(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前後に配置される前記光源ユニットの前記反射部材の前記反射面の先端の高さが同一とされ、前後に配置される前記光源ユニットは、後ろに配置される前記光源ユニットの前記反射面からの反射光が、前に配置される前記光源ユニットの前記反射部材に遮られない位置関係にあることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る光源装置を有する紫外線硬化装置10を備える枚葉印刷機1の模式図である。
本実施形態では、光源から紫外線を照射する光照射装置としての紫外線照射装置を、枚葉印刷機1に利用される紫外線硬化装置10として用いた例について説明する。
枚葉印刷機1は、
図1に示されるように、給紙装置2、印刷ユニット5、コーティングユニット6、及び排紙装置7により構成される。
当該枚葉印刷機1の基本構成は、特開2011−50909号公報に記載されているものと同様の構成であるので、詳細には説明しないが、給紙装置2は、給紙台3に準備された枚葉紙4を給紙し、印刷ユニット5では、所望の絵柄でインキ(活性化エネルギー線硬化型インキ)が枚葉紙4に印刷され、さらに、コーティングユニット6で、枚葉紙4にニス(活性化エネルギー線硬化型ニス)が印刷される。インキ及びニスを印刷された枚葉紙4は、コーティングユニット6から排紙装置7に送られる。
【0013】
排紙装置7は、排紙台8と、コーティングユニット6から送られてきた枚葉紙4を排紙台8まで搬送する搬送手段9と、排紙台8への搬送経路の所定箇所を通過する枚葉紙4に紫外線を照射して、枚葉紙4に印刷されているインキ及びニスを硬化させる紫外線硬化装置(紫外線照射装置)10とを備えている。
搬送手段9は、排紙台8の上部に設けられるスプロケット9aと、コーティングユニット6の枚葉紙4の送り口に対応する位置に設けられるスプロケット9bと、スプロケット9a,9bに巻きかけられてスプロケット9a,9bの回転に連動して循環する排紙チェーン9cとを備え、排紙チェーン9cの循環により、コーティングユニット6から送られてきた枚葉紙4が、排紙台8に搬送されるようになっている。
【0014】
排紙チェーン9cの循環経路は、一方のスプロケット9aから他方のスプロケット9bに向かって枚葉紙4を移動させる往路と、往路の下方に、往路との間に等間隔を保って延在する復路と、往路から復路または復路から往路に、スプロケット9a,9bの部位で反転される反転路とを有している。
排紙チェーン9cの循環経路は、一部の区間で往路及び復路が水平方向に対して傾斜され、他の区間で、往路及び復路が水平方向に延在されている。
枚葉紙4を咥えて、排紙チェーン9cの走行に連動させて枚葉紙4を搬送させるグリッパ9dが、排紙チェーン9cの循環経路に沿って設けられている。枚葉紙4は、インキ及びニスが印刷された面を循環経路の内側に向けて搬送される。
【0015】
紫外線硬化装置10は、排紙チェーン9cの循環経路の内側に配置され、循環経路の往路のうち、水平方向に対して傾斜する部位を移動する枚葉紙4のインキ及びニスの印刷面(照射面)に紫外線の照射口を向けて配置される。上方から、枚葉紙4の状態を監視する際、直接紫外線が監視者に照射されないので、監視者は、眩しさを感じずに、枚葉紙4の状況を監視しやすくなる。照射口からの紫外線が枚葉紙4に当てられることで、ニス及びインキが硬化される。また、グリッパ9dを設けるためのスペースが必要となることから、紫外線硬化装置10の照射口と枚葉紙4の照射面の間の照射距離が、比較的長い距離に設定されている。
なお、紫外線硬化装置10は、排紙チェーン9cの循環移動に連動して搬送される枚葉紙4に紫外線を照射するものとして説明したが、印刷ユニット5やコーティングユニット6を経由した直後の枚葉紙4に紫外線を照射する位置に設けてもよい。
【0016】
図2は紫外線硬化装置10の斜視図であり、
図2の(a)に外観斜視図を示し、
図2の(b)に分解斜視図を示している。
図3は紫外線硬化装置10の上面図及び断面図であり、
図3の(a)に上面図を示し、
図3の(b)に断面図を示している。
図2及び
図3において、紫外線硬化装置10は、ライン状の紫外線を照射するライン光源装置として用いられ、ライン光源本体11と、ライン光源本体11の側部に連結される中継ユニット60とを備えている。
ライン光源本体11は、一列に連結される複数(ここでは、8つ)の照射ユニット13からなる連結照射ユニット12と、連結照射ユニット12の周囲を囲んで、連結照射ユニット12を支持する支持枠14と、支持枠14の一端側の開口縁部に取り付けられる枠状のフレーム15と、支持枠14の他端の開口を覆うように取り付けられる背面カバー16とを備えている。
