特許第5958185号(P5958185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958185
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】蓄電装置及び電極組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/26 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   H01M2/26 A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-187665(P2012-187665)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-44903(P2014-44903A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英樹
【審査官】 大畑 通隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−084641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/26
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極と負極電極との間が絶縁された状態で、これらが積層されてなる電極組立体と、前記電極組立体との間で電気を授受する電極端子とを備え、前記正極電極と前記負極電極の縁部から突出したタブが夫々形成され、前記タブの内、同極のタブ同士を前記電極組立体の積層方向における一端から他端までの範囲内で集めたタブ群が夫々形成され、
前記タブ群から前記電極端子へと導電させる導電部材が前記タブ群に接続され、前記導電部材と前記電極組立体とがケース内に収容されてなる蓄電装置であって、
前記タブ群は、前記タブが重なる方向である重なり方向に位置する一端が前記導電部材に接合されるとともに、重なり方向の他端が金属板に接続され、重なり方向の両端から前記導電部材と前記金属板で挟まれ、
前記導電部材及び前記金属板に接合されて、前記導電部材及び前記金属板の一方から他方に延出した絶縁部材を備え、
前記絶縁部材は、前記タブ群の重なり方向に直交する方向で前記タブ群を挟むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記絶縁部材は、柱状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電装置は二次電池であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
正極電極と負極電極との間が絶縁された状態で、これらが積層されてなる電極組立体の製造方法であって、
導電部材からなる第1部材と金属板からなる第2部材との間に支持部材を介在させてこれらを一体化する工程と、
前記電極組立体の縁部にて同極のタブが複数枚集合したタブ集合体を一体化された前記第1部材と前記第2部材とで挟んで溶接する工程とを備えることを特徴とする電極組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電極組立体を備える蓄電装置及び電極組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置の一種である二次電池として、例えば、図11に示すように、帯状の正極電極81と帯状の負極電極82との間に帯状のセパレータ83を介在させて、これらを渦捲き状に捲回して構成される電極組立体84を備えたものがある。詳細には、正極電極81は、正極活物質が塗布されてなる活物質層81aと、正極活物質が塗布されていない未塗工部からなるタブ81bとから構成されている。また、負極電極82は、負極活物質が塗布されてなる活物質層82aと、負極活物質が塗布されていない未塗工部からなるタブとから構成されている。なお、図11では、説明の便宜上、負極電極82のタブの図示を省略している。
【0003】
正極電極81及び負極電極82は、セパレータ83を介して幅方向にずらして積層されるとともに、正極電極81のタブ81b及び負極電極82のタブを、セパレータ83の両端縁からそれぞれ外側へ突出させた状態で渦巻き状に捲回される。そして、正極電極81、負極電極82及びセパレータ83が渦巻き状に捲回された後、正極電極81、負極電極82及びセパレータ83を径方向両側から圧縮することにより扁平状の電極組立体84が形成される。そして、電極組立体84を、内部に電解液が注入されたケース80aに収容することで二次電池80が構成されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
