(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.第1の実施形態>
(1−1.自動処理装置の構成)
自動処理装置は、例えば現金処理装置であり、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置される。自動処理装置は、例えば硬貨や紙幣の入出金処理等を行う。
【0023】
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る自動処理装置1の構成例について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る自動取引装置1の構成例を示す図である。なお、
図1(a)が自動処理装置1の斜視図であり、
図1(b)が
図1(a)のX方向から自動処理装置1を見た図である。
【0024】
自動処理装置1は、
図1に示すように、装置本体10と、移動ユニット20と、キャスタ30と、を有する。
【0025】
装置本体10は、内部に各種のユニットを有し、各種の処理等を行う。装置本体10は、床面3に載置されている。また、装置本体10には、開閉可能な扉12が設けられている。
【0026】
移動ユニット20は、自動処理装置1の一の処理(例えば、硬貨や紙幣の入出金処理)を行うものであり、装置本体10に対して所定方向(
図1のY方向)に移動可能に取り付けられている。例えば、作業者は、移動ユニット20を引き出して、硬貨や紙幣の補充等を行う。移動ユニット20は、扉12が開いた際に、装置本体10に設けられたスライドレール14に沿って移動可能である。
【0027】
キャスタ30は、移動ユニット20の底部に取り付けられる。キャスタ30は、移動ユニット20の移動の際に床面3に接触可能な車輪を有する。なお、キャスタ30は、移動ユニット20が装置本体10に収納されている際には床面3に接触せず、移動ユニット20が装置本体10から取り出した際に床面3に接触する構成となっている。かかるキャスタ30により、移動ユニット20の移動に伴い自動処理装置1の重心の位置が変位しても、自動処理装置1が倒れることを防止できる。
【0028】
ところで、自動処理装置1が載置される床面3にひずみが発生することがある。このため、移動ユニット20を引き出した時に、床面3のひずみに起因してキャスタ30の車輪が床面3に接触しないことを防止するために、キャスタ30の高さを再調整できる位置調整機構が設けられている。
【0029】
(1−2.比較例に係るキャスタの構成)
本実施形態に係るキャスタ30の構成を説明する前に、
図2を参照しながら、比較例に係るキャスタ900の構成例について説明する。
図2は、比較例に係るキャスタ900の構成例を示す斜視図である。
【0030】
図2に示すように、キャスタ900は、車輪902と、支持部材904と、を有する。なお、
図2に示すキャスタ支柱930は、移動ユニット20に固定されている。キャスタ支柱930は、基部931からコの字状に曲げられた部材である。基面931には、複数のネジ穴932が千鳥状に配列するように形成されている。
【0031】
キャスタ900の車輪902は、移動ユニット20の移動に伴い、床面3上を回転する。車輪902は、軸903を中心に回転する。車輪902は、軸903を介して支持部材904に回転可能に支持されている。
【0032】
支持部材904は、基部905と、基部905からコの字状に曲げられた曲げ部906と、を有する。基部905には、ネジ910を通すための通し穴907a、907bが形成されている。通し穴907aは円形状の穴であり、通し穴907bは矩形状の穴である。曲げ部906は、車輪902の軸903を支持する。そして、基部905の通し穴907a、907bを通過したネジ910がネジ穴932と螺合することにより、キャスタ900がキャスタ支柱930に固定される。
【0033】
比較例においては、上述した複数の通し穴907a、907bと、複数のネジ穴932との組み合わせにより、キャスタ900の移動ユニット20に対する固定位置を調整できる。
【0034】