【0017】
各照射ユニット13は、その前面に光の照射口を有し、前面の外縁部を、支持枠14の一端側の開口側に支持されて、支持枠14内に収納される。
ガラス板17が、フレーム15に嵌められている。ガラス板17が支持枠14の開口を覆うように、フレーム15が、支持枠14の一端側の開口縁部に取り付けられている。
また、概略断面コ字状の背面カバー16が、連結照射ユニット12の背面を覆うように、その先端側を支持枠14の他端側に固定して設けられている。背面カバー16と連結照射ユニット12との間には、スペース18が形成されている。
【0018】
中継ユニット60は、
図2及び
図3に示されるように、筐体61、複数(ここでは8つ)の電源端子62、及び一対の冷却水入力ポート63及び一対の冷却水出力ポート64を備えている。
また、各照射ユニット13は、
図3の(b)に示されるように、冷却水を内部に供給して循環させるための給水継手47及び排水継手48を有している。さらに、各照射ユニット13は、電気的に内外を接続するための端子台50を有している。
中継ユニット60は、ライン光源本体11の長手方向の一端に連結されている。なお、ライン光源本体11の長手方向は、光源装置20の配列方向に一致するものとする。ライン光源本体11と中継ユニット60は、背面間の高さ位置が異なるように、互いの間に段部66を有している。これにより、ライン光源本体11と中継ユニット60の背面間には、段差Cが生じている。
段差Cは、中継ユニット60を、遊嵌状態に固定された枠(図示せず)に挿入して支持させた状態で紫外線硬化装置10を設置するような場合、中継ユニット60の位置を、高さ方向に移動させてライン光源本体11の照射口の高さ位置を調整するための調整代として用いることができる。また、
図2の(b)に示されるように、段部66には、中継ユニット60の筐体61内と、背面カバー16と連結照射ユニット12との間のスペースを連通するための連通穴66aが形成されている。
【0019】
そして、電線(図示せず)が、中継ユニット60の電源端子62から延び、連通穴66aに通されて、各照射ユニット13の端子台50に接続され、電源端子62から端子台50に電力を供給可能になっている。
また、各照射ユニット13において、給水継手47が、冷却水入力ポート63のいずれかに連通穴66aに通されたチューブ65を介して接続され、排水継手48が、冷却水出力ポート64のいずれかに連通穴66aに通されたチューブ65を介して接続されている。これにより、冷却水入力ポート63に供給される冷却水は、各照射ユニット13を経由して冷却水出力ポート64に戻るようになっている。電線やチューブ65は、段部66に設けた連通穴66aに通されて、紫外線硬化装置10の外部に露出されることがないので、紫外線硬化装置10の意匠性が向上する。
【0020】
図4は連結照射ユニット12を前面側から見た斜視図、
図5は連結照射ユニット12の背面図、
図6は照射ユニット13の分解斜視図、
図7は照射ユニット13の側面図、
図8は複数の光源チップ34の支持基部22Aへの取り付け状態を示す要部正面図である。
なお、上述では、連結照射ユニット12は、8つの照射ユニット13を有するものとして説明したが、説明の便宜上、以下では、連結照射ユニット12は、3つの照射ユニット13を有するものとして説明する。
図4及び
図5において、連結照射ユニット12は、アルミを材料とする仕切り反射板55を隔てて3つの照射ユニット13を連結して構成されている。照射ユニット13のそれぞれは、第1〜第4光源ユニット30A〜30Dからなる光源装置20と、光源装置20を冷却する水冷ジャケット40と、水冷ジャケット40に取り付けられて、光源装置20への電源入力部となる前述の端子台50とを備えている。また、水冷ジャケット40への冷却水の供給部及び排水部となる給水継手47及び排水継手48が、水冷ジャケット40に設けられている。
【0021】
図6〜
図8において、第1光源ユニット30Aは、後述する水冷ジャケット40の受熱面41aに設けられる支持基部22Aと、支持基部22Aにアルミ基板31を介して取り付けられ、それぞれ複数のLED発光素子(発光点)33a,33bを含む光源32を有する光源チップ34(発光素子デバイス)と、光源32に対面させて配置される反射部材35Aとを備えている。
支持基部22Aは、例えば、銅などの熱伝導性に優れる金属により作製される。支持基部22Aは、受熱面41aに押し付けられる放熱面23a、及び放熱面23aとの間に所定の角度で傾斜する一対の取付面24aを有している。なお、支持基部22Aは、後述するように、第2光源ユニット30Bの支持基部を兼ねる。
