(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957764
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】キャップ及びそれを備えた容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
B65D41/34
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-254954(P2012-254954)
(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2014-101137(P2014-101137A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】312011811
【氏名又は名称】加藤 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 卓也
【審査官】
浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5992657(US,A)
【文献】
米国特許第3233769(US,A)
【文献】
米国特許第4144983(US,A)
【文献】
特開2011−184096(JP,A)
【文献】
特表2006−521516(JP,A)
【文献】
特開2006−341924(JP,A)
【文献】
実開平01−168450(JP,U)
【文献】
特表2010−530834(JP,A)
【文献】
実開昭53−108558(JP,U)
【文献】
実開昭49−097255(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に螺状部が形成され、中間部に環状顎部が形成され、下部に環状頸部がそれぞれ形成された口部を有する容器体の該螺状部に螺着されるキャップ部、及び、該キャップ部の下部に千切破断部を介して連結され、該環状顎部に折返し状に係止可能な弾性片が設けられ、該環状顎部と該環状頸部との間に回転自在に設けられ、開栓表示機能を奏するリング部からなり、上記リング部の回転操作により上記キャップ部の不測の開栓回転を阻止するロック機構を備えてなり、上記ロック機構として、上記リング部の外周面に先端部を楔状に形成した突起部を配設し、上記キャップ部に該リング部の回転操作により該突起部が嵌着してキャップ部の不測の開栓回転を阻止するロック状態とすると共に該突起部が離脱して該ロック状態が解除される解除状態とする突起嵌脱部を設けてなることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
上記突起部及び上記突起嵌脱部は、それぞれ対向して二個一対設けられていることを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
上記突起嵌脱部として、上記キャップ部の外周面に垂下部を片持状に垂設し、該垂下部に上記突起部が嵌着される嵌脱孔部を形成してなることを特徴とする請求項1又は2記載のキャップ。
【請求項4】
上記垂下部の下面を上記キャップ部の閉栓回転方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜下面に形成すると共に上記突起部の上面を上記傾斜下面に対面して上記キャップ部の閉栓回転方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜上面に形成してなることを特徴とする請求項3記載のキャップ。
【請求項5】
上記リング部に規制突部を配設し、上記キャップ部に該規制突部に当接して該キャップ部の開栓回転時に上記突起嵌脱部への上記突起部の嵌着を防ぐ当接部を配設してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
上記キャップ部の上記垂下部を除く周囲部分に垂下周壁部を形成してなることを特徴とする請求項3又は4記載のキャップ。
【請求項7】
上記リング部に上記突起嵌脱部の嵌脱孔部が掛止可能な掛止部を形成してなることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項8】