図3は、キャスタ900の移動ユニット20に対する固定位置を説明するための図である。
図3には、キャスタ900の固定位置として、3つの位置が示されている。3つの固定位置では、それぞれ、3つのネジ910が通る通し穴907a、907bと、3つのネジ910が螺合するネジ穴932とが異なる。
【0035】
そして、比較例においては、キャスタ900の固定位置を調整する場合には、3つのネジ910を取り外す必要があるため、作業が煩雑となる。特に、キャスタ900が設けられた移動ユニット20の底部での作業に際に、作業者は姿勢を低くする必要があるため、作業性が低下する。さらに、作業者はキャスタ支柱930から分離したキャスタ900を支える必要があるため、所望のネジ穴932と通し穴907a、907bとを合わせる作業は、一層困難なものとなる。
【0036】
これに対して、本実施形態に係るキャスタ30は、詳細は後述するが、上述した問題を解決する構造を採用しており、キャスタ30の固定位置の調整時の作業性を向上させることが可能である。
【0037】
(1−3.第1の実施形態に係るキャスタの構成)
図4を参照しながら、第1の実施形態に係るキャスタ30及びキャスタ支柱50の構成例について説明する。
図4は、第1の実施形態に係るキャスタ30及びキャスタ支柱50の構成例を示す斜視図である。なお、
図4では、キャスタ30をキャスタ支柱50に取り付ける前の状態が示されている。
【0038】
(キャスタ支柱50)
キャスタ支柱50は、移動ユニット20に固定されており、キャスタ30を移動ユニット20に取り付ける取付部材である。キャスタ支柱50は、
図4に示すように、基部51と、基部51からコの字状の曲げられた曲げ部52と、を有する。
【0039】
基部51には、ネジ穴51aと、突起51bとが形成されている。ネジ穴51aは、2つ形成されており、締結部材の一例であるネジ70と螺合する。ネジ70は、作業者によって諦緩可能であり、ネジ70が締まった場合にキャスタ30がキャスタ支柱50に固定される。突起51bは、2つのネジ穴51aのうちの中央側に位置するネジ穴51aの両側に、キャスタ30へ向かって突出するように形成されている。
【0040】
曲げ部52には、キャスタ30のキャスタ支柱50に対する所定の位置を示す指標部の一例である目印穴52a、52bが形成されている。作業者は、キャスタ30をキャスタ支柱50に固定する際に、キャスタ30の位置に応じて目印穴52a、52bの位置を見ることで、キャスタ30の位置を把握できる。ここで、例えば、目印穴52aが支持部材34の曲げ部36の上面36aと同じ位置に位置する場合を、キャスタ30の第1の標準位置とし、目印穴52bが上面36aと同じ位置に位置する場合を、キャスタ30の第2の標準位置とするものとする。この際に、作業者は、キャスタ30が第1の標準位置又は第2の標準位置に位置するように、目印穴52a、52bを見ながら調整できる。なお、2つの標準位置がある理由は、装置本体10と床面3の間に敷板を設ける場合と設けない場合とを区別するためである。
【0041】
(キャスタ30)
キャスタ30は、
図4に示すように、車輪32と、支持部材34とを有する。車輪32は、移動ユニット20の移動に伴い、床面3(
図1)上を回転する。車輪32は、軸33を中心に回転する。車輪32は、軸33を介して支持部材34に回転可能に支持されている。
【0042】
支持部材34は、
図4に示すように、基部35と、曲げ部36とを有する。基部35は、キャスタ支柱50の基部51に対向する。曲げ部36は、基部35からコの字状に曲げられており、車輪32の軸33を支持する。
【0043】
また、基部35には、ネジ70を通すための通し穴35aと、突起51bが嵌合する複数の嵌合穴35bとが、形成されている。通し穴35aは、上下方向に沿って形成された長穴であり、2つ有する。嵌合穴35bは、円形状の穴であり、1つの突起51bに対して5つ形成されている。
【0044】
