(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957598
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】シート用長さ調整機構、シート部分の傾斜調整機構、車両シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/18 20060101AFI20160714BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20160714BHJP
A47C 1/024 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
B60N2/18
B60N2/22
A47C1/024
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-507465(P2015-507465)
(86)(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公表番号】特表2015-517952(P2015-517952A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2013057862
(87)【国際公開番号】WO2013160146
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2014年10月22日
(31)【優先権主張番号】102012008101.4
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012014379.6
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、 サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】キンザー、 アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】キルヒ、 エックハルト
(72)【発明者】
【氏名】ミュールバーガー、 ヨアヒム
【審査官】
小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02962084(US,A)
【文献】
特開平09−039632(JP,A)
【文献】
実開平01−114838(JP,U)
【文献】
特開2002−345589(JP,A)
【文献】
米国特許第06406092(US,B1)
【文献】
米国特許第06382491(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
A47C 1/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の車両シート(1)用の調整ユニット(1’)であって、
前記調整ユニット(1’)は前記車両の進行方向(100)に沿って前記車両シート(1)を調整するシート長さ調整機構を含み、
前記シート長さ調整機構は、前記車両の前記進行方向(100)に直交する短手方向(101)まわりに回転可能に取り付けられた第1揺動子(31)を含み、
前記調整ユニット(1’)は、前記車両シート(1)の前部品(20)の傾斜を調整するシート表面傾斜調整機構をさらに含み、
前記シート表面傾斜調整機構は、前記車両の進行方向(100)に直交する短手方向(101)まわりに回転可能に取り付けられた第2揺動子(24)を含み、
前記第2揺動子(24)の前端が、前記前部品(20)の下方にある案内スロットの中を長手方向に変位可能な態様で案内される調整ユニット(1’)。
【請求項2】
前記第1揺動子(31)の前端が前記車両シート(1)のシート表面に回転ヒンジの態様で作用し、
前記第1揺動子(31)の後端が前記車両シート(1)の車体備え付け基礎構造物上の回転ヒンジの態様で作用する請求項1に記載の調整ユニット(1’)。
【請求項3】
前記調整ユニット(1’)は、前記車両シート(1)が前記第1揺動子(31)の長さ変化により及び/又は前記第1揺動子(31)の配向角度変化により調整される態様に構成される請求項2に記載の調整ユニット(1’)。
【請求項4】
前記第1揺動子(31)は前記長さ変化のためのシャフト駆動器又はピストン・シリンダ駆動器を含む請求項3に記載の調整ユニット(1’)。
【請求項5】
前記シート表面傾斜調整機構は、前記前部品(20)の傾斜の調整がシャフト(26)の長さ変化により及び/若しくは前記シャフト(26)の長手方向の動きにより並びに/又は前記第2揺動子(24)の回転により行われる態様に構成される請求項4に記載の調整ユニット(1’)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の調整ユニット(1’)を有する車両シート(1)。
【請求項7】
前記車両シート(1)のバックレスト(3)の傾斜を調整するバックレスト傾斜調整機構をさらに含む請求項1に記載の調整ユニット(1’)。
【請求項8】
前記バックレスト(3)はバックレスト主要部品(33)及びバックレスト上側部品(34)を含む請求項7に記載の調整ユニット(1’)。
【請求項9】
