特許第5957590号(P5957590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5957590
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】テレスコピック伸縮式ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/32 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   A42B3/32
【請求項の数】4
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2015-219966(P2015-219966)
(22)【出願日】2015年11月9日
【審査請求日】2015年12月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591200715
【氏名又は名称】加賀産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107674
【弁理士】
【氏名又は名称】来栖 和則
(72)【発明者】
【氏名】溝口 治
(72)【発明者】
【氏名】国分 博史
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−028233(JP,A)
【文献】 実公昭42−022520(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットであって、
少なくとも最上段セグメントおよび最下段セグメントを有する複数のセグメントが当該ヘルメットの高さ方向に相対変位可能であるように連結されて成る半球状のシェルと、
前記最上段セグメントの位置と前記最下段セグメントの位置との間を延びる連続体と、
前記最上段セグメントまたはそれに装着された別の部材である最上段相手部材に設けられ、前記連続体のうち前記最上段相手部材に対応する部分がタングとして挿入されると、そのタングをロックし、着用者の操作に応じて、そのタングをリリースするバックルと、
前記最下段セグメントまたはそれに装着された別の部材である最下段相手部材に設けられ、前記連続体のうち前記最下段相手部材に対応する部分に分離不能に係合する係合部と
を含むテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【請求項2】
前記バックルは、前記最上段相手部材に対し、搖動可能に装着される請求項1に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【請求項3】
前記係合部は、前記最下段相手部材に対し、搖動可能に装着される請求項1または2に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【請求項4】
前記連続体は、自然状態においては、直線的に延びており、当該ヘルメットが展開状態から収納状態に移行したために外力が前記連続体に作用すると、弾性的に撓み、前記外力が作用しなくなると、前記自然状態に復元する請求項1ないし3のいずれかに記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者によって格納状態と展開状態とに変化させられるヘルメットに関し、特に、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが完全展開状態と完全格納状態との間を変化するテレスコピック伸縮式ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の頭部を衝撃から保護することを目的としてその人間の頭部に着用される種々のヘルメットが既に普及している。
【0003】
この種のヘルメットとして、不使用時に、着用者が折り畳んだり縮めたりして格納することによって小型化することが可能な折り畳み式ヘルメットが既に提案されている。
【0004】
特許文献1は、折り畳み式ヘルメットの一例として、テレスコピック伸縮式ヘルメットを開示している。このテレスコピック伸縮式ヘルメットは、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが展開状態と格納状態とに変化するように構成されている。
【0005】
具体的には、このテレスコピック伸縮式ヘルメットは、各々水平方向に延びる複数のセグメント(または可動部材)が積層されて成るシェル(または帽体もしくはヘルメット本体)であって、着用者の頭部に装着されるものを有し、それらセグメントは、当該ヘルメットの高さ方向において、相対移動することが可能であるように相互に連結されている。
【0006】
さらに、このテレスコピック伸縮式ヘルメットは、当該ヘルメットが前記格納状態から前記展開状態に変化させられると、その展開状態において、着用者の意に反して、当該ヘルメットが前記格納状態に変化してしまうことを阻止するために、着用者により、当該ヘルメット内の所定位置に選択的に、常時スライド可能に装着されるバンド部材を有する。
【0007】
そのバンド部材が、着用者により、当該ヘルメットの所定位置に装着されると、前記複数のセグメント間の相対移動が完全にではないが阻止され、それにより、当該ヘルメットが前記展開状態に維持される。一方、そのバンド部材が、着用者により、当該ヘルメットの所定位置から離脱されると、前記複数のセグメント間の相対移動が許可され、それにより、着用者が、当該ヘルメットを格納したり、その状態から展開させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−192320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この従来のヘルメットを使用する場合には、着用者は、前記バンド部材を当該ヘルメットの所定位置に装着したり、離脱するという作業を行うことを余儀なくされる。
【0010】
さらに、この従来のヘルメットを使用する場合には、前記バンド部材が、着用者により、当該ヘルメットの所定位置に装着されると、前記複数のセグメント間の相対移動が制限される。しかし、前記バンド部材は、当該ヘルメットのシェルを構成する複数のセグメントにそれぞれロック状態で装着されるようにはなっていない。
【0011】
そのため、この従来のヘルメットの所定位置に前記バンド部材が装着されているために当該ヘルメットが展開されている状態であっても、前記バンド部材とは別の対策を追加的に講じないと、着用者から作用する外力に起因し、前記シェルのうちのいくつかのセグメントが、隣接する他のセグメントに接近したり、局部的に変形して、隣接する他のセグメントとの間に隙間を形成してしまう可能性がある。
【0012】
この従来のヘルメットの展開状態において、互いに隣接するセグメント間に予定外の動きが発生すると、着用者は、使用しているヘルメットのシェルの剛性が不足していると感じ、ひいては、ヘルメットの衝撃吸収性が不足しているかもしれないという不安を抱いてしまうおそれがある。なぜなら、ヘルメットは、外力に抗して自身の形状を維持してはじめて衝撃を吸収できる製品であるとの固定観念がすべてのユーザにあるからである。
【0013】
このような事情を背景として、本発明は、着用者によって格納状態と展開状態とに変化させられるテレスコピック伸縮式ヘルメットにおいて、展開状態にある当該ヘルメットの剛性が、当該ヘルメットが格納可能であることが原因で低下してしまうことを抑制することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットであって、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが完全展開状態と完全格納状態との間を変化するものであって、
着用者の頭部に装着されるために概して半球状を成すテレスコピック伸縮式のシェルであって、前記高さ方向に相対変位可能である複数のセグメントによって構成されるものと、
当該ヘルメットの内面に沿って前記複数のセグメントのうちの最上段セグメントから最下段セグメントまで連続的に延びる連続体により、前記複数のセグメントを互いに連結する連結機構であって、前記展開状態においては、前記複数のセグメントをそれぞれロックしてそれらセグメント間の相対変位を阻止するが、前記格納状態においては、前記複数のセグメントのうちの少なくとも一つをリリースしてそれらセグメント間の相対変位を許可するものと
を含むテレスコピック伸縮式ヘルメットが提供される。
【0015】
このヘルメットによれば、前記連結機構のおかげで、当該ヘルメットの展開状態において、前記複数のセグメント間の相対位置がみだりに変化せずに済み、それにより、セグメント間の連結がより強固なものとなり、その結果、当該ヘルメットの全体剛性が向上する。それにより、着用者が当該ヘルメットから得られる安心感が高まる。
【0016】
さらに、このヘルメットは、前記連結機構が、当該ヘルメットの展開状態において、セグメント間の予定外の離間(展開する限度を超えた展開)を阻止する機能と、セグメント間の予定外の接近(格納される限度を超えた格納)を阻止する機能との双方、すなわち、セグメント間の予定外の双方向の動きを同時に阻止する機能を有するように実施することが可能である。
【0017】
この実施態様によれば、当該ヘルメットの展開状態において、前記複数のセグメント間の相対位置がみだりに変化することを阻止するために、前記連結機構とは別の対策を追加的に講じることが不可欠ではなくなる。その結果、当該ヘルメットの部品点数の削減および製造工数の削減、ひいては、製作コストの削減が容易となる。
【0018】
また、このヘルメットにおいて、前記連続体および前記長手状部材(その連続体の一例)は、前記シェルの内面に対し、その内面に幾何学的に近似する半球面を想定した場合に、その半球面上に定義される1本の子午線にほぼ沿って延びるようにレイアウトしたり、その子午線と交差するように延びるようにレイアウトしたり、らせん状に延びるようにレイアウトすることが可能である。
【0019】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0020】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0021】
(1) 着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットであって、
少なくとも最上段セグメントおよび最下段セグメントを有する複数のセグメントが当該ヘルメットの高さ方向に相対変位可能であるように連結されて成る半球状のシェルと、
前記最上段セグメントまたはそれに装着された別の部材である最上段相手部材と、前記最下段セグメントまたはそれに装着された別の部材である最下段相手部材との間を延びる連続体と
を含み、
その連続体は、当該ヘルメットの前記高さ方向における最大展開状態において、前記最上段相手部材に対しては、着用者の操作に応じ、少なくとも前記連続体の長さ方向にロックされるロック状態とリリース状態とに切り換わるが、前記最下段相手部材に対しては、少なくとも前記連続体の長さ方向にロックされるロック状態に維持されるテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0022】
(2) 着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットであって、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが完全展開状態と完全格納状態との間を変化するものであって、
着用者の頭部に装着されるために概して半球状を成すテレスコピック伸縮式のシェルであって、前記高さ方向に相対変位可能である複数のセグメントによって構成されるものと、
前記複数のセグメントを互いに連結する連結機構であって、当該ヘルメットの完全展開状態においては、前記複数のセグメントのうち少なくとも最上段セグメントと最下段セグメントとの間の前記高さ方向における接近を阻止するが、当該ヘルメットの完全格納状態においては、前記複数のセグメントのうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における離間を許可するものと
を含み、
前記連結機構は、
当該ヘルメットの内面に沿って前記最上段セグメントの位置から前記最下段セグメントの位置まで連続的に延びる連続体と、
その連続体と、前記最上段セグメントまたはそれに装着された別の部材である相手部材とに跨って設けられたロック部であって、前記連続体と前記相手部材とを、両者が互いに係合し、前記連続体と前記相手部材との間の相対変位を制限するロック状態と、両者が互いに分離し、前記相対変位を許可するリリース状態とに切り換えるとともに、常には前記ロック状態にあるものと、
そのロック部を、前記ロック状態から前記リリース状態に切り換えるために着用者によって操作される操作部と
を含み、
前記連続体は、当該ヘルメットが前記完全展開状態にあるか前記完全格納状態にあるかを問わず、前記最下段セグメントまたはそれに装着された別の部材から分離しないテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0023】
(3) 前記ロック部は、前記連続体の一部または前記連続体に装着された別の部材である第1係合部と、前記相手部材の一部または前記相手部材に装着された別の部材である第2係合部とを有し、それら第1係合部および第2係合部が互いに係合することによって前記ロック状態が実現される一方、それら第1係合部および第2係合部が互いに離脱することによって前記リリース状態が実現される(2)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0024】
(4) 前記連続体は、前記ロック状態においても、前記第1係合部が、前記連続体の長さ方向と交差する方向において、前記第2係合部に対して相対変位可能であるように当該ヘルメットの内面に沿って配置されており、
前記操作部は、着用者から加えられた操作力を前記第1係合部に、その第1係合部が前記第2係合部から離間するように作用させ、それにより、前記ロック部を前記ロック状態から前記リリース状態に切り換える(3)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0025】
(5) 前記操作部は、着用者が当該ヘルメットの内部からアクセス可能であるように当該ヘルメットに配置されている(2)ないし(4)項のいずれかに記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0026】
(6) 前記操作部は、着用者が当該ヘルメットの外部からアクセス可能であるように当該ヘルメットに配置されている(2)ないし(4)項のいずれかに記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0027】
(7) 前記連続体は、各々、前記最上段相手部材と前記最下段相手部材との間を延びる複数本の長手状部材を含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0028】
(8) 前記複数のセグメントの数は、2個,3個または4個である(1)ないし(7)項のいずれかに記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0029】
本発明によれば、さらに、下記の各態様も得られる。
【0030】
(1) 着用者の頭部に装着されるヘルメットであって、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットの高さ寸法が最大である最大伸張状態と、前記高さ寸法が最小である最大収縮状態とに変化するテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0031】
(2) 当該ヘルメットは、概して半球状を成すシェルを含み、
そのシェルは、相互に嵌合することが可能な複数の可動部材であって入れ子構造を成すものを含み、
それら可動部材は、前記高さ方向に相対変位可能であり、
それら可動部材は、相互に分離しないように相互に連結される(1)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0032】
(3) さらに、着用者の操作により、前記複数の可動部材間の連結および解除を選択的に行う連結機構を含み、
その連結機構は、前記複数の可動部材のうち、最上段の可動部材と最下段の可動部材とを除く少なくとも1つの中間可動部材のうちの少なくとも1つである第1対象可動部材と、その第1対象可動部材にそれの上側において隣接する上側可動部材と、前記第1対象可動部材にそれの下側において隣接する下側可動部材との間の連結および解除を選択的に行う第1連結部を含み、
その第1連結部は、前記第1対象可動部材と前記上側可動部材と前記下側可動部材とに共通の第1可動部を有し、その第1可動部の、第1水平軸線周りの双方向回転により、前記第1対象可動部材と前記上側可動部材との間の連結および解除と、前記第1対象可動部材と前記下側可動部材との間の連結および解除とを互いに実質的に同期的に行う(2)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0033】
(4) 前記第1連結部は、さらに、前記第1対象可動部材に対して固定される第1固定部を含み、
前記第1可動部は、その第1固定部に対して、前記第1水平軸線周りに相対的に回転することが可能であり、
その第1可動部の両端部は、前記上側可動部材に係合可能な上側係合部と、前記下側可動部材に係合可能な下側係合部とを含み、
前記第1可動部の、前記第1水平軸線周りの一方向回転により、前記上側可動部材と前記上側係合部との間の連結の解除と、前記下側可動部材と前記下側係合部との間の連結の解除とを互いに実質的に同期的に行う一方、前記第1可動部の、前記第1水平軸線周りの逆方向回転により、前記上側可動部材と前記上側係合部との間の連結と、前記下側可動部材と前記下側係合部との間の連結とを互いに実質的に同期的に行う(3)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0034】
(5) 前記連結機構は、前記複数の可動部材のうち、前記第1対象可動部材を除く少なくとも1つの非第1対象可動部材のうちの少なくとも1つである第2対象可動部材と、その第2対象可動部材にそれの上側または下側において隣接する相手可動部材との間の連結および解除を、それら第2対象可動部材と相手可動部材とに共通の第2可動部の、第2水平軸線に沿って延びる弾性ヒンジを支点とする双方向撓み運動により、選択的に行う第2連結部を含み、
その第2連結部は、さらに、前記第2対象可動部材に対して固定される第2固定部を含み、
前記第2可動部は、それの基端部において、前記第2固定部に対して、前記弾性ヒンジを介して片持ち状に結合されており、
その第2可動部の両端部のうち、前記弾性ヒンジとの結合部から離れた自由端部は、前記相手可動部材に係合可能な係合部を含み、
