特許第5957787号(P5957787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5957787光電変換デバイスの製造方法及び光電変換デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957787
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】光電変換デバイスの製造方法及び光電変換デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/44 20060101AFI20160714BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20160714BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   H01L31/04 130
   H05B33/26 Z
   H05B33/02
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-533649(P2013-533649)
(86)(22)【出願日】2012年9月9日
(86)【国際出願番号】JP2012072999
(87)【国際公開番号】WO2013039020
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年11月5日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2011/071049
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2011/071051
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-97189(P2012-97189)
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-97190(P2012-97190)
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】長草 善孝
(72)【発明者】
【氏名】潮田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】川村 洋一
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−052953(JP,A)
【文献】 特表2005−533349(JP,A)
【文献】 特開2006−165149(JP,A)
【文献】 特開平10−199680(JP,A)
【文献】 特開昭49−120593(JP,A)
【文献】 特開昭57−172778(JP,A)
【文献】 特開平06−151915(JP,A)
【文献】 特開2005−011841(JP,A)
【文献】 特開2004−103939(JP,A)
【文献】 特開2008−135657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正孔輸送材料及び電子輸送材料のうちの少なくとも一方の材料を溶媒中に含有させた材料含有液を電極構造体に付着させ、該電極構造体に付着させた材料から有機半導体を該電極構造体に接した状態で形成する光電変換デバイスの製造方法において、
複数の導電線材を該導電線材の配置間隔を調整する配置調整用線材とともに一体的に連結した上記電極構造体を準備し、
上記配置調整用線材を溶解可能な上記溶媒を用いて上記材料含有液を調製し、
該材料含有液を上記電極構造体に接触させることで、上記配置調整用線材を溶解すると共に少なくとも上記一方の材料を上記導電線材に付着させて上記有機半導体を形成する、光電変換デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記導電線材間に前記配置調整用線材を介在させることで該導電線材間を互いに所定間隔で離間させた前記電極構造体を準備する、請求項1に記載の光電変換デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記複数の導電線材及び前記配置調整用線材からなる複数の縦線材と、該複数の縦線材と交差して配置した複数の横線材とを備えた前記電極構造体を準備し、
上記配置調整用線材を溶解可能で上記横線材を溶解不能な前記溶媒を用いて前記材料含有液を調製する、請求項1に記載の光電変換デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記正孔輸送材料及び前記電子輸送材料を含有した前記材料含有液を調製して前記電極構造体に接触させ、p型有機半導体を一部の前記導電線材に接続した状態で形成すると共にn型有機半導体を他部の上記導電線材に接続した状態で形成する、請求項1に記載の光電変換デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記材料含有液を前記電極構造体の片面側に付着させる、請求項1に記載の光電変換デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記複数の導電線材が前記配置調整用線材とともに一体化された電極部を複数有し、該複数の電極部が対向配置された状態で支持線材により支持された前記電極構造体を準備し、
上記配置調整用線材を溶解可能で上記支持線材を溶解不能な前記溶媒を用いて前記材料含有液を調製する、請求項1に記載の光電変換デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記光電変換デバイスが有機半導体薄膜太陽電池である、請求項1乃至6の何れかに記載の光電変換デバイスの製造方法。
【請求項8】
光エネルギーと電気エネルギーとを変換する光電変換層と、前記光電変換層の片面側に設けられる電極と、を備え、
前記電極が、複数の縦線材と、複数の横線材と、を備え、
前記縦線材と前記横線材とは1本ごとに交差してネットを構成し、
前記縦線材は、複数の第1導電線材と複数の第2導電線材と複数の第1絶縁線材とからなり、
前記第1導電線材と前記第2導電線材とが間隔をあけて同一面上に交互に並べられており、前記第1導電線材と前記第2導電線材との間に前記間隔の直径を有する前記第1絶縁線材が設けられ、
前記横線材は第2絶縁線材からなり、
前記第1導電線材がp型電極として機能し、前記第2導電線材がn型電極として機能する、光電変換デバイス。
【請求項9】
前記第1絶縁線材が、前記第1導電線材と前記第2導電線材との間に複数設けられている、請求項8に記載の光電変換デバイス。
【請求項10】
透明の保護層が前記光電変換層上に設けられている、請求項8又は9に記載の光電変換デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換デバイスの製造方法及び光電変換デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換デバイスは、光を電気エネルギーに変換するデバイス及び電気エネルギーを光に変換するデバイスである。前者の例としては太陽電池などがあり、後者の例としては発光ダイオードなどがある。
【0003】
今日、クリーンエネルギーの一つとして太陽電池による電力供給の必要性が再認識されている。太陽電池には、Si太陽電池、化合物太陽電池のほか有機半導体薄膜太陽電池など各種のものがある。
