(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の断面模式図である。
【0013】
図1に示す半導体装置10は、基板11と、その基板11に実装された半導体素子12とを含む。
基板11には、回路基板が用いられる。ここでは図示を省略するが、基板11の内部には、配線、ビア等の導電部が設けられ、基板11の両主面(上下面)には、内部の導電部に電気的に接続された電極部が設けられている。
【0014】
このような基板11の上面に半導体素子12が実装される。半導体素子12は、その下面(基板11側の面)に設けられた電極部を有し、その電極部に半田ボール等のバンプ13が搭載されている。尚、バンプ13は、半導体素子12の下面に全体的に配列された形態(フルグリッドタイプ)でも、半導体素子12の下面の外周部に配列された形態(ペリフェラルタイプ)でもよい。半導体素子12は、そのバンプ13によって、基板11の上面に設けられた電極部に電気的に接続(フリップチップ接続)されている。
【0015】
半導体素子12の上面(基板11側と反対側の面)には、熱伝導性を有する第1の接着シート14が接合されている。接着シート14は、熱界面材料(Thermal Interface Material;TIM)として用いられる。接着シート14には、例えば、熱伝導性の材料(金属材料、炭素材料、セラミック材料等)を含有するシート(シリコーン、ポリアミド、アクリルゴム等のシート)が用いられる。接着シート14には、アンダーフィル材料18(硬化したもの)よりも低弾性率のものが用いられる。ここでは一例として、半導体素子12の上面と同じ或いは同等サイズの接着シート14を接合した場合を示している。
【0016】
基板11に実装された半導体素子12の上方には、半導体素子12が収容される凹部16aを有する放熱体(リッド(蓋))16が設けられている。リッド16の下端面(側周部の下端面)は、接着層(接着シート)17を介して基板11の上面に接合されている。リッド16には、例えば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等、高い熱伝導性、放熱性を示す材料が用いられる。
【0017】
リッド16の凹部16aの下面(半導体素子12側の面)には、熱伝導性を有する第2の接着シート15が接合されている。接着シート15は、TIMとして用いられる。接着シート15には、例えば、熱伝導性の材料(金属材料、炭素材料、セラミック材料等)を含有するシート(シリコーン、ポリアミド、アクリルゴム等のシート)が用いられる。接着シート15には、アンダーフィル材料18(硬化したもの)よりも低弾性率のものが用いられる。ここでは一例として、半導体素子12の上面の接着シート14と同じ或いは同等サイズの接着シート15を、凹部16aの下面で、半導体素子12の上面の接着シート14と対応する領域に接合した場合を示している。凹部16aの下面の接着シート15は、半導体素子12の上面の接着シート14と接合されている。
【0018】
基板11と、その基板11にバンプ13を用いてフリップチップ接続された半導体素子12との間隙(ギャップ)Gには、アンダーフィル材料18が充填されている。アンダーフィル材料18は、基板11と半導体素子12の間隙Gから、半導体素子12、接着シート14及び接着シート15の表面(側端面)、並びに凹部16aの下面に渡って設けられている。アンダーフィル材料18には、例えば、熱可塑性樹脂が用いられる。
【0019】
また、基板11の下面の電極部には、例えば、半田ボール19が搭載される。基板11の下面の電極部、そこに搭載される半田ボール19は、半導体装置10の外部接続端子となる。
【0020】
上記のような構成を有する半導体装置10は、例えば、次のようにして形成することができる。
図2〜
図4は第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図2(A)は半導体素子の実装工程の一例を示す図、
図2(B)は接着シートの配設工程の一例を示す図である。
図3(A)はリッドへの接着シート及びアンダーフィル材料の配設工程の一例を示す図、
図3(B)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図、
図3(C)は半田ボールの搭載工程の一例を示す図である。また、
図4は
図3(B)の接合工程の説明図であって、
図4(A)は位置合わせ工程の一例を示す図、
図4(B)は押圧工程の一例を示す図、
図4(C)はアンダーフィル材料充填工程の一例を示す図である。
【0021】
図2(A)に示すように、半導体素子12のバンプ13を基板11の電極部に接続し、半導体素子12を基板11にフリップチップ接続する。そして、半導体素子12の上面に、
図2(B)に示すように、接着シート14を接合(仮接合)する。このようにして、基板11に実装された半導体素子12の上面に接着シート14が接合された構造体(基板部)20を得る。
【0022】
また、
図3(A)に示すような、凹部16aを有するリッド16を準備する。リッド16の凹部16aの内面(底面)に、接着シート15を接合(仮接合)し、リッド16の端面(側周部(側壁部)の上端面)に、接着シート17を接合(仮接合)する。そして、接着シート15上に、アンダーフィル材料18を配置する。このようにして、リッド16に接着シート15及び接着シート17が接合され、接着シート15上にアンダーフィル材料18が配置された構造体(リッド部)30を得る。尚、リッド16の端面には、接着シート17に替えて、流動性、硬化性を示す接着材を用いてもよい。
【0023】
上記のようにして基板部20及びリッド部30を得た後、基板部20とリッド部30とを重ね合わせ、押圧することで、
図3(B)に示すような構造を得る。
その際は、まず、
図4(A)に示すように、
図3(A)の工程で得られたリッド部30の上に、
図2(B)の工程で得られた基板部20を配置する。基板部20は、反転させ、その半導体素子12及び接着シート14の側を、リッド部30の接着シート15及びアンダーフィル材料18の側に対向させる。そして、対向させた基板部20とリッド部30の位置合わせを行う。
【0024】
次いで、
図4(B)に示すように、リッド部30と基板部20を一体で反転させ(正立)、プレス機等を用いて荷重をかけ、押圧する。例えば、接着シート17と基板11、及び接着シート14と接着シート15が接触するように、基板部20とリッド部30とを押圧する。尚、
図4(B)には、その押圧途中の状態を例示している。
【0025】
この押圧により、基板部20の接着シート14とリッド部30の接着シート15との間のアンダーフィル材料18が側方に押し出される。押し出されたアンダーフィル材料18は、半導体素子12の側面を伝わり、基板11側へと流下する。このようにして接着シート14と接着シート15の間から押し出されて流下したアンダーフィル材料18を、
