【実施例1】
【0028】
本発明の具体的な実施例1について
図1〜
図6に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、
図1,
図2に示すように、横設する物干しバー1の両端部に、この物干しバー1を、建物の窓2の上部に近接した沿設状態Aと、この沿設状態Aの位置より下方にして前記窓2から離れた突出状態Bとに切り換え自在となる取付機構6を設け、この各取付機構6を前記窓2を設ける窓取付用開口部3の左右の縁枠部材4に取り付けし得るように構成した窓部取付型の物干し装置に係るものである。
【0030】
尚、図示していないが、前記特許文献1のように、物干しバー1を、窓2の窓取付用開口部3より上方の壁面5に沿設した沿設状態Aとする構成としても良いし、取付機構6を、窓取付用開口部3の左右外側の壁面5に取り付ける構成としても良い。
【0031】
本実施例の物干しバー1は、伸縮調整機構15を設けている。
【0032】
具体的には、物干しバー1は、丸パイプ状のバー本体16内に、このバー本体16よりやや径小な丸パイプ状のスライドバー17をスライド自在に嵌挿してバー本体16に対してスライドバー17がフリーにスライド伸縮する前記伸縮調整機構15を構成している。
【0033】
従って、伸縮調整機構15による物干しバー1の伸縮調整により窓取付用開口部3の開口幅に応じて前記各取付機構6間の間隔を広狭調整可能であり、各取付機構6を様々な開口幅の窓取付用開口部3に対応して取り付けし得るように構成している。
【0034】
また、本実施例の取付機構6は、左右一対をなすもので、この一対の取付機構6を夫々前記窓2を設ける窓取付用開口部3の室内側の左右の縁枠部材4(図面は窓枠の左右の縦枠部を示している。)の対向する側部内面18(見込み面)に夫々取り付けし得るように構成した場合を示している。尚、請求項1中の「左右の縁枠部材」なる記載は、図示したような窓枠の左右の縁枠部だけを意味するものではなく、窓枠(木枠)が存在せずに側部内面と上部内面とに直接壁紙が貼設されているような窓取付用開口部3の左右の縁枠部位も含む意味合いで用いている。
【0035】
具体的には、窓取付用開口部3の縁枠部材4の側部内面18に取り付ける左右一対の窓側取付部7に夫々回動腕部8を上下方向に起伏回動自在に枢着して前記左右一対の取付機構6を構成し、この各取付機構6の各回動腕部8の先端部間に前記物干しバー1を架設状態に連結している。
【0036】
本実施例の窓側取付部7は、
図3〜
図5に示すように、前記側部内面18に当接可能な縦長の板状体で構成し、この窓側取付部7の下部を半円板状に形成すると共に、この半円形下部の中心部に、この窓側取付部7の板面方向と直交する方向に軸方向を有する起伏回動軸9を回動自在に設けている。
【0037】
また、この起伏回動軸9には、窓側取付部7の半円形下部より径小な円板状の回動ベース部19を共回り状態に付設して、この回動ベース部19を窓側取付部7の一側板面(側部内面18への当接側板面の反対側板面)より突出状態に設けている。
【0038】
また、この回動ベース部19には、中心部に側方(窓側取付部7の一側板面の外方)へ向けてコ字状の軸取付部20を突設し、この軸取付部20に前記起伏回動軸9と直交状態にして傾動軸10を架設状態に設け、この傾動軸10に前記回動腕部8の基端部を傾動自在に枢着した構成としている。即ち、回動腕部8は、傾動軸10付の起伏回動軸9を介して窓側取付部7に設けているもので、この回動腕部8は、窓側取付部7に対して起伏回動軸9を支点とする起伏回動、並びに傾動軸10を支点とする傾動(起伏回動作動と直交する方向への回動作動)が可能となる構成としている。
【0039】
この窓側取付部7(取付機構6)の、窓取付用開口部3の縁枠部材4の側部内面18への取付構造は、この窓側取付部7の他側板面を側部内面18に面接当接させた上で、この窓側取付部7に設けた止着孔を利用して木ネジなどの止着具21により止着する構造としている。従って、このような簡易な取付構造を採用したことにより、取付機構6を介して本物干し装置を窓2の窓取付用開口部3に取付することが容易に行われると共に、既製の建築物に後付けすることも容易に行われる構成としている。
【0040】
尚、この窓側取付部7を、例えば窓取付用開口部3の左右外側の壁面5に直接的に取り付け可能な形状にしても良く、このように構成すると、窓取付用開口部3の外側の壁面5を傷付けずに取り付けでき、また、窓取付用開口部3の左右外側の壁面5に取付構造部分(窓側取付部7)が露出しない体裁良好な窓側取付部7を設計することも可能となり、更に、カーテン22が備えられた窓2に対して本物干し装置を設置した場合には、カーテン22が閉められた状態でも開けられた状態でも窓取付用開口部3の側部内面18の前方に存するために、このカーテン22によって取付機構6の取付構造部分(窓側取付部7)が隠れて見えづらく、体裁が良好となるなどのメリットがある。