上記請求項1〜7のいずれか1項に記載のキャップを備えてなる容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばペットボトルなどの合成樹脂製容器や金属製の容器等の口部に用いられるキャップ及びそれを備えた容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップ及びそれを備えた容器として、上部に螺状部が形成され、中間部に環状顎部が形成され、下部に環状頸部がそれぞれ形成された口部を有する容器体の螺状部に螺着されるキャップ部、及び、キャップ部の下部に千切破断部を介して連結され、環状顎部に折返し状に係止可能な弾性片を有して開栓表示機能をもつリング部からなる構造のものが知られている。
【0003】
しかして、キャップ部の開栓回転によりキャップ部からリング部が千切破断部で切り離され、リング部が容器体の口部に残留し、リング部がタンパーエビデンスバンドとして開栓表示機能を果たすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−184096
【特許文献2】実公昭57−009240号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来構造の場合、
初期の閉栓(出荷時の閉栓状態)から開封した後の閉栓(再封時の閉栓状態)後において、誤って、上記キャップ部を開栓回転させてしまうおそれがあり、この不測の開栓により、飲料の炭酸抜けによる風味の低下が生じたり、或いは、液剤の揮発や液漏れにより幼児や老人に対する安全性が低下したりすることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、上部に螺状部が形成され、中間部に環状顎部が形成され、下部に環状頸部がそれぞれ形成された口部を有する容器体の該螺状部に螺着されるキャップ部、及び、該キャップ部の下部に千切破断部を介して連結され、該環状顎部に折返し状に係止可能な弾性片が設けられ、該環状顎部と該環状頸部との間に回転自在に設けられ、開栓表示機能を奏するリング部からなり、上記リング部の回転操作により上記キャップ部の不測の開栓回転を阻止するロック機構を備えてな
り、上記ロック機構として、上記リング部の外周面に先端部を楔状に形成した突起部を配設し、上記キャップ部に該リング部の回転操作により該突起部が嵌着してキャップ部の不測の開栓回転を阻止するロック状態とすると共に該突起部が離脱して該ロック状態が解除される解除状態とする突起嵌脱部を設けてなることを特徴とするキャップにある。
【0007】
又、請求項2記載の発明は
、上記突起部及び上記突起嵌脱部は、それぞれ対向して二個一対設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
又、請求項
3記載の発明は、上記突起嵌脱部として、上記キャップ部の外周面に垂下部を片持状に垂設し、該垂下部に上記突起部が嵌着される嵌脱孔部を形成してなることを特徴とするものであり、又、請求項
4記載の発明は、上記垂下部の下面を上記キャップ部の閉栓回転方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜下面に形成すると共に上記突起部の上面を上記傾斜下面に対面して上記キャップ部の閉栓回転方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜上面に形成してなることを特徴とするものであり、又、請求項
5記載の発明は、上記リング部に規制突部を配設し、上記キャップ部に該規制突部に当接して該キャップ部の開栓回転時に上記突起嵌脱部への上記突起部の嵌着を防ぐ当接部を配設してなることを特徴とするものである。
【0009】
又、請求項
6記載の発明は、上記キャップ部の上記垂下部を除く周囲部分に垂下周壁部を形成してなることを特徴とするものであり、又、請求項
7記載の発明は、上記リング部に上記突起嵌脱部の嵌脱孔部が掛止可能な掛止部を形成してなることを特徴とするものである。
【0010】
又、請求項
8記載の発明は、上記請求項1〜
7のいずれか1項に記載のキャップを備えてなる容器にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述の如く、請求項1又は請求項
