特許第5957730号(P5957730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957730
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】電動機及び電動機の組立方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20160714BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20160714BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   H02K5/22
   H02K15/14 Z
   H02K15/12 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-216050(P2012-216050)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-72956(P2014-72956A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】阿部 崇志
(72)【発明者】
【氏名】永田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】内藤 好晴
(72)【発明者】
【氏名】丸山 直志
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−318726(JP,A)
【文献】 特開2010−115003(JP,A)
【文献】 特開2004−328932(JP,A)
【文献】 特開2005−229755(JP,A)
【文献】 特開2008−125170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 15/12
H02K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機ケース内に固定子が収容され、前記固定子から引き出されたリード線が、前記電動機ケースに取り付けられている端子台に接続されている電動機において、
前記電動機ケースは、円筒状の筒状部と、前記筒状部の外周面に配置されると共に前記端子台が収容される収容空間が形成された端子箱を有し、
前記端子箱は、前記端子台の内周側面に接触する落下防止壁と、前記落下防止壁に対して前記収容空間を介して対向して配置されている支持枠を有し、
前記端子台は、絶縁材からなるベースと、前記ベースに配置されると共に前記リード線の端末が接続される複数の導電板と、前記導電板を区切る位置に配置されると共に前記ベースの面から立ち上がって形成された少なくとも一つの絶縁壁を有し、
前記端子台の内周側側面が前記落下防止壁に接しつつ、前記端子台が前記端子箱に挿入して収容されるときに、前記絶縁壁のうち前記ベースの外周側面から立ち上がっている部分が前記支持枠に接するように前記絶縁壁の高さが設定されていることを特徴とする電動機。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベースの内周側面は平面となっていることを特徴とする電動機
【請求項3】
請求項1または請求項2の電動機を組み立てる電動機の組立方法であって、
前記端子台を前記端子箱内に挿入・収納し、挿入・収納した端子台を前記筒状部に組み付け、
前記固定子及び前記リード線を液体絶縁材で含浸処理をし、
含浸処理が完了した前記固定子を前記電動機ケースの前記筒状部内に収容し、
含浸処理が完了した前記リード線を前記端子台に接続する、
ことを特徴とする電動機の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動機及び電動機の組立方法に関し、組立が容易にできるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
電動機では、円筒状の電動機ケース内に固定子を収容・固定し、固定子の中心位置に回転子を回転自在に配置して取り付けている。
固定子は、電磁鋼板を積層して形成した固定子鉄心に、三相巻線を巻装して構成されている。この固定子からは、三相巻線に接続されているリード線が引き出されている。このような構成となっている固定子は、ワニス含浸処理がされた後に、焼嵌めにより、電動機ケース内に収容・固定される。
【0003】
固定子から引き出されたリード線を、給電用の外部配線(ケーブル)と接続するために、端子台が使用されている。端子台は、リード線の端末を相互の絶縁を確保しつつ集約して固定するものであり、電動機ケースに取り付けられている。
