特許第5958230号(P5958230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958230
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】積層シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   B32B27/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-209176(P2012-209176)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-61672(P2014-61672A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 光隆
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 功
(72)【発明者】
【氏名】高橋 弘造
【審査官】 北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−003048(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/035956(WO,A1)
【文献】 特開平11−323038(JP,A)
【文献】 特開平05−105791(JP,A)
【文献】 特開平11−323305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含み、
該基材(A)層が、a1層とa2層とを有し、a1層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とする層であり、a2層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、さらにa2層の全体100質量%中に石油樹脂を0.1〜15質量%含む層であることを特徴とする、積層シート
【請求項2】
前記a1層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、前記a2層は、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を主成分とすることを特徴とする、請求項に記載の積層シート。
【請求項3】
a2層、a1層、a2層が、この順に直接積層されたことを特徴とする、請求項又はに記載の積層シート。
【請求項4】
前記a1層は、a1層の全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことを特徴とする、請求項のいずれかに記載の積層シート。
【請求項5】
基材(A)層と(B)層との間の剥離強度が、0.01〜0.5N/10mmであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の積層シート。
【請求項6】
基材(A)層の少なくとも片側に、(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の積層シート。
【請求項7】
成型用途に用いられる請求項1〜のいずれかに記載の積層シート。
【請求項8】
環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含み、
基材(A)層の少なくとも片側に、(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することを特徴とする、積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートに関するものであり、環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含む構成とすることで、基材(A)層と、(B)層が、工程中は自然剥離せず、成型後に容易に剥離することができる積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などで、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、フィルムを使用した加飾方法の導入が進んでおり、三次元形状基材を加飾する方法として、熱可塑性樹脂フィルムに、加飾層を積層し、成型と同時に基材に転写させる方法が知られている。また、そのような加飾方法に対し、ポリオレフィン樹脂を含むフィルムの提案もされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
一方、フィルムへ各種表面処理を施すことにより、印刷インキや塗膜との密着性を改良する提案もされている(例えば、特許文献3〜5参照)。また、環状オレフィン系樹脂や石油樹脂による他用途への検討も種々行われている(例えば、特許文献6〜8参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−355082号公報
【特許文献2】特開2004−188708号公報
【特許文献3】特開2008−101110号公報
【特許文献4】特開2006−290108号公報
【特許文献5】特開2011−190378号公報
【特許文献6】特開2007−21756号公報
【特許文献7】特開2006−27052号公報
【特許文献8】特開2004−250469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のフィルムは、接着剤を介してアクリル系樹脂との接着、あるいは溶融状態のオレフィン系樹脂との接着を想定しており、転写箔のように成型後にフィルムを剥離して使用する用途へ配慮されている設計ではなかった。
【0006】
特許文献2では、接着剤を介してポリエステル系樹脂と接着させる他に、離型層を形成し、成型後にトップコート層との剥離を行っているフィルムが記載されているが、離型性が高く、トップコート層の材質によっては、成型工程中にフィルムとトップコート層との自然剥離が起こり、成型後の表面外観が低下する問題があった。
【0007】
特許文献3〜5に記載のフィルムは、オレフィンフィルムにコロナ処理、あるいはUV処理を行って印刷インキや塗膜との密着性を改良しているが、表面処理の強度が高いため、密着性が強い、あるいはフィルムの変形が起こりやすいなどの問題があり、転写箔のように成型後にフィルムを剥離して使用する用途へ十分配慮されている設計ではなかった。
【0008】
特許文献6〜8に記載のフィルムは、環状オレフィン系樹脂、および石油樹脂からなる包装用フィルムであり、従来の包装用オレフィン系フィルムと比べて防湿性や加工性を改良している。ただし、表層がポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系を主成分としていることから、転写箔のように成型後にフィルムを剥離して使用する用途へ適用した場合、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂特有のうねりが転写して、成型後の表面外観が低下するといった問題があった。
