【実施例1】
【0010】
図1は第1の実施例の内部構成を概略的に示した側面図である。
図において1は媒体処理装置の装置本体で、本媒体処理装置内部のユニットは、インサータユニット2と印字ユニット3に大別され、装置の前部側にインサータユニット2、その後部側に印字ユニット3が配置されている。
インサータユニット2は、媒体である通帳、伝票、証書のそれぞれ所定の位置に印字を行えるように、通帳、伝票、証書を図示しない基準面により整列させた後に印字ユニット3に搬送する機能を有し、印字ユニット3はインサータユニット2から搬送されてくる媒体に印字を行う機能を有している。
【0011】
インサータユニット2には、通帳や証書を印字ユニット3へ搬送するための第1の搬送路4と、伝票を印字ユニット3へ搬送するための第2の搬送路5が上下2段に設けられている。第1の搬送路4の前端には係員が通帳や証書を挿入してセットする第1の挿入口8が、第2の搬送路5の前端には係員が伝票を挿入してセットする第2の挿入口9がそれぞれ形成されている。そして、第1の挿入口8と第2の挿入口9にそれぞれ基準面が設けられている。
また、第1の搬送路4と第2の搬送路5の後端側は印字ユニット3に設けられた第3の搬送路7の手前で合流しており、その合流部に位置するように図示しないブレードがインサータユニット2に取り付けられている。このブレードにより第1の搬送路4と第3の搬送路7、第2の搬送路5と第3の搬送路7を連結するための切替えが行われるようになっている。
【0012】
ここで、インサータユニット2は、下部ユニット(固定ユニット)11と、該下部ユニット11の直上に配置された中間ユニット(第1の可動ユニット)12と、この中間ユニット12の上に配置された上部ユニット(第2の可動ユニット)13により構成されている。第1の搬送路4は下部ユニット11の上面と中間ユニット12の下面により形成され、第2の搬送路5は中間ユニット12の上面と上部ユニット13の下面により形成されていて、通帳や証書及び伝票を挟持して搬送するフィードローラ対が第1の搬送路4及び第2の搬送路5に沿って下部ユニット11と中間ユニット12と上部ユニット13に設けられている。
【0013】
下部ユニット11は装置本体1の内部底面に固定されている。この下部ユニット11の後端側に設けられた左右一対の取付け部18に、中間ユニット12と上部ユニット13の後端部には一連に通した軸10の両端が取付けられている。この軸10により、中間ユニット12と上部ユニット13は下部ユニット11に対して軸10を中心に上下方向に回動することができる構造となっている。また、上部ユニット13の後部側には、側方に突出するように板状の突出部19が形成されている。
【0014】
14は中間ユニット12の先端側に回転可能に設けられた第1のロックレバ、16は上部ユニット13の先端側に回転可能に設けられた第2のロックレバである。第1のロックレバ14は下部ユニット11に設けられた第1のロックピン15と係合し、第2のロックレバ16は中間ユニット12に設けられた第2のロックピン17と係合するように設けられている。これにより第1の搬送路4及び第2の搬送路5が開かないように中間ユニット12と上部ユニット13をロックできるようになっている。
【0015】
尚、第1のロックレバ14及び第2のロックレバ16は、それぞれ第1のロックピン15及び第2のロックピン17と係合する方向に、図示しないトーションスプリング等の付勢手段により付勢されている。
20はストッパ部材、25及び26は下部ユニット11の一側後部側に設けられた穴状(窪み状)の第1及び第2の挿入部である。第1の挿入部25は第2の挿入部26より装置前部側に設けられていて、それぞれストッパ部材20の下部を挿入できるように形成されている。
【0016】
図2はストッパ部材20の構造を示す図で、同図(a)は側面図、同図(b)は前部側から見た正面図である。この図に示したようにストッパ部材20は、所定の長さを有する垂直部21と、この垂直部21の上端から印字ユニット3側(装置後部側)に斜め上方に伸びるように形成された延伸部22と、この延伸部22の先端から上部ユニット13側に伸びるように曲折形成されたストッパ片23によって構成されている。また、延伸部22の所定の位置にはネジ穴24が設けられている。
【0017】