【0041】
また、本実施例の回動腕部8は、角形の棒材で構成し、この各回動腕部8の先端部間に、前記物干しバー1を架設状態に配して直交連結することにより、各回動腕部8と物干しバー1とでコ字枠状をなすものとしている。そして、この各回動腕部8の基端部に、前記傾動軸10を貫通軸支する軸通し孔(図示省略)を貫通形成して、この軸通し孔を前記窓側取付部7の(回動ベース部19(起伏回動軸6)に設けた)傾動軸10に枢着している。
【0042】
即ち、前記各窓側取付部7を窓取付用開口部3の左右外側の壁面5へ取り付け固定すると、各回動腕部8が窓取付用開口部3の左右の縁枠部材4の内側にこの左右の縁枠部材4と平行に配設すると共に、物干しバー1が窓取付用開口部3の上部の縁枠部材4の内側にこの上部の縁枠部材4と平行に配設するように構成したもので、各回動腕部8を前記起伏回動軸9を支点に下方に向かって回動(伏動)させると、物干しバー1を窓2から室内側に向かって離れた突出状態Bにできる構成としている。
【0043】
また、ここで回動腕部8の先端部と物干しバー1の端部との連結構造を説明すると、
図4〜
図6に示すように、各回動腕部8の先端部を物干しバー1の端部に夫々枢着連結した構成としている。
【0044】
更に詳しくは、物干しバー1の両端部に突設したボール24を、左右の各回動腕部8の先端部に突設したボール受25に着脱自在に連結したボールジョイント構造としている。
【0045】
また、このボール24とボール受25の着脱構造は、ボール受25にボール24を支持する突没可動部26を設けると共に、この突没可動部26はコイルバネ27を採用した弾性体27により突出付勢される構成として、この突出付勢力に抗して突没可動部26を没動させることによりボール24を取り外し可能な構造としている。
【0046】
従って、このボールジョイント構造と物干しバー1の前記伸縮調整機構15により、前記各取付機構6の各回動腕部8を、片側ずつ回動させて物干しバー1を片側ずつ下ろしてくる(突出状態Bとする)ことも可能な構成としている。
【0047】
また、本実施例の回動腕部8は、前記傾動軸10を支点に窓取付用開口部3の内外方向へ傾動可能な構成であるが、この際、前記伸縮調整機構15を介してバー本体1が伸縮することにより回動腕部8の傾動可動が許容される構成としている。尚、バー本体1が伸縮することによって回動腕部8の傾動可動が許容される構成でなく、回動腕部8の先端部に物干しバー1の端部を左右方向に可動可能とするような可動吸収部を回動腕部8に設けて、回動腕部8の傾動可動が許容されるように構成しても良い。
【0048】
本実施例では、この回動腕部8若しくは前記窓側取付部7に係止部11を設け、この係止部11が係脱自在に係止する係合部12を前記窓側取付部7若しくは前記回動腕部8に設けて、この係止部11を係合部12に係止することにより前記物干しバー1が前記突出状態Bに位置決められるように構成している。
【0049】
具体的には、
図4,
図5に示すように、各回動腕部8の前記傾動軸10への枢着部近傍である基端側部であって、前記窓側取付部7の一側板面に相対する側面に前記係止部11としての係止凸部11(角形凸部)を設ける一方、この係止凸部11が凹凸係合係止する前記係合部12としての係合凹部12(角形凹部)を、前記窓側取付部7の前記起伏回動軸9の周囲に設けている。尚、係合凹部12は、窓側取付部7を貫通する貫通孔に構成しても良い。
【0050】
また、この係止凸部11と係合凹部12とは、回動腕部8が前記窓取付用開口部3の縁枠部材4の側部内面18と平行状態にある時、係止凸部11が係合凹部12に凹凸係合係止し、この回動腕部8を前記傾動軸10を支点に前記窓取付用開口部3の内方に傾動させると、係止凸部11が係合凹部12から離反係脱して回動腕部8が前記起伏回動軸9を支点に回動可能となるように構成している。
【0051】
尚、係止部11を窓側取付部7に設け、係合部12を回動腕部8に設けても良い。また、前記特許文献1のように、窓側取付部7と回動腕部8との枢着部を窓取付用開口部3の外方に配置する構成とした場合には、この回動腕部8が前記傾動軸10を支点に窓取付用開口部3の外方に傾動するように構成しても良い。
【0052】
また、本実施例の係合凹部12は、前記物干しバー1を高い位置で突出する高突出状態B1に位置決め可能な高位置係合部12Aと、この高突出状態B1より低い位置で突出する低突出状態B2に位置決め可能な低位置係合部12Bとを有する構成としている。
【0053】
具体的には、係合凹部12は、前記窓側取付部7の円形下部の一側面の、前記起伏回動軸9を中心点とする円周上の複数箇所(図面は五箇所)に並設状態に設けている。
【0054】
