特許第5957583号(P5957583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957583
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】カチオン性界面活性剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/10 20060101AFI20160714BHJP
   C07C 213/02 20060101ALI20160714BHJP
   C07C 213/06 20060101ALI20160714BHJP
   C07C 219/06 20060101ALI20160714BHJP
   B01F 17/18 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   C07C213/10
   C07C213/02
   C07C213/06
   C07C219/06
   B01F17/18
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-145610(P2015-145610)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-102103(P2016-102103A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】特願2014-233577(P2014-233577)
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 遥香
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特表平8−507756(JP,A)
【文献】 特表平4−506804(JP,A)
【文献】 特開2005−170831(JP,A)
【文献】 特開2003−286235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 209/00−219/34
B01F 17/00−17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程1、工程2、工程3及び工程4を有する、カチオン性界面活性剤の製造方法であって、
工程1:アルカノールアミンと脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルとを反応させてアルカノールアミンエステルを得る工程であって、次亜リン酸又はその塩の使用量が脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステルの合計量100質量部に対して0.01質量部以下である、アルカノールアミンエステルを得る工程
工程2:工程1で得たアルカノールアミンエステルをジアルキル硫酸により4級化してカチオン性界面活性剤を得る工程
工程3:工程2で得たカチオン性界面活性剤を酸化処理する工程
工程4:工程3で得た酸化処理したカチオン性界面活性剤を還元処理する工程
工程3の酸化処理が、カチオン性界面活性剤と、亜塩素酸、次亜塩素酸及びそれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上である酸化剤とを混合する処理であり、
工程4の還元処理が、カチオン性界面活性剤と、次亜リン酸又はそのアルカリ金属塩である還元剤とを混合する処理である、
カチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項2】
工程3の酸化剤の使用量が工程2で得たカチオン性界面活性剤100質量部に対して0.001質量部以上1.0質量部以下である、請求項1記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項3】
工程4の還元剤の使用量が工程2で得たカチオン性界面活性剤100質量部に対して0.001質量部以上1.0質量部以下である、請求項1又は2に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項4】
アルカノールアミンが、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミンである、請求項1〜の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項5】
アルカノールアミンが、メチルジエタノールアミン又はトリエタノールアミンである、請求項1〜の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項6】
工程2において、4級化反応が無溶媒で行われる、請求項1〜の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項7】
工程2による4級化の終了後、工程3の前に溶媒添加工程を行う、請求項1〜の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項8】
溶媒が炭素数2以上3以下のアルコール及び下記一般式(1)で表される溶媒から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒である、請求項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
−O−(AO)−R (1)
式中、R及びRは同一又は異なって、水素、炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数1以上30以下のアルケニル基又は炭素数1以上30以下のアシル基を示し、Aは炭素数2以上4以下のアルキレン基、nは平均値で1以上40以下の数を示す。Aは全て同じであるか又は一部異なっていてもよい。
【請求項9】
溶媒の添加量が、溶媒添加後のカチオン性界面活性剤中において、他の工程で用いられた溶媒との合計量で5質量%以上60質量%以下である、請求項7又は8に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項10】
酸化剤を水溶液として用いる、請求項2及び請求項2を引用する請求項3〜の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項11】