前記第2可動部の、前記弾性ヒンジを支点とする一方向撓み運動により、前記相手可動部材と前記係合部との間の連結の解除を行う一方、前記第2可動部の、前記弾性ヒンジを支点とする逆方向撓み運動により、前記相手可動部材と前記係合部との間の連結を行う(3)または(4)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0035】
(6) 前記連結機構は、さらに、
前記第1対象可動部材と前記第2対象可動部材とのうちの少なくとも第1対象可動部材が着用者によって誤って回転させられることを防止するために着用者によって操作される安全装置を含み、
その安全装置は、
着用者によって操作される操作部材と、
前記第1対象可動部材が回転可能な方向とは異なる方向に前記操作部材が着用者によって操作されると、その異なる方向に前記操作部材が、前記第1対象可動部材の回転を伴うことなく単独で運動する一方、その運動に引き続いて、前記第1対象可動部材が回転可能な方向と同じ方向に前記操作部材が着用者によって操作されると、その同じ方向に前記操作部材が、前記第1対象可動部材と一緒に運動するように、前記操作部材の運動を制御する運動制御機構と
を含む(3)ないし(5)項のいずれかに記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0036】
(11) 着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットであって、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが完全展開状態と完全格納状態との間を変化するものであって、
着用者の頭部に装着されるために概して半球状を成すテレスコピック伸縮式のシェルであって、前記高さ方向に相対変位可能である複数のセグメントによって構成されるものと、
前記複数のセグメントを互いに連結する連結機構であって、当該ヘルメットの完全展開状態においては、前記複数のセグメントのうち少なくとも最上段セグメントと最下段セグメントとの間の前記高さ方向における接近を阻止するが、当該ヘルメットの完全格納状態においては、前記複数のセグメントのうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における離間を許可するものと
を含むテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0037】
(12) 着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットであって、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが完全展開状態と完全格納状態との間を変化するものであって、
着用者の頭部に装着されるために概して半球状を成すテレスコピック伸縮式のシェルであって、前記高さ方向に相対変位可能である複数のセグメントによって構成されるものと、
当該ヘルメットの内面に沿って前記複数のセグメントのうちの最上段セグメントから最下段セグメントまで連続的に延びる連続体により、前記複数のセグメントを互いに連結する連結機構であって、当該ヘルメットの完全展開状態においては、前記複数のセグメントのうち少なくとも前記最上段セグメントおよび前記最下段セグメントをそれぞれロックしてそれらセグメント間の相対変位を阻止するが、当該ヘルメットの完全格納状態および中途格納状態においては、前記複数のセグメントのうち前記最下段セグメントを除くもののそれぞれをリリースしてそれらセグメント間の相対変位を許可するものと
を含むテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0038】
(13) 前記複数のセグメントは、前記高さ方向に並んだ最上段セグメントと少なくとも1つの中間セグメントと最下段セグメントとを含み、
前記連結機構は、
前記複数のセグメントの複数の内面に沿って前記最上段セグメントと前記最下段セグメントとの間を延びる可撓性を有する長手状部材であって、前記最上段セグメントに位置する最内端部と、前記少なくとも1つの中間セグメントに位置する少なくとも1つの中間部と、前記最下段セグメントに位置する最外端部とを有するものと、
その長手状部材に設けられた複数の第1係合部と、
前記最上段セグメントと前記少なくとも1つの中間セグメントとにそれぞれ設けられた複数の第2係合部であって、当該ヘルメットの完全展開状態においては、前記複数の第1係合部とそれぞれロック状態で係合するが、当該ヘルメットの完全格納状態および中途格納状態においては、前記複数の第1係合部からそれぞれ離脱するものと
を含む(11)または(12)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0039】
(14) 前記連結機構は、さらに、
前記最外端部を前記最下段セグメントに、前記展開状態においても前記格納状態においても、前記最外端部が前記最下段セグメントに対して、前記最上段セグメントに接近する向きに相対的に変位する限度が規制されるように係合する第3係合部を含む(13)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0040】
(15) 前記複数の第1係合部と前記複数の第2係合部との間の相対位置関係は、前記長手状部材が、それの長さ方向において、前記最下段セグメントに対して相対変位することが、前記展開状態においても前記格納状態においても阻止され、かつ、前記少なくとも1つの中間セグメントに対して相対変位することが、前記格納状態においては許可されるが、前記完全展開状態においては阻止され、かつ、前記最上段セグメントに対して相対変位することが、前記格納状態においては許可されるが、前記完全展開状態においては阻止されるように設定されている(13)または(14)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0041】
(16) 前記連結機構は、さらに、
前記複数のセグメントのうち、互いに隣接するかまたは隣接しない少なくとも2つのセグメントにそれぞれ、前記高さ方向に一緒に変位するように設けられた複数の装着具であって、前記連続体を、それの長さ方向において離散的に配置された複数の位置において、当該ヘルメットの内面に装着し、それにより、前記連続体を、前記展開状態においても前記格納状態においても、当該ヘルメットの内部に保持するものを含む(12)項に記載のテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0042】
(17) 着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットであって、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが展開状態と格納状態とに変化するものであって、
着用者の頭部に装着されるために概して半球状を成すテレスコピック伸縮式のシェルであって、前記高さ方向に相対変位可能である複数のセグメントによって構成されるものと、
前記複数のセグメントを互いに連結する第1連結機構であって、当該ヘルメットの完全展開状態においては、前記複数のセグメントのうち互いに隣接するものが前記高さ方向に互いに離間することを阻止し、当該ヘルメットの完全格納状態および中途格納状態においては、前記互いに隣接するセグメントが前記高さ方向に互いに接近・離間することを許可するものと、
当該ヘルメットの内面に沿って前記複数のセグメントのうちの最上段セグメントから最下段セグメントまで連続的に延びる連続体により、前記複数のセグメントを互いに連結する第2連結機構であって、当該ヘルメットの完全展開状態においては、前記複数のセグメントのうち少なくとも最上段セグメントと最下段セグメントとの間の前記高さ方向における少なくとも接近を阻止し、当該ヘルメットの中途格納状態においては、前記複数のセグメントのうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における接近・離間を許可し、当該ヘルメットの完全格納状態においては、前記複数のセグメントのうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における少なくとも離間を阻止するものと
を含むテレスコピック伸縮式ヘルメット。
【0043】
(18) 着用者の頭部に装着される伸縮式ヘルメットであって、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが展開状態と格納状態とに変化するものであって、
着用者の頭部に装着されるために概して半球状を成すシェルであって、前記高さ方向に伸縮可能であるものと、
当該ヘルメットの内部に装着される弾性伸縮式の内装体であって着用者の頭部に直に接触して、前記展開状態にある当該ヘルメットが着用者の頭部によってホールドされることを促進するものと
を含み、
その内装体は、当該ヘルメットが、前記展開状態にあるか前記格納状態にあるかを問わず、着用者の頭部に装着されていない状態においては、自身の弾性によって収縮してフラットな格納状態にあるが、当該ヘルメットが、前記展開状態において、着用者の頭部に装着されると、前記内装体は、その着用者の頭部によって押し込まれて引っ張られることにより、その着用者の頭部の形状に倣うように凹んだ展開状態に移行する伸縮式ヘルメット。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、本発明の例示的な第1実施形態に従うヘルメットの外観を最大伸張状態である使用状態で示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すヘルメットを最大収縮状態である収納状態で示す斜視図である。
図3図3は、図1に示すヘルメットの外観を最大伸張状態である使用状態で示す正面図である。
図4図4は、図1に示すヘルメットの外観を最大伸張状態である使用状態で示す側面図である。
図5図5は、図1に示すヘルメットを最大伸張状態である使用状態で示す正面断面図である。
図6図6は、図1に示すヘルメットを最大収縮状態である収納状態で示す正面断面図である。
図7図7は、図1に示すヘルメットの内部構造を最大伸張状態である使用状態で示す背面図である。
図8図8は、図1に示すヘルメットの内部構造を最大伸張状態である使用状態で示す斜視図である。
図9図9は、図1に示すヘルメットにおける複数の可動部材を互いに連結する連結部の一例を示す斜視図である。
図10図10は、図1に示すヘルメットにおける複数の可動部材を互いにロックするロックの一例を示す斜視図である。
図11図11は、本発明の例示的な第2実施形態に従うヘルメットにおいて4つの可動部材間の連結および解除を選択的に行うための連結機構の外観を示す斜視図である。
図12図12は、図11に示す連結機構を示す縦断面図である。
図13図13は、図11に示す連結機構のうち、図11に示すヘルメットの3段目の可動部材と4段目の可動部材との間の連結および解除を選択的に行うための下側連結部を示す複数の斜視図および断面図である。
図14図14は、図11に示す連結機構のうち、図11に示すヘルメットの1段目の可動部材と2段目の可動部材と3段目の可動部材との間の連結および解除を選択的に行うための上側連結部を示す複数の斜視図および複数の縦断面図である。
図15図15(a)は、本発明の例示的な第3実施形態に従うヘルメットのうちの4つのセグメントを、完全展開状態において、それらセグメント間の連結および解除を選択的に行うための連結機構と共に示す断面図であり、図15(b)は、その連結機構を、前記完全展開状態において、前記4つのセグメントのうち、前記連結機構の周辺に位置する部分と共に示す正面図であり、図15(c)は、当該ヘルメットのうちの4つのセグメントを、完全格納状態において、それらセグメント間の連結および解除を選択的に行うための連結機構と共に示す断面図である。
図16図16は、図15に示す連結機構の一部を、前記完全展開状態において、前記4つのセグメントのうち、前記連結機構の周辺に位置する部分と共に示す斜視図である。
図17図17(a)は、本発明の例示的な第4実施形態に従うヘルメットのうちの4つのセグメントを、中途格納状態において、それらセグメント間の連結および解除を選択的に行うための連結機構と共に示す断面図であり、図17(b)は、当該ヘルメットのうちの4つのセグメントを、完全格納状態において、前記連結機構と共に示す断面図であり、図17(c)は、前記連結機構のうちの複数の装着具のうちの一つを代表的に示す斜視図である。
図18図18(a)は、本発明の例示的な第5実施形態に従うヘルメットを、それの完全格納状態において、かつ、フラットな最大収縮状態にある内装体と共に示す底面斜視図であり、図18(b)は、そのヘルメットを、それの完全展開状態において、かつ、凹んだ最大伸張状態にある前記内装体と共に示す側面断面図である。
図19図19(a)は、本発明の例示的な第6実施形態に従うヘルメットのうちの4つのセグメントを、完全展開状態において、それらセグメント間の連結および解除を選択的に行うための連結機構と共に示す断面図であり、図19(b)は、その連結機構を、前記完全展開状態において、前記4つのセグメントのうち、前記連結機構の周辺に位置する部分と共に示す正面図であり、図19(c)は、当該ヘルメットのうちの4つのセグメントを、完全格納状態において、前記連結機構と共に示す断面図である。
図20図20(a)は、本発明の例示的な第7実施形態に従うヘルメットのうちのハンモックを部分的に、当該ヘルメットからシェルを取り除いた状態で、かつ、完全展開状態において、連結機構のうちの長手状部材の上端部、ロック部および操作部と共に示す上方斜視図であり、図20(b)は、前記長手状部材の上端部、ロック部および操作部を取り出して示す斜視図であり、図20(c)は、当該ヘルメットのうちの1段目セグメント、2段目セグメントおよびハンモックを部分的に、完全展開状態において、前記長手状部材の上端部、ロック部および操作部と共に示す断面図である。
図21図21(a)は、本発明の例示的な第8実施形態に従うヘルメットのうちのハンモック、2段目セグメント、3段目セグメントおよび4段目セグメントを部分的に、完全展開状態において、連結機構のうちの長手状部材、ロック部および操作部と共に示す下方斜視図であり、図21(b)は、当該ヘルメットのうちの1段目セグメント、2段目セグメントおよびハンモックを部分的に、完全展開状態において、前記長手状部材の上端部、ロック部および操作部と共に示す断面図である。
図22図22(a)は、本発明の例示的な第9実施形態に従うヘルメットのうちの1段目セグメント、2段目セグメント、3段目セグメントおよび4段目セグメントを部分的に、完全展開状態において、連結機構のうちの操作部と共に示す上方斜視図であり、図22(b)は、前記連結機構のうちの長手状部材の上端部、ロック部および操作部を、当該ヘルメットから1段目セグメントを取り除いた状態で、取り出して示す斜視図であり、図22(c)は、前記操作部を示す断面図であり、図22(d)は、当該ヘルメットのうちの1段目セグメントおよびハンモックを部分的に、完全展開状態において、前記長手状部材の上端部、ロック部および操作部と共に示す断面図である。
図23図23は、本発明の例示的な第10実施形態に従うヘルメットのうちの1段目セグメントおよびハンモックを部分的に、連結機構のうちのガイドベルト、タング、バックルおよびプッシュボタンと共に示す分解斜視図であり、この図は、当該ヘルメットを逆さまにして示す図である。
図24図24は、図23に示す連結機構を拡大して示す分解斜視図である。
図25図25は、図23に示すヘルメットの展開状態において、同図に示す連結機構を拡大して示す部分断面図である。
図26図26は、図23に示すヘルメットの収納状態において、同図に示す連結機構を拡大して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
<第1実施形態>
【0047】
図1および図2には、本発明の例示的な第1実施形態に従うヘルメット10が斜視図で示されている。このヘルメット10は、着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメットである。
【0048】
具体的には、このヘルメット10は、着用者から付与される力により、ヘルメット10の高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、ヘルメット10は、展開状態(伸張状態、着用状態、使用状態)と、格納状態(収縮状態、収納状態、非使用状態)とに変化する。展開状態のうち、ヘルメット10の高さ寸法が最大である状態が、完全展開状態であり、また、高さ寸法が最小である状態が、完全格納状態であり、また、完全展開状態と完全格納状態との間の遷移状態が、中途格納状態(または中途展開状態)である。
【0049】
ヘルメット10の高さ寸法は、伸張状態にあっては、例えば、約100〜約120mmであり、一方、収縮状態にあっては、例えば、約35〜約45mmである。
【0050】
図1には、ヘルメット10が伸張状態、すなわち、着用者によって着用可能な状態で示される一方、図2には、ヘルメット10が収縮状態、すなわち、着用者によって収納可能な状態で示されている。
【0051】
このヘルメット10は、概して半球状を成すシェル(または帽体もしくはヘルメット本体)14を備えている。シェル14の材料は、剛質性を有する材料であり、例えば、ABS,PE,PPなどの合成樹脂である。
【0052】
図3には、ヘルメット10が伸張状態である使用状態で正面図で示され、一方、図4には、ヘルメット10が伸張状態である使用状態で側面図で示されている。
【0053】
図3および図4に示すように、シェル14は、形状的に相互に補完する複数の可動部材(セグメント)20,22,24および26であって前記高さ方向に相対変位可能であるものを備えている。本実施形態においては、可動部材20,22,24および26の数が4つであるが、2つとしたり、3つとしたり、5以上の数とすることが可能である。
【0054】
図5には、ヘルメット10が伸張状態である使用状態で正面断面図で示され、一方、図6には、ヘルメット10が収縮状態である収納状態で正面断面図で示されている。
【0055】
4つの可動部材20,22,24および26は、入れ子構造を成していて、テレスコピック動作を行うことが可能である。さらに、それら可動部材20,22,24および26は、相互に分離しないように相互に連結される。その連結のための構造については、後に詳述する。
【0056】
本実施形態においては、4つの可動部材20,22,24および26が高さ方向に沿った直線運動によって相対変位させられるが、これに代えて、例えば、高さ方向に延びる直線周りの螺旋運動によって相対変位させられるようにしてもよい。
【0057】
人間工学的に見ると、着用者としては、4つの可動部材20,22,24および26を伸縮させるために、それら可動部材20,22,24および26を相互に直線運動させる場合より、相互に螺旋運動させる場合のほうが、操作し易いとも考えられる。ただし、可動部材20,22,24,26を相互に螺旋運動させる場合には、その螺旋運動が、直線運動と回転運動との複合運動であり、設計上、そのうちの回転運動の向きが時計回りと反時計回りとのうちのいずれかであるように一義的に要求されるため、着用者は、その要求された向きに可動部材20,22,24および26を相互に螺旋運動させなければならないという追加の制約が課される。