そして、突起51bが、対応する5つの嵌合穴35bのいずれかと嵌合することにより、キャスタ30の移動ユニット20に対する位置を調整できる。すなわち、第1の実施形態では、突起51bと嵌合穴35bが、キャスタ30のキャスタ支柱50に対する上下方向の位置を調整する位置調整機構を構成する。また、ネジ70を通し穴35aを通してネジ穴51aと螺合することにより、位置が調整されたキャスタ30が固定される。なお、突起51bを着色した場合には、突起51bが嵌合する嵌合穴35bを容易に特定することができる。
【0045】
以下において、
図5を参照しながら、キャスタ支柱50に対して固定されたキャスタ30の位置を再調整して、再度固定する流れについて説明する。
図5は、ネジ70が締まっている場合と緩まった場合の、突起51bと嵌合穴35bの関係を説明するための図である。
【0046】
ここでは、
図5(a)に示すように、キャスタ支柱50にキャスタ30を支持する支持部材34が一の固定位置で固定されているものとする。かかる状態から、ネジ70を外さずに緩める(具体的には、少なくとも突起51bの高さ分だけ緩める)と、
図5(b)に示すように突起51bを嵌合穴35bから外すことができる。これにより、キャスタ30を支持する支持部材34を上下方向に移動することができるので、ネジ70を取り外さずにキャスタ30の位置を再調整できる。
【0047】
位置の再調整後に突起51bを嵌合穴35bに嵌合させることにより、支持部材34の位置が決まる。その後にネジ70を締めることにより、支持部材34をキャスタ支柱50に固定できる。
【0048】
(1−4.第1の実施形態の有効性)
上述した第1の実施形態によれば、突起51bと複数の嵌合穴35bが構成する位置調整機構は、ネジ70が締まった場合にはキャスタ30の上下方向の移動を制限し、ネジ70が取り外されずに緩まった場合にはキャスタ30の上下方向の移動を許容する。具体的には、ネジ70が締まった場合には、突起51bが複数の嵌合穴35bのいずれかと嵌合し、ネジ70が取り外されずに緩まった場合には、突起51bが複数の嵌合穴35bのいずれとも嵌合しない。
【0049】
かかる場合には、ネジ70が取り外されずに緩まった場合にキャスタ30の上下方向への移動が許容されるので、作業者は、ネジ70を取り外さずにキャスタ39の位置を容易に再調整できる。これにより、床面3にひずみが発生した場合でも、作業者は、支持部材34に支持された車輪32を床面3に接触させて、突起51bを嵌合穴36bに嵌合させることにより、容易にキャスタ30の位置を再調整できる。特に、作業者は、支持部材34とキャスタ支柱50を直に見る必要が無くなるので、低姿勢であっても作業性の低下を抑制できる。
【0050】
さらに、作業者は、キャスタ30の位置の再調整後も、緩まったネジ70を再度締めるだけでキャスタ30を移動ユニット20に固定できる。従って、キャスタ30の位置を再調整して移動ユニット20に固定する作業を作業者が容易に行うことが可能となる。
【0051】
(1−5.変形例)
上記では、位置調整機構を構成する突起51bがキャスタ支柱50に設けられ、複数の嵌合穴35bが支持部材34に設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、
図6に示すように、突起が支持部材34に設けられ、複数の嵌合穴がキャスタ支柱50に設けられていることとしても良い。かかる変形例においても、ネジ70を外さずに、支持部材34の位置を調整した後に固定できる。
【0052】
図6は、第1の実施形態に係るキャスタ30及びキャスタ支柱50の構成の変形例を示す図である。変形例に係る支持部材34の基部35には、1つの通し穴38aと、通し穴38aの両側に位置する複数(ここでは、4つ)の突起38bとが、形成されている。複数の突起38bは、キャスタ支柱50に向かって突出している。変形例に係るキャスタ支柱50の基部51には、1つのネジ穴55aと、ネジ穴55aの両側に位置し4つの突起38bが嵌合可能な複数の嵌合穴55bとが、形成されている。
【0053】
<2.第2の実施形態>
図7を参照しながら、第2の実施形態に係るキャスタ130及びキャスタ支柱150の構成例について説明する。
図7は、第2の実施形態に係るキャスタ130及びキャスタ支柱150の構成例を示す斜視図である。
【0054】
キャスタ支柱150は、