【0004】
Si太陽電池の中で単結晶Si太陽電池を例にとって説明すると、p型の単結晶ウエハに気相拡散やn型不純物イオンの打ち込み等によってウエハの表面層をn型半導体にするなどして、pn接合やpin接合が作られる。そして表面電極と裏面電極とを形成してサンドイッチ構造の太陽電池が作製される。
【0005】
化合物太陽電池の中には各種のものがあるが、エネルギー変換効率が高く、経年変化による光劣化が起こりにくく、耐放射性特性に優れ、光吸収波長領域が広く、光吸収係数が大きいといった利点を有するカルコパイライト型太陽電池を例にとって説明する。これはI族、III族及びVI族の元素を構成成分とするカルコパイライト化合物(Cu(In+Ga)Se)から成るCIGS層をp型の光吸収層として備えた太陽電池である(例えば特許文献1)。
【0006】
このCIGS層を備えた太陽電池は、一般的に、ソーダライムガラス(SLG)基板といったガラス基板上に、Mo金属層からなる正極たる裏面電極1層と、SLG基板に由来して生じるNaムラを防止するためのNaディップ層と、CIGS光吸収層と、n型のバッファ層と、負極たる透明電極層による最外表面層と、を備えた多層積層構造で構成される。ここで、n型のバッファ層はCdS、ZnO、InSなどで形成され、透明電極層はZnOAlなどが用いられる。
【0007】
この多層積層構造は、表面の受光部から照射光が入射すると、多層積層構造のp−n接合付近では、バンドギャップ以上のエネルギーを有する照射光によって励起されて一対の電子及び正孔が生じる。励起された電子と正孔とは拡散によりp−n接合部に達し、接合の内部電界により、電子がn領域に、正孔がp領域に集合して分離される。この結果、n領域が負に帯電し、p領域が正に帯電し、各領域に設けた電極間で電位差が生じる。この電位差を起電力として、各電極間を導線で結線したときに光電流が得られる。
【0008】
CIGS光吸収層は次のような工程によって得られる。即ち、In層とCu−Ga層とを積層状態にして前駆体として備える基板自体をアニール処理室内に収容してプレヒートを行う。その後、アニール処理室内に挿入したガス導入管によってHSeガスを導入しつつ室内を500乃至520℃の温度範囲に昇温することによって、前駆体をCIGS層に変換する。
【0009】
近年、有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池は簡易な成膜法により形成できるため、製造が容易で大量生産に適した太陽電池として注目されている。この有機薄膜太陽電池として、所謂バルクヘテロジャンクション構造やナノ相分離構造を有するものが種々提案されている。これらの構造ではp型有機半導体とn型有機半導体との接触界面を広く確保できるため光電変換効率を向上できる。
【0010】
このような有機薄膜太陽電池は、例えば正孔輸送材料及び電子輸送材料を各種の溶媒に溶解して材料含有液を調製し、電極表面に材料含有液を付着させ、付着させた材料からp型有機半導体やn型有機半導体を備えた光電変換層を形成することで製造されている。
【0011】
例えば下記特許文献2には、基板の一方面上に、陽極、バルクヘテロジャンクション構造を有する光電変換層、陰極が順に積層された有機薄膜太陽電池が提案されている。この特許文献1では、酸化銀と還元剤からなる陰極と、陰極近傍に有機金属をドープした電子輸送層を塗布した積層構造とすることにより、低温で陰極が形成されるだけでなく、有機金属ドープ層と陰極との接合が改良されるとしている。
【0012】
一方、製造が容易で大量生産に適した光電変換デバイスの電極として、導電性を有する線材を使用したものが知られている。例えば下記特許文献3には、金属線を織った網状電極体を光起電力体の表面上に接合することで光起電力素子等を製造する方法が提案されている。この特許文献2では、金属線を配線することで、印刷やリソグラフィー等を用いた配線に比べて線の細さと厚みとのアスペクト比を適切に調整できると共に、コストを低減でき、また網状に織ることで配線を高速化できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−196771号公報
【特許文献2】特開2011−124468号公報
【特許文献3】特開2006−165149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の構造においては、pn接合となる領域を挟んで一対の電極を設けていた。そのため、光照射側の電極は、光透過性がよく、かつ電気抵抗が小さいものが必要となり、光照射側の電極は高価なレアメタルを蒸着やメッキにより形成しなければならなかった。それに伴い製造プロセスも複雑であった。
【0015】
従来の有機EL(Electro Luminescence)を用いた単色又はカラーの発光装置では、例えばアルミ板とITO付きガラス基板との間に有機EL材料を閉じ込めてその外周縁部を封止し、アルミ板とITOとの間に電圧を印加することで有機ELを発光させていた。また、アルミ板の代わりにアルミ箔を用い、ITO付きガラス基板の代わりにITO付き透明樹脂シートを用いて、発光装置にフレキシブル性を付与していた。
【0016】
このような発光装置は、面で一様に発光するため、液晶表示装置のバックライト照明として用いられている。液晶表示装置はバックライト照明部上に液晶パネルを設けている。液晶パネルは、TFT(Thin Film Transistor)基板とCF(Color Filer)基板とを貼り合わせてその間に液晶分子を封入して構成されていた。TFT基板とはTFT素子がマトリックス状に形成された基板であり、CF基板とはカラーフィルターが形成されている基板である。
【0017】
しかし従来の発光装置では、アルミ箔及びITO付き透明樹脂シートを用いても、湾曲には限界があった。なぜなら、有機EL材料からなる発光層が、アルミ箔やITOと層間で剥離してしまい、発光層全面に電圧が印加されず、発光ムラが生じるからである。
【0018】
さらに、正孔輸送材料や電子輸送材料を含有する材料含有液を用いた従来の光電変換デバイスの製造方法では、電極を保持するために基板が使用されるなど電極の柔軟性を確保し難く、十分な柔軟性を有する光電変換デバイスが得られなかった。しかも電極間にp型有機半導体及びn型有機半導体を多数配置することで、接触界面を広くして光電変換の性能を確保するため、電極間に配置される有機半導体が不足したり不均一に配置されたりすると、その分光電変換の性能が低下していた。
【0019】
従来の、導電性を有する導電線材を使用した柔軟性のある電極では、複数の線材を配列した際、各線材の位置ずれ、撓み、歪み、変形等の配置の乱れが生じることが多かった。線材の配置の乱れが生じると、電極間の間隔がばらつき、電極間に配置されるp型有機半導体及びn型有機半導体の存在量やキャリアの移動距離が不均一になり、光電変換の性能が低下していた。
【0020】
そこで本発明は、光電変換の性能を確保しつつ柔軟性を有する光電変換デバイスを容易に製造できる製造方法を提供すことを第1の目的とする。
【0021】
本発明の第2の目的は、電極材料として光透過性が要求されな光電変換デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記第1の目的を達成する本発明の光電変換デバイスの製造方法は、正孔輸送材料及び電子輸送材料のうちの少なくとも一方の材料を溶媒中に含有させた材料含有液を電極構造体に付着させ、電極構造体に付着させた材料から有機半導体を電極構造体に接した状態で形成する方法において、複数の導電線材とこの複数の導電線材の配置間隔を調整するための配置調整用線材とを一体的に連結した電極構造体を準備し、配置調整用線材を溶解可能な溶媒を用いて材料含有液を調製し、材料含有液を電極構造体に接触させることで、配置調整用線材を溶解すると共に少なくとも一方の材料を導電線材に付着させて上記有機半導体を形成するものである。