【0058】
4つの可動部材20,22,24および26は、ヘルメット10を真上から見ると、中央可動部材(最上段セグメント)20と、2つの中間可動部材(2つの中間セグメント)22および24と、外側可動部材(最下段セグメント)26とを有する。2つの中間可動部材22および24は、中央可動部材20と外側可動部材26との間に介在する。外側可動部材26は、それの前側部において、ヘルメット10にとってのつば28を有する。ヘルメット10を真横から見ることにより、中央可動部材20は1段目の可動部材、中間可動部材22は2段目の可動部材、中間可動部材24は3段目の可動部材、外側可動部材26は4段目の可動部材とそれぞれ称することも可能である。
【0059】
本実施形態においては、外側可動部材26が、概して円環状を成す1つの部材として構成されているが、これに代えて、例えば、各々、前後方向に延びつつ、左右方向に隔たる一対の直線部材としたり、各々、左右方向に延びつつ、前後方向に隔たる一対の直線部材とすることが可能である。
【0060】
それら可動部材20,22,24および26のおかげで、シェル14は、着用者から付与された力に起因する4つの可動部材20,22,24および26間の相対変位により、高さ方向に伸縮可能である。そして、前記収縮状態においては、4つの可動部材20,22,24および26が相互に最も接近して前記高さ寸法が最小化する一方、前記伸張状態においては、4つの可動部材20,22,24および26が相互に最も離間して前記高さ寸法が最大化する。
【0061】
図6に示すように、2つの中間可動部材22および24および外側可動部材26のそれぞれにつき、垂直面で仮想的に切断することによって取得される断面は、概して前記高さ方向に延びる垂直部30と、その垂直部30の上端において概して水平に延びる水平部32とを備えている。
【0062】
4つの可動部材20,22,24および26のそれぞれの高さ寸法は、図6に示す一例のように、外側可動部材26の高さ寸法を最大寸法としたうえで、他の可動部材20,22および24のそれぞれの寸法がその最大寸法を超えないように設定したり、また、4つの可動部材20,22,24および26が互いにほぼ一致するように設定することが可能である。
【0063】
2つの中間可動部材22および24および外側可動部材26のそれぞれにつき、水平部32は、概して水平方向に延びる肩面34を有する。その肩面34は、着用者が指の先端部で接触することが可能な領域を有する。
【0064】
そのような接触可能領域が存在するおかげで、着用者は、収縮状態にあるヘルメット10を、中央可動部材20の内面が着用者の頭部の最上面に正対するように、頭部に載せ、続いて、両手で外側可動部材26のうちの左右両側部をそれぞれ掴み、そのとき、それぞれの手の中指(または人差し指や薬指)で水平部32の肩面34に接触することが可能となる。
【0065】
その姿勢のまま、着用者は、中央可動部材20を着用者の頭部上に置き去りにして、他の可動部材22,24および26、すなわち、2つの中間可動部材22および24および外側可動部材26を押し下げる。その結果、それら4つの可動部材20,22,24および26が収縮状態から、テレスコピック動作を行い、やがて、伸張状態に移行する。
【0066】
図7には、ヘルメット10が伸張状態である使用状態で背面図で示され、また、図8には、ヘルメット10が伸張状態である使用状態で斜視図で示されている。
【0067】
このヘルメット10は、さらに、4つの可動部材20,22,24および26のうちの2つの隣接可動部材間に設けられた複数の連結部40,42および44を備えている。連結部40は、図5および図6に示すように、中央可動部材(1段目)20と上側の中間可動部材(2段目)22とにまたがって配置され、また、連結部42は、図7ないし図9に示すように、上側の中間可動部材(2段目)22と下側の中間可動部材(3段目)24とにまたがって配置され、また、連結部44は、図7および図8に示すように、下側の中間可動部材(3段目)24と最も下側の外側可動部材(4段目)26とにまたがって配置されている。
【0068】
本実施形態においては、4つの可動部材20,22,24および26間の各連結インタフェースごとの連結部40,42および44の数が4つであるが、2つとしたり、3つとしたり、5以上の数としたり、偶数としたり、奇数とすることが可能である。
【0069】
具体的には、連結部40は、図5および図6に示すように、中央可動部材(1段目)20の下端部に設けられた当たり部40aと、上側の中間可動部材(2段目)22の水平部32の内縁部に設けられた受け部40bとが、前記高さ方向に相対変位可能に連結されることによって構成されている。この連結部40においては、中央可動部材(1段目)20と、上側の中間可動部材(2段目)22とが相互に前記高さ方向に離間する限度が、当たり部40aの上向き面が受け部40bの下向き面に当接することによって規定される。
【0070】
連結部42を代表的に示す図9に示すように、各連結部42,44は、前記2つの隣接可動部材にそれぞれ配置された雄部および雌部が相互にスライド可能に嵌合されて成るスライド嵌合部50と、前記収縮状態を実現するために、前記2つの隣接可動部材が相互に接近する限度を規定する接近限度ストッパ52と、前記伸張状態を実現するために、前記2つの隣接可動部材が相互に離間する限度を規定する離間限度ストッパ54とを備えている。図9に示す一例においては、スライド嵌合部50が、雄部としてのスライドバー56と、雌部としてのガイド58とを備えている。
【0071】
連結部42については、前記2つの隣接可動部材のうち下側のもの、すなわち、下側の中間可動部材(3段目)24に、接近限度ストッパ52と、離間限度ストッパ54と、スライドバー56とが装着され、前記2つの隣接可動部材のうち上側のもの、すなわち、上側の中間可動部材(2段目)22に、ガイド58が装着されている。
【0072】
図7に示すように、各可動部材20,22,24,26は、ヘルメット10が着用者の頭部に装着される装着状態において、その着用者頭部の前側部および後側部にそれぞれ正対する前側曲線部70および後側曲線部72と、前記装着状態において、着用者頭部の両側部にそれぞれ正対する右側直線部74および左側直線部76であって前側曲線部70および後側曲線部72より高い直線性(長い曲率半径、低い曲がり度)を有するものとを備えている。
【0073】
中央可動部材20および中間可動部材22についての4つの連結部40、2つの中間可動部材22および24についての4つの連結部42および中間可動部材24および外側可動部材26についての4つの連結部44は、対応する可動部材20,22,24,26における左側直線部74および右側直線部76にそれぞれ、同数ずつ、かつ、ヘルメット10の中心を通過する前後垂直平面に関して互いに線対称となるように配置される。着用者は、ヘルメット10を収縮状態から伸張状態に変化させることが必要である場合に、両手で外側可動部材26の水平部32の肩面34のうちの左側直線部74および右側直線部76にそれぞれ接触して外側可動部材26を押し下げることが必要である。
【0074】
このとき、左側直線部74および右側直線部76は、着用者からヘルメット10への力の作用点が2つ存在するが、それら2つの作用点に4つの連結部40、4つの連結部42および4つの連結部44が近接して配置されていることになる。よって、連結部40,42,44が、こじりなどの問題が発生し易いスライド運動を基本とする構造を有するにもかかわらず、着用者からの力が連結部40,42,44に、有害な弾性変形を伴うことなく確実に伝達されるため、連結部40,42,44のこじりなどの問題が発生せずに済む。その結果、着用者は、ヘルメット10をテレスコピック動作によってスムーズに伸展させることが容易となる。
【0075】
図7および図8に示すように、このヘルメット10は、さらに、前記2つの隣接可動部材間に配置された少なくとも1つのロック80,82および84を有する。本実施形態においては、4つの可動部材20,22,24および26間の各連結インタフェースごとのロック80,82,84の数が4つであるが、2つとしたり、3つとしたり、5以上の数とすることが可能である。中央可動部材20および中間可動部材22についての4つのロック80は、それぞれ、等角度間隔で円周に沿って並んでいる。この配列は、2つの中間可動部材22および24についての4つのロック82および中間可動部材24および外側可動部材26についての4つのロック84についても該当する。
【0076】
ロック80は、中央可動部材(1段目)20と上側の中間可動部材(2段目)22とにまたがって配置され、また、ロック82は、上側の中間可動部材(2段目)22と下側の中間可動部材(3段目)24とにまたがって配置され、また、ロック84は、下側の中間可動部材(3段目)24と最も下側の外側可動部材(4段目)26とにまたがって配置されている。
【0077】
各ロック80,82,84は、前記2つの隣接可動部材が前記収縮状態から前記伸張状態に移行しようとすると、アンロック状態からロック状態に移行する。
【0078】
具体的には、各ロック80,82,84は、前記アンロック状態においては、前記2つの隣接可動部材が相互に変位することを許可する一方、前記ロック状態においては、前記2つの隣接可動部材が着用者の意図に反して前記伸張状態から前記収縮状態に逆戻りしないように、前記2つの隣接可動部材を、着用者から設定値以上の力が付加されない限り、前記伸張状態に保持する。
【0079】
図10には、各ロック80,82,84の構造が、ロック84を例にとり、概略的に斜視図で示されている。ロック84は、上向き面90を有する係合突起92と、その係合突起92の直線変位をガイドするガイド94と、係合突起92の上向き面90が着座する下向き面96を有する受け部98とを備えている。
【0080】
ロック84については、前記2つの隣接可動部材のうち上側のもの、すなわち、下側の中間可動部材(3段目)24に、ガイド94と受け部98とが装着され、前記2つの隣接可動部材のうち下側のもの、すなわち、外側可動部材(4段目)26に係合突起92が装着されている。
【0081】
ヘルメット10が収縮状態から伸張状態に移行するにつれて、ガイド94および受け部98は、係合突起92に対し、上方に変位する。受け部98は、係合突起92が下方から接近して接触すると弾性変形し(撓み)、やがて係合突起92を乗り越える。受け部98が係合突起92を乗り越えると、係合突起92の上向き面90が受け部98の下向き面96に着座し、その結果、受け部98は、係合突起92に対して下方に変位することが阻止される。このロック84と離間限度ストッパ54との共同作用により、中間可動部材24と外側可動部材26とが相互にロックされる。
【0082】
同じ可動部材についての4つのロック80、別の可動部材についての4つのロック82およびさらに別の可動部材についての4つのロック84は、前記2つの隣接可動部材が前記収縮状態から前記伸張状態に移行しようとすると、それぞれ互いに実質的に同じタイミングで前記アンロック状態から前記ロック状態に移行するように設計されている。
【0083】
これに代えて、中央可動部材20および中間可動部材22についての4つのロック80、2つの中間可動部材22および24についての4つのロック82および中間可動部材24および外側可動部材26についての4つのロック84は、前記2つの隣接可動部材が前記収縮状態から前記伸張状態に移行しようとすると、4つのロックのうちの一部が、残りのロックとは異なるタイミングで、前記アンロック状態から前記ロック状態に移行するように設計変更することが可能である。
【0084】
一例においては、4つのロックが同一平面上に配置されるのではなく、それらのうちの2つのロックが配置される平面から垂直方向にずれた別の平面上に残りの2つのロックが配置される。このようにすれば、4つのロック80、4つのロック82および4つのロック84をそれぞれを作動させるために着用者がヘルメット10に付加することが必要な力の大きさが一時的に大きく増加せずに済む。
【0085】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、各ロック80,82,84が本発明における「連結機構」の一例を構成しており、それにより、ヘルメット10が、展開状態において、外力に抗して前記複数の可動部材間の相対位置がみだりに変化せずに済み、それにより、可動部材間の連結がより強固なものとなり、その結果、ヘルメット10の全体剛性が向上する。
【0086】
前記収縮状態にあるヘルメット10を真上から見た場合に、ヘルメット10の輪郭線は、長方形または正方形を有することが可能である。本実施形態においては、ヘルメット10の輪郭線が、所定の規格に従うサイズ(例えば、A4サイズ)を有する紙の輪郭線を超えないように設計される。
【0087】
このように、このヘルメット10は、ノートサイズで、かつ、厚さが約40mmを超えないというように薄型形状にコンパクトに小型化することが可能である。よって、このヘルメット10は、従来のヘルメットのサイズでは収納できないほどに狭いスペース(例えば、書類棚、机の引出しなど)にも収納することが可能となるとともに、着用者が、携帯したり鞄に入れるなどして、常時ないしは必要に応じて持ち運ぶことが容易となる。また、このヘルメット10であれば、壁にかけて保管することも可能となる。
【0088】
側面断面図である図6および底面図である図7に示すように、このヘルメット10は、さらに、シェル14の中央部の内側に配置された発泡体100と、シェル14の内面に配置され、そのシェル14を着用者の頭部に対して固定する内装具とを有する。その内装具は、ユーザの頭部を上方から支持するハンモック102と、ユーザの頭部を側方から支持するヘッドバンド(図示しない)と、着用者の顎を下方から支持する顎紐(図示しない)とを有する。
【0089】
発泡体100およびハンモック102はいずれも、落下物が着用者の頭部に衝突する際の衝撃力を緩和する機能を有する。本実施形態においては、図6に示すように、発泡体100およびハンモック102のいずれも、中央可動部材20の内面に装着されている。
【0090】
ハンモック102は、このヘルメット10の着用状態においては、着用者の頭部のうちの最上部に上方から接触し、その最上部が発泡体100から離間する方向に、ユーザの頭部を上方から支持するハンモックである。そのハンモックは、例えば、合成樹脂によって一体的に成形された部品とすることが可能であるが、これに代えて、複数本のストラップなどの紐状体より成るネットとすることも可能である。
【0091】
<第2実施形態>
【0092】
次に、図11ないし図14を参照することにより、本発明の例示的な第2実施形態に従うヘルメット200を説明する。ただし、このヘルメット200は、前述の第1実施形態に従うヘルメット10と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0093】
図11に示すように、ヘルメット200のシェル14が、図5および図6に示す前述の第1実施形態に従うヘルメット10と同様に、前記高さ方向に相対変位が可能な4つの可動部材20,22,24および26を備えている。それにより、このヘルメット200も、ヘルメット10と同様に、着用者(ヘルメット200を現に着用している状態にあるか、これから着用しようとしているの状態にあるか、または、将来における潜在的な着用に備えて保管する状態にあるかを問わず、ユーザ本人またはその関係者(例えば、保護者、支援者、介護者など)を含む)により、前記高さ方向すなわち上下方向にテレスコピック的に選択的に伸縮させられることにより、非使用状態すなわち収縮状態(収納状態)と使用状態すなわち伸張状態(展開状態)とに変化させられる。
【0094】
以下、説明の便宜上、シェル14を構成する4つの可動部材20,22,24および26を、着用状態にあるヘルメット200のシェル14を真横から観察することにより、1段目のシェル・セグメント20、2段目のシェル・セグメント22、3段目のシェル・セグメント24および4段目のシェル・セグメント26とそれぞれ称する。
【0095】
図11には、それら4つのシェル・セグメント20,22,24および26間の連結および解除を着用者が選択的に行うための連結機構210の外観が斜視図で示され、図12には、その連結機構210が縦断面図で示されている。
【0096】
図11および図12に示すように、具体的には、連結機構210は、1段目のシェル・セグメント20と、2段目のシェル・セグメント22と、3段目のシェル・セグメント24という3つのシェル・セグメント間の連結および解除を選択的に行うための上側連結部212と、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26という2つのシェル・セグメント間の連結および解除を選択的に行うための下側連結部214とを有する。
【0097】
上側連結部212は、主に、2段目のシェル・セグメント22に設置される一方、下側連結部214は、主に、3段目のシェル・セグメント24に設置される。それら上側連結部212および下側連結部214はいずれも、合成樹脂製である。
【0098】
本実施形態においては、上側連結部212および下側連結部214のそれぞれが、ヘルメット200のうち、着用状態において着用者の頭部の左側に当たる位置(例えば、着用者の左耳の近傍位置)と頭部の右側に当たる位置(例えば、着用者の右耳の近傍位置)という2つの位置にそれぞれ、左側連結部および右側連結部として設置されている。着用者は、上側連結部212および下側連結部214のそれぞれにつき、それら左側連結部および右側連結部を両手でそれぞれ同時に操作することにより、関連する複数のシェル・セグメントを伸張状態と収縮状態とに変化させることが可能となる。
【0099】
図13には、下側連結部214が斜視図と断面図で示されている。
【0100】
下側連結部214は、本体部220と、3段目のシェル・セグメント24に局部的に形成された支持部222とをそれぞれ別部品として有し、本体部220が支持部222に装着されることにより、下側連結部214が構成される。
【0101】
本体部220は、可動部としての前板部230と、固定部としての後板部232と、前板部230をそれの一端部において後板部232に片持ち状にかつ弾性変形可能に連結する弾性ヒンジ部234とを、一体構造または分割構造で有する。本体部220のうち少なくとも弾性ヒンジ部234は、例えば、3段目のシェル・セグメント24より弾性変形し易い形状としたり(例えば、シェル・セグメント24より板厚を薄くする)、3段目のシェル・セグメント24より弾性変形し易い材料で構成することが望ましい。
【0102】
前板部230は、上側端部と下側端部とを有し、上側端部において弾性ヒンジ部234に固定される。その結果、前板部230は、その弾性ヒンジ部234を支点として片持ち状に撓むことが可能である。前板部230の上側端部は、弾性ヒンジ部234に最も近い基端部であり、一方、下側端部は、弾性ヒンジ部234から最も離れた自由端部である。
【0103】
支持部222は、3段目のシェル・セグメント24に対して固定されたベース部240と、そのベース部240によって規定される凹部242とを有し、本体部220が凹部242内に、その凹部242をほぼ完全に補完するように挿入される。その結果、図11に示すように、本体部220の表面は、3段目のシェル・セグメント24のうち、その本体部220に隣接する部分の表面と同じ断面形状を有する。
