特許 5957801 根菜類収穫機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5957801

(24)【登録日】2016年7月1日

(45)【発行日】2016年7月27日

(54)【発明の名称】根菜類収穫機

(51)【国際特許分類】

   A01D 33/10 20060101AFI20160714BHJP

   A01D 27/00 20060101ALI20160714BHJP

【ＦＩ】

   A01D33/10

   A01D27/00

【請求項の数】6

【全頁数】33

(21)【出願番号】特願2011-100852(P2011-100852)

(22)【出願日】2011年4月28日

(65)【公開番号】特開2012-231697(P2012-231697A)

(43)【公開日】2012年11月29日

【審査請求日】2014年4月23日

(73)【特許権者】

【識別番号】000000125

【氏名又は名称】井関農機株式会社

(72)【発明者】

【氏名】小田切 元

(72)【発明者】

【氏名】村並 昌実

(72)【発明者】

【氏名】高木 真吾

(72)【発明者】

【氏名】岩部 孝章

(72)【発明者】

【氏名】黒瀬 英明

(72)【発明者】

【氏名】弓達 武志

【審査官】 中村 圭伸

(56)【参考文献】

【文献】 特開２００８−０５４６２５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００４−０３３０４２（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００１−２６０７３７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００６−２６２７２０（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００６−１４１４１４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００９−１０６１９６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ０１Ｄ １３／００ − ３３／１４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置（２４）を設け、該引抜搬送装置（２４）から作物を引き継ぎ搬送し、搬送される作物を作業者が選別する選別搬送装置（８７）を設け、該選別搬送装置（８７）から排出される作物を収容する収容部材（９３）を載置する載置部（９７）を設け、該載置部（９７）で作物を収容し終えた収容部材（９３）を貯留する貯留部（１０３）を設けた根菜類収穫機において、
前記載置部（９７）に収容部材（９３）の移動を補助する移動補助部材（９２）を設けると共に、前記収容部材（９３）に作物を収容するときに収容部材（９３）の移動を規制する移動規制部材（１３０）を規制状態と、前記収容部材（９３）の搬送を補助する非規制状態に回動自在に設け、
該移動規制部材（１３０）に収容部材（９３）の搬送を補助する搬送補助部材（１３１）を設け、該移動規制部材（１３０）を貯留部（１０３）側に回動させて非規制状態にすると、該搬送補助部材（１３１）が前記載置部（９７）と貯留台（１０３）の間に配置される搬送補助状態になることを特徴とする根菜類収穫機。

【請求項2】

作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置（２４）を設け、該引抜搬送装置（２４）から作物を引き継ぎ搬送し、搬送される作物を作業者が選別する選別搬送装置（８７）を設け、該選別搬送装置（８７）から排出される作物を収容する収容部材（９３）を載置する載置部（９７）を設け、該載置部（９７）で作物を収容し終えた収容部材（９３）を貯留する貯留部（１０３）を設けた根菜類収穫機において、
前記載置部（９７）の左右一側に該貯留部（１０３）を配置し、該貯留部（１０３）に収容部材（９３）を前側に搬送する収容部材搬送装置（１０９）を前後方向に亘って設け、該収容部材搬送装置（１０９）の後側で且つ載置部（９７）の側方に付勢部材（１３５ａ）によって上方に付勢される基部フレーム（１３５）を設け、該基部フレーム（１３５）の上部に回転部材（１３７）を備える受フレーム（１３６）を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。

【請求項3】

前記載置部（９７）を、貯留部（１０３）側に向かうほど下方傾斜する姿勢としたことを特徴とする請求項１または２記載の根菜類収穫機。

【請求項4】

前記選別搬送装置（８７）の側方に作物の選別作業者が搭乗する補助作業搭乗部（９９）を設け、該補助作業搭乗部（９９）に前記移動規制部材（１３０）を操作する回動操作部材（１３２）を設け、該回動操作部材（１３２）と移動規制部材（１３０）を連繋部材（１３３）で連繋し、該回動操作部材（１３２）を操作すると移動規制部材（１３０）が搬送補助状態となる構成としたことを特徴とする請求項１に記載の根菜類収穫機。

【請求項5】

前記移動補助部材（９２）を装着する複数の回転軸（９１ａ，９１ｂ，９１ｃ）を載置部（９７）に設け、前記貯留部（１０３）から最も離間する位置に第１回転軸（９１ａ）を配置し、該第１回転軸（９１ａ）よりも貯留部（１０３）側に第２回転軸（９１ｂ）及び第３回転軸（９１ｃ）を配置し、前記第１回転軸（９１ａ）を第２回転軸（９１ｂ）及び第３回転軸（９１ｃ）よりも下方位置に設けたことを特徴とする請求項１または４に記載の根菜類収穫機。

【請求項6】

前記移動補助部材（９２）を、複数の回転体（９２ｘ，９２ｙ，９２ｚ）を並べて構成したことを特徴とする請求項１、４または５に記載の根菜類収穫機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、作物を圃場から引き抜き搬送し、搬送中の作物を選別して収容コンテナや収容袋等の収容部材で回収する根菜類収穫機に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来の根菜類収穫機としては、選別搬送コンベアの搬送終端下部にコンテナの載置台を備え、この載置台の側方に作物を収容したコンテナを複数載せておく貯留台を設ける技術が存在する。（特許文献１）
また、コンテナの載置台にローラを直線上に設け、コンテナを移動しやすくした技術が存在する。（特許文献２）

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００６−１４１４１４号公報

【特許文献2】特開２００８−０５４６２５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、特許文献１に記載された根菜類収穫機では、作物を収容したコンテナを載置台から貯留台に移動させる際、載置台と貯留台の高低差を乗り越えさせねばならず、コンテナを引き出す作業者の労力が増大する問題がある。

【0005】

また、根菜類収穫機は常に前進しているため、コンテナの移動作業を行う作業者は機体から降りられず、補助作業座席に座ったまま行わねばならないため、コンテナが載置台から貯留台になかなか移動せず、作業能率が低下する問題がある。

【0006】

特許文献２の発明では、載置台にコンテナの移動を補助するローラを並べており、特許文献１の発明に比べてコンテナを引くための力は軽減されるものの、直線上に並べられているため、機体が傾いて載置台側が低くなるとコンテナの移動の抵抗となり、作業者に大きな負担をかける問題がある。

【0007】

また、作物の収容中に貯留台側に機体が傾くと、コンテナが勝手に貯留台に移動してしまい、作業者がこのコンテナを戻さねばならず、作業能率が低下する問題がある。
さらに、コンテナが移動した際に機体や圃場に作物が落下し、落下の衝撃で作物が傷付き、商品価値が低下する問題がある。

【0008】

そして、落下した人参は作業者が拾い集めねばならず、作業者の労力が増大する問題がある。
本発明は、これらの問題を解消しようとするものである。

【課題を解決するための手段】

【0009】

請求項１記載の発明は、作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置（２４）を設け、該引抜搬送装置（２４）から作物を引き継ぎ搬送し、搬送される作物を作業者が選別する選別搬送装置（８７）を設け、該選別搬送装置（８７）から排出される作物を収容する収容部材（９３）を載置する載置部（９７）を設け、該載置部（９７）で作物を収容し終えた収容部材（９３）を貯留する貯留部（１０３）を設けた根菜類収穫機において、前記載置部（９７）に収容部材（９３）の移動を補助する移動補助部材（９２）を設けると共に、前記収容部材（９３）に作物を収容するときに収容部材（９３）の移動を規制する移動規制部材（１３０）を規制状態と、前記収容部材（９３）の搬送を補助する非規制状態に回動自在に設け、該移動規制部材（１３０）に収容部材（９３）の搬送を補助する搬送補助部材（１３１）を設け、該移動規制部材（１３０）を貯留部（１０３）側に回動させて非規制状態にすると、該搬送補助部材（１３１）が前記載置部（９７）と貯留台（１０３）の間に配置される搬送補助状態になることを特徴とする根菜類収穫機とした。

【0010】

請求項２記載の発明は、作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置（２４）を設け、該引抜搬送装置（２４）から作物を引き継ぎ搬送し、搬送される作物を作業者が選別する選別搬送装置（８７）を設け、該選別搬送装置（８７）から排出される作物を収容する収容部材（９３）を載置する載置部（９７）を設け、該載置部（９７）で作物を収容し終えた収容部材（９３）を貯留する貯留部（１０３）を設けた根菜類収穫機において、前記載置部（９７）の左右一側に該貯留部（１０３）を配置し、該貯留部（１０３）に収容部材（９３）を前側に搬送する収容部材搬送装置（１０９）を前後方向に亘って設け、該収容部材搬送装置（１０９）の後側で且つ載置部（９７）の側方に付勢部材（１３５ａ）によって上方に付勢される基部フレーム（１３５）を設け、該基部フレーム（１３５）の上部に回転部材（１３７）を備える受フレーム（１３６）を設けたことを特徴とする根菜類収穫機とした。

【0011】

請求項３記載の発明は、前記載置部（９７）を、貯留台（１０３）側に向かうほど下方傾斜する姿勢としたことを特徴とする請求項１または２記載の根菜類収穫機とした。
請求項４記載の発明は、前記選別搬送装置（８７）の側方に作物の選別作業者が搭乗する補助作業搭乗部（９９）を設け、該補助作業搭乗部（９９）に前記移動規制部材（１３０）を操作する回動操作部材（１３２）を設け、該回動操作部材（１３２）と移動規制部材（１３０）を連繋部材（１３３）で連繋し、該回動操作部材（１３２）を操作すると移動規制部材（１３０）が搬送補助状態となる構成としたことを特徴とする請求項１に記載の根菜類収穫機とした。

【0012】

請求項５記載の発明は、前記移動補助部材（９２）を装着する複数の回転軸（９１ａ，９１ｂ，９１ｃ）を載置部（９７）に設け、前記貯留部（１０３）から最も離間する位置に第１回転軸（９１ａ）を配置し、該第１回転軸（９１ａ）よりも貯留部（１０３）側に第２回転軸（９１ｂ）及び第３回転軸（９１ｃ）を配置し、前記第１回転軸（９１ａ）を第２回転軸（９１ｂ）及び第３回転軸（９１ｃ）よりも下方位置に設けたことを特徴とする請求項１または４に記載の根菜類収穫機とした。

【0013】

請求項６記載の発明は、前記移動補助部材（９２）を、複数の回転体（９２ｘ，９２ｙ，９２ｚ）を並べて構成したことを特徴とする請求項１、４または５に記載の根菜類収穫機とした。

【0014】

【発明の効果】

【0015】

請求項１記載の発明の効果は、収容部材（９３）の移動を補助する移動補助部材（９２）を設けたことにより、作業者は小さな力で作物を収容した収容部材（９３）を移動させることができるので、作業能率が向上するとともに、作業者の労力が軽減される。