この製造方法では有機半導体薄膜太陽電池を製造するのが特に好適である。
【0024】
この光電変換デバイスの製造方法では、導電線材間に配置調整用線材を介在させることで導電線材間を互いに所定間隔で離間させた電極構造体を準備するのがよい。
複数の導電線材及び配置調整用線材からなる複数の縦線材と、複数の縦線材と交差して配置した複数の横線材とを備えた電極構造体を準備し、配置調整用線材を溶解可能で横線材を溶解不能な溶媒を用いて材料含有液を調製するのが好適である。
【0025】
この製造方法では、正孔輸送材料及び電子輸送材料を含有した材料含有液を調製して電極構造体に接触させ、p型有機半導体を一部の導電線材に接続した状態で形成すると共に、n型有機半導体を他部の導電線材に接続した状態で形成するのが好ましい。
【0026】
この製造方法では、材料含有液を電極構造体の片面側に付着させてもよい。
また複数の導電線材が配置調整用線材とともに一体化された電極部を複数有し、複数の電極部が対向配置された状態で支持線材により支持された電極構造体を準備し、配置調整用線材を溶解可能で支持線材を溶解不能な溶媒を用いて材料含有液を調製してもよい。
【0028】
上記第2の目的を達成するために、本発明の光電変換デバイス、光エネルギーと電気エネルギーとを変換する光電変換層と、光電変換層の片面側に設けられる電極と、を備え、電極が、複数の縦線材と、複数の横線材と、を備え縦線材横線材とは1本ごとに交差してネットを構成し縦線材は、複数の第1導電線材と複数の第2導電線材と複数の第1絶縁線材とからなり第1導電線材第2導電線材とが間隔をあけて同一面上に交互に並べられており第1導電線材と第2導電線材との間に前記間隔の直径を有する第1絶縁線材が設けられ横線材は第2絶縁線材からなり第1導電線材がp型電極として機能し第2導電線材がn型電極として機能することを特徴としている。
1絶縁線材は第1導電線材第2導電線材との間に複数設けられていてもよい。透明の保護層が前記光電変換層上に設けられていることが好ましい。
【0030】
ここで、同一面とは、仮想面又は基板面の何れであってもよいが、基板面に形成する場合は、それが平面基板であっても湾曲可能なフレキシブル基板であってもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の光電変換デバイスの製造方法によれば、複数の導電線材を配置調整用線材とともに一体的に連結した電極構造体を用いるので、柔軟性を有する導電線材であっても容易に配置できることに加え、配置調整用線材により複数の導電線材の配置間隔を容易に調整でき、その状態を製造時に安定して保持できる。そのため複数の導電線材の配置間隔のばらつきを防止して光電変換の性能を確保することができる。
【0037】
そして、材料含有液を電極構造体に接触させることで配置調整用線材を溶解するので、得られた光電変換デバイスでは、配置調整用線材が配置されていた部位に材料含有液の正孔輸送材料や電子輸送材料を配置することができる。そのため導電線材間により多くの有機半導体を均一に配置でき、光電変換の性能を確保できる。従って、光電変換の性能を確保しつつ柔軟性を有する光電変換デバイスを容易に製造することが可能である。
【0038】
この製造方法に用いる光電変換デバイス作製用の電極によれば、複数の導電線材が配置調整用線材とともに一体化され、光電変換デバイス作製用の溶媒に対する配置調整用線材の溶解性が導電性材料より大きいので、上述のような光電変換デバイスを製造するのに好適に使用できる。
【0039】
本発明の光電変換デバイスよれば、電極が、p型電極として機能する一方の電極とn型電極として機能する他方の電極とが同一面上に形成された交互配列平面電極構造となっていることから、電極材料として従来必要としていた透明電極材料が不要となる。
従来のように、一方の電極上にp層の有機半導体を積層しその上にn層の有機半導体を積層してpn接合を形成すると共に、このn層の有機半導体上に他方の電極として透明電極を順次積層して光電変換デバイスを構成する必要はない。
本発明光電変換デバイスは、ガラス基板などのフレキシブル性のない基板上でもフレキシブル性のある基板上にも作製できる。電極上に塗布によって有機半導体を設け得るため、作製工程が複雑とならず、また、安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の第1実施形態に係る光電変換デバイスの断面図である。
図2図1に示す光電変換デバイスにおける電極構造を示す斜視図である。
図3図1において符号Aで示す領域の拡大図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図である。
図6図5に示す発光部の交互配列電極を模式的に示す図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図である。
図8図7に示す発光部の交互配列電極を模式的に示す図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図である。
図10】本発明の第5実施形態に係る発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図である。
図11】本発明の第6実施形態で製造される光電変換デバイスを示す断面図である。
図12】本発明の第6実施形態における光電変換デバイス製造用の電極構造体を模式的に示す斜視図である。
図13】(a)〜(d)は本発明の第6実施形態における光電変換デバイスの製造工程の一部を説明するための部分断面図である。
図14】本発明の第6実施形態の光電変換デバイスの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しながら本発明について幾つかの実施形態により詳細に説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態では、光電変換デバイスが、光を電気エネルギーに変換するものとして太陽電池を想定して説明するが、電気エネルギーを光エネルギーに変換するものであっても同様に適用することができる。
【0043】
図1は本発明の第1実施形態に係る光電変換デバイス1の断面図であり、図2は光電変換デバイスの斜視図である。
【0044】
光電変換デバイス1は、絶縁性の基材11と、基材11の上面に設けた電極12と、電極12を覆う光電変換層13と、光電変換層13の上面を覆う保護層14と、から構成されている。なお、図2では、光電変換層13と保護層14の表示を省略している。
【0045】
基材11はシート状に形成され、可撓性を有する。例えば、PETなどによってフレキシブル基板として形成されたものを用いる。本第1実施形態では、図2に示すように基材11は輪郭が長方形に形成されている。以下、説明の便宜上、短い辺を第1辺11Aと呼び、長い辺を第2辺11Bとする。
【0046】
図2を用いて電極12について説明する。電極12は、基材11の第1辺11Aに沿って延びていてさらに第2辺11Bの延出方向に所定のピッチで配置された複数の縦線材12Aと、基材11の第2辺11Bに沿って延びていてさらに第1辺11Aの延出方向に所定のピッチで配置された複数の横線材12Bと、を備えている。縦線材12Aと横線材12Bとは1本ごとに交差するように織られている。つまり電極12は平織りのネット状に形成されている。
