(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークの側面を支持可能な第1支持部と、前記第1支持部の長手方向一端部に連結されて、前記ワークの底面を支持可能な第2支持部と、前記第1支持部に設けられた第1外周円弧面と前記第2支持部に設けられた第2外周円弧面とで構成される回転面部と、を有する回転支持体と、
前記ワークの前記底面が下向きから横向きの姿勢になるように、前記回転面部を駆動して前記回転支持体を回転させる回転駆動部と、を具備してなり、
前記第2支持部は、前記第1支持部の前記一端部の幅方向両側に取り付けられた一対のヒンジ部と、前記の各ヒンジ部に取り付けられた一対のアーム部とから構成され、前記アーム部は、前記回転駆動部によって前記ワークの底面が横向きの姿勢とされたときに、前記ヒンジ部によって、前記ワークの底面を支持可能な位置から、前記ワークの底面から離間した位置まで回動可能とされていることを特徴とするワークの反転装置。
前記転倒防止ストッパには、前記ワークの転倒防止位置または前記転倒防止ストッパの収納位置において前記転倒防止ストッパをそれぞれ固定する固定ピンが備えられ、前記転倒防止ストッパが前記収納位置に固定されたときに、前記固定ピンによって前記回転支持体の回転が規制されることを特徴とする請求項4に記載のワークの反転装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、リフティングマグネットを宙吊りにして作業者が研磨作業を行うことは、リフティングマグネットの落下の可能性があるため極めて危険であるという問題がある。
また、リフティングマグネットを宙吊り状態で研磨する場合および架台に設置して研磨する場合の双方に共通する問題として、作業者が起立したまま上向きの姿勢で作業をせざるを得ず、作業効率が極めて低い問題があった。
【0007】
従って、吸着面を横向きにした状態でリフティングマグネットを安定して設置できるようにすれば、研磨作業が容易になる。しかし、リフティングマグネットは数トン程度の重量があるので、通常の使用状態において下向きの吸着面を横向きにするようにリフティングマグネットの姿勢を変えさせることは容易ではない。
【0008】
重量物を反転する方法として、特許文献1の
図9に記載のドラムを用いた重量物反転装置が知られている。この重量物反転装置は、同文献の
図9(c)〜(d)に示すように、重量物の下面を横向きにし、その後、重量物をクレーンで反転させて下面をドラム側と反対側に向けさせている。このように、同文献1の
図9に記載の重量物反転装置は、クレーンで重量物の向きを変える必要があり、作業が繁雑という問題がある。
【0009】
以上の問題は、リフティングマグネットに限らず、重量物であるワークの一部にメンテナンスを施すためにワークの姿勢を変更しなければならない場合に共通する問題である。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、安全かつ簡単に、リフティングマグネットのようなワークの姿勢を変更して、吸着面の研磨作業などのメンテナンス作業を容易に行うことを可能にするワークの反転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] ワークの側面を支持可能な第1支持部と、前記第1支持部の長手方向一端部に連結されて、前記ワークの底面を支持可能な第2支持部と、前記第1支持部に設けられた第1外周円弧面と前記第2支持部に設けられた第2外周円弧面とで構成される回転面部と、を有する回転支持体と、
前記ワークの前記底面が下向きから横向きの姿勢になるように、前記回転面部を駆動して前記回転支持体を回転させる回転駆動部と、を具備してなり、
前記第2支持部は、前記第1支持部の前記一端部の幅方向両側に取り付けられた一対のヒンジ部と、前記の各ヒンジ部に取り付けられた一対のアーム部とから構成され、前記アーム部は、前記回転駆動部によって前記ワークの底面が横向きの姿勢とされたときに、前記ヒンジ部によって、前記ワークの底面を支持可能な位置から、前記ワークの底面から離間した位置まで回動可能とされていることを特徴とするワークの反転装置。