更に詳しくは、起伏回動軸9から水平方向に(室内側に向けて)延びる仮想線を、起伏回動軸9を頂点とする角度0度と定めた際のこの角度0度位置と、この角度0度位置より上方の、起伏回動軸9を頂点とする角度22〜23度位置と、この角度22〜23度位置より上方の、起伏回動軸9を頂点とする角度45度位置と、前記角度0度位置より下方の、起伏回動軸9を頂点とする角度−22〜23度位置と、この角度−22〜23度位置より下方の、起伏回動軸9を頂点とする角度−45度位置との合計五箇所に前記係合凹部12を設けている。
【0055】
そして、本実施例では、起伏回動軸9を頂点とする角度45度位置の係合凹部12を前記高位置係合部12Aとし、角度−45度位置の係合凹部12を前記低位置係合部12Bとしている。
【0056】
即ち、
図3に示すように、高位置係合部12Aに係止凸部11を係止すると、回動腕部8が前記起伏回動軸9を頂点とする角度45度の回動位置に位置決められて物干しバー1が高い位置に突出する高突出状態B1となり、低位置係合部12Bに係止凸部11を係止すると、回動腕部8が前記起伏回動軸9を頂点とする角度−45度の回動位置に位置決められて物干しバー1が低い位置に突出する低突出状態B2となる構成としている。
【0057】
また、本実施例の物干しバー1の高突出状態B1は、物干しバー1が使用者Uの身長より高い高さに突出する洗濯物干し用突出位置B1となるように設定構成して、使用者Uが衣類などの洗濯物Sを干し易くし(洗濯物干し用途に適した構成とし)、物干しバー1の低突出状態B2は、物干しバー1が使用者Uの身長より低い高さに突出する布団干し用突出位置B2となるように設定構成して、布団Fなどの比較的重量のあるものを干す場合に重量物を高くまで持ち上げることなく容易に干すことができるようにしている(布団干し用途に適した高さとなるように構成している。)。
【0058】
また、前記窓側取付部7に設けた起伏回動軸9を頂点とする角度0度位置と、角度22〜23度位置と、角度−22〜23度位置の三箇所の係合凹部12に係止凸部11を係止することもでき、角度0度位置の係合凹部12に係止凸部11を係止すると、回動腕部8が角度0度の回動位置(水平)位置に位置決められて物干しバー1が高突出状態B1と低突出状態B2の中間の高さに水平突出し(水平突出状態となり)、角度22〜23度位置の係合凹部12に係止凸部11を係止すると、回動腕部8が角度22〜23度の回動位置に位置決められて物干しバー1が高突出状態B1と水平突出状態の中間の高さに突出し、角度−22〜23度位置の係合凹部12に係止凸部11を係止すると、回動腕部8が角度−22〜23度の回動位置に位置決められて物干しバー1が水平突出状態と低突出状態B2の中間の高さに突出することになる構成としている。
【0059】
従って、五箇所の係合凹部12に対して係止凸部11を選択的に係止することによって、物干しバー1の突出状態Bの高さを五段階に切り換え可能であり、例えば使用者Uの身長に合わせて物干しバー1の高さを調整したり、高位置係合部12Aと低位置係合部12B以外の三箇所の係合凹部12を、前記高位置係合部12Aや前記低位置係合部12Bとして機能させて、物干しバー1を少し低い高突出状態B1や、少し高い低突出状態B2として使用することもできるようにしている。
【0060】
また、更に本実施例では、前記窓側取付部7の前記起伏回動軸9を中心点とする円周上(前記係合凹部12が並設状態に設けられる円周と同心円上)であって、起伏回動軸9を頂点とする角度90度位置にも前記係止凸部11が係止可能な係合凹部14(前記係合凹部12と同形状の角形凹部)を設け、この係合凹部14に係止凸部11が係止することによって前記物干しバー1が前記沿設状態A(回動腕部8が前記左右の側枠部材4の側部内面18に沿った立直状態)に位置決められる沿設位置係合部14としている。
【0061】
また、本実施例では、係止凸部11が係合凹部12若しくは添設位置係合部14に係止することによって回動腕部8の前記窓取付用開口部3の外方への傾動が阻止されるように構成すうと共に、この係止凸部11が係合凹部12に係止した状態では回動腕部8が窓取付用開口部3の左右の縁枠部材4の側部内面18と略平行となるように構成している。
【0062】
また、本実施例では、前記取付機構6に、前記回動腕部8を付勢して前記係止凸部11を前記係合凹部12に係止させる係止付勢手段13を設けている。
【0063】
具体的には、
図4,
図5に示すように、前記回動腕部8の基端部と前記回動ベース部19との間に、前記係止付勢手段13としての抗縮弾性を有する弾性体(コイルバネ)13を架設状態に設けて、このコイルバネ13が回動腕部8を付勢して係止凸部11が係合凹部12若しくは沿設位置係合部14に係止した状態が維持され、このコイルバネ13の付勢力に抗して回動腕部8を前記傾動軸10を支点に窓取付用開口部3の内方へ傾動させると、係止凸部11が係合凹部12若しくは沿設位置係合部14から係脱して、この回動腕部8を傾動させた状態では、前記起伏回動軸9を支点に回動腕部8を起伏回動させて係止凸部11をどの係合凹部12若しくは沿設位置係合部14に係止させるかを選択できる構成としている。