【0047】
第1辺11Aに沿って延びる縦線材12Aとして、3種の線材を利用する。具体的には、第1導電線材121と第2導電線材122と第1絶縁線材123とを利用する。図2に示すように、第1導電線材121と第2導電線材122とは基材11上に交互に並べられており、これらの第1導電線材121と第2導電線材122との間に第1絶縁線材123が設けられている。なお、第1導電線材121と第2導電線材122との間隔は、それらの間に挟まれる第1絶縁線材123の断面の直径と同等であるが、図面では、構成の理解を容易にするために各部材同士の間に空隙を設けて表している。
【0048】
これらの第1導電線材121と第2導電線材122として、例えば銅線、ステンレス線等の金属線、化学繊維の表面に金属めっき処理を施した線などを利用することができる。各第1導電線材121の一端部121Eは、図2に示すように第1のバスバー121Aに接続されている。各第2導電線材122は、第1導電線材121の他端部121F側に位置する端部122Eで第2のバスバー122Aに接続されている。
【0049】
第1絶縁線材123は、例えばナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂などの柔軟性に富む絶縁樹脂によって構成されている。
【0050】
第2辺11Bに沿って延びる横線材12Bとして第2絶縁線材が用いられる。第2絶縁線材は、第1絶縁線材123と同様に、例えばナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂などの柔軟性に富む絶縁樹脂によって構成されている。
【0051】
第1導電線材121、第2導電線材122、第1絶縁線材123及び第2絶縁線材は、20μm〜30μm程度の太さに設定されている。
【0052】
次に、光電変換層13について説明する。図3図1の円A領域の模式的拡大図である。光電変換層13は、一方の電極、つまり第1導電線材121上に設けられ正孔輸送材料でなるp層の有機半導体13Aと、他方の電極としての第2導電線材122上に設けられ電子輸送材料でなるn層の有機半導体13Bと、から構成されている。よって、一方の第1導電線材121はp型電極として機能し、他方の第2導電線材122はn型電極として機能する。p層の有機半導体13Aとn層の有機半導体13Bとはpn接合を形成している。
【0053】
次に、p層の有機半導体13Aとn層の有機半導体13Bの材料について説明する。p層の有機半導体13Aは、正孔輸送材料によって形成される。正孔輸送材料としては、化学式(1)で示されるトリフェニルアミン(TAPC)、化学式(2)で示されるトリフェニルアミンの二量体であるTPDその他の芳香族アミンのほか、化学式(3)で示されるα−NPD、化学式(4)で6示される(DTP)DPPD、化学式(5)で示されるm−MTDATA、化学式(6)で示されるHTM1、化学式(7)で示される2−TNATA、化学式(8)で示されるTPTE1、化学式(9)で示されるTCTA、化学式(10)で示されるNTPA、化学式(11)で示されるスピロ−TAD、化学式(12)で示されるTFLELなどが用いられる。
【0054】
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】
【0055】
n層の有機半導体13Bは電子輸送材料によって形成される。電子輸送材料には、化学式(13)で示されるAlq、化学式(14)で示されるBCP、化学式(15)で示されるオキサジアゾール誘導体、化学式(16)で示されるオキサジアゾール二量体、化学式(17)で示されるスターバーストオキサジアゾール、化学式(18)で示されるトリアゾール誘導体、化学式(19)で示されるフェニルキノキサリン誘導体、化学式(20)で示されるシロール誘導体などが挙げられる。
【0056】
【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】
【0057】
以上のように、基材11上に、光電変換デバイス用電極12を構成する第1導電線材121と第2導電線材122とが並べて形成され、さらに第1導電線材121と第2導電線材122とを覆うように、p層の有機半導体13Aとn層の有機半導体13Bとが、第1導電線材121及び第2導電線材122と同様に、基材11上に並べて形成されている。よって、光が入射する面に、特許文献2のように電極を設けずに、保護層14とすることが可能となる。
【0058】
保護層14は、p層の有機半導体13A及びn層の有機半導体13Bを被覆するように設けられている。保護層14については、太陽光などの照射光を透過する材料であればその種類は問わず、例えば樹脂等によって形成される。
【0059】
図1に示す光電変換デバイス1の製造方法について概略説明する。まず、基材11を用意する。次に、第1導電線材121、第2導電線材122、第171絶縁線材123、第2絶縁線材を用意し、平織りする。平織りして形成した電極15を基材11上に例えば接着剤などによって固定する。その後、p層の有機半導体13Aとなる正孔輸送材料を所定の箇所、例えば一方の電極としての第1導電線材121上に塗布する。塗布には、例えばインクジェットプリンタによる印刷方法を適用可能である。
【0060】
次に、n層の有機半導体13Bとなる電子輸送材料をp層とp層との間、例えば他方の電極としての第2導電線材122上に塗布する。塗布には、p層の有機半導体13Aの場合と同様、インクジェットプリンタによる印刷技術を用いることができる。
【0061】
これにより、p層の有機半導体13Aとn層の有機半導体13Bとによってpn接合が形成される。なお、n層の有機半導体13Bから塗布し、その後p層の有機半導体13Aを塗布してもよい。
【0062】
最後に、保護層14を塗装などによって形成することで、光電変換デバイス1が作製される。なお、図1に示す光電変換デバイス1が作製される手法であれば上述の方法に限定されない。
【0063】
このように本発明によれば、基材11上に、光電変換デバイス用電極12を構成する第1導電線材121と第2導電線材122とが形成され、さらに第1導電線材121と第2導電線材122とを覆うように、p層の有機半導体13Aとn層の有機半導体13Bとが基材11上に形成されている。従って、光が入射する面に、特許文献2のように電極を設けずに、保護層14とすることが可能となる。よって、特許文献2の光照射側に設ける電極を透明電極で構成することが不要であり、透明電極のためのレアメタルを材料として使用しなくて済むため、光電変換デバイス用の電極12はCuやAlなどを使用することができる。また、光電変換デバイス1は、電極12が可撓性を有するネットで構成されているため、平面状に形成した後に、曲面状の表面に取り付けることができる。
【0064】
本発明の第1実施形態は、本発明の範囲において適宜変更して実施することができる。上記構成では、第1絶縁線材123が第1導電線材121と第2導電線材122との間に1本設けられる構成を説明したが、複数本設けられてもよい。また、光電変換デバイスは基材11を省略して構成されてもよい。
【0065】
〔第2実施形態〕
図4は本発明の第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す図である。図5図4に示す発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図であり、図6図5に示す発光部の交互配列電極を模式的に示す図である。