酸化処理の温度が、30℃以上90℃以下である、請求項1〜10の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項12】
還元剤を水溶液として用いる、請求項及び請求項を引用する請求項11の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【請求項13】
還元処理の温度が、30℃以上90℃以下である、請求項1〜12の何れか1項に記載のカチオン性界面活性剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性界面活性剤の製造方法に関する。詳しくは、生分解性が良好で、匂い及び着色が抑制され、保存安定性に優れたカチオン性界面活性剤を製造する方法、並びにそれにより製造されるカチオン性界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維用柔軟剤に用いられるカチオン性界面活性剤としては、柔軟処理後の排水中の残存物が河川等の自然界に放出された場合の生分解性を考慮して、トリエタノールアミンやメチルジエタノールアミン等を長鎖脂肪酸或いは脂肪酸メチルと反応させ、中間体のアルカノールアミンエステルを合成した後、ジメチル硫酸やジエチル硫酸等のジアルキル硫酸により4級化して得られるカチオン性界面活性剤が好適に利用されている。
【0003】
しかしながら、これらのエステル基を有するカチオン性界面活性剤には、製造時に使用される4級化剤に由来して副生されるメタンチオールやジメチルジスルフィド等の硫黄(S)含有化合物に起因して悪臭が発生したり、また貯蔵時の長期保存における匂いや色相の悪化が商品の品質に悪影響を及ぼしたりするといった問題がある。これらの問題に関して特許文献1には、4級化する前のアルカノールアミンエステルに過酸化物および水素化ホウ素アルカリ金属塩を添加する方法が開示され、また特許文献2には、4級化する前のアルカノールアミンエステルに空気を接触させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平8−507756号公報
【特許文献2】特表平4−506804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2など、従来技術で開示された方法では、製造後および保存時における匂いおよび色相についての品質改善効果は十分ではない。本発明の課題は、柔軟基剤として有用であり、生分解性が良好で匂い及び着色の抑制並びに保存安定性に優れたカチオン性界面活性剤を製造する方法、並びにそれにより製造されるカチオン性界面活性剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、下記の工程1、工程2、工程3及び工程4を有する、カチオン性界面活性剤の製造方法が提供される。
工程1:アルカノールアミンと脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルとを次亜リン酸又はその塩を用いずに反応させてアルカノールアミンエステルを得る工程
工程2:工程1で得たアルカノールアミンエステルをジアルキル硫酸により4級化してカチオン性界面活性剤を得る工程
工程3:工程2で得たカチオン性界面活性剤を酸化処理する工程
工程4:工程3で得た酸化処理したカチオン性界面活性剤を還元処理する工程
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アルカノールアミンのエステル化反応又はエステル交換反応によってアルカノールアミンエステルを得た後、4級化し、酸化処理と還元処理をこの順に行うことによって、匂い及び着色が抑制され良好な保存安定性を有する高品質なカチオン性界面活性剤が得られる。得られたカチオン性界面活性剤は繊維用柔軟剤に用いられる柔軟基剤として有用であり、また良好な生分解性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の工程1は、アルカノールアミンと脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルとを次亜リン酸又はその塩を用いずに反応させてアルカノールアミンエステルを得る工程である。
【0009】
ここで次亜リン酸又はその塩を「用いずに」とは次亜リン酸又はその塩を実質的に用いないこと、即ち仮に用いたとしてもその使用量が匂いの低減の観点から、工程1におけるアルカノールアミン、脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステルの合計量100質量部に対して好ましくは0.01質量部以下、より好ましくは0.005質量部以下、さらに好ましくは0.001質量部以下であることを意味する。なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、次亜リン酸又はその塩以外の触媒を用いることができる。
【0010】
エステル化反応は、次亜リン酸又はそのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のような触媒によって促進されることが知られている。これらの触媒は反応中に分解して4級化物の匂いに悪影響を及ぼすことがある。本発明の工程1においては、アルカノールアミンと脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルとを次亜リン酸又はその塩を用いずに反応させてアルカノールアミンエステルを得ることにより、かかる悪影響に対処する。本発明の工程1においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、次亜リン酸又はその塩以外の触媒を用いることができる。
【0011】
アルカノールアミンは、生分解性及び柔軟化性能に優れる観点から、好ましくはジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミン又はメチルジエタノールアミン等のアミノアルコール、さらに好ましくはトリエタノールアミンである。エステル化反応に用いられる脂肪酸は、柔軟化性能に優れる観点から、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸又はそれらから選ばれる2種以上の混合物のような、好ましくは炭素数8以上30以下、より好ましくは12以上24以下の長鎖脂肪酸である。また柔軟化性能に優れる観点から、反応に用いられる脂肪酸アルキルエステルは好ましくはこれらの脂肪酸の低級アルキルエステル、より好ましくは炭素数1以上3以下の低級アルキルのエステル、さらに好ましくはメチルエステルである。