図7に示すように、ネジ穴151と、支柱側噛合部152と、を有する。ネジ穴151は、2つ形成されている。支柱側噛合部152は、キャスタ支柱150の両側部に上下方向(
図7のZ方向)に沿って形成されたノコギリ状の歯を有する。
【0055】
キャスタ130は、
図7に示すように、車輪132と、車輪132の軸133を支持する支持部材134と、を有する。支持部材134の基部135には、ネジ170の通し穴135aが形成されている。また、軸133を支持する支持部材134の曲げ部136の内側には、支柱側噛合部152と噛み合うキャスタ側噛合部137が形成されている。キャスタ側噛合部137は、支柱側噛合部152と同様に、上下方向に沿って形成されたノコギリ状の歯を有する。支柱側噛合部152とキャスタ側噛合部137とが噛み合った状態が維持されることで、キャスタ130の移動ユニット20に対する位置が定まる。なお、キャスタ側噛合部137が第1噛合部に該当し、支柱側噛合部152が第2噛合部に該当する。
【0056】
このように、第2の実施形態では、キャスタ側噛合部137と支柱側噛合部152が位置調整機構を構成する。そして、ネジ170が締まった場合には、キャスタ側噛合部137と支柱側噛合部152が噛み合い、ネジ170が取り外されずに緩まった場合には、キャスタ側噛合部137と支柱側噛合部152の噛み合いが外れる。
【0057】
第2の実施形態では、更に、付勢部材の一例であるバネ160と、カラー162と、プレート164と、が設けられている。バネ160は、ネジ170の締緩に応じて伸縮する。そして、バネ160は、支柱側噛合部152とキャスタ側噛合部137を近づかせる方向に付勢力を作用する(押し付ける)機能を有する。カラー162は、ネジ170の締め付けに起因する支持部材134の変形を防止するための機能を有する。プレート164は、カラー162とネジ170を通す通し穴135aにバネ160が嵌り込むことを防止するための台座の機能を有する。また、プレート164には、カラー162とネジ170を通す通し穴165が形成されている。
【0058】
以下において、キャスタ支柱150に対して固定されたキャスタ130の位置を再調整し、再度固定する流れについて説明する。
【0059】
ここでは、キャスタ支柱150に対してキャスタ130を支持する支持部材134が一の固定位置で固定されているものとする。かかる状態から、ネジ170を外さずに緩める(具体的には、少なくとも2つの噛合部137、152の歯の高さ分だけ緩める)と、支柱側噛合部152とキャスタ側噛合部137とが噛合を外す方向(
図7のY方向)に移動するので、支持部材134を上下方向(
図7のZ方向)へ移動させることができる。これにより、ネジ170を外さずにキャスタ130の位置を再調整できる。
【0060】
位置の再調整後にネジ170を締めると、支柱側噛合部152とキャスタ側噛合部137は、バネ160の押し付け力に受けて噛み合う。これにより、支持部材134の位置決めがされると共に、支持部材134がキャスタ支柱150に固定されることになる。
【0061】
上述した第2の実施形態によれば、支柱側噛合部152とキャスタ側噛合部137が噛み合うことで、キャスタ130の位置決めができると共に、ネジ170を外さずに緩めるだけで支持部材134の位置を調整できる。これにより、床面3にひずみが発生した場合でも、作業者は、容易にキャスタ130の位置を再調整できる。
【0062】
また、第2実施形態によれば、支柱側噛合部152とキャスタ側噛合部137は、バネ170に押し付けられて噛みやすくなるので、ネジ170を締める作業性を向上させることができる。
【0063】
(変形例)
次に、
図8及び
図9を参照しながら、第2の実施形態に係るキャスタ130及びキャスタ支柱150の構成の変形例について説明する。
【0064】
図8は、第2の実施形態に係るキャスタ130及びキャスタ支柱150の構成の第1変形例を示す図である。第1変形例では、キャスタ支柱150と支持部材134に噛合部が形成されておらず、キャスタ支柱150と支持部材134の間に設けられる第1噛合プレート180及び第2噛合プレート190に噛合部が形成されている。