電極組立体84には、正極電極81の各タブ81bを集めてなるタブ群81cが形成されている。タブ群81cは、電極組立体84の積層方向に直交する方向に延びている。タブ群81cにおける電極組立体84の積層方向に直交する方向に沿って延びる面には、板状をなす導電部材85が接続されている。そして、導電部材85とタブ群81cとの接触部位を溶接により接合することで、正極電極81と導電部材85とが電気的に接続される。なお、負極電極82と導電部材(図示せず)との電気的接続も、正極電極81と導電部材85との電気的接続と同様に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−76840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、導電部材85とタブ群81cとの接触部位の溶接は、例えば抵抗溶接によって行われる。抵抗溶接では、まず導電部材85と導電性を有する当て板とでタブ群81cを重なり方向の両側から挟むようにする。そして、当て板を介してタブ群81cに溶接用電極による荷重を付与することにより、各タブ群81cを集めて導電部材85と接合させるようにする。しかしながら、こうした抵抗溶接では、導電部材85及び当て板をタブ群81cに設置する際や、溶接用電極によってタブ群81cに荷重を付与する際にタブ群81cの位置ずれが生じるおそれがある。そして、タブ群81cの位置ずれが生じると、タブ群81cと導電部材85との接続部位が小さくなることとなるため、電極からの集電効率が低下するおそれがある。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、電極からの集電効率の低下を抑制することのできる蓄電装置及び電極組立体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、正極電極と負極電極との間が絶縁された状態で、これらが積層されてなる電極組立体と、前記電極組立体との間で電気を授受する電極端子とを備え、前記正極電極と前記負極電極の縁部から突出したタブが夫々形成され、前記タブの内、同極のタブ同士を前記電極組立体の積層方向における一端から他端までの範囲内で集めたタブ群が夫々形成され、前記タブ群から前記電極端子へと導電させる導電部材が前記タブ群に接続され、前記導電部材と前記電極組立体とがケース内に収容されてなる蓄電装置であって、前記タブ群は、前記タブが重なる方向である重なり方向に位置する一端が前記導電部材に接合されるとともに、重なり方向の他端が金属板に接続され、重なり方向の両端から前記導電部材と前記金属板で挟まれ、前記導電部材及び前記金属板に接合されて、前記導電部材及び前記金属板の一方から他方に延出した絶縁部材を備え、前記絶縁部材は、前記タブ群の重なり方向に直交する方向で前記タブ群を挟むことをその要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、絶縁部材によって導電部材と金属板との間が支持されることとなる。このため、導電部材、金属板、及びタブ群を設置する際や、溶接用電極によってタブ群に荷重を付与する際での、タブ群の位置ずれを抑制することができる。そして、タブ群の位置ずれを抑制することにより、タブ群と導電部材との接続部位を所望分保持することができる。したがって、電極からの集電効率の低下を抑制することができる。
【0010】
また、導電部材及び金属板を支持する部材を絶縁部材とすることにより、抵抗溶接に影響を及ぼすことなくタブ群の位置ずれを抑制することができる
【0011】
また、上記構成によれば、より安定した形で導電部材及び金属板を支持することができるため、タブ群の位置ずれをより抑制することができる。したがって、電極からの集電効率の低下をさらに抑制することができる。
【0012】
具体的には、請求項に記載の構成のように、前記絶縁部材は、柱状をなしているといった構成を採用することができる。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の蓄電装置において、前記蓄電装置は二次電池であることをその要旨とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、正極電極と負極電極との間が絶縁された状態で、これらが積層されてなる電極組立体の製造方法であって、導電部材からなる第1部材と金属板からなる第2部材との間に支持部材を介在させてこれらを一体化する工程と、前記電極組立体の縁部にて同極のタブが複数枚集合したタブ集合体を一体化された前記第1部材と前記第2部材とで挟んで溶接する工程とを備えることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、支持部材によって第1部材と第2部材との間が支持されることとなる。このため、第1部材、第2部材、及びタブ集合体を設置する際や、タブ集合体を溶接する際での、タブ集合体の位置ずれ、すなわち溶接後のタブ集合体であるタブ群での位置ずれを抑制することができる。そして、タブ群の位置ずれを抑制することにより、タブ群と導電部材との接続部位を所望分保持することができる。したがって、電極からの集電効率の低下を抑制することができる。