【0009】
そこで本発明の課題は、上記した問題点を解消することにある。すなわち、転写箔等の用途で使用した場合に、成型後の表面外観を低下させずに、工程中の自然剥離抑制と成型後の易剥離性を両立する積層シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1) 環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含み、該基材(A)層が、a1層とa2層とを有し、a1層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とする層であり、a2層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、さらにa2層の全体100質量%中に石油樹脂を0.1〜15質量%含む層であることを特徴とする、積層シート
) 前記a1層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、前記a2層は、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を主成分とすることを特徴とする、()に記載の積層シート。
) a2層、a1層、a2層が、この順に直接積層されたことを特徴とする、()又は()に記載の積層シート。
) 前記a1層は、a1層の全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことを特徴とする、()〜()のいずれかに記載の積層シート。
) 基材(A)層と(B)層との間の剥離強度が、0.01〜0.5N/10mmであることを特徴とする、(1)〜()のいずれかに記載の積層シート。
) 基材(A)層の少なくとも片側に、(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することを特徴とする、(1)〜()のいずれかに記載の積層シート。
) 成型用途に用いられる(1)〜()のいずれかに記載の積層シート。
(8) 環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含み、基材(A)層の少なくとも片側に、(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することを特徴とする、積層シート。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含む構成としたので、基材(A)層と(B)層が工程中は自然剥離せず、成型後に容易に剥離することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含む構成である。以下、本発明の積層シートについて具体的に説明する。
【0013】
(基材(A)層)
本発明の積層シートは、成型性、自己保持性の観点から基材(A)層を有することが必要である。基材(A)層を構成する樹脂としては、成型転写箔として使用した際の成型性、加工適性、成型後の易剥離性、および成型温度に合わせてガラス転移温度を調整できる観点から、環状オレフィン系樹脂を主成分とすることが必要である。
【0014】
ここで、環状オレフィン系樹脂とは、モノマーたる環状オレフィンから重合して得られる、ポリマーの主鎖に脂環構造を有する樹脂をいう。
【0015】
また、本発明における環状オレフィン系樹脂とは、環状オレフィンモノマーなどを重合させることで得られる樹脂であり、該環状オレフィン系樹脂の重合体100質量%中において、環状オレフィンモノマー由来成分の合計が50質量%を超えて100質量%以下である態様の重合体を意味する。
【0016】
環状オレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエンといった単環式オレフィン、
ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−メチリデン− ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンといった二環式オレフィン、
トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ−3−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−2−エンといった三環式オレフィン、テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エンといった四環式オレフィン、
8−シクロペンチル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、テトラシクロ〔7,4,13.6,01.9,02.7〕テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン、テトラシクロ〔8,4,14.7,01.10,03.8〕ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン、ペンタシクロ〔6,6,13.6,02.7,09.14〕−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ〔6,5,1,13.6,02.7,09.13〕−4−ペンタデセン、ペンタシクロ〔7,4,0,02.7,13.6,110.13〕−4−ペンタデセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,14.7,111.17,03.8,012.16〕−5−エイコセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,03.8,14.7,012.17,113.16〕−14−エイコセン、シクロペンタジエンといった四量体等の多環式オレフィンなどが挙げられる。これらの環状オレフィンモノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上組合せて用いることができる。
【0017】
環状オレフィンモノマーとしては、上記した中でも、生産性、表面性の観点から、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(以下、ノルボルネンとする)、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ−3−エンなどの、炭素数10の三環式オレフィン(以下、トリシクロデセンとする)、テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エンなどの、炭素数12の四環式オレフィン(以下、テトラシクロドデセンとする)、シクロペンタジエン、または1,3−シクロヘキサジエンが好ましく用いられる。