また、光源チップ34は、ここでは、2行2列で配置された4つのLED発光素子を有している。
図8に示されるように、4つのLED発光素子のうち、一行目に配置される2つのLED発光素子をLED発光素子33aとし、2行目に配置される2つのLED発光素子をLED発光素子33bとする。各LED発光素子33a,33bは、光源32の発光点をそれぞれ構成している。また、隣接するLED発光素子33aとLED発光素子33bの間のピッチ間距離Paは例えば、0.75mmとなっている。さらに、光源チップ34間の距離Pbは、7.5mmに設定されている。各光源32は、複数のLED発光素子33a,33bから放射される光を、一つの放射面から放出されていると見なせるものをいう。
【0022】
反射部材35Aは、所定の長さ及び所定の高さを有している。反射部材35Aの高さ方向の一端面は、水冷ジャケット40の受熱面41aに支持される底面を構成し、反射部材35Aには、高さ方向の他端(先端)から略底面に至る反射面37が、長手方向の全域に亘って形成されている。
反射面37は、後述するように、光源32に含まれる複数のLED発光素子33a,33bごとに、LED発光素子33a,33bからの光を同一の集光点に集光させるための曲率を有している。ここでは、反射面37は、
図7に示されるように、反射部材35Aの先端から基端に向かって所定の高さ範囲M1内に位置する第1反射面37aと、残りの高さ範囲M2に位置する第2反射面37bとを備え、それぞれが、異なる曲率半径を有している。
【0023】
第2光源ユニット30Bも、第1光源ユニット30Aの構成と同様の構成を有し、取付面24bを有する支持基部、支持基部に取り付けられる光源32を有する光源チップ34、及び反射部材35Aを備えている。第2光源ユニット30Bの支持基部は、上述したように、第1光源ユニット30Aの支持基部22Aと共通に用いられる。即ち、取付面24aと異なる支持基部22Aの箇所に、第2光源ユニット30Bの光源32を取り付ける取付面24bが形成され、共通の支持基部22Aに、第1及び第2光源ユニット30A,30Bの光源32が取り付けられる。ここでは、支持基部22Aは、断面等脚台形状に構成され、等脚台形の一対の斜辺により表される面が、取付面24aと取付面24bとなっている。
【0024】
第3光源ユニット30Cも、第1及び第2光源ユニット30A,30Bと同様に構成され、支持基部22B、支持基部22Bに取り付けられる光源32、及び反射部材35Bを備えている。
支持基部22Bは、支持基部22Aと同じ長さの長尺体であり、水冷ジャケット40に支持される放熱面23b、放熱面23bとの間に所定の角度を形成する取付面24cを有している。反射部材35Bは、反射面37に形成される2つの第1及び第2反射面37c,37dの曲率が、反射部材35Aの第1及び第2反射面37a,37bの曲率と異なる点を除いて、反射部材35Aと同様の構成を有している。
また、第4光源ユニット30Dの構成は、第3光源ユニット30Cの構成と同様である。
【0025】
次いで、水冷ジャケット40について説明する。
図9は水冷ジャケット40の分解斜視図である。
図9において、水冷ジャケット40は、熱伝導性に優れる金属を材料として作製されている。水冷ジャケット40は、水冷ジャケット本体41と、水冷ジャケット本体41を塞口する蓋部45とを備えている。水冷ジャケット本体41は、矩形形状の外形で、かつ所定の厚みの板形状を有している。厚み方向の一面側が、上述の支持基部22A〜22Cを支持する受熱面41aとして構成されている。水冷ジャケット本体41の厚み方向の他面側には、長手方向の両端のそれぞれに、短手方向に延びる中継凹部42が形成されている。また、一対の中継凹部42の間を接続する複数の溝43が、水冷ジャケット本体41の長手方向に平行に形成されている。
【0026】
蓋部45は、中継凹部42及び溝43の開口を閉塞するように、水冷ジャケット本体41に一体化される。溝43と蓋部45により、一方の中継凹部42から他方の中継凹部42に至る直線状の流路が複数形成される。一方の中継凹部42に対応する蓋部45の部位には、給水穴45aが設けられている。また、他方の中継凹部42に対応する蓋部45の部位には、排水穴45bが設けられている。
給水穴45aの断面積は、複数の溝43と蓋部45とにより構成される複数の流路の断面積を足した値に等しくなっている。排水穴45bの断面積は、給水穴45aの断面積と同じに設定されているが、排水穴45bの断面積は、給水穴45aの断面積以上に設定されていればよい。
【0027】
次いで、ライン光源本体11の組み立て構造について説明する。