図4(C)に示すように、基板11と半導体素子12のギャップGに充填させていく。アンダーフィル材料18は、毛細管現象によってギャップGに充填されていく。
【0026】
アンダーフィル材料18をギャップGへ充填させるため、例えばアンダーフィル材料18に熱可塑性樹脂を用いている場合であれば、押圧時に基板11を加熱し、アンダーフィル材料18の粘度を低下させて、ギャップGへの充填を促進させることができる。
【0027】
アンダーフィル材料18のギャップGへの充填後、アンダーフィル材料18、接着シート14、接着シート15、及び接着シート17を硬化させることで、
図3(B)のような構造を有する半導体装置(半導体パッケージ)10が得られる。基板11に実装された半導体素子12は、ギャップG及び側面が、接着シート14と接着シート15の間から押し出されたアンダーフィル材料18で被覆され、固定される。更に、接着シート14及び接着シート15の側面も、押し出されたアンダーフィル材料18で被覆され、固定される。
【0028】
図3(B)のような構造を有する半導体装置10の取得後は、例えば、
図3(C)に示すように、基板11の下面の電極部に半田ボール19を搭載する。これにより、BGA(Ball Grid Array)タイプの半導体装置(半導体パッケージ)10が形成される。尚、このような半田ボール19の搭載を行わず、
図3(B)の半導体装置10を、LGA(Land Grid Array)タイプの半導体パッケージとすることもできる。
【0029】
このように半導体装置10では、半導体素子12とリッド16とが接着シート14及び接着シート15を介して熱的に接合され、更に、接着シート14及び接着シート15がアンダーフィル材料18で被覆される。これにより、半導体素子12とリッド16の間の熱界面材料領域に、アンダーフィル材料から生じるガスでボイドが発生したり、半導体素子12及びリッド16と熱界面材料との間に剥離やクラックが発生したりするのを抑制することが可能になる。
【0030】
ここで、比較のため、別の形態に係る半導体装置について説明する。
図5及び
図6は別の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図5(A)は半導体素子の実装工程の一例を示す図、
図5(B)はアンダーフィル材料の充填工程の一例を示す図、
図5(C)は半導体素子への熱界面材料の配設工程の一例を示す図である。
図6(A)はリッドへの接着シートの配設工程の一例を示す図、
図6(B)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図、
図6(C)は半田ボールの搭載工程の一例を示す図である。
【0031】
まず、
図5(A)に示すように、半導体素子12のバンプ13を基板11の電極部に接続し、半導体素子12を基板11にフリップチップ接続する。次いで、
図5(B)に示すように、基板11と半導体素子12のギャップGに、例えばディスペンサ40を用いて、アンダーフィル材料18を充填する。そして、アンダーフィル材料18の充填後、
図5(C)に示すように、半導体素子12の上面に、例えばディスペンサ41を用いて、熱伝導性の熱界面材料42を塗布する。この熱界面材料42には、例えば、金属等の熱伝導性フィラーを含有する、流動性、硬化性を示す樹脂材料が用いられる。このようにして、基板11と半導体素子12のギャップGにアンダーフィル材料18が充填され、半導体素子12の上面に熱界面材料42が塗布された構造体(基板部)20Aを得る。
【0032】
また、
図6(A)に示すように、凹部16aを有するリッド16の端面(側周部の上端面)に、接着シート17を接合(仮接合)し、構造体(リッド部)30Aを得る。尚、リッド16の端面には、接着シート17に替えて、流動性、硬化性を示す接着材を用いてもよい。そして、
図6(B)に示すように、基板部20Aとリッド部30Aとを重ね合わせ、加熱、押圧する。それにより、接着シート17及び熱界面材料42を硬化させ、半導体装置10Aを得る。このようにして得られる
図6(B)のような半導体装置10Aを、LGAタイプの半導体パッケージとすることができる。
【0033】
また、
図6(B)のような半導体装置10Aの取得後、例えば、
図6(C)に示すように、基板11の下面の電極部に半田ボール19を搭載し、BGAタイプの半導体装置(半導体パッケージ)10Aを得ることもできる。
【0034】
半導体装置10Aでは、熱界面材料42が半導体素子12及びリッド16に直接接合される。この場合、硬化後の熱界面材料42の弾性率が比較的高かったり、硬化後の熱界面材料42と半導体素子12との間或いはリッド16との間の密着性が比較的弱かったりすると、後の加熱を伴う工程での熱応力で、熱界面材料42の剥離が生じる可能性がある。尚、熱応力は、半導体素子12とリッド16の間の熱膨張係数差に起因して生じ、このような熱応力を生じさせる工程としては、上記のような半田ボール19の搭載工程、半導体装置10Aの形成後に行われる温度サイクル試験(信頼性試験)工程等が挙げられる。また、半導体装置10Aでは、熱界面材料42の硬化時にガスが発生し、そのガスによって硬化後の熱界面材料42内にボイドが残る可能性がある。
【0035】
熱界面材料42に剥離やボイドが生じると、半導体素子12とリッド16の間の熱抵抗が増大し、半導体素子12で発生する熱をリッド16へ効率的に伝熱することができず、半導体素子12の過熱を引き起こす恐れがある。このような過熱は、半導体素子12の破損を招く可能性がある。
【0036】
また、
図7は更に別の形態に係る半導体装置の一例の説明図である。尚、
図7(A)は半導体装置の断面模式図、
図7(B)は半導体装置の熱界面材料領域ARの平面模式図、
図7(C)は半導体装置の熱界面材料領域ARの部分拡大模式図である。
【0037】
図7(A)に示す半導体装置(半導体パッケージ)10Bは、樹脂材料43を半導体素子12とリッド16の間、及び半導体素子12と基板11のギャップGに設けた構造を有している。樹脂材料43には、流動性、硬化性を示す樹脂材料が用いられる。半導体装置10Bでは、基板11に実装された半導体素子12が樹脂材料43によって被覆されている。半導体装置10Bでは、樹脂材料43が半導体素子12とリッド16の間の熱界面材料として用いられると共に、半導体素子12と基板11の間のアンダーフィル材料としても用いられている。
【0038】
このような構成を有する半導体装置10Bでは、熱界面材料領域ARの半導体素子12とリッド16の間に設けられる樹脂材料43に、その硬化時に発生するガスによって、
図7(B)に示すようにボイド44が発生する可能性がある。また、硬化後の樹脂材料43が、比較的高弾性率である場合や、半導体素子12との間或いはリッド16との間の密着性が比較的弱い場合、後の加熱を伴う工程での熱応力で、
図7(C)に示すように樹脂材料43の剥離45が生じる可能性がある。
【0039】
これらの半導体装置10A,10Bに対し、上記の半導体装置10(
図1)では、半導体素子12とリッド16を、接着シート14及び接着シート15を介して熱的に接合し、接着シート14及び接着シート15をアンダーフィル材料18で被覆して固定する。
