【実施例】
【0024】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
【0025】
実施例1
安中散末 378.0g
芍薬甘草湯エキス末 75.6g
マクロゴール6000 68.4g
タルク 7.2g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.3〜0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.10%、粒度分布200M(75μm)以下15.6%、粗粒率30M(500μm)以上2.4%、平均粒子径187μmであった。
【0026】
実施例2
安中散末 378.0g
芍薬甘草湯エキス末 75.6g
マクロゴール6000 74.7g
タルク 7.2g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.3〜0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.29%、粒度分布200M(75μm)以下16.0%、粗粒率30M(500μm)以上4.4、平均粒子径182μm%であった。
【0027】
実施例3
安中散末 336.0g
芍薬甘草湯エキス末 67.2g
マクロゴール6000 100.8g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.4〜0.6m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.41%、粒度分布200M(75μm)以下2.4%、粗粒率30M(500μm)以上0.9%、平均粒子径242μmであった。
【0028】
実施例4
安中散末 279.9g
四逆散乾燥エキス末 173.3g
マクロゴール6000 76.0g
タルク 4.7g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.3〜0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.64%、粒度分布200M(75μm)以下8.2%、粗粒率30M(500μm)以上5.5%、平均粒子径205μmであった。
【0029】
実施例5
安中散末 350.0g
芍薬甘草湯エキス末 70.0g
ショ糖脂肪酸エステル(S−970) 74.2g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.36〜0.63m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.80%、粒度分布200M(75μm)以下17.2%、粗粒率30M(500μm)以上12.5%、平均粒子径119μmであった。
【0030】
実施例6
安中散末 378.0g
芍薬甘草湯エキス末 75.6g
ステアリン酸 74.7g
タルク 6.3g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度100℃、給気風量0.3〜1.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.54%、粒度分布200M(75μm)以下4.8%、粗粒率30M(500μm)以上14.5%、平均粒子径151μmであった。
【0031】
実施例7
安中散末 378.0g
芍薬甘草湯エキス末 75.6g
ショ糖脂肪酸エステル(J−1801) 74.7g
タルク 6.3g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.3〜0.72m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.52%、粒度分布200M(75μm)以下7.5%、粗粒率30M(500μm)以上18.8%、平均粒子径177μmであった。
【0032】
実施例8
安中散末 3079.9g
芍薬甘草湯エキス末 616.0g
マクロゴール6000 608.7g
タルク 51.3g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:WSG−2;パウレック社製)に充填し、給気温度95℃、給気風量0.7m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.78%、粒度分布200M(75μm)以下8.2%、粗粒率30M(500μm)以上0.0%、平均粒子径168μmであった。
【0033】
実施例9
安中散末 1540.0g
芍薬甘草湯エキス末 308.0g
マクロゴール6000 304.4g
タルク 25.7g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FL−mini;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.5〜0.7m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.79%、粒度分布200M(75μm)以下11.0%、粗粒率30M(500μm)以上0.0%、平均粒子径176μmであった。
【0034】
実施例10
安中散末 3079.9g
芍薬甘草湯エキス末 616.0g
マクロゴール6000 608.7g