[2] 前記回転駆動部は、前記回転駆動体の直下に配置された駆動軸と、
前記駆動軸に取り付けられた第1ギア及び第2ギアと、
前記第1支持部の前記第1外周円弧面上にあって、前記回転支持体の回転方向に沿って配置され、かつ前記第1ギアにかみ合う第1レールと、
前記第2支持部の前記第2外周円弧面上にあって、前記回転支持体の回転方向に沿って前記第1レールの非延長線上に配置され、かつ前記第2ギアにかみ合う第2レールと、から構成され、
前記第1レールの前記第2レール側の一部と、前記第2レールの前記第1レール側の一部とが並んで配置されていることを特徴とする[1]に記載のワークの反転装置。
[3] 前記回転支持体に、回転範囲を0〜100°の範囲に規制する回転ストッパが備えられていることを特徴とする[1]又は[2]に記載のワークの反転装置。
[4] 前記第1支持部の
長手方向他端部に、前記ワークの転倒防止ストッパが装着されていることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載のワークの反転装置。
[5] 前記転倒防止ストッパには、前記ワークの転倒防止位置または前記転倒防止ストッパの収納位置において前記転倒防止ストッパをそれぞれ固定する固定ピンが備えられ、前記
転倒防止ストッパが前記収納位置に固定されたときに、前記固定ピンによって前記回転支持体の回転が規制されることを特徴とする[4]に記載のワークの反転装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明のワークの反転装置は、第2支持部がほぼ水平になるように回転支持体の姿勢を回転駆動部によって調整した後、第2支持部上に、下面を下に向けた状態でワークを裁置し、かつワークの側面を第1支持部に当接させる。そして、回転駆動部によって、ワークの底面が下向きから横向きになるように、回転支持体を回転させる。その後、第2支持部を構成する一対のアーム部を、ヒンジ部によって、ワークの底面を支持可能な位置から、ワークの底面から離間した位置まで回動させる。
以上によって、ワークの下面を横向きにし、かつ、ワークの下面に当接していたアーム部を動かして、ワークの下面を横向きに露出させることができる。これにより作業者は、ワークの下面のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、回転支持体の回転は、回転支持体に設けられた回転面部を回転駆動部によって駆動させることで行うので、ワークの姿勢を無理なく円滑に変更することができる。
以上のように、本発明によれば、安全かつ簡単に、ワークの姿勢を変更でき、下面の研磨作業などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明のワークの反転装置に備えられた回転駆動部は、駆動軸を回転させることで第1ギア及び第2ギアを回転させて、第1、第2ギアにかみ合う第1、第2レールを介して、回転面部を駆動させて回転支持体を回転させる。このとき、第2支持部がほぼ水平姿勢であるときは、第2ギアのみが第2レールにかみ合って、回転面部を駆動させる。その後、第2レールのうちの第1レール側の一部が第2ギアにかみ合うときに、この一部に並んで配置されている第1レールの第2レール側の一部に第1ギアがかみ合う。更に駆動軸を回転させると、第2レールが第2ギアから離れ、第1ギアのみが第1レールにかみ合って、第2支持部がほぼ垂直姿勢になるまで回転支持体を回転させる。
以上のように、第1レールの一部と第2レールの一部とが並んで配置されているので、駆動軸の回転によって、第1外周円弧面と第2外周円弧面とからなる回転面部を円滑に駆動させることができる。
また、第2支持部がほぼ垂直姿勢になるときには、第2レールが第2ギアから離れて、第1ギアのみが第1レールにかみ合っているので、第2レールが設けられたアーム部を自由に回動させることができ、これによりワークの下面を横向きに露出させることができる。
【0014】