【0015】
尚、タブ集合体の溶接としては、第1部材及び第2部材として導電性を有する部材を用いて行う抵抗溶接や、第1部材及び第2部材として端子を用いて行う超音波溶接が挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電極からの集電効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態における二次電池の分解斜視図。
図2】二次電池の外観を示す斜視図。
図3】二次電池の断面図。
図4】電極組立体の構成を示す分解斜視図。
図5】導電部材、金属板、絶縁部材の構成を示す斜視図。
図6】導電部材、金属板、絶縁部材をタブに設ける状態を示す斜視図。
図7】タブを集める状態を示す断面図。
図8】タブを集めてタブ群を形成する状態を示す断面図。
図9】別の実施形態における導電部材、金属板、絶縁部材の構成を示す斜視図。
図10】別の実施形態における導電部材、金属板、絶縁部材をタブに設ける状態を示す斜視図。
図11】従来例における二次電池の一部分を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を産業車両や乗用車両等の車両に搭載されるリチウムイオン二次電池に具体化した実施形態について図1図8にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、二次電池10は、電極組立体11と、電極組立体11を収容するアルミニウム製のケース21とから構成されている。ケース21は、電極組立体11を挿入可能な開口部22aを有する角型のケース本体22と、ケース本体22の開口部22aを閉鎖する矩形板状の蓋23とから構成されている。ケース21の内部には電解液が注入されている。
【0019】
電極組立体11には、電極組立体11との間で電気を授受する電極端子としての正極端子26と負極端子27が電気的に接続されている。そして、これら正極端子26及び負極端子27は、蓋23に所定の間隔をあけて並設された一対の開口孔23aからケース21の外部に露出されている。また、正極端子26及び負極端子27には、ケース21から絶縁するためのリング状の絶縁部材26a,27aがそれぞれ取り付けられている。
【0020】
図3に示すように、ケース本体22の内面には、ケース本体22と内部に収容された電極組立体11とを絶縁するための絶縁シート40aが取着されている。また、蓋23の内面には、蓋23と内部に収容された電極組立体11とを絶縁するための絶縁シート40bが取着されている。
【0021】
図4に示すように、電極組立体11は、シート状の正極電極12とシート状の負極電極16とを備える。正極電極12は、正極金属箔(本実施形態ではアルミニウム箔)13と、その両面に正極活物質を塗布してなる正極活物質層14とを有する。そして、正極電極12の縁部12aの一部には、正極活物質が塗布されていない領域からなる正極タブ15が突出するように設けられている。負極電極16は、負極金属箔(本実施形態では銅箔)17と、その両面に負極活物質を塗布してなる負極活物質層18とを有する。そして、負極電極16の縁部16aの一部には、負極活物質が塗布されていない領域からなる負極タブ19が突出するように設けられている。そして、電極組立体11は、正極電極12と負極電極16の間にこれらを絶縁するセパレータ20を介在させて層状をなす積層体とされている。電極組立体11は、複数の正極電極12と複数の負極電極16とを積層して構成される。すなわち、電極組立体11には、正極電極12と、負極電極16と、セパレータ20とからなる組が複数組、設けられている。
【0022】
図1に示すように、電極組立体11の縁部11aには、電極組立体11から電気を取り出す各正極電極12の正極タブ15を、電極組立体11の積層方向の一端から他端までの範囲内で集めて正極タブ群15bが形成されている。この正極タブ群15bには、矩形板状をなす正極導電部材24が接合されている。また、電極組立体11の縁部11aには、電極組立体11から電気を取り出す各負極電極16の負極タブ19を、電極組立体11の積層方向の一端から他端までの範囲内で集めて負極タブ群19bが形成されている。この負極タブ群19bには、矩形板状をなす負極導電部材25が接合されている。尚、正極タブ群15bは、複数枚の正極タブ15が集合してなる正極タブ集合体が抵抗溶接により接合されてなるとともに、負極タブ群19bは、複数枚の負極タブ19が集合してなる負極タブ集合体が抵抗溶接により接合されてなる。また、正極タブ群15bと正極導電部材24や、負極タブ群19bと負極導電部材25も、抵抗溶接により接合されている。
