(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957788
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】単結晶性ビームを伴う一体型半導体デバイスの製造方法、構造、および設計構造
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20160714BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20160714BHJP
H03H 9/02 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/02 B
H03H9/02 K
【請求項の数】25
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-541041(P2014-541041)
(86)(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公表番号】特表2015-502073(P2015-502073A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】US2012050743
(87)【国際公開番号】WO2013070294
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年8月8日
(31)【優先権主張番号】13/294,603
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【復代理人】
【識別番号】100134740
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ハラメ・デヴィッド・エル
(72)【発明者】
【氏名】スタンパー・アンソニー・ケイ
【審査官】
石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−100953(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0044296(US,A1)
【文献】
特開2008−022305(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0239313(US,A1)
【文献】
特開2006−217281(JP,A)
【文献】
特開2009−290368(JP,A)
【文献】
特表2015−502074(JP,A)
【文献】
米国特許第06355498(US,B1)
【文献】
特開2011−038780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/007−3/06
H03H 9/00−9/135
H03H 9/15−9/24
H03H 9/30−9/40
H03H 9/46−9/62
H03H 9/66
H03H 9/70
H03H 9/74
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体上のシリコン層から単結晶性ビームを形成すること、
前記単結晶性ビームを覆って絶縁体材料のコーティングを提供すること、
前記絶縁体の下にあるウェハを露出している前記絶縁体材料を介してバイアを形成することであって、前記絶縁体材料が前記単結晶性ビームを覆って残るように、形成すること、
前記バイア内および前記絶縁体材料を覆うように犠牲材料を提供すること、
前記犠牲材料上に蓋を提供すること、および、
前記単結晶性ビームの上に上部キャビティを形成し、前記単結晶性ビームの下の前記ウェハ内に下部キャビティを形成するために、前記蓋を介して、前記犠牲材料および前記単結晶性ビームの下の前記ウェハの一部を放出すること、
を含む、方法。
【請求項2】
1つまたは複数の浅いトレンチ分離構造によって前記単結晶性ビームから分離された、前記シリコン層内の1つまたは複数のデバイスを形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数のデバイスのうちの少なくとも1つと電気的に接続された、バルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)を形成することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単結晶性ビームを形成することが、前記シリコン層を覆う金属の層および圧電材料を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属層および圧電材料を形成することが、
前記単結晶性ビーム上に絶縁体層を覆う第1の金属層を堆積すること、
前記第1の金属層上に前記圧電材料を堆積すること、
前記圧電材料上に第2の金属層を堆積すること、および、
前記第1の金属層、前記圧電材料、前記第2の金属層、および前記絶縁体層をパターニングすることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の金属層、前記圧電材料、前記第2の金属層、および前記絶縁体層を介して、トレンチを形成することをさらに含み、前記絶縁体材料が、少なくとも前記第1の金属層、前記圧電材料、および前記第2の金属層の露出された部分を覆って形成され、さらに前記トレンチを充填する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記絶縁体材料が、高密度プラズマまたはプラズマ・エンハンスト高密度プラズマ・プロセス、あるいは低圧化学気相堆積(CVD)プロセスを使用して堆積された酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記絶縁体材料が、前記バイアの形成に先立ち、逆マスクおよびRIEプロセスを使用してパターン化される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記絶縁体材料に、前記バイアの形成に先立ち、酸化物堆積プロセスと共に化学機械研磨(CMP)が施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バイアを形成することが、前記バイアの側壁および前記単結晶性ビームの露出部分が前記絶縁体材料内にコーティングされて残るように、前記絶縁体および前記絶縁体材料の一部をエッチングすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲材料が、前記バイア内および前記絶縁体材料上に堆積されるシリコンである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記放出することが、前記蓋内に放出ホールを形成すること、前記露出された犠牲材料のすべてをストリップすることになる、前記放出ホールを介してXeF2エッチング液を使用して前記犠牲材料をエッチングすること、ならびに、前記上部キャビティおよび前記下部キャビティの形成後に、前記放出ホールを塞ぐことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記絶縁体材料が、前記放出中に前記単結晶性ビームを保護する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記上部キャビティおよび前記下部キャビティが単一の放出ステップで形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
SOI基板の単結晶性シリコン層から単結晶性ビームを形成すること、及びキャビティ形成中に絶縁体材料で前記単結晶性ビームを保護することを含む方法であって、
前記キャビティ形成が、上部キャビティおよび下部キャビティを、それぞれ前記単結晶性ビームの上および下に形成することを含み、
前記上部キャビティが、前記単結晶性ビームの露出部分をコーティングおよび保護する、前記絶縁体材料を覆って形成された犠牲層をエッチングすることによって、前記SOI基板のBOX層の上に形成され、
前記下部キャビティが、前記上部キャビティと前記下部キャビティとの間に形成された接続バイアを介して、バルク基板の一部をエッチングすることによって、前記BOX層の下に形成され、前記接続バイアが、前記単結晶性ビームの前記露出部分をコーティングおよび保護する前記絶縁体材料で裏打ちされている、方法。
【請求項16】
1つまたは複数の浅いトレンチ分離構造によって前記単結晶性ビームから分離された、前記SOI基板の前記単結晶性シリコン層内の1つまたは複数のデバイスを形成すること、および、
前記1つまたは複数のデバイスのうちの少なくとも1つと電気的に接続された、バルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)を形成すること、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単結晶性ビームを形成することが、前記SOI基板の前記単結晶性シリコン層を覆う金属の層および圧電材料を形成することをさらに含み、前記金属層および圧電材料を形成することが、
前記単結晶性ビーム上に形成された絶縁体層を覆う第1の金属層を堆積すること、
前記第1の金属層上に前記圧電材料を堆積すること、
前記圧電材料上に第2の金属層を堆積すること、および、
前記第1の金属層、前記圧電材料、および前記第2の金属層をパターニングすること、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の金属層、前記圧電材料、前記第2の金属層、および前記絶縁体層を介して、トレンチを形成することをさらに含み、前記絶縁体材料が、前記トレンチ内部、ならびに少なくとも前記第1の金属層、前記圧電材料、および前記第2の金属層の露出された部分を覆って形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記接続バイアが、前記バルク基板を露出させるために前記絶縁体材料を介して形成され、前記形成の結果、前記バイアの側壁が前記絶縁体材料でコーティングされる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記絶縁体材料が、高密度プラズマまたはプラズマ・エンハンスト高密度プラズマ・プロセス、あるいは低圧化学気相堆積(CVD)プロセスを使用して堆積された酸化物である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板のシリコン層から形成された単結晶性ビームと、
前記単結晶性ビームをコーティングする絶縁体材料と、
前記絶縁体材料の一部を覆って、前記単結晶性ビームの上に形成された上部キャビティと、
前記単結晶性ビームおよび前記SOI基板のBOX層の下の、前記SOI基板のバルク基板内に形成された下部キャビティと、
前記上部キャビティを前記下部キャビティに接続する接続バイアであって、前記絶縁体材料でコーティングされている、前記接続バイアと、
前記単結晶性ビーム上のバルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)と、
を備える、構造。
【請求項22】
集積回路の設計、製造、またはシミュレーションで使用される機械による読み取りが可能な設計構造であって、
シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板のシリコン層から形成された単結晶性ビームと、
前記単結晶性ビームをコーティングする絶縁体材料と、
前記絶縁体材料の一部を覆って前記単結晶性ビームの上に形成された上部キャビティと、
前記単結晶性ビームおよび前記SOI基板のBOX層の下の、前記SOI基板のバルク基板内に形成された下部キャビティと、
前記上部キャビティを前記下部キャビティに接続する接続バイアであって、前記絶縁体材料でコーティングされている、前記接続バイアと、
単結晶性ビーム上のバルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)と、
を備える、設計構造。
【請求項23】
前記設計構造がネットリストを備える、請求項22に記載の設計構造。
【請求項24】
前記設計構造が、集積回路のレイアウト・データの交換に使用されるデータ形式として、記憶媒体上に常駐する、請求項22に記載の設計構造。
【請求項25】