【0016】

そして、回動させることにより規制状態と非規制状態に切り替え可能な移動規制部材（１３０）を載置部（９７）に設けたことにより、移動規制部材（１３０）を回動操作して規制状態にすると、機体が揺れたり傾斜したりして収容部材（９３）が貯留部（１０３）に移動しようとしても移動規制部材（１３０）が収容部材（９３）の移動を防止するので、移動した収容部材（９３）を載置部（９７）に戻す作業が不要となり、作業能率が向上する。

【0017】

また、収容部材（９３）が載置部（９７）から移動した際に、選別搬送装置（８７）から作物が機体上や圃場に落下することを防止できるので、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。

【0018】

さらに、移動規制部材（１３０）を貯留部（１０３）側に回動させて非規制状態にすると、搬送補助部材（１３１）が載置部（９７）と貯留台（１０３）の間に位置する搬送補助状態になることにより、載置部（９７）と貯留台（１０３）の間の隙間を塞ぐことができるので、収容部材（９３）が載置部（９７）から貯留部（１０３）に移動する際に動きが止められることが防止され、作業能率が向上する。

【0019】

請求項２記載の発明の効果は、収容容器搬送装置（１０９）の機体後側で且つ載置部（９７）の側方に回転部材（１３７）を備える受フレーム（１３６）を設けたことにより、載置部（９７）から移動してくる収容部材（９３）を円滑に引き継ぐことができるので、載置部（９７）と貯留台（１０３）との間で収容部材（９３）の移動が停滞することが防止され、作業能率が向上する。
また、受フレーム（１３６）に収容部材（９３）が載って移動が止まると、収容部材（９３）の重量によって付勢部材（１３５ａ）が収縮し、基部フレーム（１３５）が下方移動するため、収容部材（９３）の底部を収容部材搬送装置（１０９）に接触させることができ、収容部材（９３）が収容部材搬送装置（１０９）で自動的に機体前側に搬送されるので、作業者が手作業で収容部材（９３）を機体前側に移動させる必要が無く、作業者の労力が軽減される。

【0020】

請求項３記載の発明の効果は、請求項１または２記載の発明の効果に加えて、載置部（９７）を貯留部（１０３）側に向かうほど下方傾斜する姿勢としたことにより、移動規制部材（１３０）を回動させて搬送補助状態とすると積載した収容部材（９３）が自動的に載置部（９７）から貯留部（１０３）に移動するため、作業者は収容部材（９３）を手作業で移動させる必要がなく、作業者の労力が大幅に軽減される。

【0021】

請求項４記載の発明の効果は、請求項１に記載の発明の効果に加えて、補助作業搭乗部（９９）に移動規制部材（１３０）を操作する回動操作部材（１３２）を設け、回動操作部材（１３２）と移動規制部材（１３０）を連繋部材（１３３）で連繋したことにより、作業者が回動操作部材（１３２）を操作して移動規制部材（１３０）を回動させて搬送補助状態にすると、収容部材（９３）の移動を搬送補助部材（１３１）で行うことができるので、作業者は補助作業搭乗部（９９）から載置部（９７）に移動する必要が無く、作業者の労力が軽減される。

【0022】

請求項５記載の発明の効果は、請求項１または４に記載の発明の効果に加えて、第１回転軸（９１ａ）を第２回転軸（９１ｂ）及び第３回転軸（９１ｃ）よりも下方位置に設けたことにより、第１回転軸（９１ａ）に装着した移動補助部材（９２）の上面が第２回転軸（９１ｂ）及び第３回転軸（９１ｃ）に装着した移動補助部材（９２）の上面よりも下方に位置する構成となるため、載置部（９７）に載置した収容容器（９７）は貯留部（１０３）側が載置部（９７）よりも上方に位置する上方傾斜姿勢となるので、機体が揺れたり傾斜したときに収容部材（９３）が載置部（９７）から貯留部（１０３）に移動することが防止され、移動した収容部材（９３）を戻す作業が不要となり、作業能率が向上する。

【0023】

請求項６記載の発明の効果は、請求項１、４または５に記載の発明の効果に加えて、移動補助部材（９２）を複数の回転体（９２ｘ，９２ｙ，９２ｚ）を並べて構成したことにより、収容部材（９３）の底部と接触した回転体（９２ｘ，９２ｙ，９２ｚ）だけが回転するので、収容部材（９３）を引き出す際の慣性力が小さくなり、より小さな力で収容部材（９３）を引き出すことができる。

【0024】

【0025】

【図面の簡単な説明】

【0026】

【図1】根菜類収穫機の側面図

【図2】根菜類収穫機の平面図

【図3】根菜類収穫機の背面図

【図4】防護装置の要部斜視図

【図5】防護装置の要部側面図

【図6】（ａ）引下げウェイトの正面図、（ｂ）引下げウェイトから一部の重りを外した状態を示す正面図

【図7】引抜搬送装置と位置揃え装置、茎葉搬送装置の要部側面図

【図8】根菜類収穫機の要部平面図

【図9】位置揃え装置の平面図

【図10】ガイドカバーの正面図

【図11】位置揃え装置の別構成例の平面図

【図12】ガイドカバーの別構成例の正面図

【図13】ガイドカバーの別構成例の正面図

【図14】ガイドカバーの別構成例の正面図

【図15】位置揃え装置の別構成例の平面図

【図16】選別搬送部と収容部の要部側面図

【図17】選別搬送部と収容部の要部平面図

【図18】選別搬送部と収容部の要部背面図

【図19】収容部の別実施例の要部背面図

【図20】廃物容器支持台の要部拡大図

【図21】選別搬送部と収容部の別実施例の要部平面図

【図22】収容部の別実施例の要部平面図

【図23】収容部の別実施例の要部背面図

【図24】収容部の別実施例の要部正面図

【図25】収容部の別実施例の要部平面図

【図26】収容部の別実施例の要部背面図

【図27】収容部の別実施例の要部正面図

【図28】（ａ）補助作業座席の別実施例の斜視図、（ｂ）補助作業座席の別実施例の動作を示す斜視図

【図29】補助作業座席の別実施例の要部拡大図

【発明を実施するための最良の形態】

【0027】

本発明の実施の形態について説明する。
図１〜図１８に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Ａと、操縦者が搭乗する操縦部Ｂと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Ｃと、該収穫部Ｃから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Ｄと、茎葉切断部Ｄから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Ｅと、該引継搬送部Ｅから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Ｆと、選別搬送部Ｅから排出される人参を収容する収容部Ｇとから構成される。

【0028】

本件の実施例では、基本的に機体の進行方向に対して左側を「機体左右一側」、右側を「機体左右他側」と定義する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
まず、走行部Ａの構成について説明する。

【0029】

図１〜図３で示すように、機体フレーム１の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット２，２と機体後部側の左右従動輪３，３と、該左右駆動スプロケット２，２と左右従動輪３，３との間に取り付けた複数の転輪４，４・・・の周りに左右ベルト５，５を巻き掛けて左右のクローラ６Ｌ，６Ｒを構成する。そして、該左右クローラ６Ｌ，６Ｒの左右駆動スプロケット２，２を、エンジン７の動力が伝動されるミッションケース８から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト９，９に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ６Ｌ，６Ｒを該機体フレーム１に取り付ける。

【0030】

次に、操縦部Ｂの構成について説明する。
図１〜図３で示すように、前記機体フレーム１の右側上部に操縦部フレーム１０を取り付け、該操縦部フレーム１０には操縦座席１１を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル１２を取り付ける。そして、該操縦パネル１２に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー１３を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Ｃの作業高さを操作する昇降操作レバー１４を取り付ける。

【0031】

上記構成により、変速操作レバー１３や昇降操作レバー１４のような、１本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。

【0032】

次に、収穫部Ｃの構成について説明する。
図１〜図５で示すように、左右の引抜フレーム１５，１５の機体前側に従動プーリ１６をそれぞれ回転自在に装着し、機体後側に駆動プーリ１７をそれぞれ装着し、該左右の従動プーリ１６，１６と左右の駆動プーリ１７，１７との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する挟持搬送ベルト１８をそれぞれ無端状に巻回すると共に、複数のテンションローラ１９…によって該左右の挟持搬送ベルト１８，１８を張圧し、左右挟持搬送ベルト１８，１８の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Ｒを構成する。

【0033】

そして、前記機体フレーム１の上方に、一対の角パイプ２０ａ，２０ａを左右方向に間隔を空けて配置して構成する回動フレーム２０を、回動横軸２１を回動支点として上下方向に設ける。また、該回動フレーム２０の後端部に後部フレーム１２０を上下方向に設け、該後部フレーム１２０の上端部に前記左右駆動プーリ１７，１７に駆動力を伝動する伝動ケース２２を、回動支点Ｘを中心として上下回動自在に取り付ける。

【0034】

さらに、前記回動フレーム２０を構成する前記左右の角パイプ２０ａ，２０ａの左右間に連結パイプ１２１を設け、該連結パイプ１２１の左右両側端部で且つ左右の角パイプ２０ａ，２０ａの左右間に支持プレート１２２の基部をそれぞれ固定して設ける。そして、該左右の支持プレート１２２，１２２の上端部にシリンダ支持軸１２３を軸着し、該シリンダ支持軸１２３の左右両側部にカラー１２４をそれぞれ回転自在に装着する。また、該シリンダ支持軸１２３に昇降シリンダ２３の一側端部を装着し、該昇降シリンダ２３の他側端部を前記機体フレーム１に装着すると共に、昇降シリンダ２３を操作する操作装置（図示省略）を操縦部Ｂに設けることによって、引抜搬送装置２４が構成される。

【0035】

なお、前記シリンダ支持軸１２３の左右両端部に回転自在に装着する左右のカラー１２４，１２４は、シリンダ支持軸１２３の左右長さよりも短く構成すると共に、シリンダ支持軸１２３と昇降シリンダ２３の一側端部との連結部から離れた位置に配置するものとする。具体的には、左右のカラー１２４，１２４を左右方向に所定間隔を空けてシリンダ支持軸１２３に回転自在に軸着し、この所定間隔部に昇降シリンダ２３の一側端部を装着する構成である。このとき、左右のカラー１２４，１２４は、シリンダ支持軸１２３に沿って左右方向に摺動できない構成としておくと、左右のカラー１２４，１２４同士の左右方向の所定間隔が変わることが防止される。

【0036】

そして、後述する引継搬送部Ｅを構成する前後の残葉処理フレーム７２ａ，７２ｂのうち、機体前側の残葉処理フレーム７２ａを前記左右の支持プレート１２２，１２２よりも機体後側に設け、該前側の残葉処理フレーム７２ａにゴムや合成樹脂等の弾性体で構成する保護マット１２５の後端側をピンやボルト等の固定部材１２５ａ…で取り付ける。該保護マット１２５を前側の残葉処理フレーム７２ａに固定部材１２５ａ…を介して取り付ける位置は、前側の残葉処理フレーム７２ａの上端部よりも下方位置とする。該前側の残葉処理フレーム７２ａのうち、少なくとも保護マット１２５の左右幅と略同じ左右幅に亘って、上下高さが低くなる切欠部７２ｚを形成すると、保護マット１２５から残葉処理部Ｅに移動する人参が接触する部材が無くなるため、移動中に人参が傷付くことが防止でき、人参の商品価値が向上する。

