(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を送信する無線タグと、タグ通知信号を受信する無線タグリーダとを備え、
前記無線タグリーダは、前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信する無線タグ認証システムであって、
前記無線タグリーダは、
システムIDを自動生成するシステムID生成手段と、
前記タグ通知信号を模擬した信号であって、自動生成したシステムIDを含んでいる模擬信号を送信する模擬信号送信手段とを備え、
送信した模擬信号に応答して送信された応答信号を受信した場合に、模擬信号に含ませたシステムIDは使用されていると判断する一方、その模擬信号に応答した応答信号を受信しないと判断した場合には、模擬信号に含ませたシステムIDは、他の無線タグ認証システムにより使用されていないと判断し、模擬信号に含ませたシステムIDを、この無線タグリーダを含むシステムのIDとして設定する
ことを特徴とする無線タグ認証システム。
人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を送信する無線タグと、タグ通知信号を受信する無線タグリーダとを備え、
前記無線タグリーダは、前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信する無線タグ認証システムであって、
前記無線タグは、前記応答信号を受信した場合、この無線タグに固有の機器IDを含むタグ認証要求信号を送信し、
前記無線タグリーダは、前記タグ認証要求信号を受信した場合、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDと、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDとを照合し、タグ認証要求信号に含まれている機器IDが、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグへ認証応答信号を送信する一方、機器IDが一致しなかった場合には、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDを他システムタグリストに登録し、
前記無線タグは、認証応答信号を受信した場合には、この無線タグの機器IDを含むタグ認証済み信号を送信し、
前記無線タグリーダは、タグ認証済み信号を受信し、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが前記他システムタグリストに登録されている場合、現在設定されているシステムIDは、周囲の他のシステムに利用されていると判断する
ことを特徴とする無線タグ認証システム。
人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を周期的に送信する無線タグと、タグ通知信号を受信する無線タグリーダとを備え、
前記無線タグリーダは、前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信する無線タグ認証システムであって、
前記無線タグは、前記応答信号を受信した場合、この無線タグに固有の機器IDを含むタグ認証要求信号を送信する一方、前記応答信号を受信する期間に受信エラーが発生した場合には、受信エラーが発生したことを記憶し、
前記無線タグリーダは、前記タグ認証要求信号を受信した場合、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDと、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDとを照合し、タグ認証要求信号に含まれている機器IDが、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグへ認証応答信号を送信し、
前記無線タグは、前記受信エラーが発生したことを記憶した後に、前記認証応答信号を受信した場合、前記システムIDが周囲の他のシステムが使用するシステムIDと重複していることを示すシステムID重複信号を前記無線タグリーダに送信し、
前記無線タグリーダは、前記システムID重複信号を受信した場合には、現在設定されているシステムIDは、周囲の他のシステムに利用されていると判断することを特徴とする無線タグ認証システム。
人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を送信する無線タグを備えた無線タグ認証システに含まれ、前記無線タグからタグ通知信号を受信する無線タグリーダであって、
前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信し、
システムIDを自動生成するシステムID生成手段と、
前記タグ通知信号を模擬した信号であって、自動生成したシステムIDを含んでいる模擬信号を送信する模擬信号送信手段とを備え、
送信した模擬信号に応答して送信された応答信号を受信した場合に、模擬信号に含ませたシステムIDは使用されていると判断する一方、その模擬信号に応答した応答信号を受信しないと判断した場合には、模擬信号に含ませたシステムIDは、他の無線タグ認証システムにより使用されていないと判断し、模擬信号に含ませたシステムIDを、この無線タグリーダを含むシステムのIDとして設定する
ことを特徴とする無線タグリーダ。
人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を送信する無線タグを備えた無線タグ認証システムに含まれ、前記無線タグからタグ通知信号を受信する無線タグリーダであって、
前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信し、
無線タグが前記応答信号を受信した場合に送信する、その無線タグに固有の機器IDを含むタグ認証要求信号を受信した場合、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDとを照合し、タグ認証要求信号に含まれている機器IDが、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグへ認証応答信号を送信する一方、機器IDが一致しなかった場合には、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDを他システムタグリストに登録し、
前記無線タグが前記認証応答信号を受信した場合に送信する、この無線タグの機器IDを含むタグ認証済み信号を受信し、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが前記他システムタグリストに登録されている場合、現在設定されているシステムのシステムIDは、周囲の他のシステムに利用されていると判断する
ことを特徴とする無線タグリーダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、無線タグ認証システムにおいては、システムIDは、周囲のシステムが使用するものとは異なる必要がある。そこで、無線タグ認証システムを新規に設置する際に、特許文献1に開示されている技術を適用して、既設のシステムとは異なるシステムIDを自動で設定することが考えられる。特許文献1に開示されている技術を適用する場合、無線タグリーダは、システムIDを含むビーコンを定期的に送信することになる。しかし、ビーコンを定期的に送信すると、このビーコンが無線タグや無線タグリーダが送信する信号と衝突してしまう可能性が定期的に生じ、信号が衝突してしまうと、無線タグと無線タグリーダとの通常の通信が阻害されることになる。
【0009】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、新規にシステムを設置する際に、システムIDを含む信号を周期的に送信することなく、システムIDが周囲のシステムに使用されているかどうかを自動で判断することができる無線タグ認証システムおよび無線タグリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を送信する無線タグと、タグ通知信号を受信する無線タグリーダとを備え、
前記無線タグリーダは、前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信する無線タグ認証システムであって、
前記無線タグリーダは、
システムIDを自動生成するシステムID生成手段と、
前記タグ通知信号を模擬した信号であって、自動生成したシステムIDを含んでいる模擬信号を送信する模擬信号送信手段とを備え、
送信した模擬信号に応答して送信された応答信号を受信した場合に、模擬信号に含ませたシステムIDは使用されていると判断する一方、その模擬信号に応答した応答信号を受信しないと判断した場合には、模擬信号に含ませたシステムIDは、他の無線タグ認証システムにより使用されていないと判断し、模擬信号に含ませたシステムIDを、この無線タグリーダを含むシステムのIDとして設定することを特徴とする。
【0011】
本発明では、無線タグリーダは、無線タグからタグ通知信号を受信した場合、タグ通知信号に含まれているシステムIDと、この無線タグリーダが属するシステムのシステムIDを照合して、両IDが一致している場合に、無線タグへ応答信号を送信する。応答信号を送信するこの処理は、システムIDが設定された後の無線タグと無線タグリーダとの間の通常の通信処理である。本発明では、この通常の通信処理を利用しており、無線タグリーダは、システムIDを自動生成するシステムID生成手段と、タグ通知信号を模擬した信号であって、自動生成したシステムIDを含んでいる模擬信号を送信する模擬信号送信手段とを備える。これらの手段により模擬信号を送信する。模擬信号の送信は、通常、システム設置時に設置担当者の送信指示操作に基づいて行なうことになる。
【0012】
模擬信号は、他の無線タグ認証システムの無線タグリーダにとって、タグ通知信号として認識できることから、他の無線タグ認証システムの無線タグリーダが模擬信号を受信し、その模擬信号に含まれているシステムIDが自身のシステムのシステムIDと一致する場合には応答信号を送信する。一方、一致しない場合には応答信号は送信しない。
【0013】
そこで、模擬信号を送信した無線タグリーダは、送信した模擬信号に応答して送信された応答信号を受信した場合、模擬信号に含ませたシステムIDは使用されていると判断する。一方、その模擬信号に応答した応答信号を受信しないと判断した場合には、模擬信号に含ませたシステムIDは、他の無線タグ認証システムにより使用されていないと判断して、そのIDをシステムIDとして設定するのである。