【0012】
アルカノールアミンエステルのエステル化度、即ちアルカノールアミンに対して結合する脂肪酸のモル数は、柔軟剤への配合安定性及び柔軟化性能に優れる観点から好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.4以上、よりさらに好ましくは1.6以上であり、同様の観点から好ましくは2.2以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下、よりさらに好ましくは1.7以下である。
【0013】
工程1では反応速度向上の観点から、場合に応じて不活性ガス等のキャリアガスを使用しても良く、好ましくは窒素ガスが使用される。
【0014】
工程1の反応の温度は、反応速度向上の観点から好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、着色や副反応を抑制する観点から好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。工程1の反応の圧力は、遊離した水を除去して反応速度を向上させる観点から好ましくは減圧とされ、より好ましくは50kPa以下、さらに好ましくは20kPa以下であり、製造設備負荷の観点から好ましくは1kPa以上、より好ましくは5kPa以上である。工程1の反応は、反応率を高めて残存する原料脂肪酸量を低減させる観点から、好ましくは前記圧力で熟成することにより行う。
【0015】
工程1の反応時間は、反応率を高めて残存する原料脂肪酸量を低減させる観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、よりさらに好ましくは3時間以上、よりさらに好ましくは6時間以上であり、生産性の観点から好ましくは20時間以下、より好ましく15時間以下、さらに好ましくは10時間以下、よりさらに好ましくは8時間以下である。また、工程1を減圧して行う場合、減圧に要する時間と反応時間との合計は、反応率を高めて残存する原料脂肪酸量を低減させる観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上、よりさらに好ましくは4時間以上、よりさらに好ましくは7時間以上であり、生産性の観点から好ましくは25時間以下、より好ましく18時間以下、さらに好ましくは12時間以下、よりさらに好ましくは9時間以下である。
【0016】
工程1から得られるアルカノールアミンエステルの酸価(mgKOH/g)は、反応率が低く原料脂肪酸が残存して柔軟化性能が低下するのを防止する観点から、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下であり、さらに好ましくは4以下、よりさらに好ましくは3以下、よりさらに好ましくは2.5以下である。下限については特に指定するものではないが、生産性の観点から0.5以上、1.0以上、1.5以上又は1.7以上であっても差し支えない。
【0017】
工程1において、色相安定化の観点からフェノール系酸化防止剤を用いるのが好ましい。フェノール系酸化防止剤として、好ましくはビス−アルキルヒドロキシトルエン及びビス−アルキルアニソールから選ばれる1種以上、より好ましくは2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下、BHTともいう)及び2,6−ジ−tert−ブチルアニソールから選ばれる1種以上、さらに好ましくはBHTを用いる。フェノール系酸化防止剤の使用量は、同様の観点から、アルカノールアミン、脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステルの合計量100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.03質量部以上であり、経済性の観点から好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、さらに好ましくは0.07質量部以下である。
【0018】
本発明の工程2は、工程1で得られたアルカノールアミンエステルをジアルキル硫酸により4級化してカチオン性界面活性剤を得る工程である。
【0019】
4級化剤としての反応性、経済性及び工業的入手性の観点から、ジアルキル硫酸としてはジメチル硫酸又はジエチル硫酸が好ましく用いられ、ジメチル硫酸がより好ましい。
【0020】
色相悪化防止や引火性などの安全面の観点から、工程2では不活性ガス等のキャリアガスを使用することが好ましく、経済性の観点から好ましくは窒素ガスが使用される。
【0021】
ジアルキル硫酸の使用量は、4級化率を向上させる観点から、アルカノールアミンエステル1当量に対して好ましくは0.90当量以上、より好ましくは0.93当量以上であり、匂いの悪化や副反応の抑制の観点から好ましくは1.00当量以下、より好ましくは0.98当量以下である。
【0022】
4級化反応は、高い4級化率を達成する観点からは、無溶媒で行うのが好ましい。また粘度を低下させ生産時の操作性を向上させる観点からは、有機溶媒を使用することができる。有機溶媒は、柔軟剤製品への匂いの影響、工業的入手性、及び経済性等の観点から、好ましくは炭素数2以上3以下のアルコール及び下記一般式(1)から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒である。
−O−(AO)−R (1)
式中、R及びRは同一又は異なって、水素、炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数1以上30以下のアルケニル基又は炭素数1以上30以下のアシル基を示し、Aは炭素数2以上4以下のアルキレン基、nは平均値で1以上40以下の数を示す。Aは全て同じであるか又は一部異なっていてもよい。
【0023】
同様の観点から、有機溶媒は、より好ましくは炭素数2以上3以下の一価アルコール又は炭素数2以上3以下の多価アルコール、さらに好ましくはエタノール又はイソプロピルアルコールである。