【0037】

さらに、該保護マット１２５を左右のカラー１２４，１２４の上側を通過させて機体前側に延ばし、該左右のカラー１２４，１２４に接触する位置で下方に向けて屈曲させる。また、該保護マット１２５の前端部には、保護マット１２５の前端側を下方に向けて引き下げる引下げウェイト１２６を取り付けて、昇降シリンダ２３に搬送途中の人参から落下してくる泥土が接触することや、長さの長い人参が昇降シリンダ２３に接触して破損することを防止する防護装置１２７が構成される。該引下げウェイト１２６は、保護マット１２５が捲れ上がらない程度の質量を有していれば、どのような材質で構成してもよい。

【0038】

なお、上記構成とした防護装置１２７において、保護マット１２５は前側の残葉処理フレーム７２ａから左右のカラー１２４，１２４の上側に向けて、円弧（Ｕ字形）を描く屈曲部Ｗを形成するものとする。この屈曲部Ｗは、引下げウェイト１２６の質量によって変更される。

【0039】

このとき、図６で示すように、引下げウェイト１２６を重り支持軸１２６ａと、該重り支持軸１２６ａに着脱自在に設ける複数の重り１２６ｂ…で構成すると、作業者は容易に引下げウェイト１２６の質量を変更して、保護マット１２５の張りの強弱を変更することができ、人参が保護マット１２５に衝突してもいっそう破損しにくくなるため、人参の商品価値が維持される。

【0040】

また、該引抜搬送装置２４の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置２５と、該縦引起し装置２５が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置２６と、該横引起し装置２６の前部に設ける分草杆２７と、ハンドル２９を回すと上下伸縮する伸縮ロッド３０の下端部に引抜搬送装置２４の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪３１と、前記エンジン７の駆動力で回転するシャフト３２の回転によって振動する振動フレーム３３に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ３４，３４とを設ける。

【0041】

そして、前記引抜搬送通路Ｒの下方で且つ左右の角パイプ２０ａ，２０ａの左右間に、左右方向に複数の尻尾通過溝３５ｃ…を形成したカバーケース３５ｂを設け、該カバーケース３５ｂの内部に駆動モータ（図示省略）から駆動力を受けて回転する尻尾切断刃３５ａを設けて引抜搬送装置２４で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置３５を構成することによって、収穫部Ｃが構成される。

【0042】

なお、該尻尾切装置３５の後部には、前記防護装置１２７を構成する保護マット１２５のうち、引下げウェイト１２６によって略垂直に下方に垂れ下げられる前端部側を配置し、尻尾切装置３５を通過した人参を受け止める構成とすると、尻尾切断刃３５ａの回転力により押し出された人参の姿勢が乱れることが防止され、搬送精度が向上する。

【0043】

上記構成により、機体前側に分草杆２７を備える横引起し装置２６と、縦引起し装置２５を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。

【0044】

また、人参に左右振動ソイラ３４，３４等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、ハンドル２９を回すと上下伸縮する伸縮ロッド３０の下端部にゲージ輪３１を設けたことによって、ゲージ輪３１を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置２４が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置２４の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。

【0045】

そして、機体フレーム９と左右横軸２１を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム２０とを昇降シリンダ２３で連結し、昇降シリンダ２３を操縦部Ｂの昇降操作レバー１４を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー１４の操作により収穫部Ｃ全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Ｃの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。

【0046】

また、旋回時に収穫部Ｃを上昇させておくと、収穫部Ｃの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
さらに、昇降シリンダ２３の前後及び上方を覆う軟質部材で構成する保護マット１２５を設けたことにより、引抜搬送装置２４で搬送中の人参にから降って来る泥土や水等が昇降シリンダ２３に付着することを防止できるので、昇降シリンダ２３が破損することや、作動不良を起こすことが防止されるため、耐久性や操作性が向上する。

【0047】

また、昇降シリンダ２３の前部を下方に向かって略垂直方向に垂らしていることにより、人参の上下長さが長いものであっても、その人参の下部側を保護マット１２５が受け止めることができるので、人参が昇降シリンダ２３や左右の支持プレート１２２，１２２に接触することが防止され、人参が傷付くことがなく、商品価値が向上する。

【0048】

そして、保護マット１２５の前端部に引下げウェイト１２６を設けて下方に向けて引き下げ、後部側を残葉処理フレーム７２ａに固定したことにより、保護マット１２５の撓み幅を大きく取ることができるので、保護マット１２５が抵抗となって接触した人参を傷つけることが防止され、いっそう人参の商品価値が向上する。

【0049】

さらに、シリンダ支持軸１２３に左右のカラー１２４，１２４を回転自在に装着し、この左右のカラー１２４，１２４の上部に保護マット１２５を接触させる構成としたことにより、保護マット１２５に人参が接触して撓むときや、引下げウェイト１２６の重量を変更して保護マット１２５の前端部の上下位置を変更するとき、保護マット１２５にかかる摩擦抵抗を減らすことができるので、保護マット１２５の耐久性が向上する。

【0050】

これに加えて、保護マット１２５が摩擦抵抗でその位置に留まることや、保護マット１２５が伸びて意図した張りに合わなくなることが防止されるので、保護マット１２５に接触する人参の傷付きが防止されて、商品価値が向上する。

【0051】

また、左右のカラー１２４，１２４を左右方向に所定間隔を空けて設けたことにより、人参が保護マット１２５に接触する頻度の高い左右方向中央部に撓みを抑える部材が配置されない構成とすることができるので、人参が保護マット１２５に接触する際の撓み代が十分に確保されるため、保護マット１２５が十分に撓めず抵抗が強くなって人参を傷つけることが無く、人参の商品価値がいっそう向上する。

【0052】

そして、保護マット１２５の前端部を引下げウェイト１２６で下方に引き下げ、後部側を固定部材１２５ａ…で前側の残葉処理フレーム７２ａに固定したことにより、保護マット１２５の上部側が円弧形状の屈曲部Ｗとなるため、人参が保護マット１２５に接触する際の衝撃が吸収されやすく、さらに人参が傷付きにくくなる。

【0053】

さらに、保護マット１２５を有する防護装置１２７を尻尾切装置３５の後部の直後位置に設けたことにより、尻尾切装置３５に弾き出される人参の下端部側を保護マット１２５で受け止めることができるので、人参が揺れて周囲の構成部材に接触して破損することが防止され、人参の商品価値が向上する。

【0054】

これに加えて、人参が揺れることにより、茎葉部から根部がちぎれ、人参が残葉処理部Ｅよりも機体前側で落下することが防止されるため、人参に残った残葉を手作業で処理する必要がなくなると共に、機外や搬送経路外に落下した人参を拾い上げる作業が不要となるため、作業者の労力が軽減される。

【0055】

また、保護マット１２５の後側垂下部を固定部材１２５ａで前側の残葉処理フレーム７２ａに固定したことにより、保護マット１２５の後端部側が昇降シリンダ２３に接触し、昇降シリンダ２３の伸縮動作を妨げることを防止できるので、引抜搬送装置２４の引抜作業高さの調節が正確に行われるため、作業能率が向上する。

【0056】

さらに、保護マット１２５の後部側が昇降シリンダ２３の上方を上下方向に亘って覆う構成となるため、昇降シリンダ２３に夾雑物が落下することを確実に防止することができるので、昇降シリンダ２３が破損したり作動不良を起こすことが防止され、耐久性が向上すると共に、作業性が向上する。

【0057】

次に、茎葉切断部Ｄについて説明する。
図１〜図３及び図７〜図９で示すように、前記伝動ケース２２に駆動力を伝道する左右の伝動軸３６，３６を取り付け、該左右の伝動軸３６，３６の上部に左右伝動ケース３７，３７を取り付けると共に、該左右の伝動ケース３７，３７内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第１ギアユニット３８，３８を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース２２内部の左右の伝動軸３６，３６に左右の第２ギアユニット３９，３９を機体後側に向かって取り付け、該左右の第２ギアユニット３９，３９の後端部に左右の第１出力軸４０，４０を機体上方に向けて軸着する。

【0058】

そして、前記の左右第１ギアユニット３８，３８の前端部に左右の第２出力軸４１，４１を機体下方に向けて軸着し、該左右の第２出力軸４１，４１に左右の位置揃え駆動スプロケット４２，４２を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース３７，３７の前下部に側面視Ｌ字型の左右の位置揃えフレーム４３，４３を取り付け、該位置揃えフレーム４３，４３に機体左右方向の孔部４４，４４を形成し、該孔部４４，４４に左右の位置揃え従動スプロケット４５，４５を軸着した左右回転軸４６，４６を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット４５，４５と位置揃え駆動スプロケット４２，４２との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット４２，４２よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット４７，４７を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット４７，４７と位置揃え駆動スプロケット４２，４２と位置揃え従動スプロケット４５，４５とに左右の位置揃えチェーン４８，４８を無端状に巻回する。

【0059】

なお、前記位置揃え駆動スプロケット４２，４２は、位置揃え従動スプロケット４５，４５及び位置揃えテンションスプロケット４７，４７よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース３７，３７に左右の受け板４９，４９を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板４９，４９と位置揃えフレーム４３，４３との間に、前記位置揃え従動スプロケット４５，４５を張圧して位置揃えチェーン４８，４８に生じる弛みを吸収させる左右の張圧バネ５０，５０を取り付ける。該張圧バネ５０，５０は、受け板４９，４９を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット４７，４７にかかる張圧力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。

【0060】

また、前記左右の位置揃えフレーム４３，４３に機体左右方向の孔部４４，４４を形成、該孔部４４，４４に位置揃え従動スプロケット４５，４５の回転軸４６，４６を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット４５，４５を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット４７，４７は張圧バネ５０，５０に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット４７，４７は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。

【0061】

加えて、位置揃え装置５４，５４の搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置５４，５４の左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。

【0062】

さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置５４，５４の左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置６１に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。

【0063】

そして、前記位置揃えチェーン４８，４８を構成する複数のリンクピン４８ａ…に、位置揃えチェーン４８，４８の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型のガイドカバー５１…をそれぞれ取り付け、位置揃えガイド体５２を構成する。

【0064】

なお、図１０で示すように、該ガイドカバー５１…は、正面または背面視においてコの字形に形成し、リンクピン４８ａに２つ毎に１個取り付けることにより、ガイドカバー５１同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン４８，４８の移動に追従することができるので、位置揃え装置５４，５４の移動がスムーズになり、作業能率が向上する。

【0065】

そして、前記位置揃えチェーン４８，４８の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット４５，４５と位置揃えテンションスプロケット４７，４７との間に、位置揃えチェーン４８，４８を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート５３Ｌ，５３Ｒを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置５４，５４が引抜搬送装置２４の搬送方向後側の下方位置に構成される。