【0104】
この際、図12に示すように、本体部220のうちの後板部232が、支持部222のうちのベース部240に対して固定され、その結果、前板部230が、ベース部240に対して(すなわち、3段目のシェル・セグメント24に対して)、図12に矢印Aで示す向き(解除方向)に相対的に撓むことが可能となる。
【0105】
図12に示すように、本体部220が支持部222に装着された状態においては、前板部230の上側端部が2段目のシェル・セグメント22に装着された上側連結部212の下部に隣接し、一方、前板部230の下側端部は、4段目のシェル・セグメント24の上部に隣接している。
【0106】
図12図13および図14(d)ないし図14(f)に示すように、後板部232の上側端部(弾性ヒンジ部234に固定された部分)の背面に上側係合凹部244が形成されている。この上側係合凹部244に上側連結部212の下側係合凸部246がロック状態で係合し、それにより、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24とが互いに連結される。上側係合凹部244と下側係合凸部246との係合により、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24とが前記高さ方向に相対的に変位することが阻止される。よって、上側係合凹部244と下側係合凸部246との組合せが、本発明における「連結機構」の一例を構成している。
【0107】
さらに、図12および図13に示すように、前板部230の下側端部の表面に下側係合凸部250が形成されている。この下側係合凸部250は、矢印Aで示す解除方向とは逆向きに突出している。この下側係合凸部250は、4段目のシェル・セグメント26の上部の背面に形成された上側係合凹部252にロック状態で係合し、それにより、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26とが互いに連結される。下側係合凸部250と上側係合凹部252との係合により、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26とが前記高さ方向に相対的に変位することが阻止される。よって、下側係合凸部250と上側係合凹部252との組合せが、本発明における「連結機構」の一例を構成している。
【0108】
前板部230のこのような連結状態は、前板部230が、外力を受けない自然状態にあるときに成立する状態であり、その自然状態において、後板部232の上側係合凹部244に上側連結部212の下側係合凸部246がロック状態で係合するとともに、前板部230の下側係合凸部250が4段目のシェル・セグメント26の上側係合凹部252に係合するように、関連する部材の寸法関係が予め設定されている。
【0109】
この連結状態から、着用者が前板部230の下側端部(前記自由端部)を押して撓ませると、下側係合凸部250が矢印Aで示す解除方向に変位して、4段目のシェル・セグメント26の上側係合凹部252から離脱し、それにより、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26との間の連結が解除される。
【0110】
この解除状態においては、それら互いに隣接した2つのシェル・セグメント24および26は、着用者によって収縮方向にテレスコピック運動を行わせられ、それにより、伸張状態から収縮状態に移行させられることが可能である。さらに、それら互いに隣接した2つのシェル・セグメント24および26は、着用者によって伸張方向にテレスコピック運動を行わせられ、それにより、収縮状態から伸張状態に移行させられることも可能である。
【0111】
この解除状態から、着用者が前板部230の下側端部(前記自由端部)を押す力を弱めると、弾性ヒンジ部234自身の弾性により、前板部230が復元し(後板部232からの撓み量が減少する向き、すなわち、矢印Aで示す向きとは逆向きに変位し)、下側係合凸部250が4段目のシェル・セグメント26の上側係合凹部252に再びロック状態で係合し、それにより、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26との間の連結が再度行われる。
【0112】
図12および図13に示すように、下側連結部214は、着用者の誤操作を防止するための安全装置260を有する。具体的には、その安全装置260は、図13に示すように、水平方向にスライド操作可能なボタン262であってロック位置とアンロック位置とに選択的にスライド操作されるものを有する。
【0113】
そのボタン262は、前板部230の表面に装着される。そのボタン262の一例は、それの表面に突起を有しており、着用者の1本の指で引っかけたり、2本の指でつまんだりする操作が容易となっている。このボタン262は、前板部230の下側端部またはそれの近傍位置の表面に装着される。
【0114】
その結果、着用者は、このボタン262をアンロック位置にスライドさせた状態でこのボタン262を押して前板部230を撓ませることが可能である。よって、ボタン262のスライドという運動と前板部230の撓みという運動とを、着用者の指の接触位置を変えずに連続的に行うことが可能となる。その結果、安全装置260を追加されたことに起因する連結機構210の操作性の悪化が抑制される。
【0115】
図13に示すように、安全装置260は、さらに、ボタン262と一体的に運動する雄部264と、その雄部264を水平方向にスライド可能にガイドするスロット266と、雄部264を常にロック位置に向かって弾性的に付勢する付勢部268とを有する。
【0116】
付勢部268は、例えば、ボタン262と本体部220との間に固定された弾性部材(例えば、本体部220から一体的に延びる合成樹脂製の板ばねや、本体部220から独立した合成樹脂製または金属製の板ばねなど)である。
【0117】
この安全装置260は、さらに、ボタン262のロック位置においてはボタン262の雄部264に対向しないが、アンロック位置においてはボタン262の雄部264に対向してその雄部264が進入することを許可してその雄部264が前進することを許可する雌部270を有する。その結果、ボタン262は、ロック位置においては、後述のように前進が阻止され、前板部230が後板部232に対して撓むことも阻止され、一方、アンロック位置においては、雌部270内への進入によって前進が許可され、前板部230が後板部232に対して撓むことも許可される。
【0118】
雌部270は、図13(b)に示す例のように、3段目のシェル・セグメント24のうちのベース部240に形成してもよいが、前板部230に対して相対的に静止している部材である点で共通する後板部232に形成してもよい。雌部270がベース部240に形成される場合には、雄部264は、ロック位置においてベース部240の表面に当接することにより、前進を阻止され、一方、雌部270が後板部232に形成される場合には、雄部264は、ロック位置において後板部232の表面に当接することにより、前進を阻止される。
【0119】
ボタン262は、常には、図13(a)に示すように、ロック位置にある。この状態においては、雄部264の前進がベース部240によって阻止されるため、たとえ着用者がボタン262をロック位置において前板部230と一緒に押しても、前板部230が撓むことができず、よって、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26との間の連結が解除されずに維持される。
【0120】
したがって、ボタン262がロック位置に位置する限り、着用者が誤って前板部230を押しても、前板部230が撓むことができず、よって、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26との間の連結が解除されずに済む。
【0121】
その後、着用者により、ボタン262がロック位置からアンロック位置にスライドさせられると、雄部264がスライドして雌部270に接近し、やがて雌部270に進入し、それにより、雄部264の前進が許可される。その結果、着用者がボタン262をアンロック位置において前板部230と一緒に押そうとすると、前板部230が撓むことができ、よって、下側係合凸部250が4段目のシェル・セグメント26の上側係合凹部252から離脱する。その結果、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26との間の連結が解除される。
【0122】
図13(c)に示すように、後板部232は、それの背面において、上下方向に互いに平行に延びる2本のレール280および280を有し、それらレール280および280は、図11に示すように、上側連結部212の表面において上下方向に互いに平行に延びる2本のスロット282および282にスライド可能に嵌合する。これにより、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24とが上下方向に相対移動可能にガイドされる。
【0123】
図11に示すように、下側連結部214の表面に、上下方向に互いに平行に延びる2本のスロット290および290が形成されており、さらに、それらスロット290および290にスライド可能に嵌合する2本のレール292および292が、4段目のシェル・セグメント26の背面に形成されている。これにより、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26とが上下方向に相対移動可能にガイドされる。
【0124】
図12および図14には、上側連結部212が斜視図と断面図で示されている。
【0125】
上側連結部212は、下側連結部214と同様に、本体部300と、2段目のシェル・セグメント22に局部的に形成された支持部302とをそれぞれ別部品として有し、本体部300が支持部302に装着されることにより、上側連結部212が構成される。
【0126】
図12および図14に示すように、支持部302は、下側連結部214の支持部222と同様に、2段目のシェル・セグメント22に対して固定されたベース部310と、そのベース部310によって規定される凹部(図示しない)とを有し、本体部300が前記凹部内に、その凹部をほぼ完全に補完するように挿入される。その結果、図11に示すように、本体部300の表面は、2段目のシェル・セグメント22のうち、その本体部300に隣接する部分の表面と同じ断面形状を有する。
【0127】
図14に示すように、本体部300は、可動部としてのセンタ部分330と、そのセンタ部分330を左右両側から挟む、各々、固定部としての2つのサイド部分332および332とを有する。それらサイド部分332および332はいずれも、ベース部310に対して固定され、ひいては、2段目のシェル・セグメント22に対して固定される。
【0128】
本体部300は、さらに、図12および図14(c)および図14(f)に示すように、センタ部分330を水平軸線周りに回動可能に支持するサポート部340を有する。
【0129】
そのサポート部340の一例は、図12に示すように、センタ部分330の高さ方向におけるほぼ中央部からベース部310に向かって延びる突起342である。その突起342とベース部310との接触点を支点にして、センタ部分330は、水平軸線周りに回動することが可能である。
【0130】
そのサポート部340の別の例は、センタ部分330と2つのサイド部分332および332とにまたがって水平軸線方向に延びるシャフトであってセンタ部分330と2つのサイド部分332および332とを相対回転可能に連結するものである。
【0131】
その結果、センタ部分330は、ベース部310に対して水平軸線周りに回動可能であり、さらに、1段目および3段目のシェル・セグメント20および24に対して水平軸線周りに回動可能である。
【0132】
センタ部分330は、前記水平軸線を隔てて互いに対向する一対の端部すなわち上側端部および下側端部を有しており、それら端部はいずれも、自由端部である。それら端部は、センタ部分330が前記水平軸線周りに一方向に回転すると、互いに逆向きに変位する。
【0133】
図12および図14に示すように、本体部300が支持部302に装着された状態においては、センタ部分330の上側端部が、1段目のシェル・セグメント20の下部に隣接し、一方、センタ部分330の下側端部は、3段目のシェル・セグメント24に装着された下側連結部214の上部に隣接している。
【0134】
センタ部分330の上側端部の背面に上側係合凹部350が形成されている。この上側係合凹部350に1段目のシェル・セグメント20の下側係合凸部352がロック状態で係合し、それにより、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22とが互いに連結される。下側係合凸部352は、図12において矢印Cで示す向きと同じ向きに突出している。上側係合凹部350と下側係合凸部352との係合により、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22とが前記高さ方向に相対的に変位することが阻止される。よって、上側係合凹部350と下側係合凸部352との組合せが、本発明における「連結機構」の一例を構成している。
【0135】
さらに、センタ部分330の下側端部の表面に前記下側係合凸部246が形成されている。この下側係合凸部246は、下側連結部214の上側係合凹部244にロック状態で係合し、それにより、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24とが互いに連結される。下側係合凸部246は、図12において矢印Bで示す向きとは逆向きに突出している。
【0136】
上側連結部212は、さらに、図示しないが、センタ部分330を、この連結状態が成立する向きに常に付勢する付勢部を有する。その付勢部は、例えば、センタ部分330とサイド部分322またはベース部310との間に両端を固定された弾性部材(例えば、前記水平軸線と同軸的に延びるシャフトに巻き付けられるコイルスプリングや、板ばねなど)である。
【0137】
この連結状態は、着用者から外力を受けない初期状態にあるときに成立する状態であり、その初期状態において、上側係合凹部350に1段目のシェル・セグメント20の下側係合凸部352がロック状態で係合するとともに、下側係合凸部246が、3段目のシェル・セグメント24に装着された下側連結部214の上側係合凹部244にロック状態で係合するように、関連する部材の寸法関係が予め設定されている。
【0138】
この連結状態から、着用者がセンタ部分330を、図14(f)に示すように、下側端部が3段目のシェル・セグメント24から内向き(図において矢印Bで示す向き)に変位する一方で、上側端部が1段目のシェル・セグメント20から外向き(図において矢印Cで示す向き)に変位するように、一方向に回転させると、上側係合凹部350が1段目のシェル・セグメント20の下側係合凸部352から離脱することと、下側係合凸部246が、3段目のシェル・セグメント24に装着された下側連結部214の上側係合凹部244から離脱することとが、実質的に同時に行われる。
【0139】
それにより、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22との間の連結と、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24との間の連結とが実質的に同時に解除される。この解除状態においては、それら互いに隣接した3つのシェル・セグメント20,22および24は、着用者によって収縮方向にテレスコピック運動を行わせられ、それにより、伸張状態から収縮状態に移行させられることが可能である。さらに、それら互いに隣接した3つのシェル・セグメント20,22および24は、着用者によって伸張方向にテレスコピック運動を行わせられ、それにより、収縮状態から伸張状態に移行させられることも可能である。
【0140】
この解除状態から、着用者がセンタ部分330を、図14(f)に示す向きとは逆向きに回転させる(前記付勢部が存在することから、着用者がセンタ部分330に加える力を軽減すれば、前記付勢部の弾性力により、センタ部分330が自動的に復元しようとする)と、上側係合凹部350が1段目のシェル・セグメント20の下側係合凸部352にロック状態で係合することと、下側係合凸部246が、3段目のシェル・セグメント24に装着された下側連結部214の上側係合凹部244にロック状態で係合することとが、実質的に同時に行われ、それにより、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22との間の連結と、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24との間の連結とが実質的に同時に行われる。
【0141】
図12に示すように、上側連結部212は、下側連結部214と同様に、着用者の誤操作を防止するための安全装置260を有する。具体的には、その安全装置260は、下側連結部214と同様に、図14に示すように、ボタン262と、そのボタン262と一体的に運動する雄部264と、その雄部264を水平方向にスライド可能にガイドするスロット266と、雄部264を常にロック位置に向かって弾性的に付勢する付勢部(図示しない)とを有する。
【0142】
この安全装置260は、さらに、下側連結部214と同様に、ボタン262のロック位置においてはボタン262の雄部264に対向しないが、アンロック位置においてはボタン262の雄部264に対向してその雄部264が進入することを許可してその雄部264が前進することを許可する雌部270を有する。その結果、ボタン262は、ロック位置においては、前進が阻止され、センタ部分330が回転することも阻止され、一方、アンロック位置においては、前進が許可され、センタ部分330が回転することも許可される。
【0143】
ボタン262は、常には、図16(a)に示すように、ロック位置にある。この状態においては、雄部264の前進がベース部310によって阻止されるため、たとえ着用者がボタン262をロック位置においてセンタ部分330と一緒に押しても、センタ部分330が回転できず、よって、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22との間の連結も、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24との間の連結も解除されずに維持される。
【0144】
したがって、ボタン262がロック位置に位置する限り、着用者が誤ってセンタ部分330を押しても、センタ部分330が回転できず、よって、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22との間の連結も、2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24との間の連結も解除されずに済む。
【0145】