【0065】
第1噛合プレート180は、支柱側噛合部181と、位置決め穴182と、通し穴183と、を有する。支柱側噛合部181は、上下方向に沿ってノコギリ歯状に形成されている。位置決め穴182は、キャスタ支柱150の突起155と嵌合する。突起155が位置決め穴182と嵌合することで、第1噛合プレート180のキャスタ支柱150に対して位置決めされる。通し穴183は、キャスタ支柱150のネジ穴154に対応する位置に形成され、ネジ穴154と螺合するネジ170を通す。
【0066】
第2噛合プレート190は、キャスタ側噛合部191と、位置決め穴192と、通し穴193と、を有する。キャスタ側噛合部191は、上下方向に沿ってノコギリ歯状に形成されている。そして、キャスタ側噛合部191と支柱側噛合部181とが噛み合った状態が維持されることで、キャスタ130が移動ユニット20に対して位置決めされる。位置決め穴192は、支持部材134の突起135bと嵌合する。突起135bが位置決め穴192と嵌合することで、第2噛合プレート190が支持部材134に対して位置決めされる。通し穴193は、支持部材134の通し穴135aに対応する位置に形成され、ネジ穴154と螺合するネジ170を通す。
【0067】
図9は、第2の実施形態に係るキャスタ130及びキャスタ支柱150の構成の第2変形例を示す図である。第2変形例では、支持部材134の曲げ部136にキャスタ側噛合部137を形成する一方で、支柱側噛合部196が形成されたプレート195をキャスタ支柱150の曲げ部153に取り付けている。そして、キャスタ側噛合部137と支柱側噛合部196とが噛み合った状態が維持されることで、キャスタ130の移動ユニット20に対する位置が定まる。
【0068】
そして、第1変形例及び第2変形例においても、
図7に示す構成と同様に、ネジ170を外さずに緩めた状態で支持部材134を上下方向に移動させることができる。これにより、床面3にひずみが発生した場合でも、作業者は、容易にキャスタ130の位置を再調整できる。
【0069】
なお、第1変形例及び第2変形例においては、
図7に示すバネ160、カラー162、プレート164を示していないが、第1変形例及び第2変形例においてもバネ160等を設けても良い。これにより、支柱側噛合部とキャスタ側噛合部が、バネ160に押し付けられて噛み易くなる。また、前述した第1の実施形態において、バネ160等を設けても良い。
【0070】
<3.第3の実施形態>
図10を参照しながら、第3の実施形態に係るキャスタ230及びキャスタ支柱250の構成例について説明する。
図10は、第3の実施形態に係るキャスタ230及びキャスタ支柱250の構成例を示す斜視図である。
【0071】
第3の実施形態では、
図10に示すように、支持部材234とキャスタ支柱250の各々には、互いに対向する方向に突出した突起235b及び突起255が形成されている。また、キャスタ230の突起235bとキャスタ支柱250の突起255との間に、弾性部材の一例であるゴムシート280を設けている。突起235bと突起255が、第1突起と第2突起に該当する。
【0072】
そして、ネジ270が締まった場合には、突起235b及び突起255がゴムシート280に食い込み、支持部材234のキャスタ支柱250に対して固定される。一方で、ネジ270が取り外されずに緩まった(具体的には、少なくとも突起235b及び突起255の高さ分だけ緩まった)場合には、突起235b及び突起255のゴムシート280に対する食い込みが開放され、支柱部材234が上下方向に移動可能となる。このように、第3の実施形態では、突起235bと突起255とゴムシート280が、位置調整機構に該当する。
【0073】
ネジ270は、支持部材234の通し穴235a、及びゴムシート280の通し穴281を通った後に、キャスタ支柱250のネジ穴254と螺合することで、キャスタ230がキャスタ支柱250に固定される。
【0074】
そして、第3の実施形態においても、ネジ270を外さずに緩めた状態で支持部材234を上下方向に移動させることができるので、作業者は容易にキャスタ230の位置を再調整できる。また、突起235bと突起255がゴムシート280に食い込む構成をすることで、摩擦力を大きくできるので、キャスタ230のキャスタ支柱250に対する位置決めをより細かく設定できる。