前記設計構造がプログラマブル・ゲート・アレイ内に保管される、請求項22に記載の設計構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体構造および製造方法に関し、より詳細には、CMOSプロセスと一体化されたバルク音響波フィルタあるいはバルク音響共振器またはその両方の製造方法、および設計構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バルク音響波(BAW)フィルタおよびバルク音響共振器(BAR)は、それらの性能の利点が広く知られており、現在の最先端の移動デバイスおよびシステムの設計で使用されている。しかしながら、製造の複雑さにより、バルク音響波(BAW)フィルタおよびバルク音響共振器(BAR)はスタンドアロン型デバイスとして製作される。すなわち、バルク音響波(BAW)フィルタおよびバルク音響共振器(BAR)は、他のCMOS、BiCMOS、SiGe HBT、あるいは受動デバイス、またはそれらすべてと一体化された構造として提供されないため、製造コストはより高くなり、製作プロセスは増加してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当分野では、前述の欠点および制限を克服することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、方法は、絶縁体上のシリコン層から単結晶性ビーム(beam)を形成することを含む。方法は、単結晶性ビームを覆って絶縁体材料のコーティングを提供することをさらに含む。方法は、絶縁体の下にあるウェハを露出している絶縁体材料を介してバイアを形成することをさらに含む。絶縁体材料は、単結晶性ビームを覆って残る。方法は、バイア内および絶縁体材料を覆って、犠牲材料を提供することをさらに含む。方法は、犠牲材料上に蓋を提供することをさらに含む。方法は、単結晶性ビームの上に上部キャビティを形成し、単結晶性ビームの下のウェハ内に下部キャビティを形成するために、蓋を介して、犠牲材料および単結晶性ビームの下のウェハの一部を放出(vent)することをさらに含む。
【0005】
本発明の他の態様では、方法は、SOI基板の単結晶性シリコン層から単結晶性ビームを形成することを含む。方法は、キャビティ形成中に絶縁体材料で単結晶性ビームを保護することをさらに含む。キャビティ形成は、上部キャビティおよび下部キャビティを、それぞれ単結晶性ビームの上および下に形成することを含む。上部キャビティは、単結晶性ビームの露出部分をコーティングおよび保護する、絶縁体材料を覆って形成された犠牲層をエッチングすることによって、SOI基板のBOX層の上に形成される。下部キャビティは、上部キャビティと下部キャビティとの間に形成された接続バイアを介して、バルク基板の一部をエッチングすることによって、BOX層の下に形成される。接続バイアは、単結晶性ビームの露出部分をコーティングおよび保護する、絶縁体材料で裏打ちされている。
【0006】
本発明のさらに他の態様では、構造は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板のシリコン層から形成された単結晶性ビームを備える。構造は、単結晶性ビームをコーティングする絶縁体材料をさらに備える。構造は、絶縁体材料の一部を覆って、単結晶性ビームの上に形成された上部キャビティをさらに備える。構造は、単結晶性ビームおよびSOI基板のBOX層の下の、SOI基板のバルク基板内に形成された下部キャビティをさらに備える。構造は、上部キャビティを下部キャビティに接続する接続バイアをさらに備え、接続バイアは絶縁体材料でコーティングされている。構造は、単結晶性ビームと電気的に接続されている、バルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)をさらに備える。
【0007】
本発明の他の態様では、集積回路の設計、製造、または試験のために機械読み取り可能記憶媒体内に符号化/イメージ化され保管された設計構造が提供される。設計構造は、本発明の構造を備える。他の実施形態では、機械読み取り可能データ記憶媒体上で符号化されたハードウェア記述言語(HDL)設計構造は、コンピュータ支援設計システム内で処理された場合、本発明の構造を備える半導体構造の機械実行可能表現を生成する、要素を備える。さらに他の実施形態では、コンピュータ支援設計システム内に、半導体構造の機能設計モデルを生成するための方法が提供される。方法は、半導体構造の構造要素の機能表現を生成することを含む。
【0008】
より具体的に言えば、本発明の実施形態において、集積回路の設計、製造、またはシミュレーションで使用される機械による読み取りが可能な設計構造が提供される。設計構造は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板のシリコン層から形成された単結晶性ビーム、単結晶性ビームをコーティングする絶縁体材料、絶縁体材料の一部を覆って単結晶性ビームの上に形成された上部キャビティ、単結晶性ビームおよびSOI基板のBOX層の下の、SOI基板のバルク基板内に形成された下部キャビティ、上部キャビティを下部キャビティに接続する、絶縁体材料でコーティングされた接続バイア、および、単結晶性ビーム上のバルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)を備える。
【0009】
本発明は、示された複数の図面を参照しながら、本発明の例示の実施形態の非限定的な例として、以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の態様に従った、開始構造を示す図である。
【
図2】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図3】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図4】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図5】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図6】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図7】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図8】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図9】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図10】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図11】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図12】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図13】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図14】本発明の態様に従った、処理ステップおよび関係構造を示す図である。