8記載の発明にあっては、上部に螺状部が形成され、中間部に環状顎部が形成され、下部に環状頸部がそれぞれ形成された口部を有する容器体の螺状部に螺着されるキャップ部、及び、キャップ部の下部に千切破断部を介して連結され、環状顎部に折返し状に係止可能な弾性片が設けられ、環状顎部と環状頸部との間に回転自在に設けられ、開栓表示機能を奏するリング部からなり、上記リング部の回転操作により上記キャップ部の不測の開栓回転を阻止するロック機構を備えてなるから、ロック機構の存在により、閉栓後において、誤って、上記キャップ部を開栓回転させてしまうことを未然に防ぐことができ、この不測の開栓により、飲料の炭酸抜けによる風味の低下を防ぐことができ、開栓後における品質の維持を図ることができ、或いは、液剤の揮発や液漏れを防ぐことができ、幼児や老人に対する安全性を高めることができ、ロック操作及び解除操作は、上記リング部の回転操作により行う構造であるから、ロック操作及び解除操作を容易に行うことができ、使用の利便性並びに各種の容器体に対する適用の融通性を高めることができ
、かつ、上記ロック機構として、上記リング部の外周面に先端部を楔状に形成した突起部を配設し、上記キャップ部にリング部の回転操作により突起部が嵌着してキャップ部の不測の開栓回転を阻止するロック状態とすると共に突起部が離脱してロック状態が解除される解除状態とする突起嵌脱部を設けてなるから、ロック機構の構造を簡素化することができると共に製作を容易に行うことができる。
【0012】
又、請求項
2記載の発明にあっては、上記突起部及び上記突起嵌脱部は、それぞれ、対向して二個一対設けられているから、キャップ部のロック状態の安定化、ロック操作及び解除操作の円滑化を図ることができる。
【0013】
又、請求項
3記載の発明にあっては、上記突起嵌脱部として、上記キャップ部の外周面に垂下部を片持状に垂設し、垂下部に上記突起部が嵌着される嵌脱孔部を形成してなるから、突起部と嵌脱孔部との嵌脱を容易に行うことができ、ロック操作及び解除操作の円滑化を図ることができ、又、請求項
4記載の発明にあっては、上記垂下部の下面を上記キャップ部の閉栓回転方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜下面に形成すると共に上記突起部の上面を上記傾斜下面に対面して上記キャップ部の閉栓回転方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜上面に形成してなるから、キャップ部の閉栓回転を円滑に行うことができ、それだけ、キャップ部の開栓及び閉栓を円滑に行うことができ、又、請求項
5記載の発明にあっては、上記リング部に規制突部を配設し、上記キャップ部に規制突部に当接してキャップ部の開栓回転時に上記突起嵌脱部への上記突起部の嵌着を防ぐ当接部を配設してなるから、規制突部と当接部との当接により上記突起嵌脱部への上記突起部の嵌着を防いで、キャップ部の開栓回転を円滑に行うことができる。
【0014】
又、請求項
6記載の発明にあっては、上記キャップ部の上記垂下部を除く周囲部分に垂下周壁部を形成しているから、キャップ部の垂下部及び垂下周壁部が環状に連続して存在することにより、キャップ部に垂下部が垂設されている特異な形態に比べ、全体形態から生ずる違和感を無くすことができ、又、請求項
7記載の発明にあっては、上記リング部の掛止部に上記突起嵌脱部の嵌脱孔部が掛止可能な掛止部を形成しているから、開栓したキャップ部を掛け止めすることができ、キャップ部の紛失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の実施の第一形態例のキャップ部の側面図である。
【
図3】本発明の実施の第一形態例のキャップ部の側断面図である。
【
図4】本発明の実施の第一形態例のリング部の側断面図である。
【
図5】本発明の実施の第一形態例のリング部の平面図である。
【
図6】本発明の実施の第一形態例の出荷時の部分側断面図である。
【
図7】本発明の実施の第一形態例の
図6の平断面図である。
【
図8】本発明の実施の第一形態例の開栓過程の側面図である。
【
図9】本発明の実施の第一形態例の
図8の平断面図である。
【
図10】本発明の実施の第一形態例の開栓過程の側面図である。
【
図11】本発明の実施の第一形態例の
図10の平断面図である。
【
図12】本発明の実施の第一形態例の開栓斜視図である。
【
図13】本発明の実施の第一形態例の閉栓過程の側面図である。