【0066】
本発明の第2実施形態に示す発光装置1は、図4に示すように、発光部2及び制御部3を備える。発光部2は、図5に示すように、有機EL材料からなる発光層13と、発光層13内に設けた交互配列電極12とからなる。発光層13は、各種有機EL材料によって層状に形成されたものである。交互配列電極12は、一方の導電線材121と他方の導電線材122とが同じ方向に延びて間隔をあけて交互に配列して構成される。
第2乃至第5実施形態では、光電変換デバイスが発光装置1であり、光電変換層が発光層13で、光電変換デバイス用電極が交互配列電極12である。
【0067】
図5に示すように、交互配列電極12は発光層13の厚み方向のほぼ中央に設けられてもよいが、中心面から上下の何れかの面に寄っていてもよい。発光部2は、図5に示すように、上下の一方又は双方の面に薄い透明保護層14が設けられてもよい。
【0068】
交互配列電極12は、一方向に延びた一方の導電線材121と同じく一方向に延びた他方の線材13との間に、同じく一方向に延びた配置調整用の線材15を設けて構成されている。これら一方及び他方の線材12,13並びに配置調整用の線材15を横線材として、絶縁性の線材15を縦線材として、格子状に織り込まれ、網状に形成されてなる。なお、配置調整用の線材15は、図示するように、一方の導電線材121と他方の導電線材122との間で1本だけでなく2本以上であってもよい。
【0069】
以下、具体的に説明する。縦方向に延びた一方の導電線材121と縦方向に延びた他方の導電線材122との間に、縦方向に延びた配置調整用の線材15が配置され、これら縦方向に延びた各線材121,122,15を横方向に延びた交差用の線材16を縦方向に間隔をあけて複数本ならべて格子状に編み込まれてなる。格子の縦横の間隔は同一又はほぼ同一であってもよい。
【0070】
一方の導電線材121及び他方の導電線材122は、断面円形、断面楕円形、断面扁平等の線条部材からなり、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよい。フィラメントは金属などでなる導線でもよい。また、モノフィラメント、マルチフィラメントの外周に対し金属がメッキ処理され、メッキ層がフィラメントの外周に形成されたものでもよい。金属としては抵抗率の低い銅が好ましいが他の金属でもよく、ステンレスなどでもよい。
【0071】
配置調整用の線材15、交差用の線材16は、何れも、断面円形、断面楕円形、断面扁平等の線条部材からなっており、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよい。
【0072】
交差用の線材16は絶縁性の繊維からなる。配置調整用の線材15の素材も絶縁性の繊維を用いるのがよい。配置調整用の線材15、交差用の線材16の素材は、一方の線条電極群12、他方の線条電極群13に有機EL材料を塗布して硬化する際、塗布剤に含まれる有機溶媒によって溶解されるものであってもよい。
【0073】
一方の導電線材121と配置調整用の線材15の間隔、他方の導電線材122と配置調整用の導電線材15との間隔は、一方の導電線材121、他方の導電線材122、配置調整用の導電線材15の等価断面寸法と同じオーダーであってもよい。
【0074】
例えば、導電線材121,13と配置調整用の線材15、交差用の線材16は20〜35μmの線径を有しており、導電線材121,13と配置調整用の線材15との間の隙間が20〜35μmである。交差用の線材15同士の隙間は20〜35μmである。これに対し、発光層13の厚みは、例えば40〜80μmである。
【0075】
本発明の実施形態では、各線材の紐状の太さが、これら線材で構成される網の目の大きさとほぼ同じ寸法であるか又は同じオーダーの寸法を有する。よって、配置調整用の線材15、交差用の線材16によって各線材同士の隙間が維持される。各線材については線径については均一なものがよいが、平均径に対して所定の範囲、例えば80%〜120%の範囲であってもよい。これにより、一方の導電線材121と他方の導電線材122との間隔がほぼ一定に保たれる。
【0076】
配置調整用の線材15、交差用の線材16は、有機EL材料が硬化するまで、一方の導電線材121と他方の導電線材122との間隔を維持するために設けられるものである。それゆえ、上述したように編み込まれた布に有機EL材料を塗布などして有機EL材料が硬化して発光層13が形成されれば、発光層13の厚みで一方の導電線材121と他方の導電線材122が保持される。なお、配置調整用の線材15、交差用の線材16は、有機溶媒によって全てが溶解する必要はなく、部分的に溶解せず残存してもよい。
【0077】
配置調整用の線材15、交差用の線材16の線材としては、例えば、アクリル系繊維やビニル系繊維を用いることができ、この場合には、塗布剤にはトルエン、酢酸などの有機溶媒が含まれていればよい。有機溶剤は有機EL材料、硬化剤等に応じて適宜選択することができる。
【0078】
以上説明したように、発光層13に交互配列電極12を埋設し、その際、配置調整用の線材15や交差用の線材16によって一方の導電線材121及び他方の導電線材122の間隔をほぼ一定にすることができる。
【0079】
一方の導電線材121の一端は一方の配線部5で相互に接続され、他方の導電線材122の一端は他方の配線部6で相互に接続されている。各配線部5,6は、接続ユニット4を経由して制御部3に接続されている。
【0080】
制御部3は、一方の配線部5と他方の配線部6との間に電圧を印加する。これにより、発光層13内の有機EL分子に電圧を印加することができる。
【0081】
本発明の第2実施形態に係る発光装置1では、発光層13内に一方向に延びた一方の導電線材121と他方の導電線材122とが交互に配列して設けられている。ここで、発光層内に設けられているとは、交互配線電極14における一方の導電線材121、他方の導電線材122の各線材を輪切りに断面でみてその周囲が全て発光像の有機EL分子と密着している必要はなく、一部密着している場合も含む。つまり、一方の導電線材121及び他方の導電線材122に印加した電圧が有機EL分子に加わればよい。
【0082】
本発明の第2実施形態に係る発光装置1における発光部2では、同じ方向に延びた一方の導電線材121と他方の導電線材122とが交互に配列して、その間に必要に応じて配置調整用の線材15を介在し、これらと交差する方向に交差用の線材16で格子状に配置されている。なお、各線材の線径が非常に小さい場合に、横に延びた線材を横糸、縦に延びた線材を縦糸と呼んでもよい。
【0083】
本発明の第2実施形態による発光装置1の発光部2は上述したように交互配列電極12を有するため、一方の導電線材121と他方の導電線材122との間に電圧を加えて発光層13全面を発光させることができる。
【0084】
本発明の第2実施形態では、縦方向と横方向にそれぞれ延びた各線材12,13,15と発光層13とからなっていることから、従来のように、ガラス基板を用いずまた薄いフィルムやシート上にITO膜を形成していないため、フィルム又はシートからITO膜が剥離することもない。また、フィルム又はシートそれ自体が有する剛性により湾曲が妨げられることもない。よって、本発明の第2実施形態に係る発光装置1の発光部2は湾曲などの変形が自在である。
【0085】
〔他の発光装置の実施形態〕
以下、発光装置の他の実施形態を説明する。なお、第2実施形態と同一又は対応する部材には同一の符号を付してある。
【0086】