第1光源ユニット30Aについて説明する。
図6及び
図7において、第1及び第2光源ユニット30A,30Bに共通の支持基部22Aが、水冷ジャケット本体41の受熱面41aに、放熱面23aを接触させ、水冷ジャケット40の短手方向に延在するように水冷ジャケット40に取り付けられている。なお、支持基部22Aには、水冷ジャケット40の長手方向に、受熱面41aに沿って延びるフランジ部が、一体に設けられている。
取付面24aには、アルミ基板31が設けられ、
図8に示されるように、アルミ基板31には、光源チップ34が、支持基部22Aの長手方向に連なるように設けられている。
各光源32では、1行目の2つのLED発光素子33aが、支持基部22Aの長手方向に並べられ、また、2行目のLED発光素子33bは、1行目のLED発光素子33aより下方(支持基部22Aの基端側)に位置するように、支持基部22Aの長手方向に並べられている。また、複数の光源チップ34は、支持基部22Aの長手方向に連なるので、各光源32のLED発光素子33aは、ライン状に配置される。また、各光源32のLED発光素子33bも同様にライン状に配置される。
【0028】
また、反射部材35Aが、その長手方向を支持基部22Aの長手方向に一致させるとともに、第1及び第2反射面37a,37bと複数の光源チップ34の光源32とを対面させて、底面を受熱面41aに固定されている。
【0029】
以下、光源ユニット30Aによる集光について説明する。
図10は光源装置20を構成し、相対配設される光源ユニット30A,30C(または光源ユニット30B,30D)のそれぞれの集光について説明する図である。
図10において、第1光源ユニット30Aの各光源32から放射される光は、ほとんど反射部材35Aで反射されるように、反射部材35Aと光源32とが対面している。
第1反射面37a及び第2反射面37bは、それぞれ異なる曲率の楕円反射面であり、第1反射面37aが、各光源32の1列目のLED発光素子33aからの光を集光点Fに向けて反射する曲率を有し、第2反射面37bが各光源32の2列目のLED発光素子33bからの光を集光点Fに向けて反射する曲率を有する。なお、集光点Fは、反射部材35の高さ方向に関し、反射部材35Aの先端との間に所定の照射距離WDだけ離れた位置に設定されている。
即ち、第1反射面37aの第1焦点にLED発光素子33aが配置され、第1反射面37aの第2焦点が集光点Fとなる。また、第2反射面37bの第1焦点にLED発光素子33bが配置され、第2反射面37bの第2焦点が、第1反射面37aの第2焦点と共通に設定されて、集光点Fとなる。
【0030】
LED発光素子33a,33bのピッチ間距離がある場合、LED発光素子33a,33bごとの光を、同じ曲率の反射面で反射させても同一の集光点に集光されない。そこで、各LED発光素子33a,33bごとの放射光を同一の集光点Fに集光させるように、第1反射面37aと第2反射面37bの曲率が、異なる値にそれぞれ設定されている。
各光源32のLED発光素子33a,33bのピッチ間距離Paに応じて、第1及び第2反射面37a,37bの曲率を設定しているものの、光源32から第1及び第2反射面37a,37bの所定部位までの距離は、第1及び第2反射面37a,37bの位置によって異なる。
反射面37の先端から基端に向かって、反射面37の位置を連続して移動させた場合の、反射面37と光源32との間の距離は、連続して変化する。このため、第1及び第2反射面37a,37bのそれぞれにより反射された光束は、照射面Dでは、所定の広がりを有し、また、照射面Dにおける照度(分布)は一律とならず連続して変化する。なお、照射面Dは、集光点Fを含み、反射部材35Aの高さ方向に直交する面である。
そこで、LED発光素子33a,33bごとの放射光を同一の集光点Fに集光させるとは、次のものをいう。即ち、各LED発光素子33a,33bの放射光が、対応する第1及び第2反射面37a,37bで反射された後、放射光の各々の光軸が、照射面Dの同一の集光点Fで交わるように、各LED発光素子33a,33bの放射光を集光させるものをいう。つまり、各LED発光素子33a,33bから直接放射される光は、互いの光軸を略平行にして反射面37に向かうことになるが、第1及び第2反射面37a,37bは、対応するLED発光素子33a,33bの放射光を、光軸が照射面Dの同一の集光点Fに集まるように反射させて集光させる曲率を有している。
【0031】
第2光源ユニット30Bは、第1光源ユニット21Aに平行に、第1光源ユニット21Aの一側に隣接して設けられている。
