をユーザーが別々に着脱しなければならず、ユーザーの作業負担が増大する。
【0009】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、ユーザーの作業負担を増大させることなく、現像剤容器から排出される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の現像剤容器は、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いて現像処理を行う画像形成装置に用いられる現像剤容器であって、前記トナーを収容するトナー収容空間と、該トナー収容空間と連通する合流空間と、を有する容器本体と、前記キャリアを収容すると共に前記合流空間と連通するキャリア収容空間を有し、前記容器本体に着脱可能に装着されるキャリアタンクと、前記容器本体に回転可能に設けられ、前記トナー収容空間から前記合流空間へと前記トナーを搬送する本体側搬送部材と、を備え、前記本体側搬送部材は、前記トナー収容空間に収容される一の部分と、前記本体側搬送部材による前記トナーの搬送方向において前記一の部分よりも下流側に設けられて前記合流空間に収容される他の部分と、を有し、前記トナー収容空間から搬送される前記トナーと前記キャリア収容空間から搬送される前記キャリアが前記合流空間において合流し、該合流空間から外部に排出されることを特徴とする。
【0011】
このような構成を採用することにより、一定量のトナーとキャリアを合流空間において合流させた後、合流空間から外部に排出することができる。そのため、現像剤容器から排出される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合を安定させることができ、これに伴って、画像濃度のばらつきを防止し、高画質化を図ることができる。
【0012】
また、キャリアタンクが容器本体に装着されているため、現像装置等に対してキャリアタンクと容器本体を別々に着脱する必要が無く、ユーザーの作業負担を軽減することができる。
【0013】
更に、キャリアタンクが容器本体に対して着脱可能となっているため、キャリアタンクに充填するキャリアの種類や量を画像形成装置の機種や用途ごとに変えれば、機種や用途のバリエーションに容易に対応することが可能となる。
【0014】
また、トナーとキャリアが現像剤容器内の別個の空間(トナー収容空間とキャリア収容空間)に充填されることになるため、一度トナーとキャリアを現像剤容器に充填した後でも、必要に応じて、トナーとキャリアの割合を再調整することが可能となる。
【0015】
本発明の現像剤容器は、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いて現像処理を行う画像形成装置に用いられる現像剤容器であって、上面側が開口された箱型形状を成し、前記トナーを収容するトナー収容空間と、該トナー収容空間と連通する合流空間と、を内部に有する容器本体と、前記キャリアを収容すると共に前記合流空間と連通するキャリア収容空間を有し、前記容器本体に着脱可能に装着されるキャリアタンクと、を備え、前記容器本体は、前記合流空間の下側に現像剤排出口を有し、前記トナー収容空間から搬送される前記トナーと前記キャリア収容空間から搬送される前記キャリアが前記合流空間において合流し、該合流空間から前記現像剤排出口を介して外部に排出されることを特徴とする。
【0016】
前記現像剤容器は、前記容器本体に回転可能に設けられ、前記トナー収容空間に収容されるトナーを攪拌する攪拌部材と、前記キャリアタンクに回転可能に設けられ、前記キャリア収容空間から前記合流空間へと前記キャリアを搬送するタンク側搬送部材と、を更に備え、前記タンク側搬送部材は、前記攪拌部材と同軸上に配置されると共に、前記攪拌部材と一体に回転可能に設けられていても良い。
【0017】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの現像剤容器を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザーの作業負担を増大させることなく、現像剤容器から排出される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合を安定させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、現像剤容器を示す前右方からの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、現像剤容器を示す背面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、現像剤容器を示す平断面図である。
図5図4のA−A断面図である。
図6図4のB−B断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの現像剤容器において、キャリアタンクを示す斜視図である。