図7は本発明の第3実施形態に係る発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図であり、図8図7に示す発光部の交互配列電極を模式的に示す図である。第3実施形態に係る発光装置1は、発光部2における交互配列電極12が、一方の導電線材121と他方の導電線材122とを交互に配列し、配置調整用の線材15を一方の導電線材121と他方の導電線材122との間に設けていない点で異なる。
【0087】
第2実施形態で説明したように、一方の導電線材121と他方の導電線材122との間に配置調整用の線材15を設けておき、有機EL材料、硬化剤などに含まれる溶剤を塗布することにより、配置調整用の線材15を溶かすことによって発光部2Bが製造されてもよい。または、配置調整用の線材15を設けないで、有機EL材料、硬化剤などを含む塗布剤を塗布して硬化させるようにしてもよい。
【0088】
図9は、本発明の第4実施形態に係る発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図である。第4実施形態に係る発光装置の発光部2Cは、図5に示す発光部2Aにおいて、発光層13と保護層14との間にカラーフィルター18を設けている点で異なる。カラーフィルター18を設けることにより、コントラストを向上させることができる。
【0089】
図10は、本発明の第5実施形態に係る発光装置のうち発光部の断面を模式的に示す図である。第5実施形態における発光部2Dでは、発光層13の一方にはカラーフィルター18を介在して保護層14を設けているが、発光層13の他方には、例えば透明樹脂からなるシート状又はフィルム状の基材11が設けられている。基材11の上に、交互配列電極を有する導電布を配置し、有機EL材料や硬化剤を含む塗布剤を塗布して硬化させ、その後、カラーフィルター18及び保護層14を順に配置することにより、発光部2Dが製造される。導電布は、一方の導電線材121と他方の導電線材122との間に配置調整用の線材15を設け、それらと直交する方向の交差用の線材15でアミ状にしたものである。
【0090】
以上説明したように、第2乃至第5の各実施形態では、交互配列電極12を発光層13内に設け、交互配列電極12のうち一方の導電線材121と他方の導電線材122との間に直流又はEL素子の発光に適した周波数の交流の電圧を印加する。すると、有機EL分子に電圧を印加され、発光層13を全面で発光させることができる。
【0091】
一方の導電線材121及び他方の導電線材122により交互配列電極12としこれを発光層13内に設けている。その際、交互配列電極12は必要に応じて各導電線材121,13の間に配置調整用の線材15を設け、これらと交差する方向に交差用の線材16によって編み込みされ、あたかも微細糸の布として構成されている。
これらの微細糸の布に、一又は複数の有機EL材料を塗布したり漬浸したりした発光層を形成することができる。その際、硬化剤、溶剤、触媒等を、有機EL材料に適応するように混在させる。
第2乃至第5の実施形態での発光層の形成については詳細に説明していないが、有機EL材料としては公知の各種のものを使用することができる。有機EL材料を浸み込ませて硬化させる手法としては、公知の技術、例えばインクジェット法を用いて塗布したり、浸漬含浸法やローラーによる浸潤法を用いることができる。
【0092】
また、前述した説明のように、各線材を編み込むことで平面視において正方形などの矩形の網目としてもよいが、菱形など他の形状の網目となっていてもよい。
【0093】
これらの実施形態に係る発光装置は、広告などの看板照明や液晶表示装置のバック照明に用いることができる。
【0094】
[第6実施形態]
まず、本実施形態で製造する光電変換デバイスについて、図11を用いて説明する。以下では、光電変換デバイス1として、光を電気エネルギーに変換する太陽電池についての例を説明するが、EL素子等のように電気エネルギーを光に変換するものであっても同様に適用できる。
【0095】
光電変換デバイス1は、正孔輸送材料からなるp型有機半導体13A及び電子輸送材料からなるn型有機半導体13Bを有する光電変換層13と、p型有機半導体13Aに接続したp型電極としての第1導電線材121と、n型有機半導体13Bに接続したn型電極としての第2導電線材122と、光電変換層13の表面を被覆するように積層された保護層14と、を備えている。ここでは光電変換デバイス1が絶縁性の基材11の表面に沿って配置されている。
【0096】
第1導電線材121及び第2導電線材122のうちの少なくとも一方、ここでは両方が、互いに接触しないように間隔を空けて略同じ向きで並べて配置された複数の導電線材120からなる。これらの導電線材120と交差する方向に、絶縁性の線材からなる横線材12Bが配置されている。複数の導電線材120の一部が第1導電線材121であり、他部の導電線材120が第2導電線材122であり、これらが交互に配置されている。
第1導電線材121を構成する複数の導電線材120と第2導電線材122を構成する複数の導電線材120とは略同数設けられており、これらに図12のような配線部としてのバスバー7等が接続され、バスバー7を介して各種の回路に接続可能となっている。
【0097】
各導電線材120は、銅線やステンレス線等の金属線、樹脂等の合成繊維や天然繊維等の各種繊維の表面に金属メッキ処理が施された金属メッキ繊維など、柔軟性に富む線材を使用するのがよい。金属メッキ繊維の場合、芯となる繊維としては例えばナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂などの柔軟性に富む絶縁樹脂によって構成してもよい。
【0098】
これらの複数の導電線材120の太さはそれぞれ異なっていてもよいが、同じ太さの線材を用いるのが好ましい。特に限定されるものではないが一例として、線径が20〜30μmのものを使用してもよい。
【0099】
各横線材12Bは絶縁性の線材からなり、例えばナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂などの柔軟性に富む線材を使用するのがよい。この横線材12Bとして導電線材120と同等の太さの線材を使用してもよい。横線材12Bが配置されることで縦方向と横方向とに連続した線材が配置され、光電変換デバイス1の面方向強度が向上する。
【0100】
光電変換層13は、第1導電線材121に接続されたp型有機半導体13Aと第2導電線材122に接続されたn型有機半導体13Bとを有する。p型有機半導体13Aとn型有機半導体13Bとは接触界面で接合されてpn接合を形成している。この光電変換層13は柔軟性に富むものが好適である。
【0101】
p型有機半導体13Aは正孔輸送材料からなる。正孔輸送材料としては、例えば芳香族アミン、チオフェン、フェニレン−ビニレン、チエニレン−ビニレン、カルバゾール、ビニルカルバゾール、ピロール、アセチレン、フタロシアニン、アセン、ポルフィリン、これらの誘導体、錯体、オリゴマー又はポリマーなどであり、これらのうち、有機半導体として使用可能な電子受容性を有する公知の有機化合物を使用できる。
【0102】
n型有機半導体13Bは電子輸送材料からなる。電子輸送材料としては、例えばシロール、フラーレン、カーボンナノチューブ、ペリレン、ナフタレン、ピリジン、フタロシアニン、キノリン、オキサジアゾール、トリアゾール、ジスチリルアリーレン、これらの誘導体、錯体、オリゴマー又はポリマーなどであり、これらのうち、有機半導体として使用可能な電子供与性を有する公知の有機化合物を使用できる。