また、本発明のワークの反転装置に備えられた回転支持体には、第2支持部の傾斜角度を0〜100°の範囲で規制する回転ストッパが備えられているので、ワークの底面を、下向きの状態から水平面に対して100°傾斜した状態に向けさせることができ、作業者による下面の研磨作業などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、本発明のワークの反転装置には、第1支持部の他端部に、ワークの転倒防止ストッパが装着されているので、回転支持体によってワークの下面が横方向に向けられた際に、ワークのバランスが崩れたとしても、転倒防止ストッパによって回転支持体からのワークの転倒を防止でき、安全の確保を図ることができる。
【0016】
また、本発明のワークの反転装置の転倒防止ストッパには、該ストッパが収納位置に固定されたときに、固定ピンによって回転支持体の回転が規制されるので、該ストッパを収納位置にしたままで回転支持体が回転することを防止し、該ストッパをワークの転倒防止位置にすることを作業者に促すことができ、安全の確保を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜
図4に示すように、本実施形態のワークの反転装置1は、基台2上に設置された回転支持体3と、回転駆動部4とから概略構成されている。反転装置1に適用されるワーク5は、例えば
図1〜4に示すリフティングマグネットを例示できる。このワーク5は、ほぼ直方体の形状を有しており、下面5aがリフティングマグネットとして使用した場合の鋼材等の吸着面になる。また、ワーク5の上側には、リフティングマグネットとしてクレーンに吊り下げられて使用される場合の吊部5cが設けられている。
【0019】
基台2には、回転支持体3を支持するガイドロール2aが4箇所に設置されている。また、基台2には、回転支持体3の脱落を防止するためのガイド体2bが4箇所に設けられている。ガイド体2bは、回転支持体3の幅方向両側に設置されており、その先端が回転支持体3側に折り曲げられている。更に、基台2の下には、基台2を支持するための脚部2cが取り付けられている。脚部2cは、床の凹凸に対してレベル調整が可能になっている。更にまた、基台2にはサイドテーブル2dが備えられており、サイドテーブル2d上に回転駆動部4の一部が搭載されている。なお、本装置1は、基台2に設けられた吊り輪2fにクレーンの吊り具を装着することで移動自在とされている。
【0020】
回転支持体3は、基台2に備えられた4つのガイドロール2a上に設置されている。回転支持体3は、ワーク5の側面5bを支持可能な第1支持部31と、第1支持部31の長手方向一端部31aに連結されて、ワーク5の底面5aを支持可能な第2支持部32と、第1支持部31に設けられた第1外周円弧面33と第2支持部32に設けられた第2外周円弧面34とで構成される回転面部35と、を具備している。回転面部35がガイドロール2a上に設置されていることで、回転支持体3がガイドロール2a上で回転自在とされている。また、回転面部35の幅方向両側には、フランジ部35aが突出して設けられており、このフランジ部35aとガイド体2bとによって、回転支持体3の基台2からの脱落防止が図られている。
【0021】
また、回転支持体3のフランジ部35aの両端には、回転支持体3の回転範囲を規制する回転ストッパ3aが備えられている。回転ストッパ3aは、ガイドロール2aと干渉することで、回転支持体3の回転範囲を0〜100°の範囲に規制している。回転支持体3の回転範囲がこの範囲に規制されることで、下面5aを下向きにして設置したワーク5の姿勢を、ワーク5の下面5aが横向きになるように変えさせることが可能になり、作業者がワーク5の下面5aに対して楽な姿勢で作業できるようになっている。
【0022】
第1支持部31は、円柱を高さ方向から切断した形状(所謂かまぼこ形(semicylindrical))の部材であり、円柱の周面にあたる第1外周円弧面33と、円柱の切断面にあたる第1裁置面31bとを有している。
図1〜
図4に示す例では、第1裁置面31bが横に向いた状態でワーク5の側面5bと対向している。また、第1裁置面31bには、ワーク5の側面を直接支持する側面支持体31cが設けられている。この側面支持体31cには、第1支持部31に設けられた図視略の雌ねじ部に対応する図視略の雄ねじを有しており、側面支持体31cを回転させることで、側面支持体31cが第1裁置面31bに対して進退自在とされている。また、第1外周円弧面33には、回転駆動部4を構成する第1レール41が備えられている。
