(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2〜4価の多塩基性カルボン酸(i)と置換基の炭素数が12〜22の第1級および/または第2級の脂肪族アミン(ii−1)を反応させて得られるカルボキシル基含有アミド化合物(I)およびこれらの塩(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするアルキルケテンダイマー系製紙用サイズ剤用のサイズ性発現促進助剤(A)。
2〜4価の多塩基性カルボン酸(i)がクエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸およびコハク酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1記載のサイズ性発現促進助剤(A)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のAKD系製紙用サイズ剤用のサイズ性発現促進助剤(A)(以下、サイズ性発現促進助剤(A)という。)は、2〜4価の多塩基性カルボン酸(i)(以下、成分(i)という。)と炭素数が12〜22の第1級および/または第2級の脂肪族アミン(ii−1)(以下、成分(ii−1)という。)を反応させて得られるカルボキシル基含有アミド化合物(I)、2〜4価の多塩基性カルボン酸(i)と炭素数が12〜22の脂肪族アルコール(ii−2)を反応させて得られるカルボキシル基含有エステル化合物(II)およびこれらの塩(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする。
【0008】
成分(i)としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリカルバリル酸、t−アコニット酸、トリメリット酸などのカルボキシル基以外の他の官能基を有しないカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのヒドロキシ酸、およびグルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノカルボン酸などが挙げられる。なお、これらの2〜4価のカルボン酸は有するカルボキシル基が酸無水物となっていてもよい。また、成分(i)として、アミド交換反応またはエステル交換反応により、成分(ii−1)または成分(ii−2)と反応できる2〜4価のアミドまたはエステルを使用してもよい。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。成分(i)としては、サイズ性発現促進助剤(A)のカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸と抄紙系に存在するアルミニウムイオンとのイオン結合が、酸性〜中性の幅広い抄紙条件において安定に存在し得ることから、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸およびコハク酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0009】
成分(ii−1)としては、置換基(アミノ基に置換している官能基)の炭素数が12〜22の第1級および/または第2級の脂肪族アミンであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。
第1級脂肪族アミンとしては、例えば、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン等が、第2級アミンとしては、例えば、ジドデシルアミン、ジミリスチルアミン、ジステアリルアミン、ジ硬化牛脂アミン、ジベヘニルアミン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。成分(ii−1)としては、耐水性向上の点、価格等入手容易性の観点からジステアリルアミン、ジ硬化牛脂アミンが好ましい。
【0010】
成分(ii−2)としては、炭素数が12〜22の脂肪族アルコールであれば特に限定されず公知のものを使用することができる。成分(ii−2)としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの飽和脂肪族アルコール、オレイルアルコールなど不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。成分(ii−2)としては、耐水性向上の点、価格等入手容易性の観点からパルミチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物が好ましい。
【0011】