タルク 51.3g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FD−3S;パウレック社製)に充填し、給気温度95℃、給気風量0.7m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.10%、粒度分布200M(75μm)以下11.7%、粗粒率30M(500μm)以上0.0%、平均粒子径145μmであった。
【0035】
実施例11
安中散末 266.0g
芍薬甘草湯エキス末 53.2g
マクロゴール6000 52.6g
タルク 4.4g
上記成分を秤量後、混合し、転動流動層造粒乾燥機(商品名:MP−01;パウレック社製)に充填し、給気温度90℃、撹拌翼回転数250rpm、給気風量0.3m
3/分の条件にて転動流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.21%、粒度分布200M(75μm)以下11.0%、粗粒率30M(500μm)以上0.1%、平均粒子径158μmであった。
【0036】
実施例12
安中散末 336.0g
芍薬甘草湯エキス末 81.6g
マクロゴール6000 73.6g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.4〜0.47m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.28%、粒度分布200M(75μm)以下14.5%、粗粒率30M(500μm)以上5.0%、平均粒子径184μmであった。
【0037】
実施例13
安中散末 264.0g
四逆散乾燥エキス末 190.7g
マクロゴール6000 51.3g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FLO−1;フロイント社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.3〜0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.09%、粒度分布200M(75μm)以下11.9%、粗粒率30M(500μm)以上1.4%、平均粒子径182μmであった。
【0038】
実施例14
安中散末 10080.0g
芍薬甘草湯エキス末 2856.0g
マクロゴール6000 2408.0g
タルク 840.0g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:FD−S−3;パウレック社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量40m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.47%、粒度分布200M(75μm)以下8.5%、粗粒率30M(500μm)以上0.5%、平均粒子径183μmであった。
【0039】
実施例15
カンゾウ末 250.0g
マクロゴール6000 50.0g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:MP−01;パウレック社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.17%、粒度分布200M(75μm)以下6.2%、粗粒率30M(500μm)以上0.3%、平均粒子径169μmであった。
【0040】
実施例16
芍薬甘草湯エキス末 294.0g
マクロゴール6000 22.4g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:MP−01;パウレック社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.26%、粒度分布200M(75μm)以下0.8%、粗粒率30M(500μm)以上8.2%、平均粒子径237μmであった。
【0041】
実施例17
芍薬甘草湯エキス末 294.0g
マクロゴール6000 9.1g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:MP−01;パウレック社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.17%、粒度分布200M(75μm)以下10.2%、粗粒率30M(500μm)以上2.7%、平均粒子径145μmであった。
【0042】
実施例18
安中散末 2520.0g
芍薬甘草湯エキス末 714.0g
マクロゴール4000 602.0g
タルク 210.0g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:WSG−2;パウレック社製)に充填し、給気温度80℃、給気風量1.4m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.01%、粒度分布200M(75μm)以下19.4%、粗粒率30M(500μm)以上1.3%、平均粒子径114μmであった。
【0043】
比較例1
安中散末 714.0g
芍薬甘草湯エキス末 142.8g
マクロゴール6000 129.2g
タルク 13.6g
上記成分を秤量後、混合し、加温機能付練合機(商品名:品川ミキサー;品川工業所製)に充填し、ヒータージャケット温度90℃、撹拌翼回転を低速モードの条件にて練合させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量2.64%、粒度分布200M(75μm)以下24.3%、粗粒率30M(500μm)以上29.7%、平均粒子径112μmであった。