図8図4のC−C断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、現像装置の構成を示す説明図である。
図10】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの現像装置において、現像剤収容部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、図1を用いて、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【0021】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上端には排紙トレイ4が設けられている。
【0022】
プリンター本体2の上部には、中間転写ベルト5が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト5の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器10が配置されている。中間転写ベルト5の下側には、複数の画像形成部6が設けられている。各画像形成部6は、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応して設けられている。各画像形成部6には、像担持体としての感光体ドラム7が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、現像装置11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。各現像装置11の上方には、現像剤容器15が設けられている。
【0023】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送経路20が設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト5の他端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、搬送経路20の下流部には定着部23が設けられ、搬送経路20の下流端には排紙口24が設けられている。
【0024】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。
【0025】
カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着部23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0026】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器10からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像装置11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト5の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部6が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0027】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト5上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着部23に進入し、この定着部23において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口24から排紙トレイ4に排出される。
【0028】
次に、図2図8を用いて、現像剤容器15について説明する。図2以降の各図に適宜付される矢印Frは、現像剤容器15の正面側を示している。
【0029】
現像剤容器15は、プリンター本体2に対して着脱可能に設けられている。図2に示されるように、現像剤容器15は、容器本体26と、容器本体26の上面を覆う蓋体27と、容器本体26の前端部に装着されるカバー28と、容器本体26の右前端部に着脱可能に装着されるキャリアタンク29と、を備えている。以下、これらについて順番に説明する。
【0030】
まず、容器本体26及びこの容器本体26に設けられる部材について説明する。容器本体26は、前後方向に長い形状を成している。容器本体26は、上面側が開口された箱型形状を成している。容器本体26の上端外周には、本体側フランジ部31が設けられている。容器本体26の前端壁32の右側部には、トナー充填口33が設けられている。トナー充填口33は、トナーキャップ34によって塞がれている。
【0031】
図3に示されるように、容器本体26の後端壁35の右下部(図3の図面上は左下部)には、従動カップリング36が回転可能に設けられている。容器本体26の後端壁35の右側部(図面上は左側部)には、従動カップリング36と噛合するアイドルギア37が回転可能に設けられている。容器本体26の後端壁35は、ギアカバー38(図3では一部のみを表示)によって覆われている。