【0014】
このようにしてシステムIDが使用されているかどうかを自動で判断することができる。また、この判断は、システム設置時に模擬信号を送信することで行えばよいので、既設のシステムの無線タグリーダは、システムIDを含む信号を定期的に送信する必要がなくなる。よって、システムIDを含む信号との衝突により、無線タグと無線タグリーダとの通信が阻害されてしまうことを抑制できる。
【0015】
さらに、この発明では、既設の無線タグリーダは、模擬信号と無線タグが送信したタグ通知信号とを区別する必要がなく、模擬信号を受信した場合にも、無線タグが送信したタグ通知信号を受信した場合と同様の処理(IDの照合と応答信号の送信)を行えばよい。よって、既設のシステムには本発明が適用されていなくても、新規に設置する無線タグ認証システムは、システムIDが使用されているかどうかを自動で判断することができる。
【0016】
また、前述の目的を達成するための請求項2記載の発明は、人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を送信する無線タグと、タグ通知信号を受信する無線タグリーダとを備え、
前記無線タグリーダは、前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信する無線タグ認証システムであって、
前記無線タグは、前記応答信号を受信した場合、この無線タグに固有の機器IDを含むタグ認証要求信号を送信し、
前記無線タグリーダは、前記タグ認証要求信号を受信した場合、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDと、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDとを照合し、タグ認証要求信号に含まれている機器IDが、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグへ認証応答信号を送信する一方、機器IDが一致しなかった場合には、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDを他システムタグリストに登録し、
前記無線タグは、認証応答信号を受信した場合には、この無線タグの機器IDを含むタグ認証済み信号を送信し、
前記無線タグリーダは、タグ認証済み信号を受信し、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが前記他システムタグリストに登録されている場合、現在設定されているシステムIDは、周囲の他のシステムに利用されていると判断することを特徴とする。
【0017】
この請求項2記載の発明でも、無線タグリーダは、無線タグから受信したタグ通知信号に含まれているシステムIDと、この無線タグリーダが属するシステムのシステムIDが一致した場合には応答信号を送信する。さらに、本発明では、無線タグは、応答信号を受信したら、次に、機器IDを含むタグ認証要求信号を送信する。また、無線タグリーダは、タグ認証要求信号を受信した場合、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと、受信したタグ認証要求信号に含まれる機器IDとの照合をさらに行なう。
【0018】
そして、両機器IDが一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグへ、認証応答信号を送信する。一方、両機器IDが一致しなかった場合には、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDを、他システムタグリストに登録する。よって、他システムタグリストには、システムIDは一致したものの、機器IDは一致しなかった(すなわち他のシステムに属している)無線タグの機器IDを登録することになる。
【0019】
さらに、無線タグは、無線タグリーダが送信した認証応答信号を受信した場合には、この無線タグの機器IDを含むタグ認証済み信号を送信する。よって、無線タグがタグ認証済み信号を送信するのは、いずれかの無線タグリーダにおいて認証された、すなわち、その無線タグリーダと同じシステムに属すると判断された場合である。しかしながら、無線タグリーダは、機器IDが一致しない場合には認証応答信号を送信しない。つまり、他システムタグリストに登録した機器IDの無線タグに対しては認証応答信号を送信しない。それにもかかわらず、機器IDが一致しない無線タグから認証済み信号を受信した場合、その機器IDの無線タグと同じシステムに属している他の無線タグリーダが認証応答信号を送信したことになる。その一方で、他システムタグリストに登録した機器IDの無線タグとは、異なるシステムに属するにもかかわらずシステムIDは一致する。
【0020】
そこで、無線タグリーダは、タグ認証済み信号を受信したが、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが他システムタグリストに登録されている場合、現在設定されているシステムのシステムIDは、他のシステムに利用されていると判断する。
【0021】
他システムタグリストに登録されている機器IDは、システムIDは一致したものの、機器IDは自身のシステムのものではない場合である。よって、そのシステムIDは、どこかに設定されている他のシステムに利用されていることになる。
【0022】
しかも、異なるシステムの機器IDに対しては認証応答信号は送信しない。それにもかかわらず、タグ認証済み信号を受信した場合には、他のシステムの無線タグリーダが無線タグに認証応答信号を送信したことになる。よって、周囲に他のシステムが存在することになる。加えて、他システムタグリストに登録されている機器IDとは、システムIDは一致している。そこで、タグ認証済み信号を受信し、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが他システムタグリストに登録されている場合、現在設定されているシステムのシステムIDは、周囲の他のシステムに利用されていると判断するのである。このようにしても、システムIDが使用されているかどうかを自動で判断することができる。
【0023】
また、システムIDが使用されているかどうかの判断を、無線タグと無線タグリーダとの間の信号の送受信により行っていることから、無線タグリーダは、システムIDを含む信号を定期的に送信する必要がない。よって、システムIDを含む信号との衝突により、無線タグと無線タグリーダとの通信が阻害されてしまうことを抑制できる。
【0024】
さらに、無線タグと無線タグリーダとの間の信号の送受信によりシステムIDが使用されているかどうかを判断していることによる第2の効果として、2つの無線タグリーダは、自身の通信範囲に他方の無線タグリーダが入っていなくても、システムIDが使用されているかどうかを判断することができる。
【0025】
また、前述の目的を達成するための請求項3記載の発明は、人に携帯され、周囲のシステムとの区別を行うためのシステムIDを含んだ信号であるタグ通知信号を周期的に送信する無線タグと、タグ通知信号を受信する無線タグリーダとを備え、
前記無線タグリーダは、前記タグ通知信号を受信した場合、そのタグ通知信号に含まれるシステムIDと、この無線タグリーダを含むシステムのシステムIDとを照合し、両IDが一致している場合に、タグ通知信号を送信した無線タグへ応答信号を送信する無線タグ認証システムであって、
前記無線タグは、前記応答信号を受信した場合、この無線タグに固有の機器IDを含むタグ認証要求信号を送信する一方、前記応答信号を受信する期間に受信エラーが発生した場合には、受信エラーが発生したことを記憶し、
前記無線タグリーダは、前記タグ認証要求信号を受信した場合、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDと、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDとを照合し、タグ認証要求信号に含まれている機器IDが、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグへ認証応答信号を送信し、
前記無線タグは、前記受信エラーが発生したことを記憶した後に、前記認証応答信号を受信した場合、前記システムIDが周囲の他のシステムが使用するシステムIDと重複していることを示すシステムID重複信号を前記無線タグリーダに送信し、
前記無線タグリーダは、前記システムID重複信号を受信した場合には、現在設定されているシステムIDは、周囲の他のシステムに利用されていると判断することを特徴とする。
【0026】
この請求項3記載の発明でも、無線タグリーダは、無線タグから受信したタグ通知信号に含まれているシステムIDと、この無線タグリーダが属するシステムのシステムIDが一致した場合には応答信号を送信する。
【0027】
ここで、無線タグがタグ通知信号を送信した位置が、互いに異なるシステムに属する複数の無線タグリーダの通信範囲が重複している範囲であり、且つ、それら複数の無線タグリーダが属するシステムのシステムIDが同じであった場合を想定する。無線タグは、上記複数の無線タグリーダのうちの一つと同じシステムに属しているのであるから、無線タグが送信するタグ通知信号に含まれているシステムIDは、複数の無線タグリーダのシステムIDと一致することになる。よって、複数の無線タグリーダが同時期に無線タグへ応答信号を送信することになる。
【0028】
無線タグは、複数の無線タグリーダから同時期に応答信号が送信されると、受信レベルは高くなるものの、それら複数の応答信号をいずれも正しく復号することはできない。受信レベルは高いので何らか信号が送信されてきていることが分かるものの、正しく復号できない場合は、受信エラーが発生したとして、受信エラーが発生したことを記憶する。
【0029】
この受信エラーは、上述のように、複数の無線タグリーダから同時期に応答信号が送信されることにより生じるものであり、また、無線タグリーダが応答信号を送信するのは、無線タグが送信するタグ通知信号に含まれるシステムIDと無線タグリーダに設定されているシステムIDが一致した場合である。よって、受信エラーが発生した場合には、通信範囲が重複する複数の無線タグリーダが、同じシステムIDを使用していると考えることができる。
【0030】
無線タグは、受信エラーが発生したことを記憶した後も、タグ通知信号を周期的に送信する。また、無線タグは人に携帯されるものであることから位置が逐次移動する。そこで、受信エラーが発生したことを記憶した後、受信エラーが生じる範囲を出て、この無線タグと同じシステムに属する無線タグリーダのみの通信範囲に入った場合を考える。