具体的には、第2光源ユニット30Bの複数の光源チップ34が、支持基部22Aの長手方向に連なるように、取付面24bにアルミ基板31を介して固定されている。また、反射部材35Aが、反射面37を、各光源チップ34の光源32に対面させて、受熱面41a上に支持基部22Aから延びるフランジ部を介して立設される。これにより、第2光源ユニット30Bでも、光源32がライン状に配列される。
以上のように設けられた第1光源ユニット30Aと第2光源ユニット30Bは、互いを対面させて配置される。なお、光源ユニット30が対面するとは、それぞれの反射部材35A,35Bの反射面37を対面させて配置されるものをいう。
即ち、支持基部22Aの一対の取付面24a,24bは、対面配置された第1及び第2光源ユニット30A,30Bの一対の反射面37に対面して配置される。第2光源ユニット30Bでも、第1光源ユニット30Aと同様に、集光点Fに各LED発光素子33a,33bの放射光が、集光点Fに集光される。そして、第1及び第2光源ユニット30Bは、それぞれのLED発光素子33a,33bの放射光を、同一の集光点Fに集光させるように対面配置させている。
【0032】
さらに、第3及び第4光源ユニット30C,30Dが、第1及び第2光源ユニット30A,30Bを介して互いに対面するように、水冷ジャケット40の受熱面41a上に設けられている。
ここでは、第3光源ユニット30Cが、第1光源ユニット30Aと前後に配置されている。なお、第1及び第3光源ユニット30A,30Cが前後に配置されるとは、第3光源ユニット30Cの反射部材35Bの反射面37と、第1光源ユニット30Aの反射部材35Aの反射面37とが同じ方向を臨むように配置されるものをいう。このとき、反射部材35A,35Bの反射面37の先端は、同じ高さ位置にあり、後ろに配置される第3光源ユニット30Cの反射面37からの反射光が、前に配置される第1光源ユニット30Aの反射部材35Aに遮られない位置関係にある。
【0033】
具体的には、第3光源ユニット30Cは、支持基部22Bを支持基部22Aに平行に、かつ、取付面24cの向きを支持基部22Aの取付面24aと同じ方向に向けて配置される。取付面24cには、アルミ基板31が設けられ、アルミ基板31には、第1光源ユニット30Aのものと同様に、光源チップ34が、支持基部22Bの長手方向に連なるように設けられている。
また、反射部材35Bが、反射面37を光源32に対面させて立設され、その底面を、支持基部22Bから延びるフランジ部を介して受熱面41aに固定されている。このとき、光源32から照射される光は、ほとんどが反射部材35Bで反射されるように、反射部材35Bと光源32の位置関係が設定されている。
以上のように複数の光源チップ34、及び反射部材35Bを配置することで、第3光源ユニット30Cでも、複数の光源チップ34の光源32が、ライン状に配列される。このとき、第1及び第2反射面37c,37dの焦点位置のそれぞれに、LED発光素子33a,33bのそれぞれが設けられている。
【0034】
さらに、第4光源ユニット30Dが、第2光源ユニット30Bとの位置関係が、第3光源ユニット30Cと第1光源ユニット30Aの位置関係に対応するように、第2光源ユニット30Bと前後に配置されている。これにより、第4光源ユニット30Dでも、光源32がライン状に配列される。
図10に示されるように、第3及び第4光源ユニット30C,30Dでも、第1及び第4光源ユニット30A,30Bと同様、LED発光素子33a,33bからの放射光を第1及び第2反射面37c,37dに反射させて同一の集光点Fに集光させるように、第1及び第2反射面37c,37dの曲率が設定されている。
そして、第3及び第4光源ユニット30C,30Dは、それぞれの集光点Fを、第1及び第2光源ユニット30A,30Bの集光点Fに一致させる位置に設けられ、第1〜第4光源ユニット30A〜30Dは、それぞれのLED発光素子33a,33bの放射光を、同一の集光点Fに集光させるようになっている。
従って、以上のように組み立てられた光源装置20では、集光点Fでの光のピーク強度が効果的に増大される。
【0035】
次いで、光源装置20の光学特性について説明する。
図11は二種の光源ユニット30A(30B)及び30C(30D)を組み合わせて相対配設した光源装置20の光学特性について説明する図であり、
図11の(a)は照射面Dに到達された光源装置20からの放射光の様子を、集光点Fに沿った方向の照射強度とともに示し、
図11の(b)は集光点Fを中心とする所定範囲での照射面Dでの照射強度を示し、
図11の(c)は各光源ユニット30A〜30Dからの放射光が集光点Fに至る様子を示している。