前記バックレスト主要部品(33)と前記バックレスト上側部品(34)とは、共通枢動軸(35)を介した回転ヒンジの態様で互いに接続される請求項8に記載の調整ユニット(1’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シート用のシート長さ調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシートを、シート長さ調整機構を用いて進行方向に調整可能に設計することが先行技術により一般に知られている。慣例的に、かかるシート長さ調整機構はレールシステムを含む。このレールシステムは、車両フロア上を水平方向に延び又は一定角度だけ上昇若しくは下降して前方に延び、かつ、シート備え付け上側レール及び車体備え付け下側レールからなる。上側レールと下側レールとは、球状体又は転動体によって互いに変位可能に取り付けられる。ロックユニットによって車両シートが確実に、所望の使用位置にロックされる。かかる車両シートはさらに、上側レールと車両シートの垂直シート表面との間に、シート表面の傾斜調整を許容するシート表面傾斜調整器を有する。
【0003】
レールシステムに基づくシート長さ調整機構の欠点は、平坦な下層表面が必要とされることにある。したがって、特に後部シートにとっては、構造空間の点でコンパクトな態様でシート長さ調整器を統合することが可能とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第19943573(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第2,962,084号明細書
【特許文献3】独国実用新案第202004020657(U1)号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第2761833(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、車両フロア上を水平方向に延び又は一定角度だけ上昇若しくは下降して前方に延びるレールシステムを必要としないシート長さ調整機構を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、車両シート用のシート長さ調整機構であって、車両の進行方向に直交する短手方向まわりに回転可能に取り付けられた第1揺動子を含むシート長さ調整機構によって解決される。第1揺動子の前端が、車両シートのシート表面下方の回転ヒンジの態様で作用するのが好ましい一方、第1揺動子の後端が、車両シートの車体備え付け基礎構造物上に回転ヒンジの態様で作用するのが好ましい。車両シートは、第1揺動子の長さ変化により及び/又は第1揺動子の配向角度変化により調整される。揺動子が、長さ変化のためのシャフト駆動器又はピストン・シリンダ駆動器を含むことが考えられる。本発明のさらなる主題は、本発明に係るシート長さ調整機構を有する車両シートである。
【0007】
本発明のさらなる主題又は好ましい実施形態は、車両シートのシート表面用のシート表面傾斜調整装置である。その傾斜調整機構は、車両の進行方向に直交する短手方向まわりに回転可能に取り付けられた第2揺動子を含む。車両シートの少なくとも前部品の傾斜調整は、シャフトの長さ変化により及び/若しくはシャフトの長手方向の動きにより並びに/又は第2揺動子の回転により行われる。第2揺動子の前端が、特にシート表面の下方にある案内スロットの中を、長手方向に変位可能な態様で案内される。本発明のさらなる主題は、本発明に係る傾斜調整機構を有する車両シートである。
【0008】
図面により及び当該図面を参照しての好ましい実施形態の説明により、本発明のさらなる詳細、特徴及び利点が明らかとなる。ここで図面は、本発明の典型的な実施形態の単なる例示であって、本発明の本質的な概念を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
様々な図面において、同じ部品は、常に同じ参照番号が付されているため、一般には各例において一回参照され又は一回言及される。
【0010】
【
図1A】自動車用の車両シート1の模式的斜視図を例示する。
【
図1B】自動車用の車両シート1の模式的斜視図を例示する。
【
図2A】本発明に係る車両シート1の側面図を例示する。
【
図2B】本発明に係る車両シート1の側面図を例示する。
【
図2C】本発明に係る車両シート1の側面図を例示する。
【
図2D】本発明に係る車両シート1の側面図を例示する。
【
図2E】本発明に係る車両シート1の側面図を例示する。
【
図3】車両基体7に締結された保持クランプ51の模式的な詳細図を例示する。
【
図4】車両シート1を車両に取り付ける方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A及び1Bは、自動車用の車両シート1の模式的斜視図を例示する。特に、ここでは自動車の車両後部の車両シート1が対象となる。車両シート1はシート部品2及びバックレスト3を含む。シート部品2は、車両乗員のためのシート表面を画定し、かつ、前部品20及び主要部品21を含む。主要部品21は、回転ヒンジの態様で第1揺動子31に取り付けられる。前部品20の下側側部がスロット付きガイド23を有する。スロット付きガイド23の中に第2揺動子24の第1端が、進行方向100に直交する短手方向101に沿って延びる短手軸まわりの回転ヒンジの態様で取り付けられる。その第1端は、スロット付きガイド23に進行方向100において長手方向に変位可能に取り付けられる。第2揺動子24の第2端は、車両フロアに締結された保持器25に回転ヒンジの態様で接続される。さらに、第2揺動子24には、シャフト26の第1端が回転可能に接続される。
【0012】