その後、着用者により、ボタン262がロック位置からアンロック位置にスライドさせられると、雄部264がスライドして雌部270に接近し、やがて雌部270に進入し、それにより、雄部264の前進が許可される。その結果、着用者がボタン262をアンロック位置においてセンタ部分330と一緒に押そうとすると、センタ部分330が、解除方向に回転でき、よって、上側係合凹部350が1段目のシェル・セグメント20の下側係合凸部352から離脱すると同時に、下側係合凸部246が、3段目のシェル・セグメント24に装着された下側連結部214の上側係合凹部244から離脱する。その結果、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22と3段目のシェル・セグメント24との間の連結が解除される。
【0146】
図示しないが、上下方向に互いに平行に延びる2本のスロットが1段目のシェル・セグメント20の表面に形成されており、さらに、それらスロットにスライド可能に嵌合する2本のレールが上側連結部212に形成されている。これにより、1段目のシェル・セグメント20と2段目のシェル・セグメント22とが上下方向に相対移動可能にガイドされる。
【0147】
本実施形態においては、シェル・セグメント20,22,24および26の数が4つであって、それら相互間の連結インタフェースの数が3つであるにもかかわらず、上側連結部212および下側連結部214というように、連結部の数が2つで済む。これは、下側連結部214が、3段目のシェル・セグメント24と4段目のシェル・セグメント26という2つのシェル・セグメント間の連結および解除を選択的に行う一方で、上側連結部212が、1段目のシェル・セグメント20と、2段目のシェル・セグメント22と、3段目のシェル・セグメント24という3つのシェル・セグメント間の連結および解除を選択的に行うことが可能であるからである。
【0148】
よって、本実施形態によれば、シェル・セグメント20,22,24および26を互いに連結するための連結機構210の全体構造を単純化するとともに、必要な部品の点数を削減することが容易となる。
【0149】
さらに、本実施形態によれば、上側係合凹部244と下側係合凸部246との組合せが、本発明における「連結機構」の一例を構成することと、下側係合凸部250と上側係合凹部252との組合せが、本発明における「連結機構」の一例を構成することと、上側係合凹部350と下側係合凸部352との組合せが、本発明における「連結機構」の一例を構成することとの共同により、ヘルメット200が、展開状態において、外力に抗して前記複数のセグメント間の相対位置がみだりに変化せずに済み、それにより、セグメント間の連結がより強固なものとなり、その結果、ヘルメット200の全体剛性が向上する。
【0150】
なお、本実施形態においては、互いに隣接するシェル・セグメント同士を高さ方向に相対移動可能に案内するためのレールおよびスロットが連結機構210に位置的に関連付けて設置されているが、例えば、前述の第1実施形態に示すように、連結機構としてのロック80,82および84(図10参照)と同様に、連結機構210から位置的に離れた部位に、その連結機構210の作動の影響を受けない状態で設置することが可能である。
【0151】
<第3実施形態>
【0152】
次に、図15および図16を参照することにより、本発明の例示的な第3実施形態に従うヘルメット400を説明する。ただし、このヘルメット400は、前述の第1実施形態に従うヘルメット10と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0153】
図15に示すように、ヘルメット400のシェル14は、図5および図6に示すヘルメット10のシェル14と同様に、ヘルメット400の高さ方向に相対変位可能である4つのセグメント(可動部材)20,22,24および26であって互いに共同して入れ子構造を成すものを有する。本実施形態においては、セグメント20が1段目セグメント(最上段セグメントの一例)であり、また、セグメント22が2段目セグメント(中間セグメントの一例)であり、また、セグメント24が3段目セグメント(中間セグメントの別の例)であり、また、セグメント26が4段目セグメント(最下段セグメントの一例)である。
【0154】
1段目セグメント20は、図1および図15に示すように、中心部において外向きに凸となり、内向きに凹となる円板形状を成す本体部402を有し、さらに、図15に示すように、その本体部402の外周縁から外向きに延びるフランジ404を有している。また、2段目セグメント22は、図1および図15に示すように、概して円筒状(円錐台状)を成す本体部406を有し、さらに、図15に示すように、その本体部406の上側外周縁から外向きに延びる上側フランジ408と、その本体部406の下側外周縁から外向きに延びる下側フランジ410とを有している。
【0155】
同様に、3段目セグメント24は、図1および図15に示すように、概して円筒状(円錐台状)を成す本体部412を有し、さらに、図15に示すように、その本体部412の上側外周縁から外向きに延びる上側フランジ414と、その本体部412の下側外周縁から外向きに延びる下側フランジ416とを有している。同様に、4段目セグメント26は、図1および図15に示すように、概して円筒状(円錐台状)を成す本体部418を有し、さらに、図15に示すように、その本体部418の上側外周縁から外向きに延びる上側フランジ420と、その本体部418の下側外周縁から外向きに延びる下側フランジ422とを有している。
【0156】
図15(a)に示すように、ヘルメット400の展開状態においては、1段目セグメント20のフランジ404の上面が2段目セグメント22の上側フランジ408の下面に接触し、また、2段目セグメント22の下側フランジ410の上面が3段目セグメント24の上側フランジ414の下面に接触し、また、3段目セグメント24の下側フランジ416の上面が4段目セグメント26の上側フランジ420の下面に接触している。
【0157】
その結果、それら4つのセグメント20,22,24および26が、前記高さ方向において互いに隙間なく隣接する姿勢で展開されることが可能である。その展開状態が、それらセグメント20,22,24および26が相互に高さ方向に離間する限度、すなわち、最大高さ状態を意味する。
【0158】
図15に示すように、ヘルメット400は、4つのセグメント20,22,24および26のうち互いに隣接するものを互いに連結する連結機構440を有する。この連結機構440は、ヘルメット400の展開状態において、互いに隣接するセグメント20,22,24および26にそれぞれ機械的に係合し、それにより、それら互いに隣接するセグメント20,22,24および26がヘルメット400の高さ方向に相対変位することを機械的に阻止する。この連結機構440は、展開状態においてのみ、選択的に相対変位阻止機能を発揮する。
【0159】
このような機能を実現するため、この連結機構440は、4つのセグメント20,22,24および26の複数の内面に沿って1段目セグメント20と4段目セグメント26との間を延びるフレキシブルな(可撓性を有する)長手状部材450を有する。その長手状部材450は、例えば、弾性的に撓むことが可能であるが、長さ方向に弾性的に伸縮し難い材料特性を有するように構成される。この長手状部材450は、本発明における「連続体」の一例である。
【0160】
この長手状部材450は、例えば、合成樹脂(例えば、PE、PP)によって形成したり、金属によって形成することが可能である。この長手状部材450は、本実施形態においては、図15(b)に示すように、バンド状部材として形成されているが、これに限定されず、例えば、1本または複数本の線状部材としたり、1本または複数本のロッド状部材としたり、当該長手状部材450の長さ方向に一列に並んだ複数個のエレメントが互いに結合されて成る部材とすることが可能である。
【0161】
図15(a)に示すように、この長手状部材450は、ヘルメット400の展開状態において、1段目セグメント20に位置する最内端部460と、2段目セグメント22に位置する中間部462と、3段目セグメント24に位置する中間部464と、4段目セグメント26に位置する最外端部466とを有する。
【0162】
連結機構440は、さらに、長手状部材460に設けられた複数の雌部(雄部でもよい)(本発明における「複数の第1係合部」の一例)480を有する。それら雌部480は、長手状部材460に対し、長さ方向における相対位置が変化しないように構成されている。
【0163】
1つのヘルメット400に対し、長手状部材460は、1本のみ設置されてもよいが、複数本設置されてもよい。
【0164】
複数本の長手状部材460が設置される場合には、例えば、それら長手状部材460にそれぞれ対応する複数の最内端部460を互いに連結する連結具(図示しない)を有してもよい。この連結具により、複数本の長手状部材450を、後述のように、ヘルメット400の内面から持ち上げる作業(リリース作業)が、この連結具がない場合より簡単となる。
【0165】
この連結具は、例えば、複数の最内端部460が取り付けられる、それら最内端部460に共通のリング状部材としたり、複数の最内端部460が取り付けられる、それら最内端部460に共通のプレートとすることが可能である。
【0166】
そのプレートのいくつか例として、専用のプレートや、ヘルメット400の内部に、逆ハンモック式のハーネス(例えば、衝撃吸収用のハーネスまたは着用者の頭部を覆うようにヘルメット400をホールドすることを促進するための内装体)を構成する複数本のストラップを結合するために装着されるプレートを兼用するプレートがある。後者の例においては、前記複数本のストラップのそれぞれの両端がシェル14と前記プレートとにそれぞれ連結される。
【0167】
連結機構440は、さらに、1段目セグメント20と2段目セグメント22と3段目セグメント24とにそれぞれ設けられた複数の雄部(雌部でもよい)(本発明における「複数の第2係合部」の一例である)490を有する。それら雄部490は、それぞれ対応するセグメント20,22,24に対し、前記高さ方向における相対位置が変化しないように構成されている。
【0168】
それら雄部490は、展開状態においては、図15(a)に示すように、複数の雌部480とそれぞれロック状態で係合するが、格納状態においては、図15(c)に示すように、複数の雌部480からそれぞれ離脱する。
【0169】
連結機構440は、さらに、長手状部材450のうちの最外端部466と4段目セグメント26とを、展開状態においても格納状態においても、互いに相対的に回動可能かつ分離不能に連結するピボット部500(本発明における「第3係合部」の一例)を有する。
【0170】
そのピボット部500は、長手状部材450を、4つのセグメント20,22,24および26に対して、展開状態においても格納状態においても、垂直面内においてピボット可能に連結する。
【0171】
図16に示すように、このピボット部500は、具体的には、長手状部材450のうちの最外端部466に固定された可動部502と、4段目セグメント26(例えば、外側フランジ422の一部)に固定された受け部504とを有する。可動部502は、ピンなどにより、受け部504に回動可能かつ離脱不能に連結されている。その回動の軸線(例えば、前記ピンの中心線)は、シェル14の外周縁の一接線に対して平行となるように設定されている。このピボット部500のおかげで、長手状部材450が4段目セグメント26に対し、垂直面(図15(a)の紙面に平行な平面)内におけるピボット運動が可能かつ分離不能に連結される。
【0172】
連結機構440は、さらに、図15および図16に示すように、複数のガイド510を有する。各ガイド510は、ヘルメット400の展開状態において、長手状部材450がそれの幅方向にみだりに動いてしまうことを阻止しつつ、それが長さ方向に移動することを許可する。
【0173】
具体的には、各ガイド510は、図16に示すように、ヘルメット400の格納状態から展開状態への移行に際し、長手状部材450が、図15(c)に示すリリース位置(格納状態)から、図15(a)に示すロック位置(展開状態)に移行することを案内する一対の縦壁512,512であって長手状部材450の幅方向において互いに対向するものを有する。
【0174】
図16に示すように、各ガイド510のうち、長手状部材450が通過する部分、すなわち、ガイド穴は、それの上面において開放されており、それにより、長手状部材450の各ガイド510への装着・離脱が可能となっている。
【0175】
それらガイド510は、1段目セグメント20(例えば、本体部402とフランジ404との境界線すなわち1段目セグメント20の内面上の折れ曲がり点と同じ位置かまたはそれの近傍)に設けられたガイド510と、2段目セグメント22(例えば、本体部406と下側フランジ410との境界線すなわち2段目セグメント22の内面上の折れ曲がり点と同じ位置かまたはそれの近傍)に設けられたガイド510と、3段目セグメント24(例えば、本体部412と下側フランジ416との境界線すなわち3段目セグメント24の内面上の折れ曲がり点と同じ位置かまたはそれの近傍)に設けられたガイド510とを有する。
【0176】
図15(a)および図15(b)に示すように、ヘルメット400の展開状態においては、長手状部材450がシェル14の内面にほぼ密着する姿勢で配置され、そのとき、複数の雌部480に複数の雄部490がそれぞれロック状態で係合する。
【0177】
1段目セグメント20に対応する雌部480と雄部490との結合(以下、「1段目セグメント20と長手状部材450との間の雌雄結合」という。以下、同じ)と、2段目セグメント22と長手状部材450との間の雌雄結合とにより、1段目セグメント20と2段目セグメント22との間の相対変位が阻止される。
【0178】
さらに、2段目セグメント22と長手状部材450との間の雌雄結合と、3段目セグメント24と長手状部材450との間の雌雄結合とにより、2段目セグメント22と3段目セグメント24との間の相対変位が阻止される。
【0179】
さらに、3段目セグメント24と長手状部材450との間の雌雄結合と、4段目セグメント26と長手状部材450のうちの最外端部466との間のピボット結合とにより、3段目セグメント24と4段目セグメント26との間の相対変位が阻止される。
【0180】
その結果、4つのセグメント20,22,24および26間の相対位置が固定され、それにより、シェル14の全体剛性が、上述の雌雄結合もピボット結合も存在しない場合より、向上する。
【0181】
着用者は、ヘルメット400を収納することが必要となると、まず、長手状部材450のうちの最内端部460(例えば、その最内端部460のうちの操作部)を手で掴んで持ち上げ(例えば、前述の連結具を引っ張って持ち上げることも可能である)、その後、長手状部材450の全体を、前記ピボット運動により、ヘルメット400の内面から持ち上げる。それにより、複数の雌部480が複数の雄部490からそれぞれ離脱する。
【0182】
その結果、4つのセグメント20,22,24および26が相対変位することが可能となり、この状態で、着用者は、それらセグメント20,22,24および26を相互に押し縮め、それにより、それらセグメント20,22,24および26がテレスコピック的に収縮する。それにより、それらセグメント20,22,24および26が相互に格納される。これにより、ヘルメット400が格納状態に移行する。
【0183】
これに対し、着用者は、ヘルメット400を展開することが必要となると、まず、4つのセグメント20,22,24および26を相互に引き伸ばし、それにより、それらセグメント20,22,24および26がテレスコピック的に伸張する。この状態で、着用者は、長手状部材450の全体を、前記ピボット運動により、ヘルメット400の内面に押し当てる。それにより、複数の雌部480が複数の雄部490にそれぞれロック状態で係合する。
【0184】
その結果、それらセグメント20,22,24および26が相対変位することが阻止され、これにより、ヘルメット400が完全展開状態に移行するとともに、複数の雌部480が複数の雄部490にそれぞれロック状態で係合している限り、外力に抗して、ヘルメット400が完全展開状態に維持される。
【0185】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、連結機構440のおかげで、ヘルメット400が、完全展開状態において、外力に抗して4つのセグメント20,22,24および26間の相対位置がみだりに変化せずに済み、それにより、セグメント20,22,24および26間の連結がより強固なものとなり、その結果、ヘルメット400の全体剛性が向上する。
【0186】
<第4実施形態>
【0187】
次に、図17を参照することにより、本発明の例示的な第4実施形態に従うヘルメット600を説明する。ただし、このヘルメット600は、前述の第3実施形態に従うヘルメット400と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0188】
図15に示すように、上述の第3実施形態においては、ヘルメット400を格納するために、長手状部材450の全体がヘルメット400の内面から手動で持ち上げられることによってすべての雌部480が、それぞれ対応する雄部490から手動で離脱する(手動リリースする)ようになっているが、このようにすることは本発明を実施するために不可欠なことではない。
【0189】
図17に示すように、本実施形態においては、連結機構440のうちの各装着具610が長手状部材450をヘルメット600の内面に、その内面から離脱不能な状態で(例えば、長手状部材450の幅方向にも厚さ方向にも離脱不能な状態で)装着する。
【0190】
図17(a)は、ヘルメット600のうちの4つのセグメント20,22,24および26を、中途格納状態(完全展開状態から完全格納状態に遷移する状態)で示す断面図である。図17(b)は、それらセグメント20,22,24および26を、完全格納状態で示す断面図である。図17(c)は、連結機構440のうちの複数の装着具610のうちの一つを代表的に示す斜視図である。
【0191】
本実施形態においては、ヘルメット600の展開状態において、長手状部材450が、それの長さ方向において互いに離散的に配置されるようにヘルメット600の内面上に固定された複数の装着具610によって保持される。ヘルメット600が格納される際、連続した長手状部材450は、運動学上、各装着具610との接触点が関節点(拘束点)となるように、複数の撓み部分(他の撓み部分から独立した運動を行う撓み部分)に分割される。
【0192】
それら撓み部分を具体的に説明するに、長手状部材450のうち、1段目セグメント20に位置する装着具610より図において右側に位置する撓み部分は、最内端部460である。長手状部材450のうち、1段目セグメント20に位置する装着具610と、2段目セグメント22に位置する装着具610とによって挟まれる撓み部分は、中間部462である。長手状部材450のうち、2段目セグメント22に位置する装着具610と、3段目セグメント24に位置する装着具610とによって挟まれる撓み部分は、中間部464である。長手状部材450のうち、3段目セグメント24に位置する装着具610と、4段目セグメント26に位置するピボット部500とによって挟まれる撓み部分は、最外端部466である。
【0193】
長手状部材450にとって各関節点(拘束点)として機能する各装着具610は、長手状部材450のうち各関節点が接触する部位(4つの撓み部分460,462,464および466のうち、互いに隣接するもの同士の結合点)の動きを拘束するが、それ以外の部位の動きを拘束しない。