【0024】
工程2の4級化反応に際して使用される有機溶媒の使用量は、アルカノールアミンエステル及びジアルキル硫酸の合計100質量部に対して、粘度を低減し取扱性を向上させる観点から好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、4級化率を向上させる観点から好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0025】
4級化反応において、反応熱による温度制御及びジアルキル硫酸の局部過剰反応抑制の観点から、アルカノールアミンエステルにジアルキル硫酸を供給しながら反応させることが好ましい。
【0026】
ジアルキル硫酸の供給温度は、反応速度向上の観点から好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、匂い悪化の抑制及び副反応の抑制の観点から好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下、よりさらに好ましくは70℃以下である。またジアルキル硫酸の供給時間は、副反応を抑制する観点から好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.25時間以上、さらに好ましくは0.5時間以上、よりさらに好ましくは1時間以上であり、生産性の観点から好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下、よりさらに好ましくは4時間以下、よりさらに好ましくは3時間以下である。
【0027】
4級化反応は常圧(0.1MPa)下で行っても、加圧下又は減圧下で行ってもよい。反応圧力は、絶対圧力で、設備に対する負荷の観点から好ましくは0.09MPa以上、より好ましくは0.10MPa以上であり、好ましくは0.5MPa以下、より好ましくは0.2MPa以下、さらに好ましくは0.11MPa以下である。
【0028】
工程2でアルカノールアミンエステルにジアルキル硫酸を供給した後、未反応原料を低減させ反応率を向上させる観点から、熟成を行うことが好ましい。熟成温度は、反応速度の向上の観点から好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、匂い悪化の抑制及び副反応の抑制の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下、よりさらに好ましくは70℃以下である。熟成時間は、未反応原料を低減させ反応率を向上させる観点から好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、生産性の観点から好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下、よりさらに好ましくは4時間以下、よりさらに好ましくは3時間以下である。
【0029】
熟成は常圧下で行っても、加圧下又は減圧下で行ってもよい。熟成時の圧力の好ましい範囲は上記した4級化反応の圧力の好ましい範囲と同様である。
【0030】
工程2において、色相安定化の観点から、フェノール系酸化防止剤を用いるのが好ましい。フェノール系酸化防止剤として、好ましくはビス−アルキルヒドロキシトルエン及びビス−アルキルアニソールから選ばれる1種以上、さらに好ましくは2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下、BHTともいう)及び2,6−ジ−tert−ブチルアニソールから選ばれる1種以上、よりさらに好ましくはBHTを用いる。工程2で用いるフェノール系酸化防止剤は、工程1で用いるフェノール系酸化防止剤と異なってもよいが、経済性の観点から好ましくは工程1と同じものである。
【0031】
フェノール系酸化防止剤の使用量は、色相安定化の観点から、工程1得られたアルカノールアミンエステル100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.03質量部以上であり、経済性の観点から好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。
【0032】
工程2による4級化の終了後に、カチオン性界面活性剤の粘度を低減させ流動性を確保するため、必要に応じて溶媒添加工程を行うことができる。溶媒添加工程は、後述する工程4の前又は工程4の後に行うこともできるが、操作性向上の観点からは、工程3の前に行うのが好ましい。
【0033】
溶媒は、柔軟剤製品に使用しても品質に影響しない溶媒であれば使用可能であるが、カチオン性界面活性剤の粘度を低減させる観点から、好ましくは有機溶媒、より好ましくは炭素数2以上3以下のアルコール及び前記一般式(1)から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒、さらに好ましくは炭素数2以上3以下の一価アルコール又は炭素数2以上3以下の多価アルコール、よりさらに好ましくはエタノール又はイソプロピルアルコールである。また操作性の観点から、工程2で溶媒を用いた場合にはそれと同一の溶媒が好ましく用いられる。
【0034】
溶媒の添加量は、粘度を低減させて取扱性を向上させる観点から、溶媒添加後のカチオン性界面活性剤中において、他の工程で用いられた溶媒との合計量で好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、経済性の観点から好ましくは60質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である。
【0035】
溶媒添加工程における混合温度は、混合の容易性及び速度を高める観点から好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、色等の品質悪化を低減する観点から好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。また混合時間は、混合の均一性の観点から好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上であり、生産性の観点から好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。