【0023】
そして、正極導電部材24は正極端子26と電気的に接続されるとともに、負極導電部材25は負極端子27と電気的に接続される。これにより、正極タブ群15bと正極端子26とが正極導電部材24を介して電気的に接続されるとともに、負極タブ群19bと負極端子27とが負極導電部材25を介して電気的に接続される。
【0024】
図1及び図8に示すように、正極タブ群15bは、その正極タブ15が重なる方向である重なり方向の一端にある正極タブ15(図8に符号「H1」を付す)が正極導電部材24に接続されるとともに、重なり方向の他端にある正極タブ(図8に符号「H2」を付す)が矩形板状をなす金属板30(本実施形態ではアルミニウム製)に接続される。そして、正極タブ群15bは、その重なり方向の両端にある正極タブ15(H1)及び正極タブ15(H2)から正極導電部材24と金属板30で挟まれている。また、第1部材としての正極導電部材24と第2部材としての金属板30との間には支持部材としての柱状の絶縁部材32,33(本実施形態では樹脂製)が設けられている。
【0025】
図5に示すように、この絶縁部材32,33は、一対の部材で構成されており、その一端32b,33bが金属板30の面30aに接合されているとともに、他端32c,33cが正極導電部材24の面24aに接合されている。こうして絶縁部材32,33が接合されることにより、正極導電部材24、金属板30、及び絶縁部材32,33が一体化されている。そして、絶縁部材32,33は、その一端32b,33bから他端32c,33cにかけて金属板30から正極導電部材24に延出している。
【0026】
図6に示すように、絶縁部材32,33の一端32b,33bから他端32c,33cまでの長さは、正極タブ15が複数枚集合した正極タブ集合体15aの重なり方向の長さと同程度に設定されている。また、絶縁部材32,33は、互いに対向する面32aから面33aの長さが、正極タブ集合体15aの重なり方向に直交する方向の長さよりも若干長く設定されている。そして、正極導電部材24、金属板30、及び絶縁部材32,33によって、その内部に空間Sが区画形成されてなる。こうした空間Sに正極タブ集合体15aが挿入されることにより、正極導電部材24、金属板30、及び絶縁部材32,33は、正極タブ集合体15aを囲むように位置するようになる。そして、正極導電部材24と金属板30が、その面24a,30aをもって正極タブ集合体15aの重なり方向の両端を挟むように位置するようになる。さらに、絶縁部材32,33は、正極タブ集合体15aの重なり方向に直交する方向で正極タブ集合体15aを挟むように位置するようになる。そして、これら正極導電部材24、金属板30、及び絶縁部材32,33を用いて正極タブ集合体15aの抵抗溶接がなされることによって、正極タブ集合体15aが溶接されて正極タブ群15bをなすものとなる。
【0027】
次に、電極組立体11の製造方法における、正極タブ集合体15aの溶接工程について、図7及び図8に従って説明する。尚、この正極タブ集合体15aの溶接工程に先立って、まず、第1部材として正極導電部材24を用意するとともに、第2部材として金属板30を用意する。そして、金属板30の面30aに絶縁部材32,33の一端32b,33bを接合するとともに、正極導電部材24の面24aに他端32c,33cを接合することによって、これら正極導電部材24と金属板30との間に絶縁部材32,33を介在させる工程を行っている。
【0028】
図7に示すように、まず溶接工程に際しては、正極導電部材24、金属板30、及び絶縁部材32,33を、これらによって区画形成された空間Sに正極タブ集合体15aを挿入するように位置させる。これにより、正極タブ集合体15aの重なり方向の一端にある正極タブ15(H1)には正極導電部材24が当接されるとともに、他端にある正極タブ15(H2)には金属板30が当接される。そして、こうして正極タブ集合体15aの両端に正極導電部材24及び金属板30が位置することにより、絶縁部材32,33は、正極タブ集合体15aの重なり方向に直交する方向で正極タブ集合体15aを挟むように位置することとなる。正極タブ集合体15aと正極導電部材24とは、正負一対の溶接用電極で挟まれる。
【0029】