車両シート1の主要部品21は、車両シート1の車体備え付け基礎構造物40に第1揺動子31を介して締結される。第1揺動子31の第1端が主要部品21に回転可能に接続される一方、第1揺動子31の第2端は基礎構造物40に回転可能に締結される。第1揺動子31は好ましくは、例えばシリンダ・ピストンガイド又はシャフト駆動器を介して第1揺動子31の長さを調整する長さ調整ユニットを含む。したがって、第1揺動子31の長さの変化が、シート部品2の進行方向100の動きをもたらすので、第1揺動子31は、車両シート1用のシート長さ調整機構の一部をなす。さらに、基礎構造物40に対する第1揺動子31の角度は好ましくは駆動器37を介して可変なので、第1揺動子31の角度変化を介してシート部品2の高さを変えることができる。したがって、第1揺動子31はまた、車両シート1用の高さ調整機構の一部をなすのが好ましい。
【0013】
基礎構造物40に対する第2揺動子24の位置は、追加駆動器32を介して変えることができる。この態様によって前部品20の傾斜を変えることができる。さらには、シート部品2のシート表面の傾斜も変化する。したがって、駆動器32及びシャフト26は、車両シート1用のシート表面傾斜調整機構の一部をなす。
【0014】
車両シート1はさらに、バックレスト傾斜調整機構を含む。バックレスト傾斜調整機構は第4揺動子50を含む。第4揺動子50の第1端が回転ヒンジの態様でバックレスト3に接続され、かつ、第4揺動子50の第2端が回転ヒンジの態様で車体備え付けの保持クランプ51に接続される。第4揺動子50の第1端は、調整ユニット52を介して、特に波打ち機構又は掛かり爪式調整器を介して、回転軸54まわりの回転ヒンジの態様でバックレスト3に接続される。ここで調整ユニット52は、バックレスト3と第4揺動子50とがなす角度の変化を許容する。その結果、バックレスト3の傾斜が変化する。第4揺動子50の第2端は、保持クランプ51のスロット付きガイド53に締結されるのが好ましい。調整ユニット52は、駆動器を有する結果、バックレスト傾斜のモーター支援調整が可能とされることが好ましい。
【0015】
車両シート1のバックレスト3は、バックレスト主要部品33及びバックレスト上側部品34を含むのが好ましい。バックレスト主要部品33とバックレスト上側部品34とは、共通第2枢動軸35を介した回転ヒンジの態様で互いに接続される。第2枢動軸35は短手方向101と平行に延びる。バックレスト主要部品33とバックレスト上側部品34とは、特に追加調整ユニット36により、追加調整ユニット36の調整がバックレスト主要部品33とバックレスト上側部品34とが第2枢動軸35まわりになす角度を変化させる態様で、第2枢動軸35の領域において互いに結合される。追加調整ユニット36は特に、モーター駆動波打ち機構又はモーター駆動掛かり爪式調整器を含む。追加調整ユニット36は特に、バックレストの曲率調整の一部をなす。ヘッドレスト4が、車両シート1の、特にバックレスト上側部品34の上側端に接続される。この目的のため、ヘッドレスト4の2つの保持ロッド5が、バックレスト3の案内軸受筒6の中に締結されるのが好ましい。ヘッドレスト4は特に、案内軸受筒6の中に高さ調整可能な態様で設けられるので、案内軸受筒6は特に、ヘッドレスト高さ調整器の一部をなす。
【0016】
図2Aから2Eは、本発明に係る車両シート1の側面図を例示する。車両シート1は異なる位置に配列されている。
図2Aは車両シート1の開始位置を例示する。
図2Bでは、バックレスト3が、バックレスト傾斜調整機構によって、開始位置に対して前方に枢動した位置までシフトされる。
図2Cでは、バックレスト3が、バックレスト傾斜調整機構によって、開始位置に対して後方に枢動した位置までシフトされる。
図2Dでは、シート部品2が、シート長さ調整機構によって、開始位置に対して前方にシフトした位置までシフトされる。その結果、同時に、開始位置に対するバックレスト主要部品33の傾斜角度も変化している。バックレスト主要部品33は平坦配向にある。バックレスト上側部品34は開始位置のままなので、シート部品2を前方にシフトさせることによって、バックレストの曲率又はバックレスト3の外形もまた変化する。
図2Eでは、バックレスト上側部品34は、バックレストの曲率が調整されることによる、開始位置に対する後方枢動位置にある。その結果、開始位置から既知のバックレストの曲率又はバックレスト3の外形が回復される。さらに、バックレスト上側部品34の角度位置の変化により、ヘッドレスト4の配向もそれに対応して変化する。
【0017】
図3は、車両基体7に締結された保持クランプ51の模式的な詳細図を例示する。この図では、一側が開放されかつ第4揺動子50の第2端が中で動くスロット付きガイド53をはっきりと見ることができる。
【0018】
図4は、車両シート1を車両に取り付ける方法を例示する。第1ステップにおいてまず、バックレスト3が前方にシフトされた構成で車両シート1が与えられ、引き続いての第2ステップで車両シート1は基礎構造物40上に締結される。引き続いての第3ステップにおいて、バックレスト3は、枢動の動き8の範囲内において後方に枢動され、ひいては第4揺動子50の第2端に配置されたボルト55が、一側が開放されたスロット付きガイド53の中に係合する。引き続いて車両シート1が固定される。
【符号の説明】
【0019】
1 車両シート
2 シート部品
3 バックレスト
4 ヘッドレスト
5 保持ロッド
6 案内軸受筒
7 車両基体
8 枢動の動き
20 前部品
21 主要部品
23 スロット付きガイド
24 第2揺動子
25 保持器
26 シャフト
31 第1揺動子
32 駆動器
33 バックレスト主要部品
34 バックレスト上側部品
35 第2枢動軸
36 追加調整ユニット
37 シャフト駆動器
40 基礎構造物
41 制御ボックス
50 第4揺動子
51 保持クランプ
52 調整ユニット
53 追加スロット付きガイド
54 回転軸
55 ボルト
100 進行方向
101 短手方向