特許第5957975号(P5957975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957975
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】ゲート装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20160714BHJP
【FI】
   G07B15/00 A
   G07B15/00 501
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-51197(P2012-51197)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-186686(P2013-186686A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白岩 拓也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 恵三
(72)【発明者】
【氏名】山田 研
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−150094(JP,A)
【文献】 特開2007−072848(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/105478(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信エリア内に位置する第1の通行券との間で無線通信を行い、この第1の通行券が記憶する券情報を読み取る無線通信部と、
光学読取エリアに翳された第2の通行券に印刷されているバーコードから券情報を光学的に読み取る光学読取部と、
投入口に投入された前記第2の通行券を回収する回収部と、
前記無線通信部、または前記光学読取部の一方が読み取った券情報に基づき、通路における利用者の通行を制限する通行制御部と、を備えたゲート装置において、
前記無線通信部は、前記無線通信エリアを形成するループ形状のアンテナコイルを有し、
前記光学読取部は、前記光学読取エリアが前記アンテナコイルのループの外側に位置し、
また、前記無線通信エリアと、前記光学読取エリアとは、重複する共通エリアが存在し、
さらに、前記無線通信エリア、前記光学読取エリア、および前記投入口は、前記通路における利用者の通行方向に並べているとともに、
前記光学読取エリア、および前記投入口は、前記通路における利用者の通行方向に、この順に連続して並べている、ゲート装置。
【請求項2】
前記無線通信エリア、前記光学読取エリア、および前記投入口は、前記通路における利用者の通行方向に、この順に並べている、請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記光学読取部が券情報を読み取ったときに、読み取った券情報に基づき、今回券情報を読み取った前記第2の通行券を回収するかどうかを判定する回収判定部を備え、
前記回収部は、前記回収判定部が今回券情報を読み取った前記第2の通行券を回収すると判定した場合に、前記投入口に投入された前記第2の通行券を回収する回収処理を実行する、請求項1、または2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記回収判定部は、前記通行制御部が通路における利用者の通行を許可しないと判定したとき、今回券情報を読み取った前記第2の通行券を回収するかどうかの判定を行わない、請求項3に記載のゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通路における利用者の通行を制限するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の改札口では、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対する改札処理を自動改札機で行っている。自動改札機は、周知のように、改札通路を通行する利用者が所持している乗車券を受け付け、この乗車券に記録されている乗車券情報を読み取る。自動改札機は、読み取った乗車券情報に基づき、改札通路における利用者の通行を許可するかどうかを判定し、その判定結果に応じて改札通路における利用者の通行を制限する。
【0003】
また、乗車券は、改札処理の際に、自動改札機で入場情報や出場情報の記録(書き込み)が行える磁気券や非接触IC券を使用していた。磁気券は、乗車券情報を一方の面(裏面)に貼付した磁気シートに磁気データで記録している。非接触IC券は、無線通信機能を有し、乗車券情報を電子データで内蔵メモリに記録している。