そして、こうして正極導電部材24、金属板30、絶縁部材32,33が設けられた状態で、各正極タブ15は、電極組立体11における積層方向の一端(図6の左側)に向かって他端(図6において右側)から集められる。具体的に言えば、電極組立体11の一端の正極タブ15(H1)に、他端の正極タブ15(H2)が接近するように各正極タブ15が集められる。このとき、正極タブ集合体15aには、金属板30を介して溶接用電極から荷重が付与されており、この荷重は電極組立体11の他端の正極タブ15(H2)から一端の正極タブ15(H1)に向かって付与される。そして、この荷重によって各正極タブ15が集められる。また、こうして各正極タブ15が集められることにより、絶縁部材32,33が撓んで、正極導電部材24と金属板30と間の長さが短くなることとなる。尚、各正極タブ15を集める際には、正極タブ15が破断しないように曲がり具合を調整しながら各正極タブ15を集めると良い。
【0030】
図8に示すように、各正極タブ15が独立してなる正極タブ集合体15aが、各正極タブ15が集められることにより正極タブ群15bをなす。そして、正極タブ群15bと正極導電部材24は、抵抗溶接によって接合される。これにより、正極タブ群15bと正極導電部材24は、電気的に接続される。また、正極タブ群15bと金属板30も、抵抗溶接によって接合される。このように、正極タブ集合体15aは、正極導電部材24と金属板30とで挟まれて溶接される。
【0031】
本実施形態において、各正極タブ15は同じ大きさに形成されている。このため、電極組立体11の積層方向において、正極タブ15(H1)からの離間距離が長い正極タブ15ほど、正極タブ群15bとして集約される正極タブ15の長さが短い。このため、全ての正極タブ15での溶接部位Wは、正極タブ15(H2)における他の正極タブ15との重合領域に合わせて設けられている。本実施形態では、正極タブ群15bと正極導電部材24が溶接部位Wによって接合されるとともに、この溶接部位Wを接続部位として正極タブ群15bと正極導電部材24が電気的に接続される。
【0032】
また、図8に示した形態では、図7に示した形態と比較して、金属板30の面30aから正極導電部材24の面24aまでの長さが短くなっている。これは、正極導電部材24、金属板30、及び絶縁部材32,33を用いて正極タブ集合体15aの抵抗溶接が行われることによって、正極タブ群15bの重なり方向の長さが同重なり方向の正極タブ集合体15aの長さよりも短くなることによる。また、こうして抵抗溶接によって正極タブ群15bとされることにより、絶縁部材32,33が撓むこととなる。
【0033】
正極タブ群15bを折り曲げた場合、正極タブ群15bは、曲げ部と同曲げ部から電極組立体11の積層方向の他端に向かって延出する延出部よりなるものとなる。このとき、金属板30は、正極タブ群15bの曲げ部の内方に位置する。すなわち、金属板30は、延出部よりも正極電極12、負極電極16、及びセパレータ20の積層体に近接した位置に配置される。また、正極導電部材24は、正極タブ群15bの曲げ部の外方に位置する。すなわち、正極導電部材24は、延出部よりも正極電極12、負極電極16、及びセパレータ20の積層体から離間した位置に配置される。また、絶縁部材32,33は、正極導電部材24及び金属板30に接合されているため、正極タブ群15bが折り曲げられた場合においても、正極導電部材24から金属板30に延出した状態となっている。さらに、絶縁部材32,33は、正極タブ群15bが折り曲げられた場合において、正極タブ群15bの重なり方向に直交する方向で正極タブ群15bを挟む状態となっている。
【0034】
また、正極導電部材24及び金属板30は、電極組立体11における一端から他端の範囲に配置される。そして、本実施形態において、正極導電部材24及び金属板30の短手方向に沿う長さは、電極組立体11の積層方向に沿う長さよりも短くされている。このため、正極タブ群15bの折り曲げによって正極導電部材24及び金属板30が電極組立体11の積層方向に沿って配置されたとしても、電極組立体11における積層方向の一端から他端までの範囲に収まることになる。また、正極導電部材24及び金属板30の短手方向に沿う長さは、正極タブ群15bの延出部に沿う長さとなる。
【0035】
尚、負極タブ群19bも、正極タブ群15bと同様に、負極導電部材25、金属板30、及び絶縁部材32,33を備える。そして、負極タブ集合体の抵抗溶接も、負極導電部材25、金属板30、絶縁部材32,33を用いて行われる。図5図8にしたがって上述した正極タブ群15bとその抵抗溶接に用いる正極導電部材24、金属板30、絶縁部材32,33の説明は、負極タブ群19bとその抵抗溶接に用いる負極導電部材25、金属板30、絶縁部材32,33の説明と同じである。このため、上述の説明において、正極タブ15を負極タブ19に、正極タブ集合体15aを負極タブ集合体に、正極タブ群15bを負極タブ群19bに、正極導電部材24を負極導電部材25に、それぞれ読み替えることで、負極タブ群19bと負極導電部材25、金属板30、絶縁部材32,33の説明とすることができる。