【0018】
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン系樹脂の重合体100質量%中に、環状オレフィンモノマー由来成分の合計が50質量%を超えて100質量%以下であれば、上記環状オレフィンモノマーのみを重合させた樹脂、上記環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーとを共重合させた樹脂、のいずれの樹脂でも構わない。
【0019】
環状オレフィンモノマーのみを重合させた樹脂の製造方法としては、環状オレフィンモノマーの付加重合、あるいは開環重合などの公知の方法が挙げられ、例えば、ノルボルネン、トリシクロデセン、テトラシクロデセン、およびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させる方法、ノルボルネンおよびその誘導体を付加重合させる方法、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンを1,2−、1,4−付加重合させた後に水素化させる方法などが挙げられる。これらの中でも、生産性、表面性、成型性の観点から、ノルボルネン、トリシクロデセン、テトラシクロデセン、およびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂が最も好ましい。
【0020】
環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーとを共重合させた樹脂の場合、好ましい鎖状オレフィンモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらの中でも、生産性、コストの観点から、エチレンが特に好ましく用いることができる。また、環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーとを共重合させた樹脂の製造方法としては、環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーの付加重合などの公知の方法が挙げられ、例えば、ノルボルネンおよびその誘導体とエチレンを付加重合させる方法などが挙げられる。中でも、生産性、表面性、成型性の観点から、ノルボルネンとエチレンの共重合体が最も好ましい。
【0021】
本発明における基材(A)層は環状オレフィン系樹脂を主成分とすることが必要であるが、ここで主成分とは、基材(A)層の全成分の合計を100質量%とした際に、環状オレフィン系樹脂を50質量%を超えて100質量%以下含有することを意味する。基材(A)層に含まれる環状オレフィン系樹脂は、基材(A)層の全成分の合計を100質量%として、70質量%以上100質量%以下含む態様が好ましく、80質量%以上100質量%以下含む態様であればより好ましく、90質量%以上100質量%以下含む態様であれば特に好ましい。そして基材(A)層において環状オレフィン系樹脂が主成分の場合には、基材(A)層は、環状オレフィン系樹脂のみから構成されても、その他のオレフィン系樹脂を含有しても、またオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
【0022】
環状オレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体といった各種ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体といった各種ポリプロピレン系樹脂、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。また、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンモノマーからなる重合体、該α−オレフィンモノマーからなるランダム共重合体、該α−オレフィンモノマーからなるブロック共重合体なども使用することができる。中でも、環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点から、環状オレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、各種ポリエチレン系樹脂、各種ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
【0023】
本発明において、環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を含有させることで、押出工程でのせん断応力を低下させることができ、架橋による異物の発生を抑制させることが可能となり、さらに靱性も向上させることができるため好ましい。一方、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂の含有量が多くなると、自己保持性が低下傾向となる。品位、靱性、自己保持性の観点から、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量は、基材(A)層の全成分の合計100質量%に対して、1〜40質量%とすることが好ましく、1〜30質量%であればさらに好ましく、1〜20質量%であれば最も好ましい。また、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂の中でも、環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましく用いられ、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンが特に好ましく用いられ、線状低密度ポリエチレンが最も好ましく用いられる。なお、基材(A)層がポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を共に含有する場合には、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の合計量が前述の範囲、つまり基材(A)層の全成分の合計100質量%に対して1〜40質量%とすることが好ましく、1〜30質量%であればさらに好ましく、1〜20質量%であれば最も好ましい。
【0024】
なお、本発明におけるポリエチレン系樹脂とは、ポリエチレン系樹脂の重合体100質量%中において、エチレン由来成分の合計が50質量%を超えて100質量%以下である態様の重合体を意味する。
【0025】
また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂とは、ポリプロピレン系樹脂の重合体100質量%中において、プロピレン由来成分の合計が50質量%を超えて100質量%以下である態様の重合体を意味する。
【0026】