【0040】
半導体装置10では、その形成時に、接着シート14と接着シート15が互いに接合され、それらの間のアンダーフィル材料18が押し出される(
図4)。そのため、半導体素子12とリッド16に挟まれた領域に、上記の熱界面材料42や樹脂材料43を用いた時のようなボイドが発生するのを抑制することができる。
【0041】
また、半導体装置10では、半導体素子12の上面の接着シート14と、リッド16の下面の接着シート15とが互いに接合され、それらの間から押し出されたアンダーフィル材料18で被覆されて固定される(
図4)。接着シート14及び接着シート15に、アンダーフィル材料18よりも低弾性率のものを用いることで、接着シート14及び接着シート15は、後の加熱を伴う工程で生じる熱応力を緩和し、半導体素子12やリッド16の一定の変形(反り等)に追従する。そのため、接着シート14及び接着シート15と半導体素子12及びリッド16との界面の剥離を抑制することができる。
【0042】
基板11と半導体素子12のギャップG、半導体素子12、接着シート14及び接着シート15の側面を被覆しているアンダーフィル材料18は、上記のような熱応力による変形自体を抑制する効果がある。このようなアンダーフィル材料18の存在により、接着シート14及び接着シート15と半導体素子12及びリッド16との界面の剥離が一層効果的に抑制される。
【0043】
図8は半導体素子の上面にのみ接着シートを接合した半導体装置の説明図、
図9はリッドの下面にのみ接着シートを接合した半導体装置の説明図である。尚、
図8(A)及び
図9(A)は半導体装置の断面模式図、
図8(B)及び
図9(B)は半導体装置の熱界面材料領域ARの部分拡大模式図である。
【0044】
図8(A)には、半導体素子12の上面にのみ接着シート14を接合し、リッド16の下面には接着シート15を接合していない半導体装置(半導体パッケージ)10Cを図示している。即ち、半導体装置10Cでは、リッド16の下面には、比較的高弾性率のアンダーフィル材料18が接合され、半導体素子12の上面には、熱伝導性を有する比較的低弾性率の接着シート14が接合されている。半導体装置10Cでは、加熱を伴う工程での熱応力で生じる半導体素子12の一定の変形に対し、アンダーフィル材料18が追従変形できず、
図8(B)に示すように、リッド16とアンダーフィル材料18の界面で剥離46が生じる可能性がある。
【0045】
また、
図9(A)には、リッド16の下面にのみ接着シート15を接合し、半導体素子12の上面には接着シート14を接合していない半導体装置(半導体パッケージ)10Dを図示している。即ち、半導体装置10Dでは、半導体素子12の上面には、比較的高弾性率のアンダーフィル材料18が接合され、リッド16の下面には、熱伝導性を有する比較的低弾性率の接着シート15が接合されている。半導体装置10Dでは、加熱を伴う工程での熱応力で生じる半導体素子12の一定の変形に対し、アンダーフィル材料18が追従変形できず、
図9(B)に示すように、半導体素子12とアンダーフィル材料18の界面で剥離47が生じる可能性がある。
【0046】
このような半導体装置10C,10Dに対し、上記の半導体装置10(
図1)では、半導体素子12の上面とリッド16の下面の双方にそれぞれ接着シート14と接着シート15を接合する。そのため、半導体素子12の上面及びリッド16の下面における剥離の発生を共に抑制することができる。
【0047】
尚、第1の実施の形態に係る半導体装置10の形成方法では、
図5(B)で述べたような、基板11と半導体素子12のギャップGにディスペンサ40を用いてアンダーフィル材料18を充填する工程を省略することができる。
【0048】
また、接着シート14と接着シート15の間には、必ずしもアンダーフィル材料18が完全に押し出されていることを要しない。接着シート14と接着シート15の間にアンダーフィル材料18が残っても、その残ったアンダーフィル材料18で接着シート14と接着シート15の間隙が埋められ、熱抵抗の増大を抑制することができる。また、接着シート14と接着シート15に低弾性率のものを用いることで、それらの間にアンダーフィル材料18が残っても、ボイドが残存するのを抑制することができる。
【0049】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図10は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図10は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例の断面模式図である。
【0050】
図10に示す半導体装置(半導体パッケージ)10aは、半導体素子12の上面の接着シート14が側方に延出され、リッド16の下面の接着シート15が接着シート14の延出方向と異なる側方に延出された構造を有する。
【0051】
半導体装置10aにおいて、接着シート14は、半導体素子12の少なくとも一の側方を除く側方に延出された延出部14aを有し、接着シート15は、接着シート14が延出されていない側方に延出された延出部15aを有している。即ち、接着シート14と接着シート15とは、互いに重ならない部位を有するような形状、配置とされている。アンダーフィル材料18は、基板11と半導体素子12のギャップGに充填されると共に、半導体素子12、延出部14aを有する接着シート14、及び延出部15aを有する接着シート15の表面を被覆している。
【0052】
上記のような構成を有する半導体装置10aは、例えば、次のようにして形成される。
図11〜
図13は第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図11(A)は半導体素子の実装工程の一例を示す図、
図11(B)は接着シートの配設工程の一例を示す図である。
図12(A)はリッドへの接着シート及びアンダーフィル材料の配設工程の一例を示す図、
図12(B)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図、
図12(C)は半田ボールの搭載工程の一例を示す図である。また、
図13は
図12(B)の接合工程の説明図であって、
図13(A)は位置合わせ工程の一例を示す図、
図13(B)は押圧工程の一例を示す図、
図13(C)はアンダーフィル材料充填工程の一例を示す図である。
【0053】
図11(A)に示すように、半導体素子12のバンプ13を基板11の電極部に接続し、半導体素子12を基板11にフリップチップ接続する。そして、半導体素子12の上面に、
図11(B)に示すように、接着シート14を接合(仮接合)する。ここでは、半導体素子12の平面サイズよりも大きな接着シート14を、その一部が半導体素子12の少なくとも一の側方を除く側方に延出するように、接合する。このようにして、基板11に実装された半導体素子12の上面に、延出部14aを有する接着シート14が接合された構造体(基板部)20aを得る。尚、基板11と半導体素子12のギャップGにディスペンサ等を用いてアンダーフィル材料を充填する工程は省略できる。