【0044】
比較例2
安中散末 189.0g
芍薬甘草湯エキス末 45.9g
タルク 27.0g
乳糖 45.0g
デンプン 22.5g
結晶セルロース 11.3g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:MP−01;パウレック社製)に充填し、ヒドロキシプロピルセルロース13.0gを精製水173.0gに溶解した結合液を2流体スプレーノズルにて噴霧しながら、給気温度80℃、給気風量0.3〜0.6m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量1.28%、粒度分布200M(75μm)以下12.7%、粗粒率30M(500μm)以上0%、平均粒子径147μmであった。
【0045】
比較例3
芍薬甘草湯エキス末 294.0g
マクロゴール6000 3.5g
上記成分を秤量後、混合し、流動層造粒乾燥機(商品名:MP−01;パウレック社製)に充填し、給気温度90℃、給気風量0.5m
3/分の条件にて流動させながら加熱して造粒した後、500μmの篩で分級し、分級した篩上品は500μmの篩にて強制篩過して分級篩過品と混合し、製剤粒子を得た。
得られた製剤粒子は、乾燥減量0.42%、粒度分布200M(75μm)以下23.1%、粗粒率30M(500μm)以上2.2%、平均粒子径125μmであった。
【0046】
実施例1〜18及び比較例1〜3で得られた製剤粒子の物性を下表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1より、流動層造粒乾燥機で造粒した実施例1〜18及び比較例2、3では、乾燥減量は低値で、残留水分が少ないことを示すとともに、粒度分布についても200M以下の微粉量及び30M以上の粗大粒子量の割合が少なく、シャープな粒度分布を示していることが分かる。
一方、加温機能付練合機で造粒した比較例1では、乾燥減量は実施例に比して高値となり、残留水分が比較的多いことを示すとともに、粒度分布についても200M以下の微粉量及び30M以上の粗大粒子量の割合が多く、ブロードな粒度分布を示していることが分かる。
また、バインダーとしてヒドロキシプロピルセルロースを使用し、普通に流動層造粒した比較例2の製剤粒子に比し、混合粉体にマクロゴールを配合し、マクロゴールの融点以上の温度で流動層造粒した実施例1〜18の製剤粒子は粗大粒子の発生が抑えられ、粗大粒子を粗砕する工程を短縮できたため、作業効率が大幅に向上した。
【0049】
試験例1 水分散性試験
(1)方法
実施例12の製剤粒子1.0g及び比較例2の製剤粒子1.2gを100mLの精製水を入れたガラスビーカーに投入する。水面上から製剤粒子が無くなり、全て精製水中に分散するまでの時間を測定した。結果を下表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
(2)結果
表2より、比較例2の製剤粒子は水への分散が悪く、服用時に口中でべたつきを感じるため、服用性に優れた医薬品として供するには適当ではないと考えられる。
実施例12の製剤粒子は水への分散が良く、服用時に口中でべたつきを感じにくいため、服用性に優れた医薬品として供するには適当と考えられる。
【0052】
(3)考察
試験例1の結果より、比較例2の製剤粒子に比し、実施例12の製剤粒子では、水への分散性に優れた製剤とできた。これは、比較例2では結合剤であるヒドロキシプロピルセルルオスを水に溶解して噴霧しながら湿式造粒したことから、製剤粒子表面に結合剤が多く分布するため、水へ投入した際に製剤粒子表面が粘性を有するため水への分散性が悪くなる。一方、実施例12のように、低融点物質と混合しながら加熱して造粒することで、製剤粒子表面に低融点物質が偏在することなく均一に分布するため水への分散性が良く、服用性に優れた製剤粒子を提供できると考えられる。
【0053】
試験例2 服用性試験
(1)方法
実施例12の製剤粒子1.0g及び比較例2の製剤粒子1.2gを口中に含んだ後に、水を飲んで服用した。
【0054】
(2)結果
実施例12は、口中ですみやかに分散し、口どけが良かった。一方、比較例2は口腔内でのべたつきを感じ、実施例と比較して口どけは良くなかった。
【0055】
(3)考察
試験例1、2の結果より、比較例2の製剤粒子に比し、実施例12の製剤粒子では、水への分散性に優れた製剤とできたことから、服用性試験において優れた口どけを達成し、服用性に優れた医薬品として供するには適当と考えられる。
【0056】
試験例3 成分定量試験
(1)方法
実施例1及び比較例1で調製した製剤粒子3gを用い、ペオニフロリンの成分含量を、高速液体クロマトグラフ(Waters社製)を用いて調べた。結果を下表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
(2)結果
表3より、比較例1では経時的に成分が分解してしまい、医薬品に用いる製剤粒子としては適当ではないと考えられる。
一方、実施例1では、経時的な成分の分解は確認されず、医薬品に用いる製剤粒子として十分に機能することが窺われる。
【0059】
(3)考察
試験例1の結果より、比較例1の製剤粒子に比し、実施例1製剤粒子では、製剤に含まれる水分量を低く制御することによって、生薬に含まれる成分の分解を抑制可能とし、さらに製造性、ハンドリング性に優れた製剤粒子を提供できると考えられる。