【0066】

該テンションプレート５３Ｌ，５３Ｒは、前記伝動ケース３７，３７に長穴を形成して取付軸５３ａ，５３ａをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸５３ａ，５３ａの端部に板体５３ｂ，５３ｂを溶着して構成する。

【0067】

そして、前記左右第１ギアユニット３８，３８の位置揃え装置５４，５４の後方位置に左右の切断刃回転軸５６，５６を軸着し、該切断刃回転軸５６，５６に左右のベアリング５７，５７を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング５７，５７に左右の支持プレート５９，５９を取り付け、該支持プレート５９，５９に左右の茎葉切断刃６０，６０を取り付けて、茎葉切断装置６１が構成される。

【0068】

また、前記左右第１出力軸４０，４０に左右茎葉搬送駆動プーリ６２，６２を軸着し、前記左右第１ギアユニット３８，３８よりも機体前側で且つ位置揃え装置５４，５４の上方に左右茎葉搬送従動プーリ６３，６３を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ６２，６２と左右茎葉搬送従動プーリ６３，６３とに左右排葉搬送ベルト６４，６４を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置２４から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置６５が、前記左右の伝動ケース３７，３７の上部外周で且つ引抜搬送装置２４の搬送終端部側の下方に構成される。

【0069】

さらに、前記左右第１出力軸４０，４０の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ６６，６６を軸着し、前記伝動ケース３７，３７の上方に左右残葉搬送従動プーリ６７，６７を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ６６，６６と左右残葉搬送従動プーリ６７，６７との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ６８，６８…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ６６，６６と左右残葉搬送従動プーリ６７，６７と左右残葉搬送テンションプーリ６８，６８…とに左右残葉搬送ベルト６９，６９を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置７０が、前記排葉搬送装置６５の上方に構成される。

【0070】

上記排葉搬送装置６５と残葉搬送装置７０の終端部から茎葉切断装置６１によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ７１を設けて、茎葉切断部Ｄを構成する。
また、図７で示すとおり、前記左右の位置揃え装置５４，５４及び排葉搬送装置６５の搬送始端側の上方で、且つ前記引抜搬送装置２４を構成する左右の挟持搬送ベルト１８，１８の巻回域内に、人参の茎葉部を挟持搬送しつつ根部が位置揃え装置５４，５４に接触するように引き上げる搬送補助ローラ１２８…を前後方向に所定間隔毎に複数個、回転自在に配置する。該搬送補助ローラ１２８は、搬送補助回転軸１２８ｃの下部に人参の茎葉部を挟持する挟持回転体１２８ａを軸着し、搬送補助回転軸１２８ｃの上部に人参之茎葉部を扱いて引き上げる扱き回転体１２８ｂを軸着して構成する。このとき、扱き回転体１２８ｂは挟持回転体１２８ａよりも小径に構成する。

【0071】

なお、搬送補助ローラ１２８は、上側の径が下側の径よりも小径となる、「凸」形状、あるいは「呂」形状の異型ローラとしてもよい。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット４２，４２が、茎葉部が通過する位置揃え装置５４，５４の左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット４２，４２や第２出力軸４１，４１に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置５４，５４を停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。

【0072】

また、位置揃え駆動スプロケット４２，４２を位置揃え従動スプロケット４５，４５及び位置揃えテンションスプロケット４７，４７よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット４２，４２がいっそう位置揃え装置５４，５４の左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット４２，４２や第２出力軸４１，４１に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。

【0073】

そして、位置揃え従動スプロケット４５，４５を張圧する左右の張圧バネ５０，５０を設けたことにより、位置揃え装置５４，５４に茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン４８，４８に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン４８，４８がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置５４，５４が確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。

【0074】

また、左右の受け板４９，４９を前後方向に移動させることで張圧バネ５０，５０の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。

【0075】

さらに、左右の位置揃えフレーム４３，４３に機体左右方向の孔部４４，４４を形成し、この孔部４４，４４に位置揃え従動スプロケット４５，４５を軸着した回転軸４６，４６を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、張圧バネ５０，５０に張圧された位置揃え従動スプロケット４５，４５は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置５４，５４が茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。

【0076】

また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置５４，５４に大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット４５，４５は孔部４４，４４に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置５４，５４の前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置５４，５４の間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。

【0077】

なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット４５，４５を左右の位置揃え装置５４，５４の左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置５４，５４の搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置５４，５４が茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。

【0078】

そして、位置揃えチェーン４８，４８を構成する複数のリンクピン４８ａ…毎にガイドカバー５１…を取り付けて位置揃えガイド体５２を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー５１を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー５１が損傷しても、新しいガイドカバー５１に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。

【0079】

また、位置揃えガイド体５２全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー５１の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。

【0080】

そして、ガイドカバー５１が位置揃えチェーン４８の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー５１と位置揃えチェーン４８との間に空間部が生じないので、ガイドカバー５１と位置揃えチェーン４８との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。

【0081】

そして、位置揃えチェーン４８，４８の巻回域内に左右のテンションプレート５３Ｌ，５３Ｒを設けたことにより、位置揃えチェーン４８，４８を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート５３Ｌまたはテンションプレート５３Ｒが押圧していない部分の位置揃えチェーン４８，４８は位置揃え駆動スプロケット４２，４２の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置５４，５４の左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。

【0082】

そして、茎葉切断装置６１で人参から切断された排葉（切断された茎葉部）を圃場に排出する排葉シュータ７１が、既掘り側（人参を収穫し終えた側）に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側（人参を収穫していない側）の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト１９，１９や左右従動プーリ１７，１７等に絡み付いて収穫部Ｃを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。

【0083】

また、左右の挟持搬送ベルト１８，１８の巻回域内に複数の搬送補助ローラ１２８…を設け、この搬送補助ローラ１２８を構成する上側の扱き回転体１２８ｂを下側の挟持回転体１２８ａよりも小径に構成したことにより、左右の茎葉部が補助搬送ローラ１２８，１２８の間を通過する際、左右の挟持搬送ベルト１８，１８の下部側は閉じて茎葉部を挟持し、上部側は開いて根部が位置揃え装置５４，５４に接触するまでの茎葉部の扱き上げを妨げない構造となるので、位置揃え装置５４，５４に人参が移動する際、引抜搬送装置２４に挟持搬送された茎葉部が上方にも下方にも動けず、千切れてしまうことが防止されるため、搬送途中で人参が落下することが無く、収穫作業後に手作業で残葉を処理する必要が無く、作業者の労力が軽減される。

【0084】

加えて、人参が機外及び搬送経路外に落下し、作業者が落下した人参を拾い集める必要がなくなるため、作業者の労力が軽減される。
そして、従来のように、左右の搬送補助ローラ１２８，１２８の左右間隔を収穫する人参の品種や生育状態に合わせて調節する頻度が低下するため、作業者は左右の搬送補助ローラ１２８，１２８の左右間隔を調節するために作業を中断する必要が無く、作業能率が向上する。

【0085】

本件構成では、茎葉部の径が大きくても左右の挟持搬送ベルト１８，１８は茎葉部が細い、あるいは標準的な径である場合と同じ挙動をするため、調節の頻度が低下する。例外として規格外に大きな人参（３Ｌ〜４Ｌ超級）の存在があるが、このような人参は加工用に回されるか、あるいは生産者が出荷前に選り分けるため、一般的に市場に流通するものではなく、また頻出するものでもないため、万一茎葉部が千切れて落下しても、作業能率や作業者の労力を損ねるものではない。

【0086】

なお、図１３で示すとおり、位置揃え装置５４，５４を構成する複数のガイドカバー５１…のうち、茎葉部が通過する左右間隔部に突出する半球形状の搬送突起５１ａを設け、左右の左右位置揃え装置５４，５４は、搬送突起５１ａ，５１ａが隣接しない位相で配置されるよう、左右の位置揃えチェーン４８，４８をリンクピン４８ａ一個分ずらして構成する。さらに、図１２で示すとおり、リンクピン４８ａの下端部を皿形状または半球形状のグリップ部４８ｔを形成すると、位置揃え装置５４，５４の下部に接触する人参の根部の上端部にグリップ部４８ｔが接触して滑りを防止することができるので、茎葉部の切断位置の位置揃えが安定して行なわれるため、人参に残葉が残りにくく、作業者が人参に残った残葉を処理する作業が省略される。

【0087】

該搬送突起５１ａは、ガイドカバー５１に一端部が半球形上のリベットを用いると安価且つ簡単な作業で構成することができるが、ガイドカバー５１に雌螺子孔（図示省略）を形成し、雄螺子溝を刻んだ鍋小螺子（半球形状の頭部に、ドライバー用の十文字または一文字の溝を形成した螺子）を捻じ込む構成とすると、搬送突起５１ａの出代の調節が容易になり、人参の品種や生育状態等の作業条件への適応力が向上する。

【0088】

また、図１５で示すとおり、ガイドカバー５１の前後方向中央部を上下方向に平面視または底面視でＵ字形状の切欠溝５１ｂを形成し、該切欠溝５１ｂの前後に、前記搬送突起５１ａをそれぞれ取り付ける構成としてもよい。このとき、搬送突起５１ａは、リベット、鍋小螺子のどちらで構成してもよい。

【0089】

そして図１１、図１５のいずれの場合でも、図１４で示すように、搬送突起５１ａを上下方向に複数並べて配置してもよい。
次に、引継搬送部Ｅについて説明する。

【0090】

図２で示すように、前記茎葉切断装置６１の下方に前後の残葉処理フレーム７２ａ，７２ｂを設け、該前後の残葉処理フレーム７２ａ，７２ｂの左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ７３，７３を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ７３，７３にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト７４を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト７４の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト７４と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ７５を取り付けて、茎葉切断部Ｄから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア７６を構成する。

【0091】

また、該残葉処理コンベア７６の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置６１よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台７７を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台７７よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ７８を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ７９を設ける。そして、前記残葉処理コンベア７６よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア７６に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ７８と汲上搬送従動ローラ７９とに汲上搬送ベルト８０を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア７６と受け台７７とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア８１が構成される。

【0092】

前記残葉処理コンベア７６と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア８１とから、汲上搬送部Ｅが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア７６を構成する残葉処理ローラ７５が、茎葉切断装置６１で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア８１に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。

【0093】

また、残葉処理コンベア７６を構成する残葉処理ベルト７４をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置６１で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト７４が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。

【0094】

そして、残葉処理コンベア７６の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台７７を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置６１よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア８１に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置６１よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。

【0095】

次に、選別搬送部Ｆについて説明する。
図２及び図１６で示すように、操縦部Ｂの後部に左右の選別搬送フレーム８２，８２を取り付け、該左右の選別搬送フレーム８２，８２の機体後側の左右間に選別搬送駆動スプロケット８３，８３を回転自在に設け、該選別搬送駆動スプロケット８３，８３よりも機体前側に、選別搬送従動スプロケット８４，８４を取り付けた自動テンション機構８４ａ，８４ａを設ける。