カルボキシル基含有アミド化合物(I)およびカルボキシル基含有エステル化合物(II)の合成は、それぞれ、通常のカルボン酸とアミンを反応させてアミド化する反応、カルボン酸とアルコールを反応させてエステル化する反応の反応条件で脱水縮合により行うことができる。具体的には、(i)成分と成分(ii−1)または成分(ii−2)の沸点を考慮して、常圧または減圧下に約140〜180℃程度で1〜24時間程度攪拌しながら脱水縮合させればよい。また、必要に応じて、公知の塩基性または酸性の触媒や、溶剤を用いてもよい。ベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶剤を用いることで共沸脱水して反応を進めてもよい。
【0012】
カルボキシル基含有アミド化合物(I)の合成における成分(i)と成分(ii−1)の使用量は、通常は、成分(i)の少なくとも1つのカルボキシル基が成分(ii−1)とアミド結合を形成し、かつ成分(i)の少なくとも1個のカルボキシル基を未反応のまま残存させることが必要であるため、例えば、成分(i)として、3価のカルボン酸を使用する場合には、成分(i)のカルボキシル基の3当量に対して、成分(ii−1)のアミノ基が1〜2当量となるようにする。成分(i)として、4価のカルボン酸を使用する場合には、成分(i)のカルボキシル基の4当量に対して、成分(ii−1)のアミノ基が2〜3当量となるようにする。残存したカルボキシル基は、カルボキシル基のまま存在していてもよく、後述するようにカルボキシル基塩を形成させてもよい。
【0013】
カルボキシル基含有エステル化合物(II)の合成における成分(i)と成分(ii−1)の使用量も、前記したカルボキシル基含有アミド化合物(I)の合成の場合と同様である。すなわち、通常は、成分(i)の少なくとも1つのカルボキシル基が成分(ii−2)とエステル結合を形成し、かつ成分(i)の少なくとも1個のカルボキシル基を未反応のまま残存させることが必要であるため、例えば、成分(i)として、3価のカルボン酸を使用する場合には、成分(i)のカルボキシル基の3当量に対して、成分(ii−2)の水酸基が1〜2当量となるようにする。成分(i)として、4価のカルボン酸を使用する場合には、成分(i)のカルボキシル基の4当量に対して、成分(ii−2)の水酸基が2〜3当量となるようにする。残存したカルボキシル基は、カルボキシル基のまま存在していてもよく、後述するようにカルボキシル基塩を形成させてもよい。
【0014】
カルボキシル基含有アミド化合物(I)およびカルボキシル基含有エステル化合物(II)は、そのままサイズ性発現促進助剤(A)として使用することもできるが、カルボキシル基含有アミド化合物(I)およびカルボキシル基含有エステル化合物(II)中に残存するカルボキシル基をアルカリ化合物で中和し、これらの塩(III)、すなわち、カルボキシル基含有アミド化合物(I)の塩またはカルボキシル基含有エステル化合物(II)の塩としてもよい。塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン等のアンモニウム塩又はアルミニウム塩などが挙げられる。
【0015】
このようにして得られたカルボキシル基含有アミド化合物(I)、カルボキシル基含有エステル化合物(II)およびこれらの塩(III)は、通常、融点は100℃以下であり好ましくは70℃以下である。
【0016】
本発明のサイズ性発現促進助剤(A)は、カルボキシル基含有アミド化合物(I)、カルボキシル基含有エステル化合物(II)およびこれらの塩(III)のいずれかを単独で、または複数を混合して使用してもよい。
【0017】
本発明のサイズ性発現促進助剤(A)は、前記(I)〜(III)成分を、分散剤(乳化剤、界面活性剤)を用いて水に分散させ、分散液として使用することが好ましい。分散剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。分散剤としては、例えば、ノニオン性あるいは各種イオン性の界面活性剤や親水基と疎水基を併せ持った両親媒性の高分子化合物、澱粉類やポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体等のいわゆる保護コロイドとして作用するものなどが挙げられる。また、併用するAKD(B)に使用される分散剤と同一のものを使用してもよいし、本発明のサイズ性発現促進助剤をアルカリ塩やアミン塩とすることで分散剤を用いずに安定な水分散物を得ることもできる。また、分散液を調製する方法は、特に制限されず、各種公知の手段を用いることができ、例えば、高圧ホモジナイザー等を用いて乳化する高圧乳化法や、反転乳化法等が挙げられる。
こうして得られるサイズ発現促進助剤(A)の分散液の固形分濃度は、通常、5〜50重量%、pH(25℃)2.5〜5.5、粒子径は、レーザー解析・散乱法による平均粒子径で0.1〜1.5μmが好ましい。
【0018】
本発明のサイズ性発現促進助剤(A)は、AKDサイズ剤と混合あるいは別々に紙に塗布することが可能であるが、好ましくはAKD系サイズ剤とともにパルプスラリーに添加して使用するものである。紙の製造におけるサイズ性発現促進剤(A)の添加量としては、特に限定されないが、サイズ発現剤(A)およびアルキルケテンダイマー(B)の種類およびパルプ種やその他の抄紙条件を考慮して設定すればよい。通常、併用するAKD系サイズ剤中のアルキルケテンダイマー(B)100重量部に対し、固形分換算で、20〜200重量部、好ましくは、50〜100重量部(固形分換算)である。添加方法としては、予め、AKD系サイズ剤にサイズ性発現助剤(A)を混合した上で、 パルプスラリーに添加してもよいし、これらを別々に同時または順次に、公知の定量ポンプ等を通してパルプスラリーに連続的、かつ定量的に添加してもよい。