【0004】
また、最近では、乗車券情報を二次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))で印刷した乗車券(以下、QR券と言う。)を使用して改札処理を行う自動改札機が提案されている(特許文献1等参照)。この自動改札機は、読取位置に翳されたQR券の券面に印刷されているQRコード(登録商標)が示す乗車券情報を光学的に読み取る。また、QR券は、磁気券と比べて安価であることから、ランニングコストが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007− 47960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている、非接触IC券と無線通信が行える無線通信エリアを形成するループ形状のアンテナコイルの内側に、QRコード(登録商標)を光学的に読み取る光学センサを配置する構成では、アンテナコイルを光学センサの読取エリアが確保できる形状にしなければならず、その構造が複雑になりコストアップという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、本体の大型化を抑え、無線通信機能を有する第1の通行券から無線通信により読み取った券情報、または第2の通行券の券面に印刷されているバーコードから光学的に読み取った券情報に基づいて、通路における利用者の通行を制限することができるゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のゲート装置は、上記目的を達するために、以下のように構成している。
【0009】
無線通信部が、無線通信エリア内に位置する第1の通行券との間で無線通信を行い、この第1の通行券が記憶する情報を読み取る。また、光学読取部が、光学読取エリアに翳された第2の通行券の券面に印刷されているバーコードが示す情報を光学的に読み取る。第1の通行券は、無線通信機能を有し、券情報をメモリに記憶した非接触媒体である。第2の通行券は、例えば、券情報を2次元バーコードで印刷している。
回収部は、投入口に投入された第2の通行券を回収する。通行制御部は、無線通信部、または光学読取部の一方が読み取った券情報に基づき、通路における利用者の通行を制限する。
【0010】
無線通信部は、無線通信エリアを形成するループ形状のアンテナコイルを有し、光学読取部は、光学読取エリアがアンテナコイルのループの外側に位置する。また、無線通信エリアと、光学読取エリアとは、重複する共通エリアが存在する。さらに、無線通信エリア、光学読取エリア、および投入口は、通路における利用者の通行方向に並べているとともに、光学読取エリア、および投入口は、通路における利用者の通行方向に、この順に連続して並べている。
【0011】
このため、無線通信部と、光学読取部とは、個別の基板で構成してもよいし、1つの基板で構成してもよい。また、無線通信部にかかる基板や、光学読取部にかかる基板は、既存のものがあるので、個別の基板で構成する場合には、既存のものが利用できる。したがって、既存の基板を利用した簡単な構成で、非接触媒体との無線通信機によりこの非接触媒体が記憶する情報の読み取り、および光学的に媒体に印刷されているバーコードが示す情報の読み取りが行える。
【0012】
また、無線通信エリアと、光学読取エリアとは、重複する共通エリアが存在するように構成しているので、本体の大型化も抑えられる。
【0013】
自動改札機等のゲート装置は、通路における利用者の通行方向に比較的空きスペースがある。この発明は、無線通信エリア、光学読取エリア、および投入口を、通路における利用者の通行方向に並べているので、ゲート装置本体のコストアップが抑えられるとともに、ゲート装置本体の大型化も抑えられる。
【0014】
さらに、光学読取エリア、および投入口については、通路における利用者の通行方向に、この順に連続して並べているので、通路を通行する利用者は、光学読取部に券情報を光学的に読み取らせるために、光学読取エリアに翳した第2の通行券を、投入口にスムーズに投入することができる。
【0015】
また、無線通信エリアは、光学読取エリアよりも通路の入口側に位置させるのが好ましい。すなわち、無線通信エリア、光学読取エリア、および投入口は、通路における利用者の通行方向に、この順に並べるのが好ましい。これは、光学読取部を備えていないゲート装置での利用者の慣れに対応する構成であり、光学読取エリアを無線通信エリアよりも通路の入口側に位置させた場合よりも、誤って非接触媒体を光学読取エリアに翳す利用者が抑えられると考えられるからである。
【0016】