【0096】

また、前記選別搬送駆動スプロケット８３，８３と選別搬送従動スプロケット８４，８４に亘って左右の伝動チェーン８５，８５を無端状に巻回し、該伝動チェーン８５，８５の左右間に複数の搬送バー８６…を等間隔に配置する。さらに、前記選別搬送駆動スプロケット８３，８３の回転軸を回転させる選別搬送モータ８７ｍを設けることにより、選別搬送コンベア８７が構成される。

【0097】

該選別搬送コンベア８７は、搬送始端部よりも搬送終端部が僅かに上方に位置する後上り傾斜姿勢とし、搬送始端部を汲上搬送部Ｅの汲上搬送コンベア８１の搬送終端部の下方に配置する。このとき、汲上搬送コンベア８１の搬送終端部は、機体左右一側の自動テンション機構８４ａを跨いだ位置に配置する。

【0098】

また、前記選別搬送駆動スプロケット８３，８３の回転軸にシュータ８８を上下回動自在に取り付け、該シュータ８８の機体左右外側にシュータ８８を上下回動させる操作レバー８９を取り付けることによって、選別搬送部Ｆが構成される。

【0099】

上記構成のように、選別搬送従動スプロケット８４，８４を回転自在に取り付けた自動テンション機構８４ａ，８４ａを設けたことにより、汲上搬送コンベア８１から人参が落下してきたときなどに伝動チェーン８５，８５を撓ませることができるので、人参は落下の衝撃を吸収されて傷付くことを防止され、人参の商品価値が向上する。

【0100】

また、選別搬送駆動スプロケット８３，８３を搬送終端部側に設けたことにより、自動テンション機構８４ａ，８４ａがはたらいて伝動チェーン８５，８５が撓んでも、選別搬送コンベア８７の搬送終端位置が変化しないので、選別搬送コンベア８７と収容容器９３との距離が変わることが防止され、人参の落下距離が一定に保たれ、落下の衝撃で傷付くことが防止される。

【0101】

そして、汲上搬送コンベア８１の搬送終端部を、機体左右一側の自動テンション装置８４ａを跨いだ位置に配置したことにより、汲上搬送コンベア８１から排出される人参が自動テンション装置８４ａや伝動チェーン８５の上に落下しないので、人参が落下してくると自動テンション装置８４ａが作用して伝動チェーン８５がしっかりと撓むため、落下の衝撃が吸収されて人参が傷付くことが防止される。

【0102】

さらに、選別搬送コンベア８７を、複数の搬送バー８６…を左右の伝動チェーン８５，８５の左右間に等間隔に設けて構成したことにより、搬送バー８６同士の間から人参に付着していた泥土や葉屑等の夾雑物を下方に落下させることができるので、夾雑物が選別対象の人参の形状や傷を隠すことが防止され、人参の選別精度が向上する。

【0103】

また、シュータ８８を上下回動自在に設けたことによって、シュータ８８を下方回動させると人参を後述する収容部Ｇに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器９３に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。

【0104】

そして、シュータ８８を上方に回動させると、選別搬送コンベア８７の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア８７を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア８７の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。

【0105】

さらに、シュータ８８を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア８７を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア８７の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア８１の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア８７の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。

【0106】

また、シュータ８８の機体左右外側にシュータ８８を上下回動させる操作レバー８９を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席１１７に座ったままシュータ８８を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。

【0107】

次に、収容部Ｇについて説明する。
図１、図２、図１７及び図１９で示すように、前記左右選別搬送フレーム８２，８２の下部に前後回動自在に枠形状の載置支持フレーム９０を機体左右一側（機体右側）から機体左右他側（機体左側）に向かって下方に傾斜する後下り傾斜姿勢で設け、該載置支持フレーム９０の空間部に前後方向の回転軸９１…を複数並べて配置する。本実施例では三本の回転軸９１ａ，９１ｂ，９１ｃを、左右方向に間隔を空けて配置している。

【0108】

該回転軸９１ａ，９１ｂ，９１ｃのうち、機体左右一側、即ち選別搬送コンベア８７の搬送終端部の下方に位置する載置支持フレーム９０に回転軸９１ａを配置し、収容容器９３の左右幅より短い間隔を空けて、機体左右他側、後述する収容容器載置台９７側に回転軸９１ｂ，９１ｃを回転軸９１ａよりも上方に配置する。

【0109】

また、前記載置支持フレーム９０の左右一側端部に、収容容器９３の積載を検出する積載センサ１１８を設ける。該積載センサ１１８が載置支持フレーム９０上に収容容器９３が載置されていることを検出すると、選別搬送コンベア８７を駆動させる選別搬送モータ８７ｍが作動し、収容容器９３が載置支持フレーム９０から機体左右他側の収容容器キャリア１０３に移動を開始した、即ち、積載センサ１１８が非検出状態となると選別搬送モータ８７ｍが停止する構成とする。該積載センサ１１８は、収容容器９３が載置されると押されてＯＮとなり、収容容器９３が移動するとＯＦＦになるスイッチ方式としているが、収容容器９３の重量を検知する重量検知センサを用いたり、収容容器９３が上方位置にあるか否かを検知する近接センサを用いてもよい。

【0110】

そして、前記回転軸９１ａ，９１ｂ，９１ｃにそれぞれ搬送ローラ９２を、コンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器９３の搬送方向にのみ回転可能に装着する。回転方向を一方向に回転させるためには、搬送ローラ９２にワンウェイクラッチ（図示省略）等の回転方向を規制可能な部材を用いるとよい。

【0111】

なお、この搬送ローラ９２は、図１、図２、図１７で示すように、前後方向に複数（本実施例では分割搬送ローラ９２ｘ，９２ｙ，９２ｚ）に分割し、該分割搬送ローラ９２ｘ，９２ｙ，９２ｚ同士の間隔、及び載置支持フレーム９０との間隔ができるだけ生じないように配置する。

【0112】

さらに、機体左右一側に設ける前記回転軸９１ａの後部で且つ回転軸９１ａと載置支持フレーム９０との間に皿バネ等のブレーキ体９４を軸着し、回転軸９１ａの後端部に該ブレーキ体９４の抵抗力を調節する調節ノブ９５を調節自在に取り付ける。該ブレーキ体９４は、調節ノブ９５の調節操作に応じて加圧力を回転軸９１ａに加え、回転軸９１ａの回転を規制するものである。

【0113】

そして、前記載置支持フレーム９０の機体左右他側端部に、載置支持フレーム９０上に積載した収容容器９３の左右他側端の下部を受けるストッパアーム１３０を左右方向に回動自在に装着し、該ストッパアーム１３０の上端部にアシストローラ１３１を背面視で時計回り方向に回転可能に装着する。この回転方向の規制には、ワンウェイクラッチ等を用いる。該搬送アシストローラ１３１は、ストッパアーム１３０を機体左右他側に回動させた際に、載置支持フレーム９０の左右他側端部（機体左側端部）よりも機体左右他側（機体左側）で且つ後述する収容容器キャリア１０３の左右一側端部（機体右側端部）よりも機体左右一側（機体右側）に位置するように、ストッパアーム１３０に装着する。

【0114】

これに加えて、前記載置支持フレーム９０の機体左右他側の下部に取付プレート９０ａを延設し、後述するステップ９９に作業者が足で操作する操作ペダル１３２を設け、該操作ペダル１３２と取付プレート９０ａとストッパアーム１３０の下端部とを、傾動ワイヤ１３３で連結する。

【0115】

前記操作ペダル１３２を踏むと傾動ワイヤ１３３が引っ張られ、該傾動ワイヤ１３３が連結されたストッパアーム１３０も機体左右一側に引っ張られるので、該ストッパアーム１３０の上端部に設けられたアシストローラ１３１は機体左右他側に向かって移動する構成となる。このとき、アシストローラ１３１の上端部は、収容容器キャリア１０３の上端部よりも若干上方に位置する構成とすると、収容容器９３の移動を補助する構成となる。また、作業者が操作ペダル１３２から足を離し、傾動ワイヤ１３３の張力が無くなると、ストッパアーム１３０は機体左右一側に回動し、再び収容容器９３の移動を規制する位置に復帰する構成とする。

【0116】

これに加えて、図１９で示すとおり、載置支持フレーム９０の左右方向中央部よりも貯留部１０３寄りの位置で且つ下側に支点部９０ｂを形成し、該支点部９０ｂを、スプリング１３４ａによって上下方向に付勢された載置基部フレーム１３４に左右方向に回動自在に取り付ける構成としてもよい。なお、支点部９０ｂには、トルク・スプリング等の付勢部材（図示省略）を設け、載置支持フレーム９０上に重量物が無い場合は、載置支持フレーム９０を機体左右一側に付勢して略水平状態で保持する構成とする。

【0117】

上記の構成では、載置支持フレーム９０に収容容器９３等の重量物が載置されると、載置支持フレーム１２４が下降すると共に、支点部９０ｂに沿って機体左右他側に傾斜する構成となるので、収容容器９３を収容容器載置台９７から収容容器キャリア１０３に移動させやすくなるため、作業能率が向上する。

【0118】

また、前記載置支持フレーム９０に収容容器９３の重量に応じて伸縮するダンパ９６の一側端部を設け、該ダンパ９６の他側端部を回動フレーム２０に取り付ける。該ダンパ９６は、収容容器９３に投入された人参が少なく、重量が軽い場合は短く縮んで載置支持フレーム９０を上方に回動させると共に、人参が投入されて重くなるにつれて長く伸び、載置支持フレーム９０を下方に回動させる構成とする。

【0119】

上記により、収容容器載置台９７が構成される。
そして、該収容容器載置台９７を構成する収容支持フレーム９０の後部に空の収容容器９３等を載置する予備収容容器載置台９８を前後回動自在に、且つ収容容器載置台９７が圃場面に対して略水平姿勢であるときには後上り傾斜姿勢となるように取り付ける。該予備収容容器載置台９８は、収容容器載置台９７から収容容器９３を取り除くと、積載している空の収容容器９３を収容容器載置台９７に滑り降ろす角度で配置する。このとき、人参を収容中の収容容器９３の上部が、空の収容容器９３のストッパの役割を果たしている。

【0120】

また、前記選別搬送コンベア８７の機体左右他側方に補助作業者が足を置くステップ９９を設け、該ステップ９９の下部に前後一対の取付アーム１００，１００を設け、該取付アーム１００，１００の機体左右他側端部に平面視Ｈ字形状の回動ステー１０１，１０１を取り付ける。さらに、該回動ステー１０１，１０１に中空の支持フレーム１０２，１０２を上下回動自在に設け、該支持フレーム１０２，１０２の上部に人参を収容した収容容器９３を複数載置する収容容器キャリア１０３を、機体前後方向に長辺を向けて配置する。この収容容器キャリア１０３は、非作業時等には機体フレーム１側に回動させることができる構成とし、倉庫等に収容する際のスペースを少なくできる構成としている。