【
図15】
図14の線A〜Aに沿った、本発明に従った構造の上面図を示す図である。
【
図16】本発明の態様に従った、構造の上面図を示す図である。
【
図17】半導体の設計、製造、あるいは試験またはそれらすべてで使用される、設計プロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、半導体構造および製造方法に関し、より詳細には、CMOSデバイス(およびプロセス)と一体化されたバルク音響波フィルタあるいはバルク音響共振器またはその両方の製造方法、および設計構造に関する。より具体的に言えば、本発明は、たとえば上部キャビティおよび下部キャビティによって囲まれたフィルタなどの、CMOS構造と一体化されたバルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)を対象とする。実施形態において、フィルタは、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハのアクティブ・シリコン層の一部であるか、またはBULK(バルク)シリコン・ウェハ実装で使用される、単結晶性シリコンから形成される。また実施形態において、下部キャビティおよび上部キャビティは単一放出ステップで形成され、下部キャビティは、フィルタ・ビームの下のウェハそれ自体の中に形成される。上部キャビティは、堆積シリコン・プロセスを使用して上部シリコン層内に形成される。実施形態において、フィルタ・ビームおよび他のデバイスの表面は、放出中のシリコンのエッチングを避けるために、一体化プロセスを介して薄膜(たとえば酸化物)でコーティングすることができる。
【0012】
より具体的に言えば、実施形態において、本発明は、フィルタ・ビーム構造の下部キャビティを形成するために、SOI基板のハンドル・ウェハを使用して製作された音響共振器を備える。フィルタ・ビーム構造は、SOIウェハ内のデバイス・シリコンならびに堆積シリコン上部キャビティを使用して、結晶性シリコンから形成される。フィルタ・ビームの表面は、キャビティの放出中のSOIシリコンのエッチングを避けるため、あるいは、フィルタ同調周波数または他の電気的パラメータ変動性を低減させるために、一体化方法を介して薄層酸化物でコーティングすることができる。
【0013】
図1は、本発明の態様に従った開始構造を示す。より具体的に言えば、
図1は、半導体基板またはウェハ5を示す。実施形態において、ウェハ5は、BULKシリコンまたはシリコン・オン・インシュレータ(SOI)実装を備えることができる。いずれかの実装において、ウェハ5は、ウェハ5の上部に形成された絶縁層12を伴う、単結晶性アクティブ半導体層14(たとえばアクティブ・シリコン)を備える。絶縁体層12(SOI実装ではBOXとも呼ばれる)は、ハンドル・ウェハ(バルク基板)10上に形成される。実施形態において、単結晶性アクティブ半導体層14は約0.1から5ミクロンの厚さを有することが可能であり、絶縁体層12は約0.1から5ミクロンの厚さを有することが可能であるが、本発明によって他の寸法も企図される。
【0014】
SOIウェハまたはBULK実装の構成材料は、半導体デバイスの所望な最終用途適用例に基づいて選択可能である。たとえば絶縁層12、たとえばBOXは、SiO
2などの酸化物で構成可能である。さらに単結晶性アクティブ半導体層14は、たとえばSi、SiGe、SiC、SiGeCなどの、様々な半導体材料からなることが可能である。SOIウェハ5は、当業者に良く知られた技法を使用して製作可能である。たとえばSOIウェハ5は、酸素注入(たとえばSIMOX)、ウェハ接合などを含むがこれらに限定されない、従来のプロセスによって形成可能である。
【0015】
図2は、本発明の態様に従った、追加の処理ステップおよび結果構造を示す。たとえば
図2は、(CMOSプロセスにおいてバルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)と一体化された)デバイス16およびシリコン・ビーム(beam、梁)18の形成を示す。実施形態において、デバイス16およびシリコン・ビーム18は、単結晶性アクティブ半導体層14から形成される。実施形態において、デバイス16およびビーム18は、従来のリソグラフィ、エッチング、および堆積プロセスを使用して形成されるため、本明細書では詳細な説明は不要である。実施形態において、デバイス16は、たとえば、単結晶性シリコン層14内で形成される、CMOS、BiCMOS、DRAM、FLASHメモリ、または受動デバイスとすることができる。デバイス16およびビーム18は、たとえばエッチングと、それに続く、当分野で知られたようなウェハを平坦化するための化学機械研磨ステップによって形成されたトレンチ内の酸化物などの、アクティブ・シリコン層14のエッチングおよび絶縁材料の堆積によって形成された、浅いトレンチ分離(STI)構造20によって分離される。
【0016】
図3は、本発明の態様に従った、追加の処理ステップおよび関係構造を示す。より具体的に言えば、
図3において絶縁体層22は、デバイス16、ビーム18、およびSTI構造20を覆って形成される。実施形態において、絶縁体層22は酸化物材料である。酸化物材料は、たとえば化学気相堆積(CVD)プロセスまたは熱酸化物堆積プロセスを使用して、デバイス16、ビーム18、およびSTI構造20上に堆積することができる。実施形態において、絶縁体層22は約1ミクロンの厚さを有するが、本発明によって他の寸法も企図される。絶縁体層22がシリコン層14の熱酸化によって形成される場合、シリコン層14は、これを完全に二酸化シリコンに変化させないような充分な厚さでなければならない。一実施形態例では、シリコン層14は製作時には3ミクロン厚さであり、熱酸化絶縁体層22は0.1ミクロン厚さである。
【0017】
音響波デバイスは、金属−圧電フィルム(PZT)−金属プロセス、または金属−PZTプロセスのいずれかで製作可能である。金属−PZT−金属の実施形態の場合、音響波は2枚の金属板の間で垂直に励起される。金属−PZTの実施形態の場合、音響波は金属内のコームフィンガ(comb-finger)構造間で水平に励起される。
図4および
図5では、垂直(
図4)および水平(
図5)のバルク音響波フィルタの簡略上面図が示されている。
図4は、垂直音響波フィルタ用の
図6内の層24(下部金属)および層28(上部金属)の簡略上面図レイアウトを示す。
図5は、水平音響波フィルタ構造の簡略上面図を示し、フィルタの形成には層28のみが使用され、層24は省略するか、または接地板などの他の目的に使用することが可能である。以下の考察は、金属−PZT−金属の実施形態に限定されているが、いずれの実施形態も考察の目的で適用可能である。