図3はインサータユニット2の後部の斜視図で、下部ユニット11の後部の所定位置には第1の挿入部25と共に第1の固定部を成す第1の固定部材27が設けられている。この第1の固定部材27にはストッパ部材20の垂直部21の下端を第1の挿入部25に挿入したとき、延伸部22に設けられているネジ穴24と対応する位置に穴(透孔)28が設けられている。この穴に図示しない固定ネジを通して延伸部22のネジ穴24に締結することで、ストッパ部材20が下部ユニット11に固定されるようになっている。この固定状態においてストッパ部材20のストッパ片23は、上部ユニット13の後部側に形成された突出部19から後方側に所定の間隔をあけて位置するように、ストッパ部材20の延伸部22の長さが決められている。
【0018】
尚、上部ユニット13の突出部19とストッパ部材20のストッパ片23には、側面から見て傾斜がつけられている。この傾斜は上部ユニット13が軸10を中心に上方に回転したとき、上部ユニット13の突出部19がストッパ部材20のストッパ片23に平行に突き当たるように設定されている。
また、下部ユニット11の後部には第1の固定部材27より印字ユニット3側に位置するように第2の固定部材29が設けられ、第2の固定部材29には第2の挿入部26の上方に位置するように切欠き溝30が設けられている。この第2の固定部材29は第2の挿入部26と共に第2の固定部を成すものである。
【0019】
一方、印字ユニット3は、下部ユニット31と上部ユニット32から成る2層の構造に構成されている。第3の搬送路7は下部ユニット31の上面と上部ユニット32の下面により形成されていて、通帳や証書及び伝票を挟持して搬送するフィードローラ対が第3の搬送路7に沿って下部ユニット31と上部ユニット32に設けられている。また、上部ユニット32は所定の位置に設けられた軸33を中心にして上下方向に回動することができる構造となっている。
【0020】
上述した構成の作用について説明する。
図4及び
図5は上述した構成の作用を示す側面図である。今、
図3に示したように、ストッパ部材20の垂直部21の下部を下部ユニット11の第1の挿入部25に挿入し、下部ユニット11に設けられた第1の固定部材27の穴28に図示しない固定ネジを通してストッパ部材20の延伸部22に設けられたネジ穴24に締結することにより、ストッパ部材20が下部ユニット11に固定されているものとする。
【0021】
また、
図1に示したように第1のロックレバ14が下部ユニット11に設けられた第1のロックピン15と係合し、第2のロックレバ16は中間ユニット12に設けられた第2ピン17と係合して、これにより第1の搬送路4及び第2の搬送路5が開かないように中間ユニット12と上部ユニット13がロックされているものとする。
【0022】
この状態で第1の搬送路4を小さい角度に開きたい場合には、まず、
図4(a)に示したように、中間ユニット12に設けられた第1のロックレバ14を手で上方に持ち上げると、下部ユニット11に設けられた第1のロックピン15から第1のロックレバ14が外れて、下部ユニット11と中間ユニット12のロックが解除される。下部ユニット11と中間ユニット12のロックを解除した後、そのまま第1のロックレバ14を持ち上げることで、中間ユニット12と上部ユニット13は軸10を中心に上方に回転し、第1の搬送路4が開いて行く。
【0023】
そして、更に第1のロックレバ14を手で持ち上げて行くと、上部ユニット13の突出部19の外面がストッパ部材20のストッパ片23の内面に突き当たる。これにより中間ユニット12と上部ユニット13の回動は停止するため、第1の搬送路4の開き角度が規制され、第1の搬送路4が小さい角度に開いた状態となる。
【0024】
第1の搬送路4を閉じる場合は、第1のロックレバ14を持った手をゆっくり下ろして行くと、中間ユニット12と上部ユニット13は自重により軸10を中心に下方に回動して行く。そして、そのまま中間ユニット12と上部ユニット13を一定の位置まで下方に回転させた後、第1のロックレバ14から手を離すと、図示しない付勢手段の付勢力により第1のロックレバ14が第1のロックピン15に係合して、中間ユニット12がロックされ、第1の搬送路4は閉じた状態になる。
【0025】
第2の搬送路5を小さい角度に開きたい場合には、第1図の状態から