【0036】
本発明の工程3は、工程2で得られたカチオン性界面活性剤を酸化処理する工程である。酸化処理は匂い悪化の抑制の観点から行われ、例えば雰囲気ガスを空気とすることによる酸素酸化、或いは一般的な酸化剤の混合などによって行うことができる。
【0037】
酸化剤は、匂い悪化の抑制の観点から好ましくは亜塩素酸、次亜塩素酸、及びそれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、より好ましくは亜塩素酸、次亜塩素酸、及びそれらのナトリウム塩から選ばれる1種以上、さらに好ましくは亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸ナトリウム、よりさらに好ましくは亜塩素酸ナトリウムである。
【0038】
酸化剤の使用量は、匂い抑制効果を高める観点から、工程2で得られたカチオン性界面活性剤100質量部に対して好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上、よりさらに好ましくは0.03質量部以上であり、匂い抑制効果を高める観点及び色相悪化を防止する観点から好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、よりさらに好ましくは0.2質量部以下、よりさらに好ましくは0.1質量部以下である。
【0039】
酸化剤は、取扱い性の観点から、好ましくは水溶液として用いる。酸化剤の濃度は、入手性及び経済性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0040】
酸化処理の温度は、匂い抑制効果を高める観点から好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、色相悪化を防止する観点から好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。処理時間は、匂い抑制効果を高める観点から好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上であり、生産性の観点から好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下である。酸化剤により酸化処理を行う場合は、色相悪化等を防止する観点から、不活性雰囲気とすることが好ましく、経済性の観点から不活性ガスとしては窒素ガスを用いるのが好ましい。
【0041】
本発明の工程4は、工程3で酸化処理したカチオン性界面活性剤に対して還元処理を行う工程である。このように工程2の4級化後に酸化処理及び還元処理を順次行うことによって、匂い及び着色が抑制され、保存安定性にも優れた高品質なカチオン性界面活性剤を得ることができる。
【0042】
工程4の還元処理は、還元剤をカチオン性界面活性剤に混合することによって行うことができる。還元剤としては一般的なものが使用可能であるが、色相悪化を抑制し保存安定性を向上させる観点から、好ましくは次亜リン酸又はそのアルカリ金属塩、より好ましくは次亜リン酸又は次亜リン酸ナトリウム、さらに好ましくは次亜リン酸である。還元処理は、色等の品質悪化を防止する観点から、不活性雰囲気下で行うことが好ましく、経済性の観点から不活性ガスとしては窒素ガスを用いるのが好ましい。
【0043】
工程4の還元剤の使用量は、色相悪化を抑制し保存安定性を向上させる観点から、工程2で得られたカチオン性界面活性剤100質量部に対して好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上、よりさらに好ましくは0.02質量部以上、よりさらに好ましくは0.03質量部以上であり、経済性の観点から好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、よりさらに好ましくは0.1質量部以下である。
【0044】
還元剤は取扱い性の観点から、好ましくは水溶液として用いる。還元剤の濃度は、入手性と経済性の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。
【0045】
工程4の還元処理の温度は、色相悪化を抑制し保存安定性を向上させる観点から好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、色相悪化を防止する観点から好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。色相悪化を抑制し保存安定性を向上させる観点から、処理時間は好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上であり、生産性の観点から好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下である。
【0046】
本発明の製造方法によって得られるカチオン性界面活性剤は、匂い及び着色が抑制され良好な保存安定性を有する。得られたカチオン性界面活性剤は繊維用柔軟剤に用いられる柔軟基剤として有用であり、また良好な生分解性を有する。
【0047】
柔軟基剤として繊維用柔軟剤組成物に用いる場合、カチオン性界面活性剤の含有量は、柔軟性能を適切に発揮する観点から好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上であり、使用感及び経済性の観点から好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0048】
繊維用柔軟剤組成物には、さらに柔軟性能や保存安定性を向上させるために、炭素数8以上24以下のアルコールのアルキレンオキサイド付加物等の非イオン界面活性剤、炭素数8以上24以下のアルコール等の高級アルコール、炭素数8以上24以下の脂肪酸等の高級脂肪酸、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリコール、ポリオール、さらにはそれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物等を含有することができ、また無機塩、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、香料、消泡剤、顔料等を必要に応じて含有することができる。
【0049】