【0018】
図6では、金属層24が絶縁体層22上に形成される。圧電変換器(PZT)フィルム26が金属層24上に形成される。PZTフィルム26は、たとえば窒化アルミニウムまたは他の知られたPZT材料とすることができる。PZTフィルム26は、音響波の生成あるいは感知またはその両方に使用することができる。このようにして、PZTフィルム26は、たとえば(以下で説明するように)上部キャビティおよび下部キャビティによって囲まれたフィルタなどの、CMOSプロセス/構造でバルク音響波(BAW)フィルタまたはバルク音響共振器(BAR)を一体化するために使用可能である。金属層28はPZTフィルム26上に形成される。実施形態において、たとえば金属層24、28は、たとえばチタン、窒化チタン、タングステン、モリブデン・アルミニウム、アルミニウム銅、および当業者に知られた同様のタイプの材料のうちの1つまたは複数を含む、任意の導体材料とすることができる。実施形態において、金属層24、28およびPZTフィルム26は、従来の堆積プロセスを使用して堆積される。実施形態において、導体層24および28は同じ厚みおよび材料を採用可能である。
【0019】
図6でさらに示されるように、金属層24、28およびPZTフィルム26は、従来のフォトリソグラフィおよびエッチング技法を使用してパターニングされる。たとえば、金属層28上にレジストを堆積することが可能であり、次にこれを露光させてパターン(開口)を形成する。次に、たとえば反応性イオン・エッチング(RIE)プロセスなどの従来のエッチング化学を使用し、開口を介して金属層24、28およびPZTフィルム26をエッチングすることができる。実施形態において、金属層24、28およびPZTフィルム26は、少なくともビーム18の、および、実施形態では1つまたは複数のデバイス16の上に、たとえばビーム18と整列して残ることになる。その後、たとえば従来のアッシング・プロセスなどの、従来のストリッピング・プロセスを使用して、レジストを除去することができる。
【0020】
図7〜
図10は、本発明の態様に従った、追加の処理ステップおよび関係構造を示す。より具体的に言えば、
図7は、絶縁体材料32、たとえば酸化物の堆積を示す。実施形態において、絶縁体材料32は、たとえば高密度プラズマまたはプラズマ・エンハンスト高密度プラズマ・プロセス、原子層堆積(ALD)、あるいは液相化学気相堆積(CVD)プロセスを用いて堆積された、酸化物材料とすることができる。実施形態において、酸化物の堆積によりギャップ・フィル(gap fill)が改良される。
図7に示されるように、絶縁体材料32は、開口31内に、ならびに露出していた層26、24、および28を覆って、堆積される。
【0021】
図8では、絶縁体材料32はオプションで、逆マスクおよびRIEプロセスを使用してパターニングされる。たとえば逆エッチ(逆ダマシン・プロセス)は、開口を形成するためにパターニングされる絶縁体材料32上にレジストを堆積することによって実行される。実施形態において、レジスト縁部は、たとえばデバイス16あるいはビーム18またはその両方の縁部と重なり合う。すなわちレジストは、デバイス16およびビーム18をわずかにマスクすることになる。次に絶縁体材料32に、デバイス16あるいはビーム18またはその両方を覆う開口またはパターン33を形成するために、エッチング・プロセスが施されることになる。
【0022】
図9では、絶縁体材料32に、オプションの酸化物堆積プロセスと共に化学機械研磨(CMP)が施される。
図10では、キャビティ・バイア34aおよび34bがウェハ10に対して構造内に形成される。より具体的に言えば、キャビティ・バイア34a、34bは、絶縁体材料32および絶縁体材料12を介して形成される、ウェハ10の露出部分である。実施形態において、バイア34はトレンチと一致(整列)し、その側壁上に絶縁体材料32を有するため、絶縁体材料32がビーム18およびその構成層の露出部分を保護(コーティング)することになる。これにより、後続のキャビティ形成中に、ビーム18およびその構成層が保護されることになる。したがって、キャビティ・バイア34a、34bは、(上部キャビティのシリコン堆積前に)ビーム縁部をコーティングする同じ絶縁体材料(酸化物)32内で、コーティングされたままである。
【0023】
より具体的に言えば、絶縁体材料32は、シリコン・ビーム18、金属層24、28、およびPZTフィルム26上に、ならびにデバイス16を覆って残る。さらにより具体的に言えば、実施形態において、絶縁体材料32は、たとえばPZTフィルム26との犠牲シリコン反応を防ぐために、ビームのすべての露出表面上、ならびにビーム構造のいずれかの露出表面上に残る。実施形態において、絶縁体材料32は、フィルタの上にキャビティを形成するために使用される犠牲シリコン材料とのAIN反応を防ぐ。絶縁体材料32は、後続のシリコン・キャビティ放出エッチング・プロセス中に、シリコン・ビーム18が放出または除去されるのも防ぐ。実施形態において、キャビティ・バイア34aは約5ミクロン幅のバイアであり、後続のキャビティ形成処理ステップにおいて、上部キャビティを下部キャビティに接続することになる。
【0024】
図11では、ウェハ表面は、100:1フッ化水素酸エッチなどの、ネイティブ二酸化シリコン・クリーニングおよび水素パッシベーション・ステップと、それに続く、金属層28の上を含む、バイア34aおよび34b内ならびに絶縁体材料32上の、犠牲材料堆積36に対して露出される。次に、犠牲材料36は、当分野で知られているようにパターニングおよびエッチングされる。たとえば犠牲材料36にシリコンが使用される場合、フォトレジストでパターニングされ、シリコンはSF
6ベース化学を使用してRIEエッチングされ、フォトレジストは酸素プラズマ内で除去されることになる。実施形態において、犠牲材料36は、たとえば化学気相堆積(CVD)または物理気相堆積(PVD)などの任意の従来の堆積プロセスを使用して堆積可能な、犠牲シリコン材料である。実施形態において、犠牲シリコン材料36は上部キャビティ・シリコンである。実施形態において、犠牲シリコン材料36は、開口(キャビティ)34aおよび34b内の酸化ボイドまたはシーム(seam、すじ)なしで堆積される。酸化ボイドは、開口を覆って形成されたシリコン内のシームまたはキーホールまたはピンチオフ開口であり、シームまたはキーホールの側部は二酸化シリコンでコーティングされ、後続のシリコン放出ステップ中に放出または除去されず、キャビティ内部に残余をのこすことになる。別の方法として、犠牲材料は、当分野で知られるように、トポグラフィを覆っていずれのボイドまたはキーホールもなしに堆積される。シリコンの代わりに、ゲルマニウム(Ge)などの放出可能な他の材料が使用可能である。