【
図14】本発明の実施の第一形態例の
図13の平断面図である。
【
図15】本発明の実施の第一形態例の閉栓過程の側面図である。
【
図16】本発明の実施の第一形態例の閉栓過程の側面図である。
【
図17】本発明の実施の第一形態例の閉栓過程の側面図である。
【
図18】本発明の実施の第一形態例の閉栓過程の側面図である。
【
図19】本発明の実施の第一形態例のロック過程の側面図である。
【
図20】本発明の実施の第一形態例の
図19の平断面図である。
【
図21】本発明の実施の第一形態例のロック時の側面図である。
【
図22】本発明の実施の第一形態例の
図21の平断面図である。
【
図23】本発明の実施の第一形態例の
図21の部分縦断面図である。
【
図24】本発明の実施の第一形態例のロック解除過程の側面図である。
【
図25】本発明の実施の第一形態例の
図24の平断面図である。
【
図26】本発明の実施の第二形態例のキャップ部の斜視図である。
【
図27】本発明の実施の第二形態例のキャップ部の側面図である。
【
図28】本発明の実施の第二形態例のキャップ部の平面図である。
【
図29】本発明の実施の第二形態例の側断面図である。
【
図30】本発明の実施の第三形態例のリング部の斜視図である。
【
図31】本発明の実施の第三形態例の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至
図25の第一形態例において、
図1乃至
図5の如く、大別して、容器体1の口部Kに螺着されるキャップ部2及びリング部3からなり、容器体1にあっては、口部Kの上部に螺状部1aが形成され、中間部に環状顎部1bが形成され、下部に環状頸部1cがそれぞれ形成され、この口部Kを有する容器体1の螺状部1aにキャップ部2が螺着され、キャップ部2の内周面に雌螺子部2cが形成され、キャップ部2の上壁内面に内鍔部2dが形成され、このキャップ部2の下部に千切破断部Sを介してリング部3が連結され、リング部3にあっては、環状顎部1bの底周部に
先端部が折返し状に係止可能な弾性片3aが設けられ、環状顎部1bと環状頸部1cとの間に回転自在に設けられ、キャップ部2の開栓回転Lによりキャップ部2からリング部3が千切破断部Sで切り離され、リング部3が容器体1の口部Kに残留し、リング部3がタンパーエビデンスバンド(改変されたときの証拠)として開栓表示機能を奏する。
【0018】
4はロック機構であって、上記リング部3の回転操作Mにより上記キャップ部2の不測の開栓回転Lを阻止する構造を備えてなり、この場合、
図1乃至
図5の如く、上記リング部3の外周面に先端部5aを楔状に形成した突起部5を配設し、上記キャップ部2にリング部3の回転操作Mにより突起部5が嵌着してキャップ部2の不測の開栓回転Lを阻止するロック状態とすると共に突起部5が離脱してロック状態が解除される解除状態とする突起嵌脱部6を設けて構成している。
【0019】
又、この場合、上記突起部5及び上記突起嵌脱部6は、それぞれ対向して二個一対設けられ、この場合、リング部3の四等配位置に突起部5及び上記突起嵌脱部6を交互に配置形成している。
【0020】
又、この場合、上記突起嵌脱部6として、上記キャップ部2の外周面に垂下部2aを片持状に垂設し、垂下部2aに上記突起部5が嵌着される嵌脱孔部6aを形成し、嵌脱孔部6aの回転方向両側部の内面に薄肉溝部Hを形成してなり、又、この場合、
図15、
図16の如く、キャップ部2の螺状部1aのリード角を考慮して、上記垂下部2aの下面を上記キャップ部2の閉栓回転R方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜下面6bに形成すると共に上記突起部5の上面を上記傾斜下面6bに対面して上記キャップ部2の閉栓回転R方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜上面5bに形成して構成している。この場合、この傾斜上面5bと上記傾斜下面6bとは互いに密着するおそれがある平行な面とはされてはおらず、開き角θで対面するように形成されている。
【0021】
又、この場合、
図1、
図8の如く、上記リング部3に規制突部7を配設し、上記キャップ部2に規制突部7に当接してキャップ部2の開栓回転L時に上記突起嵌脱部6への上記突起部5の嵌着を防ぐ当接部8を配設して構成している。