【0121】

なお、ステップ９９の機体左右他側端部は載置支持フレーム９０の機体左右他側端部と略同じ位相とし、収容容器キャリア１０３の後端部は載置支持フレーム９０の後端部と略同じ位相とする。

【0122】

また、ステップ９９の取付アーム１００，１００を回動ステー１０１，１０１を回動支点として、収容容器キャリア１０３を機体フレーム１側に回動させるとステップ９９がこの収容容器キャリア１０３側に回動する構成としてもよい。

【0123】

上記構成によれば、収容容器キャリア１０３を上方回動させるとステップ９９も上方回動して傾斜姿勢となることにより、選別搬送コンベア８７や作業者の靴から落ちた泥土や葉屑等の夾雑物を下方に落とすことができるので、夾雑物の除去作業が容易となり、メンテナンス性が向上する。

【0124】

このとき、ステップ９９の表面を凹凸のない平坦な構成としたり、泥土の付着しにくい素材で覆ったりすると、ステップ９９を傾斜させた際にいっそう泥土が残りにくく、メンテナンス性がさらに向上する。

【0125】

そして、該収容容器キャリア１０３の前部に左右一対の駆動プーリ１０４，１０４を設け、収容容器キャリア１０３の後部に左右一対の従動プーリ１０５，１０５を設け、該駆動プーリ１０４，１０４と従動プーリ１０５，１０５の前後間に複数の搬送ローラ１０６，１０６…を回転自在に設ける。また、前記駆動プーリ１０４，１０４と従動プーリ１０５，１０５に２本の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７を左右間隔を空けて無端状に巻回する。該左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の左右間には、前記搬送ローラ１０６，１０６…が搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７と接触しない位置に設けられる。

【0126】

なお、搬送ローラ１０６，１０６…と搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の上面は、収容容器キャリア１０３の上端面よりも上方に位置すると、収容容器９３が収容容器キャリア１０３の上面に接触して搬送されなくなることが防止されるので、作業能率が向上する。

【0127】

前記収容容器キャリア１０３の前端部に駆動プーリ１０４，１０４を駆動回転させる駆動モータ１０８を設けることにより、収容容器搬送装置１０９が構成される。
また、図１８で示すとおり、前記収容容器キャリア１０３上で且つ左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の左右間に、スプリング１３５ａによって上方に付勢される基部フレーム１３５を設け、該基部フレーム１３５の上部に複数の搬送補助ローラ１３７…を回転自在に装着したローラフレーム１３６を配置する。該ローラフレーム１３６と基部フレーム１３５とは、左右方向中央部よりも載置支持フレーム９０寄りとなる位置に支点部１３６ｂを形成し、該ローラフレーム１３６に収容容器９３を載置すると機体左右他側に向かう下り傾斜姿勢となる構成とするとともに、収容容器９３が無い場合は、支点部１３６ｂに設けたトルク・スプリング等の付勢部材（図示省略）により、ローラフレーム１３６を機体左右一側に付勢して略水平状態で保持する構成とする。なお、前記スプリング１３５ａは、人参を収容した収容容器９３がローラフレーム１３６上に載置されると縮んで基部フレーム１３５を下降させる程度の付勢力とし、基部フレーム１３５が下降すると、前記複数の搬送補助ローラ１３７…は左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７よりも下方に移動する構成とする。

【0128】

上記構成としたことにより、収容容器載置台９７から収容容器９３が収容容器キャリア１０３に移動されると、ローラフレーム１３６に装着した複数の搬送補助ローラ１３７…が収容容器９３の移動をアシストするので、収容容器９３の移動が滞ることが防止され、作業能率が向上するとともに、作業者は軽い力で収容容器９３を移動させることができるので、作業能率が向上する。

【0129】

また、収容容器９３が支持部１３６ｂを越えて載置されるとローラフレーム１３６が機体左右他側に向かって傾斜する姿勢となることにより、収容容器９３をより軽い力で収容容器キャリア１０３に移動させることができるので、作業者の労力がいっそう軽減されるとともに、作業能率も向上する。

【0130】

さらに、収容容器９３がローラフレーム１３６の左右方向に亘って載置された状態になると、スプリング１３５ａが収縮して基部フレーム１３５が下降し、搬送補助ローラ１３７の上部が左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７よりも下方に位置する構成としたことにより、収容容器９３を左右の１０７，１０７：１０７，１０７で確実に機体前側に向かって搬送することができるので、収容容器載置台９７から収容容器キャリア１０３に移動された収容容器９３が停滞することがなく、作業能率が向上する。

【0131】

なお、図２で示すように、収容容器キャリア１０３の機体左右他側の壁面のうち、収容容器載置台９７から収容容器９３を受ける位置に収容容器９３が接触すると駆動モータ１０８を所定時間駆動させる載置検出スイッチ１１０を設けると、自動的に人参を収容した収容容器９３を移動させることができるので、作業者が収容容器９３を移動させる作業が省略され、作業能率が向上する。

【0132】

駆動モータ１０８の駆動時間は、収容容器９３一つ分が機体前方に移動する時間とする。
また、操縦者は機体の操縦に集中することができ、補助作業者は選別作業に集中することができるので、人参の引き残しが防止されると共に、人参の選別精度が向上する。

【0133】

そして、収容容器キャリア１０３の前端部の壁面に収容容器搬送装置１０９によって搬送されて来た収容容器９３が接触すると駆動モータ１０８を停止させ、ブザーやランプなどの報知手段（図示せず）を検出する終端検出スイッチ１１１を設けることにより、収容容器キャリア１０３に収容容器９３が満載されてこれ以上積めないことが自動的にわかるようになり、作業能率が向上する。

【0134】

また、収容容器キャリア１０３の後端部の左右両端部に、平面視Ｌ字形状の取付ステー１１２，１１２を固着し、該取付ステー１１２，１１２の後方に突出させた端部に帯鋼で平面視コの字型に形成した支持フレーム１１３を固定ピン１１３ａで固定する。そして、該支持フレーム１１３の左右間に二本の支持パイプ１１４，１１４を平面視でＸ字型となる配置とし、商品として不適格な人参（生育不良、形状異常、傷物など）を回収する廃物回収用の廃物容器９３ｔを配置する廃物容器支持台１１５を構成する。

【0135】

なお、図２、図２１、図２２、図２５並びに図２０で示すとおり、二本の支持パイプ１１４，１１４は、長手方向の中央部付近が凹形状となる潰し加工を施し、重ね合わせた交点が平坦になる構成とすると、廃物容器９３ｔを安定した状態で載置することができるので、機体の揺れ等による廃物容器９３ｔの滑落が防止され、落下した廃物容器９３ｔや収容した廃棄される人参等を拾い集める作業が不要となり、作業能率が向上する。

【0136】

上記の固定ピン１１３ａは、最下段の廃物容器９３ｔの下部に接触し、廃物容器９３ｔが収容容器キャリア１０３に移動することを防止する。
該廃物容器支持台１１５の支持フレーム１１３は機体後方に向かう後上り傾斜姿勢とし、その傾斜角度は廃物容器９３ｔを複数段、例えば二段積みまでは積載を許容するものに設定する。廃物容器支持台１１５を圃場面に対して略水平となる角度（≒０度）とすると、廃物容器９３ｔを何個も上下方向に積み上げることが出来てしまい、重量で廃物容器支持台１１５が壊れてしまうおそれがある。また、機体後端に位置する廃物容器支持台１１５に多くの廃物容器９３ｔを積載すると、重量バランスが機体後部に集中してしまい、機体の走行姿勢や旋回姿勢が乱されて、人参の引抜収穫位置がずれてしまうことがある。こうした問題を発生させないため、過剰に多くの廃物容器９３ｔを積載できないよう、廃物容器支持台１１５を後上り傾斜姿勢としている。

【0137】

なお、廃物容器支持台１１５には、空の、あるいは人参を収容した収容容器９３を載置してもよい。
そして、前記前後の回動ステー１０１，１０１の前後どちらか一方に背面視コの字型の座席支持フレーム１１６を挿し込んで設け、該座席支持フレーム１１６に選別搬送コンベア８７上の人参を選別する作業者が座る補助作業座席１１７を取り付けることにより、収容部Ｇが構成される。

【0138】

なお、補助作業座席１１７は、左右方向に回転自在に取り付けてもよい。
上記構成のように、収容容器載置台９７に搬送ローラ９２を取り付ける複数の回転軸９１ａ，９１ｂ，９１ｃを設け、左右一側端部の回転軸９１ａを他の回転軸９１ｂ，９１ｃよりも下方に設けたことにより、収容容器載置台９７に収容容器９３を設けたとき、収容容器９３の左右一側端部が左右他側端部よりも下方に位置した傾斜姿勢となるので、収容容器９３が搬送ローラ９２によって勝手に収容容器キャリア１０３に移動することが防止され、人参を可能な限り収容してから収容容器キャリア１０３に移動させられるため、作業効率が向上する。

【0139】

また、選別搬送コンベア８７から排出される人参を受ける収容容器９３が勝手に移動し、人参が圃場や機体上に落下することを防止できるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて商品価値が維持されると共に、落下した人参を拾い集める作業が必要なく、作業者の労力が軽減される。

【0140】

そして、回転軸９１ｂ，９１ｃを略同じ高さに配置したことにより、収容容器９３を収容容器キャリア１０３に引き出す際、回転軸９１ｂに設けた搬送ローラ９２に収容容器９３が載ると、回転軸９１ｃに設けた搬送ローラ９２に高低差なく移動するので、収容容器９３を作業者が引き出す際の荷重が軽減されて軽い力で人参の満載された収容容器９３を移動させられる。

【0141】

さらに、搬送ローラ９２を分割した分割搬送ローラ９２ｘ，９２ｙ，９２ｚを、回転軸９１ａ，９１ｂ，９１ｃにそれぞれ軸着したことにより、収容容器９３の底部と接触する部分のみが回転するので、分割搬送ローラ９２ｘ，９２ｙ，９２ｚの一つ当たりの慣性を小さくすることができ、作業者は少ない力で収容容器９３を引き出せるため、作業者の労力が軽減される。

【0142】

また、分割搬送ローラ９２ｘ，９２ｙ，９２ｚ同士の前後間隔、及び前後端部に位置する分割搬送ローラ９２ｘ，９２ｚと載置支持フレーム９０の前後間隔が殆ど生じない構成としたことにより、収容容器９３の底部が間隔に入り込んで引っ掛かることを防止できるので、収容容器９３の収容容器キャリア１０３への移動がスムーズになり、作業能率が向上する。

【0143】

そして、回転軸９１ａに回転速度を調節するブレーキ体９４と調節ノブ９５を設けたことにより、圃場が安定しており収容容器載置台９７から収容容器キャリア１０３に向かって収容容器９３が勝手に移動することが殆どないときは、回転軸９１ａの規制力を弱めて回転しやすくすることができるので、作業者はより小さい力で収容容器９３を引き出せるため、作業者の労力が軽減される。