【0025】
図12では、犠牲材料36を覆って蓋材料38が形成される。実施形態において、蓋材料は二酸化シリコンであり、CMPを使用して平坦化される。蓋材料38内に放出ホール40が形成され、たとえば犠牲シリコン材料などの犠牲材料36の一部を露出する。蓋材料38内には、複数の放出ホール40が形成可能であることを理解されたい。放出ホール40は、従来のリソグラフィおよびエッチング・プロセスを使用して形成可能である。放出ホール40の幅および高さは、放出ホールをピンチオフするためのシリコン放出後に堆積されるべき材料の量を決定する。一般に、放出ホール40をピンチオフするために堆積されるべき材料の量は、放出幅が減少するにつれて、および、放出ホールの高さ対幅の比である放出ホールのアスペクト比が増加するにつれて減少する。実施形態において、たとえば放出ホール40は高さ約3μmおよび幅1μmであるが、本発明によって他の寸法も企図される。実施形態において、ピンチオフに必要な後続の材料の量を最小限にするために、放出ホール40は円形またはほぼ円形とすることができる。
【0026】
図13に示されるように、放出ホール40は、単一の放出プロセスで上部キャビティ42aおよび下部キャビティ42bを形成するために使用される。より具体的に言えば、放出ホール40は、ビーム構造44(たとえば(酸化フィルムを伴う)層18、22、24、26、および28)の下方に、犠牲シリコン材料36およびウェハ材料10を放出(たとえばエッチング)するためのアクセスを提供する。実施形態において、露出されたシリコンまたは他の上部キャビティ36材料は、放出ホール40を介してXeF
2エッチング液を使用するフッ化水素酸クリーニングおよびそれに続くシリコン放出またはエッチングを使用して、ネイティブ酸化物のクリーニングおよび水素パッシベーションが実行され、それによって、露出されたシリコン材料をすべてストリップすることになる。酸化物材料32は、放出プロセス中に、ビーム構造44およびその構成層(たとえば層18、22、24、26、および28)を保護するために使用可能である。実施形態において、酸化物材料は約100nmとすることが可能であり、窒化アルミニウムPZTフィルム、あるいは、PZTフィルム26に接触しているモリブデンまたは他の材料、またはその両方との、シリコン反応を防ぐために、ビーム構造44を覆っている。
【0027】
実施形態において、放出が、ビーム構造44を囲む上部キャビティ42aおよび下部キャビティ42bを形成することになる。すなわち上部キャビティ42aは、BOXまたは絶縁体層12(犠牲シリコン材料36の除去によって形成される)の上、および、BOXまたは絶縁体層12(基板材料10の一部の除去によって形成される)の下に、配置される。上部キャビティ42aおよび下部キャビティ42bは約2μmとすることが可能であるが、本発明によって他の寸法も企図される。実施形態において、ビーム構造44は、酸化物材料によって囲まれた単結晶性シリコン・ビーム18を含む。実施形態において、構造、および特に露出された犠牲シリコン材料36は、ネイティブ酸化物を除去するための放出の前に、HF溶液でクリーニングすることができる。
【0028】
さらに
図13に示されるように、放出ホールは、誘電体または金属などの材料46で密封することができる。これにより、上部キャビティ42aおよび下部キャビティ42bに対して気密シールが提供される。たとえば、材料46を覆って気密シールを提供するために、500nmのPECVD窒化シリコン・フィルムまたは知られた他のフィルムなどの気密シールを提供するために、オプション層48を堆積することも可能である。
【0029】
図14は、本発明の態様に従った、ライン・プロセスの後部を示す。より具体的に言えば、
図14は、デバイス16と接触して形成されるバイア48を示す。実施形態において、バイア48は、絶縁体材料38内にトレンチをエッチングすることによって形成可能である。実施形態において、トレンチは、放出ホール40と同時に形成可能である。その後、トレンチは、当分野で知られるような、たとえば薄いTiN、続いて厚いタングステンなどの、金属で充填される。ワイヤ50は、従来のワイヤ形成プロセスを使用して、バイア48と接触して形成される。ワイヤ50は、たとえば、ダマシン銅または減エッチ(subtractive-etch)・アルミニウム銅プロセスを使用して形成することができる。最終バイア52は、蓋材料38上に堆積された、上部絶縁体層54内に形成可能である。最終バイア52は、任意の従来のフォトリソグラフィおよびエッチング・プロセスを使用して形成可能である。最終バイア52は、ワイヤボンドまたははんだバンプ処理のために提供可能である。
【0030】
図15は、
図14の線A〜Aに沿った、
図14に対応する本発明に従った構造の上面図を示す。より具体的に言えば、
図15は、線A〜Aに沿った上からの
図14の構造の断面図を示す。この上面図は、金属層上に、より具体的に言えば酸化物材料32を覆ってPZTフィルム26が形成された、ビーム構造44を示す。実施形態において、酸化物材料32は、窒化アルミニウムPZTフィルム、あるいは、PZTフィルム26に接触しているモリブデンまたは他の材料、またはその両方との、シリコン反応を防ぐために、ビーム構造44を覆っている。また、この上面図に示されるように、下部キャビティ42bは、放出ステップ中にビーム構造44下に形成される。実施形態において、放出バイア40aは、下部キャビティ42bを形成するために、放出中に下部キャビティ42bと上部キャビティ42a(図示せず)との間に形成される。
【0031】
図16は、本発明の態様に従った構造の上面図を示す。この構造では、キャビティ50は、下部キャビティ42bの形成を支援するためにビーム44を通じて形成される。より具体的に言えば、キャビティ50は、従来のエッチング・プロセスを介しビーム44を通じて形成される。次にキャビティは、たとえば本発明の他の構造をコーティングする酸化物材料32などの絶縁体材料で裏打ちされる。本明細書ですでに説明されたように、酸化物材料32は、たとえば放出プロセス中に、窒化アルミニウムPZTフィルム、あるいは、PZTフィルム26に接触しているモリブデンまたは他の材料、またはその両方との、シリコン反応を防ぐことになる。
【0032】
プロセス・フローにおいて、キャビティ50は、たとえば
図7〜