【0022】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、開栓過程について、
図6乃至
図12を参照して説明すると、初期状態(商品購入時)において、
図6、
図7の如く、上記キャップ部2及び上記リング部3は容器体1の口部K
に装着されており、この初期状態において
、キャップ部2を開栓回転L(平面からみて反時計廻り)させると、
キャップ部2は螺状部1aの螺着回転により上昇し、千切破断部Sによりキャップ部2とリング部3とが切り離され、図8、図9の如く、回転途中において、突起嵌脱部6の当接部8にリング部3の規制突部7が当接し、開栓回転Lによりリング部3はキャップ部2と連れ廻りされ、キャップ部2の開栓回転L時に上記突起嵌脱部6への上記突起部5の嵌着を防ぐことになり、更なる開栓回転Lにより、
図10、
図11の如く、当接部8から規制突部7が離反し、キャップ部2の垂下部2aの側面に突起部5の先端部5aが当接し、キャップ部2の開栓回転Lによりリング部3は連れ廻りされ、
図12の如く、リング部3は容器体1の口部Kに残留し、キャップ部2は口部Kから離脱して開栓過程が完了することになる。
【0023】
この開栓過程終了からの閉栓過程について、
図13乃至
図18を参照して説明すると、
図13、
図14の如く、キャップ部2を閉栓回転R(平面からみて時計廻り)させると、回転途中において、突起部5の基端部に垂下部2aの側面が当接し、リング部3はキャップ部2の閉栓回転Rに連れ廻りされ、この際、螺状部1aのリード角の存在により、
図15から
図16の如く、嵌脱突起部5と突起部5とが接触しない状態でキャップ部2は閉栓回転Rしながら降下し、あるいは、
図17の如く、嵌脱突起部6と突起部5とが折衝したとしても、
図18の如く、リング部3はキャップ部2と連れ
廻りすることになり、
図6、
図7の如く、キャップ部2の上壁内面と容器体1の口部Kの上端面とが衝接し合い、キャップ部2とリング部3とは千切破断部Sを境に対向して閉栓過程が終了する。
【0024】
そして、この閉栓過程終了後におけるキャップ部2の不測の開栓回転Lを阻止するロック過程及び解除過程について、
図19乃至
図25を参照して説明すると、
図19、
図20の如く、リング部3を回転操作M(平面からみて時計廻り)させると、リング部3の突起部5は突起嵌脱部6の薄肉溝部Hを経て嵌脱孔部6aへと進入し、このとき突起嵌脱部6の薄肉溝部Hは弾性拡張変形し、及び、突起嵌脱部6が
備える垂下部2aの片持状態により弾性反り変形し、
図21、
図22、
図23の如く、突起部5は突起嵌脱部6に嵌着されてロック状態とされ、このロック状態において、キャップ部2を、
図8に示す開栓回転Lさせようとすると、リード角の存在によりキャップ部2は開栓回転Lしつつ上昇し、これによりキャップ部2
に形成された突起嵌脱部6の嵌脱孔部6aの下内面と突起部5の底面とが衝接し合い、キャップ部2の開栓回転Lが阻止されることになる。
【0025】
そして、このロック状態の解除過程において、
図24、
図25の如く、リング部3を回転操作M(平面からみて時計廻り)させると、突起部5は突起嵌脱部6の嵌脱孔部6aから薄肉溝部Hを経て離脱し、このとき、突起嵌脱部6の薄肉溝部Hは弾性拡張変形し、及び、突起嵌脱部6が形成された垂下部2aの片持状態により弾性反り変形し、この突起嵌脱部6からの突起部5の離脱により、
図21、
図22、
図23に示すロック状態から
図6、
図7に示す解除状態となる。
【0026】
したがって、上部に螺状部1aが形成され、中間部に環状顎部1bが形成され、下部に環状頸部1cがそれぞれ形成された口部Kを有する容器体1の螺状部1aに螺着されるキャップ部2、及び、キャップ部2の下部に千切破断部Sを介して連結され、環状顎部1bに折返し状に係止可能な弾性片3aが設けられ、環状顎部1bと環状頸部1cとの間に回転自在に設けられ、開栓表示機能を奏するリング部3からなり、上記リング部3の回転操作Mにより上記キャップ部2の不測の開栓回転Lを阻止するロック機構4を備えてなるから、ロック機構4の存在により、閉栓後において、誤って、上記キャップ部2を開栓回転Lさせてしまうことを未然に防ぐことができ、この不測の開栓により、飲料の炭酸抜けによる風味の低下を防ぐことができ、開栓後における品質の維持を図ることができ、或いは、液剤の揮発や液漏れを防ぐことができ、幼児や老人に対する安全性を高めることができ、ロック操作及び解除操作は、上記リング部3の回転操作Mにより行う構造であるから、ロック操作及び解除操作を容易に行うことができ、使用の利便性並びに各種の容器体1に対する適用の融通性を高めることができる。