【0144】

一方、圃場に凹凸が多く、頻繁に機体が傾斜する場合等、収容容器載置台９７から収容容器キャリア１０３に向かって収容容器９３が勝手に移動しがちな場合は、回転軸９１ａの規制力を強めて回転しにくくすることができるので、機体が傾斜しても収容容器９３は回転軸９１ａに軸着した搬送ローラ９２に移動を規制され、勝手に収容容器キャリア１０３に移動することを防止されるため、人参が機体や圃場に落下して傷付くことが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。

【0145】

なお、調節ノブ９５を締めて回転軸９１ａが全く回転しなくなるようにしてもよい。また、調節ノブ９５をモータで回転する構成とし、補助作業座席１１７の近くにこのモータを駆動させるスイッチを設け、作業者が移動することなく調節ノブ９５を回せる構成としてもよい。

【0146】

そして、載置支持フレーム９０の左右他側端部に収容容器９３の左右他側端の下部を受けるストッパアーム１３０を左右方向に回動自在に設けたことにより、機体の振動等により収容容器９３が収容容器キャリア１０３に移動することがより確実に防止されるので、人参が機体や圃場に落下して傷付くことが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。

【0147】

また、ストッパアーム１３０の上端部にアシストローラ１３１を回転自在に設けたことにより、収容容器９３にかかる接触抵抗が軽減されるため、収容容器９３が破損することを防止でき、収容された人参がこぼれ出ることが防止される。

【0148】

さらに、ストッパアーム１３０を機体左右他側に回動させると、アシストローラ１３１が収容容器載置台９７と収容容器キャリア１０３の間隔部に位置する構成としたことにより、アシストローラ１３１を介して収容容器９３を円滑に引き継がせることができるので、作業能率が向上する。

【0149】

また、載置支持フレーム９０を機体左右一側から左右他側に向かって下方傾斜する姿勢で配置したことにより、ストッパアーム１３０を左右他側に移動させると、積載した収容容器９３が載置支持フレーム９０上を滑って収容容器キャリア１０３に移動するため、作業者は収容容器９３を移動させる必要が無くなり、作業者の労力が大幅に軽減される。

【0150】

そして、ストッパアーム１３０を回動させる操作ペダル１３２を設けたことにより、作業者はストッパアーム１３０を直接操作する必要がないので、作業能率が向上する。特に、選別搬送コンベア８７で搬送中の人参を選別する作業者の作業位置であるステップ９９に操作ペダル１３２を設けているため、作業者は人参の選別作業を行いながら収容容器９３の移動を行なうことができるので、作業能率が大幅に向上する。

【0151】

また、載置支持フレーム９０に積載センサ１１８を設けたことにより、人参が容量一杯に収容された収容容器９３を収容容器キャリア１０３に移動させ、空の収容容器９３に交換する際、自動的に選別搬送コンベア８７の駆動を停止させることができるので、収容容器９３を交換する際に人参が落下することが防止され、作業者は圃場に落ちた人参を拾い集める必要が無く、労力が軽減される。

【0152】

さらに、収容容器９３を交換する際、選別搬送モータ８７ｍの入切操作が不要となるので、操作性や作業能率が向上する。
そして、積載センサ１１８を載置支持フレーム９０の左右一側端部に設けたことにより、収容容器９３が収容容器キャリア１０３に向かって移動し始めた直後に選別搬送モータ８７ｍを停止させることができるので、選別搬送コンベア８７の機体左右一側で搬送されている人参が収容容器９３の外に落下することが防止されるため、落下した人参を拾う作業が不要となり作業能率が向上するとともに、落下の衝撃で人参が傷付くことが無く、人参の商品価値が維持される。

【0153】

さらに、収容載置フレーム９０に収容容器９３の重量に応じて伸縮するダンパ９６の一側端部を取り付けたことにより、人参の収容量がゼロ、あるいは少量の場合は収容容器９３が傾斜姿勢で選別搬送コンベア８７から排出される人参を受け、収容量が増えるにつれて水平に近い姿勢に変化していくので、選別搬送コンベア８７から収容容器９３までの人参の落下距離が短くなり、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、商品価値が維持される。

【0154】

また、収容容器９３の角度を自動で変更することができるので、作業能率が向上する。
そして、収容容器キャリア１０３に搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７と複数の搬送ローラ１０６，１０６…を設けたことにより、引き出されてきた収容容器９３を自動的に機体前方に送ることができるので、作業能率が向上すると共に、作業者が収容容器９３を手作業で移動させる必要が無く、作業能率が向上する。

【0155】

さらに、廃物収容支持台１１５を構成する平面視コの字形上の支持フレーム１１３を、収容容器キャリア１０３の後端部の左右両側に取り付ける取付ステー１１２，１１２に設けたことにより、取付ステー１１２，１１２の位相が略変化しないので捻れが生じることが防止され、支持フレーム１１３の強度が向上する。

【0156】

以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図２１で示すとおり、載置支持フレーム９０の左右一側端部に積載センサ１１８を設け、左右他側部に第３回転軸９１ｃを設け、該積載センサ１１８と第３回転軸９１ｃの左右間、載置支持フレーム９０の左右方向中央部の近くに第２回転軸９１ｂを設ける。そして、該第２回転軸９１ｂに搬送ローラ９２を前後方向に二分割した第１分割搬送ローラ９２ｖ，９２ｗを回転自在に装着し、第２回転軸９１ｂの後部で且つ第２回転軸９１ｂと載置支持フレーム９０との間に皿バネ等のブレーキ体９４を軸着し、第２回転軸９１ｂの後端部に該ブレーキ体９４の抵抗力を調節する調節ノブ９５を調節自在に取り付ける。

【0157】

また、前記第２回転軸９１ｂの前側端部にゼンマイ１３８を設け、該ゼンマイ１３８と載置支持フレーム９０の回動支点との間に亘って巻きワイヤ１３９を配置する。該ゼンマイ１３８は、ダンパ９６の収縮により載置支持フレーム９０が下降すると巻きワイヤ１３９によって巻かれ、ダンパ９６が収縮し切って載置支持フレーム９０が最下降するとゼンマイ１３８が回転し始める構造とする。なお、ゼンマイ１３８の回転方向は、背面視で時計回り方向とし、第２回転軸９１ｂに軸着した第１分割搬送ローラ９２ｖ，９２ｗが収容容器９３を自動的に収容容器キャリア１０３に移動させる構成とする。

【0158】

さらに、前記ゼンマイ１３８の前部にゼンマイ１３８の回転を止めるロック体１４０ａを備えた、ソレノイド等で構成するロック機構１４０を設け、該ロック機構１４０を積載センサ１１８とケーブル（図示省略）で連結する。該ロック機構１４０は、積載センサ１１８が収容容器９３の移動を検知するとロック機構を「解除」状態とし、ロック体１４０ａを退避させてゼンマイ１３８の回転を許容すると共に、積載センサ１１８が収容容器９３を検出すると「保持」状態として、ロック体４０ａがゼンマイ１３８の回転を規制する構成とする。なお、ダンパ９６が伸張して載置支持フレーム９０が上方回動し、巻きワイヤ１３９がゼンマイ１３８を巻き始めると、ロック機構１４０が自動的に「保持」状態となる構成としてもよい。

【0159】

また、前記第３回転軸９１ｃのうち、機体前側にのみ第２分割搬送ローラ９１ｕを回転自在且つ第３回転軸９１ｃに沿って前後方向に移動しないように装着する。そして、前記収容容器キャリア１０３の後端部、即ち載置支持フレーム９０の左右他側部に第３及び第４分割搬送ローラ９２ｓ，９２ｔを左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の左右間で且つ下方に設ける。そして、該第３分割搬送ローラ９２ｓは、左右一側の搬送ベルト１０７，１０７の側部に設け、第４分割搬送ローラ９２ｔは、左右他側の搬送ベルト１０７，１０７の側部に設ける。

【0160】

さらに、第４分割搬送ローラ９２ｔは第２分割搬送ローラ９２ｕの左右側方の略直線上に設け、第３分割搬送ローラ９２ｓは第２分割搬送ローラ９２ｕ及び第４分割搬送ローラ９２ｔよりも機体後端側に設ける。

【0161】

上機構成としたことにより、載置支持フレーム９０が下降する際に巻きワイヤ１３９によってゼンマイ１３８が巻かれるため、作業者が手作業でゼンマイ１３８を巻く必要が無く、作業能率が向上する。

【0162】

また、ゼンマイ１３８の回転によって搬送ローラ９２（第１分割搬送ローラ９２ｖ，９２ｗ）を回転させ、収容容器９３を移動しやすくする構成としたことにより、駆動モータや駆動モータに電気等を供給する電装系を省略することができるので、機体の構成が簡潔になるとともに、部品点数が減少する。

【0163】

そして、ゼンマイ１３８の回転を規制するロック機構１４０を積載センサ１１８に連結したことにより、収容容器９３を動かさないとゼンマイ１３８が回転しないので、作業者は収容容器９３に人参を容量一杯に収容してから搬送ローラ９２を回転させることができ、作業能率が向上する。加えて、収容容器９３を積み下ろしする頻度が低下するため、作業者の労力が軽減される。

【0164】

さらに、第２，第３，第４分割搬送ローラ９２ｓ，９２ｔ，９２ｕを平面視で千鳥状に配置したことにより、部品点数を削減しても収容容器９３の搬送精度を維持することができるので、作業能率が向上すると共に、コストダウンを図ることができる。

【0165】

なお、第１分割搬送ローラ９２ｖ，９２ｗと第２分割搬送ローラ９２ｓの左右間、第２分割搬送ローラ９２ｓと第３分割搬送ローラ９２ｔの左右間、及び第３分割搬送ローラ９２ｔと第４分割搬送ローラ９２ｕの左右間は、搬送中の収容容器９３が２つの分割搬送ローラに積載された状態が継続される距離とすると、収容容器９３が圃場に落下することがなく、作業能率が向上する。

【0166】

図２２〜図２４で示すとおり、収容容器キャリア１０３上で且つ左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の左右間に平面視コの字型で且つ背面視Ｌ字型の引継アシストアーム１４１を左右方向に回動自在に設け、該引継アシストアーム１４１の左右一側端部の前後間に引継アシストローラ１４２を回転自在に装着する。また、前記引継アシストアーム１４１の左右他側端部を、左右方向の回動支点とする。

【0167】

そして、前記ステップ９９に第２操作ペダル１４３を設け、該引継操作ペダル１４３と引継アシストアーム１４２の下端部に亘って連繋ケーブル１４４を配索する構成とする。なお、このとき第３回転軸９１ｃに軸着した搬送ローラ９２の中心点と引継アシストローラ１４２の中心点の間は、収容容器９３の左右幅よりも短く構成する。さらに、前記引継アシストアーム１４１を上方回動させると引継アシストローラ１４２の上部は左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の上端部よりも上方に位置し、引継アシストアーム１４１を下方回動させると、引継アシストローラ１４２の上部は左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の上端部よりも下方に位置する構成とする。