図4(b)に示したように、上部ユニット13に設けられた第2のロックレバ16を手で上方に持ち上げると、中間ユニット12に設けられた第2のロックピン17から第2のロックレバ16が外れて、上部ユニット13と中間ユニット12のロックが解除される。上部ユニット13と中間ユニット12のロックを解除した後、そのまま第2のロックレバ16を持ち上げることで、上部ユニット13は軸10を中心に回動する。このとき中間ユニット12に設けられた第1のロックレバ14は下部ユニット11に設けられた第1のロックピン15と係合しているので中間ユニット12はロックされており、上部ユニット13のみが回動して第2の搬送路5が開いて行く。そして、更に第2のロックレバ16を手で持ち上げて行くと、上部ユニット13の突出部19の外面がストッパ部材20のストッパ片23の内面に突き当たる。これにより上部ユニット13の回動は停止するため、第2の搬送路5の開き角度が規制され、第2の搬送路5が小さい角度に開いた状態となる。
【0026】
第2の搬送路5を閉じる場合は、第2のロックレバ16を持った手をゆっくり下ろして行くと、上部ユニット13は自重により軸10を中心に下方に回動して行く。そのまま上部ユニット13を一定の位置まで下方に回動させた後、第2のロックレバ16から手を離すと、図示しない付勢手段の付勢力により第2のロックレバ16が第2のロックピン17に係合して、上部ユニット13がロックされ、第2の搬送路5は閉じた状態になる。
【0027】
以上のように第1の搬送路4と第2の搬送路5をそれぞれ小さい角度に開くことができるので、中間ユニット12と上部ユニット13の開閉角度を大きくする必要のないジャム媒体の除去等が行う場合は、第1の搬送路4と第2の搬送路5をそれぞれ小さい角度に開いた状態で作業を行うことが可能になる。
【0028】
次に第1の搬送路4と第2の搬送路5とを大きい角度に開く場合について説明する。第1の搬送路4と第2の搬送路5とを大きい角度に開く場合は、印字ユニット3がインサータユニット2の上部ユニット13に干渉する。そのため、
図1及び
図3の状態から
図5(a)に示すように軸33を中心に印字ユニット3の上部ユニット32を上方に回転させて開き、中間ユニット12と上部ユニット13の回転角を大きくできるようにしておく。
また、ストッパ部材20を下部ユニット11に固定している図示しない固定ネジを緩めて取外し、ストッパ部材20の垂直部21の下部を下部ユニット11の第1の挿入部25から引き抜いて、ストッパ部材20を下部ユニット11から取外す。
【0029】
この状態で、第1の搬送路4を大きい角度に開く場合には、中間ユニット12に設けられた第1のロックレバ14を手で上方に持ち上げる。これにより、下部ユニット11に設けられた第1のロックピン15から第1のロックレバ14が外れて、下部ユニット11と中間ユニット12のロックが解除されるので、そのまま第1のロックレバ14を持ち上げることで、中間ユニット12と上部ユニット13は軸10を中心に上方に回動し、第1の搬送路4が開いて行く。
【0030】
そして、更に第1のロックレバ14を手で持ち上げて行くと、それに伴って中間ユニット12と上部ユニット13は軸10を中心に上方に回転するが、このときストッパ部材20が取外してあるので、
図5(b)に示したように上部ユニット13の上面が既に開いてある印字ユニット3の上部ユニット32の先端に達するまで中間ユニット12と上部ユニット13を回動させることができる。上部ユニット32の先端付近まで開いてから中間ユニット12と上部ユニット13の回動を停止させることで、第1の搬送路4を大きい角度に開いた状態にする。
【0031】
その後、ストッパ部材20の垂直部21の下部を下部ユニット11に設けられている第2の挿入部26に挿入する。ストッパ部材20の垂直部21の所定個所を下部ユニット11に設けられた第2の固定部材29の切欠き溝30に嵌合させることで、ストッパ部材20を下部ユニット11に取付けるが、その際ストッパ部材20のストッパ片23を上部ユニット13の突出部19の内面側に入り込ませる。
【0032】
図6は第1の搬送路4を大きく開いたときのインサータユニット2の後部の斜視図である。この
図6に示したようにストッパ部材20を下部ユニット11に取付け、ストッパ部材20のストッパ片23を上部ユニット13の突出部19の内面側に入り込ませている。これにより、中間ユニット12と上部ユニット13の自重により閉じる方向の力が働いた場合や、中間ユニット12と上部ユニット13の閉じる方向の力が加わった場合でも、上部ユニット13の突出部19の内面がストッパ部材20のストッパ片23の外面に突き当たる。従って、中間ユニット12と上部ユニット13の閉じる動作が阻止され、第1の搬送路4を大きい角度に開いた状態を保持することができる。