【0023】
次に、第2支持部32は、第1支持部31の一端部31aに連結されている。第2支持部32は、第1支持部31の一端部31aの幅方向両側に取り付けられた一対のヒンジ部37、37と、各ヒンジ部37、37に取り付けられた一対のアーム部38、38とで構成されている。アーム部38は、円柱を高さ方向から切断した形状(所謂かまぼこ形(semicylindrical))の部材であり、円柱の周面にあたる第2外周円弧面34と、円柱の切断面にあたる第2裁置面38aとを有している。
図1〜
図4に示す例では、第2裁置面38aが上向きの状態でワーク5の底面5aと対向している。第2裁置面38aには、ワーク5の下面5aを直接支持する下面支持体38bが突出されている。この下面支持体38bには、アーム部38に設けられた図視略の雌ねじ部に対応する図視略の雄ねじを有しており、下面支持体38bを回転させることで、下面支持体38bが第2裁置面38aに対して進退自在とされている。また、第2外周円弧面34には、回転駆動部4を構成する第2レール42が備えられている。
【0024】
図1〜4及び
図7に示すように、フランジ部35aには、第1固定ピン挿入部32a及び第2固定ピン挿入部32bが設けられ、基台2は第1、第2固定ピン挿入部32a、32bに対応するボス部2eが設けられている。
図1〜
図4においては、第2支持部32の第2裁置面38aが上向きの状態であり、この状態のときには、第1固定ピン挿入部32aとボス部2eとに固定ピン39が挿入可能になっており、固定ピン39を挿入することで、第2裁置面38aが上向きの状態で回転支持体3を固定可能となっている。また、後述するように、回転支持体3を回転させて、第1支持部31の第1裁置面31bが上向きになったときには、第2固定ピン挿入部32bとボス部2eとに固定ピン39が挿入可能になり、固定ピン39を挿入することで、第1裁置面31bが上向きの状態で回転支持体3を固定可能になる。
【0025】
また、
図1〜4及び
図6に示すように、第1支持部31の他端部31dには、ワーク5の転倒防止ストッパ50が備えられている。ストッパ50は、ストッパ本体51と、ストッパ本体51の長手方向両側に取り付けられた略三角形状のストッパフランジ52とから構成されている。ストッパフランジ52の頂部には回転軸52aが設けられ、この回転軸52aを介してストッパ50が第1支持部31に回転自在に取り付けられ、ストッパ50がワークの転倒防止位置とストッパの収納位置と間で回動自在とされている。なお、
図1において、ストッパ50を一点鎖線で示している位置が転倒防止位置であり、実線で示している位置が収納位置である。
図6ではストッパ50は待機位置にある。また、三角形状のストッパフランジ52の他の2つの頂部付近には、第1挿入孔52bと第2挿入孔52cとがそれぞれ設けられており、一方、第1支持部31の側面にはピン挿入孔31eが設けられている。ストッパ50が転倒防止位置にあるときには第1挿入孔52bとピン挿入孔31eとが相互に重なり、ストッパ50が収納位置にあるときには第2挿入孔52cとピン挿入孔31eとが相互に重なるようになっている。そして、ストッパ用の固定ピン53を第1挿入孔52bとピン挿入孔31eとに挿入することでストッパ50を転倒防止位置に固定し、また、ストッパ本体51を起こして固定ピン53を第2挿入孔52cとピン挿入孔31eとに挿入することで、ストッパ50を収納位置に固定するようになっている。
【0026】
また、ストッパフランジ52の第1挿入孔52bの近くの頂部52dは、ストッパ50が収納位置にあるときにフランジ部35aの近くに位置し、ストッパ50が転倒防止位置にあるときにはフランジ部35aから離れたところに位置する。フランジ部35aは先に述べたように、基台2上のガイド体2bとともに回転支持体3の脱落防止装置を構成するが、ストッパ50が収納位置にあるときには、回転支持体3が回転したときに、ストッパフランジ52の頂部52dがガイド体2bと干渉して、回転支持体3のそれ以上の回転が規制されることになる。ストッパ50が転倒防止位置にあるときは、ストッパフランジ52の頂部52dが後退するので、頂部52dがガイド体2bに干渉することがなく、回転支持体3の回転は規制されない。