パルプスラリーとしては、特に限定されず、クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ等の晒あるいは未晒高収率のパルプ、新聞古紙、雑誌古紙、ダンボール古紙、脱墨古紙等の古紙パルプを使用することができる。さらに、抄紙時には填料、染料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、歩留向上剤などの内添薬品を使用することもできる。
【0019】
また、本発明のサイズ性発現促進助剤(A)を、予めアルキルケテンダイマー(B)と混合して製紙用サイズ剤として使用してもよい。
【0020】
本発明の製紙用サイズ剤に用いるアルキルケテンダイマー(B)としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。アルキルケテンダイマー(B)としては、例えば、
【0022】
(式中、R
1及びR
2は炭素数8〜30の飽和炭化水素基又は炭素数8〜30の不飽和炭化水素基であり、R
1及びR
2は、同一であっても異なっていてもよい。)で表わされるものを用いることができる。一般式(1)において、R
1又はR
2の炭化水素基は、例えば、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル等のアルキル基、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル等のアルケニル基、オクチルフェニル、ノニルフェニル、ドデシルフェニル等の置換フェニル基、ノニルシクロヘキシル等の置換シクロアルキル基、フェニルエチル等のアラルキル基などである。これらの中では、炭素数10〜25の飽和炭化水素基、炭素数10〜25の不飽和炭化水素基が好ましく、炭素数14〜22の飽和炭化水素基、炭素数14〜22の不飽和炭化水素基が特に好ましい。R
1、R
2は直鎖状の炭化水素に限定されるものではなく、分岐状のものや環状のものであってもよいし、常温において固形状のものでも液状のものでもよい。このようなアルキルケテンダイマー(B)としては、オクタデシルケテンダイマー、ヘキサデシルケテンダイマー、テトラデシルケテンダイマー、ドデシルケテンダイマーなどが挙げられる。なお、アルキルケテンダイマー(B)は異なる脂肪酸の混合物を二量化したものでもよい。
【0023】
アルキルケテンダイマー(B)は、水性分散液として用いるのが実用上好ましい。水性分散液を調製する方法は特に制限されず、各種公知の方法を用いることができる。例えば、高圧ホモジナイザー等を用いて乳化する高圧乳化法や、反転乳化法等が挙げられる。
また、乳化の際には、必要に応じて各種公知の分散剤(乳化剤、界面活性剤)や保護コロイドを用いることもできる。なお、当該水性分散液中におけるアルキルケテンダイマー(B)の含有量は、通常10〜30重量%程度である。
【0024】
分散剤の具体例としては、例えばアルキル硫酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ソーダ、アルキルスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性乳化剤;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、これらが有する末端水酸基をアセチル化してなる化合物等のノニオン性乳化剤等が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明の所期の効果を損なわない限りにおいて、各種公知のカチオン性界面活性剤を併用してもよい。
【0025】
保護コロイドの具体例としては、例えば、とうもろこし、ばれいしょ、タピオカ、小麦、コメ等の生澱粉を、希薄な水酸化ナトリウム溶液や次亜塩素酸ナトリウム等で処理してなる酸化澱粉;当該生澱粉に第1級、第2級、第3級のアミノ基や第4級アミンモニウム基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素基を分子中に組み入れてなるカチオン化澱粉等のカチオン性保護コロイド;ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物等のアニオン性保護コロイド;ポリビニルアルコール等のノニオン性保護コロイド等が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
分散剤または保護コロイドの使用量は、特に限定されないが、乳化効率等を考慮して、アルキルケテンダイマー(B)に対して通常0.5〜100重量%程度、好ましくは5〜30重量%である。
【0027】