【0032】
図4に示されるように、容器本体26の右前端部には、前端壁32と右側壁39に跨って、装着凹部40が形成されている。装着凹部40は、容器本体26の前端壁32の右側部から後方に向かって屈曲される側面部41と、側面部41の後端から右方に向かって屈曲されて容器本体26の右側壁39に接続される後面部42と、を備えている。後面部42には、連通穴43が前後方向に形成されている。
【0033】
容器本体26の内部には、トナー収容空間44が形成されており、このトナー収容空間44には、磁性トナー等のトナーが収容されている。図5図6に示されるように、容器本体26の内部には、トナー収容空間44の前端部の右下方に、合流空間45が形成されている。合流空間45の後側及び左上側は、トナー収容空間44と連通している。容器本体26には、合流空間45の下側に現像剤排出口46が形成されている。現像剤排出口46の下側は、スライド可能なシャッター47によって開閉可能に覆われており、現像剤容器15をプリンター本体2に装着すると、シャッター47が現像剤排出口46を開放するように構成されている。容器本体26には、合流空間45の右上側にキャリア導入口48が形成されている。キャリア導入口48は、現像剤排出口46よりも後側に配置されると共に、現像剤排出口46と近接して設けられている。
【0034】
図4に示されるように、容器本体26には第1攪拌パドル50が回転可能に設けられている。第1攪拌パドル50は、トナー収容空間44の左端部から右側部に亘る部分に収容されており、前後方向に長い形状を成している。第1攪拌パドル50は、前後方向に延びる支持枠51と、支持枠51に取り付けられる攪拌羽根52と、を備えている。支持枠51の前端部は、容器本体26の前端壁32に軸支されている。支持枠51の後端部は、容器本体26の後端壁35を貫通して容器本体26の後端壁35の後側(外側)に突出しており、この突出部分には、第1攪拌ギア53が設けられている。第1攪拌ギア53は、従動カップリング36に噛合している(図3参照)。
【0035】
図4に示されるように、容器本体26には、第1攪拌パドル50の右側に、攪拌部材としての第2攪拌パドル54が回転可能に設けられている。第2攪拌パドル54は、トナー収容空間44の右端部に収容されており、前後方向に長い形状を成している。第2攪拌パドル54は、前後方向に延びる軸部55と、軸部55に取り付けられる攪拌部56(図5参照)と、を備えている。
【0036】
図4に示されるように、軸部55の前端部は、容器本体26の装着凹部40の後面部42に設けられた連通穴43を貫通して後面部42の前側(外側)に突出しており、この突出部分には本体側ジョイント部57が設けられている。本体側ジョイント部57は、容器本体26の外部に露出している。軸部55の後端部は、容器本体26の後端壁35を貫通して容器本体26の後端壁35の後側(外側)に突出しており、この突出部分には、第2攪拌ギア58が設けられている。第2攪拌ギア58は、アイドルギア37に噛合している(図3参照)。
【0037】
図4図6等に示されるように、容器本体26には、第1攪拌パドル50と第2攪拌パドル54の間で、且つ、第1攪拌パドル50及び第2攪拌パドル54よりも低い位置に、本体側搬送部材としての本体側搬送スクリュー60が回転可能に設けられている。本体側搬送スクリュー60の前部から後部に亘る部分は、容器本体26のトナー収容空間44に収容されている。本体側搬送スクリュー60の前端部は、容器本体26の合流空間45に収容されている。
【0038】
本体側搬送スクリュー60は、前後方向に延びるスクリュー軸61と、スクリュー軸61に周設されるスパイラルフィン62と、を備えている。スクリュー軸61の前端部は、容器本体26の前端壁32の右下方に設けられた軸受部63(図2参照)に軸支されている。スクリュー軸61の後端部は、容器本体26の後端壁35を貫通して容器本体26の後端壁35の後側(外側)に突出しており、この突出部分には、搬送ギア64が設けられている。搬送ギア64は、従動カップリング36に噛合している(図3参照)。
【0039】
次に、蓋体27について説明する。図2に示されるように、蓋体27は、前後方向に長い形状を成している。蓋体27の下端には、容器本体26の本体側フランジ部31と対応する形状の蓋体側フランジ部65が設けられており、本体側フランジ部31と蓋体側フランジ部65が超音波溶着されることで、容器本体26と蓋体27が一体化されている。
【0040】
次に、カバー28について説明する。カバー28は、容器本体26の前端壁32を覆う前面板66と、前面板66から後方に向かって屈曲される側面板67と、を備えている。側面板67の左面(内面)の上部には、係合溝68(図5参照)が形成されている。
【0041】
次に、キャリアタンク29について説明する。図4に示されるように、キャリアタンク29は、容器本体26の装着凹部40に挿入されている。キャリアタンク29は、容器本体26の装着凹部40の側面部41とカバー28の側面板67の間に挟まれるようにして保持されている。