【0054】
また、
図12(A)に示すような、凹部16aを有するリッド16を準備する。リッド16の凹部16aの内面(底面)に、接着シート15を接合(仮接合)し、リッド16の端面(側周部の上端面)に、接着シート17を接合(仮接合)する。ここで、凹部16aの内面に接合する接着シート15には、半導体素子12の平面サイズよりも大きなものを用いる。このような接着シート15を、後述のように基板部20aの接着シート14と接合した時に、その延出部14aの延出方向と異なる方向に接着シート15の一部が延出されるような位置に、配置する。そして、このような位置に配置した接着シート15上に、その延出されることとなる一部即ち延出部15aの側に偏らせて、アンダーフィル材料18を配置する。このようにして、リッド16の所定位置に接着シート15及び接着シート17が接合され、接着シート15上の所定位置にアンダーフィル材料18が配置された構造体(リッド部)30aを得る。尚、リッド16の端面には、接着シート17に替えて、流動性、硬化性を示す接着材を用いてもよい。
【0055】
上記のようにして基板部20a及びリッド部30aを得た後、基板部20aとリッド部30aとを重ね合わせ、押圧することで、
図12(B)に示すような構造を得る。
その際は、まず、
図13(A)に示すように、
図12(A)の工程で得られたリッド部30aの上に、
図11(B)の工程で得られた基板部20aを反転させて配置する。それにより、基板部20aの半導体素子12及び接着シート14の側を、リッド部30aの接着シート15及びアンダーフィル材料18の側に対向させる。そして、対向させた基板部20aとリッド部30aの位置合わせを行う。
【0056】
次いで、
図13(B)に示すように、リッド部30aと基板部20aを一体で反転させ(正立)、プレス機等を用いて荷重をかけ、押圧する。例えば、接着シート17と基板11、及び接着シート14と接着シート15が接触するように、基板部20aとリッド部30aとを押圧する。尚、
図13(B)には、その押圧途中の状態を例示している。この押圧により、基板部20aの接着シート14とリッド部30aの接着シート15との間のアンダーフィル材料18が側方に押し出される。
【0057】
アンダーフィル材料18は、上記のように、予め接着シート15の延出部15a側に偏らせて配置されている。基板部20aとリッド部30aの押圧により、アンダーフィル材料18は、接着シート15の延出部15a側(接着シート14の延出部14aが設けられていない側)に比較的多く押し出され、半導体素子12の側面を伝わり、基板11側へと流下する。一方、接着シート14の延出部14a側(接着シート15の延出部15aが設けられていない側)に押し出されるアンダーフィル材料18の量は比較的少なく、また、その延出部14aの存在により、基板11側への流下量も抑えられる。これにより、基板11と半導体素子12のギャップGは、接着シート14の延出部14aが設けられていない側から流下してくるアンダーフィル材料18によって充填され易くなる。即ち、例えば
図13(B)の矢印方向D1のように、ギャップGを流れるアンダーフィル材料18の流動方向を調整することができる。
【0058】
このようにアンダーフィル材料18を特定方向に流動させ、
図13(C)に示すように、基板11と半導体素子12のギャップGに充填させる。アンダーフィル材料18をギャップGへ充填させるため、例えばアンダーフィル材料18に熱可塑性樹脂を用いている場合であれば、押圧時に基板11を加熱し、アンダーフィル材料18の粘度を低下させてギャップGへの充填を促進させることができる。
【0059】
アンダーフィル材料18のギャップGへの充填後、アンダーフィル材料18、接着シート14、接着シート15、及び接着シート17を硬化させることで、
図12(B)のような構造を有する半導体装置10aが得られる。これをLGAタイプの半導体パッケージとして得ることができるほか、
図12(C)に示すように、基板11の下面の電極部に半田ボール19を搭載してBGAタイプの半導体装置(半導体パッケージ)10aを得ることもできる。
【0060】
この第2の実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様に、半導体素子12とリッド16の間にボイドが生じるのを抑制することができる。また、接着シート14及び接着シート15がアンダーフィル材料18で被覆され、加熱を伴う工程で生じる熱応力に起因した接着シート14及び接着シート15と半導体素子12及びリッド16との界面の剥離を抑制することができる。
【0061】
更に、この第2の実施の形態では、接着シート14及び接着シート15にそれぞれ所定方向に延出される延出部14a及び延出部15aを設けることで、ギャップGに充填されるアンダーフィル材料18の流動方向を調整する。これにより、ギャップGにアンダーフィル材料18を充填する際の気体(例えば空気)の巻き込みを抑制し、ギャップGにおけるアンダーフィル材料18の未充填領域(ボイド)の発生を抑制することができる。その結果、基板11と半導体素子12の接続信頼性に優れた半導体装置10aを実現することが可能になる。
【0062】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図14は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図14は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例の断面模式図である。
【0063】
図14に示す半導体装置(半導体パッケージ)10bは、半導体素子12を囲繞するように設けられた凸部16bを有するリッド16が用いられた構造を有する。半導体装置10bは、リッド16の凸部16bの外側に、基板11に実装された電子部品50を有する。電子部品50は、例えば、チップコンデンサ等のチップ部品である。
【0064】
半導体装置10bでは、リッド16の凸部16bの内側に実装される半導体素子12の上面に、接着シート14が接合され、リッド16の下面の、凸部16bの内側に、接着シート15が接合されている。凸部16bは、その下端面に設けられた接着シート17を介して、基板11に接合されている。アンダーフィル材料18は、リッド16の凸部16bで囲まれた領域に充填され、基板11と半導体素子12のギャップGに充填されると共に、半導体素子12、接着シート14及び接着シート15の表面を被覆している。
【0065】
上記のような構成を有する半導体装置10bは、例えば、次のようにして形成される。
図15〜
図17は第3の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図15(A)は半導体素子及び電子部品の実装工程の一例を示す図、