本発明の製紙用サイズ剤の調製は、アルキルケテンダイマー(B)の分散液に、前記サイズ発現促進助剤(A)の分散液を添加、混合すればよい。サイズ発現促進助剤(A)とアルキルケテンダイマー(B)との使用割合は、特に限定されず、サイズ発現剤(A)およびアルキルケテンダイマー(B)の種類およびパルプ種やその他の抄紙条件を考慮して設定すればよいが、通常は、アルキルケテンダイマー(B)100重量部に対してサイズ性促進助剤(A)を、固形分換算で1〜100重量部とすることが好ましい。得られる製紙用サイズ剤は、通常、分散液の固形分濃度5〜50重量%、pH2.5〜5.5(25℃)、レーザー解析・散乱法による平均粒子径が通常0.1〜1.5μm程度である。
【0028】
本発明の製紙用サイズ剤を用いた紙の製造は、サイズ性促進助剤(A)を用いた紙の製造方法に準じて行えばよく、公知の定量ポンプ等を通してパルプスラリーに連続的、かつ定量的に添加すればよい。また、適用可能なパルプスラリー、他の内添薬品についても、サイズ性促進助剤の場合と同様である。
【0029】
本発明のサイズ性促進助剤(A)や製紙用サイズ剤を用いて得られた紙は、記録用紙〔フォーム用紙、PPC用紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等〕、コート紙〔アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等〕、包装用紙〔クラフト紙、純白ロール紙等〕、洋紙〔ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、新聞用紙等〕、板紙〔マニラボール、白ボール、チップボール、ライナー等〕などの用途に供される。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。尚、各例中、部及び%は特記しない限りすべて重量基準である。各例の物性値は、以下の方法により測定した値である。
【0031】
(評価方法)
ステキヒトサイズ度評価
JIS P 8122に基づき、ステキヒトサイズ度を測定した。数値が高いほど、サイズ効果に優れることを意味する。
【0032】
Cobb吸水度評価
JIS P 8140に基づき、Cobb吸水度を測定した。数値が低いほど、サイズ効果に優れることを意味する。
【0033】
(製造例1)CADSAエマルジョン(サイズ性発現促進助剤(A))の調製
<カルボキシル基含有アミド化合物(I)の合成>
クエン酸一水和物210部(1モル)と工業的ジステアリルアミン(商品名「ファーミンD86」、花王(株)製、置換基の炭素数18、16および14のものが、それぞれ順に、66%、30%および4%)1000部(2モル)、およびトルエン1252部を混合し、トルエンの還流下で20時間、脱水縮合反応を続けた。この反応混合物から減圧下でトルエンを留去し、ジアミド化合物(2-[2-(dioctadecylamino)-2-oxo-ethyl]-4-(dioctadecylamino)-2-hydroxy-4-oxo-butanoic
acid)を主成分とするカルボキシル基含有アミド化合物(I)(CADSAワックス状脱水縮合物)を得た。該脱水縮合物の恒数は融点52〜56℃、酸価55.7であった。
<分散剤の合成>
撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却器を備えた反応装置に、スチレン50部、メタクリル酸2−エチルヘキシル10部、メタクリル酸40部、ラウリルメルカプタン5部、ポリオキシエチレン(n=13)ドデシルフェニルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩5部、ポリオキシエチレン(n=9)オレイルエーテル2部、過硫酸カリウム3部および水400部を混合し、80℃で4時間重合反応を行った。ついで、50℃まで反応系を冷却した後、系内にアニオン性モノマーと等モルのアンモニアを加えて1時間撹拌し、重量平均分子量10000のスチレン−メタアクリル酸系共重合体の中和物を20%含有する水溶液状の分散剤を得た。
<CADSAエマルジョンの調製>
上記CADSAワックス状脱水縮合物180部を加熱溶融し、次いで製造例3で得られた共重合体系分散剤100部と温水(60℃)220部と混合し、高圧乳化機を使用して乳化することにより濃度40%の水性分散液を調製した。
【0034】
(製造例2)SADSAエマルジョン(サイズ性発現促進助剤(A))の調製
コハク酸無水物100部(1モル)と工業的ジステアリルアミン(商品名「ファーミンD86」、花王(株)製、置換基の炭素数18、16および14のものが、それぞれ順に、66%、30%および4%)500部(1モル)、およびトルエン500部を混合し、トルエンの還流下で20時間、脱水縮合反応を続けた。この反応混合物から減圧下でトルエンを留去し、ジアミド化合物(4-(dioctadecylamino)-4-oxo-butanoic
acid)を主成分とするカルボキシル基含有アミド化合物(I)(SADSAワックス状脱水縮合物)を得た。該脱水縮合物の恒数は融点61.5℃、酸価107.6であった。