また、光学読取部が券情報を読み取ったときに、読み取った券情報に基づき、今回券情報を読み取った第2の通行券を回収するかどうかを判定する回収判定部を備えてもよい。この場合、回収部は、回収判定部が今回券情報を読み取った第2の通行券を回収すると判定した場合に、投入口に投入された第2の通行券を回収する回収処理を実行する構成にすればよい。すなわち、回収部は、回収判定部が、今回券情報を読み取った第2の通行券を回収しないと判定した場合には、今回券情報を読み取った第2の通行券を回収する回収処理を実行しない構成にするのが好ましい。
【0017】
また、回収判定部は、通行制御部が通路における利用者の通行を許可しないと判定したとき、今回券情報を読み取った前記第2の通行券を回収するかどうかの判定を行わない構成にするのが好ましい。
【0018】
このように構成すれば、ゲート装置の処理負荷の増大も抑えられる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、簡単な構成で、非接触媒体との無線通信機によりこの非接触媒体が記憶する情報の読み取り、および光学的に媒体に印刷されているバーコードが示す情報の読み取りが行え、且つ本体の大型化を抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】自動改札機(出場用ユニット)の外観を示す概略図である。
図2】自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
図3】自動改札機の出場用ユニットの改札通路入口側の拡大図である。
図4】IC券情報読取部にかかる基板を示す図である。
図5】QR券情報読取部にかかる基板を示す図である。
図6】IC券情報読取部の無線通信エリアと、QR券情報読取部の光学読取エリアとの相対的な位置関係を示す図である。
図7】駅構内に入場する利用者に対する入場処理を示すフローチャートである。
図8】駅構内から出場する利用者に対する出場処理を示すフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、この実施形態にかかる自動改札機の出場用ユニットの外観を示す概略図である。図2は、この自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示す出場用ユニットは、駅構内から出場する利用者に対する改札処理を行う。また、図示していない入場用ユニットは、駅構内に入場する利用者に対する改札処理を行う。また、中立ユニットは、駅構内から出場する利用者、および駅構内に入場する利用者の双方に対して改札処理を行わない。自動改札機1は、出場用ユニット、入場用ユニット、中立ユニットの中から2つの異なるユニットを対向させて配置し、これら2つのユニット間に形成した改札通路における利用者の通行を制限(通行許可/通行禁止)する。自動改札機1は、出場用ユニットと、入場用ユニットとを対向させることで、駅構内から出場する利用者、および駅構内に入場する利用者の双方に対して改札処理が行える。自動改札機1は、出場用ユニットと、中立ユニットとを対向させることで、駅構内から出場する利用者に対してのみ改札処理が行える。自動改札機1は、入場用ユニットと、中立ユニットとを対向させることで、駅構内に入場する利用者に対してのみ改札処理が行える。
【0024】
ここでは、図1に示す出場用ユニットと、図1に示していない入場用ユニットと、を改札通路を挟んで対向させて配置した自動改札機1を例にして説明する。
【0025】
この例にかかる自動改札機1は、無線通信機能を有し、乗車券情報をメモリに記憶した非接触IC券、および券面に2次元バーコード(QRコード(登録商標))で乗車券情報を印刷したQR券を乗車券として受け付ける。自動改札機1は、乗車券として受け付けた非接触IC券、またはQR券から読み取った乗車券情報を用いて、改札通路における利用者の通行を制限する。
【0026】
自動改札機1は、制御部2と、読取ユニット3と、QR券回収部4と、利用者検知部5と、表示部6と、扉開閉部7と、通信部8と、を備えている。
【0027】
制御部21は、自動改札機1本体の動作を制御する。
【0028】
読取ユニット3は、IC券情報読取部10と、QR券情報読取部20と、を備えている。自動改札機1は、読取ユニット3を2つ備えている。
【0029】
IC券情報読取部10は、改札通路を通行する利用者が無線通信エリア内に翳した非接触IC券との無線通信により、この非接触IC券に対する乗車券情報の読み取りや、乗車券情報の書き込みを行う。一方の読取ユニット3のIC券情報読取部10は、駅構内に入場する利用者にとっての改札通路入口側(図1に示していない入場用ユニット)に取り付け、他方の読取ユニット3のIC券情報読取部10は、駅構内から出場する利用者にとっての改札通路入口側(図1に示す出場用ユニット)に取り付けている。