【0036】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態によれば、絶縁部材32,33によって導電部材24.25と金属板30との間が支持されることとなる。このため、導電部材24,25及び金属板30をタブ群15b.19bに設置する際や、溶接用電極によってタブ群15b,19bに荷重を付与する際での、タブ群15b,19bの位置ずれを抑制することができる。
【0037】
また、導電部材24,25及び金属板30を支持する部材を絶縁部材32,33とすることにより、抵抗溶接に影響を及ぼすことなくタブ群15b,19bの位置ずれを抑制することができる。
【0038】
そして、絶縁部材32,33は一対の部材で構成されている。また、導電部材24,25、金属板30、及び絶縁部材32,33は、これらによって区画形成された空間Sに正極タブ集合体15aが挿入されるように位置する。これにより、絶縁部材32,33は、タブ群15b,19bの重なり方向に直交する方向でタブ群15b,19bを挟むように位置する。このため、より安定した形で導電部材24,25及び金属板30を支持することができるため、タブ群15b,19bの位置ずれをより抑制することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば以下の効果が得られるようになる。
(1)本実施形態によれば、絶縁部材32,33によって導電部材24,25と金属板30との間が支持されることとなる。このため、導電部材24,25及び金属板30をタブ群15b,19b(タブ集合体15a)に設置する際や、溶接用電極によってタブ群15b,19b(タブ集合体15a)に荷重を付与する際での、タブ集合体15aの位置ずれ、すなわち溶接後のタブ集合体15aであるタブ群15b,19bでの位置ずれを抑制することができる。そして、タブ群15b,19bの位置ずれを抑制することにより、タブ群15b,19bと導電部材24,25との溶接部位Wを所望分保持することができる。したがって、電極12,16からの集電効率の低下を抑制することができる。
【0040】
また、導電部材24,25及び金属板30を支持する部材を絶縁部材32,33とすることにより、抵抗溶接に影響を及ぼすことなくタブ群15b,19bの位置ずれを抑制することができる。
【0041】
(2)本実施形態によれば、より安定した形で導電部材24,25及び金属板30を支持することができるため、タブ群15b,19bの位置ずれをより抑制することができる。したがって、電極12,16からの集電効率の低下をさらに抑制することができる。
【0042】
(3)タブ群15b,19bの抵抗溶接に際しては、導電部材24,25、金属板30、及びタブ群15b,19bの3つを設置する必要があり、溶接作業に係る工数の低減が望まれている。本実施形態によれば、導電部材24,25及び金属板30に絶縁部材32,33が接合されることにより、導電部材24,25、金属板30、及び絶縁部材32,33が一体となっている。このため、導電部材24,25及び金属板30の設置を1つの工程とすることができるため、溶接作業に係る工数の低減を図ることができる。
【0043】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
○ 導電部材24,25及び金属板30は、いずれも矩形板状をなすものとされていたが、形状はこれに限定されない。すなわち、タブ群15b,19bの溶接に支障が生じなければ、導電部材24,25及び金属板30の形状は自由に設定可能である。
【0044】
○ 絶縁部材32,33は矩形柱状をなしていたが、これに代えて、円柱等、他の柱形状をなすものとしてもよい。
○ 絶縁部材32,33は同形状をなすものとされていたが、絶縁部材32が矩形柱状、絶縁部材33が円柱状等、互いに異なる形状をなすものであってもよい。
【0045】
○ 絶縁部材32,33は、一対の部材からなるものとしていたが、これに代えて、絶縁部材を矩形板状の2対の部材を備えるものとして、このうちの1対の部材をもってタブ群15b,19bを挟むものであってもよい。要するに、絶縁部材は、少なくとも1対の部材を備え、その1対の部材をもってタブ群15b,19bを挟むものであればよい。
【0046】