本発明において、基材(A)層は、自己保持性の観点から、全厚みを100%として、ガラス転移温度が80℃以上の層の合計厚みを50%以上とすることが好ましい。ここで、「ガラス転移温度が80℃以上の層の合計厚み」とは、ガラス転移温度が80℃以上の層が1つの場合はその層の厚みのことであり、ガラス転移温度が80℃以上の層が複数ある場合は、それらの層の厚みの合計のことである。各層のガラス転移温度の制御方法は特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、層中のノルボルネンの含有量を増加させていくことでガラス転移温度を高めることができる。さらに、ノルボルネンの含有量の異なる2種類の環状オレフィン系樹脂をブレンドさせることによっても層のガラス転移温度を調整することができる。また、例えば、環状オレフィン系樹脂として、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン、トリシクロデセン、テトラシクロドデセン、およびこれらの誘導体)を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂を使用する場合、重合する環状オレフィンの分子量を大きくする、あるいは環の数を多くして剛直な構造にすることにより、ガラス転移温度を高温化することが可能である。さらに、ガラス転移温度の異なる2種類の、ノルボルネンの誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂をブレンドさせることによっても層のガラス転移温度を調整することができる。
【0027】
基材(A)層は、全厚みを100%とした際に、ガラス転移温度が85℃以上の層の合計厚みが50%以上であればさらに好ましく、ガラス転移温度が90℃以上の層の合計厚みが50%以上であれば特に好ましい。なお、1つの層の中に複数の樹脂が混合されている場合などのように、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度をその層のガラス転移温度とする。
【0028】
本発明における基材(A)層は、硬化性樹脂を主成分とする(B)層との工程中の自然剥離抑制、および基材(A)層の品位向上の観点から、石油樹脂を含有することが必要である。ここで、石油樹脂とは、石油化学工業で用いられるナフサ分解の副生油の一部(C5(炭素数5のこと)留分やC9(炭素数9のこと)留分など)の重合により生成した樹脂を指し、C5の鎖状オレフィン混合物をカチオン重合したC5系石油樹脂、ジシクロペンタジエン留分を熱重合したジシクロペンタジエン系石油樹脂、C9芳香族オレフィン類混合物をカチオン重合したC9系石油樹脂、C5C9共重合石油樹脂、C9留分に含有されるアルファメチルスチレンを抜き取り、純アルファメチルスチレンで製造したピュアモノマーレジンと呼ばれる石油樹脂、およびこれらを水素添加した樹脂などが挙げられる。石油樹脂は基材(A)層の主成分である環状オレフィン系樹脂に近い構造を有しており、環状オレフィン系樹脂との相溶性が高く、透明性を維持しながら(B)層との工程中の自然剥離抑制効果を付与させることができる。(B)との工程中の密着性の観点からは、C9芳香族オレフィンのほうが極性成分との密着性が高いことから、C9系石油樹脂、C5C9共重合石油樹脂が好ましい。
【0029】
石油樹脂としては、具体的には、出光興産製“アイマーブ”、トーネックス製“エスコレッツ”、荒川化学製“アルコン”、東ソー製“ペトコール”、“ペトロタック”などが挙げられる。
【0030】
本発明における基材(A)層に含まれる石油樹脂は、基材(A)の成型性、加工適性を良好とする点から、軟化点が80〜150℃であることが好ましく、90〜125℃であることがより好ましい。石油樹脂の軟化点が80℃に満たない場合、乾燥工程などの加熱の際に石油樹脂部分が変形し、平面性が不十分になる場合がある。また、石油樹脂の軟化点が150℃を超える場合、成型温度での変形に石油樹脂部分が追従せずシート破断の原因となる場合がある。
【0031】
本発明における基材(A)層は、基材(A)層の全成分の合計を100質量%とした際に、石油樹脂を0.1質量%以上15質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは1質量%以上12質量%以下、特に好ましくは5質量%以上10質量%以下である。基材(A)層に含有される石油樹脂が0.1質量%に満たない場合、(B)層との工程中の密着性が不十分な場合がある。また、基材(A)層に含有される石油樹脂が15質量%を超える場合、基材(A)層が脆くなったり、あるいは(B)層との剥離性が不十分になる場合がある。
【0032】
本発明の積層シートは、転写箔として使用した際の、成型後の成型体の外観、耐久性の観点から、基材(A)層の少なくとも片側に硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有することが必要である。硬化性樹脂を有することで、耐候性、耐傷性、耐衝撃性、耐水性といった耐久性を成型体に付与することができる。ここで、硬化性樹脂とは、熱や電子線を加えることで、三次元架橋して硬化する樹脂のことを指す。(B)層において、硬化性樹脂を主成分とするとは、樹脂(B)層の全成分100質量%において、50質量%を超えて100質量%以下の硬化性樹脂を含有していることを指す。
【0033】
(B)層の硬化性樹脂は、外観、耐久性の観点から、成型後には硬化していることが好ましく、成型前は、成型性を保持でき、取り扱い性が低下しない程度に半硬化状態であることが好ましい。
【0034】
硬化性樹脂として好ましく使用される、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、シリコン系樹脂、アルキド系樹脂などが挙げられ、また、そのうちから選択された1種以上を混合したものを用いてもよい。
【0035】
また、硬化性樹脂として好ましく使用される、光硬化性樹脂(主に紫外線硬化性樹脂)、電子線硬化性樹脂としては、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂などのうちから選択された1種以上などが挙げられる。また、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂を用いる際には、必要な場合に、光開始剤などを混合したものを用いてもよい。
【0036】
これらの熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂には、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、粘結剤、表面調整剤、顔料、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを混合してもよい。
【0037】
また、前記熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂は、共重合体であってもよく、または異種の樹脂の混合体であっても良い。
【0038】