【0033】
この状態では、上部ユニット13を印字ユニット3側へ回動させようとした場合、上部ユニット13が印字ユニット3の上部ユニット32と接触して回動が阻止される。
第1の搬送路4を閉じる場合は、ストッパ部材20の垂直部21の所定個所を下部ユニット11に設けられた第2の固定部材29の切欠き溝30から外し、ストッパ部材20の垂直部21の下部を下部ユニット11に設けられている第2の挿入部26から引き抜いてストッパ部材20を下部ユニット11から取外す。
【0034】
そして、第1のロックレバ14を手で持ち、その手をゆっくり下ろしてゆくと、中間ユニット12と上部ユニット13は自重により軸10を中心に下方に回動して行く。そのまま中間ユニット12と上部ユニット13を一定の位置まで下方に回動させた後、第1のロックレバ14から手を離すと、図示しない付勢手段の付勢力により第1のロックレバ14が第1のロックピン15に係合して、中間ユニット12がロックされることで、第1の搬送路4は閉じた状態になる。
第2の搬送路5を大きい角度に開く場合には、上述したように
図1及び
図3の状態から
図5(a)に示すように軸33を中心に印字ユニット3の上部ユニット32を上方に回動させて開き、ストッパ部材20を下部ユニット11から取外しておく。
【0035】
この状態で上部ユニット13に設けられた第2のロックレバ16を手で上方に持ち上げると、中間ユニット12に設けられた第2のロックピン17から第2のロックレバ16が外れて、上部ユニット13と中間ユニット12のロックが解除される。上部ユニット13と中間ユニット12のロックを解除した後、そのまま第2のロックレバ16を持ち上げることで、上部ユニット13は軸10を中心に回動する。このとき中間ユニット12に設けられた第1のロックレバ14は下部ユニット11に設けられた第1のロックピン15と係合されているため、中間ユニット12はロックされ、上部ユニット13のみが回動して第2の搬送路5が開いて行く。
【0036】
そして、更に第2のロックレバ16を持ち上げて行くと、それに伴って上部ユニット13は軸10を中心に上方に回動するが、このときストッパ部材20が取り外してあるので、上部ユニット13の上面が既に開いてある印字ユニット3の上部ユニット32の先端に達するまで上部ユニット13を回動させることができる。上部ユニット32の先端付近まで上部ユニット13を開いてから回動を停止させることで、第2の搬送路5を大きい角度に開いた状態にする。その後、ストッパ部材20の垂直部21の下部を下部ユニット11に設けられている第2の挿入部26に挿入する。ストッパ部材20の垂直部21の所定個所を下部ユニット11に設けられた第2の固定部材29の切欠き溝30に嵌合させることで、ストッパ部材20を下部ユニット11に取付けるが、その際ストッパ部材20のストッパ片23が上部ユニット13の突出部19の内面側に入り込ませる。
【0037】
このようにすることで上部ユニット13の自重により閉じる方向の力が働いた場合や、上部ユニット13の閉じる方向の力が加わった場合でも、上部ユニット13の突出部19の内面がストッパ部材20のストッパ片23の外面に突き当たる。これにより、上部ユニット13の閉じる動作が阻止され、第2の搬送路5を大きい角度に開いた状態を保持することができる。
この状態でも、上部ユニット13を印字ユニット3側へ回転させようとした場合、上部ユニット13が印字ユニット3の上部ユニット32と接触して、回動が阻止される。
【0038】
第2の搬送路5を閉じる場合は、ストッパ部材20の垂直部21の所定個所を下部ユニット11に設けられた第2の固定部材29の切欠き溝30から外し、ストッパ部材20の垂直部21の下部を下部ユニット11に設けられている第2の挿入部26から引き抜いてストッパ部材20を下部ユニット11から取外す。そして、第2のロックレバ16を手で持ち、その手をゆっくり下ろして行くと、上部ユニット13は自重により軸10を中心に下方に回転して行く。そのまま一定の位置まで上部ユニット13を下方に回動させた後、第2のロックレバ16から手を離すと、図示しない付勢手段の付勢力により第2のロックレバ16が第2のロックピン17に係合して、上部ユニット13がロックされることで、第2の搬送路5は閉じた状態になる。