【0075】
<4.第4の実施形態>
図11及び
図12を参照しながら、第4の実施形態に係るキャスタ330及びキャスタ支柱350の構成例について説明する。
図11は、第4の実施形態に係るキャスタ330及びキャスタ支柱350の構成例を示す図である。
図12は、移動部材380の構成を示す斜視図である。なお、
図11(b)は、
図11(a)の矢印Aの方向からキャスタ330を見た図である。
【0076】
第1〜第3の実施形態では、位置調整機構である突起と噛合部を用いてキャスタの位置決めをしていたが、第4の実施形態では、突起や噛合部の代わりに、
図12に示す移動部材380を用いる。
【0077】
移動部材380は、上下方向(
図11のZ方向)と交差する水平方向(Y方向)に沿ってキャスタ支柱350に対して移動(具体的には、スライド)することにより、キャスタ330の位置を調整するため部材である。移動部材380は、コの字状の部材であり、キャスタ支柱350の周囲に取り付けられる。移動部材380は、長穴381と、斜面382と、を有する。
【0078】
長穴381には、キャスタ支柱350の曲げ部352に形成された2つの突起354が嵌合する。また、長穴381は、キャスタ支柱350のネジ穴に螺合するネジ372を通す通し穴としても機能する。そして、ネジ372を緩めた(具体的には、少なくとも突起354の高さ分だけ緩めた)状態で移動部材380を水平方向(
図11のY方向)に移動させることにより、移動部材380の位置が変化する。なお、移動ユニット20からキャスタ支柱350に作用する荷重は、長穴381と突起354で受けるため、ネジ372の締め付け力だけで移動部材380をキャスタ支柱350に固定できる。
【0079】
斜面382は、支持部材334の曲げ部の斜面になっている上面337と接触可能である。第4の実施形態では、上面337を斜面382に突き当てるように支持部材340を上下方向に移動させることで、キャスタ330の位置を調整している。なお、上面337が第1斜面に該当し、斜面382が第2斜面に該当する。
【0080】
支持部材340は、キャスタ支柱350のネジ穴と螺合するネジ370を通す通し穴335aを有する。ネジ370を緩めると、支持部材340は通し穴335aに沿って上下方向(
図11のZ方向)に移動可能である。なお、キャスタ330とキャスタ支柱350には、位置決め用の突起と嵌合穴が形成されていない。上記の構成により、第4の実施形態では、ネジ370及びネジ372が取り外されずに緩まった場合に、移動した移動部材380の斜面382に対して上面337が接触するように、支持部材340の上下方向の移動が許容される。なお、ネジ370が第1締結部材に該当し、ネジ372が第2締結部材に該当する。
【0081】
以下において、キャスタ支柱350に対して固定されたキャスタ330の位置を再調整し、再度固定する流れについて説明する。
【0082】
ここでは、キャスタ支柱350に対してキャスタ330を支持する支持部材334が一の固定位置で固定されているものとする。かかる状態から、作業者は、まず、ネジ370及びネジ372を緩める。その後、作業者は、移動部材380を水平方向において所望の位置に移動させる。そして、作業者は、ネジ372を締める。これにより、移動部材380の位置が固定される。
【0083】
その後、作業者は、移動部材380の斜面382に対して支持部材334の上面337が突き当たるように、支持部材334を上下方向に移動させる。そして、作業者は、ネジ370を締める。これにより、キャスタ330の位置が固定される。
【0084】
第4の実施形態によれば、水平方向に移動する移動部材380の斜面382に対して、上面337を突き当てるように支持部材334を上下方向に移動させることにより、ネジ370及びネジ372を外さずにキャスタ330の位置をより細かく調整できる。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。