以下、本発明の実施態様を列記する。
<1>
下記の工程1、工程2、工程3及び工程4を有する、カチオン性界面活性剤の製造方法。
工程1:アルカノールアミンと脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルとを次亜リン酸又はその塩を用いずに反応させてアルカノールアミンエステルを得る工程
工程2:工程1で得たアルカノールアミンエステルをジアルキル硫酸により4級化してカチオン性界面活性剤を得る工程
工程3:工程2で得たカチオン性界面活性剤を酸化処理する工程
工程4:工程3で得た酸化処理したカチオン性界面活性剤を還元処理する工程
【0050】
<2>
アルカノールアミンが好ましくはジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミン又はメチルジエタノールアミン等のアミノアルコール、さらに好ましくはトリエタノールアミンである、<1>に記載の製造方法。
【0051】
<3>
脂肪酸が牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸又はそれらから選ばれる2種以上の混合物のような、好ましくは炭素数8以上30以下、より好ましくは12以上24以下の長鎖脂肪酸であり、脂肪酸アルキルエステルが好ましくはこれらの脂肪酸の低級アルキルエステル、より好ましくは炭素数1以上3以下の低級アルキルのエステル、さらに好ましくはメチルエステルである、<1>又は<2>に記載の製造方法。
【0052】
<4>
アルカノールアミンエステルのエステル化度が好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.4以上、よりさらに好ましくは1.6以上であり、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下、よりさらに好ましくは1.7以下である、<1>から<3>の何れかに記載の製造方法。
【0053】
<5>
工程1で不活性ガス等のキャリアガス、好ましくは窒素ガスが使用される、<1>から<4>の何れかに記載の製造方法。
【0054】
<6>
工程1の反応温度が好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは200℃以下である、<1>から<5>の何れかに記載の製造方法。
【0055】
<7>
工程1の反応圧力が、好ましくは減圧、より好ましくは50kPa以下、さらに好ましくは20kPa以下であり、好ましくは1kPa以上、より好ましくは5kPa以上である、<1>から<6>の何れかに記載の製造方法。
【0056】
<8>
工程1の反応時間が好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、よりさらに好ましくは3時間以上、よりさらに好ましくは6時間以上であり、好ましくは20時間以下、より好ましく15時間以下、さらに好ましくは10時間以下、よりさらに好ましくは8時間以下である、<1>から<7>の何れかに記載の製造方法。
【0057】
<9>
工程1で得たアルカノールアミンエステルの酸価(mgKOH/g)が好ましくは10以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下、よりさらに好ましくは3以下、よりさらに好ましくは2.5以下であり、0.5以上、1.0以上、1.5以上又は1.7以上である、<1>から<8>の何れかに記載の製造方法。
【0058】
<10>
工程2で用いられるジアルキル硫酸が好ましくはジメチル硫酸又はジエチル硫酸、より好ましくはジメチル硫酸である、<1>から<9>の何れかに記載の製造方法。
【0059】
<11>
工程2で、好ましくは不活性ガス等のキャリアガス、より好ましくは窒素ガスが使用される、<1>から<10>の何れかに記載の製造方法。
【0060】
<12>
工程2におけるジアルキル硫酸の使用量がアルカノールアミンエステル1当量に対して好ましくは0.90当量以上、好ましくは0.93当量以上、また好ましくは1.00当量以下、好ましくは0.98当量以下である、<1>から<11>の何れかに記載の製造方法。
【0061】
<13>
工程2において、4級化反応が好ましくは無溶媒で行われる、<1>から<12>の何れかに記載の製造方法。
【0062】
<14>
4級化反応が、好ましくはアルカノールアミンエステルにジアルキル硫酸を供給しながら行う反応である、<1>から<12>の何れかに記載の製造方法。
【0063】
<15>
工程2のジアルキル硫酸の供給温度が好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下、よりさらに好ましくは70℃以下である、<14>に記載の製造方法。
【0064】
<16>
工程2のジアルキル硫酸の供給時間が好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.25時間以上、さらに好ましくは0.5時間以上、よりさらに好ましくは1時間以上であり、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下、よりさらに好ましくは4時間以下、よりさらに好ましくは3時間以下である、<14>又は<15>に記載の製造方法。
【0065】
<17>
工程2の4級化反応時の圧力が絶対圧力で、好ましくは0.09MPa以上、より好ましくは0.10MPa以上であり、好ましくは0.5MPa以下、より好ましくは0.2MPa以下、さらに好ましくは0.11MPa以下である、<1>から<18>の何れかに記載の製造方法。
【0066】
<18>
工程2において、好ましくはアルカノールアミンエステルにジアルキル硫酸を供給した後、熟成を行う、<1>から<18>の何れかに記載の製造方法。
【0067】
<19>
工程2において熟成工程が、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上で行われ、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下、よりさらに好ましくは70℃以下で行われる、<18>に記載の製造方法。
【0068】
<20>