本発明において、(B)層の厚みとしては、外観、耐久性の観点から2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上70μm以下であることが最も好ましい。
【0039】
本発明における樹脂(B)層は、基材(A)層の片側に(つまり、基材(A)層の片面、もしくは、基材(A)層と別の層とからなる積層体中の別の層の片面上に)、(B)層を形成するために用いる原料組成物を塗工する方法、または、基材(A)層と(B)層の樹脂を別々の押出機で押出した後、フィードブロックで積層し、Tダイから吐出した樹脂を冷却ロールで固化する方法などによって得ることができる。前者の塗工方法については特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどを用いて塗工することができる。また、後者の共押出による方法については、基材(A)層、(B)層を構成する樹脂の押出温度が近い必要があるものの、基材(A)層の密着性をある程度上げても、基材(A)層のみを先に巻き取る際にブロッキングが発生しない点からは好ましい。なお、前者の方法で、基材(A)層のみを先に巻き取る際にブロッキングが発生する場合は、基材(A)層に公知のポリエチレン系の自己粘着フィルム(たとえば、東レフィルム加工製“トレテック”など)を貼り合わせてから巻き取り、(B)層を積層する直前に自己粘着フィルムを剥がす方法を用いてもよい。
【0040】
本発明において、基材(A)層と(B)層は、基材(A)層に含有される石油樹脂により、工程中の密着性と成型後の易剥離性を両立することができるが、(B)層の材質によっては密着性が不十分な場合があることから、易剥離性を損なわない範囲で、基材(A)層表面改質処理を行って、(B)層との密着性を向上させても構わない。かかる方法としては、特に限定されないが、例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、レーザー処理、火炎処理、高周波処理、グロー放電処理、オゾン酸化処理などが挙げられ、コスト、簡便性の観点から、コロナ放電処理、紫外線照射処理が好ましく用いられ、特に高精度な密着性制御が必要な場合は紫外線照射処理が好ましく用いられる。紫外線照射処理、コロナ放電処理は空気、窒素、二酸化炭素、及びそれらの混合物の中で行ってもよい。
【0041】
本発明において、基材(A)層と(B)層は、基材(A)層に含有される石油樹脂により、工程中の密着性と成型後の易剥離性を両立することができるが、(B)層の材質によっては密着性が不十分な場合があることから、易剥離性を損なわない範囲で、基材(A)層に石油樹脂以外の密着性樹脂を行って、(B)層との密着性を向上させても構わない。
【0042】
石油樹脂以外の密着性樹脂としては、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、重合ロジン等のロジン系樹脂、あるいはα−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジピテン重合体、テルペン・フェノール重合体等のテルペン系樹脂、極性基を含有する環状オレフィン系樹脂、極性基を含有する環状オレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。かかる極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等が上げられる。
【0043】
環状オレフィン系樹脂に極性基を含有させる方法としては、極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合させる方法などが挙げられる。極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
【0044】
極性基を含有する環状オレフィン系樹脂中の極性基は、コスト、押出時の取扱い性の観点から、該樹脂中の各脂環部分(例えば、環状オレフィン系樹脂がノルボルネンとエチレンの共重合体の場合、ノルボルネンの部分)の個数と同個数〜3倍の個数含まれる状態が好ましく、なかでも同個数であることがより好ましい。
【0045】
極性基を含有する環状オレフィン系樹脂としては、例えば、JSR製“ARTON”などが挙げられる。
【0046】
また、極性基を含有する、環状オレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂をポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メチルメタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのような極性基を含有するポリオレフィン系共重合樹脂や、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、その他α−オレフィンモノマーからなるランダム共重合体、ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他の不飽和カルボン酸による変性、もしくは樹脂の酸化分解により変性させたポリオレフィン系樹脂を使用することができる。
【0047】
なお、α−オレフィンモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などが挙げられ、このようなα−オレフィンモノマーからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン共重合体では、プロピレンと上記α−オレフィンモノマー中からプロピレンを除く、1種以上のα−オレフィンモノマーとのランダムに共重合されたポリマーであって、公知の方法によりプロピレンを除く1種以上のα−オレフィンモノマーを2〜15質量%の範囲で共重合したポリプロピレンである。
【0048】
ただし、極性基を含有する環状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂以外のポリオレフィン樹脂は、金属への密着性が高く、生産設備の配管や口金に密着し、フィルムの外観不良の原因になったり、配管や口金洗浄のため生産性が低下する場合があることから、極性基を含有する樹脂は、基材(A)層の全成分の合計を100質量%とした際に、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、石油樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂のみで基材(A)層と(B)層の工程中の密着性を発現するのが特に好ましい。
【0049】
本発明において、基材(A)層は、a1層とa2層とを有し、a1層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とする層であり、a2層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、さらに、石油樹脂を0.1〜15質量%含む層であることが好ましい。