図11において、各光源ユニット30A〜30Dの各LED発光素子33a,33bから放射される光は、広がりを有する。このため、LED発光素子33aから放射される光は、第1反射面37a(37c)に反射されるだけでなく、一部は、第2反射面37b(37d)でも反射される。同様に、LED発光素子33bか放射される光は、第2反射面37b(37d)に反射されるものだけでなく、一部は、第1反射面37a(37c)に反射される。
各光源32において、LED発光素子33aから放射されて、第1反射面37a(37c)で反射される光と、LED発光素子33bから放射されて、第2反射面37b(37d)で反射される光が照射面Dに到達したときには、おおよそ集光点Fを中心とする狭い幅Wbの範囲(
図11の(a)に示される破線の楕円内の領域)に集光される。なお、照射面Dでの幅方向は、LED発光素子33aの配列方向(光源32のライン方向)に直交する方向である。
また、LED発光素子33aから放射されて、第2反射面37bで反射される光と、LED発光素子33bから放射されて、第1反射面37aで反射される光は、照射面Dに到達したときには、幅Wbの外側の領域Sa,Sbを照射することになる。
LED発光素子33a,33bからなる光源32が、ライン状に配置されるので、照射面Dに到達される光は、
図11の(a)及び(b)に示されるように、ライン方向に連なる集光点Fにピーク強度P1を有し、集光点Fから離れるにつれて、急激に光強度が減少する。
【0036】
また、光源装置20が受熱面41aに取り付けられた水冷ジャケット40には、蓋部45の一面の中央部に、端子台50(図示せず)が設けられている。このとき、端子台50は、蓋部45に形成された給水穴45a及び排水穴45bの間に配置される。なお、蓋部45の他面が、溝43を形成する水冷ジャケット本体41の壁の端面に支持される。
また、
図7に示されるように、環状の給水継手47が、その開口を蓋部45に形成された給水穴45a(
図6、
図9参照)に合わせて蓋部45に一体に突設され、環状の排水継手48が、その開口を蓋部45に形成された排水穴45b(
図9参照)に合わせて蓋部45に一体に突設されている。以上のように、各照射ユニット13が組み立てられる。
【0037】
そして、連結照射ユニット12が、
図4に示されるように、3つの照射ユニット13を仕切り反射板55を介して結合して得られる。この際、3つの照射ユニット13は、第1〜第4光源ユニット30A〜30Dが、光源32のライン方向に連なるように、仕切り反射板55を介して結合されている。さらに、配列方向の一端及び他端に配置される照射ユニット13の端面にも、他の仕切り反射板55が設けられている。
また、
図2及び
図3に示されるように、連結照射ユニット12を、支持枠14に支持し、ガラス板17及びフレーム15を支持枠14の一端に取り付け、背面カバー16を支持枠14の他端に取り付けることで、ライン光源本体11が得られる。
さらに、ライン光源本体11の側部に中継ユニット60を連結することで、紫外線硬化装置10が得られる。
【0038】
次いで、紫外線硬化装置10のシステム構成について説明する。
図12は紫外線硬化装置10のシステム構成図である。
中継ユニット60は、各連結照射ユニット12に含まれる3つの照射ユニット(図示せず)の端子台50に電気的に接続され、電源端子62に入力された電力を、LED発光素子33aに供給可能になっている。各光源32に電力が供給されると、LED発光素子33aからは、紫外線が放射される。
【0039】
また、詳細には図示しないが、前述したように、給水継手47と中継ユニット60に設けた冷却水入力ポート63とが、チューブ65により接続され、排水継手48と中継ユニット60に設けた冷却水出力ポート64とが、それぞれチューブ65により接続されている。これにより、加圧された冷却水を、冷却水入力ポート63に供給することで、冷却水が、水冷ジャケット40を経由して、冷却水出力ポート64から排水されるように、冷却水を循環させることが可能になっている。冷却水が水冷ジャケット40を経由しつつ循環することで、冷却水とLED発光素子33aとの間で熱交換が行われて、光源32が冷却される。
上述したように、給水穴45aの断面積は、複数の溝43と蓋部45とにより構成される複数の水路(流路)の断面積を足した値に等しくなっている。ここで、複数の流路の断面積を足した値が、小さすぎると流路を流れる水の量が少なくなって冷却効果が下がり、複数の流路の断面積を足した値が、大きすぎると、流路を流れる水の速度が遅くなって冷却効果が下がる。冷却水の流路の断面積を本願のように設定することで、効果的に光源32の熱を放熱できる。
【0040】
次いで、本願の効果を明確にするため、本願の光源ユニット30A,30Bと楕円面鏡73A,73Bを用いた比較例の光源ユニット70A,70Bにおける集光についてそれぞれ説明する。