【0039】
尚、第2の搬送路5を大きい角度に開く場合、次の手順で行うようにしてもよい。すなわち、第1の搬送路4を大きい角度に開いた状態にした後、ストッパ部材20の垂直部21の下部を下部ユニット11に設けられている第2の挿入部26に挿入し、ストッパ部材20の垂直部21の所定個所を下部ユニット11に設けられた第2の固定部材29の切欠き溝30に嵌合させることで、ストッパ部材20を下部ユニット11に取付ける。そして、上部ユニット13に設けられた第2のロックレバ16を上方に持ち上げて、中間ユニット12に設けられた第2のロックピン17から第2のロックレバ16を外す。これにより、上部ユニット13と中間ユニット12のロックを解除し、第1のロックレバ14を手で持って中間ユニット12を自重により軸10を中心に下方に回転させる。そのまま中間ユニット12を一定の位置まで下方に回動させた後、第1のロックレバ14から手を離すと、図示しない付勢手段の付勢力により第1のロックレバ14が第1のロックピン15に係合して中間ユニット12がロックされることで、第1の搬送路4が閉じて第2の搬送路5が大きい角度に開いた状態になる。
【0040】
以上説明したように、第1の実施例では、第1の搬送路4と第2の搬送路5を、それぞれ小さい角度と大きい角度に開くことができるようにしている。これにより、第1の搬送路4または第2の搬送路5で媒体のジャムが発生した場合、オペレータが第1の搬送路4または第2の搬送路5を小さい角度に開いてジャム媒体を除去することができる。また、除去作業後、第1の搬送路4または第2の搬送路5を閉じる際に、中間ユニット12と上部ユニット13の重力または上部ユニット13の重力によって中間ユニット12と上部ユニット13の回転速度または上部ユニット13の回転速度が大きく加速されることがない。そのため作業者であるオペレータが中間ユニット12と下部ユニット11または中間ユニット12と上部ユニット13とで手を挟まれる等の事故が生じにくくなり、メンテナンス作業に不慣れなオペレータが怪我をする可能性を低下させることができるという効果が得られる。
【0041】
また、訓練された保守員が部品交換等のメンテナンス作業を行う際には、第1の搬送路4または第2の搬送路5を大きい角度に開いて、その状態をストッパ部材20により保持することができる。これにより、交換すべき部品へのアクセスが容易となり、作業性の向上が図れるという効果も得られる。
【実施例4】
【0051】
図9は本発明の第4の実施例を示すストッパ部材の構造を示す図で、同図(a)は側面図、同図(b)は前部側から見た正面図である。この実施例は、以下の構造としたものである。すなわち、下部ユニット11の一側後部の所定位置にL字型の腕部37を有するブラケット等の支持部材38を設け、この支持部材38と該支持部材38に対向する腕部37の先端面部とを貫通するように所定の軸長を有する第1のガイドピン39を取付けると共に、この第1のガイドピン39の下方に位置するように該第1のガイドピン39より軸長の短い第2のガイドピン40を支持部材38に取り付ける。
【0052】
また、所定の長さを有する垂直部41と、この垂直部41の上端から後方側に斜め上方に伸びるように形成された延伸部42と、この延伸部42の先端から上部ユニット13側に伸びるように曲折形成されたストッパ片43から成るストッパ部材44を形成し、このストッパ部材44の垂直部41に上下2個のガイド穴を設けておく。
【0053】
そして、ストッパ部材44を支持部材38と腕部37の先端面部との間にいれて、ストッパ部材44の垂直部41に設けた両ガイド穴を支持部材38に取付けた第1のガイドピン39と第2のガイドピン40のそれぞれに摺動自在に嵌合させる。更に、第1のガイドピン39の途中にEリング等の係止部材45を取付けてこの係止部材45とストッパ部材44との間に、該ストッパ部材44を支持部材38側に押し付けるように矢印B方向に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング46を設けたものとしている。
【0054】