図15(B)は接着シートの配設工程の一例を示す図である。
図16(A)はリッドへの接着シート及びアンダーフィル材料の配設工程の一例を示す図、
図16(B)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図、
図16(C)は半田ボールの搭載工程の一例を示す図である。また、
図17は
図16(B)の接合工程の説明図であって、
図17(A)は位置合わせ工程の一例を示す図、
図17(B)は押圧工程の一例を示す図、
図17(C)はアンダーフィル材料充填工程の一例を示す図である。
【0066】
図15(A)に示すように、半導体素子12のバンプ13を基板11の電極部に接続し、半導体素子12を基板11にフリップチップ接続する。また、チップコンデンサ等の電子部品50を、その電極を基板11の電極部に接続し、基板11上に実装する。そして、半導体素子12の上面に、
図15(B)に示すように、接着シート14を接合(仮接合)する。このようにして、基板11に半導体素子12及び電子部品50が実装され、半導体素子12の上面に接着シート14が接合された構造体(基板部)20bを得る。尚、基板11と半導体素子12のギャップGにディスペンサ等を用いてアンダーフィル材料を充填する工程は省略できる。
【0067】
また、
図16(A)に示すような、凹部16a及び凸部16bを有するリッド16を準備する。リッド16の凹部16aの内面(底面)で、凸部16bの内側の領域に、接着シート14よりも大きな平面サイズを有する接着シート15を接合(仮接合)する。更に、リッド16の端面及び凸部16bの端面(上端面)に、接着シート17を接合(仮接合)する。そして、凸部16bの内側の接着シート15上に、アンダーフィル材料18を配置する。このようにして、リッド16に接着シート15及び接着シート17が接合され、接着シート15上にアンダーフィル材料18が配置された構造体(リッド部)30bを得る。
【0068】
上記のようにして基板部20b及びリッド部30bを得た後、基板部20bとリッド部30bとを重ね合わせ、押圧することで、
図16(B)に示すような構造を得る。
その際は、まず、
図17(A)に示すように、リッド部30bの上に基板部20bを反転させて両者を対向させ、位置合わせを行う。
【0069】
次いで、
図17(B)に示すように、リッド部30bと基板部20bを一体で反転させ(正立)、プレス機等を用いて荷重をかけ、押圧する。この押圧により、基板部20bの接着シート14とリッド部30bの接着シート15との間のアンダーフィル材料18が側方に押し出され、基板11側へと流下する。このように押し出されて流下したアンダーフィル材料18が、
図17(C)に示すように、基板11と半導体素子12のギャップGに充填されていく。アンダーフィル材料18に熱可塑性樹脂を用いている場合には、押圧時に基板11を加熱し、アンダーフィル材料18の粘度を低下させてギャップGへの充填を促進させることができる。押圧により押し出されたアンダーフィル材料18は、リッド16の凸部16bより内側の領域に充填され、凸部16bより外側の領域への流出は抑制される。
【0070】
アンダーフィル材料18のギャップGへの充填後、アンダーフィル材料18、接着シート14、接着シート15、及び接着シート17を硬化させることで、
図16(B)のような構造を有する半導体装置10bが得られる。これをLGAタイプの半導体パッケージとして得ることができるほか、
図16(C)に示すように、基板11の下面の電極部に半田ボール19を搭載してBGAタイプの半導体装置10bを得ることもできる。
【0071】
この第3の実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様に、半導体素子12とリッド16の間にボイドが生じるのを抑制することができる。
更に、この第3の実施の形態では、リッド16に半導体素子12を囲むような凸部16bを設けることで、凸部16bの内側の領域にアンダーフィル材料18を充填する。凸部16bの内側の領域にアンダーフィル材料18を充填することで、接着シート14及び接着シート15がアンダーフィル材料18で被覆されると共に、アンダーフィル材料18とリッド16の内面との接着面積が増大する。これにより、加熱を伴う工程で生じる熱応力による半導体素子12の変形を抑制することができると共に、熱応力に起因した接着シート14及び接着シート15と半導体素子12及びリッド16との界面の剥離を抑制することができる。
【0072】
また、この第3の実施の形態では、リッド16に凸部16bを設けることで、接着シート14と接着シート15の間から押し出されたアンダーフィル材料18が、凸部16bの外側に流出して電子部品50に付着するのを抑制することができる。
【0073】
次に、第4の実施の形態について説明する。
図18は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図18は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例の断面模式図である。
【0074】
図18に示す半導体装置(半導体パッケージ)10cは、半導体素子12の上面の接着シート14の一部を側方に延出させた延出部14aを設けている点で、上記第3の実施の形態に係る半導体装置10bと相違する。
【0075】
半導体装置10cにおいて、接着シート14は、半導体素子12の少なくとも一の側方を除く側方に、リッド16の凸部16bに達するように延出された延出部14aを有している。アンダーフィル材料18は、基板11と半導体素子12のギャップGに充填されると共に、半導体素子12、延出部14aを有する接着シート14、及び接着シート15の表面を被覆している。
【0076】
上記のような構成を有する半導体装置10cは、例えば、次のようにして形成される。
図19〜
図21は第4の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図19(A)は半導体素子及び電子部品の実装工程の一例を示す図、
図19(B)は接着シートの配設工程の一例を示す図である。
図20(A)はリッドへの接着シート及びアンダーフィル材料の配設工程の一例を示す図、
図20(B)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図、
図20(C)は半田ボールの搭載工程の一例を示す図である。また、
図21は
図20(B)の接合工程の説明図であって、
図21(A)は位置合わせ工程の一例を示す図、
図21(B)は押圧工程の一例を示す図、
図21(C)はアンダーフィル材料充填工程の一例を示す図である。
【0077】
図19(A)に示すように、半導体素子12及び電子部品50を基板11上に実装する。そして、半導体素子12の上面に、