【0042】
図7に示されるように、キャリアタンク29は、前後方向及び上下方向に長い扁平な形状を成している。キャリアタンク29の右側面の前上部には、係合突起70が突設されている。キャリアタンク29の前面の下端部には、円筒状の固定筒部71が突設されている。固定筒部71の前端部は、キャップ72によって塞がれている。キャリアタンク29の後面には、挿通穴74(図4参照)が設けられている。
【0043】
図6に示されるように、キャリアタンク29の内部には、キャリアを収容するキャリア収容空間75が形成されている。キャリア収容空間75内のキャリアの充填量は、例えば、トナー収容空間44内のトナーの充填量の3〜10%であり、トナー収容空間44内のトナーの充填量よりも少ない。そのため、キャリア収容空間75の容積は、トナー収容空間44の容積よりも小さくなっている。トナー収容空間44内のトナーの充填量に対するキャリア収容空間75内のキャリアの充填量の割合は、例えば高速機(上位機)では6%、低速機(下位機)では3%といった具合に、機種ごとに適宜変えることができる。また、キャリア収容空間75に収容されるキャリアの種類も、機種ごとに適宜変えることができる。
【0044】
キャリアタンク29の後部の左下側には、キャリア導出口73が設けられており、このキャリア導出口73と容器本体26のキャリア導入口48を介して、キャリア収容空間75と容器本体26の合流空間45が連通している。
【0045】
キャリアタンク29の下端部には、タンク側搬送部材としてのタンク側搬送スクリュー76が回転可能に設けられている。図8に示されるように、タンク側搬送スクリュー76は、回転軸77と、この回転軸77の後端部に周設される多孔質体78と、回転軸77の前端部から後部に亘る部分に周設されるフィン79と、を備えている。
【0046】
回転軸77は、前後方向に延びている。回転軸77の前端部は、キャリアタンク29の固定筒部71を閉止するキャップ72に軸支されている。図4に示されるように、回転軸77の後端部は、キャリアタンク29の挿通穴74を貫通してキャリアタンク29の後面の後方に突出しており、この突出部分にはタンク側ジョイント部80が設けられている。タンク側ジョイント部80は、キャリアタンク29の外部に露出している。タンク側ジョイント部80は、第2攪拌パドル54に設けられた本体側ジョイント部57に連結されている。
【0047】
多孔質体78は、例えばスポンジによって構成されている。図6等に示されるように、多孔質体78は、円筒状を成している。多孔質体78は、キャリアタンク29に設けられたキャリア導出口73を覆っている。
【0048】
次に、現像装置11の構成について、図9図10を用いて説明する。
【0049】
現像装置11は、箱型形状のケーシング81を備えている。ケーシング81の内部には、トナーとキャリアを含む二成分現像剤が収容されている。ケーシング81は、前後方向(図9における紙面奥行き方向)に長い形状を成している。ケーシング81の下部には、現像剤収容部82が形成されている。
【0050】
現像剤収容部82の中央には、略U字状の隔壁83が設けられている。隔壁83の左側と右側と上側には、それぞれ第1スクリュー84と第2スクリュー85と第3スクリュー86が回転可能に設けられており、上記各スクリュー84〜86によって、現像剤収容部82内の現像剤を循環させるように構成されている。現像剤収容部82内には、現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段(図示せず)が設けられている。
【0051】
図10に示されるように、現像剤収容部82には、第1スクリュー84が収容されている部分の長手方向一端側に、現像剤補給口87が設けられている。そして、この現像剤補給口87を介して、現像剤容器15から供給される二成分現像剤を現像剤収容部82内に導入できるようになっている。現像剤収容部82には、第2スクリュー85が収容されている部分の長手方向一端側に、余剰現像剤排出口88が設けられている。そして、この余剰現像剤排出口88を介して、オーバーフローした現像剤を現像剤収容部82から排出できるようになっている。
【0052】
図9に示されるように、ケーシング81の上下方向中央部には、磁気ローラー90が回転可能に収容されている。磁気ローラー90は、第2スクリュー85の左上方に配置されており、第2スクリュー85から磁気ローラー90に二成分現像剤が供給されるようになっている。
【0053】
ケーシング81の上部には、トナー担持体としての現像ローラー91が回転可能に収容されている。現像ローラー91は、磁気ローラー90の右上方に配置されており、磁気ローラー90と所定の間隔を介して対向している。そして、磁気ローラー90から現像ローラー91に二成分現像剤中のトナーが供給されるようになっている。現像ローラー91は、感光体ドラム7に当接又は近接しており、現像ローラー91から感光体ドラム7に二成分現像剤中のトナーが供給されることで、感光体ドラム7に担持された静電潜像が現像されるようになっている。以上のように、本実施形態の現像装置11は、二成分現像剤を用いて現像処理を行うようになっている。