【0027】
この場合、上記ロック機構4として、上記リング部3の外周面に先端部5aを楔状に形成した突起部5を配設し、上記キャップ部2にリング部3の回転操作Mにより突起部5が嵌着してキャップ部2の不測の開栓回転Lを阻止するロック状態とすると共に突起部5が離脱してロック状態が解除される解除状態とする突起嵌脱部6を設けてなるから、ロック機構4の構造を簡素化することができると共に製作を容易に行うことができ、又、この場合、上記突起部5及び上記突起嵌脱部6は、それぞれ対向して二個一対設けられているから、キャップ部2のロック状態の安定化、ロック操作及び解除操作の円滑化を図ることができる。
【0028】
又、この場合、上記突起嵌脱部6として、上記キャップ部2の外周面に垂下部2aを片持状に垂設し、垂下部2aに上記突起部5が嵌着される嵌脱孔部6aを形成してなるから、突起部5と嵌脱孔部6aとの嵌脱を容易に行うことができ、ロック操作及び解除操作の円滑化を図ることができ、又、この場合、上記垂下部2aの下面を上記キャップ部2の閉栓回転R方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜下面6bに形成すると共に上記突起部5の上面を上記傾斜下面6bに対面して上記キャップ部2の閉栓回転R方向前方に向かうに従って次第に下る傾斜上面5bに形成してなるから、キャップ部2の閉栓回転Rを円滑に行うことができ、それだけ、キャップ部2の開栓及び閉栓を円滑に行うことができ、又、この場合、上記リング部3に規制突部7を配設し、上記キャップ部2に規制突部7に当接してキャップ部2の開栓回転L時に上記突起嵌脱部6への上記突起部5の嵌着を防ぐ当接部8を配設してなるから、規制突部7と当接部8との当接により上記突起嵌脱部6への上記突起部5の嵌着を防いで、キャップ部2の開栓回転Lを円滑に行うことができる。
【0029】
図26乃至
図29の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例の上記キャップ部2の上記垂下部2aを除く周囲部分に垂下周壁部2b・2bを形成している。
【0030】
この第二形態例にあっては、上記キャップ部2の上記垂下部2aを除く周囲部分に垂下周壁部2b・2bを形成しているから、キャップ部2の垂下部2a・2a及び垂下周壁部2b・2bが環状に連続して存在することにより、キャップ部2に垂下部2aが垂設されている特異な形態に比べ、全体形態から生ずる違和感を無くすことができ、又、上記垂下部2a・2a及び垂下周壁部2b・2bの直径を
キャップ部2の直径より大きくすることにより
キャップ部2の回転操作を容易に行うことができる。
【0031】
図30乃至
図31の第三形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例の上記リング部3に上記突起嵌脱部6の嵌脱孔部6aが掛止可能な掛止部3bを形成している。
【0032】
この第三形態例にあっては、
図31の如く、上記リング部3の掛止部3bに上記突起嵌脱部6の嵌脱孔部6aが掛止可能な掛止部3bを形成しているから、開栓したキャップ部2を掛け止めすることができ、キャップ部2の紛失を防ぐことができ、又、上記リング部3の掛止部3bはリング部3の直径より大きいので、リング部3の回転操作を容易に行うことができる。
【0033】
尚、本発明は、上記実施の形態例に限られるものではなく、容器体1、キャップ部2、リング部3の材質や形態、ロック機構4の構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0034】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0035】
K 口部
S 千切破断部
R 閉栓回転
L 開栓回転
M 回転操作
1 容器体
1a 螺状部
1b 環状顎部
1c 環状頸部
2 キャップ部
2a 垂下部
2b 垂下周壁部
3 リング部
3a 弾性片
3b 掛止部
4 ロック機構
5 突起部
5a 先端部
5b 傾斜上面
6 突起嵌脱部
6a 嵌脱孔部
6b 傾斜下面
7 規制突部
8 当接部