【0031】
この場合、無線タグは、無線タグリーダが送信する応答信号を受信することができ、応答信号を受信できた場合、無線タグは、次にタグ認証要求信号を送信する。このタグ認証要求信号を無線タグリーダが受信した場合、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDと、受信したタグ認証要求信号に含まれる機器IDとの照合を行なう。そして、両機器IDが一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグへ、認証応答信号を送信する。
【0032】
無線タグはこの認証応答信号を受信することで、その無線タグと同じシステムに属する無線タグリーダと通信できることが確認できる。また、前述のように、受信エラーが発生した場合には通信範囲が重複する複数の無線タグリーダが、同じシステムIDを使用していると考えることができる。そこで、無線タグは、受信エラーが発生したことを記憶した後に認証応答信号を受信した場合には、システムIDが周囲の他のシステムが使用するシステムIDと重複していることを示すシステムID重複信号を無線タグリーダに送信するのである。このシステムID重複信号を受信することにより、無線タグリーダも、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに使用されていると判断することができる。
【0033】
この請求項3の発明でも、システムIDが使用されているかどうかの判断を、無線タグと無線タグリーダとの間の信号の送受信により行っていることから、無線タグリーダは、システムIDを含む信号を定期的に送信する必要がない。よって、システムIDを含む信号との衝突により、無線タグと無線タグリーダとの通信が阻害されてしまうことを抑制できる。しかも、2つの無線タグリーダは、自身の通信範囲に他方の無線タグリーダが入っていなくても、システムIDが使用されているかどうかを判断することができる。
【0034】
請求項4記載の発明では、
前記無線タグは、
前記タグ通知信号を周期的に送信し、
前記応答信号を受信する期間に受信エラーが発生した場合には、受信エラーが発生したことを記憶し、
受信エラーが発生したことを記憶した後も、前記応答信号を受信した場合には前記タグ認証要求信号を送信し、
受信エラーが発生したことを記憶した後に送信した前記タグ認証要求信号に応答して前記無線タグリーダが送信した認証応答信号を受信した場合に、前記システムIDが周囲の他のシステムが使用するシステムIDと重複していることを示すシステムID重複信号を前記無線タグリーダに送信することを特徴とする。
【0035】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明と請求項3記載の発明を組み合わせた発明である。請求項2記載の発明および請求項3記載の発明は、いずれも、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに使用されていることを自動で判断できる点では共通する。
【0036】
しかし、請求項2記載の発明は、無線タグが無線タグリーダから応答信号を受信した後に送信するタグ認証要求信号と他システムタグリストとを比較してシステムIDの重複を判断している。また、無線タグリーダが送信する応答信号は、無線タグが送信するタグ通知信号に応答して送信される信号である。つまり、請求項2記載の発明は、システムIDが一致する他のシステムの無線タグリーダの通信範囲と自システムの無線タグリーダの通信範囲に重複範囲があるとしても、無線タグが、どの無線タグリーダの通信範囲でもない位置から、他のシステムの無線タグリーダのみの通信範囲に入る場合に有効な発明である。
【0037】
一方、請求項3記載の発明は、タグ通知信号を送信した後の応答信号を受信する期間に受信エラーが発生したことでシステムIDの重複を判断する。よって、請求項3記載の発明は、無線タグが、どの無線タグリーダの通信範囲でもない位置から、システムIDが一致する他のシステムの無線タグリーダの通信範囲と自システムの無線タグリーダの通信範囲とが重複する範囲に入る場合に有効な発明である。
【0038】
よって、請求項2記載の発明と請求項3記載の発明を組み合わせたこの請求項4記載の発明は、請求項2、3よりも多くのケースにおいて、自動的に、システムIDが周囲の他のシステムに使用されていることを判断できる。
【0039】
請求項5記載の発明では、前記無線タグは、前記認証応答信号を受信した場合には、この無線タグの機器IDを含むタグ認証済み信号を送信し、
前記無線タグリーダは、前記タグ認証済み信号を受信した場合には、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDと、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDとを照合し、両機器IDが一致した場合には、タグ認証済み信号を送信した無線タグへ認証応答信号を送信する機器ID照合処理を行い、
前記無線タグリーダにシステムIDを変更させる指示を行うコントローラを備え、
前記無線タグリーダは、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに利用されていると判断した場合、その旨を前記コントローラに通知し、
前記コントローラは、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに利用されていることが前記無線タグリーダから通知された場合、現在設定されているシステムIDとは別の新システムIDを前記無線タグリーダに通知し、
前記無線タグリーダは、
前記コントローラから新システムIDが通知された場合、新システムIDとその時点で設定されているシステムIDの2つのシステムIDを、無線タグが送信するタグ通知信号に含まれているシステムIDと照合するIDとして用いる2ID許可状態とし、
前記機器ID照合処理で照合した機器IDが、無線タグのシステムIDを前記新システムIDに変更済みであることを示すID変更完了リストに登録されていない場合には、その無線タグに新システムIDへの変更要求信号を送信し、その後、その無線タグから、その無線タグの機器IDを含むシステムID変更完了通知を受信した場合に、その機器IDをID変更完了リストに追加するリスト追加処理を行い、
前記変更完了リストに、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDが全て含まれた場合、前記2ID許可状態を終了して、新システムIDのみを、無線タグが送信するタグ通知信号に含まれているシステムIDと照合するIDとして用いることを特徴とする。
【0040】
請求項5記載の発明および請求項6記載の発明は、いずれも、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに使用されていると判断した後に、無線タグリーダのシステムIDおよび無線タグのシステムIDを自動で新しいシステムIDに変更する発明である。
【0041】
請求項5記載の発明は、無線タグのシステムIDを、その無線タグが無線タグリーダと通信可能となった場合に、個別に変更していく発明である。この場合、一時的に、複数の無線タグのうちの一部は新システムIDが設定され、残りはそれまでのシステムIDが設定されたままという状態となる。そこで、この発明では、無線タグリーダは、新システムIDとそれまでのシステムIDの両方を、タグ通知信号に含まれているシステムIDと照合する2ID許可状態が可能となっている。
【0042】
そして、システムIDを変更した無線タグの機器IDを変更完了リストで管理し、このシステムに属する無線タグの機器IDが変更完了リストに全て含まれた場合、2ID許可状態を終了する。これにより、周囲のシステムとのシステムIDの重複が自動で解消される。
【0043】
請求項6記載の発明では、前記無線タグは、前記認証応答信号を受信した場合には、この無線タグの機器IDを含むタグ認証済み信号を送信し、
前記無線タグリーダは、前記タグ認証済み信号を受信した場合には、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDと、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDとを照合し、両機器IDが一致した場合にも、タグ認証済み信号を送信した無線タグへ前記認証応答信号を送信する機器ID照合処理を行い、
前記無線タグリーダにシステムIDを変更させる指示を行うコントローラを備え、
前記無線タグリーダは、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに利用されていると判断した場合、その旨を前記コントローラに通知し、
前記コントローラは、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに利用されていることが前記無線タグリーダから通知された場合、現在設定されているシステムIDとは別の新システムIDを前記無線タグリーダに通知し、
前記無線タグリーダは、
前記機器ID照合処理で照合した機器IDを、この無線タグリーダの通信範囲内に存在する無線タグのリストである圏内タグリストに追加するとともに、その圏内タグリストに含まれている機器IDを含んだタグ認証済み信号を一定時間受信しなかった場合には、その機器IDを前記圏内タグリストから削除するリスト更新処理を行い、
前記圏内タグリストに、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグの機器IDが全て含まれた場合に、この無線タグリーダと同じシステムに属する無線タグであって、その時点で通信可能な無線タグに対して、システムIDを前記新システムIDに変更する変更要求信号を送信するとともに、この無線タグリーダのシステムIDも前記新システムIDに変更することを特徴とする。
【0044】
請求項5記載の発明が、無線タグのシステムIDを個別に変更する発明であったのに対して、この請求項6記載の発明は、このシステムに属する複数の無線タグのシステムIDを一括で変更する発明である。
【0045】
一括で複数の無線タグのシステムIDを変更するために、この発明では、圏内タグリストで、このシステムに属する複数の無線タグが無線タグリーダの通信範囲内に存在しているかどうかを把握する。このシステムに属する無線タグのシステムIDの機器IDが圏内タグリストに全て含まれた場合、システムIDを新システムIDに変更する変更要求信号を無線タグに送信する。そして、無線タグリーダも、このときにシステムIDを新システムIDに変更する。このようにしても、周囲のシステムとのシステムIDの重複が自動で解消される。