【0030】
QR券情報読取部20は、改札通路を通行する利用者が読取エリア内に翳したQR券の券面に印刷されているQRコード(登録商標)を光学的に読み取る。一方の読取ユニット3のQR券情報読取部20は、駅構内に入場する利用者にとっての改札通路入口側(図1に示していない入場用ユニット)に取り付け、他方の読取ユニット3のQR券情報読取部20は、駅構内から出場する利用者にとっての改札通路入口側(図1に示す出場用ユニット)に取り付けている。
【0031】
なお、読取ユニット3は、中立ユニットに取り付けない。したがって、中立ユニットを利用した自動改札機1が備える読取ユニット3は1つである。
【0032】
QR券回収部4は、今回の使用で、使用済みになったQR券を回収する。このQR券回収部4は、図1に示す出場用ユニットに設けている(図1に示していない入場用ユニットや、中立ユニットは、QR券回収部4を設けていない。)。
【0033】
利用者検知部5は、改札通路に沿って配置した複数のセンサにより、改札通路内に位置する利用者の位置を検知する。利用者検知部5は、改札通路を挟んで対向させて配置した一方のユニットに、この改札通路に沿って取り付けた複数の発光素子と、他方のユニットに、各発光素子が対向する位置に取り付けた複数の受光素子と、を有する。利用者検知部5は、発光素子から照射されている光を受光していない受光素子があれば、その受光素子に対応する位置に利用者がいると判断する。
【0034】
表示部6は、改札通路を通行している利用者に対してメッセージを表示する表示器を2つ備えている。一方の表示器は、入場用ユニットに配置しており、駅構内に入場する利用者に対するメッセージを表示する。他方の表示器は、出場用ユニットに配置しており、駅構内から出場する利用者に対するメッセージを表示する。
【0035】
なお、表示器は、中立ユニットに取り付けない。したがって、中立ユニットを利用した自動改札機1が備える表示器は1つである。
【0036】
扉開閉部7は、改札通路における利用者の通行を許可しないときに、その利用者の出口側に設けた扉7a、7bを閉する。図1に示す扉7aは、駅構内に入場する利用者に対して開閉する扉であり、扉7bは、駅構内から出場する利用者に対して開閉する扉である。入場用ユニットや中立ユニットにも、対向する位置に扉7a、7bを設けている。
【0037】
通信部8は、高速専用回線で接続されている、図示していない使用状態管理装置(上位装置)との間におけるデータ通信を制御する。この使用状態管理装置は、QR券の使用状態を管理する。
【0038】
図3は、自動改札機の出場用ユニットの改札通路入口側の拡大図である。出場ユニットは、図3に示すように、改札通路入口側から、IC券情報読取部10の無線通信エリア、QR券情報読取部20の光学読取エリア、QR券投入口25を、この順に改札通路における利用者の通行方向に並べている。上述した、QR券回収部4は、このQR券投入口25に投入されたQR券を本体(出場ユニット)内部に設けた回収ボックス(不図示)に搬送し、回収する。
【0039】
なお、図示していない自動改札機1の入場用ユニットは、図3に示すQR券投入口25(QR券回収部4)を設けていないだけで、IC券情報読取部10の無線通信エリア、QR券情報読取部20の光学読取エリアを、この順に改札通路における利用者の通行方向に並べている。また、中立ユニットには、上述したように、IC券情報読取部10、QR券情報読取部20、およびQR券回収部4を設けていない。
【0040】
ここで読取ユニット3にかかるIC券情報読取部10、およびQR券情報読取部20について説明する。この読取ユニット3は、上述したように、出場用ユニット、および入場用ユニットに設けている(読取ユニット3は、中立ユニットに設けていない。)。
【0041】
IC券情報読取部10は、図4に示すように基板11の表面にループ形状のアンテナコイル12を有している。また、基板11には、アンテナコイル12に接続され、無線通信エリア内に位置する非接触IC券との無線通信を制御する無線通信部にかかる回路(不図示)が搭載されている。IC券情報読取部10は、非接触IC券との無線通信で、この非接触IC券から読み取った乗車券情報を制御部2に通知する。また、IC券情報読取部10は、制御部2からの指示にしたがって、乗車券情報の更新データとともに、記憶している乗車券情報の更新(書き換え)を非接触IC券に指示する。
【0042】
非接触IC券は、IC券情報読取部10から乗車券情報の送信指示を受信すれば、記憶している乗車券情報を送信する。また、非接触IC券は、IC券情報読取部10から乗車券情報の更新指示を受信すれば、この更新要求とともに受信した更新データに基づき、記憶している乗車券情報を更新する。