【0027】
次に、回転駆動部4にについて
図1〜
図5を参照して説明する。
図5は、回転駆動部4の要部を示す正面図である。なお、回転駆動部4の説明のために
図5では、回転支持体3の設置角度を、
図1〜4の場合とは異なり、第1支持部31の第1裁置面31bが上を向いた角度にしている。
図1〜
図5に示すように、回転駆動部4は、回転支持体3の直下に配置された駆動軸43と、駆動軸43に取り付けられた第1ギア44及び第2ギア45と、第1支持部31の第1外周円弧面33上にある第1レール41と、第2支持部32の第2外周円弧面34上にある第2レール42と、が備えられている。また、回転駆動部4には、駆動軸43を回転させるための動力伝達部46が備えられている。
【0028】
なお、本実施形態では、第1ギア44及び第2ギア45としてスプロケットギアを用い、第1レール41及び第2レール42としてチェーンを用いているが、ギアからレールに向けて駆動軸43の駆動力を確実に伝達できるのであれば、ギア及びレールはこれに限られず、例えば、ピニオンギアとラックレールの組み合わせでも良い。また、第1ギア44、第2ギア45、第1レール41及び第2レール42は、それぞれ複数で備えられていてもよい。
【0029】
駆動軸43は基台2上にあって、その長手方向が回転支持体3の幅方向に沿うように配置されている。そして、第1レール41とかみ合う位置に第1ギア44が配設され、また、第2レール42とかみ合う位置に第2ギア45が配設されている。第1、第2ギア44、45は一つの駆動軸43に取り付けられているため、駆動軸43が回転した際に、同じ回転速度で回転するようになっている。
【0030】
次に、第1レール41は、第1支持部31の第1外周円弧面33上にあり、その長手方向が回転支持体3の回転方向に沿うように配置されている。また、第2レール42は、第2支持部32を構成するアーム部38の第2外周円弧面34上にあって、回転支持体3の回転方向に沿って第1レール41の非延長線上、すなわち第1レール41の延長線からはずれた位置に配置されている。そして、
図5に示すように、第1レール41の第2レール42側の一部41aと、第2レール42の第1レール41側の一部42aとが、回転支持体3の幅方向に沿って並ぶように配置されている。また、第1レール41の一部41aと、第2レール42の一部42aとの間において、第1外周円弧面33と第2外周円弧面34とが連結されている。第1レール41及び第2レール42の長さ及び位置を調整することで、回転駆動部4による回転支持体3の回転許容角度を調整できる。
【0031】
次に、駆動軸43を回転させる動力伝達部46は、ハンドル部46aと、ハンドル部46aに連結された第1シャフト46bと、第2シャフト46cと、第1、第2シャフト46b、46cを連結する第1ギアボックス46dと、第3シャフト46eと、第2シャフト46cと第3シャフト46eを連結するベルト46fと、第3シャフト46eと駆動軸43を連結する第2ギアボックス46gとから構成されている。動力伝達部46は、基台2のサイドテーブル2d上に設置されている。ハンドル部46aを作業者が回転させることで、駆動軸43を回転させ、これにより回転支持体3を自在に回転させることが可能になっている。なお、本装置は作業者によってハンドル部46aを手動することに限らず、別途モータを設置しての電動も可能である。
【0032】
次に、本実施形態の反転装置1の動作について説明する。
まず、
図1〜
図4に示すように、第2支持部32の第2裁置面38aがほぼ水平になるように、回転支持体3の姿勢を回転駆動部4によって調整する。具体的には、固定ピン39による回転支持体3の回転規制を解除した状態で、回転駆動部4のハンドル部46aを回すことにより、駆動軸43を回転させて、第2支持部32の第2裁置面38aを水平にする。そして、固定ピン39をフランジ部35aの第1固定ピン挿入部32aとボス部2eとに挿入して、回転支持体3を固定する。
【0033】