【0046】
請求項7記載の発明は、請求項1の無線タグ認証システムにおける無線タグリーダであり、請求項8記載の発明は、請求項2の無線タグ認証システムにおける無線タグリーダである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、第1実施形態を説明する。
図1は、本発明が適用された無線タグ認証システム1が2組(1A、1B)、隣り合う住宅A、Bに設置されている状態を示す図である。
【0049】
2組の無線タグ認証システム1A、1Bの構成は互いに同じであり、どちらのシステムも、無線タグリーダ100、無線タグ200、コントローラ300を備えている。各無線タグリーダ100A、Bは、同図に破線で示す通信範囲を有している。これらの通信範囲は、各無線タグリーダ100が設置された住宅A、Bを十分に含む円形の通信範囲になっているため、互いの通信範囲が部分的に重なっている。また、この第1実施形態では、一方の無線タグリーダ100の通信範囲に、他方の無線タグリーダ100が存在している。
【0050】
コントローラ300は、無線タグリーダ100と有線で接続されており、無線タグリーダ100を制御する。
【0051】
なお、以下の説明において、2つのシステムの構成を特に区別しない場合には、符号のA、Bを付けずに説明する。また、
図1には、無線タグ200はそれぞれのシステム1A、1Bに対して1つしか示していないが、各システム1A、1Bは無線タグ200を複数備えていてもよい。
【0052】
図2は、無線タグリーダ100の構成を示す図である。
図2に示すように、無線タグリーダ100は、制御部110、送信部120、受信部130、アンテナ140を備えている。
【0053】
制御部110は、外部へ無線送信させる信号を送信部120へ送るとともに、アンテナ140によって受信され受信部130によって復調・復号された信号をその受信部130から取得する。また、制御部110は、内部にメモリ111とタイマ112とを備えている。メモリ111には、この無線タグリーダ100のIDが記憶されており、また、後述する自動設定処理により設定されたシステムIDも記憶される。
【0054】
送信部120は、符号部121、変調部122、増幅部123を備えている。符号部121は、制御部110から供給された信号を符号化する。この信号としては、無線タグ200から送信されたタグ通知信号に応答して送信する応答信号や、そのタグ通知信号を模擬した模擬信号がある。符号部121は、この符号化した信号を変調部122へ出力する。変調部122は、符号部121にて符号化された信号を電気的デジタル信号に変換した後に、予め設定されている通信チャンネルを用いて位相偏移変調や周波数偏移変調等の所定の変調方式により変調する。増幅部123は、変調部122で変調された信号を増幅する。増幅された信号は、アンテナ140から電波として送信される。
【0055】
また、アンテナ140は、無線タグ200から送信された電波を受信する。受信した電波は復調部131において復調される。復調された信号は復号部132において符号化され、符号化された信号が制御部110に送られる。
【0056】
前述の制御部110は、システムIDが設定された後は、受信部130から供給される信号に基づいて、無線タグ200からタグ通知信号を受信したかどうかを逐次判断する。無線タグ200が送信するタグ通知信号には、システムIDが含まれており、制御部110は、タグ通知信号を受信した場合には、そのタグ通知信号に含まれているシステムIDと、メモリ111に記憶されたシステムIDとを照合する。そして、両IDが一致した場合には、タグ通知信号を送信した無線タグ200へ応答信号を送信する。
【0057】
さらに、制御部110は、システムIDの自動設定指示が入力された場合には、後に詳しく説明するように、自動設定処理を実行して、システムIDを自動で設定する。なお、自動設定指示は、この無線タグ認証システム1の設置担当者が、システムの設置時に、無線タグリーダ100あるいはコントローラ300に対して、ID自動設定を指示する操作を行なうことで、制御部110に入力される。
【0058】
図3は、無線タグ200の構成を示す図である。無線タグ200は人に携帯されるものである。無線タグ200は、アクティブ方式の無線タグであり、内蔵電源210を備えている。この内蔵電源210の他に、無線タグ200は、送信部220、受信部230、アンテナ240、振動センサ250、制御部260を備えており、内蔵電源210は、これらに電源を供給する。
【0059】
送信部220は、符号部221、変調部222、増幅部223を備えている。符号部221は制御部260から送信される信号を符号化して変調部222に送る。変調部222は、符号部221からの符号を、たとえば、振幅変位変調などの変調方式により変調する。増幅部223は、変調部222が変調した信号を増幅して、アンテナ240から送信させる。
【0060】
受信部230は、アンテナ240が受信した電波を復調する復調部231と、復調部231が復調した信号を復号する復号部232とを備えている。復号部232は、復号した信号を制御部260へ供給する。
【0061】
振動センサ250は、導通状態が機械的に変化するセンサであり、振動のない状態ではオンとなり、振動がある状態ではオフとなる。この振動センサ250のオンオフの状態は制御部260に入力される。
【0062】
制御部260は、送信部220および受信部230を制御する。また、制御部260は、図示しないCPU、ROM等の他に、タイマ261、メモリ262を備えている。タイマ261は、クロック発振器(図示せず)のクロックを計数することで計時を行う。メモリ262には、この無線タグ200が属するシステムのシステムIDや、この無線タグ200の機器IDが記憶されている。
【0063】
制御部260は、振動センサ250からのオン信号が入力されることにより待機状態から起動状態へ移行する。そして、その信号が入力されてから一定時間が経過したり、或いは、後述するように、無線タグリーダ100からのデータを受信できないと判断した場合には待機状態へ戻る。そして、起動している間は、無線タグリーダ100からの応答信号を受信するまで、タグ通知信号を一定周期で送信部220に出力する。送信部220は、このタグ通知信号を符号化し、変調・増幅してアンテナ240から送信する。
【0064】
次に、無線タグリーダ100が実行する上述の自動設定処理を説明する。
図4は、この自動設定処理を示すフローチャートである。この処理は、前述のように、制御部110にシステムIDの自動設定指示が入力された場合に実行する。
【0065】
まず、ステップS1では、仮システムIDを生成する。仮システムIDは、たとえば、予め1番目のID=xx、2番目のID=△△、3番目のID=○○・・・といったように、生成回数に応じてIDが定まるようになっていてもよいし、また、予め設定された候補の中でランダムに設定してもよい。なお、仮システムIDは、他のシステムで使用されていないと判断できれば、その後、この無線タグ認証システム1において使用するシステムIDに決定するIDである。システムIDは、この無線タグ認証システム1の周囲に設置されている他のシステムと区別するためのIDであり、且つ、無線タグ200の電池消耗を抑制するために、周囲のシステムと区別する目的を達成できる範囲で極力短い長さ、たとえば、2〜4ビット程度の長さのデータである。なお、このステップS1の処理は、特許請求の範囲のシステムID生成手段に相当する。
【0066】
続くステップS2は特許請求の範囲の模擬信号送信手段に相当しており、模擬信号を生成し、生成した模擬信号を送信部120を介してアンテナ140から送信する。この模擬信号は、無線タグ200が送信するタグ通知信号を模擬した信号である。このステップS2で生成する模擬信号は、無線タグ200が送信する無線タグ通知信号と同じデータフレーム構成であり、その模擬信号に含ませるシステムIDは、ステップS1で生成した仮システムIDとする。
【0067】
続くステップS3では、ステップS2で送信した模擬信号に応答して応答信号が返ってきたかどうかを判断する。応答信号が返ってきた場合には、他の無線タグリーダ100がステップS2で送信した模擬信号を受信し、且つ、その模擬信号に含まれている仮システムIDが、模擬信号を受信した無線タグリーダ100が記憶しているシステムIDと一致している、すなわち、仮システムIDと同じIDを使用している場合である。そこで、応答信号を受信した場合には(ステップS3がYES)、ステップS1へ戻る。この場合、別の仮システムIDを生成し(S1)、そのシステムIDを含む模擬信号の再送信(S2)を行なう。
【0068】
一方、ステップS2を実行後、一定期間内に応答信号を受信しなかった場合には、応答は返ってこないと判断し(ステップS3がNO)、ステップS4に進む。この場合には、模擬信号を受信できる範囲に、模擬信号に含ませた仮システムIDを使用している無線タグリーダ100が存在しないと考えられる。そこで、ステップS4では、仮システムIDを、この無線タグリーダ100が属するシステムで無線タグ200との通信に使用するシステムIDに設定する。なお、システムIDを無線タグリーダ100に設定後、このシステムの無線タグ200にも、同じシステムIDを手動あるいは自動で設定する。
【0069】
図5は、この第1実施形態における信号の送受信を説明する図であり、
図5(A)は、システムIDが設定された後の通常の信号の送受信、すなわち、無線タグリーダ100と無線タグ200との信号の送受信を示している。一方、
図5(B)は、新規に設置される無線タグ認証システム1Bの無線タグリーダ100Bが模擬信号を送信したときの無線タグリーダ100A、100Bの信号の送受信を示している。
【0070】
まず、
図5(A)から説明する。無線タグ200Aは、起動中は周期的にタグ通知信号を送信しており、この
図5(A)ではt1時点からt2時点までの間と、t5時点からt6時点までの間、タグ通知信号を送信している。また、無線タグ200A、無線タグリーダ100Aを含む無線タグ認証システム1Aは、システムIDをxxとしており、無線タグ200Aが送信するタグ通知信号にもシステムIDがxxであることを示すデータが含まれている。
【0071】
この
図5(A)において、t1時点からt2時点までタグ通知信号を送信している時は、無線タグ200Aは、無線タグリーダ100Aの通信圏外に位置している。そのため、タグ通知信号を送信しても応答信号は返ってこない。なお、t3時点からt4時点までは、応答信号が送信されたのであれば、その応答信号を受信する期間を示している。
【0072】