図10の形成プロセス中に、ビーム構造44の形成後に形成可能である。たとえばバイアまたはトレンチをビーム構造内に形成し、その後、(たとえば
図7〜
図9で説明されたものと同様の)酸化物材料で充填することが可能である。その後キャビティ50は、たとえば
図10のプロセス中に、酸化物材料内に形成可能である。その後、シリコン材料は、
図11のプロセス中に、(そのときに酸化物材料で裏打ちされた)キャビティ50内に堆積可能であり、その後、本明細書で説明された後続の放出プロセス中に放出されることになる。
【0033】
図17は、半導体の設計、製造、あるいは試験、またはそれらすべてで使用される設計プロセスのフロー図である。
図17は、たとえば、半導体IC論理の設計、シミュレーション、試験、レイアウト、および製造で使用される、例示の設計フロー900のブロック図を示す。設計フロー900は、上記で説明され、
図1〜
図3、
図4、
図5、
図6、
図7〜
図10、および
図11〜
図16に示された、設計の構造あるいはデバイスまたはその両方の論理的またはそうでなければ機能的に等価の表現を生成するために、設計の構造またはデバイスを処理するためのプロセス、機械、あるいはメカニズムを含む。設計フロー900によって処理あるいは生成またはその両方が実行される設計構造は、データ処理システム上で実行されるかまたはその他の方法で処理された場合、ハードウェア構成要素、回路、デバイス、またはシステムの論理的、構造的、機械的、またはその他の方法で機能的に等価の表現を生成する、データあるいは命令またはその両方を含むために、機械読み取り可能伝送または記憶媒体上に符号化/イメージ化して保管することができる。機械は、回路、構成要素、デバイス、またはシステムの設計、製造、またはシミュレーションなどの、IC設計プロセスで使用される、任意の機械を含むが、これらに限定されない。たとえば機械は、リソグラフィ機械、マスクを生成するための機械あるいは機器またはその両方(たとえばeビーム・ライタ)、設計構造をシミュレートするためのコンピュータまたは機器、製造または試験プロセスで使用される任意の装置、あるいは、設計構造の機能的に等価の表現を任意の媒体内にプログラミングするための任意の機械(たとえばプログラマブル・ゲート・アレイをプログラミングするための機械)を、含むことができる。
【0034】
設計フロー900は、設計されている表現のタイプに応じて変更可能である。たとえば、特定用途向けIC(ASIC)を構築するための設計フロー900は、標準構成要素を設計するための設計フロー900、あるいは、設計をプログラマブル・アレイ、たとえば、Altera(R)Inc.またはXilinx(R)Inc.によって提供されるプログラマブル・ゲート・アレイ(PGA)またはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)にインスタンス化するための設計フロー900とは、異なる可能性がある。
【0035】
図17は、好ましくは設計プロセス910によって処理される設計構造920の入力を含む、複数のこうした設計構造を示す。設計構造920は、ハードウェア・デバイスの論理的に等価の機能表現を生成するために設計プロセス910によって生成および処理される、論理シミュレーション設計構造とすることができる。設計構造920は、設計プロセス910によって処理された場合、ハードウェア・デバイスの物理構造の機能表現を生成する、データあるいはプログラム命令またはその両方を含むことも可能であるか、または別法として含むことが可能である。機能あるいは構造またはその両方のいずれの設計機能を表現するのかにかかわらず、設計構造920は、中心開発者/設計者によって実装されるような電子コンピュータ支援設計(ECAD)を使用して生成することができる。機械読み取り可能なデータ伝送、ゲート・アレイ、または記憶媒体上で符号化される場合、設計構造920は、
図1〜
図3、
図4、
図5、
図6、
図7〜
図10、および
図11〜
図16に示されるような、電子構成要素、回路、電子または論理モジュール、装置、デバイス、あるいはシステムを、シミュレートするかまたは別の方法で機能的に表現するために、設計プロセス910内で、1つまたは複数のハードウェアあるいはソフトウェアまたはその両方のモジュールによって、アクセスおよび処理されることが可能である。したがって、設計構造920は、設計またはシミュレーション・データ処理システムによって処理された場合、回路または他のレベルのハードウェア論理設計をシミュレートするかまたは別の方法で表現する、人間あるいは機械またはその両方が読み取り可能なソース・コード、コンパイル済み構造、およびコンピュータ実行可能コード構造を含む、ファイルまたは他のデータ構造を含むことができる。こうしたデータ構造は、VerilogおよびVHDLなどの低水準HDL設計言語、あるいはCまたはC++などの高水準設計言語、またはその両方に、準拠するかあるいは適合する、またはその両方の、ハードウェア記述言語(HDL)設計エンティティまたは他のデータ構造を含むことができる。
【0036】
設計プロセス910は、設計構造920などの設計構造を含むことが可能なネットリスト980を生成するために、
図1〜
図3、
図4、
図5、
図6、
図7〜
図10、および
図11〜
図16に示される構成要素、回路、デバイス、または論理構造と機能的に等価な設計/シミュレーションを統合、変換、またはその他の方法で処理するための、ハードウェアあるいはソフトウェアまたはその両方のモジュールを、好ましくは採用し、組み込んでいる。ネットリスト980は、たとえば、集積回路設計内の他の要素および回路への接続を記述する、ワイヤ、個別構成要素、論理ゲート、制御回路、I/Oデバイス、モデルなどのリストを表す、コンパイルまたはその他の方法で処理されたデータ構造を含むことができる。ネットリスト980は、デバイスに関する設計仕様およびパラメータに応じてネットリスト980が1回または複数回再統合される、反復プロセスを使用して統合することができる。本明細書で説明される他の設計構造タイプの場合、ネットリスト980は、機械読み取り可能データ記憶媒体上に記録するか、またはプログラマブル・ゲート・アレイ内にプログラミングすることができる。媒体は、磁気または光ディスク・ドライブ、プログラマブル・ゲート・アレイ、コンパクト・フラッシュ、または他のフラッシュ・メモリなどの、不揮発性記憶媒体とすることができる。加えて、または別の方法では、媒体は、データ・パケットをインターネットまたは他のネットワーキング好適手段を介して伝送し、中間で記憶することが可能な、システムまたはキャッシュ・メモリ、バッファ・スペース、あるいは、電気的または光学的に伝導性のあるデバイスおよび材料とすることができる。