【0103】
これらのp型有機半導体13A及びn型有機半導体13Bは、光電変換効率が出来るだけ高いものを組み合わせて選択することができる。この光電変換層13の厚みは特に限定されるものではないが、例えば導電線材120の線径の1.2〜2.0倍としてもよい。
【0104】
このような光電変換デバイス1では、第1導電線材121、第2導電線材122、光電変換層13が柔軟性を有するため、光電変換デバイス1は十分な柔軟性を有する。そのため基材11の平面又は曲面からなる表面に沿って自在に配置できる。
【0105】
次に、このような光電変換デバイス1を本実施形態の製造方法により製造する方法について、図12及び図13を用いて説明する。
本実施形態では、電極構造体12を準備する電極準備工程と、正孔輸送材料や電子輸送材料を含有した材料含有液130を調製する材料含有液調整工程と、正孔輸送材料や電子輸送材料を電極構造体12に付着させる材料付着工程と、有機半導体を形成する半導体形成工程と、を備えた製造方法により光電変換デバイス1を製造する。
【0106】
電極準備工程では、図12に示すように、複数の導電線材120を配置調整用線材15とともに一体的に連結した光電変換デバイス作製用の電極構造体12を準備する。この電極構造体12は予め作製されたものを使用してもよい。
この実施形態の電極構造体12は、上述のような複数の導電線材120及び配置調整用線材15を有する複数の縦線材12Aと、縦線材12Aと交差する複数の横線材12Bと、を備え、これらが交差することで一体化された平織りの織布からなるネットとなっている。
【0107】
縦線材12Aの導電線材120と配置調整用線材15とは、略同じ向きで交互に並べて配置されている。交互に配置する導電線材120の本数及び配置調整用線材15の本数は、一方又は双方を複数本づつ配置して繰り返してもよいが、ここではそれぞれ1本づつ繰り返して配置している。各導電線材120間に配置される配置調整用線材15の本数等は、製造後に得られる第1導電線材121及び第2導電線材122の配置間隔に応じて設定するのがよい。隣り合う縦線材12A間の間隔及び導電線材120間の間隔は、適宜設定した範囲に調整されることが好ましい。
【0108】
縦線材12Aの導電線材120は上述の通りであるが、縦線材12Aの第1導電線材121となる一部の導電線材120には、材料含有液130に含有された正孔輸送材料が付着し易くなるように材料が選択され、表面処理が施されていてもよい。また第2導電線材122となる他部の導電線材120には、材料含有液130に含有された電子輸送材料が付着し易くなるように材料が選択され、或いは表面処理が施されていてもよい。
【0109】
例えば、第1導電線材121を構成する導電線材120の表面材料と第2導電線材122を構成する導電線材120の表面材料とを、錫と銅等のように電位差が生じる組み合わせで選択することで、p型有機半導体13A又はn型有機半導体13Bが各導電線材120の表面に結晶又は分子として生成することを制御してもよい。
【0110】
縦線材12Aの配置調整用線材15は、後述する材料含有液130により溶解可能な材料からなり、正孔輸送材料及び電子輸送材料に応じて選択される溶媒により溶解可能なものである。配置調整用線材15は絶縁性を有する樹脂製の線材であってもよい。特に限定されるものではないが、例えばアクリル樹脂、ビニル樹脂等の線材を用いてもよい。
配置調整用線材15の太さは過剰に太いと溶解性が低下したり導電線材120間の間隔が広くなり、一方、過剰に細いと導電線材120間の間隔を確保し難くなるため、配置調整用線材15の太さは、例えば導電線材120の線径に対して0.5〜1.0倍のようにしてもよい。
【0111】
横線材12Bは、単に導電線材120及び配置調整用線材15と交差する方向に配置するだけでもよいが、ここでは所定間隔毎に上下に導電線材120及び配置調整用線材15と交差して配置している。
この横線材12Bは、配置調整用線材15とは異なる絶縁性の線材からなり、後述する材料含有液130、即ち、使用される正孔輸送材料及び電子輸送材料に応じて使用される溶媒に対する溶解性が、配置調整用線材15よりも低い材料からなる。特に限定されるものではないが、例えばPET等のポリエステルなどの線材を用いてもよい。
【0112】
このような横線材12Bとともに縦線材12Aを一体化することで、導電線材120間に配置調整用線材15を介在させた状態で離間させて保持でき、導電線材120間を略全長にわたり互いに所定間隔で離間させて安定して配置できる。
【0113】
材料含有液調整工程では、上述のような正孔輸送材料及び電子輸送材料のうちの少なくとも一方を溶媒中に含有させることで、材料含有液130を調製する。材料含有液130は材料付着工程に応じて調製する必要があり、例えば第1導電線材121と第2導電線材122とに、別々に材料含有液130を接触させてp型有機半導体13Aとn型有機半導体13Bとを形成する場合には、正孔輸送材料を含有する材料含有液130と電子輸送材料を含有する材料含有液130とを別々に調製する。ここでは両輸送材料を溶媒中に含有させることで材料含有液130を調製している。
【0114】
正孔輸送材料としては、上述した材料の他に有機半導体として使用可能な電子受容性を有する有機化合物の前駆体であってもよく、電子輸送材料はとしては、上述した材料の他に有機半導体として使用可能な電子供与性を有する有機化合物の前駆体であってもよい。前駆体を用いる場合には、その後の工程において適宜反応させて所望の化合物を生成させればよい。
【0115】
材料含有液130に使用する光電変換デバイス作製用の溶媒は、正孔輸送材料や電子輸送材料を分散させる溶媒であってもよいが、溶解可能な溶媒が好適であり、揮発性を有する溶媒であってもよい。この溶媒は電極構造体12の配置調整用線材15を溶解可能であることが必要であり、横線材12Bを溶解不能であるのが好ましい。
【0116】
このような溶媒としては、配置調整用線材15及び横線材12Bに対する溶解性が確保できる限り、各正孔輸送材料や各電子輸送材料を用いて有機半導体を形成する際に通常用いられる溶媒を使用できる。本実施形態では、例えばトルエン、キシレン、酢酸等を使用する。この材料含有液130には、さらに配向制御ためのジカルボン酸のような添加剤、強度保持のためのメタクリル酸のようなバインダ等の成分を含有させていてもよい。
【0117】
材料付着工程では、材料含有液130を電極構造体12に接触させることで、配置調整用線材15を溶解すると共に、材料含有液130中の正孔輸送材料や電子輸送材料を電極構造体12の導電線材120に付着させる。
正孔輸送材料を溶解した材料含有液130と電子輸送材料を溶解した材料含有液130とを用いる場合には、それぞれを順次電極構造体12の一部又は全部に接触させ、両輸送材料を溶解した材料含有液130を用いる場合には一度に接触させればよい。
材料含有液130を電極構造体12に接触させて正孔輸送材料や電子輸送材料を導電線材120に付着させる方法は特に限定されない。例えば材料含有液130を電極構造体12に塗布し、或いはインクジェットプリンタによる印刷により行ってもよく、電極構造体12を材料含有液130に浸漬してディッピングにより行ってもよい。
【0118】
この実施形態では、電極構造体12の片面側に両輸送材料を含有した材料含有液130を接触させている。まず図13(a)のように基材11上に電極構造体12を載置し、図13(b)のように材料含有液130を接触させることで、図13(c)のように、材料含有液130中の溶媒により配置調整用線材15を溶解する。