○ 絶縁部材32,33の一端32b、33bが金属板30に接合されるとともに、絶縁部材32,33の他端32c、33cが導電部材24,25に接合されることにより、これら導電部材24,25、金属板30、及び絶縁部材32,33は一体とされていた。これに代えて、絶縁部材32,33の一端32b,33bの金属板30との接合を解除することにより、導電部材24,25及び絶縁部材32,33と、金属板30とで別体としてもよい。また、絶縁部材32,33の他端32c,33cの導電部材24,25との接合を解除することにより、金属板30及び絶縁部材32,33と、導電部材24,25とで別体としてもよい。さらに、絶縁部材32,33の一端32b,33bの金属板30との接合と、絶縁部材32,33の他端32c,33cの導電部材24,25との接合のいずれも解除することにより、これら導電部材24,25、金属板30、及び絶縁部材32,33を全て別体としてもよい。こうした形態でも、タブ群15b,19bの溶接に際して生じるおそれのある位置ずれを抑制することができる。尚、タブ群15b,19bを溶接する工程が完了したら、絶縁部材32,33の一端32b,33b及び他端32c,33cのうちで、導電部材24,25や金属板30と接合されていない端部を別途接合させる工程を更に行ってもよい。とくに、絶縁部材32,33を別途接合させる工程は、導電部材24,25、金属板30、及び絶縁部材32,33を全て別体とする場合に有効である。
【0047】
○ 絶縁部材32,33の一端32b,33bから他端32c,33cまでの長さを、タブ集合体15aの重なり方向の一端から他端までの長さよりも短いものとしてもよい。すなわち、こうした形態では、タブ群15b,19bの溶接工程に際しては、絶縁部材32,33は導電部材24,25及び金属板30のいずれか一方と離間しているものの、溶接工程が進んでタブ集合体15aの重なり方向の一端から他端の長さが短くなると、離間していた絶縁部材32,33の一端32b,33b及び他端32c,33cのいずれか一方と導電部材24,25及び金属板30のいずれか一方とが当接するようになる。こうした形態でも、タブ群15b,19bの溶接工程で生じる位置ずれを抑制することができる。
【0048】
○ タブ群15b,19bの溶接工程に際して、絶縁部材32,33が導電部材24,25及び金属板30の少なくとも一方と接合されていない形態においては、その絶縁部材32,33が接合されていない導電部材24,25及び金属板30の少なくとも一方が凹部を有するようにすることも可能である。そして、こうした凹部に、絶縁部材32,33の一端32b,33b及び他端32c,33cの少なくとも一方を位置させるようにすれば、タブ群15b,19bの溶接工程で生じる位置ずれを抑制することができる。
【0049】
○ また、絶縁部材32,33が接合されていない導電部材24,25及び金属板30の一方に、孔を有するようにすることも可能である。具体的には、図9に示すように、例えば導電部材124は孔124b,124cを有し、孔124b,124cを貫通するように絶縁部材132,133を位置させる。絶縁部材132,133の一端132b,133bは金属板130と接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。この形態では、タブ群15b,19bの溶接工程が進むにつれて、絶縁部材132,133の他端132c,133cから一端132b,133bへと孔124b,124cを貫通することとなる。こうした形態によっても、タブ群15b,19bの溶接工程で生じる位置ずれを抑制することができる。尚、絶縁部材132,133は図9に例示した円柱状に限らず、例えば矩形柱等、他の形状をなすものであってもよい。また、絶縁部材132,133が貫通する孔を金属板130が有する形態としてもよい。
【0050】
図9に示したような孔124b,124cにかえて、切り欠きを導電部材124及び金属板130のいずれか一方が有する形態としてもよい。
○ 絶縁部材32,33の一端32b,33bから他端32c,33cまでの長さを、正極タブ集合体15aの重なり方向の長さよりも長いものとする、言い換えると、タブ群15b,19bをなす状態において、導電部材24,25から金属板30までの長さよりも長いものとするとともに、例えば図9に示した絶縁部材132,133のように、絶縁部材32,33が導電部材24,25及び金属板30のいずれかを貫通するようにしてもよい。こうした形態では、タブ群15b,19bが導電部材24,25及び金属板30の双方と当接するようになる。そして、この状態で、タブ群15b,19bと導電部材24,25、金属板30とを溶接すればよい。
【0051】
図10に示すように、各タブ15,19に孔を設けることにより、タブ群15b,19b(図10ではタブ集合体15aを示している)をその重なり方向の一端から他端にかけて貫通する孔15cを有するものとしてもよい。そして、絶縁部材232,233の少なくとも一方の部材として、その断面形状が孔15cと同形状をなすものを採用することにより、溶接工程が進むにつれて、タブ群15b,19bの孔15cに絶縁部材232,233の一方の部材が貫通するような形態としてもよい。こうした形態によれば、溶接用電極によってタブ群15b,19bに荷重を付与する際にタブ群15b,19bの位置ずれが生じることをより抑制することができる。尚、こうした形態においては、タブ群15b,19bを2つの孔15cを有するものとして、その各孔15cを絶縁部材232,233がそれぞれ貫通するものであってもよい。また、タブ群15b,19bを、孔15cにかえて切り欠きを有するものとして、この切り欠きに沿うように絶縁部材232,233が位置するものであってもよい。