その後、t5〜t6時点でタグ通知信号を送信する時点では、無線タグ200Aを携帯している者は無線タグリーダ100Aの通信圏内に移動している。従って、無線タグリーダ100Aはタグ通知信号を受信する。受信したタグ通知信号に含まれているシステムIDは、自身が記憶しているシステムIDと一致するので、応答信号を送信し、無線タグ200Aはこの応答信号を受信する(t7〜t8時点)。
【0073】
次に、
図5(B)を説明する。
図4において説明したように、無線タグリーダ100Bは、その制御部110にシステムIDの自動設定指示が入力されると、仮システムIDを生成する。
図5(B)の例では、t1時点において生成した仮システムIDはxxである。
【0074】
t2〜t3時点では、t1時点で設定した仮システムIDを含む模擬信号を送信する。
図1に示したように、この第1実施形態では、無線タグリーダ100Bは、無線タグリーダ100Aの通信範囲に設置されているので、模擬信号は無線タグリーダ100Aに受信される。また、模擬信号に含まれている仮システムID(=xx)と、無線タグリーダ100Aが使用しているシステムIDとが一致するので、無線タグリーダ100Aは、応答信号を送信し、無線タグリーダ100Bはこの応答信号を受信する(t4〜t5)。
【0075】
模擬信号に応答した応答信号を受信したことにより、
図4のステップS3がYESになるので、無線タグリーダ100Bは仮システムIDを、それまでのものとは異なるIDに再設定する(t6時点)。そして、その再設定した仮システムIDを含む模擬信号を送信する(t7〜t8)。この模擬信号も、無線タグリーダ100Aに受信されるが、今度はシステムIDが一致しないので、無線タグリーダ100Aは応答信号を送信しない。
【0076】
従って、無線タグリーダ100Bは、応答信号が返ってこないと判断し(t10)、システムIDをt5時点で設定した△△に設定する(t11時点)。
【0077】
以上、説明した本実施形態によれば、システムIDを設定した後の通常時、無線タグリーダ100は、無線タグ200からタグ通知信号を受信した場合、タグ通知信号に含まれているシステムIDと、この無線タグリーダ100が属するシステム1のシステムIDを照合して、両IDが一致している場合に、無線タグ200へ応答信号を送信する。
【0078】
そして、この通常時の通信処理を利用してシステムIDを自動設定するようにしている。すなわち、無線タグリーダ100Bは、システム設置時に、仮システムIDを自動生成し(ステップS1)、タグ通知信号を模擬した信号であって、自動生成した仮システムIDを含んでいる模擬信号を送信する(ステップS2)。模擬信号は、他の無線タグ認証システム1Aの無線タグリーダ100Aにとって、タグ通知信号として認識できることから、無線タグリーダ100Aが模擬信号を受信し、その模擬信号に含まれている仮システムIDが自身のシステムのシステムIDと一致する場合には応答信号を送信する(
図5(B)のt4〜t5)。一方、一致しない場合には応答信号は送信しない(
図5(B)のt9〜t10)。
【0079】
そこで、模擬信号を送信した無線タグリーダ100Bは、送信した模擬信号に応答して送信された応答信号を受信した場合、模擬信号に含ませた仮システムIDは使用されていると判断する(
図4のステップS3がYES)。一方、その模擬信号に応答した応答信号を受信しないと判断した場合(
図4のステップS3がNO)、模擬信号に含ませたシステムIDは、他の無線タグ認証システムにより使用されていないと判断するのである。このようにしてシステムIDが使用されているかどうかを自動で判断することができる。
【0080】
また、この判断は、システム設置時に模擬信号を送信することで行うので、既設のシステムの無線タグリーダ100Aは、システムIDを含む信号を定期的に送信する必要がなくなる。よって、システムIDを含む信号との衝突により、無線タグ200と無線タグリーダ100との通信が阻害されてしまうことを抑制できる。
【0081】
さらに、本実施形態によれば、既設の無線タグリーダ100Aは、模擬信号と無線タグ200が送信したタグ通知信号とを区別する必要がなく、模擬信号を受信した場合にも、無線タグ200が送信したタグ通知信号を受信した場合と同様の処理(IDの照合と応答信号の送信)を行えばよい。よって、仮に、既設の無線タグ認証システム1Aには、システムIDを自動設定するための機能が備えられていなくても、新規に設置する無線タグ認証システム1Bは、システムIDが使用されているかどうかを自動で判断することができる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態でも、
図6に示すように、隣り合う住宅A、Bに、それぞれ、無線タグ認証システム1A、1Bが設置されている。しかし、第2実施形態における無線タグ認証システム1A、1Bは、無線タグリーダ100A、100Bおよび無線タグ200の通信制御内容が、第1実施形態と異なる。また、各無線タグリーダ100A、100Bは、自身と同じシステムに属する無線タグ200の機器IDをメモリ111に記憶(登録)している。その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0083】
また、第2実施形態における住宅A、Bは、第1実施形態よりも互いの距離が少し離れている。そのため、第2実施形態では、無線タグリーダ100A、100Bの通信範囲は互いに重複しているものの、一方の無線タグリーダ100の通信範囲に、他方の無線タグリーダ100は存在していない。よって、無線タグリーダ100Bが、第1実施形態のように模擬信号を送信しても、他方の無線タグリーダ100Aはそれを受信できない。
【0084】
第2実施形態では、この
図6に示すように、ある無線タグリーダ100の通信範囲に他の無線タグリーダ100が位置していない場合でも、他のシステムにシステムIDが使用されているかどうかを自動で判断することができる。
【0085】
第2実施形態においても、無線タグ200は、起動時、周期的にタグ通知信号を送信する。このタグ通知信号は、第1実施形態と同じデータ構成であり、システムIDを含んでいる。
図7には、第2実施形態における信号の送受信のタイムチャートを示している。この
図7では、無線タグ200Aは、t1〜t2でタグ通知信号を送信している。なお、
図7のタイムチャートでは、無線タグリーダ100A、無線タグ200AにシステムID:xxが設定されていることに加え、別システムである無線タグリーダ100BにもシステムID:xxが設定されている。
【0086】
図8は、無線タグリーダ100がタグ通知信号を受信した場合に、その制御部110が実行する処理を示すフローチャートである。無線タグ200が
図6に実線で示す位置に存在している場合、無線タグリーダ100Bは
図8を実行するが、無線タグリーダ100Aは
図8を実行しない。
【0087】
タグ通知信号を受信した場合、まず、ステップS11にて、そのタグ通知信号に含まれているシステムIDと、自身のメモリ111に設定されているシステムIDとが一致するかどうかを判定する。なお、メモリ111に設定されているシステムIDは、本実施形態では人の操作により設定する。また、同じシステム1に属する無線タグ200のシステムIDも人の操作により設定する。
【0088】
ステップS11において、システムIDが不一致と判定した場合には、
図8の処理を終了する。一方、一致したと判定した場合には、ステップS12に進み、応答信号を送信する。
図7のタイムチャートでは、システムIDが一致するので、無線タグリーダ100Bはt3〜t4で応答信号を送信している。ステップS12を実行後は、さらに、ステップS13にて、システムIDが一致したことを記憶して、処理を終了する。
【0089】
図9は、無線タグ200が実行する信号送信処理を示すフローチャートである。無線タグ200は起動中はこの
図9に示す処理を実行する。ステップS21では、タグ通知信号を送信する。
図7のタイムチャートでは、前述のように、t1〜t2でタグ通知信号を送信している。
【0090】
ステップS22では、応答信号を受信したか否かを判断する。この判断が否定判断であれば、ステップS21へ戻り、前回のステップS21を実行した後、所定時間経過後に、再びタグ通知信号を送信する。
【0091】
一方、応答信号を受信した場合には、ステップS23へ進み、タグ認証要求信号を送信する。
図7のタイムチャートでは、t5〜t6でタグ認証要求信号を送信している。このタグ認証要求信号は、この無線タグ200に固有の機器IDを含んだ信号であり、機器IDは、製造時に無線タグ200のメモリ262に記録される。機器IDは、システムが異なる他の無線タグ200とも重複しないIDであり、そのために、データ量がシステムIDよりもずっと大きくなっている。
【0092】
電池消耗を考慮して、無線タグ200は、最初から機器IDを含む信号を送信することはせず、まずは、データ量の小さいシステムIDを含む信号を送信し、システムIDが一致するとして無線タグリーダ100が応答信号を送信し、それを受信した場合に、機器IDを送信するようにしている。
【0093】
続くステップS24では、認証応答信号を受信したか否かを判断する。この認証応答信号は、タグ認証要求信号を受信した無線タグリーダ100が、タグ認証要求信号に含まれている機器IDが、自身を含むシステム1に登録されていると判断した場合に送信するものである。
図7のタイムチャートでは、t6時点において、無線タグリーダ100Bがタグ認証要求信号を受信している。しかし、無線タグリーダ100Bは、別システムに属する無線タグ200Aの機器IDを登録していないので、認証応答信号は送信していない。
【0094】
認証応答信号を受信していない場合にはステップS23へ戻り、タグ認証要求信号を再度送信する。
図7のタイムチャートでは、t7〜t8で、再度、タグ認証要求信号を送信している。この時点では、無線タグ200Aを携帯した者は、
図6の破線で示す位置、すなわち、2つの無線タグリーダ100A、100Bの重複する通信範囲に移動しているとして
図7のタイムチャートは、その後の信号の送受信を示している。
【0095】
従って、
図7のt7〜t8で送信したタグ認証要求信号は、無線タグリーダ100Aにも受信される。無線タグリーダ100Aには、無線タグ200Aの機器IDが登録されているので、t9〜t10で認証応答信号を送信し、それが無線タグ200Aに受信される。
【0096】
認証応答信号を受信した場合、無線タグ200Aは、ステップS25へ進み、今度は、タグ認証済み信号を送信する。このタグ認証済み信号も機器IDを含んだ信号である。
図7のタイムチャートでは、t11〜t12でタグ認証済み信号を送信している。
【0097】
次に、無線タグリーダ100がタグ認証要求信号を受信した場合に実行する処理を説明する。
図10は、その場合の処理を示すフローチャートである。
図9で説明したように、無線タグ200は、無線タグリーダ100から応答信号を受信した場合にタグ認証要求信号を送信する。