【0194】
よって、互いに隣接する2つの装着具610すなわち互いに隣接する2つの関節点によって挟まれる各撓み部分462,464は、自身の可撓性(それ自身、長さ方向に弾性的に伸縮する性質が多少あってもよい)を利用した屈曲・伸展運動により、ヘルメット600の内面に対して接近・離間することが可能となる。
【0195】
これに対し、撓み部分466は、3段目セグメント24に対応する装着具610とピボット部500とによって挟まれている。よって、この撓み部分466のうち、装着具610とピボット部500とそれぞれ接触する部位は、拘束されるが、それら2つの拘束点によって挟まれる部位の動きは、拘束されず、依然として可撓性を有する。
【0196】
本実施形態においては、ヘルメット600の完全展開状態が図15(a)で示すものと同じであり、この完全展開状態において、各撓み部分460,462,464,466は、自然状態(無負荷状態)にあり、ほぼ真っ直ぐに延びている。このとき、最外端部466は、4段目セグメント26の内面に対し、その内面にほぼ沿って延びる角度を有する。
【0197】
これに対し、ヘルメット600の中途格納状態においては、図17(a)に示すように、4つのセグメント20,22,24および26が相互に、完全展開状態におけるより接近する。その接近動作に連動して、互いに隣接した雄部490および490間の直線距離および互いに隣接した雄部490およびピボット部500間の直線距離が完全展開状態におけるより減少する。その距離減少に連動し、互いに隣接した雌部480および480間の直線距離および互いに隣接した雌部490およびピボット部500間の直線距離も完全展開状態におけるより減少する。
【0198】
それにより、各撓み部分462,464,466に軸方向の圧縮力が作用し、その結果、各撓み部分462,464,466が完全展開状態におけるより内向きに撓ませられる。長手状部材450は、それが軸方向に圧縮されると、各撓み部分462,464,466が内向きに撓むように設計されている。そのような設計の一例は、長手状部材450のうち、各関節点に対応する部分に内向きに形成されたノッチや切込みなどの折曲り誘発部である。
【0199】
その結果、各撓み部分462,464,466がそれぞれの関節点において各装着具610との摩擦力が完全展開状態におけるより増加し、それにより、各撓み部分462,464,466の動き(特に、長手状部材450の長さ方向における動きと厚さ方向における動き)が、それぞれの関節点において、各装着具610によって実質的に局所的に拘束される。
【0200】
各撓み部分462,464,466が完全展開状態におけるより内向きに撓ませられると、各撓み部分462,464,466と、対応する各セグメント20,22,24,26との間の隙間が完全展開状態におけるより増加する。それにより、各撓み部分462,464に対応する雌部480が、対応する雄部490から部分的にまたは完全に離脱することが促進される。
【0201】
最内端部460は、それの先端(例えば、前記操作部)を着用者が手で摘まんで持ち上げることにより、内向きに撓ませられ、それにより、対応する雌部480が、対応する雄部490から離脱する。これにより、長手状部材450についてのすべての雌雄結合が完全に手動でリリースされる。このとき、最外端部466は、4段目セグメント26の内面に対し、完全展開状態におけるより大きな角度を有する。
【0202】
上述の中途格納状態から移行したヘルメット600の完全格納状態においては、図17(b)に示すように、4つのセグメント20,22,24および26が相互に、中途格納状態におけるより接近し、各撓み部分462,464,466の両関節点間の直線距離が中途格納状態におけるより減少し、それにより、各撓み部分462,464,466が中途格納状態におけるより内向きに撓ませられる。このとき、各撓み部分462,464は、対応する雄部490から完全に離脱する。
【0203】
各撓み部分460,462,464に対応する雄部490は、各撓み部分460,462,464の背面から各撓み部分460,462,464を押し曲げるように作用し、その結果、各撓み部分460,462,464はさらに内向きに撓むことが促進される。このとき、最外端部466は、4段目セグメント26の内面に対し、中途格納状態におけるより大きな角度を有する。
【0204】
図17(c)に示すように、各装着具610は、ガイド穴612を有している。そのガイド穴612は、閉じた穴であるが、例えば、長手状部材450が簡単に各装着具610から厚さ方向に離脱しない限り、上面および/または側面において部分的に開放する穴でもよい。その部分的開放により、長手状部材450の保持と、長手状部材450の各ガイド穴612内への挿入との双方が実現される。
【0205】
したがって、本実施形態においては、着用者は、ヘルメット600を格納させるために、まず、4つのセグメント20,22,24および26を相互に接近させ、それにより、長手状部材450のうちの各撓み部分460,462,464,466が、ヘルメット600の内面から離間する向きに撓ませられ、その結果、互いに対応する雌部480と雄部490との係合が解除される。
【0206】
やがて、すべての雌部480が、それぞれ対応する雄部490から離脱すれば、シェル14の4つのセグメント20,22,24および26間のより自由な相対変位が可能となる。この状態で、着用者は、それらセグメント20,22,24および26を互いに押し縮めてヘルメット400を格納させることが可能となる。
【0207】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、ヘルメット600が格納状態にあるか展開状態にあるかを問わず、長手状部材450が、それのほぼ全長にわたり、ヘルメット600の内面に近接する位置に保持され、その結果、長手状部材450の収納性が向上する。
【0208】
さらに、本実施形態によれば、長手状部材450のうちの最内端部460の、ヘルメット600の内面からのリリース(すなわち、1段目セグメント20に関連する雌雄結合の解除)が着用者によって手動で行われさえすれば、長手状部材450のうちの他の部位の、ヘルメット600の内面からのリリース(すなわち、2段目セグメント22および3段目セグメント24に関連する雌雄結合の解除)は、着用者による4つのセグメント20,22,24および26の収縮動作(格納動作)に伴って自動的に行われる。
【0209】
よって、本実施形態によれば、着用者がヘルメット600を格納するためにそのヘルメット600に対して行うことが必要な作業が前述の第3実施形態におけるより軽減される可能性がある。
【0210】
さらに、本実施形態によれば、材料力学的見地からすると、長手状部材450が4つの装着具490およびピボット部500の組合せによって複数のエレメント(すなわち、4つの撓み部分460,462,464および466)に分断されると考えられる。それにより、長手状部材450においては、各エレメント単位で、4つのセグメント20,22,24および26の収縮動作に起因した撓み(ないしは座屈)が発生することになる。
【0211】
その結果、各エレメントに発生する撓み力(各エレメントに撓み方向に作用する力であって、各エレメントをシェル14の内面から離間させる力)が、エレメントへの分断なしで長手状部材450に発生する撓み力より増加する傾向があることが推測される。そうであるとすると、互いに対応する雌部480と雄部490との離脱が、より確実に行われることが推測される。
【0212】
ただし、長手状部材450の自動リリースという作用効果は、装着具490を用いて長手状部材450を複数のエレメントに分断しなくても、程度の差はあるかもしれないが、実現可能である。
【0213】
さらに、本実施形態によれば、ヘルメット600が展開状態にあるか格納状態にあるかを問わず、連続体としての長手状部材450が、4つのセグメント20,22,24および26に取り付けられている状態が維持され、それにより、それらセグメント20,22,24および26が、相互に接近する過程において、ばらばらに離散してしまうことが阻止される。すなわち、それら4つのセグメント20,22,24および26は、常に、1つの集まりを形成しているのである。
【0214】
ところで、本実施形態においては、長手状部材450の最外端部466が4段目セグメント26に分離不能かつピボット可能に連結されているが、このようにして本発明を実施することは不可欠ではなく、例えば、分離可能かつヘルメット600の中央部への接近限度が制限される状態で4段目セグメント26に連結される態様で本発明を実施することが可能である。なぜなら、その長手状部材450は、他の部位において、残りのセグメント20,22および24に対し、分離不能に装着されているからである。
【0215】
<第5実施形態>
【0216】
次に、図18を参照することにより、本発明の例示的な第5実施形態に従うヘルメット800を説明する。ただし、このヘルメット800は、前述の第1ないし第3実施形態に従うヘルメット10,200,400および600と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0217】
本実施形態に従うヘルメット800は、前述の第1ないし第4実施形態に従うヘルメット10,200,400および600と同様に、相互に変位可能な4つのセグメント20,22,24および26を有するテレスコピック伸縮式のシェル14を有する。
【0218】
このヘルメット800は、シェル14の内部に装着される弾性伸縮式の内装体810を有する。その内装体810は、よく知られているように、着用者の頭部に直に接触してヘルメット800が着用者の頭部によってホールドされることを促進するという機能を有する。この内装体810は、前述の第1ないし第3実施形態に従うヘルメット10,200,400および600に適用することも可能である。
【0219】
まず概略的に説明するに、この内装体810は、ヘルメット800が着用者の頭部に装着されていない状態においては、図18(a)に示すように、自身の弾性によって収縮してフラットな格納状態にあるが、ヘルメット800が着用者の頭部に装着されると、図18(b)に示すように、その着用者の頭部が内装体810内に局所的に押し込まれて内装体810が引っ張られることにより、その着用者の頭部の形状に倣うように凹んだ展開状態に移行する。
【0220】
次に具体的に説明するに、この内装体810は、それの外側縁のうちの数か所において、シェル14の外側縁の数か所にそれぞれ連結され、それにより、この内装体810は、シェル14に対し、中央部が浮動する状態で支持される。
【0221】
この内装体810は、ヘルメット800の着用状態において着用者の頭部の最上部に接触する上側サポート812を有する。その上側サポート812の背面に、例えば、衝撃吸収材が配置され、また、前述の複数本のストラップのそれぞれの一端部(シェル14によって拘束されていない端部)が連結される。
【0222】
この内装体810は、さらに、ヘルメット800の着用状態において着用者の前頭部に接触する前側パッド820と、後頭部に接触する後側パッド822と、左右の側頭部にそれぞれ接触する一対のサイド・パッド824,824とを有する。
【0223】
前側パッド820の下端部は、シェル14のうち、対応する部分に、回転式のヒンジ830を介してピボット可能に連結されている。一方、前側パッド820の上端部は、上側サポート812の前部に、伸縮可能なネット状の連結具832と、フレキシブルなヒンジ834とを介して、屈曲可能に連結されている。
【0224】
後側パッド822の上端部は、上側サポート812の後部に、フレキシブルなヒンジ836を介して、屈曲可能に連結されている。一方、後側パッド822の下端部は、シェル14のうち、対応する部分に、伸縮可能なネット状の連結具838と、回転式のヒンジ840とを介して、ピボット可能に連結されている。
【0225】
各サイド・パッド824の下端部は、シェル14のうち、対応する部分に、回転式のヒンジ842を介してピボット可能に連結されている。一方、各サイド・パッド824の上端部は、上側サポート812の側部に、伸縮可能なネット状の連結具844と、フレキシブルなヒンジ846とを介して、屈曲可能に連結されている。
【0226】
したがって、本実施形態によれば、着用者がヘルメット800を脱ぐと、まず、自動的に内装体810が収縮してフラットな格納状態に移行する。次に、着用者は、ヘルメット800をテレスコピック的に押し縮め、それにより、ヘルメット800を格納させる。
【0227】
これに対し、着用者は、これからヘルメット800を装着する場合には、まず、ヘルメット800をテレスコピック的に引き伸ばし、それにより、ヘルメット800を展開させる。その後、着用者は、ヘルメット800を被り、そうすると、自動的に内装体810が伸張して凹んだ展開状態に移行する。
【0228】
その結果、本実施形態によれば、着用者は、ヘルメット800が展開状態にあるか格納状態にあるかに応じて内装体810を展開させたり格納させるという煩雑な作業を行うことが不要となり、それにより、ヘルメット800の使い勝手が向上する。
【0229】
なお付言するに、以上説明したいくつかの実施形態においては、各ヘルメット10,200,400,600の展開状態において、4つのセグメント20,22,24および26が上向きに互いに離間する限度(展開する限度、展開方向の移動の限度)がそれらセグメント20,22,24および26自体の構造(前述のフランジの重ね合せ)によって規制されていることに加えて、それらセグメント20,22,24および26間の予定外の離間(展開する限度を超えた展開)および接近(格納される限度を超えた格納)の双方、すなわち、前記高さ方向における上下双方向の動きが各連結機構40,42,44,210,440によって阻止される。
【0230】
すなわち、各ヘルメット10,200,400,600の展開状態において、セグメント20,22,24および26間の予定外の離間(展開する限度を超えた展開)が、各連結機構40,42,44,210,440と、各連結機構40,42,44,210,440とは別の機構(例えば、それらセグメント20,22,24および26自体の構造)との双方によって阻止されているのである。
【0231】
これに対し、本発明は、セグメント20,22,24および26間の予定外の離間(展開する限度を超えた展開)が、各連結機構40,42,44,210,440のみによって阻止される態様で実施したり、セグメント20,22,24および26間の予定外の離間(展開する限度を超えた展開)は、各連結機構40,42,44,210,440とは別の機構によって阻止されるが、それらセグメント20,22,24および26間の予定外の接近は、各連結機構40,42,44,210,440のみによって阻止される態様で実施することも可能である。
【0232】
<第6実施形態>
【0233】
次に、図19を参照することにより、本発明の例示的な第6実施形態に従うヘルメット900を説明する。ただし、このヘルメット900は、前述の第4実施形態に従うヘルメット600と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0234】
図19(a)は、本実施形態に従うヘルメット900のうちの4つのセグメントを、完全展開状態において、連結機構440と共に示す断面図である。図19(b)は、その連結機構440を、完全展開状態において、4つのセグメント20,22,24および26のうち、連結機構440の周辺に位置する部分と共に示す正面図である。図19(c)は、ヘルメット900のうちの4つのセグメント20,22,24および26を、完全格納状態において、連結機構440と共に示す断面図である。
【0235】
図17に示すヘルメット600においては、長手状部材450は、ヘルメット600の完全展開状態において、それの最内端部460、2つの中間部462および464ならびに最外端部466のそれぞれの位置において、それぞれ対応するセグメント20,22,24,26にロック状態で係合する。よって、ヘルメット600によれば、完全展開状態において、4つのセグメント20,22,24および26のうちの一部しかロックしない場合より、それらセグメント20,22,24および26間の相対変位がより確実に阻止され、それにより、ヘルメット600の全体剛性が向上するという利点がある。
【0236】
これに対し、本実施形態に従うヘルメット900においては、図19に示すように、長手状部材450は、ヘルメット900の完全展開状態において、それの最内端部460および最外端部466という長手状部材450の両端部のそれぞれの位置においてのみ、それぞれ対応するセグメント20,26にロック状態(例えば、最内端部460については、相対回動を阻止しつつ、長手状部材450の長さ方向にも幅方向にも厚さ方向にも相対変位しない完全ロック状態すなわち完全拘束状態で、一方、最外端部466については、相対回動を許容しつつ、長手状部材450の長さ方向にも幅方向にも厚さ方向にも相対変位しない準完全ロック状態すなわち準完全拘束状態)で係合する。
【0237】
よって、ヘルメット900によれば、完全展開状態において、すべてのセグメント20,22,24および26をロックする場合より、着用者の操作が単純化し、使い勝手が向上するという利点がある。長手状部材450をガイドする複数のガイド部材510は、図19(a)に示すように、ヘルメット600とは異なり、それぞれ対応するセグメント20,22,24の下端部と同じかまたはそれの近傍位置に配置されている。
【0238】
ヘルメット900は、シェル14を構成する4つのセグメント20,22,24および26を互いに連結する第1連結機構910を有する。
【0239】
この第1連結機構910は、ヘルメット900の完全展開状態においては、4つのセグメント20,22,24および26のうち互いに隣接するものが前記高さ方向に互いに離間すること(すなわち、ヘルメット900が完全展開状態から、完全格納状態とは反対側に移行しようとする動作であり、例えば、完全展開状態において、あるセグメントが、それより下方のセグメントに対して上方に移動する動作)を阻止し、ヘルメット900の完全格納状態および中途格納状態においては、4つのセグメント20,22,24および26のうち互いに隣接するものが前記高さ方向に互いに接近(すなわち、ヘルメット900が中途格納状態から完全展開状態に、または、完全格納状態から中途格納状態に移行しようとする動作であり、例えば、完全格納状態において、あるセグメントが、それより下方のセグメントに対して上方に移動する動作)・離間(すなわち、ヘルメット900が完全格納状態から、完全展開状態とは反対側に移行しようとする動作であり、例えば、完全格納状態において、あるセグメントが、それより下方のセグメントに対して下方に移動する動作)することを許可するように構成されている。
【0240】
本実施形態においては、この第1連結機構910が、ヘルメット900の完全展開状態において互いに積層されるフランジ404および408と、410および414と、416および420との組合せによって実現される。
【0241】
具体的には、例えば、最上段セグメント20のフランジ404が2段目セグメント22の上側フランジ4048の下方に配置されることにより、最上段セグメント20が2段目セグメント22に対して相対的にそれより上方に移動すること、すなわち、最上段セグメント20が2段目セグメント22に接近する動作が阻止される。