工程2において熟成工程が、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上で行われ、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下、よりさらに好ましくは4時間以下、よりさらに好ましくは3時間以下で行われる、<18>又は<19>の何れかに記載の製造方法。
【0069】
<21>
工程2において熟成工程が、絶対圧力で好ましくは0.09MPa以上、より好ましくは0.10MPa以上で行われ、好ましくは0.5MPa以下、より好ましくは0.2MPa以下、さらに好ましくは0.11MPa以下で行われる、<18>から<20>の何れかに記載の製造方法。
【0070】
<22>
工程2による4級化の終了後に溶媒添加工程が行われ、好ましくは工程3の前に行われる、<1>から<21>の何れかに記載の製造方法。
【0071】
<23>
溶媒が、好ましくは有機溶媒、より好ましくは炭素数2以上3以下のアルコール及び下記一般式(1)から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒、さらに好ましくは炭素数2以上3以下の一価アルコール又は炭素数2以上3以下の多価アルコール、よりさらに好ましくはエタノール又はイソプロピルアルコールであり、また好ましくは工程2で用いたのと同一の溶媒である、<22>に記載の製造方法。
−O−(AO)−R (1)
式中、R及びRは同一又は異なって、水素、炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数1以上30以下のアルケニル基又は炭素数1以上30以下のアシル基を示し、Aは炭素数2以上4以下のアルキレン基、nは平均値で1以上40以下の数を示す。Aは全て同じであるか又は一部異なっていてもよい。
【0072】
<24>
溶媒の添加量が、溶媒添加後のカチオン性界面活性剤中において、他の工程で用いられた溶媒との合計量で好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である、<22>又は<23>の何れかに記載の製造方法。
【0073】
<25>
溶媒添加工程における混合温度が、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である、<22>から<24>の何れかに記載の製造方法。
【0074】
<26>
溶媒添加工程における混合時間が、好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上であり、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、さらに好ましくは1時間以下である、<22>から<25>の何れかに記載の製造方法。
【0075】
<27>
工程3の酸化処理が工程2で得たカチオン性界面活性剤の酸素酸化又は酸化剤の混合、好ましくは酸化剤の混合によって行われる、<1>から<26>の何れかに記載の製造方
法。
【0076】
<28>
酸化剤が、好ましくは亜塩素酸、次亜塩素酸、及びそれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、より好ましくは亜塩素酸、次亜塩素酸、及びそれらのナトリウム塩から選ばれる1種以上、さらに好ましくは亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸ナトリウム、よりさらに好ましくは亜塩素酸ナトリウムである、<27>に記載の製造方法。
【0077】
<29>
酸化剤の使用量が、工程2で得たカチオン性界面活性剤100質量部に対して好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上、よりさらに好ましくは0.03質量部以上であり、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、よりさらに好ましくは0.2質量部以下、よりさらに好ましくは0.1質量部以下である、<27>又は<28>に記載の製造方法。
【0078】
<30>
酸化剤を、好ましくは水溶液として用いる、<27>から<29>の何れかに記載の製造方法。
【0079】
<31>
酸化剤の濃度が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である、<30>に記載の製造方法。
【0080】
<32>
酸化処理の温度が好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である、<1>から<31>の何れかに記載の製造方法。
【0081】
<33>
酸化処理の時間が好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上であり、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下である、<1>から<32>の何れかに記載の製造方法。
【0082】
<34>
工程3が好ましくは不活性雰囲気で行われ、より好ましくは窒素ガスが使用される、<1>から<33>の何れかに記載の製造方法。
【0083】
<35>
工程4の還元処理が工程3で酸化処理されたカチオン性界面活性剤と還元剤を混合する処理である、<1>から<34>の何れかに記載の製造方法。
【0084】
<36>
還元剤が好ましくは次亜リン酸又はそのアルカリ金属塩、より好ましくは次亜リン酸又は次亜リン酸ナトリウム、さらに好ましくは次亜リン酸である、<35>に記載の製造方法。
【0085】
<37>
還元剤の使用量が、工程2で得たカチオン性界面活性剤100質量部に対して好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上、よりさらに好ましくは0.02質量部以上、よりさらに好ましくは0.03質量部以上であり、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、よりさらに好ましくは0.1質量部以下である、<35>又は<36>に記載の製造方法。
【0086】
<38>
還元剤を、好ましくは水溶液として用いる、<35>から<37>の何れかに記載の製造方法。
【0087】
<39>
還元剤の濃度が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である、<38>に記載の製造方法。
【0088】
<40>