【0043】
QR券情報読取部20は、図5に示すように基板21に撮像素子22と、この撮像素子22上に光学読取エリア内の像を結像する撮像レンズ23を備えている。図5(A)は基板21の上面図であり、図5(B)は基板21の側面図である。また、基板21には、撮像素子22上に結像されたQRコード(登録商標)の画像を処理して、このQRコード(登録商標)が示す乗車券情報の読み取りを行う画像処理部にかかる回路(不図示)が搭載されている。QR券情報読取部20は、光学読取エリア内に翳されたQR券に印刷されているQRコード(登録商標)から読み取った乗車券情報を制御部2に通知する。
【0044】
上記した、IC券情報読取部10にかかる基板11、およびQR券情報読取部20にかかる基板21は、既存であり、この例では、この既存の基板11、21を利用している。
【0045】
ただし、基板11、21の相対的な位置関係を以下のように規定している。
【0046】
上述したように、改札通路入口側から、IC券情報読取部10の無線通信エリア、QR券情報読取部20の光学読取エリアがこの順に改札通路における利用者の通行方向に並んでいる。すなわち、自動改札機1(出場用ユニット、および入場用ユニット)は、基板11、21を図6に示すように並べて取り付けている。図6(A)は、自動改札機1(出場用ユニット、および入場用ユニット)の上面から見た無線通信エリアを形成する基板11と、光学読取エリアを形成する基板21との相対的な位置関係を示す。また、図6(B)は、自動改札機1(出場用ユニット、および入場用ユニット)の側面から見た無線通信エリアを形成する基板11と、光学読取エリアを形成する基板21との相対的な位置関係を示す。
【0047】
図6に示すように、IC券情報読取部10の無線通信エリアと、QR券情報読取部20の光学読取エリアとは、その一部が重複している。言い換えれば、IC券情報読取部10の無線通信エリアと、QR券情報読取部20の光学読取エリアとは、その一部が重複するように、基板11、21を、改札通路における利用者の通行方向に並べて配置している。また、IC券情報読取部10の無線通信エリアと、QR券情報読取部20の光学読取エリアについて、その一部を重複させた共通エリアを設けているので、自動改札機1(出場用ユニット、および入場用ユニット)における、2つの基板11、21を取り付けるための、これら2つの基板11、21の並び方向必要なスペースを抑えることができる。したがって、自動改札機1の大型化を防止することができる。
【0048】
なお、2つの基板11、21の並び方向については、この例では、改札通路における利用者の通行方向にしたが、改札通路の幅方向にしてもよい。基板11、21は、1つの基板で構成してもよい。
【0049】
また、乗車券としての非接触IC券の利用がすでに普及していることから、上記の例のように、利用者の操作性の観点から、改札通路における利用者の通行方向に、IC券情報読取部10の無線通信エリア、QR券情報読取部20の光学読取エリアを並べるのが好ましいが、この並びを逆にして、QR券情報読取部20の光学読取エリア、IC券情報読取部10の無線通信エリアとしてもよい。
【0050】
次に、この例にかかる自動改札機1の改札処理にかかる動作について説明する。図7は、駅構内に入場する入場処理を示すフローチャートである。
【0051】
駅構内に入場する利用者は、非接触IC券、またはQR券を乗車券として所持している。利用者は、所持している乗車券が非接触IC券であれば、この非接触IC券を無線通エリアに翳す。利用者は、所持している乗車券がQR券であれば、このQR券に印刷されているQRコード(登録商標)を光学読取エリアに翳す。
【0052】
自動改札機1は、IC券情報読取部10が無線通信エリア内に位置する非接触IC券の検知、および、QR券情報読取部20が光学読取エリア内に位置するQR券の検知を繰り返し行っている(s1、s2)。IC券情報読取部10における無線通信エリア内に位置する非接触IC券の検知は、このIC券情報読取部10が一定時間間隔(例えば、100ms間隔)で非接触IC券に応答を要求するポーリングを繰り返し、非接触IC券からの応答の受信の有無によって、無線通信エリア内に位置する非接触IC券を検知する処理である。また、QR券情報読取部20は、光学読取エリア内に位置する物体を検知するとQRコード(登録商標)の読み取りを行うことで、光学読取エリア内に位置するQR券を検知する。
【0053】
なお、QR券情報読取部20は、一定時間間隔(例えば、100ms間隔)で、QRコード(登録商標)が撮像素子22に撮像されているかどうかによって、光学読取エリア内に位置するQR券を検知する構成としてもよい。
【0054】