図19(B)に示すように、半導体素子12の平面サイズよりも大きな接着シート14を、その一部が半導体素子12の少なくとも一の側方を除く側方に延出するように、接合(仮接合)する。このようにして、基板11に半導体素子12及び電子部品50が実装され、半導体素子12の上面に、延出部14aを有する接着シート14が接合された、構造体(基板部)20cを得る。尚、基板11と半導体素子12のギャップGにディスペンサ等を用いてアンダーフィル材料を充填する工程は省略できる。
【0078】
また、
図20(A)に示すような、凹部16a及び凸部16bを有するリッド16を準備する。リッド16の凹部16aの内面(底面)で、凸部16bの内側の領域に、接着シート14よりも大きな平面サイズを有する接着シート15を接合(仮接合)する。更に、リッド16の端面及び凸部16bの端面(上端面)に、接着シート17を接合(仮接合)する。そして、接着シート15上に、アンダーフィル材料18を配置する。このようにして、リッド16に接着シート15及び接着シート17が接合され、接着シート15上にアンダーフィル材料18が配置された構造体(リッド部)30cを得る。
【0079】
上記のようにして基板部20c及びリッド部30cを得た後、基板部20cとリッド部30cとを重ね合わせ、押圧することで、
図20(B)に示すような構造を得る。
その際は、まず、
図21(A)に示すように、リッド部30cの上に基板部20cを反転させて両者を対向させ、位置合わせを行う。
【0080】
次いで、
図21(B)に示すように、リッド部30cと基板部20cを一体で反転させ(正立)、プレス機等を用いて荷重をかけ、押圧する。この押圧により、基板部20cの接着シート14とリッド部30cの接着シート15との間のアンダーフィル材料18が側方に押し出される。この例の場合、アンダーフィル材料18は、接着シート14の延出部14aが設けられていない側に押し出され、半導体素子12の側面を伝わり、基板11側へと流下する。接着シート14の延出部14a側へのアンダーフィル材料18の押し出しは抑制される。これにより、基板11と半導体素子12のギャップGは、接着シート14の延出部14aが設けられていない側から流下してくるアンダーフィル材料18により、例えば
図21(B)の矢印方向D2に向かって充填されていくようになる。
【0081】
このようにアンダーフィル材料18を特定方向に流動させ、
図21(C)に示すように、基板11と半導体素子12のギャップGに充填させる。アンダーフィル材料18をギャップGへ充填させるため、例えばアンダーフィル材料18に熱可塑性樹脂を用いている場合であれば、押圧時に基板11を加熱し、アンダーフィル材料18の粘度を低下させてギャップGへの充填を促進させることができる。
【0082】
アンダーフィル材料18のギャップGへの充填後、アンダーフィル材料18、接着シート14、接着シート15、及び接着シート17を硬化させることで、
図20(B)のような構造を有する半導体装置10cが得られる。これをLGAタイプの半導体パッケージとして得ることができるほか、
図20(C)に示すように、基板11の下面の電極部に半田ボール19を搭載してBGAタイプの半導体装置10cを得ることもできる。
【0083】
この第4の実施の形態でも、半導体素子12とリッド16の間にボイドが生じるのを抑制することができ、また、加熱を伴う工程で生じる熱応力に起因した接着シート14及び接着シート15と半導体素子12及びリッド16との界面の剥離を抑制することができる。更に、ギャップGにアンダーフィル材料18を充填する際の気体(例えば空気)の巻き込みを抑制し、ギャップGにおけるアンダーフィル材料18の未充填領域(ボイド)の発生を抑制することができる。また、接着シート14と接着シート15の間から押し出されたアンダーフィル材料18が、凸部16bの外側に流出して電子部品50に付着するのを抑制することができる。
【0084】
次に、第5の実施の形態について説明する。
図22は第5の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図22は第5の実施の形態に係る半導体装置の一例の断面模式図である。
【0085】
図22に示す半導体装置(半導体パッケージ)10dは、半導体素子12とリッド16の間に設ける熱界面材料として、半田シート60を用いた構造を有する。半導体装置10dでは、半導体素子12の上面に、金(Au)メッキ層等の表面処理層61が設けられ、リッド16の下面にも同様に、Auメッキ層等の表面処理層62が設けられている。半導体装置10dの半導体素子12とリッド16は、半田シート60、表面処理層61及び表面処理層62によって熱的に接合されている。アンダーフィル材料18は、基板11と半導体素子12のギャップGに充填されると共に、半導体素子12、半田シート60、表面処理層61及び表面処理層62の表面を被覆している。
【0086】
上記のような構成を有する半導体装置10dは、例えば、次のようにして形成される。
図23及び
図24は第5の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図23(A)は半導体素子の実装工程の一例を示す図、
図23(B)はリッドへの半田シート及び接着シート並びにアンダーフィル材料の配設工程の一例を示す図、
図23(C)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図、
図23(D)は半田ボールの搭載工程の一例を示す図である。また、
図24は
図23(C)の接合工程の説明図であって、
図24(A)は位置合わせ工程の一例を示す図、
図24(B)は押圧工程の一例を示す図、
図24(C)はアンダーフィル材料充填工程の一例を示す図である。
【0087】
図23(A)に示すように、バンプ13の配設面と反対側の面に表面処理層61を設けた半導体素子12を準備し、その半導体素子12のバンプ13を基板11の電極部に接続し、半導体素子12を基板11に実装する。これにより、
図23(A)に示すような構造体(基板部)20dを得る。尚、基板11と半導体素子12のギャップGにディスペンサ等を用いてアンダーフィル材料を充填する工程は省略できる。
【0088】
また、
図23(B)に示すような、凹部16aを有するリッド16を準備し、凹部16aの内面(底面)に表面処理層62を設け、その表面処理層62上に半田シート60を配置(仮付け)し、更にその半田シート60上にアンダーフィル材料18を配置する。尚、アンダーフィル材料18には、フラックスを含むもの、或いはフラックスとして機能するものを用いる。また、リッド16の端面(側周部の上端面)に、接着シート17を接合(仮接合)する。これにより、
図23(B)に示すような構造体(リッド部)30dを得る。
【0089】
上記のような基板部20d及びリッド部30dを得た後、基板部20dとリッド部30dとを重ね合わせ、押圧、加熱することで、
図23(C)に示すような構造を得る。
その際は、まず、
図24(A)に示すように、リッド部30dの上に基板部20dを反転させて両者を対向させ、位置合わせを行う。
【0090】
次いで、