【0168】

この構成は、図２２、図２４で示すとおり、収容容器キャリア１０３の機体前側で且つフロントキャリア１５０の機体左右他側にも設ける。
上記構成としたことにより、第２操作ペダル１４３を踏んで操作すると、引継アシストアーム１４１が上方回動して引継アシストローラ１４２が搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の上面よりも上方に位置する構成となるので、収容容器載置台９７から収容容器キャリア１０３に移動する収容容器９３をいっそう軽い力で移動させることができるので、作業能率が向上する。

【0169】

また、引継アシストアーム１４１を回動させる第２操作ペダル１４３を設けたことにより、作業者は引継アシストアーム１４１を直接操作する必要がないので、作業能率が向上する。特に、選別搬送コンベア８７で搬送中の人参を選別する作業者の作業位置であるステップ９９に第２操作ペダル１４３を設けているため、作業者は人参の選別作業を行いながら収容容器９３の移動を行なうことができるので、作業能率が大幅に向上する。

【0170】

また、図２５〜図２７で示すとおり、引継アシストアーム１４１を機体左右一側に寄せ、該引継アシストアーム１４１の側方に、平面視コの字型で且つ側面視Ｌ字型の第２引継アシストアーム１４５を左右回動自在に装着する。該第２引継アシストアーム１４５の回動支点となる取付位置は、前記引継アシストアーム１４１の取付位置よりも下方とする。

【0171】

そして、該第２引継アシストアーム１４５の左右一側端部の前後間に第２引継アシストローラ１４６を回転自在に装着し、前記第２操作ペダル１４３と引継アシストアーム１４１と第２引継アシストアーム１４５の下端部を連繋ケーブル１４４で連結する構成としてもよい。

【0172】

上記構成としたことにより、引継アシストローラ１４２と第２引継アシストローラ１４６で収容容器載置台９７から移動してくる収容容器９３を受けることができるので、収容容器載置台９７から収容容器キャリア１０３への収容容器９３の移動が停滞することが防止され、作業能率が向上する。

【0173】

また、第２引継アシストアーム１４５の取付位置を引継アシストアーム１４１よりも下方に設けたことにより、第２引継アシストローラ１４６の上端位置が引継アシストローラ１４２の上端位置よりも下方に位置する構成とすることができるので、収容容器９３が左右他側に向けて滑り降りるため、作業者は軽い力で収容容器９３の移動作業を行え、作業者の労力が軽減される。

【0174】

そして、第２操作ペダル１４３と引継アシストアーム１４１と第２引継アシストアーム１４５を連繋ケーブル１４４で連結したことにより、同時に引継アシストアーム１４１と第２引継アシストアーム１４５を回動操作することができるので、作業能率がいっそう向上する。

【0175】

図２２、図２５、図２７で示すとおり、収容容器キャリア１０３を操縦部Ｂの操縦部フレーム１０の前端部よりも機体前方まで延設し、該収容容器キャリア１０３の前端部で且つ左右の搬送ベルト１０７，１０７：１０７，１０７の左右間に、前記引継アシストアーム１４１と第２引継アシストアーム１４５を左右方向に回動自在に配置する。該引継アシストアーム１４１と第２引継アシストアーム１４５の左右他側端部の前後間には、前記引継アシストローラ１４２と第２引継アシストローラ１４６をそれぞれ回転自在に設ける。なお、引継アシストアーム１４１は機体左右他側寄り、第２引継アシストアーム１４５は機体左右一側寄りに設け、第２引継アシストアーム１４５の取付位置は引継アシストアーム１４１よりも下方とする。

【0176】

そして、前記操縦部フレーム１０の前側で且つ収容容器キャリア１０３の前端部側の側方に枠体であるフロントキャリアフレーム１４７を設け、該フロントキャリアフレーム１４７の枠内に、複数の積載アシストローラ１４８…を回転自在に配置する。また、前記フロントキャリアフレーム１４７の機体左右他側端部で且つ上面よりも上側位置に、受入アシストローラ１４９を回転自在に取り付けて、フロントキャリア１５０を構成する。該フロントキャリア１５０は、操縦部フレーム１０に向かって回動させ、折り畳み可能に構成すると、機体前方に突出する部材の割合が減少し、倉庫等の機体の保管場所のスペースを無駄に占有しないコンパクトな構成となる。

【0177】

なお、該積載アシストローラ１４８及び受入アシストローラ１４９は、ワンウェイクラッチ等を設けて、正面視時計回りにのみ回転する構成としてもよい。そして、複数の積載アシストローラ１４８…は機体左右他側から左右一側に向かうほど下方に配置すると共に、受入アシストローラ１４９よりも下方に配置するものとする。

【0178】

さらに、前記操縦座席１１の下方に第３操作ペダル１５１を設け、該第３操作ペダル１５１と引継アシストアーム１４１と第２引継アシストアーム１４５を第２連繋ケーブル１５２で連結する。

【0179】

上記構成のとおり、フロントキャリア１５０を操縦部フレーム１０の前側で且つ収容容器キャリア１０３の側方に設けたことにより、収容容器キャリア１０３の収容可能数以上の収容容器９３を機体に積載することができるので、人参が収容された収容容器９３を機体から降ろし、空の収容容器９３を機体に積み込む積み降ろし作業の頻度が減少するため、作業能率が向上する。

【0180】

また、第２引継アシストアーム１４５を引継アシストアーム１４１よりも下方に配置したことにより、収容容器キャリア１０３からフロントキャリア１５０への収容容器９３の搬送方向、即ち機体左右他側から左右一側に向けて引継アシストローラ１４２と第２引継アシストローラ１４６とが配置されるので、第３操作ペダル１５１を踏んで引継アシストアーム１４１と第２引継アシストアーム１４５を上方回動させると収容容器９３がフロントキャリア１５０に移動する構成となるため、作業者が重量の増加した収容容器９３を手作業で移動させる必要が無く、作業者の労力が軽減される。

【0181】

そして、フロントキャリアフレーム１４７の左右端部で且つ上部に受入アシストローラ１４９を設け、フロントキャリアフレーム１４７の枠内に、受入アシストローラ１４９よりも下方で、且つ左右一側に向かうほど下方に位置する搬送アシストローラ１４８…を設けたことにより、収容容器キャリア１０３から移動してきた収容容器９３を円滑に移動させることができるので、収容容器９３の移動が停滞することが防止され、作業能率が向上する。

【0182】

なお、機体左右他側の引継アシストローラ１４２を最高位に配置し、フロントキャリアフレーム１４７の機体左右一側端部寄りに配置する搬送アシストローラ１４８を最下位置に配置すると、第３操作ペダル１５１を操作すると収容容器９３が収容容器キャリア１０３からフロントキャリア１５０に向かって滑り降りる構成となるため、いっそう収容容器９３の停滞が生じにくくなり、作業能率が大幅に向上する。

【0183】

加えて、移動途中で停止した収容容器９３を作業者が押したり引いたりして移動を促す必要がなくなるため、作業者の労力が大幅に軽減される。
図２８（ａ）（ｂ）、及び図２９で示されるとおり、補助作業座席１１７を座席支持フレーム１１６に回転自在に装着し、該補助作業座席１１７のうち、補助作業者が背中をもたれ掛ける背もたれ部１１７ａを平坦または厚みを有する円弧状に形成する。そして、前記背もたれ部１１７ａの裏側に、作業者の脚部、特に太腿部が接触する足もたれ凹部１１７ｂ，１１７ｂを二ヶ所形成する。

【0184】

また、前記座席支持フレーム１１６を中空に形成すると共に、補助作業座席１１７の下方に補助作業座席１１７を回転自在に装着した取付支持フレーム１１７ｃを設け、該取付支持フレーム１１７ｃを座席支持フレーム１１６の中空部に挿し込む。前記取付支持フレーム１１７ｃの外周部には複数の半球状の凹部１１９ａを形成し、前記座席支持フレーム１１６の内部には保持凹部１１９ａに当接する保持ボール１１６ａと、該保持ボール１１６ａを保持凹部１１９ａに向けて押し当る押当スプリング１１６ｂを設ける。

【0185】

上記取付支持フレーム１１７ｃを回転させると、保持ボール１１６ａが押されて押当スプリング１１６ｂが後退して取付支持フレーム１１７ｃが上下方向に移動可能になるので、補助作業座席１１７の上下位置調節が可能となる。また、保持ボール１１６ａを保持凹部１１９ａに当てて回転を止めると、保持ボール１１６ａは押当スプリング１１６ｂによって凹部１１９ａに押し当てられ、取付支持フレーム１１７ｃが座席支持フレーム１１６に対して上下方向に移動しない、ロック状態となる。

【0186】

上記構成としたことにより、補助作業者はステップ９９上に立って選別作業等を行いたい場合は、作業座席１１７を１８０度回転させて足もたれ部１１７ｂ，１１７ｂを形成した面を選別搬送コンベア８７側に向けると、太腿部を足もたれ部１１７ｂ，１１７ｂに当てて作業をすることができるので、作業者は疲れにくい姿勢で作業を行えるため、作業者の労力が軽減される。

【0187】

一方、補助作業者が補助作業座席１１７に座って作業を行う場合は、背もたれ部１１７ａを選別搬送コンベア８７側に向けて回動させることにより、補助作業座席１１７に座れる状態となるので、作業者の疲労の度合や圃場条件（揺れやすい、揺れにくい等）に合わせて作業者が適切な姿勢を取り易く、作業者の労力がいっそう軽減される。

【0188】

また、作業座席フレーム１１６の内部に保持ボール１１６ａと押当スプリング１１６ｂを設け、保持ボール１１６ａが取付支持フレーム１１７ｃに形成した保持凹部１１９ａに入り込むまで回転させると補助作業座席１１７の高さが変わる構成としたことにより、作業者は作業しやすい座席高さで作業を行うことができるので、作業能率が向上すると共に、選別精度が向上する。

【0189】

さらに、軽い力で補助作業座席１１７の上下高さを変更することができるので、作業者の労力が軽減される。

【符号の説明】

【0190】

２４ 引抜搬送装置
８７ 選別搬送コンベア（選別搬送装置）
９１ａ 回転軸
９１ｂ 回転軸
９１ｃ 回転軸
９２ 搬送ローラ（移動補助部材）
９２ｘ 分割搬送ローラ（回転体）
９２ｙ 分割搬送ローラ（回転体）
９２ｚ 分割搬送ローラ（回転体）
９３ 収容容器（収容部材）
９７ 収容容器載置台（載置部）
１０３ 収容容器キャリア（貯留部）
１０９ 収容容器搬送装置（収容部材搬送装置）
１３０ ストッパアーム（移動規制部材）
１３１ アシストローラ（搬送補助部材）
１３２ 操作ペダル（回動操作部材）
１３３ 傾動ワイヤ（連繋部材）
１３５ 基部フレーム
１３５ａ スプリング（付勢部材）
１３６ ローラフレーム
１３７ 搬送補助ローラ（回転部材）

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】