次に、クレーン等によって、ワーク5を、第2支持部32のアーム部38の第2裁置面38aの上に設置する。このとき、ワークの下面5aが第2裁置面38aに対向するようにワーク5を設置する。ここで、
図11または
図12に示すように、ワーク5の下面5aのほぼ中央には鋼材等に接する第1磁極部5a
1が突出されており、また、下面5aの周辺部には鋼材等に接する環状の第2磁極部5a
2が突出されている。そして、第1磁極部5a
1と第2磁極部5a
2との間が凹部5a
3になっている。ワークの下面5aを第2裁置面38aに設置する際には、第2裁置面38aに設けられた下面支持体38bをワーク5の凹部5a
3に当接させるようにする。また、ワーク5を回転支持体3に設置する際には、ワーク5の側面5bを第1支持部31の第1裁置面31bに設けた側面支持体31cに当接させる。
【0034】
次に、待機位置にある転倒防止ストッパ50を転倒防止位置に移動するために、ストッパ50の第2挿入孔52cに挿入されている固定ピン53を引き抜き、ストッパ本体51を転倒防止位置に起こし、引き抜いた固定ピン53を第1挿入孔52b及びピン挿入孔31eに挿入してストッパ50を固定する。これにより、ワーク5がストッパ50によって固定されるとともに、ストッパフランジ52の頂部52dがフランジ部35aから離れた位置に待避されて、回転支持体3が回転可能な状態になる。
【0035】
次に、回転駆動部4により回転支持体3を回転させて、
図8〜11に示すように、ワーク5の下面5aを下向きの状態から横向きの状態にする。具体的には、まず、固定ピン39による回転支持体3の回転規制を解除した上で、回転駆動部4のハンドル部46aを回すことで駆動軸43を回転させる。これにより、第1、第2ギア44,45が同時に回転する。ここで、第2支持部32にワーク5が裁置されている状態では、アーム部38の第2外周円弧面34が駆動軸43に対向した位置にある。このため、第2ギア45が第2外周円弧面34の第2レール42にかみ合い、第1ギア44はフリーの状態になっている。この状態で駆動軸43を回転させると、その回転駆動力が第2ギア45を介して第2レール42に伝達されて、駆動軸43に対して第2外周円弧面34が相対移動する。これにより、回転支持体3がガイドレール2aに支持されたまま回転する。
【0036】
回転支持体3の回転に伴ってワーク5が傾斜し、これによりワーク5の荷重が徐々にアーム部38から第1支持部31に移動する。更に回転駆動部4による回転支持体3の回転を継続すると、第2レール42の第1レール41側の端部が第2ギア45に接近する。ここで、第2レール42の第1レール41側の一部42aと、第1レール41の第2レール42側の一部41aとが回転支持体3の幅方向に沿って並んで配置されているため、第2レール42の端部が第2ギア45の位置に来る頃には、第1レール41の端部が第1ギア44にかみ合うことになる。更にこの状態で駆動軸43を回転させると、その回転駆動力が第1ギア44を介して第1レール41に伝達され、第1外周円弧面33が駆動軸43に対して相対移動することになる。このときには第2ギア45がフリーになっている。
【0037】
図8には、上記のようにして回転駆動体3をほぼ90°回転させた状態を示す。回転支持体3は更に、
図9に示すように、100°まで回転される。回転支持体3が100°まで回転されると、第1支持部31側の回転ストッパ3aがガイドレール2aにぶつかり、回転支持体3のこれ以上の回転が規制される。このとき、基台2上のボス部2eと第2固定ピン挿入部32bとが並列された状態になるので、ボス部2eと第2固定ピン挿入部32bに固定ピン39を挿入することで回転支持体3を固定する。
【0038】
図9に示すように、ワーク5は、下面5aが下向きの状態から横向きの状態になるまで回転される。回転角度は、下面5aが下を向いた最初の状態の角度を0°とすると、100°まで回転した状態になる。言い換えると、側面を下向きにしてワーク5が10°傾斜した状態になる。ワーク5は傾斜しているが、ストッパ50によって支えられているので、回転支持体3からワークが転落するおそれがない。また、
図9に示す状態では、ワーク5が第1支持部31上にあって第2支持部32側と反対側に傾斜しているので、ワーク5の荷重が全て第1支持部31に加わり、第2支持部32のアーム部38にはワーク5の荷重が加わらない。また、第2ギア45と第2レール42との係合が解除されている。従って