【0054】
前記のように構成された現像剤容器15において、容器本体26にキャリアタンク29を装着するには、容器本体26の装着凹部40にキャリアタンク29を挿入する。そして、カバー28の係合溝68(図5参照)をキャリアタンク29の係合突起70(図7参照)に係合させながら、容器本体26の前端部に、カバー28を装着する。これにより、容器本体26の装着凹部40の側面部41とカバー28の側面板67の間に挟まれるようにしてキャリアタンク29が保持される(図4参照)。本実施形態ではこのように、簡易な構成を用いてキャリアタンク29を容器本体26に装着することができる。なお、キャリアタンク29を容器本体26から取り外すには、カバー28を取り外した後に、キャリアタンク29を容器本体26の装着凹部40から取り出せば良い。
【0055】
前記のようにして容器本体26にキャリアタンク29を装着すると、第2攪拌パドル54に設けられた本体側ジョイント部57とタンク側搬送スクリュー76に設けられたタンク側ジョイント部80が連結されて、タンク側搬送スクリュー76が第2攪拌パドル54と一体に回転可能となる。
【0056】
また、前記のように構成された現像剤容器15から現像装置11に二成分現像剤を供給するには、現像剤容器15をプリンター本体2に装着する。これに伴って、現像剤容器15の従動カップリング36(図3参照)が、プリンター本体2に設けられた駆動カップリング(図示せず)に連結される。この状態で、駆動カップリングに接続されたモーター等の駆動源(図示せず)を回転させると、この回転が駆動カップリングを介して従動カップリング36に伝達され、従動カップリング36が一方向(背面視で時計方向。図3参照)に回転する。このように従動カップリング36が一方向に回転すると、従動カップリング36と噛合するアイドルギア37、第1攪拌ギア53及び搬送ギア64が他方向(背面視で反時計方向。図3参照)に回転する。また、アイドルギア37と噛合する第2攪拌ギア58が一方向に回転する。
【0057】
上記のように第1攪拌ギア53が他方向に回転すると、第1攪拌パドル50が他方向に回転する。また、上記のように第2攪拌ギア58が一方向に回転すると、第2攪拌パドル54が一方向に回転する。このように第1攪拌パドル50及び第2攪拌パドル54が回転すると、これに伴って、容器本体26のトナー収容空間44内に収容されたトナーが、攪拌されながら本体側搬送スクリュー60側へと搬送される。
【0058】
また、上記のように搬送ギア64が他方向に回転すると、本体側搬送スクリュー60が他方向に回転する。これに伴って、トナー収容空間44に収容されたトナーが、トナー収容空間44から合流空間45へと搬送される。この時、本体側搬送スクリュー60によるトナーの搬送方向は、後側から前側に向かう方向である(図5の矢印X参照)。
【0059】
また、上記のように第2攪拌パドル54が一方向に回転すると、第2攪拌パドル54に連結されたタンク側搬送スクリュー76が回転する。このようにタンク側搬送スクリュー76が回転すると、タンク側搬送スクリュー76のフィン79によってキャリアタンク29内のキャリアが前側から後側へと搬送され、タンク側搬送スクリュー76の多孔質体78に保持される。このように多孔質体78に保持されたキャリアは、タンク側搬送スクリュー76の回転に伴ってキャリア導出口73から導出され、キャリア導入口48を介して合流空間45へと導入される。
【0060】
以上のようにしてタンク側搬送スクリュー76によってキャリア収容空間75から合流空間45へと搬送されたキャリアは、本体側搬送スクリュー60によってトナー収容空間44から合流空間45へと搬送されたトナーと合流空間45において合流し、混合される。これにより、トナーとキャリアを含む二成分現像剤が形成される。この二成分現像剤は、本体側搬送スクリュー60によって現像剤排出口46から現像剤容器15の外部に排出される。このように現像剤排出口46から排出された二成分現像剤は、現像剤補給口87を介して現像装置11の現像剤収容部82内に導入される。
【0061】
本実施形態の現像剤容器15では上記のように、トナー収容空間44から搬送されるトナーとキャリア収容空間75から搬送されるキャリアが合流空間45において合流し、合流空間45から外部に排出されている。そのため、一定量のトナーとキャリアを合流空間45において合流させた後、合流空間45から外部に排出することができ、現像剤容器15から排出される二成分現像剤中のトナーとキャリアの割合を安定させることができる。これに伴って、画像濃度のばらつきを防止し、高画質化を図ることができる。
【0062】
また、キャリアタンク29が容器本体26に装着されているため、現像装置11等に対してキャリアタンク29と容器本体26を別々に着脱する必要が無く、ユーザーの作業負担を軽減することができる。
【0063】