図24(B)に示すように、リッド部30dと基板部20dを一体で反転させ(正立)、プレス機等を用いて荷重をかけ、押圧する。この押圧により、半導体素子12の表面処理層61と半田シート60との間のアンダーフィル材料18が側方に押し出され、基板11側へと流下する。流下したアンダーフィル材料18は、
図24(C)に示すように、基板11と半導体素子12のギャップGに充填されていく。アンダーフィル材料18に熱可塑性樹脂を用いている場合には、押圧時に基板11を加熱し、アンダーフィル材料18の粘度を低下させてギャップGへの充填を促進させることができる。尚、この時の基板11の加熱は、半田シート60の融点未満の温度で行う。
【0091】
アンダーフィル材料18のギャップGへの充填後、アンダーフィル材料18及び接着シート17を硬化させ、半田シート60を加熱溶融させることで、
図23(C)のような構造を有する半導体装置10dが得られる。これをLGAタイプの半導体パッケージとして得ることができるほか、
図23(D)に示すように、基板11の下面の電極部に半田ボール19を搭載してBGAタイプの半導体装置10dを得ることもできる。
【0092】
半導体装置10dでは、その形成時に半田シート60と半導体素子12の間から押し出されたアンダーフィル材料18により、半導体素子12のほか、半田シート60が被覆される。そのため、その後、半田シート60が加熱溶融されても、溶融した半田の周囲への飛び出しが抑制される。
【0093】
ここで、比較のため、別の形態に係る半導体装置について説明する。
図25は別の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図25(A)は半導体素子の実装工程の一例を示す図、
図25(B)はアンダーフィル材料の充填工程の一例を示す図、
図25(C)はリッドへの半田シート及び接着シートの配設工程の一例を示す図、
図25(D)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図、
図25(E)は半田ボールの搭載工程の一例を示す図である。
【0094】
図25(A)に示すように、表面処理層61を設けた半導体素子12のバンプ13を基板11の電極部に接続し、半導体素子12を基板11に実装する。そして、
図25(B)に示すように、基板11と半導体素子12のギャップGにディスペンサ40を用いてアンダーフィル材料18を充填する。
【0095】
図25(C)に示すようなリッド16の凹部16aの内面(底面)に、表面処理層62を設け、その表面処理層62上に半田シート60を配置(仮付け)し、リッド16の端面(側周部の上端面)に、接着シート17を接合(仮接合)する。
【0096】
図25(B)の工程後に得られる構造体(基板部)と、
図25(C)の工程後に得られる構造体(リッド部)とを重ね合わせ、押圧、加熱することで、
図25(D)に示すような半導体装置(半導体パッケージ)10Eを得る。これをLGAタイプの半導体パッケージとして得ることができるほか、
図25(E)に示すように、基板11の下面の電極部に半田ボール19を搭載してBGAタイプの半導体装置10Eを得ることもできる。
【0097】
半導体装置10Eでは、半田ボール19の搭載工程や半導体装置10Eの形成後に行われる温度サイクル試験工程等、加熱を伴う工程において、半田シート60が溶融し、溶融した半田が半導体素子12上から流出したり飛散したりすることが起こり得る。半導体素子12周辺の基板11上に配線パターン等の導電部が表出している場合や、半導体素子12周辺にチップコンデンサ等の電子部品が実装されている場合、そのような導電部や電子部品に流出、飛散した半田が付着すると、ショートが発生する恐れがある。
【0098】
これに対し、上記の半導体装置10dでは、その形成時に半田シート60と半導体素子12の間から押し出されたアンダーフィル材料18で半田シート60が被覆されるため、溶融した半田シート60からの半田の流出、飛散を抑制することができる。
【0099】
次に、第6の実施の形態について説明する。
図26は第6の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の説明図である。尚、
図26(A)は半導体素子及び半田シートの配設工程の一例を示す図、
図26(B)はリッドへの半田シート及び接着シート並びにアンダーフィル材料の配設工程の一例を示す図、
図26(C)はリッド部と基板部の接合工程の一例を示す図である。
【0100】
この第6の実施の形態では、
図26(A)に示すように、基板11にフリップチップ接続した半導体素子12上面の表面処理層61の上に、第1の半田シート60aを設けた構造体(基板部)20eを得る。また、
図26(B)に示すように、凹部16aの内面(底面)に表面処理層62、第2の半田シート60b、アンダーフィル材料18、及び接着シート17を設けた構造体(リッド部)30eを得る。半田シート60aと半田シート60bには、例えば、互いに異なる組成或いは融点の半田を含むシートを用いる。
【0101】
これらの基板部20eとリッド部30eとを重ね合わせ、押圧、加熱する。この押圧により、半田シート60aと半田シート60bの間のアンダーフィル材料18が押し出され、そのアンダーフィル材料18が、ギャップGに充填されると共に、半導体素子12、半田シート60a及び半田シート60bを被覆する。
【0102】
その後、アンダーフィル材料18及び接着シート17の硬化と、半田シート60a及び半田シート60bの加熱溶融を行うことで、
図26(C)のような構造を有する半導体装置(半導体パッケージ)10eを得る。半田シート60aと半田シート60bに異なる組成或いは融点の半田を含むものを用い、加熱温度を調整することで、半導体素子12とリッド16の間に2層の半田層が介在する半導体装置10eを得ることができる。これをLGAタイプの半導体パッケージとして得ることができるほか、更に基板11の下面の電極部に上記のような半田ボール19を搭載してBGAタイプの半導体装置10eを得ることもできる。
【0103】
このような半導体装置10eでも、上記第5の実施の形態に係る半導体装置10dと同様に、半田シート60aと半田シート60bがアンダーフィル材料18で被覆されるため、半田の流出、飛散を効果的に抑制することができる。これにより、半導体素子12周辺の基板11上に配線パターン等の導電部が表出している場合や、半導体素子12周辺にチップコンデンサ等の電子部品が実装されている場合でも、流出、飛散した半田が付着することによるショートの発生を抑制することができる。
【0104】
尚、上記第5及び第6の実施の形態において、半導体素子12と半田シート60、若しくは半導体素子12と半田シート60a及び半田シート60bを囲繞する凸部16bを有するリッド16を用いることもできる。これにより、半導体素子12の変形の抑制、アンダーフィル材18や溶融半田の凸部16b外側への飛び出しの抑制等を図ることができる。
【0105】
次に、第7の実施の形態について説明する。