図13は光源ユニット30A,30Bを用いる効果を、比較例の光源ユニット70A,70Bと対比して説明する図である。
図13に示されるように、比較例の光源ユニット70A,70Bのそれぞれは、支持基部22Aに代え、光源チップ74がアルミ基板31を介して取り付けられる支持基部72を有し、反射部材35A,35Bに代え、反射部材としての楕円面鏡73A,73Bを有する他は、第1及び第2光源ユニット30A,30Bと同様の構成を有する。なお、光源チップ74は、光源チップ34と同様の構成であり、発光点たる4つのLED発光素子を有する光源75を有している。
【0041】
光源ユニット70A,70Bは、互いに間隔をあけて対面配置される。即ち、楕円面鏡73A,73Bを互いに対面させて配置されている。また、楕円面鏡73A,73Bの間に、光源ユニット70A,70Bの支持基部72が、楕円面鏡73A,73Bの離間方向に並べて配置されている。各支持基部72の取付面72aは、楕円面鏡73A,73Bに対面させずに、楕円面鏡73A,73Bの高さ方向に直交させて配置されている。また、各光源ユニット70A,70Bの光源チップ74は、アルミ基板を介して支持基部72に取り付けられている。
光源ユニット70A,70Bでは、
図13に示されるように、光源75毎に、複数のLED発光素子から放射される光の主要部を、楕円面鏡73A,73Bで反射させて、集光させている。
【0042】
一方、第1及び第2光源ユニット30A,30Bを用いたものでは、第1及び第2光源ユニット30A,30Bごとに、光源32の前方に反射部材35Aが位置するように光源32を傾けて配置し、反射部材35Aの反射面37を、光源32に含まれるLED発光素子33a,33bごとに異なる曲率の第1及び第2反射面37a,37bにわけて構成している。なお、第1及び第2光源ユニット30A,30Bと比較例の光源ユニット70A,70Bは、照射距離WDを同じ値に設定され、また、反射部材35Aの高さと楕円面鏡73A,73Bの高さも同じ高さHに設定されている。
第1及び第2光源ユニット30A,30Bでは、複数のLED発光素子33a,33bから放射される光のほとんどを、反射面37で反射させることで、集光点Fに向かって効果的にLED発光素子33a,33bからの光を集光させている。このため、第1及び第2光源ユニット30A,30Bを対面配置した場合では、
図13に示す左右方向の設置スペースBを、比較例の光源ユニット70A,70Bの設置スペースAよりも狭く構成でき、装置の小型化が可能である。
【0043】
また、光源ユニット70A,70Bでは、楕円面鏡73A,73Bと対面させずに配置された光源75に含まれる複数のLED発光素子のそれぞれの光を反射するのに、それぞれ所定の曲率を有する楕円面鏡73A,73Bを対面配置させている。このため、光源75を構成する複数のLED発素子からの光は、楕円面鏡73A,73Bに向かう他、直接照射面Dに照射されるものの割合が高くなり、集光点Fに光を集光させにくくなる。また、楕円面鏡73A,73Bの反射面の基端部側は、
図13に示されるように、各光源75に含まれる複数のLED発光素子から放射される光を反射するのに利用できず、比較例の光源ユニット70A,70Bによる集光では、効率の面でも問題がある。また、楕円面鏡73A,73Bの代わりに放物面鏡を用い、集光させる方法も考えられるが、前述の楕円面鏡73A,73Bを対面配置した場合と同様な問題が生じる。
【0044】
この発明の光源ユニット30A〜30Dのそれぞれは、発光点たる複数のLED発光素子33a,33bを含む光源32と、光源32に対面し、光源32の光を反射し集光させる反射部材35A(35B)と、を備え、反射部材35A(35B)の反射面37は、当該反射面37に対応する焦点位置(集光点F)に配置される光源32が含む各LED発光素子33a,33bの放射光を反射させ、反射後の放射光の各々の光軸が、照射面Dの同一の集光点に集光させる曲率を有している。
従って、この発明の光源ユニット30A〜30Dによれば、略同一方向に光を放射する複数のLED発光素子33a(発光点)を有する光源32と対面する側だけに、反射部材35A(35B)を配置させるだけでよい。このため、光源ユニット30は、複数のLED発光素子のそれぞれの光を反射するのに、それぞれ所定の曲率を有する楕円面鏡73A,73Bを対面配置した比較例の光源ユニット70に比べて、コンパクトに構成できる。
また、光源75が反射部材としての楕円面鏡73A,73Bと対面しない比較例の光源ユニット70A,70Bでは、前述のように設置スペースAが広くなるうえ、焦点(集光点F)に複数のLED発光素子33aから照射される光を集光させにくくなる。