【0052】
○ 絶縁部材32,33は、樹脂からなるものとしていた。これ以外にも、絶縁部材32,33は、樹脂以外の絶縁材料からなるものであってもよいし、金属等、導電性を有する部材に絶縁コーティングしてなるものであってもよい。
【0053】
○ 絶縁部材32,33は、例えばゴムやばね、エキスパンドメタル等、弾性を有する部材であってもよい。
○ 絶縁部材32,33は、絶縁部材32をばねからなるものとするとともに、絶縁部材33をゴムからなるものとする等、絶縁部材32,33が互いに異なる材料からなるものであってもよい。こうした形態では、溶接工程を安定した形で行うことができるよう、各絶縁部材32,33の構成を調節することが望ましい。
【0054】
○ 金属板30が可撓性を有し、抵抗溶接に際して溶接用電極からの負荷を受けるときに、金属板30が撓む形態であってもよい。こうした形態では、とくに抵抗溶接に際して絶縁部材32,33が撓まない形態であったとしても、抵抗溶接に際してタブ15,19に負荷を付与できる。
【0055】
○ 導電部材24,25とタブ群15b,19bとの溶接方法として、超音波溶接を採用してもよい。こうして超音波溶接を採用する場合には、導電部材24,25、金属板30、絶縁部材32,33にかえて、第1部材及び第2部材として2つの端子と、その間を支持する支持部材とを用いて、上記実施形態と同様にタブ群15b,19bを溶接することができる。
【0056】
○ 正極タブ群15b及び負極タブ群19bの双方に、本発明の溶接工程を採用するようにしていたが、正極タブ群15b及び負極タブ群19bのいずれか一方の溶接工程として、本発明を採用するようにしてもよい。
【0057】
○ 電極組立体11としてシート状の正極電極12とシート状の負極電極16との間にセパレータ20を介在させて、これらが積層されてなる積層体を採用していた。電極組立体11としては、帯状の正極電極と帯状の負極電極との間に帯状のセパレータを介在させて、これらが捲回されてなる捲回体を採用することも可能である。尚、捲回体を採用する場合には、本実施形態のようなタブ15,19を設けることとする。
【0058】
○ 上記実施形態では、正極電極12はその両面に正極活物質を塗布してなる正極活物質層14を有するものとしたが、正極電極12の片面のみに正極活物質層14を有するものとしてもよい。
【0059】
○ 上記実施形態では、負極電極16はその両面に負極活物質を塗布してなる負極活物質層18を有するものとしたが、負極電極16の片面のみに負極活物質層18を有するものとしてもよい。
【0060】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であってもよい。要するに、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0061】
○ 本発明を、電気二重層コンデンサ等の蓄電装置に具体化してもよい。
○ 上述した絶縁部材32,33の形状、材質等に関する種々の別例を、図9及び図10で説明した絶縁部材132,133,232,233において同様に適用してもよい。
【0062】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記絶縁部材は、弾性材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【0063】
(ロ)前記絶縁部材は、ばね状をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
(ハ)前記導電部材及び前記金属板のいずれか一方は孔を有し、前記絶縁部材は前記孔を貫通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【0064】
(ニ)前記タブ群は重なり方向の一端から他端にかけて貫通する孔を有し、前記絶縁部材は前記孔を貫通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【符号の説明】
【0065】
10…二次電池、11…電極組立体、11a,12a,16a…縁部、12…正極電極、15…正極タブ、15a…正極タブ集合体、15b…正極タブ群、16…負極電極、19…負極タブ、19b…負極タブ群、20…セパレータ、21…ケース、24…正極導電部材、25…負極導電部材、30…金属板、32,33…絶縁部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11