自動改札機1は、s1で無線通信エリア内に位置する非接触IC券を検知すると、この非接触IC券が記憶する乗車券情報を読み取る(s3)。s3にかかる乗車券情報の読み取りは、IC券情報読取部10による非接触IC券との無線通信により行われる。自動改札機1は、s3で読み取った乗車券情報に基づき駅構内への利用者の入場を許可するかどうかを判定する(s4)。s4では、s3で読み取った乗車券情報が適正であるかどうか、例えば乗車券の有効/無効や、サイクルエラー等、を判定している。自動改札機1は、s4で利用者の入場を許可しないと判定すると、扉開閉部7により扉7aを閉する(s5)。これにより、自動改札機1は、乗車券情報が適正でない非接触IC券で利用者が駅構内に入場するのを禁止する。
【0055】
一方、自動改札機1は、s4で駅構内への利用者の入場を許可すると判定すると、今回の利用にかかる入場情報(入場駅、入場時刻等)を乗車券情報として非接触IC券に書き込む(非接触IC券の乗車券情報を更新する。)(s6)。s6にかかる処理は、IC券情報読取部10による非接触IC券との無線通信により行われる。非接触IC券は、自動改札機1からの指示にしたがって、今回の入場情報を乗車券情報として書き込む(乗車券情報を更新する。)。また、自動改札機1は、扉開閉部7により扉7aを開する(s7)。これにより、自動改札機1は、利用者が駅構内に入場するのを許可する。
【0056】
また、自動改札機1は、s2で光学読取エリア内に位置するQR券を検知すると、QRコード(登録商標)が示す乗車券情報を読み取る(s8)。自動改札機1は、QR券から読み取った乗車券情報に基づき、利用者の入場を許可するかどうかを判定する一次判定処理を行う(s9)。s8で読み取った乗車券情報には、QR券の識別番号、有効期間、有効区間等が含まれている。s9における一次判定処理は、今回乗車券情報を読み取ったQRについて、有効期間、および有効区間が適正であるかどうかを判定する処理である。したがって、この一次判定処理では、今回使用されたQR券がコピー等で作成された偽造券であるかどうかや、使い回しされているQR券であるかどうか等についての判定を行っていない。ただし、後述する二次判定処理において、上述のQR券の不正使用であるかどうかにかかる判定を行う。
【0057】
自動改札機1は、s9における一次判定処理で、駅構内への利用者の入場を許可しないと判定すると(s10)、s5で扉開閉部7により扉7aを閉する。
【0058】
一方、自動改札機1は、s9における一次判定処理で、利用者の入場を許可しないと判定しなければ(乗車券情報が適正であると判定すると)(s10)、通信部8において上位装置である使用状態管理装置(不図示)に対して、今回乗車券情報(QRコード(登録商標))を読み取ったQR券の使用状態を示す使用状態管理情報の通知要求を行う(s11)。この使用状態管理情報の通知要求には、s8で乗車券情報を読み取ったQR券の識別番号が含まれている。
【0059】
使用状態管理装置は、発券したQR券毎に、そのQR券の識別番号と、使用状態(入場未/入場済や出場未/出場済等)と、を対応づけた使用状態管理情報を記憶している。使用状態管理装置は、自動改札機1から、QR券の使用状態管理情報の通知要求を受信すると、この通知要求に含まれているQR券の識別番号をキーにして、このQR券の使用状態管理情報を検索し、該当するQR券の使用状態管理情報を自動改札機1に返信する。
【0060】
自動改札機1は、使用状態管理装置からの返信により、s8で乗車券情報を読み取ったQR券の使用状態管理情報を取得する(s12)。自動改札機1は、s12で取得したQR券の使用状態管理情報に基づき、利用者の入場を許可するかどうかを判定する二次判定処理を行う(s13)。s13では、s12で取得したQR券の使用状態管理情報が未入場を示している場合、利用者の入場を許可すると判定する。一方、s12で取得したQR券の使用状態管理情報が入場済を示している場合、利用者の入場を許可しないと判定する。自動改札機1は、s13の二次判定処理で、駅構内への利用者の入場を許可しないと判定すると(s14)、s5で扉開閉部7により扉7aを閉する。
【0061】
したがって、上述の二次判定で、QR券の使い回しや、コピー等による偽造券の使用によって、利用者が駅構内に不正に入場するのを防止できる。
【0062】
自動改札機1は、s13の二次判定処理で、利用者の入場を許可すると判定すると(s14)、扉開閉部7により扉7aを開する(s15)。また、自動改札機1は、今回の改札処理で使用されたQR券について、その使用状態管理情報の更新要求を使用状態管理装置に送信する(s16)。この使用状態管理情報の更新要求には、QR券の識別番号と、入場処理完了と、が含まれている。
【0063】