従って、本発明の光源ユニット30A,30Bは、設置スペースが同じであれば、比較例の光源ユニット70A(70B)に比べて、同列位置に配置された複数のLED発光素子33aから放射された光が、共通の集光点に密に集光されるので、装置を大型化させることなく、集光点Fでの光の強度(照度、光量)を増大させることができる。
また、光源ユニット30A,30Bによれば、光源ユニット70A,70Bに比較して、設置幅が抑えられるため、余裕のできた設置スペースに、光源ユニット30A,30Bと同種の光源ユニットを追加配置し、集光点Fでの光の強度(照度、光量)を更に増大させることができる。
【0045】
本発明の光源装置20では、第1及び第2光源ユニット30A,30Bを対面配置し、さらに、第3及び第4光源ユニット30C,30Dを第1及び第2光源ユニット30A,30Bに対して前後に配置されている。
即ち、光源装置20では、第1及び第2光源ユニット30A,30Bが対面配置されるとともに、対面配置した第1及び第2光源ユニット30A,30Bに対して、さらに、第3及び第4光源ユニット30C,30Dが前後に配置されている。
これにより、集光点Fでの光強度を一層増大させることができる。
また、第1〜第4光源ユニット30A〜30Dのそれぞれでは、第1及び第2反射面37a,37b(37c,37d)により有効に反射される光の設定範囲が広くなる。これにより、例えば、受熱面41aに対して、第1及び第2反射面37c,37dに反射された光の光軸がとる角度が大きくなるように、適宜第1及び第2反射面37c,37dの曲率を設定することで以下の効果が得られる。
即ち、集光点Fでの光強度の増強のため、複数の光源ユニット30A〜30Dを用いる場合、互いの光源ユニット30A〜30Dの間の配列間隔を短くすることができる。
また、紫外線硬化型の枚葉印刷機1において、本願のコンパクトで集光力の高い紫外線硬化装置10を用いることで、枚葉印刷機1の限りある設置スペースの中に紫外線硬化装置10を効果的に設置でき、枚葉紙4に印刷されたニス及びインキを硬化するのに必要な紫外線の十分な強度を確保できる。
【0046】
また、共通の支持基部22Aに形成された一対の取付面24a,24bに、第1及び第2光源ユニット30A,30Bを構成する光源チップ34を取り付けているので、支持基部22Aの部材コストを削減できるとともに、光源装置20の組み立て作業の労力を削減できる。
また、前後に配置される光源ユニット30A,30C(30B,30D)では、後ろに配置される光源ユニット30C(30D)の反射面37からの反射光が、前に配置される光源ユニット30A(30B)の反射部材35Aに遮られない位置関係にあるので、各光源ユニット30C,30Dからの光を最大限に集光点Fに集めることができる。
【0047】
なお、光源装置20は、光源ユニット30が対面配置されるとともに、対面配置した光源ユニット30に対してさらに、光源ユニット30が、前後に配置されるものとして説明したが、例えば、光源ユニット30を対面配置しなくても、光源ユニット30を同じ方向に向けて前後に配置するだけのものでもよい。
また、光源32は、2行2列に配列された4つのLED発光素子33aを含むものとして説明したが、光源32はこのものによらず、発光点としてのLED発光素子33aを複数含むものであればよい。この場合でも、反射部材35A,35Bの反射面37を、同列位置に配置されるLED発光素子33aごとに、LED発光素子33aからの光を所定の集光点Fに集光させる曲率を有するものを用いればよい。
【0048】
また、LED発光素子33aは、紫外線を放射するものとして説明したが、このものに限定されず、赤外光や可視光を放射するものでもよい。
例えば、LED発光素子から赤外光を照射させるものは、例えば、フィルム製造の分野に用いることができる。
ここで、フィルム製造の分野では、フィルムの表面に赤外光を照射して、フィルムを加熱する集光型のハロゲンヒータを用いることが知られている。ハロゲンヒータは、ハロゲンランプと、ハロゲンランプからの光を反射させて、楕円面鏡における赤外光の照射口から所定の照射距離だけ離れた焦点に集光させる楕円面鏡とを備えている。例えば、ハロゲンヒータは、巻胴から引き出されるフィルムの表面に、楕円面鏡の焦点位置を合わせて配置されて、焦点に集光させた赤外光によりフィルムを加熱するものである。
本実施形態の光源ユニット30A〜30Dや、光源ユニット30A〜30Dを有する光源装置20において、紫外線を放射するLED発光素子33a,33bに代え、赤外光を放射するものを用いたものを、上記のハロゲンヒータに代えて利用することができる。