特許第5957636号(P5957636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5957636-茶道技術支援システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5957636
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】茶道技術支援システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/07 20060101AFI20160714BHJP
   A47J 31/00 20060101ALI20160714BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20160714BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20160714BHJP
【FI】
   A47J43/07
   A47J31/00 106
   A47J31/44 100
   G06Q10/00 130Z
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-103528(P2015-103528)
(22)【出願日】2015年5月21日
【審査請求日】2015年6月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715004575
【氏名又は名称】特定非営利活動法人natural science
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳歩
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/199584(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/07
A47J 31/00
A47J 31/44
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶道を習得したいと思う者が手に持ち揺動・加振等を行う茶筅において、茶筅の動作(速度・加速度・傾き・回転)および抹茶の温度を検出する物理量検出手段と、物理量検出手段で検出した物理量のデータを転送するデータ転送手段と、データ転送手段によって転送された物理量のデータを蓄積するデータ蓄積手段と、データ蓄積手段に蓄積された物理量のデータをアルゴリズムにより完成した抹茶の状態判定を行う演算手段と、演算手段によって状態判定した結果を表示する表示装置とを設けたことを特徴とする茶道技術支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出手段およびデータ転送手段およびデータ蓄積手段および演算手段および表示装置は、調理器具使用者が調理器具を使用中リアルタイムに作動することを特徴とする茶道技術支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の物理量検出手段は複数設けられ、演算手段はデータ蓄積手段に蓄積された複数の物理量データに重みづけを行い、一つ以上の状態判定を行えることを特徴とした茶道技術支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載のデータ蓄積手段はインターネットと接続され、複数の調理器具使用者のデータを蓄積できることを特徴とした茶道技術支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の演算手段はデータ蓄積手段内の任意のデータを基に状態判定を行えることを特徴とした茶道技術支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶道を行う者の茶筅の使い方(動かし方)や抹茶の温度の良否等の状態を表示して茶道の技術向上を支援する茶道技術支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調理支援システム(調理支援装置)は特許文献1に開示されている。この調理支援システムは調理メニュー別に調理の支援情報を記憶し、支援情報を表示する表示部を有している。支援情報は調理メニューのレシピを含み、調理に並行して画面を切り替えることにより調理手順が順に表示される。
【0003】
また 使用者が選択した調理メニューに対する使用者の熟練度を入力する入力手段が設けられる。これにより、使用者の熟練度に応じて調理の各工程の所用時間を可変した作業スケジュールが形成される。使用者は作業スケジュールに則って各工程を行うことにより、良好な調理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−128305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の調理支援システムによると、使用者はあくまで調理支援システムに表示された記載内容通りに調理を行うだけで、調理テキストを読みながら調理するのと大きな差はなく、実際の調理作業で最も重要となる調理器具の使い方(かき混ぜるスピード、かき混ぜ方、被調理物の温度設定等)については、その調理器具の使い方が正しいかの判断を即時に客観的に判断することができなかった。
特に茶道では茶筅の動かしかたについて、速度・角度・回し方や抹茶の温度などが正しいかどうかの判断を定量的に行うことは困難であり、茶道の技術向上を目指す者の障害となっていた。
【0006】
また茶筅の使い方は、茶道の流派によって異なるものである。茶道を習得したいと思う者はある特定の師範となる者と同様の茶筅の使い方を習得したいが、その師範が遠方にいる場合等、直接的な指導を受けられず、習得を断念せざるを得ない状況があった。
【0007】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、茶筅の使い方や抹茶の温度が正しいかの判断を即時に客観的に判断することができ、また調理の師範から直接的な指導を受けられなくとも茶筅の使い方を習得できる茶筅を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、茶道を習得したいと思う者が手に持ち揺動・加振等を行う茶筅において、茶筅の動作(速度・加速度・傾き・回転)および抹茶の温度を検出する物理量検出手段と、物理量検出手段で検出した物理量のデータを転送するデータ転送手段と、データ転送手段によって転送された物理量のデータを蓄積するデータ蓄積手段と、データ蓄積手段に蓄積された物理量のデータをアルゴリズムにより完成した抹茶の状態判定を行う演算手段と、演算手段によって状態判定した結果を表示する表示装置とを設けたことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、茶道を習得したいと思う者が本発明の茶筅を使用することで、茶筅が調理を行っている最中の茶筅の運動に関する物理量および抹茶に関するの物理量を物理量検出手段によって検出することができる。その物理量をデータ転送手段によってデータ蓄積手段に転送を行う。データ蓄積手段に蓄積された物理量のデータを演算手段のアルゴリズムにより抹茶の状態判定を行い、状態判定した結果を表示装置に表示できるようになっている。その結果として、茶道を習得したいと思う者はその状態判定結果から、自分の茶筅の使い方が正しいかどうかを判断することができる。そのため、茶道の師範から直接的な指導を受けられなくとも茶筅の使い方を習得することができる。