この端子台において、リード線の端末と外部配線(ケーブル)とが接続される。
【0004】
次に、このような構成となっている電動機の従来の組立手順を説明する(特許文献1参照)。
(1) 固定子から引き出されているリード線の端末を、端子台に接続・固定する。
(2) 永久磁石を備えたマグネット治具を、端子台に装着する。そして、マグネット治具の磁力により、端子台を固定子の外周面に仮固定する。このように、端子台に装着したマグネット治具を固定子の外周面に磁着して、端子台を固定子に仮固定することにより、リード線の端末の位置決めもできる。
(3) 端子台が仮固定された固定子を、ワニス含浸処理する。これにより、固定子及びリード線もワニス含浸される。
(4) 端子台からマグネット治具を取り外す。マグネット治具を取り外しても、リード線がワニス含浸されて固まっているため、端子台の位置はほぼ仮固定位置に保持される。
(5) 固定子を端子台と共に電動機ケース内に収容・固定する。
(6) 端子台を電動機ケースにボルト締めなどにより締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−125170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで上記従来技術の電動機では、次のような問題があった。
(a) 上記の(2)に示すように、端子台を固定子に仮固定するために、マグネット治具が別途必要になり、その分だけ組立が面倒である。
また、端子台にマグネット治具を装着できるように、マグネット治具装着用の構成を端子台に付加しておかねばならず、端子台の構造が複雑になっていた。
(b) 上記の(5)に示すように、固定子を電動機ケース内に収容・固定する際に、ワニス含浸されて固まったリード線が、端子台の重さで垂れ下がってしまうため、作業がし難くなるという問題がある。
また、固まったリード線が垂れ下がったり、組み付けの際にリード線に外力が作用したりすると、リード線の根元に割れなどの傷がつく恐れがある。
(c) 上記の(6)に示すように、端子台を電動機ケースに締結する際に、リード線がワニス含浸により固定されているため、リード線の取り回しが自由にできなくなる恐れがあり、その場合には端子台を電動機ケースに適切に取り付けることができなくなる恐れがある。
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、特別な治具を必要とせずに端子台を電動機ケースに仮固定することができ、またリード線を傷つける恐れ無く自由な取り回しができる、組み立てが容易な電動機及び電動機の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の電動機の構成は、
電動機ケース内に固定子が収容され、前記固定子から引き出されたリード線が、前記電動機ケースに取り付けられている端子台に接続されている電動機において、
前記電動機ケースは、円筒状の筒状部と、前記筒状部の外周面に配置されると共に前記端子台が収容される収容空間が形成された端子箱を有し、
前記端子箱は、前記端子台の内周側面に接触する落下防止壁と、前記落下防止壁に対して前記収容空間を介して対向して配置されている支持枠を有し、
前記端子台は、絶縁材からなるベースと、前記ベースに配置されると共に前記リード線の端末が接続される複数の導電板と、前記導電板を区切る位置に配置されると共に前記ベースの面から立ち上がって形成された少なくとも一つの絶縁壁を有し、
前記端子台の内周側側面が前記落下防止壁に接しつつ、前記端子台が前記端子箱に挿入して収容されるときに、前記絶縁壁のうち前記ベースの外周側面から立ち上がっている部分が前記支持枠に接するように前記絶縁壁の高さが設定されていることを特徴とする。
また、前記ベースの内周側面は平面となっていることを特徴とする。
【0009】
また本発明の電動機の組立方法は、
前記端子台を前記端子箱内に挿入・収納し、挿入・収納した端子台を前記筒状部に組み付け、
前記固定子及び前記リード線を液体絶縁材で含浸処理をし、
含浸処理が完了した前記固定子を前記電動機ケースの前記筒状部内に収容し、
含浸処理が完了した前記リード線を前記端子台に接続する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、端子台を端子箱に挿入・収容する際に、端子台が落下防止壁と支持枠で支持されて仮止めがされるため、端子台を電動機ケースに簡単に取り付けることができる。