【0098】
無線タグリーダ100は、タグ認証要求信号を受信すると、ステップS31において、そのタグ認証要求信号に含まれている機器IDが、メモリ262に登録されている機器IDであるか否かを判定する。そして、登録されている場合にはステップS32へ進み、認証応答信号を送信する。一方、未登録である場合には、認証応答信号は送信せずに、ステップS33へ進む。
図7のタイムチャートでは、無線タグリーダ100A、100Bはともにタグ認証要求信号を受信しており、無線タグリーダ100Aは、無線タグ200Aの機器IDを登録しているので、認証応答信号を送信している(t9〜t10)。しかし、無線タグリーダ100Bは、無線タグ200Aの機器IDを登録していないので、認証応答信号を送信していない。機器IDが未登録である場合に実行するステップS33では、システムIDの一致が記憶されているかどうかを判断する。
【0099】
このステップS33の判断も否定判断であれば、そのまま
図10を終了する。一方、ステップS33が肯定判断、すなわち、システムID一致が記憶されているのであれば、ステップS34へ進む。
図7のタイムチャートでは、無線タグリーダ100Bは、t3時点でシステムIDの一致を判定しているのでステップS34へ進む。ステップS34では、タグ認証要求信号に含まれている機器IDを、他システムタグリストに登録する。
【0100】
この他システムタグリストには、システムIDは一致するものの、この無線タグリーダ100と同じシステムには属さない機器IDが登録されることになる。この時点で、そのシステムIDは、周囲の他のシステムに使用されていると判断することも可能である。しかし、無線タグ200は人に携帯されるものであり、遠方に設置された無線タグ認証システム1に属している無線タグ200が、偶然にこの無線タグリーダ100と通信することも考えられる。
【0101】
そこで、この第2実施形態では、システムIDが周囲の他のシステムに使用されているかどうかを判断するために、
図11の処理をさらに実行する。
図11は、タグ認証済み信号を受信した場合に実行する。タグ認証済み信号は、
図9で説明したように、認証応答信号を受信した無線タグ200が送信する信号であり、認証応答信号は、機器IDが登録済みである場合に無線タグリーダ100か送信する信号である。よって、無線タグ200がタグ認証済み信号を送信するのは、いずれかの無線タグリーダ100において、無線タグ200の機器IDが登録されている場合である。
図7のタイムチャートでは、無線タグリーダ100Aに、無線タグ200Aの機器IDが登録されている。
【0102】
図11において、まず、ステップS41では、受信したタグ認証済み信号に含まれている機器IDが、メモリ262に登録されている機器IDであるか否かを判定する。登録されている場合にはステップS42へ進み、認証応答信号を送信する。一方、未登録である場合には、認証応答信号は送信せずに、ステップS43へ進む。
【0103】
ステップS43では、機器IDが他システムタグリストに登録されているかどうかを判断する。未登録と判断した場合にはそのまま処理を終了する。一方、他システムタグリストに登録済みであると判断した場合には、ステップS44に進む。
【0104】
この場合には、
図7のタイムチャートのt12に示すように、無線タグリーダ100Bにとっては、認証していない(すなわち他システムタグリストに登録してある)機器IDであるにも関わらず、その機器IDのタグ認証済み信号を受信したことになる。従って、周囲のシステムの無線タグリーダ100Aがこの無線タグ200Aを認証したと考えられ、その機器IDを持つ無線タグ200Aが送信したシステムIDも、周囲のシステムで使用されているIDと判断できる。
【0105】
そこで、ステップS44では、システムIDが重複していると判断し、ステップS45にて、システムIDが重複しているので再設定をすべきとの警告を出力する。
【0106】
以上、説明したこの第2実施形態でも、無線タグリーダ100は、無線タグ200から受信したタグ通知信号に含まれているシステムIDと、この無線タグリーダ100が属するシステムのシステムIDが一致した場合には応答信号を送信する(S12)。さらに、第2実施形態では、無線タグ200は、応答信号を受信したら、次に、機器IDを含むタグ認証要求信号を送信する(S23)。また、無線タグリーダ100は、この無線タグリーダ100と同じシステムに属する無線タグ200の機器IDを記憶しており、タグ認証要求信号を受信した場合、記憶している機器IDと、受信したタグ認証要求信号に含まれる機器IDとの照合をさらに行なう(S31)。
【0107】
そして、両機器IDが一致した場合には、タグ認証要求信号を送信した無線タグ200へ、認証応答信号を送信する(S32)。一方、両機器IDが一致しなかった場合には、受信したタグ認証要求信号に含まれている機器IDを、他システムタグリストに登録する
(S33)。よって、他システムタグリストには、システムIDは一致したものの、機器IDは一致しなかった(すなわち他のシステムに属している)無線タグ200の機器IDが登録される。
【0108】
さらに、無線タグ200は、無線タグリーダ100が送信した認証応答信号を受信した場合には、この無線タグ200の機器IDを含むタグ認証済み信号を送信する(S25)。よって、無線タグ200がタグ認証済み信号を送信するのは、いずれかの無線タグリーダ100において認証された、すなわち、その無線タグリーダ100と同じシステムに属すると判断された場合である。
【0109】
そして、無線タグリーダ100は、このタグ認証済み信号を受信したが、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが他システムタグリストに登録されている場合、現在設定されているシステムのシステムIDは、他のシステムに利用されていると判断できる。
【0110】
他システムタグリストに登録されている機器IDは、システムIDは一致したものの、機器IDは自身のシステムのものではない場合である。この場合、そのシステムIDは、他のシステムに利用されていることになる。
【0111】
しかも、異なるシステムの機器IDに対しては認証応答信号は送信しない。それにもかかわらず、タグ認証済み信号を受信した場合には、他のシステムの無線タグリーダが認証応答信号を送信したことになる。よって、周囲に他のシステムが存在することになる。加えて、他システムタグリストに登録されている機器IDとは、システムIDは一致している。そこで、タグ認証済み信号を受信し、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが他システムタグリストに登録されている場合、現在設定されているシステムのシステムIDは、周囲の他のシステムに利用されていると判断するのである。このようにしても、システムIDが使用されているかどうかを自動で判断することができる。
【0112】
また、システムIDが使用されているかどうかの判断を、無線タグ200と無線タグリーダ100との間の信号の送受信により行っていることから、無線タグリーダ100は、システムIDを含む信号を定期的に送信する必要がない。よって、システムIDを含む信号との衝突により、無線タグ200と無線タグリーダ100との通信が阻害されてしまうことを抑制できる。
【0113】
さらに、無線タグ200と無線タグリーダ100との間の信号の送受信によりシステムIDが使用されているかどうかを判断していることによる第2の効果として、2つの無線タグリーダ100A、100Bは、自身の通信範囲に他方の無線タグリーダ100B、1100Aが入っていなくても、システムIDが使用されているかどうかを判断することができる。
【0114】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を説明する。
図12は第3実施形態における2組の無線タグ認証システム1A、1Bの設置状態を示す図である。この
図12に示すように、第3実施形態における無線タグリーダ100A、100Bの設置位置は第2実施形態と同じである。よって、第3実施形態でも、一方の無線タグリーダ100の通信範囲に他方の無線タグリーダ100は存在していない。
【0115】
また、第3実施形態において無線タグリーダ100の制御部110が行う処理は、システムIDの重複を判断するまでの処理については第2実施形態と同じである。すなわち、第3実施形態でも、無線タグリーダ100は、
図8、10、11の処理を実行する。また、第3実施形態では、無線タグリーダ100の制御部110は、さらに、システムIDを自動で変更するために、
図15、16の処理も実行する。
【0116】
無線タグ200が実行する処理は、システムIDの重複を判断するための処理も第2実施形態と一部相違する。
図14は、第3実施形態において無線タグ200が実行する処理のうち、システムIDの重複を判断するための処理を示すフローチャートである。
【0117】
この
図14に示すフローチャートは、第2実施形態で無線タグ200が実行する
図9の処理、ステップS21〜S25を全て含んでおり、さらに、枝番のステップ番号、ステップS22−1、22−2、24−1、24−2の処理が追加されたものである。
【0118】
図13は、第3実施形態における信号の送受信のタイムチャートを示している。この
図13のタイムチャートでは、第2実施形態と同様、無線タグリーダ100A、無線タグ200AにシステムID:xxが設定されていることに加え、隣に設置されている他のシステムの無線タグリーダ100Bにも、同じシステムID:xxが設定されている。また、
図13のタイムチャートは、無線タグ200が、
図12に示す(1)の位置から(2)の位置、そして(3)の位置へ移動した場合である。
【0119】
図12〜
図14を用いて、第3実施形態における無線タグ200の制御部260が実行する処理を説明する。第3実施形態でも、無線タグ200は、起動時、応答信号を無線タグリーダ100から受信するまで、周期的にタグ通知信号を送信する。このタグ通知信号は、前述の実施形態と同じデータ構成であり、システムIDを含んでいる。
【0120】
図13に示すように、無線タグ200Aは、t1−t2でタグ通知信号を送信している。
図14では、ステップS21を実行したことになる。このt1−t2で、無線タグ200は、
図12に示す(2)の位置にいたとする。この位置は、無線タグリーダ100Aの通信範囲であるとともに、無線タグリーダ100Bの通信範囲でもある通信重複範囲である。また、上述したように、2つの無線タグリーダ100A、100Bには、ともにシステムID:xxが設定されている。
【0121】