【0010】
また本発明は、物理量検出手段およびデータ転送手段およびデータ蓄積手段および演算手段および表示装置は、茶道を習得したいと思う者が茶筅を使用中リアルタイムに作動することを特徴としている。この構成によると、茶道を習得したいと思う者が茶筅を使用しているその瞬間の動作が正しいかどうかを表示装置に表示することができる。その結果として、茶道を習得したいと思う者は自身の動作を使用中に即時に修正することができ、正しい使用状態を探索することができる。茶筅使用中に正しい使用状態を探索できれば、茶道を習得したいと思う者はその使用状態を反復練習すれば良く、茶道の早期習得が可能となる。
【0011】
また本発明は、物理量検出手段は複数設けられ、演算手段はデータ蓄積手段に蓄積された複数の物理量データに重みづけを行い、一つ以上の状態判定を行えることを特徴としている。この構成によると、茶筅が検出できる物理量は複数あるため、例えば茶筅の加速度と抹茶の温度を検出できるとする。この茶筅の正しい使い方として茶筅を動かす速度が抹茶の温度より重要だった場合、加速度の検出データのほうに重きをおいた状態判定を行うことができる。また状態判定は一つだけとは限定せず、取得した物理量に応じて複数個の状態判定結果を出すことができる。その結果として、茶道を習得したいと思う者は茶筅の使用に対する正しい動作について、優先順位を明確にして調理技術を習得することができる。
【0012】
また本発明は、データ蓄積手段はインターネットと接続され、複数の茶道を習得したいと思う者のデータを蓄積できることを特徴としている。この構成によると本発明の茶筅を使用している使用者は物理量データをインターネット経由でWWW(World Wide Web)内のデータ蓄積手段にデータを蓄積することができる。その結果として、本発明の茶筅を使用している世界中の各地からデータを収集することができ、その茶道を習得したいと思う者同士で茶道の腕前を相対的に競うことができる。また、茶道の師範は茶道を習得したいと思う者がどのように使用しているかなど使用者の傾向をデータ蓄積手段により知ることができ、師範にとっても的確に指導を行えるなどの利点がある。
【0013】
また本発明は、演算手段はデータ蓄積手段内の任意のデータを基に状態判定を行えることを特徴としている。この構成によると演算手段は一義的に決められた判断基準により状態判定を行うのではなく、データ蓄積手段内の任意のデータを基に状態判定を行うことができる。茶道は各師範によってそれぞれ作法・流儀など、茶筅の動かし方に差がある。その作法・流派は多種多様であるため、それらのデータをすべて初期から演算手段内に設定しておくのは極めて困難である。よって本発明の茶筅によれば、各師範がその作法・流儀をデータ蓄積手段にデータを登録しておくことにより、その師範の作法・流儀を学ぶものはその師範のデータを使用して、自分の技術の状態判定を行うことができる。その結果として、世界中のあらゆる師範の技術を習得したいと思う者は学ぶことができる。各師範がその作法・流儀をデータ蓄積手段にデータを登録するには、データ蓄積手段に直接登録する手段のほかに、インターネットを介してデータを登録することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、作法を定量的に判断することが困難である茶道について、茶道を習得したいと思う者は茶筅の使い方が正しいかの判断を即時に客観的に判断することができる。また調理の師範から直接的な指導を受けられなくとも、いつでもどこでも、茶筅の使い方を習得でき、茶道をより多くの人々に広めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の調理支援システムにおける茶筅
図2】本発明の実施形態の調理支援システムにおける茶筅の断面図
図3】本発明の実施形態の調理支援システムの全体構造図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の調理支援システムの茶筅1を示している。
【0018】
図2茶筅の断面図である。2、3、4は物理量検出手段であり、茶筅内部に搭載されている。2は温度センサであり、抹茶(茶道の場合は抹茶)の温度を測定する。3は角加速度センサであり、茶筅の角加速度を測定する。4はジャイロセンサであり、茶筅の傾きを検出する。また茶筅内にはデータ転送手段も搭載されているが、図2では不図示としている。茶道を習得したいと思う者が実際調理を行うと、その動作に応じて角加速度、傾きが検出される。また同時に調理中の抹茶の温度が検出される。
【0019】
図3は本発明の調理支援システムの全体構造図である。茶筅で測定された角加速度、傾き、抹茶の温度のデータはデータ転送手段により、インターネットを介してWWW上のデータ蓄積手段に転送されデータの蓄積が行われる。蓄積されたデータは演算手段により比較対象のデータ(主に師範のデータ)との一致度から茶道を習得したいと思う者の調理技術の優劣、また茶筅の動かし方で何が比較対象に対して乖離しているかの状態判定を行え、それを表示装置に表示を行う。これにより茶道を習得したいと思う者は、近くに師範がいなくても、自分で茶筅の動作のさせ方を修正することができ、早期に茶筅の使い方を習得することができる。
【0020】
なお本実施形態での物理量検出は、温度・角加速度・傾きとしているが、検出する物理量はこれらに限定されず、茶筅の種類に応じて多種の物理量検出手段や同一複数の物理量検出手段を搭載しても良い。
【0021】
またデータ転送手段についても有線・無線にとらわれず、茶筅の形態に応じて構成することができる。データ表示手段についても表示手段はパーソナルコンピュータ、スマートフォン、その他電子表示手段で行えるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、茶道を行う者が手に持ち揺動・加振等を行う茶筅全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
茶筅
2 温度センサ
3 角加速度センサ
4 ジャイロセンサ
【要約】
【課題】調理器具の使い方が正しいかの判断を即時に客観的に判断することができ、また調理のエキスパートから直接的な指導を受けられなくとも調理器具の使い方を習得できる調理器具を提供する。
【解決手段】調理器具使用者が手に持ち揺動・加振等を行う調理器具において、調理器具内に調理器具・被調理物等の物理量を検出する物理量検出手段と、物理量検出手段で検出した物理量のデータを転送するデータ転送手段と、データ転送手段によって転送された物理量のデータを蓄積するデータ蓄積手段と、データ蓄積手段に蓄積された物理量のデータをアルゴリズムにより被調理物の状態判定を行う演算手段と、演算手段によって状態判定した結果を表示する表示装置とを設けた。
【選択図】図3
図1
図2
図3