図27は第7の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図27は第7の実施の形態に係る半導体装置の一例の断面模式図である。
【0106】
図27に示す半導体装置(半導体パッケージ)10fは、基板11に実装された半導体素子12を囲繞する側壁部16cを有するリッド16を備え、そのようなリッド16内にアンダーフィル材料18が充填された構造を有する。
【0107】
尚、ここでは半導体素子12の上面に設ける接着シート14を、その半導体素子12と同じ或いは同等の平面サイズとしたが、より大きな平面サイズのものを用い、一部を半導体素子12の側方に延出させてもよい。
【0108】
この半導体装置10fのように、半導体素子12とリッド16の間を接着シート14及び接着シート15を用いて接合し、リッド16内にアンダーフィル材料18を充填することで、ボイドの発生、熱応力に起因した変形や熱界面材料の剥離を抑制することができる。
【0109】
尚、以上述べたように、リッド16には、基板11と接合される形態のものを用いることが、半導体装置の熱応力に対する強度を高める観点から好ましい。
図28は半導体装置の別例の説明図である。
【0110】
例えば、
図28(A)のような板状のリッド70を用い、半導体素子12とリッド70の間、及び半導体素子12と基板11のギャップGに樹脂材料43を設けた半導体装置10Fを想定する。このような半導体装置10Fでは、リッド70による基板11の拘束が弱く、熱応力によって、基板11及びそれに実装された半導体素子12に、凸状に反るような変形が生じ易い。変形は、樹脂材料43の弾性率が低くなるほど生じ易くなる。変形が生じる結果、基板11と半導体素子12の接続部の破損、断絶等の不具合が発生し得る。更に、半導体装置10Fを他の基板71に実装する際、半導体装置10Fに生じている変形のために、
図28(B)のX部に示すように、半導体装置10Fの半田ボール72が、基板71の電極部71aに接合されないことも起こり得る。
【0111】
これに対し、上記の各半導体装置10,10a,10b,10c,10d,10e,10fではいずれも、凹部16aの側周部、凸部16b或いは側壁部16cといった部位を有するリッド16が用いられる。リッド16のそのような部位を基板11と接合することで、リッド16で基板11を拘束し、熱応力による基板11、半導体素子12の反り等の変形を抑制することができる。また、リッド16のそのような部位で囲まれた領域内にアンダーフィル材料18を充填することで、熱応力による基板11、半導体素子12の反り等の変形を抑制することができる。その結果、他の基板71に精度良く実装することのできる半導体装置10,10a,10b,10c,10d,10e,10fを実現することが可能になる。
【0112】
尚、以上の説明では、半導体素子側に1枚のシート、リッド側に1枚のシートを設ける場合を例にした。このほか、半導体素子側に2枚以上のシート、リッド側に2枚以上のシートを積層して設けることも可能である。この場合、積層するシートは、必ずしも同じ或いは同等の平面サイズであることを要せず、例えば、いずれか1枚には上記のような延出部を設けることもできる。
【0113】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 基板と、
前記基板の上方に配設された半導体素子と、
前記半導体素子の上方に配設された放熱体と、
前記基板と前記半導体素子の間に配設された樹脂と
を含み、
前記半導体素子と前記放熱体の間に、
前記半導体素子の上面に配設された熱伝導性の第1シートと、
前記放熱体の下面に配設された熱伝導性の第2シートと
を含むことを特徴とする半導体装置。
【0114】
(付記2) 前記樹脂は、前記基板と前記半導体素子の間に配設されると共に、前記半導体素子、前記第1シート及び前記第2シートを被覆することを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0115】
(付記3) 前記樹脂は、前記放熱体の、前記第2シートの外側の前記下面を被覆することを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
(付記4) 前記第1シート及び前記第2シートは、前記樹脂よりも弾性率が低いことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
【0116】
(付記5) 前記第1シートは、前記上面から前記半導体素子の一側方に延出された延出部を有することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6) 前記放熱体は、前記下面に、前記第1シート及び前記第2シートの外側に配設された凸部を有することを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
【0117】
(付記7) 前記第1シートと前記第2シートとが接触することを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
(付記8) 基板の上方に配設された半導体素子の上面に熱伝導性の第1シートを配設して第1部材を形成する工程と、
放熱体の一面に熱伝導性の第2シートを配設し前記第2シート上に樹脂を配設して第2部材を形成する工程と、
形成された前記第1部材と前記第2部材とを、前記第1シートと前記第2シートが前記樹脂を挟んで対向するように配置する工程と、
配置された前記第1部材と前記第2部材とを押圧し、前記第1シートと前記第2シートの間から前記樹脂を押し出す工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0118】
(付記9) 前記樹脂を押し出す工程後に、前記樹脂を硬化する工程を更に含み、
前記樹脂の硬化後、前記第1シート及び前記第2シートは、前記樹脂よりも弾性率が低いことを特徴とする付記8に記載の半導体装置の製造方法。
【0119】
(付記10) 前記樹脂を押し出す工程は、前記樹脂の粘度を低下させる工程を含むことを特徴とする付記8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記樹脂を押し出す工程は、押し出される前記樹脂を前記基板と前記半導体素子の間に流動させる工程を含むことを特徴とする付記8乃至10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0120】
(付記12) 前記放熱体は、前記第2シートを配設する領域の外側に凸部を有することを特徴とする付記8乃至11のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記13) 前記凸部は、前記半導体素子を囲繞するように配設され、押し出された前記樹脂は、前記凸部の内側の領域に充填されることを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。