【0242】
このヘルメット900は、さらに、4つのセグメント20,22,24および26を互いに連結する第2連結機構920を有する。その第2連結機構920は、本実施形態においては、ヘルメット900の内面に沿って最上段セグメント20から最下段セグメント26まで連続的に延びる連続体としての、可撓性を有する長手状部材450と、最内端部460に固定された雌部480と、最上段セグメント20に固定された雄部490と、ピボット部500との組合せによって実現される。
【0243】
具体的には、この第2連結機構920は、ヘルメット900の完全展開状態においては、図19(a)に示すように、雌部480と雄部490とのロック状態での結合と、ピボット部500のピボット結合とにより、少なくとも最上段セグメント20と最下段セグメント26との間の前記高さ方向における少なくとも接近(本実施形態においては、接近のみならず離間)を阻止する。
【0244】
この第2連結機構920は、ヘルメット900の中途格納状態においては、図17(a)に示すように、ピボット部500のピボット結合を、雌部480と雄部490とのロック状態での結合を伴うことなく、単独で行い、それにより、4つのセグメント20,22,24および26のうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における接近・離間を許可する。
【0245】
この第2連結機構920は、ヘルメット900の完全格納状態においては、図19(c)に示すように、4つのセグメント20,22,24および26のうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における少なくとも離間を阻止するように構成されている。
【0246】
具体的には、この第2連結機構920は、ヘルメット900の完全格納状態においては、図19(c)に示すように、連続した長手状部材450が、最上段セグメント20、2段目セグメント22および3段目セグメント24にそれぞれ固定された3つのガイド部材510とピボット部500とを、ほぼ水平面に沿った平面上でほぼ直線的に互いに結び付けて拘束し、それにより、4つのセグメント20,22,24および26のうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における離間(すなわち、ヘルメット900が完全格納状態から、完全展開状態とは反対側に移行しようとする動作)は阻止するが、接近(すなわち、(すなわち、ヘルメット900が完全格納状態から中途格納状態に移行しようとする動作動作)は許可するように構成されている。
【0247】
具体的には、例えば、最上段セグメント20のフランジ404およびガイド部材510が2段目セグメント22から下方に離間する動作は、最上段セグメント20のフランジ404およびガイド部材510が、2段目セグメント22から下方に離間しようとすると、ほぼ水平に延びる長手状部材450に突き当たることによって阻止される。
【0248】
すなわち、本実施形態においては、長手状部材450と、最上段セグメント20,2段目セグメント22および3段目セグメント24にそれぞれ固定された3つのガイド部材510との組合せにより、4つのセグメント20,22,24および26のうち互いに隣接したものの間の前記高さ方向における離間の限度が規定され、それにより、ヘルメット900の完全格納状態が実現される。
【0249】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、第1および第2連結機構910および920の共存のおかげで、ヘルメット900の完全展開状態において、いずれかのセグメントが他のセグメントから上方に離脱することが阻止され、さらに、ヘルメット900の完全格納状態において、いずれかのセグメントが他のセグメントから下方に離脱することが阻止される。
【0250】
ただし、本実施形態においては、第1連結機構910の存在のみでも、ヘルメット900の完全展開状態において、いずれかのセグメントが他のセグメントから上方に離脱することが阻止されるが、第2連結機構920のおかげで、最上段セグメント20と最下段セグメント26とのそれぞれが長手状部材450とピボット部500とによってロックされ、それにより、ヘルメット900の全体剛性が、第2連結機構920が存在しない場合より増す。
【0251】
<第7実施形態>
【0252】
次に、図20を参照することにより、本発明の例示的な第7実施形態に従うヘルメット1000を説明する。ただし、このヘルメット1000は、前述の第4実施形態に従うヘルメット600と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0253】
図20(a)は、本実施形態に従うヘルメット1000のうちのハンモック102を部分的に、ヘルメット100からシェル10を取り除いた状態で、かつ、完全展開状態において、連結機構440のうちの長手状部材(例えば、板状断面で真っ直ぐに延びるベルト状部材)450の最内端部460(例えば、上端部、内端部)、ロック部1002および操作部1004と共に示す上方斜視図である。図20(b)は、長手状部材450の最内端部460、ロック部1002および操作部1004を取り出して示す斜視図である。
【0254】
さらに、図20(c)は、ヘルメット1000のうちの1段目セグメント20、2段目セグメント22およびハンモック102を部分的に、完全展開状態において、長手状部材450の最内端部460、ロック部1002および操作部1004と共に示す断面図である。
【0255】
ハンモック102は、1段目セグメント20に装着されており、その1段目セグメント20と一体的に変位する。具体的には、ハンモック102は、合成樹脂製であるとともに、概して円板上を成しており、それの周囲上における複数個所(例えば、6か所)において、1段目セグメント20にしっかりと固定される。
【0256】
ヘルメット1000が着用者に装着される状態において、着用者の頭部の頭頂部にハンモック102の内側面(下面)が接触し、その状態においては、ハンモック102は、シェル10から上向きに吊られている。このように、ハンモック102は、通常のハンモックとは逆向きの姿勢で使用されることから、逆ハンモックとも称される。
【0257】
図17に示すヘルメット600においては、前述のように、長手状部材450は、ヘルメット600の完全展開状態において、それの最内端部460、2つの中間部462および464ならびに最外端部466のそれぞれの位置において、それぞれ対応するセグメント20,22,24,26にロック状態で係合する。
【0258】
これに対し、本実施形態に従うヘルメット1000においては、図19に示すヘルメット900と同様に、長手状部材450は、ヘルメット1000の完全展開状態において、それの最内端部460および最外端部466という長手状部材450の両端部のそれぞれの位置においてのみ、それぞれ対応する最上段セグメント20および最下段セグメント26にロック状態(例えば、最内端部460については、相対回動を阻止しつつ、長手状部材450の長さ方向にも幅方向にも厚さ方向にも相対変位しない完全ロック状態すなわち完全拘束状態で、一方、最外端部466については、相対回動を許容しつつ、長手状部材450の長さ方向にも幅方向にも厚さ方向にも相対変位しない準完全ロック状態すなわち準完全拘束状態)で係合する。
【0259】
ヘルメット1000においては、図15および図16に示すヘルメット400と同様に、複数のガイド510を有する。各ガイド510は、例えば、1段目セグメント20,2段目セグメント22および3段目セグメント24(例えば、複数のセグメント20,22,24および26のうち最下段セグメント26を除くもののうちの少なくとも1つのセグメント)にそれぞれ装着される。
【0260】
各ガイド510は、ヘルメット1000の展開状態において、長手状部材450が、それの幅方向および厚さ方向に、対応するセグメント20,22,24,26に対して相対的にみだりに動いてしまうことを阻止しつつ、それが長さ方向に相対的に移動することを許可する。すなわち、各ガイド510は、長手状部材450のうちの各ガイド510を通過する部分を、長手状部材450の幅方向における位置と厚さ方向における位置とに関して拘束しつつ、長手状部材450の長さ方向に移動可能にガイドするのである。
【0261】
具体的には、長手状部材450が複数のセグメント20,22,24および26に装着された後、長手状部材450と、各セグメント20,22,24,26との間の、ヘルメット1000の周方向における相対位置も、ヘルメット1000の半径方向における相対位置も維持されつつ、ヘルメット1000の高さ方向における相対位置が変化することが許可される。すなわち、長手状部材450は、各セグメント20,22,24,26から内向きにもいずれの周方向にもずれないようにヘルメット1000の内面上に保持されつつ(すなわち、拘束されつつ)、長さ方向に移動可能となっているのである。
【0262】
その結果、ヘルメット1000の完全展開状態において、長手状部材450が複数のセグメント20,22,24および26にロックされると、その状態でヘルメット1000の天頂部に下向きの力が作用しても、長手状部材450の姿勢が保持されて長手状部材450の側方曲りが阻止される。一方、長手状部材450は、その材質上、それの長さ方向に実質的に伸縮しない。
【0263】
その結果、ヘルメット1000は、前記下向きの力を受けても、長手状部材450が位置的に拘束されつつ座屈しないため、複数のセグメント20,22,24,26が相対的に接近せずに済む(すなわち、みかけ上、座屈せずに済む。)。よって、本実施形態によれば、ヘルメット1000全体としての縦剛性を、シェル10が単一の連続部材によって構成される場合に達成される縦剛性に近づけるように達成することが容易となる。
【0264】
図20(a)に示すように、ロック部1002は、長手状部材450の最内端部460に形成された雌部(前記第1係合部の一例。例えば、貫通穴、凹部)1010と、ハンモック102(前記相手部材の一例)に片持ち状にヒンジ結合された可動部材1012に形成された雄部(前記第2係合部の一例)1014とを有するように構成されている。可動部材1012は、ハンモック102に対し、ヒンジ部を中心に、弾性変形可能であり、原位置に復元しようとする弾性を有する。図20(b)および図20(b)において、「A」で示す位置は、雄部1014のロック位置(原位置または非操作位置)であり、一方、「B」で示す位置は、雄部1014のリリース位置(操作位置または非ロック位置)である。
【0265】
ロック位置においては、雄部1014が雌部1010に嵌合して(凹凸嵌合して)、長手状部材450がハンモック102ひいてはシェル10に対して相対的に、長手状部材450の長さ方向に変位することが阻止される。その結果、長手状部材450がヘルメット1000の中心部に向かって進行することが阻止される。これにより、4個のセグメント20,22,24および26は、互いに接近する向きに相対変位することが阻止され、ヘルメット1000が完全展開状態に維持される。
【0266】
具体的には、長手状部材450は、それの長さ方向に実質的に伸縮しない。これに対し、その長手状部材450が跨る複数のセグメント20,22,24および26は、例えば19にヘルメット900の動作例として示すように、テレスコピック的に伸縮する。図19(a)は、ヘルメット1000の完全展開状態であって、複数のセグメント20,22,24および26が最も伸長している状態を示している。これに対し、図19(c)は、ヘルメット1000の完全格納状態であって、複数のセグメント20,22,24および26が最も収縮している状態を示している。
【0267】
一方、長手状部材450の最外端部466は、最下段セグメント26に常時固定されている。正確には、長手状部材450の最外端部466と最下段セグメント26とは、両者間の相対回動を許可しつつ、長手状部材450の長さ方向にも幅方向にも厚さ方向にも相対変位しないようになっている。
【0268】
したがって、ヘルメット1000の完全展開状態においては、長手状部材450の、最外端部466とは反対側の端部である最内端部460が、1段目セグメント20またはハンモック102において、それの中心部から離れた位置にある。これに対し、ヘルメット1000の完全格納状態においては、長手状部材450の最内端部460が、1段目セグメント20またはハンモック102において、それの中心部に近い位置にある。このように、ヘルメット1000が完全展開状態にあるか完全格納状態にあるかにより、長手状部材450の最内端部460の、1段目セグメント20またはハンモック102の中心部に対する相対位置が変化する。
【0269】
ヘルメット1000の完全展開状態において、長手状部材450の最内端部460の、1段目セグメント20またはハンモック102の中心部に対する相対位置を固定すれば、ヘルメット1000が予定外に完全展開状態から収縮してしまうことが阻止される。
【0270】
以上、ロック位置について説明したが、リリース位置においては、雄部1014がその雄部1014の長さ方向において雌部1010から離脱して、長手状部材450がハンモック102ひいてはシェル10に対して相対的に、長手状部材450の長さ方向に変位することが許可される。その結果、長手状部材450がヘルメット1000に対し、それの中心部に向かって進行することが許可される。これにより、4個のセグメント20,22,24および26は、互いに接近する向きに相対変位することが許可され、ヘルメット1000が完全展開状態から完全格納状態に移行することが許可される。
【0271】
雄部1014は、常にはロック位置Aにあるが、ユーザがヘルメット1000の内部から可動部材1012にアクセスし、その可動部材1012を手前に引っ張ると、雄部1014が弾性的に曲がることによってロック位置Aからリリース位置Bに移行する。このとき、雄部1014は長手状部材450から、その長手状部材450の面に対してほぼ直角な方向(雄部1014の延びる方向でもある)に遠ざかり、やがて、雄部1014が雌部1010から完全に離脱する。このとき、長手状部材450がヘルメット1000の中心部に向かって進行することが許可され、その結果、4個のセグメント20,22,24および26が、互いに接近する向きに相対変位することが許可される。
【0272】
この状態で、ユーザが手を可動部材1012から離すと、可動部材1012は自身の弾性により原位置であるロック位置Aに復元する。その結果、雄部1014もリリース位置Bからロック位置Aに復元する。このとき、雄部1014は長手状部材450に、その長手状部材450の面に対してほぼ直角な方向に接近し、やがて雄部1014が雌部1010内に嵌まり入る。このように、可動部材1012は、ロック部1002の一部を構成するが、操作部1004の一部も構成する。
【0273】
なお付言するに、本実施形態においては、ロック部1002が長手状部材450とハンモック102とに跨って構成されている。これに対し、前述の第4実施形態においては、図17に示すように、ロック部1002に相当する部分490が長手状部材450と1段目セグメント20とに跨って構成されている。しかし、いずれの態様においても、ロック部1002は、1段目セグメント20の位置に配置され、長手状部材450の最内端部460も1段目セグメント20の位置から延び出している。
【0274】
さらに付言するに、本実施形態においては、雄部1014がハンモック102に装着されているが、これに代えて、1段目セグメント20の内面に装着してもよい。この態様においては、1段目セグメント20が、前記相手部材の一例に該当することになる。
【0275】
さらに付言するに、本実施形態においては、雌部1010が長手状部材450に配置される一方、雄部1014が前記相手部材に配置されているが、これに代えて、雌部1010が前記相手部材に配置される一方、雄部1014が長手状部材450に配置される態様で本発明を実施してもよい。
【0276】
さらに付言するに、本実施形態においては、長手状部材450が、ベルト状部材として構成され、その長手状部材450の厚さ方向(前記長さ方向と交差する方向の一例)に曲げ変形させられる(幅方向への曲げ変形は自身の断面形状が原因で制限される)ことにより、ロック位置とリリース位置とに切り換えられる。
【0277】
しかし、これに代えて、長手状部材450が、紐状部材(例えば、合成樹脂製のワイヤ)として構成され、その長手状部材450の幅方向(ヘルメット1000の内面に沿った方向であり、前記交差する方向の別の例)に曲げ変形させられる(幅方向への曲げ変形は自身の断面形状によって制限されない)ことにより、ロック位置とリリース位置とに切り換えられる態様で本発明を実施してもよい。このことは、他の任意の実施形態についても同様である。
【0278】
さらに付言するに、本実施形態においては、長手状部材450が1本のみ、ヘルメット1000の内面に沿って設置されているが、これに代えて、2本、3本、4本など、複数本の長手状部材450が、ヘルメット1000の内面に沿って設置される態様で本発明を実施してもよい。同じヘルメット1000に使用される長手状部材450の本数が多いほど、最大展開状態にあるヘルメット1000の縦剛性(例えば、座屈強度)が向上する傾向がある。
【0279】
<第8実施形態>
【0280】
次に、図21を参照することにより、本発明の例示的な第8実施形態に従うヘルメット1100を説明する。ただし、このヘルメット1100は、前述の第7実施形態に従うヘルメット1000と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0281】
図21(a)は、本実施形態に従うヘルメット1100のうちのハンモック102、2段目セグメント22、3段目セグメント24および4段目セグメント26を部分的に、かつ、完全展開状態において、連結機構440のうちの長手状部材450、ロック部1102および操作部1104と共に示す下方斜視図である。図21(b)は、ヘルメット1100のうちの1段目セグメント20、2段目セグメント22およびハンモック102を部分的に、完全展開状態において、長手状部材450の最内端部460、ロック部1102および操作部1104と共に示す断面図である。
【0282】
ロック部1002は、長手状部材450の最内端部460に形成された突部(前記第1係合部の一例)1110と、ハンモック102(前記相手部材の一例)に固定的に形成されたストッパ(前記第2係合部の一例)1112とを有するように構成されている。突部1110は、常には、図21(a)および図21(b)に示すように、ストッパ1112に係合するロック位置(原位置または非操作位置)にある。
【0283】
ロック位置においては、突部1110がストッパ1112を乗り越えることが阻止され、それにより、長手状部材450がヘルメット1100に対し、それの中心部に向かって進行することが阻止される。これにより、4個のセグメント20,22,24および26は、互いに接近する向きに相対変位することが阻止され、ヘルメット1100が完全展開状態に維持される。
【0284】