また、端子台を電動機ケースに取り付けて後に、固定子を液体絶縁材で含浸処理し、含浸処理後の固定子を電動機ケースに収容しているため、リード線が損傷する恐れが無くなり信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】端子台を備えた状態の電動機を示す正面図。
図2】端子台を備えていない状態の電動機を示す正面図。
図3】一方の端面板(ブラケット)を外した状態の電動機を示す上面図。
図4】一方の端面板(ブラケット)を外した状態の電動機ケースを示す上面図。
図5】一方の端面板(ブラケット)を外した状態で電動機の要部を示す一部斜視図。
図6】端子台を示す斜視図。
図7】端子台を示す正面図。
図8】端子台を示す上面図。
図9】端子台を示す左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電動機及び電動機の組立方法を、実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
まず、本発明の実施例に係る三相の電動機1を説明する。
図1は端子台100を備えた状態の電動機1を示す正面図であり、図2は端子台100を備えていない状態の電動機1を示す正面図であり、図3は一方の端面板(ブラケット)を外した状態の電動機1を示す上面図であり、図4は一方の端面板(ブラケット)を外した状態の電動機ケース10を示す上面図、図5は一方の端面板(ブラケット)を外した状態で電動機1の要部を示す一部斜視図である。
【0014】
なお、以下の実施例の説明では、図1図2に示すように電動機1の回転中心軸を鉛直方向に向けた状態において、図1図2の上側の面(一方側の面)や位置を「上面」や「上面側」、下側の面(他方側の面)や位置を「下面」や「下面側」と称して説明をする。
【0015】
図4に示すように、電動機1の電動機ケース10は、円筒状の筒状部11と、筒状部11の下面側に形成された端面板12と、筒状部11の上面側の端面を塞ぐ端面板(図示省略)と、端子箱13を有している。筒状部11,端面板12及び端子箱13は、アルミニウム合金などにより一体的に形成されている。上面側の端面板(図示省略)は、筒状部11の上面及び端子箱13の上面を塞ぐ状態で、筒状部11及び端子箱13にボルト締め等で締結される。
【0016】
端面板12の中心部には穴12aが形成されている。図示はしないが、上側の端面板の中心部にも穴が形成されている。
【0017】
図2及び図4に示すように、端子箱13は、その上面の位置が、筒状部11の上面の位置に一致する状態で、筒状部11の外周面に配置されている。
【0018】
端子箱13の内部には、後述する端子台100を収容する収容空間13aが形成されている。
端子箱13の上面には、端子台100を挿通させることができる開口面積となっている挿入穴13bが形成されている。
端子箱13の外周側面(筒状部11の外周面から見て径方向に沿い外側に離れて筒状部11の外周面に対向する面)には、取付作業穴13cが形成されている。
端子箱13のうち、挿入穴13bと取付作業穴13cの間にあって、電動機1の回転中心軸に沿う方向と直行する方向(図2図4では左右方向)に伸びている部分、すなわち、取付作業穴13cの上側の枠部分が、支持枠13dとなっている。
端子箱13の側面(筒状部11の周面から半径方向外側に立ち上がっている面)には、ケーブル引出穴13eが形成されている。
【0019】
収容空間13aの下面には、端子箱13内に収容された端子台100を支える支持面13fが形成されている。
端子箱13の内周側面(筒状部11の外周面に近接して筒状部11の外周面に対向する面)には、落下防止壁13gが形成されている。落下防止壁13gは、平板状の壁であり、電動機1の回転中心軸に対して平行になっている。
このため、支持枠13dは、落下防止壁13gに対して収容空間13aを介して対向する位置に配置されていることになる。しかも、端子台100が収容空間13a内に挿入・収容できるように、落下防止壁13gと支持枠13dとの間隔は、後述する端子台100の厚さ(内周側面101bと、絶縁壁103,104のうち外周側面101fから立ち上がった面の先端部分との間の寸法)に対応した長さになっている。
落下防止壁13gには、円柱状の4個の取付部14が形成されている。
【0020】
図3に示すように、電動機ケース10内には、固定子20が収容・固定されている。この固定子20の中心位置に回転子30が回転自在に配置して取り付けられている。
固定子20は、電磁鋼板を積層して形成した固定子鉄心に、三相巻線を巻装して構成されている。この固定子20からは、三相巻線に接続されているリード線21U,21V,21Wが引き出されている。固定子20は、ワニス含浸処理(液体絶縁材の含浸処理)がされた後に、焼嵌めにより、電動機ケース10内に収容・固定されたものである。