使用状態管理装置は、いずれかの自動改札機1から、QR券の使用状態管理情報の更新要求を受信すると、この更新要求に基づき、該当するQR券の使用状態管理情報を更新する。したがって、使用状態管理装置は、自動改札機1が入場を許可したQR券については、略リアルタイムに使用状態管理情報を更新することができる。
【0064】
次に、自動改札機1における出場処理について説明する。図8は、自動改札機における出場処理を示すフローチャートである。
【0065】
駅構内から出場する利用者は、入場駅での入場時に使用した乗車券(非接触IC券、またはQR券)を所持している。利用者は、所持している乗車券が非接触IC券であれば、この非接触IC券を無線通エリアに翳す。利用者は、所持している乗車券がQR券であれば、このQR券に印刷されているQRコード(登録商標)を光学読取エリアに翳す。
【0066】
自動改札機1は、IC券情報読取部10が無線通信エリア内に位置する非接触IC券の検知、および、QR券情報読取部20が光学読取エリア内に位置するQR券の検知を繰り返し行っている(s21、s22)。s21、s22にかかる処理は、上述のs1、s2と同じである。
【0067】
自動改札機1は、s21で無線通信エリア内に位置する非接触IC券を検知すると、s23〜s27において、上述したs3〜s7と同様の処理を行う。ただし、s26では、出場駅や、出場時刻等を乗車券情報として非接触IC券に書き込む。また、s25では、扉7bを閉し、s27では扉7bを開する。
【0068】
また、自動改札機1は、s22で光学読取エリア内に位置するQR券を検知すると、s28〜s33において、上述したs8〜s13と同様の処理を行う。ただしs33、s34の二次判定処理では、該当するQR券の使用状態が入場済で、且つ、未出場である場合に、利用者の出場を許可すると判定する。言い換えれば、該当するQR券の使用状態が未入場であれば、未出場であっても、利用者の出場を許可しないと判定する。
【0069】
自動改札機1は、s33の二次判定処理で、駅構内からの利用者の出場を許可しないと判定すると(s34)、s25で扉開閉部7により扉7aを閉する。
【0070】
したがって、上述の二次判定で、QR券の使い回しや、コピー等による偽造券の使用によって、利用者が駅構内から不正に出場するのを防止できる。
【0071】
自動改札機1は、s33の二次判定処理で、利用者の出場を許可すると判定すると(s34)、今回使用されたQRの回収が必要であるかどうかを判定する(s35)。自動改札機1は、s35で回収が必要であると判定すると、利用者がQR券投入口25に投入したQR券を回収する回収処理を行う(s36)。自動改札機1は、QR券が使い切りのキップであれば回収が必要であると判定し、何度も繰り返し使用できる1日乗車券であれば、回収が不要であると判定する。
【0072】
自動改札機1は、扉開閉部7により扉7bを開する(s37)。また、自動改札機1は、今回の改札処理で使用されたQR券について、その使用状態管理情報の更新要求を使用状態管理装置に送信する(s38)。この使用状態管理情報の更新要求には、QR券の識別番号と、出場処理完了と、が含まれている。
【0073】
使用状態管理装置は、上述したように、いずれかの自動改札機1から、QR券の使用状態管理情報の更新要求を受信すると、この更新要求に基づき、該当するQR券の使用状態管理情報を更新する。したがって、使用状態管理装置は、自動改札機1が出場を許可したQR券についても、略リアルタイムに使用状態管理情報を更新することができる。
【0074】
なお、上記の例では、自動改札機1は、上位装置である使用状態管理装置からQR券の使用状態管理情報を取得し、取得した使用状態管理情報を用いて、利用者の入場、または出場を許可するかどうかを判定する構成したが、この判定を使用状態管理装置に行わせ、判定結果を取得する構成としてもよい。
【0075】
また、使用状態管理装置が、定期的(例えば数分毎)にQR券の使用状態管理情報を自動改札機1に通知し、自動改札機1は、使用状態管理装置にQR券の使用状態管理情報を問い合わせることなく、利用者の入場、または出場を許可するかどうかを判定する構成としてもよい。
【0076】
また、本願発明は、駅の改札口に設置される自動改札機だけでなく、テーマパークの入出場口や、セキュリティエリアへの入出場口等に設置されるゲート装置としても利用できる。
【符号の説明】
【0077】
1…自動改札機
2…制御部
22…撮像素子
23…撮像レンズ
3…読取ユニット
4…QR券回収部
5…利用者検知部
6…表示部
7…扉開閉部
7a、7b…扉
8…通信部
10…IC券情報読取部
11…基板
12…アンテナコイル
20…QR券情報読取部
21…基板
21…制御部
25…QR券投入口
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8