図9に示すアーム部38は、ワーク5及び回転駆動部4による拘束から解放された状態になっている。
【0039】
図11に示すように、第2支持部32の第2外周円弧面34側からワーク5を見ると、ワーク5の下面5aの一部がアーム部38によって遮蔽され、下面5aにメンテナンス等を施せない状態になっている。そこで、次に本実施形態では、アーム部38を、ヒンジ部37によって
図11中左右両側に開かせる。また、アーム部38は、ヒンジ部37によってワークの底面5aを支持可能な位置からワーク5の底面5aから離間した位置まで回動可能とされているので、第2支持部32側からワーク5を見たときに、下面5aがアーム部38によって遮蔽されない程度まで、ヒンジ部37を軸にしてアーム部38を反転させる。なお、アーム部38は、ワーク5及び回転駆動部4による拘束から解放されているので、容易に左右両側に開くことが可能になっている。
このようにアーム部38を左右両側に開くことで、ワークの下面5aがアーム部38によって遮蔽されず、下面5aに対する研磨作業等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のワークの反転装置1には、回転駆動部4によってワーク5の底面5aが横向きの姿勢とされたときに、ワーク5の底面5aから離間した位置まで回動可能なアーム部38が備えられているので、ワーク5の下面5aを横向きにし、かつ、アーム部38を動かして、ワーク5の下面5aを横向きに露出させることができる。これにより作業者は、ワークの下面のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、回転支持体3には、第1支持部31の第1外周円弧面33と第2支持部32の第2外周円弧面34とで構成される回転面部35が備えられているので、回転駆動部4によって回転面部35を連続して相対移動させることができ、これにより回転支持体3を連続して回転させることができ、ワーク5の姿勢を容易に変えることができる。
更に、第1支持部31によってワーク5の側面5bが支持可能なので、回転支持体3の回転中のワーク5を確実に固定でき、ワーク5の姿勢を安全に変更できる。
【0041】
また、本発明のワークの反転装置1によれば、第1、第2ギア44、45が取り付けられた駆動軸43を回転させることで、第1、第2レール41、42を介して、回転面部35を駆動させて回転支持体3を回転させることができる。このとき、第1レールの一部と第2レールの一部とが並んで配置されているので、駆動軸43の回転によって、第1外周円弧面33と第2外周円弧面34とからなる回転面部35を円滑に駆動させることができる。
また、第1ギアが第1レールにかみ合っているときには、第2レール42が第2ギア45から離れているので、第2ラックが設けられたアーム部を自由に回動させることができ、これにより横向きにしたワークの下面を露出させることができる。
【0042】
また、ワークの反転装置1に備えられた回転駆動部4は、ワーク5の底面5aの方向が、水平から水平に対して100°傾斜した方向に至る範囲を向くように、回転支持体3を回動可能としているので、ワーク5の底面5aを、水平面に対して100°傾斜した方向に向けさせることができ、作業者による下面の研磨作業などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0043】
また、第1支持部31の他端部31dに、ワークの転倒防止ストッパ50が装着されているので、回転支持体3によってワーク5の下面5aが横方向に向けられる途中で、ワーク5のバランスが崩れたとしても、ストッパ50によって回転支持体3からのワーク5の転倒を防止でき、安全の確保を図ることができる。
【0044】
また、ストッパ50が収納位置に固定されたときに、固定ピン53によって回転支持体3の回転が規制されるので、ストッパ50を収納位置にしたままで回転支持体3が回転することを防止し、ストッパ50の位置をワーク5の転倒防止位置に切り換えることを作業者に促すことができ、安全の確保を図ることができる。