【0021】
図1図3図5に示すように、端子箱13内には端子台100が収容されて取り付けられている。固定子20から引き出されたリード線21U,21V,21Wの端子は、端子台100に取り付けられている。
【0022】
端子台100の構成を、斜視図である図6、正面図である図7、上面図である図8、左側面図である図9を参照して説明する。
なお図7に示す状態において、上側の面を「上面」、手前側の面を「外周側面」、背面側の面を「内周側面」と称して説明をする。
【0023】
端子台100のベース部101は樹脂により形成されている。このベース部101の外周側面101fは、図7の左右方向に関して中央部が高くなった2段形状になっており、内周側面101bは平面になっている
また、ベース部101には、後述する樹脂製の絶縁壁103,104が一体的に形成されている。
つまり樹脂成型により、樹脂製(絶縁材製)のベース部101及び樹脂製(絶縁材製)の絶縁壁103,104が、同時・一体的に形成されている。
【0024】
ベース部101には、3個の銅バー(導電板)102a,102b,102cが相互間隔を明けて取り付けられている。
【0025】
銅バー102aは、ベース部101の上面101uに配置されると共に、上面101uから外周側面101f側に伸び、更に外周側面101fにて直角方向に折れ曲がった形状になって配置されている。
銅バー102aのうち上面101uに配置された部分が締結部Tuになっており、銅バー102aのうち外周側面101fに配置された部分が締結部Txになっている。
【0026】
銅バー102bは、ベース部101の上面101uに配置されると共に、上面101uから外周側面101f側に伸び、更に外周側面101fにて直角方向に折れ曲がった形状になって配置されている。
銅バー102bのうち上面101uに配置された部分が締結部Tvになっており、銅バー102bのうち外周側面101fに配置された部分が締結部Tyになっている。
【0027】
銅バー102cは、ベース部101の上面101uに配置されると共に、上面101uから外周側面101f側に伸び、更に外周側面101fにて直角方向に折れ曲がった形状になって配置されている。
銅バー102cのうち上面101uに配置された部分が締結部Twになっており、銅バー102cのうち外周側面101fに配置された部分が締結部Tzになっている。
【0028】
締結部Tu,Tv,Twにはリード線21U,21V,21Wが接続され、締結部Tx,Ty,Tzには三相(3本)のケーブル(給電線)41,42,43が接続される。
【0029】
絶縁壁103は、銅バー102aと銅バー102bとを区切る位置に配置されている。この絶縁壁103は、銅バー102a,102bの折れ曲がり状態に沿って折れ曲がっており、ベース部101の上面101uから垂直に立ち上がる面と、外周側面101fから垂直に立ち上がる面とが連続して形成されている。
【0030】
絶縁壁104は、銅バー102bと銅バー102cとを区切る位置に配置されている。この絶縁壁104は、銅バー102b,102cの折れ曲がり状態に沿って折れ曲がっており、ベース部101の上面101uから垂直に立ち上がる面と、外周側面101fから垂直に立ち上がる面とが連続して形成されている。
【0031】
絶縁壁103,104のうち外周側面101fから垂直に立ち上がった面の高さは、端子台100の内周側面101bが落下防止壁13bに接しているときに、絶縁壁103,104のうち外周側面101fから垂直に立ち上がった面の先端部分の辺が支持枠13dに接するように、設定されている。
【0032】
端子台100のベース部101の左右両側には、取付部105が形成されている。
【0033】
ここで、電動機1の組立手順について説明をする。
先ず、端子台100を、端子箱13の挿入口13bから挿入して端子箱13の収容空間13aに挿入していく。このように挿入していって、端子台100の先端(下端)が支持面13fに当接することで、端子台100が収容空間13aに収容される。
【0034】
端子台100を端子箱13の収容空間13aに挿入していくときには、端子台100の内周側面101bが端子箱13の落下防止壁13gに摺接し、絶縁壁103,104のうち外周側面101fから立ち上がった面の先端部分の辺が端子箱13の支持枠13dに摺接する。
このため、端子台100を端子箱13の収容空間13aに挿入していくときにおいて、端子台100が筒状部11の内部側に落ちたり、筒状部11の外部側(端子箱13の外側)に落ちたりすることはない。