【0037】
設計プロセス910は、ネットリスト980を含む様々な入力データ構造タイプを処理するための、ハードウェアおよびソフトウェアのモジュールを含むことができる。こうしたデータ構造タイプは、たとえばライブラリ要素930内に常駐可能であり、所与の製造技術(たとえば、異なる技術ノード、32nm、45nm、90nmなど)に関するモデル、レイアウト、および記号表現を含む、一般的に使用される要素、回路、およびデバイスのセットを含むことができる。データ構造タイプは、設計仕様940、特徴付けデータ950、検証データ960、設計規則970、ならびに、入力試験パターン、出力試験結果、および他の試験情報を含むことが可能な試験データ・ファイル985を、さらに含むことができる。設計プロセス910は、たとえば、鋳造、成形、およびダイ・プレス形成などの動作に関する、応力解析、熱解析、機械イベント・シミュレーション、プロセス・シミュレーションなどの標準機械設計プロセスを、さらに含むことができる。機械設計の当業者であれば、本発明の範囲および趣旨を逸脱することのない、設計プロセス910で使用される可能な機械設計のツールおよびアプリケーションの範囲を理解されよう。設計プロセス910は、タイミング解析、検証、設計規則チェック、配置およびルーティング動作などの、標準回路設計プロセスを実行するためのモジュールも、含むことができる。
【0038】
設計プロセス910は、第2の設計構造990を生成するために、任意の追加の機械的設計またはデータ(適用可能な場合)と共に、示された支援データ構造の一部またはすべてと共に設計構造920を処理するために、HDLコンパイラおよびシミュレーション・モデル構築ツールなどの、論理および物理設計ツールを採用および組み込む。
【0039】
設計構造990は、機械的デバイスおよび構造のデータの交換に使用されるデータ形式(たとえば、IGES、DXF、Parasolid XT、JT、DRG、あるいは、こうした機械的設計構造を記憶またはレンダリングするための任意の他の好適な形式で記憶された情報)で、記憶媒体またはプログラマブル・ゲート・アレイ上に常駐する。設計構造920と同様に、設計構造990は、好ましくは、伝送またはデータ記憶媒体上に常駐し、ECADシステムによって処理された場合、
図1〜
図3、
図4、
図5、
図6、
図7〜
図10、および
図11〜
図16に示される本発明の実施形態のうちの1つまたは複数の論理的またはその他の方法で機能的に等価の形を生成する、1つまたは複数のファイル、データ構造、あるいは、他のコンピュータ符号化データまたは命令を含む。一実施形態において、設計構造990は、
図1〜
図3、
図4、
図5、
図6、
図7〜
図10、および
図11〜
図16に示されたデバイスを機能的にシミュレートする、コンパイル済みの実行可能HDLシミュレーション・モデルを含むことができる。
【0040】
設計構造990は、集積回路のレイアウト・データあるいは記号データ形式またはその両方の交換に使用されるデータ形式(たとえば、GDSII(GDS2)、GL1、OASIS、マップ・ファイル、または、こうした設計データ構造を記憶するための任意の他の好適な形式で記憶された情報)を、採用することも可能である。設計構造990は、たとえば、記号データ、マップ・ファイル、試験データ・ファイル、設計コンテンツ・ファイル、製造データ、レイアウト・パラメータ、ワイヤ、金属のレベル、バイア、形状、製造ラインを介してルーティングするためのデータ、および、上記で説明され、
図1〜
図3、
図4、
図5、
図6、
図7〜
図10、および
図11〜
図16に示されたデバイスまたは構造を生成するために製造業者または他の設計者/開発者によって必要とされる任意の他のデータなどの情報を、含むことができる。設計構造990は、その後ステージ995へと進み、ここでたとえば設計構造990は、テープアウト(tape-out)に進む、製造に公開される、マスク・ハウス(mask house)に公開される、他の設計ハウスに送信される、顧客に返信される、などが実行される。
【0041】
前述の方法は、集積回路チップの製作で使用される。結果として生じる集積回路チップは、ロー・ウェハ形式で(すなわち、複数の未パッケージ化チップを有する単一のウェハとして)、裸ダイ(bare die)として、またはパッケージ化形式で、製作者による配布が可能である。後者のケースでは、チップは、単一チップ・パッケージ(マザーボードまたは他の高水準キャリアに固定されたリード線を備えるプラスチック・キャリアなど)内、または複数チップ・パッケージ(表面相互接続または埋設相互接続のいずれかまたは両方を有するセラミック・キャリアなど)内に、載置される。いずれの場合でも、チップは、(a)マザーボードなどの中間製品または(b)最終製品のいずれかの一部として、他のチップ、個別回路要素、あるいは他の信号処理デバイス、またはそれらすべてと統合される。最終製品は、玩具および他のローエンド・アプリケーションから、ディスプレイ、キーボード、または他の入力デバイスを有する高度なコンピュータ製品までの、集積回路チップ、および中央プロセッサを含む、任意の製品とすることができる。
【0042】
本発明の様々な実施形態の説明を例示の目的で提示してきたが、これらは、網羅的であるかまたは開示された実施形態に限定されるものとは意図されていない。当業者であれば、説明された実施形態の範囲および趣旨を逸脱することなく、多くの修正および変形が明らかとなろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の適用例、または、市場に見られる技術全体にわたる技術的向上を、最も良く説明するため、あるいは、他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解できるようにするために、選択されたものである。当業者であれば、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、多くの修正および変形が明らかとなろう。適用可能であれば、特許請求の範囲内のすべての手段またはステップならびに機能要素の、対応する構造、材料、動作、および同等物は、具体的に請求されたように、他の請求された要素と組み合わせて機能を実行するための、任意の構造、材料、または動作を含むことが意図される。したがって、本発明は実施形態で表して説明されてきたが、当業者であれば、本発明が修正と共に実践可能であること、ならびに、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にあることを、理解されよう。