溶解された配置調整用線材15の成分は材料含有液130に分散して残留させてもよく、材料含有液130により置換して除去してもよい。ここでは配置調整用線材15の成分を材料中に溶解してこの材料中に配置させている。
これにより配置調整用線材15が配置されていた部位に材料含有液130が配置され、導電線材120間及びその近傍に材料含有液130の正孔輸送材料や電子輸送材料が他の部位と同等に配置される。そして正孔輸送材料や電子輸送材料が、それぞれ第1導電線材121の導電線材120や第2導電線材122の導電線材120に付着する。
【0119】
半導体形成工程では、図13(c)に示すように、電極構造体12の各導電線材120に材料含有液130と共に付着させた正孔輸送材料又は電子輸送材料から、p型有機半導体13Aを一部の導電線材120に接続した状態で形成すると共に、n型有機半導体13Bを他部の導電線材120に接続した状態で形成する。
【0120】
材料含有液130から有機半導体13A,13Bを形成するには、材料含有液130中の溶媒を揮発させて乾燥することで行ってもよく、乾燥後に更に加熱処理やアニール処理等を施してもよい。このような処理は比較的低温で行うことができる。
正孔輸送材料や電子輸送材料として前駆体を用いた場合には、乾燥後の処理により前駆体を正孔輸送材料や電子輸送材料に転化させ、導電線材120に接続された状態で有機半導体13A,13Bを形成することができる。また正孔輸送材料や電子輸送材料自体を用いた場合であっても、乾燥後の加熱処理やアニール処理を施すことで、得られる光電変換デバイス1の光電変換の性能を向上することも可能である。
【0121】
その後、図13(d)に示すように、光電変換層13の表面全体に保護層14を積層する。この保護層14は、光電変換層13で受発光する光が透過可能な透明性を有する樹脂等の材料を用いることができる。
これにより光電変換デバイス1の製造が終了する。
【0122】
次に、上記した光電変換デバイス1の製造方法における作用効果について説明する。
この製造方法によれば、電極構造体12が複数の導電線材120を配置調整用線材15とともに一体化されているので、柔軟性を有する導電線材120であっても容易に配置できる。また、配置調整用線材15の数、形状、配置等を調整することで、各導電線材120の配置、形状、密度等を調整して導電線材120の配置間隔を容易に調整できるとともに、その状態を製造時に容易に安定して保持できる。特に導電線材120間に配置調整用線材15を介在させることで、導電線材120間を互いに所定間隔で精度よく離間させて電極構造体12を形成したので、各導電線材120を所望の間隔で安定して配置できる。そのため、複数の導電線材120の配置間隔のばらつきを防止して光電変換の性能の確保が可能である。
【0123】
また、材料含有液130を電極構造体12に接触させることで配置調整用線材15を溶解するので、配置調整用線材15が配置されていた部位に材料含有液130の正孔輸送材料や電子輸送材料を配置できる。そのため、導電線材120間にはより多くの有機半導体13A,13Bを均一に配置でき、光電変換の性能を確保することができる。
従って、光電変換の性能を確保しつつ柔軟性を有する光電変換デバイス1を容易に製造することが可能である。
【0124】
複数の導電線材120及び配置調整用線材15からなる複数の縦線材12Aと、複数の縦線材12Aと交差して配置した複数の横線材12Bとを備えたネットからなる電極構造体12を準備し、配置調整用線材15を溶解可能で横線材12Bを溶解不能な溶媒を用いて材料含有液130を調製したので、配置調整用線材15を溶解後に横線材12Bを光電変換層13に残留させることができ、使用時に変形させても光電変換層13が破損し難くて光電変換デバイス1の耐久性を向上でき、また各導電線材120間の間隔を保つことができる。
【0125】
正孔輸送材料及び電子輸送材料を含有した材料含有液130を調製し、この材料含有液130を用いてp型有機半導体13Aを一部の導電線材120に接続した状態で形成すると共に、n型有機半導体13Bを他部の導電線材120に接続した状態で形成したので、p型有機半導体13A及びn型有機半導体13Bを同時に形成でき、より製造が容易である。
【0126】
材料含有液130を電極構造体12の片面側に付着させて有機半導体13A,13Bを有する光電変換層13を形成したので、得られた光電変換デバイス1では第1導電線材121及び第2導電線材122が、光電変換層13の一方の面側にだけ配置されて他方の面側に配置されない。そのため、他方の面側を受光面として使用すれば、光電変換の性能を向上できる。
【0127】
なお、この第6実施形態は本発明の範囲内で適宜変更可能である。
例えば第6実施形態では、電極構造体12の一方の面側に材料含有液130を付着させた例について説明したが、図14に示すように、材料含有液130を電極構造体12の両面側に付着させることで、第1導電線材121及び第2導電線材122を光電変換層13内部に埋設してもよく、光電変換層13の両面側に保護層14を設けてもよい。このようにして製造した光電変換デバイス1では両面を受発光面として使用できる。
第6実施形態では、電極構造体12として横線材12Bを配置した例について説明したが、導電線材120と配置調整用線材15とを一体化して所定位置に配置することが可能であれば、横線材12Bを使用しなくてもよい。
上記第6実施形態では、一つの光電変換層13に一枚の電極構造体12を埋設するように構成したが、同じ光電変換層13に複数枚の電極構造体12を埋設してもよく、複数の光電変換層13を積層してそれぞれに1枚又は複数枚の電極構造体12を埋設してもよい。
【0128】
なお上記第6実施形態では、溶媒として横線材12Bや支持線材320を溶解不能なものを用いた例について説明したが、横線材12Bや支持線材320を溶解可能な溶媒を用いたとしても本発明を適用することは可能である。
上記第6実施形態では、配置調整用線材15を完全に溶解した例について説明したが、配置調整用線材15が溶解後に一部残留したとしても、溶解量に応じて上述のような作用効果を得ることができるため、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0129】
[第1実施形態]
1 :光電変換デバイス
11 :基材
12 :光電変換デバイス用の電極
12A :縦線材
12B :横線材
121 :第1導電線材
122 :第2導電線材
123 :第1絶縁線材
13A :p層の有機半導体
13B :n層の有機半導体
14 :保護層19請求の範囲
【0130】
[第2乃至第5実施形態]
1:発光装置
2,2A,2B,2C,2D:発光部
3:制御部
4:接続ユニット
5:一方の配線部
6:他方の配線部
11:基材
12:交互配列電極
121:一方の導電線材
122:他方の導電線材
13:発光層
14:保護層
15:配置調整用の線材
16:交差用の線材
18:カラーフィルター
【0131】
[第6実施形態]
1 : 光電変換デバイス
12 : 電極構造体
121 : p型電極
122 : n型電極
12A : 縦線材
12B : 横線材
120 : 導電線材
7 : バスバー
15 : 配置調整用線材
13 : 光電変換層
13A : p型有機半導体
13B : n型有機半導体
130 : 材料含有液
14 : 保護層
11 : 基材
20 : 光電変換デバイス
22 : 電極構造体
230 : 電極部
320 : 支持線材
図1
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