【0035】
端子台100が端子箱13の収容空間13aに収容されたときには、端子台100の内周側面101bが端子箱13の落下防止壁13gに当接し、絶縁壁103,104のうち外周側面101fから立ち上がった面の先端部分の辺が端子箱13の支持枠13dに当接する。
このため、端子台100が端子箱13の収容空間13aに収容されたときにおいて、端子台100が筒状部11の内部側に落ちたり、筒状部11の外部側(端子箱13の外側)に落ちたりすることはない。
つまり、端子台100を端子箱13の収容空間13に挿入・収容するだけで、端子台100を端子箱13内に仮止めすることができる。
【0036】
このように端子箱13内に端子台100を仮止めしたら、取付作業穴13cからボルトを、端子台100の取付部105に差し込んで、落下防止壁13gに形成した取付部14にねじ込んでいく。この締結作業をすることにより、端子台100が、電動機ケース10(筒状部11)に組み付けられる(締着される)。
【0037】
一方、リード線21U,21V,21Wの長さ及び位置を、後工程おいて端子台100に最適に接続できるように、長さ及び位置の調整をする。このようにリード線21U,21V,21Wの長さ及び位置の調整が完了した固定子20をワニス含浸処理する。
【0038】
ワニス含浸処理が完了した固定子20を、電動機ケース10内に収容・固定する。
【0039】
リード線21U,21V,21Wを、端子台100の締結部Tu,Tv,Twに接続する。なおリード線21U,21V,21Wは含浸処理されて固まってはいるが、長さ及び位置の調整が既にされているので、リード線21U,21V,21Wの位置を微調整する程度で、リード線21U,21V,21Wを、端子台100の締結部Tu,Tv,Twに容易に接続することができる。
【0040】
固定子20の中心位置に回転子30を回転自在に配置して取り付ける。
また三相(3本)のケーブル(給電線)41,42,43を、端子台100の締結部Tx,Ty,Tzに接続する。
【0041】
本実施例では、端子台100を端子箱13の収容空間13aに挿入するとき、及び、端子台100を端子箱13の収容空間13aに収容したときに、端子台100の内周側面101bが落下防止壁13gで支持され、端子台100の絶縁壁103,104が支持枠13dで支持される。このため、端子台100を端子箱13に挿入・収容するだけで、端子台100の仮止めができる。
よって、特別な治具が不要になり、組立作業が容易になる。また端子台100の構造が簡単になる。
【0042】
端子台100を電動機ケース10に先に組み付けておき、端子台100が接続されていない固定子20(リード線21U,21V,21W)をワニス含浸処理し、ワニス含浸処理済みの固定子20を電動機ケース10に収容・固定している。このため、リード線21U,21V,21Wの長さと位置を調整し接続時の微調整をするだけで、リード線21U,21V,21Wを端子台100に適切に接続することができ、作業性が向上すると共に、組立作業を自動化することも容易になる。
【0043】
固定子20を液体絶縁材(ワニス)で含浸処理するときや、固定子20を電動機ケース10に収容・固定するときには、リード線21U,21V,21Wは端子台100には接続されていない。
このため、固定子20を液体絶縁材(ワニス)で含浸処理するときや、固定子20を電動機ケース10に収容・固定するときにおいて、リード線21U,21V,21Wに端子台100による荷重が作用することはなく、リード線21U,21V,21Wが傷つく恐れが無くなり、信頼性が向上する。
【0044】
なお上記実施例では、2つの絶縁壁103,104を備えているが、いずれか一つの絶縁壁を備えるようにしてもよい。
また上記の例は三相の電動機を対象としているが、三相以外の電動機であっても本発明を適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 電動機
10 モータ
11 筒状部
12 端面板
12a 穴
13 端子箱
13a 収容空間
13b 挿入穴
13c 取付作業穴
13d 支持枠
13e ケーブル引出穴
13f 支持面
13g 落下防止壁
14 取付部
20 固定子
21U,21V,21W リード線
30 回転子
41,42,43 ケーブル
100 端子台
101 ベース部
101u 上面
101f 外周側面
101b 内周側面
102a,102b,102c 銅バー(導電板)
103,104 絶縁壁
105 取付部
Tu,Tv,Tw,Tx,Ty,Tz 締結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9