還元処理の温度が好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である、<1>から<39>の何れかに記載の製造方法。
【0089】
<41>
還元処理の時間が好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上であり、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下である、<1>から<40>の何れかに記載の製造方法。
【0090】
<42>
工程4が好ましくは不活性雰囲気で行われ、より好ましくは窒素ガスが使用される、<1>から<41>の何れかに記載の製造方法。
【0091】
<43>
<1>から<42>の何れかに記載の製造方法によって得られたカチオン性界面活性剤。
【0092】
<44>
繊維用柔軟剤に用いられる<43>に記載のカチオン性界面活性剤。
【0093】
<45>
<43>に記載のカチオン性界面活性剤の繊維用柔軟剤としての使用。
【0094】
<46>
<43>に記載のカチオン性界面活性剤を好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下含有する繊維用柔軟剤組成物。
【実施例】
【0095】
例中の%は、特記しない限り質量基準である。
【0096】
実施例1
工程1として、1L反応容器にトリエタノールアミン(1.0モル、株式会社日本触媒製トリエタノールアミン−S)と半硬化パーム脂肪酸(1.65モル、ACIDCHEM製Palmac605T)、BHT0.28gを仕込み、窒素置換を行った。次いで、窒素をバブリングしながら、170℃で常圧(0.1MPa)から13.3kPaに1時間かけて減圧して、7時間エステル化反応を行い、酸価2.0mgKOH/gのトリエタノールアミンエステル569gを得た。
【0097】
次に工程2として、工程1で得られたトリエタノールアミンエステル512g(0.9モル)とBHT0.7gを混合し、その混合物に、常圧(0.1MPa)で、窒素雰囲気下、45℃から65℃の範囲でジメチル硫酸107.8g(0.855モル)を2時間かけて滴下した。60℃から65℃で1.5時間熟成した後に、最終のカチオン性界面活性剤中における溶媒量が12質量%となるように、エタノール84.9gを加えて55℃から65℃で0.5時間混合した。
【0098】
さらに工程3として、25%亜塩素酸Na水溶液1.4gを添加し55℃から65℃で0.5時間混合して酸化処理した。その後、工程4として50%次亜リン酸水溶液0.35gを添加し55℃から65℃で0.5時間混合することにより還元処理をして、カチオン性界面活性剤を得た。なお表1ではカチオン性界面活性剤100質量部に対する酸化剤及び還元剤の純分を質量部で示している。得られたカチオン性界面活性剤について、製造直後及び窒素雰囲気下60℃で8週間保存後において、下記方法で匂いと色の評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
<匂い評価サンプルと評価方法>
・原体の15%水溶液100gを450mlガラス瓶に入れて調製した。
・専門パネラー5名で次の基準で官能評価し、5人の評価の平均値を評価値とした(匂い合格は評価値3.5以下である)。
1:悪臭が全くしない
2:悪臭がほとんどない(極僅かに匂う)
3:悪臭が弱く匂う
4:悪臭がはっきり匂う
5:悪臭が強く匂う
6:悪臭が非常に強く匂う
【0100】
<色の評価>
色は、日本電色工業株式会社製OME2000を使用して、ガードナー色数を測定した。
【0101】
実施例2
工程3の25%亜塩素酸Na水溶液を4.2g、工程4の50%次亜リン酸水溶液を0.71gにした以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0102】
実施例3
工程3の25%亜塩素酸Na水溶液を0.56g、工程4の50%次亜リン酸水溶液を0.71gにした以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0103】
実施例4
工程4の50%次亜リン酸水溶液を0.71gにした以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0104】
実施例5
工程4の50%次亜リン酸水溶液を0.14gにした以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0105】
実施例6
工程1の窒素を表1に示す流量でバブリングし、190℃で常圧(0.1MPa)から13.3kPaに1時間かけて減圧して、4時間エステル化反応を行った以外は、実施例1と同様の条件で操作を行い、酸価2.1mgKOH/gのトリエタノールアミンエステル569gを得た。
次に工程2として、ジメチル硫酸滴下後に2.5時間熟成を行った以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0106】
実施例7
工程3の酸化剤を次亜塩素酸ナトリウムとした以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0107】
比較例1
工程3及び工程4を行わなかった以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0108】
比較例2
工程4を行わなかった以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0109】
比較例3
工程3を行わなかった以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0110】
比較例4
実施例1で行った工程3と工程4の処理の順序を入れ換えた以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0111】
比較例5
工程1で50%次亜リン酸水溶液0.57g(トリエタノールアミンエステル100質量部に対して純分0.05質量部)を添加し、熟成3時間の脱水エステル化を行い、酸価1.6mgKOH/gのトリエタノールアミンエステル569gを得た以外は、実施例1と同様に操作を行ってカチオン性界面活性剤を得た。得られたカチオン性界面活性剤について実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0112】
【表1】