更に、キャリアタンク29が容器本体26に対して着脱可能となっているため、キャリアタンク29に充填するキャリアの種類や量をカラープリンター1の機種や用途ごとに変えれば、機種や用途のバリエーションに容易に対応することが可能となる。例えば、高速機など高寿命化の要請が大きい機種の場合にはキャリアタンク29内のキャリアの量を多くし、低速機などコスト削減の要請が大きい機種の場合にはキャリアタンク29内のキャリアの量を少なくする。これにより、高寿命化の要請が大きい機種とコスト削減の要請が大きい機種の両方にキャリアタンク29の仕様変更で対応することができるため、容器本体26の共通化を図ることが可能となる。
【0064】
また、キャリアタンク29と容器本体26を着脱可能とすることで、現像剤容器15の管理が容易になると共に、容器本体26とキャリアタンク29を別々にリサイクルすることも可能となる。
【0065】
また、トナーとキャリアが現像剤容器15内の別個の空間(トナー収容空間44とキャリア収容空間75)に充填されることになるため、一度トナーとキャリアを現像剤容器15に充填した後でも、必要に応じて、トナーとキャリアの割合を再調整することが可能となる。
【0066】
また、容器本体26とキャリアタンク29には、それぞれ本体側搬送スクリュー60とタンク側搬送スクリュー76が設けられている。そのため、トナー収容空間44内に収容されたトナー及びキャリア収容空間75に収容されたキャリアを合流空間45へと確実に搬送することが可能になると共に、合流空間45において合流したトナー及びキャリアを合流空間45から確実に排出することが可能になる。
【0067】
また、容器本体26にキャリアタンク29を装着すると、本体側ジョイント部57とタンク側ジョイント部80が連結されて、タンク側搬送スクリュー76が第2攪拌パドル54と一体に回転可能となるように構成されている。そのため、タンク側搬送スクリュー76を回転させるための専用の駆動源を設けなくても、第2攪拌パドル54を回転させるための駆動源によってタンク側搬送スクリュー76を回転させることができる。これに伴って、製造コストを低減させることが可能となる。
【0068】
本実施形態では特に、単一の駆動源によって、容器本体26とキャリアタンク29に設けられるすべての回転部材(第1攪拌パドル50、第2攪拌パドル54、本体側搬送スクリュー60及びタンク側搬送スクリュー76)を同時に回転させるように構成されている。そのため、更なる低コスト化を図ることができる。
【0069】
また、キャリア導入口48は、本体側搬送スクリュー60によるトナーの搬送方向(本実施形態では後側から前側に向かう方向。図5の矢印X参照)において現像剤排出口46よりも上流側に配置されると共に、現像剤排出口46と近接して設けられている。このような構成を採用することにより、二成分現像剤が現像剤排出口46から排出される直前に、キャリアをトナーに合流させることができる。これに伴って、現像剤容器15から排出される二成分現像剤中に含まれるトナーとキャリアの割合を一層安定させることができる。
【0070】
また、タンク側搬送スクリュー76が回転すると、多孔質体78に保持されたキャリアが、キャリア導出口73から導出されるようになっている。このような構成を採用することで、キャリア収容空間75内に収容されたキャリアを、キャリア導出口73から少しずつ導出することが可能となる。そのため、トナー収容空間44内にトナーが十分に残っているにも関わらずキャリア収容空間75内のキャリアが無くなってしまうような不都合を回避することができる。
【0071】
本実施形態では、容器本体26に設けられた第2攪拌パドル54にタンク側搬送スクリュー76を連結する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、第1攪拌パドル50や本体側搬送スクリュー60にタンク側搬送スクリュー76が連結されても良い。この場合にも、駆動源の数を減らして、低コスト化を図ることができる。
【0072】
本実施形態では、キャリア導入口48が、本体側搬送スクリュー60によるトナーの搬送方向において現像剤排出口46よりも上流側に配置される場合について説明したが、キャリア導入口48の配置は、これには限定されない。例えば、他の異なる実施形態では、現像剤排出口46の真上にキャリア導入口48を設けても良い。
【0073】
本実施形態では、容器本体26に攪拌部材を2個設ける場合について説明した(「第1攪拌パドル50」及び「第2攪拌パドル54」参照)。一方で、他の異なる実施形態では、容器本体26に攪拌部材を1個又は3個以上の複数個設けても良い。また、更に他の異なる実施形態では、容器本体26に攪拌部材を設けなくても良い。
【0074】
本実施形態では、カラープリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 カラープリンター(画像形成装置)
15 現像剤容器
26 容器本体
29 キャリアタンク
44 トナー収容空間
45 合流空間
46 現像剤排出口
54 第2攪拌パドル(攪拌部材)
60 本体側搬送スクリュー(本体側搬送部材)
75 キャリア収容空間
76 タンク側搬送スクリュー(タンク側搬送部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10