次に、上述した構成の作用について説明する。まず、第1の搬送路4または第2の搬送路5を小さい角度に開く場合、下部ユニット11に設けられた第1のロックピン15から第1のロックレバ14を外して下部ユニット11と中間ユニット12のロックを解除する。または、中間ユニット12に設けられた第2のロックピン17から第2のロックレバ16を外して、上部ユニット13と中間ユニット12のロックを解除する。その後、第1のロックレバ14または第2のロックレバ16を持ち上げることで、軸10を中心に中間ユニット12と上部ユニット13または上部ユニット13を上方に回動させて、第1の搬送路4または第2の搬送路5を開いて行く。
【0055】
そして、更に第1のロックレバ14または第2のロックレバ16を持ち上げて行くと上部ユニット13の突出部19の外面がストッパ部材44のストッパ片43の内面に突き当たる。これにより、中間ユニット12と上部ユニット13または上部ユニット13の回動は停止して、第1の搬送路4または第2の搬送路5が小さい角度に開いた状態となる。
【0056】
次に、第1の搬送路4または第2の搬送路5を大きい角度に開く場合、小さい角度に開く場合と同様に、第1のロックレバ14または第2のロックレバ16を一方の手で持ち上げる。これにより、上部ユニット13の突出部19の外面がストッパ部材44のストッパ片43の内面に突き当たるまで、軸10を中心に中間ユニット12と上部ユニット13または上部ユニット13を上方に回動させる。
【0057】
そして、ストッパ部材44の延伸部42等に他方の手の指を掛け、ストッパ部材44のストッパ片43が上部ユニット13の突出部19から外れるように、コイルスプリング46に抗してストッパ部材44を矢印C方向に移動させて支持部材38から引き離す。これにより、ストッパ部材44のストッパ片43が上部ユニット13の突出部19から外れ、更に中間ユニット12と上部ユニット13または上部ユニット13を上方に回動させることで第1の搬送路4または第2の搬送路5を大きい角度に開く。
【0058】
その後、ストッパ部材44の延伸部42等に掛けた指を外すと、ストッパ部材44はコイルスプリング46の付勢力により矢印B方向に移動して支持部材38側に戻り、ストッパ部材44のストッパ片43が上部ユニット13の突出部19の内側に入り込む。
そのため、中間ユニット12と上部ユニット13の自重により閉じる方向の力が働いた場合や、中間ユニット12と上部ユニット13の閉じる方向の力が加わった場合でも、上部ユニット13の突出部19の内面がストッパ部材44のストッパ片43の外面に突き当たって、閉じる動作が阻止される。これにより、第1の搬送路4または第2の搬送路5の大きい角度に開いた状態を保持することができる。
この状態では、上部ユニット13を印字ユニット3側へ回動させようとした場合、上部ユニット13が印字ユニット3の上部ユニット32と接触して回動が阻止される。
【0059】
第1の搬送路4または第2の搬送路5を閉じる場合は、第1のロックレバ14または第2のロックレバ16を一方の手で持ち、ストッパ部材44の延伸部42等に他方の手の指を掛け、ストッパ部材44のストッパ片43が上部ユニット13の突出部19から外れるように、コイルスプリング46に抗してストッパ部材44を矢印C方向に移動させて支持部材38から引き離す。そして、第1のロックレバ14または第2のロックレバ16を持った手をゆっくり下ろして行くと、中間ユニット12と上部ユニット13は自重により軸10を中心に下方に回動して行く。そのまま中間ユニット12と上部ユニット13を一定の位置まで下方に回動させた後、第1のロックレバ14または第2のロックレバ16から手を離すと、図示しない付勢手段の付勢力により第1のロックレバ14または第2のロックレバ16が第1のロックピン15または第2のロックピン17に係合して、中間ユニット12または上部ユニット13がロックされる。これにより、第1の搬送路4または第2の搬送路5は閉じた状態になる。
【0060】
ストッパ部材44は、上部ユニット13の突出部19がストッパ片43の位置を通過した後、延伸部42等に掛けた指を外すと、コイルスプリング46の付勢力により矢印B方向に移動して支持部材38側に戻る。
以上説明した第4の実施例でも、第1の実施例と同様の効果が得られる他、第1の搬送路4または第2の搬送路5を大きく開いたり閉じたりする際に、ストッパ部材44を下部ユニット11から取外す必要が無い。そのため、ストッパ部材44を指で支持部材38から離れる方向、支持部材38に近づく方向に移動させるだけで第1の搬送路4または第2の搬送路5を大きく開いたり閉じたりすることができるので、開閉の操作性が向上するという効果も得られる。