次いで、上記SADSAワックス状脱水縮合物を製造例1と同様の分散剤を使用し、製造例1と同様の方法により、濃度40%の水性分散液を調製した。
【0035】
[ステキヒトサイズ度評価]
以下の方法で、ステキヒトサイズ度評価用試験紙を作成し、それを用いてステキヒドサイズ度を評価した。
(実施例1)
カナディアン・スタンダード・フリーネス350mlの広葉樹由来ブリーチドクラフトパルプ(L−BKP)の1%水性スラリーを攪拌しながら、水酸化ナトリウムでpH調整を行った。パルプの固形換算重量に対し、固形物換算で硫酸アルミニウムを2.0%、両イオン性分岐型ポリアクリルアミド紙力剤 (荒川化学工業(株)製PS-1810)を0.3%、AKDサイズ剤(荒川化学工業(株)製サイズパインK−931)を0.05%、製造例1のCADSAエマルジョンを0.05%添加して均一に分散させた。このときのパルプスラリーのpHは表1に記載のとおりであった。得られたスラリーをタッピ・スタンダードシートマシンを用いて坪量100g/m
2 となるように抄紙した。ついで得られた湿紙を圧縮脱水し、80℃に調整した回転ドライヤーにて2.5分間乾燥させた。成紙を2分割した。分割した紙片の一つを、ステンレス板に押し付けて粗熱を取った後すぐにステキヒトサイズ度評価に供した。表1中の「乾燥後」欄に結果を記載した。
分割した紙片の一つを分割した紙片の一つを相対湿度65%の条件で24時間調湿した後、ステキヒトサイズ度評価に供した。表1中の「調湿後」欄に結果を記載した。
【0036】
(実施例2〜3、比較例1〜3)
実施例1において、紙片に添加したAKDエマルジョンおよび製造例1のCADSAエマルジョンの添加率を表1に示したように変えた他は、実施例1と同様の操作を行って手抄き紙を調整し、ステキヒトサイズ度評価に供した。結果を表1に示した。
【0037】
(実施例 4〜5、比較例4、5)
抄紙条件をpH7.1に変更し、AKDエマルジョンおよび製造例4のCADSAエマルジョンの添加率をそれぞれ表2記載のとおりに変更した他は、実施例1と同様の操作を行って手抄き紙を調整し、ステキヒトサイズ度評価に供した。結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
(実施例6〜8、比較例6〜9)
実施例1において、製造例1のCADSAエマルジョンを製造例2のSADSAエマルジョンに変更し、AKDエマルジョンおよびSADSAエマルジョンの添加率をそれぞれ表2に記載のとおりに変更した他は、実施例1と同様の操作に行って手抄き紙を調整し、ステキヒトサイズ度評価に供した。結果を表2に示した。
【0040】
(実施例9、比較例10)
実施例6において、抄紙条件をpH5.6に変更しAKDエマルジョンおよびSADSAエマルジョンの添加率をそれぞれ表2記載のとおりに変更した他は、実施例6と同様の操作に行って手抄き紙を調整し、ステキヒトサイズ度評価に供した。結果を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
[Cobb吸水度評価]
以下の方法で、Cobb吸水度評価用試験紙を作成し、それを用いてCobb吸水度を評価した。
(実施例10)
Cobb吸水度評価用試験紙(段ボール古紙パルプ手抄き紙)の作成
カナディアン・スタンダード・フリーネス350mlの段ボール古紙パルプの1%水性スラリーを攪拌しながら、水酸化ナトリウムでpH調整を行った。パルプの固形換算重量に対し、固形物換算で硫酸アルミニウムを2%、紙力剤 (荒川化学工業(株)製PS-1810)を0.1%、AKDサイズ剤(荒川化学工業(株)製サイズパインK−931)を0.05%、製造例1のCADSAエマルジョンを0.05%添加して均一に分散させた。このときのパルプスラリーのpHは表3に記載のとおりであった。得られたスラリーをタッピ・スタンダードシートマシンを用いて坪量100g/m
2 となるように抄紙した。ついで得られた湿紙を圧縮脱水し、80℃に調整した回転ドライヤーにて2.5分間乾燥させた。成紙を4分割した。分割した紙片の一つを、ステンレス板に押し付けて粗熱を取った後すぐにCobb吸水度評価に供した。表5中の「乾燥後」欄に結果を記載した。分割した他の紙片の一つを105℃に調整した回転ドライヤーにて1分間乾燥させ、Cobb吸水度評価に供した。表3中の「キュア後」欄に結果を記載した。
分割した紙片の一つを相対湿度65%の条件で24時間調湿した後、Cobb吸水度評価に供した。表3中の「調湿後」欄に結果を記載した。
【0043】
(実施例11、12、比較例11〜13)
実施例10において、AKDエマルジョンおよびCADSAエマルジョンの添加率をそれぞれ表3に記載したとおりに変更した他は、実施例10と同様の操作に行って手抄き紙を調整し、Cobb吸水度評価に供した。結果を表3に示した。
【0044】
(実施例13〜15、比較例14〜16)
実施例10において、抄紙条件をpH7.1に変更し、AKDエマルジョンおよびCADSAエマルジョンの添加率をそれぞれ表3に記載したとおりに変更した他は、実施例10と同様の操作に行って手抄き紙を調整し、ステキヒトサイズ度評価に供した。結果を表3に示した。
【0045】
【表3】