したがって、2つの無線タグリーダ100A、100Bは、ともに、タグ通知信号に含まれているシステムIDが自身のシステムIDと一致すると判断して、応答信号を返すことになる(
図13のt3−t4)。
【0122】
2つの無線タグリーダ100A、100Bから応答信号が送信される期間はほぼ同じであることから信号の衝突が生じ、無線タグ200は、どちらの応答信号も正しく受信することができない。すなわち受信エラーが発生する。受信エラーの発生は、復号部232から供給される信号から、最初のコマンドなど一部のコマンドや、一部のコードは認識できたが、全部を認識することはできなかったことにより判断する。なお、2つの応答信号が送信されているので、受信レベル自体は高い。
【0123】
受信エラーが発生する場合、もちろん、応答信号は受信できない(信号を正しく認識できない)ので、
図14のステップS22はNOになる。そして、続くステップS22−1の判断がYESになる。したがって、ステップS22−2へ進み、受信エラーが発生したことをメモリ262に記憶する。その後、ステップS21へ戻る。また、受信エラーが発生したと判断しなかった場合には(S22−1:NO)、直接、ステップS21へ戻る。つまり、無線タグ200Aは、受信エラー発生の有無によらず、応答信号を受信するまでは再びタグ通知信号を送信する。
【0124】
図13ではt5−t6で再びタグ通知信号を送信している。
図13におけるt5以降の信号送受信は、無線タグ200Aが
図12に示す(3)の位置にいた場合の例である。この位置では、無線タグ200Aは無線タグリーダ100Aのみと通信できる。よって、t5−t6で無線タグ200Aが送信したタグ通知信号は無線タグリーダ100Aのみに受信され、無線タグリーダ100Aのみから応答信号が返ってくる。したがって、無線タグ200Aは、この応答信号を受信することができる(
図13のt7−t8)。これにより、今度は、
図14のステップS22がYESとなり、ステップS23へ進む。
【0125】
ステップS23では、タグ認証要求信号を送信する。
図13では、t9−t10でタグ認証要求信号を送信している。このタグ認証要求信号は無線タグリーダ100Aに受信される。無線タグリーダ100Aには無線タグ200Aの機器IDが登録されているので、認証応答信号が無線タグリーダ100Aから無線タグ200Aへ送信される。
【0126】
無線タグ200Aはこの認証応答信号を受信する(
図13のt11−t12)。これにより、
図14のステップS24がYESとなり、ステップS24−1へ進む。ステップS24−1では、受信エラーが記憶されているか否かを判断する。
【0127】
図13の場合には受信エラーが記憶されているので、ステップS24−1がYESとなる。この場合、ステップS24−2へ進む。このステップS24−2へ進んだ場合、認証応答を受信していることから、無線タグリーダ100Aと通信可能である。また、受信エラーが発生しており、この受信エラーは、隣のシステムのシステムIDとこのシステムのシステムIDが重複していることを意味する。そこで、ステップS24−2では、システムID重複通知(システムID重複信号に相当)を無線タグリーダ100Aへ送信する(
図13のt13−t14)。
【0128】
その後、無線タグリーダ100Aとの間で通常の通信を行なうために、ステップS25でタグ認証済み信号を送信する。このタグ認証済み信号は、
図9で説明したように、機器IDを含んだ信号である。受信エラーが記憶されていない場合(S24−1:NO)も、このステップS25を実行する。
【0129】
無線タグリーダ100Aは、無線タグ200AからシステムID重複通知を受信すると、現在設定されているシステムIDは、他のシステムに使用されていると判断し、その旨をコントローラ300に通知する。
【0130】
コントローラ300がこの通知を受信した以降の処理は後述するとし、先に、タグ認証済み信号を無線タグ200が送信した場合の処理を説明する。
【0131】
タグ認証済み信号を無線タグリーダ100が受信すると、そのタグ認証済み信号に含まれている機器IDが、この無線タグリーダ100と同じシステムに属するものかどうかを判断する。そして、この無線タグリーダ100と同じシステムに属する機器IDである場合には、認証応答信号を無線タグ200へ送信する。無線タグ200は、認証応答信号を受信すると、再び、タグ認証済み信号を送信する。
【0132】
よって、一旦、認証済みとなると、その後は、無線タグ200のタグ認証済み信号の送信→無線タグリーダ100の認証応答信号の送信が繰り返される。これにより、無線タグリーダ100、無線タグ200は、互いに通信可能である状態であることを認識できる。
【0133】
次に、コントローラ300が、無線タグリーダ100から、現在設定されているシステムIDが他のシステムに使用されていることの通知を受けた場合の処理を説明する。
【0134】
コントローラ300は上記通知を受信すると、新たなシステムID(新システムIDという)を決定する。その後、その新システムIDへシステムIDを変更する変更要求を無線タグリーダ100Aに送信する。この変更要求は、新システムIDおよび、新システムIDへの変更を要求するコマンドが含まれている。
【0135】
図15は、コントローラ300から上記変更要求を受信した場合に実行する無線タグリーダ100の制御部110の処理である。
【0136】
ステップS51では、この無線タグリーダ100と同じシステムに属する全ての無線タグ200の機器ID(図ではタグIDと記載)が圏内タグリストに登録されているかを判断する。圏内タグリストは、この無線タグリーダ100の通信範囲内に現時点で存在する無線タグ200のリストである。
【0137】
このステップS51の判断がNOであればステップS52へ進む。ステップS52では、通常のタグ通信処理を実行する。
【0138】
この通常のタグ通信処理とは、具体的には、無線タグ200からタグ通知信号を受信した場合には、システムIDの照合を行い、照合OKであれば応答信号を送信し、無線タグ200からタグ認証要求信号あるいはタグ認証済み信号を受信した場合には機器IDの認証を行ない、認証OKであれば認証応答信号を送信する処理である。なお、この通常のタグ通信処理においては、無線タグリーダ100が認証応答信号を送信した後、その機器IDの無線タグ200が通信範囲に存在する間は、無線タグリーダ100の認証応答信号の送信と、無線タグ200のタグ認証済み信号の送信(無線タグリーダ100にとってはタグ認証済み信号の受信)が繰り返されることになる。
【0139】
この通常のタグ通信処理で、機器IDを含む信号、すなわち、タグ認証要求信号あるいはタグ認証済み信号を受信した場合には、ステップS53へ進み、それらの信号に含まれている機器IDが圏内タグリストに登録されていない機器IDか否かを判断する。
【0140】
この判断がNOであればステップS52へ戻り、通常のタグ通信処理を再び行なう。一方、この判断がYESであれば、ステップS54へ進んで、今回受信した機器IDを含む信号に含まれているその機器IDを圏内タグリストに追加する。
【0141】
その後は、ステップS51へ戻り、圏内タグリストに、この無線タグリーダ100と同じシステムに属する全ての無線タグ200の機器IDが登録されているかを判断する。このステップS51の判断がYESとなった場合には、ステップS55へ進む。
【0142】
ステップS55では、ステップS52と同様に通常のタグ通信処理を実行する。そして、いずれか一つの無線タグ200から、機器IDを含む信号を受信したらステップS56へ進む。なお、ステップS55を実行する場合には、このシステムに属する全ての無線タグ200との間で機器IDの認証が成立していることから、このステップS55において機器IDを含む信号はタグ認証済み信号となる。
【0143】
ステップS56では、ステップS55の処理で受信したタグ認証済み信号を送信した無線タグ200に、システムID変更要求信号を送信する。このシステムID変更要求信号には、システムIDの変更を要求すること、および、新システムIDが含まれている。
【0144】
この要求を受信した無線タグ200は、
図17に示すように、その要求に従い、システムIDを新システムIDに変更する(ステップS81)。続いて、受信エラーが発生したことの記憶をメモリ262から消去する(ステップS82)。その後、システムID変更完了通知を送信する(ステップS83)。
【0145】
図15に戻り、ステップS57では、上記要求を送信した無線タグ200からシステムID変更完了通知を受信したかを判断する。この判断がNOであれば、ステップS55へ戻る。一方、ステップS57がYESであればステップS58へ進む。
【0146】
ステップS58ではシステムID変更完了リストに、システムID変更完了通知を送信した無線タグ200の機器IDを追加する。なお、この機器IDはシステムID変更完了通知に含ませるようにしてもよいし、ステップS55で受信したタグ認証済み信号に含まれている機器IDを用いてもよい。
【0147】
続くステップS59では、システムID変更完了リストに、この無線タグリーダ100と同じシステムに属する全ての無線タグ200の機器IDが登録されているかを判断する。この判断がNOである場合、まだ、システムIDを新システムIDに変更していない無線タグ200が存在することになるので、ステップS55以下を再び実行することで、無線タグ200のシステムIDの変更を続ける。
【0148】
一方、システムID変更完了リストに、この無線タグリーダ100と同じシステムに属する全ての無線タグ200の機器IDが登録され、ステップS59の判断がYESとなった場合、ステップS60へ進む。ステップS60では、自身のシステムIDを新システムIDへ変更する。
【0149】
ところで、圏内タグリストに機器IDが登録されている無線タグ200も、時間が経過すると、必ずしも、この無線タグリーダ100の通信範囲に存在するとは限らない。そこで、
図15において、ステップS51〜S54のループを実行中は、
図16に示す処理も周期的に実行する。
【0150】
図16において、ステップS71では、圏内タグリストに登録されているが、一定時間通信していない無線タグ200があるか否かを判断する。一定時間は任意に設定可能であるが、たとえば、前述の通常のタグ通信処理の周期の数回乃至10回程度とする。無線タグ200が通信範囲内に存在していれば、通常のタグ通信処理を行なう毎に通信ができるはずであるが、ノイズ等の影響により一時的に通信ができないことを考慮して、一定時間を通常のタグ通信処理の1周期よりも長くしたものである。
【0151】
ステップS71の判断がNOであれば
図16をそのまま終了する。一方、YESであれば、ステップS72に進み、圏内タグリストから、上記一定時間通信していない無線タグ200の機器IDを削除する。このステップS72で削除が行われた場合には、もちろん、