これに対し、ユーザが長手状部材450の一部である操作部1104(例えば、突部1110の近傍部であって、滑り止めのための凹凸が形成されている)を指で押すと、突部1110がストッパ1112から、突部1110がストッパ1112を乗り越えることができる向きに移動し、やがて突部1110がストッパ1112から完全に離脱する。このリリース位置においては、長手状部材450がヘルメット1100に対し、それの中心部に向かって進行することが許可される。その結果、4個のセグメント20,22,24および26は、互いに接近する向きに相対変位することが許可され、ヘルメット1100が完全展開状態から完全格納状態に移行することが許可される。
【0285】
雄部1110は、常にはロック位置にあるが、ユーザがヘルメット1100の内部から操作部1104にアクセスし、その操作部1104を指で押すと、長手状部材450が弾性的に押し曲げられることによってロック位置からリリース位置に移行する。ユーザが指を操作部1104から離すと、長手状部材450は自身の弾性により原位置に復元し、それに伴い、突部1110がロック位置に復元する。このように、長手状部材450は、ロック部1102の一部を構成するが、操作部1104の一部も構成する。
【0286】
なお付言するに、本実施形態においては、ストッパ1112がハンモック102に装着されているが、これに代えて、1段目セグメント20の内面に装着してもよい。この態様においては、1段目セグメント20が、前記相手部材の一例に該当することになる。
【0287】
さらに付言するに、本実施形態においては、突部1110が長手状部材450に配置される一方、ストッパ1112が前記相手部材に配置されているが、これに代えて、突部1110が前記相手部材に配置される一方、ストッパ1112が長手状部材450に配置される態様で本発明を実施してもよい。
【0288】
<第9実施形態>
【0289】
次に、図22を参照することにより、本発明の例示的な第9実施形態に従うヘルメット1200を説明する。ただし、このヘルメット1200は、前述の第7実施形態に従うヘルメット1000と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0290】
図22(a)は、本実施形態に従うヘルメット1200のうちの1段目セグメント20、2段目セグメント22、3段目セグメント24および4段目セグメント26を部分的に、完全展開状態において、連結機構440のうちの操作部1202と共に示す上方斜視図である。図22(b)は、連結機構440のうちの長手状部材450の最内端部460、ロック部1204および操作部1202を、ヘルメット1200から1段目セグメント20を取り除いた状態で、取り出して示す斜視図である。
【0291】
さらに、図22(c)は、操作部1202を示す断面図である。図22(d)は、ヘルメット1200のうちの1段目セグメント20およびハンモック102を部分的に、完全展開状態において、長手状部材450の最内端部460、ロック部1204および操作部1202と共に示す断面図である。
【0292】
図22(b)に示すように、ロック部1204は、長手状部材450の最内端部460に形成された雌部(前記第1係合部の一例。例えば、貫通穴、凹部など)1210と、ハンモック102(前記相手部材の一例)に固定的に形成された雄部(前記第2係合部の一例)1212とを有するように構成されている。長手状部材450は、常には、図22(d)において「X」で示すように、雌部1210が雄部1212に係合するロック位置(原位置または非操作位置)にある。
【0293】
このロック位置Xにおいては、長手状部材450がハンモック102ひいてはシェル10に対して長手状部材450の長さ方向に相対的に変位することが阻止され、それにより、長手状部材450がヘルメット1200に対し、それの中心部に向かって進行することが阻止される。その結果、ロック位置においては、4個のセグメント20,22,24および26は、互いに接近する向きに相対変位することが阻止され、ヘルメット1200が完全展開状態に維持される。
【0294】
図22(b)に示すように、操作部1202は、同軸に延びる一対の回動シャフト1220において、シェル10に回動可能に装着されている。また、図22(a)に示すように、操作部1202は、1段目セグメント20の切欠き部1222に嵌り合うように嵌合されており、操作部1202の表面は1段目セグメント20から露出している。切欠き部1222は、操作部1202の先端部にユーザの指がアクセス可能であるように、凹部1224を有する。
【0295】
図22(c)に示すように、操作部1202は、中空であり、具体的には、長手状部材450の通過を許可する内部通路1230を有する。その内部通路1230は、上板部1232と、下板部1234と、一対の側板部1236,1236とによって定義される。
【0296】
図22(d)に示すように、操作部1202は、常には、図において「A」で示すロック位置、すなわち、長手状部材450のロック位置Xを実現する位置にある。操作部1202が位置Aにあるときには、上板部1232の下向き面が長手状部材450の上向き面に局部的に接触し、それにより、雌部1210を雄部1212に挿入することを促進するとともに雌部121が予定外に雄部1212から離脱してしまうことを阻止する。すなわち、上板部1232は、長手状部材450を上から押し下げて長手状部材450の軌道を変更するようにガイドするガイドとして機能するのである。
【0297】
ユーザがヘルメット1200の外部から操作部1202にアクセスし、その操作部1202を回動シャフト1220回りに外向きに回転させると、操作部1202は、図において「B」で示す位置において、下板部1234の上向き面において長手状部材450の下向き面に局部的に接触する。
【0298】
操作部1202が同じ向きにさらに回転させられると、下板部1234が長手状部材450を下から押し上げる。すなわち、下板部1234は、長手状部材450を下から押し上げて長手状部材450の軌道を変更するようにガイドするガイドとして機能するのである。その結果、長手状部材450が、雄部1210から離れる向きに弾性変形させられる。図において「C」で示す位置においては、操作部1202が、雌部1210が雄部1212から完全に離脱することを実現する。よって、長手状部材450は、ロック位置Xからリリース位置Yに移行する。
【0299】
このリリース位置Yにおいては、長手状部材450がハンモック102ひいてはシェル10に対して相対的に、長手状部材450の長さ方向に変位することが許可される。これにより、長手状部材450がヘルメット1200に対し、それの中心部に向かって進行することが許可される。その結果、4個のセグメント20,22,24および26は、互いに接近する向きに相対変位することが許可され、ヘルメット1200が完全展開状態から完全格納状態に移行することが許可される。
【0300】
ユーザが手を操作部1202から離すと、図示しないリターンスプリングの弾性により、長手状部材450が原位置であるロック位置Xに復元し、それに伴い、雌部1210が雄部1212に再び係合させられる。これにより、雌部1210および雄部1212がロック状態に復元する。
【0301】
なお付言するに、本実施形態においては、雄部1212がハンモック102に装着されているが、これに代えて、1段目セグメント20の内面に装着してもよい。この態様においては、1段目セグメント20が、前記相手部材の一例に該当することになる。
【0302】
さらに付言するに、本実施形態においては、雌部1210が長手状部材450に配置される一方、雄部1212が前記相手部材に配置されているが、これに代えて、雌部1210が前記相手部材に配置される一方、雄部1212が長手状部材450に配置される態様で本発明を実施してもよい。
【0303】
以上の説明から明らかなように、以上説明した複数の実施形態のうち、複数のセグメントが長手状部材によって互いに連結されるものによれば、シェル14が複数の水平断面で複数のセグメントに分割されているにもかかわらず、当該ヘルメットの完全展開状態において、長手状部材が垂直方向外力に対して容易に座屈することがない状態でその長手状部材によって複数のセグメントが互いに結合され、それにより、当該ヘルメットの縦剛性が向上する。
【0304】
それら実施形態においては、その縦剛性の向上という効果を達成するために、長手状部材の上端部は、最上段セグメントまたはそれに装着された別の部材に、着用者の操作に応じ、ロック状態とリリース状態とに切り換わるように連携させられる一方、長手状部材の下端部は、最下段セグメントまたはそれに装着された別の部材に、常時、ロック状態にあるように連携させられる。
【0305】
しかし、縦剛性の向上という効果は、別の態様、すなわち、長手状部材の上端部は、最上段セグメントまたはそれに装着された別の部材に、常時、ロック状態にあるように連携させられる一方、長手状部材の下端部は、最下段セグメントまたはそれに装着された別の部材に、着用者の操作に応じ、ロック状態とリリース状態とに切り換わるように連携させられるという態様でも達成可能である。
【0306】
とはいえ、この別の態様では、当該ヘルメットの最大格納状態において、長手状部材の下端部が、当該ヘルメットの最下段セグメントから下方に突出して邪魔であるのに対し、前述のいくつかの実施形態によれば、当該ヘルメットの最大格納状態において、長手状部材の上端部が、当該ヘルメットの最大展開状態に取る位置より、当該ヘルメットの最上段セグメントの中央部に向かって延び出すものの、その延び出した部分は依然として最上段セグメントの内部に収容され、当該ヘルメットから外に飛び出してしまうことはない。
【0307】
このように、それら実施形態によれば、当該ヘルメットを、それのすべての部品がコンパクトに当該ヘルメット内に収容される状態で、テレスコピックに収縮させて小形化することが可能である。
【0308】
以上の説明から明らかなように、以上説明した複数の実施形態のうち、複数のセグメントが長手状部材によって互いに連結されるものにおいては、長手状部材450の最外端部466と最下段セグメント26とが、常時、両者間の相対回動を許可するようになっているが、常時、両者間の相対回動が阻止される態様、例えば、長手状部材450の最外端部466と最下段セグメント26とが分離不能に互いに固着される態様で本発明を実施することも可能である。
【0309】
<第10実施形態>
【0310】
次に、図23を参照することにより、本発明の例示的な第10実施形態に従うヘルメット1300を説明する。ただし、このヘルメット1300は、前述の第7実施形態に従うヘルメット1000と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または符号を付して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0311】
図20に示す第7実施形態に従うヘルメット1000は、長手状部材450の最内端部460と、1段目セグメント20に装着されたハンモック102との間においてロック状態とリリース状態とに切り換える連結機構440を有する。
【0312】
これに対し、図23に示すように、本実施形態に従うヘルメット1300は、連結機構440に代えて、長手状部材450(本実施形態においては、「ガイドベルト」と称する)の最内端部460をタング1310として機能させる一方、1段目セグメント20にバックル1312を固定または搖動可能に装着し、かつ、タング1310をバックル1312に、着用者の操作に応じて着脱可能に係合させる形式の連結機構1314を有する。
【0313】
図23に示すように、ヘルメット1300は、3本のガイドベルト450を有する。ハンモック102は、各ガイドベルト450の通過を許容する切欠き1316を有する。バックル1312は、ガイドベルト450ごとに用意されている。
【0314】
バックル1312は、タング1310が挿入されると、そのタング1310をロックし、着用者の操作に応じて、そのタング1310をリリースするように設計されている。タング1310は、バックル1312の入口から挿入され、出口から突出するが、バックル1312はヘルメット1300に対し、入口が外周寄りに、出口が中心部寄りに位置するように設置されている。
【0315】
図24に示すように、バックル1312は、ガイドベルト450の通過を許容する中空のハウジング1320と、そのハウジング1320に弾性ヒンジを介して装着されたロック1322であってタング1310に着脱可能に係合するものと、そのロック1322を、常にはロック位置に位置させるが、着用者によってバックル1312が操作されると、その操作力によってロック1322をロック位置からリリース位置に切り換えるリリース機構とを有する。
【0316】
バックル1312は、さらに、当該バックル1312をリリースするために着用者によって操作される操作部としての一対のプッシュボタン1328,1328であってハウジング1320の両側において少なくとも部分的に露出していて、着用者の二本の指(例えば、親指と人差し指)で両側から押し込まれて操作されるものを有する。
【0317】
図24に示すように、バックル1312は、1段目セグメント20の内面に水平軸線周りにピボット可能(搖動可能)に装着されている。そのために、バックル1312は、一対のピボット軸1330,1330を有し、1段目セグメント20は、それらピボット軸1330,1330を一側面方向から支持する取付け部1332を有する。ハンモック102は、それらピボット軸1330,1330を反対の側面方向から支持する取付け部1334を有する。
【0318】
各ピボット軸1330は、互いに対向する取付け部1332および1334によって両側から挟まれて回転可能に支持される。その結果、バックル1312は、1段目セグメント20に対し、水平軸線周りに搖動可能となっており、1段目セグメント20は、そのバックル1312の最下端位置を規定するストッパ1340を有する。
【0319】
図25には、ヘルメット1300の展開状態において、連結機構1314が拡大されて示されている。1段目セグメント20の内面に衝撃吸収材としてのライナー1350が装着されており、前記展開状態においては、ガイドベルト450は、ライナー1350の凹面状の内面に沿って延びるように、ストッパ134の位置および形状が設定されている。
【0320】
図26には、ヘルメット1300の収納状態において、連結機構1314が拡大されて示されている。収納状態においては、複数のセグメント20,22,24および26が相対的に接近し、最終的には、それぞれのセグメント20,22,24,26の上面位置についても下面位置についても、それらセグメント20,22,24および26間で互いに一致する。そのため、収納状態においては、3本のガイドベルト450のいずれも、直線的に延びることが必要である。
【0321】
各ガイドベルト450は、弾性的に湾曲(撓み)可能であり、自然状態においては、直線的に延びており、図25に示す展開状態においては、各ガイドベルト450が外力によって湾曲させられている。
【0322】
これに対し、図26に示す収納状態においては、各ガイドベルト450は、自身の弾性により、自然状態に復元しようとし、その結果、図26に示すように、各ガイドベルト450のうち、ライナー1350の上方に位置する部分は、直線的に延びており、各ガイドベルト450のうち、他の部分も、図示しないが、同じく直線的に延びており、各ガイドベルト450は、全体としても、直線的に延びている。
【0323】
図25に示す展開状態においては、各ガイドベルト450が外力によって湾曲させられている。そのため、この状態においては、各ガイドベルト450は、自然状態に復元しようとしている状態、すなわち、図25においては、タング1310が、バックル1312に対して、ヘルメット1300の頭頂部の中心位置に向かって延び出そうとしている状態にある。
【0324】
その結果、着用者がヘルメット1300を折り畳んで収納状態を実現すべく、バックル1312を指でプッシュしてリリースすると、ガイドベルト450が自発的にバックル1312からさらに内向きに突出する。よって、その状態で着用者がバックル1312から指を離してバックル1312のロック1322がロック位置に復元しようとしても、その時点では、そのロック1322に対向する位置に、タング1310のうちの被係合部1360が位置していないため、タング1310が再度バックル1312によってロックされてしまうことはない。
【0325】
ところで、一般に、バックルは、ロック状態において、そのバックルに挿入されたタングの長さ方向における双方向の移動を阻止するように設計される。これに対し、本実施形態においては、図25および図26に示すように、上述のように、ガイドベルト450が、ヘルメット1300の展開状態においては、自身の復元力により、ヘルメット1300を収縮させる向きの力をヘルメット1300に作用させ、このことは、ガイドベルト450がバックル1312内にさらに深く挿入する傾向すなわちバックル1312からさらに内向きに突出する傾向をガイドベルト450に与えることを意味する。
【0326】
したがって、ヘルメット1300の展開状態においては、バックル1312にタング1310がロックされていると、図25に示すように、タング1310の被係合部1360の前向き斜面が、バックル1312のロック1322の後向き斜面に押し付けられ、それにより、タング1310にそれの長さ方向に圧縮荷重が発生することになる。
【0327】
すなわち、本実施形態においては、バックル1312のロック状態において、タング1310がバックル1312から、挿入方向とは逆向きに離脱しようとする力が発生しない。よって、バックル1310は、上述の一般的にバックルとは異なり、タング1310の一方向の移動、すなわち、ヘルメット1300が勝手に折り畳まれて展開状態から収納状態に移行してしまうことを誘発する向きの移動しか阻止するようになっていない。すなわち、バックル1310は、双方向ロックタイプではなく、一方向ロック・タイプなのである。
【0328】
また、図25および図26に示すように、本実施形態においては、ヘルメット1300を折り畳む際にガイドベルト450の、バックル1310からの内向き突出量が増加するが、そのガイドベルト450のうち、バックル1310から内向きに突出した長さの部分は、図25に示すように、ライナ1350とハンモック102との間の空間に収容される。よって、その部分が着用者の頭部に接触してしまうことはない。
【0329】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【要約】
【課題】着用者によって格納状態と展開状態とに変化させられるテレスコピック伸縮式ヘルメットにおいて、展開状態にある当該ヘルメットの耐座屈性が、当該ヘルメットが格納可能であることが原因で低下してしまうことを抑制する。
【解決手段】着用者の頭部に装着されるテレスコピック伸縮式ヘルメット1000において、複数のセグメントがヘルメットの高さ方向に相対変位可能であるように連結されて成るシェル10と、最上段セグメント20またはそれに装着された別の部材である最上段相手部材と、最下段セグメント26またはそれに装着された別の部材である最下段相手部材との間を延びる連続体450とを含み、その連続体は、ヘルメットの最大展開状態において、最上段相手部材に対しては、着用者の操作に応じ、ロック状態とリリース状態とに切り換わるが、最下段相手部材に対しては、ロック状態に維持される。
【選択図】図23
図1
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