図15のステップS51がNOとなる。
【0152】
以上、説明したこの第3実施形態でも、無線タグリーダ100は、無線タグ200から受信したタグ通知信号に含まれているシステムIDと、無線タグリーダが属するシステムのシステムIDが一致した場合には応答信号を送信する。
【0153】
しかし、無線タグ200がタグ通知信号を送信した位置が、2つの無線タグリーダ100A、100Bの通信範囲が重複している範囲(たとえば
図12の(2)の位置)であり、且つ、それら2つの無線タグリーダ100A、100Bが使用するシステムIDが同じであると、2つの無線タグリーダ100A、100Bは同時期に無線タグ200へ応答信号を送信する。そのため、無線タグ200は、これらの応答信号を正しく復号することはできず、受信エラーが発生したとして、受信エラーが発生したことを記憶する(
図13のt3−t4、
図14のS22−2)。
【0154】
無線タグ200は、受信エラーが発生したことを記憶した後も、タグ通知信号を周期的に送信する(
図14のS21)。また、無線タグ200は人に携帯されるものであることから位置が逐次移動し、
図12の(3)に示すように、無線タグ200(ここでは200A)と同じシステムに属する無線タグリーダ100Aのみの通信範囲に入ると、無線タグ200Aは、無線タグリーダ100Aが送信する応答信号を受信することができる(
図13のt7−t8)。応答信号を受信できた場合(
図14のS22:YES)、無線タグ200Aは、タグ認証要求信号を送信し(
図14のS23、
図13のt9−t10)、このタグ認証要求信号を受信した無線タグリーダ100Aでは機器IDの認証が成立するので、タグ認証要求信号を送信した無線タグ200Aへ、認証応答信号を送信する(
図13のt11−t12)。
【0155】
無線タグ200Aはこの認証応答信号を受信することで(
図14のS24:YES)、無線タグリーダ100Aと通信できることが確認できるので、受信エラーが発生したことが記憶されていれば(
図14のS24−1:YES)、システムID重複通知を無線タグリーダに送信する(
図14のS24−2)。このシステムID重複通知を受信することにより、無線タグリーダ100Aも、現在設定されているシステムIDが周囲の他のシステムに使用されていると判断することができる。
【0156】
この第3実施形態でも、システムIDが使用されているかどうかの判断を、無線タグ200と無線タグリーダ100との間の信号の送受信により行っていることから、無線タグリーダ100は、システムIDを含む信号を定期的に送信する必要がない。よって、システムIDを含む信号との衝突により、無線タグ200と無線タグリーダ100との通信が阻害されてしまうことを抑制できる。しかも、2つの無線タグリーダ100A、100Bは、自身の通信範囲に他方の無線タグリーダ100B、100Aが入っていなくても、システムIDが使用されているかどうかを判断することができる。
【0157】
なお、前述したように、第3実施形態でも、無線タグリーダ100は
図8、10、11の処理を実行する。また、無線タグ200が実行する
図14の処理は、第2実施形態で無線タグ200が実行する
図9の処理を全て含んでいる。したがって、第3実施形態では、第2実施形態の作用効果も得られる。
【0158】
第2実施形態は、システムIDが一致する他のシステムの無線タグリーダ100の通信範囲と自システムの無線タグリーダ100の通信範囲に重複範囲があるとしても、無線タグ200が、どの無線タグリーダ100の通信範囲でもない位置から、他のシステムの無線タグリーダのみの通信範囲に入る場合に有効である。
【0159】
一方、第3実施形態の
図14で説明した方法では、無線タグ200が、タグ通知信号を送信した後の応答信号を受信する期間に受信エラーが発生したことでシステムIDの重複を判断する。したがって、無線タグ200が、どの無線タグリーダ100の通信範囲でもない位置から、システムIDが一致する他のシステムの無線タグリーダ100の通信範囲と自システムの無線タグリーダ100の通信範囲とが重複する範囲に入る場合に有効である。
【0160】
よって、第3実施形態では、第2実施形態の処理のみ、あるいは、
図14の処理のみでシステムIDの重複を判断するよりも多くのケースにおいて、自動的に、システムIDが周囲の他のシステムに使用されていることを判断できる。
【0161】
また、この第3実施形態では、システムIDの重複を無線タグリーダ100が判断した場合には、コントローラ300へその旨を通知し、コントローラ300からの要求により無線タグリーダ100はシステムIDを新システムIDへ変更する処理(
図15、
図16)を行なう。この処理では、圏内タグリストで、このシステムに属する複数の無線タグ200が無線タグリーダ100の通信範囲内に存在しているかどうかを把握し、圏内タグリストにシステムに属する全ての無線タグ200の機器IDが含まれた場合に、一括してそれらの無線タグ200のシステムIDを変更し、且つ、続いて、無線タグリーダ100も、このときにシステムIDを新システムIDに変更する。これにより、周囲のシステムとのシステムIDの重複が自動で解消される。
【0162】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態は、システムIDの重複を判断するまでの処理は第3実施形態と同一であり、コントローラ300からシステムIDの変更要求を受信した場合に実行する無線タグリーダ100の処理が第3実施形態と相違する。
【0163】
図18は、その変更要求を受信した場合に実行する無線タグリーダ100の制御部110の処理を示すフローチャートである。
【0164】
ステップS91では、旧システムID(コントローラ300から変更要求を受信した時点で使用中のシステムID)と、新システムIDの両方を受け付ける状態(2ID許可状態)となる。
【0165】
続くステップS92では、第3実施形態で説明したものと同じ、通常のタグ通信処理を行なう。ただし、ステップS92を実行時は、2ID許可状態であるので、旧システムIDの無線タグ200でも、また、新システムIDの無線タグ200でも、応答信号をその無線タグ200へ送信する。その後は、無線タグ200が無線タグリーダ100と同じシステムに属していれば、無線タグ200から、タグ認証要求信号やタグ認証済み信号が送信されることになる。これらタグ認証要求信号やタグ認証済み信号は、いずれも機器IDを含んだ信号である。これらを受信した場合には、ステップS93へ進む。
【0166】
ステップS93では、システムIDを新システムID変更済みである無線タグ200のリストであるシステムID変更完了リストに、上記機器ID(
図18ではタグIDと記載)が未登録であるか否かを判断する。
【0167】
この判断がNO(登録済み)である場合、ステップS92へ戻る。一方、ステップS93の判断がYES(未登録)である場合には、ステップS94へ進む。ステップS94では、S93の判断を行った機器IDを含む信号を送信した無線タグ200に、システムIDを新システムIDに変更することを要求するシステムID変更要求を送信する。
【0168】
この第4実施形態でも、上記システムID変更要求を受信した無線タグ200は
図17に示す処理を実行することで、システムIDの変更、受信エラーの消去、システムID変更完了通知の送信を行なう。
【0169】
ステップS95では、システムID変更要求を送信した無線タグ200から、システムID変更完了通知を受信したかを判断する。この判断がNOであればステップS92へ戻り、YESであればステップS96へ進む。
【0170】
ステップS96では、システムID変更完了リストに、システムID変更完了通知を受信した無線タグ200の機器IDを追加する。
【0171】
ステップS97では、システムID変更完了リストに、この無線タグリーダ100と同じシステムに属する全ての無線タグ200の機器IDが登録されているか否かを判断する。この判断がNOであればステップS92に戻る。一方、この判断がYESであれば、ステップS98へ進む。
【0172】
ステップS98では、2ID許可状態を終了し、新システムIDのみを受け付ける状態となる。
【0173】
以上、説明した第4実施形態によれば、無線タグリーダ100は、コントローラ300からシステムID変更要求を受信した場合、通信可能となった無線タグ200から、個別にシステムIDを変更する。この場合には、一時的に、複数の無線タグ200のうちの一部は新システムIDが設定され、残りはそれまでのシステムIDが設定されたままという状態となる。そこで、第4実施形態では、無線タグリーダ100は、新システムIDとそれまでのシステムIDの両方を、タグ通知信号に含まれているシステムIDと照合する2ID許可状態で、無線タグ200に対するシステムIDの変更を開始する(S91)。
【0174】
そして、システムIDを変更した無線タグ200の機器IDをシステムID変更完了リストで管理し、このシステムに属する無線タグ200の機器IDがシステムID変更完了リストに全て含まれた場合(S97:YES)、2ID許可状態を終了する(S98)。これにより、周囲のシステムとのシステムIDの重複が自動で解消される。
【0175】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0176】
たとえば、前述の実施形態では、同一のシステム1に属する無線タグ200の機器IDを無線タグリーダ100が記憶していたが、これをコントローラ300が記憶し、無線タグリーダ100は、機器IDの照合の際には、コントローラ300から、同一のシステム1に属する無線タグ200の機器IDを取得するようにしてもよい。
【0177】
また、第3実施形態では、認証応答信号を受信した後に(
図14のS24:YES)、受信エラーが記憶されているか否かによりシステムIDが重複しているか否かを判断していた(S24−1)。しかし、単純に、受信エラーが記憶されているか否かではなく、認証応答信号を受信した時点が、受信エラーの発生を記憶してから所定時間内である場合にシステムIDの重複であると判断するようにしてもよい。上記所定時間は、任意に設定可能であるが、受信エラーが発生してから、自システムの無線タグリーダ100のみの通信範囲に入るまでの通常の所要時間を実験に基づいて確認し、その所要時間あるいはそれよりもやや長い時間に設定する。長めに設定する場合には、たとえば、上記所定時間は一日(24時間)に設定することができる。また、短めに設定する場合には、数分程度としてもよい。なお、第3実施形態のように、システムIDを変更したら受信エラーを消去する場合には、受信エラーの発生を記憶してから所定時間内であるか否かを判断することなく、受信エラーが記憶されているか否かのみにより、システムIDが重複していると判断してもよい。