【0050】
a1層について、環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、a1層の全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を50質量%を超えて100質量%以下含有することを意味する。a1層は、該層の全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を70質量%以上100質量%以下含む態様がより好ましく、80質量%以上100質量%以下含む態様であればさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下含む態様であれば特に好ましい。
【0051】
a2層について、環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、a2層の全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を50質量%を超えて100質量%以下含有することを意味する。a2層は、該層の全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を70質量%以上100質量%以下含む態様がより好ましく、80質量%以上100質量%以下含む態様であればさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下含む態様であれば特に好ましい。なお、a2層が1層の場合には、そのa2層の全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を50質量%を超えて100質量%以下含有する場合に主成分となるが、a2層が2層存在する場合には、各層がそれぞれ環状オレフィン系樹脂を主成分としているかについて判断する。つまり、2層存在するa2層の一方について、該a2層の全成分の合計を100質量%とした際に、環状オレフィン系樹脂を50質量%を超えて100質量%以下含有している場合に、該a2層が主成分となり、他方のa2層についても同様に判断する。
【0052】
a2層に含まれる石油樹脂は、(B)層との密着性、易剥離性、耐脆性の観点から、a2層の全成分の合計を100質量%として、石油樹脂を0.1〜15質量%含むことが好ましく、石油樹脂を1〜12質量%含むことがより好ましく、5〜10質量%含むことが特に好ましい。
【0053】
なお、本発明の積層シートは、基材(A)層がa1層、a2層を有する場合、a1層には石油樹脂を含んでいても含まなくても構わない。ただし、(B)層との密着性はa2層に含有される石油樹脂により発現されているので、特に耐脆性が必要とされる場合は、a1層には石油樹脂を含まない構成であることが好ましい。
【0054】
本発明において、前記a1層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCということがある)を主成分とし、前記a2層は、環状オレフィン樹脂(以下、COPということがある)を主成分とすることが好ましい。該構成とすることで、特に優れた成型性、表面外観、靱性を達成することができる。
【0055】
本発明において、COC、COPはいずれも前述した環状オレフィン系樹脂を指し、COPとは、「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」のみを重合させた態様の樹脂を意味する。また、本発明におけるCOCとは、「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」と「主鎖に環状オレフィンを含有しないオレフィンからなる繰り返し単位」の少なくとも2種類以上の繰り返し単位を重合させた態様の樹脂を意味する(環状オレフィンを含有した繰り返し単位を環状オレフィンモノマーということがある)。
【0056】
ここで、a1層においてCOCを主成分とするとは、a1層の全成分の合計を100質量%として、a1層がCOCを50質量%を超えて100質量%以下含有することを意味する。a1層の全成分の合計を100質量%として、COCを70質量%以上100質量%以下含む態様がより好ましく、80質量%以上100質量%以下含む態様であればさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下含む態様であれば特に好ましい。
【0057】
また、a2層においてCOPを主成分とするとは、熱可塑性樹脂基材(A)層のa2層の全成分の合計を100質量%として、COPが50質量%を超えて100質量%以下含有することを意味する。a2層の全成分の合計を100質量%として、COPを70質量%以上100質量%以下含む態様がより好ましく、80質量%以上100質量%以下含む態様であればさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下含む態様であれば特に好ましい。なお、a2層が1層の場合には、そのa2層の全成分の合計を100質量%として、COPを50質量%を超えて100質量%以下含有する場合に主成分となるが、a2層が2層存在する場合には、各層がそれぞれCOPを主成分としているかについて判断する。つまり、2層存在するa2層の一方について、該a2層の全成分の合計を100質量%とした際に、COPを50質量%を超えて100質量%以下含有している場合に、該a2層が主成分となり、他方のa2層についても同様に判断する。
【0058】
基材(A)層は、取扱い性の観点から、a2層、a1層、a2層が、この順に直接積層された構成であることが好ましい。ここで、直接積層されたとは、a1層とa2層との間に接着層等の別の層が介在することなく、積層している状態を意味する。
【0059】
基材(A)層がa1層とa2層とを有する構成とした場合、靱性、自己保持性、表面外観の観点から、積層比(a2層の合計厚み/a1層の厚み)は、0.25〜1であることが好ましい。なお、積層比(a2層の合計厚み/a1層の厚み)は、a2層が2層存在する場合には、2層存在するa2層の厚みの合計/a1層の厚み、であり、積層比(a2層の合計厚み/a1層の厚み)は、a2層が1層の場合には、a2層の厚み/a1層の厚み、である。積層比(a2層の合計厚み/a1層の厚み)は、0.4〜0.8であればさらに好ましい。積層比は、基材(A)層の断面を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡などで500倍以上10,000倍以下の倍率で観察することによって、測定することができる。
【0060】
環状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂と比較すると、靱性が低いが、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させることで、靱性を改良することができる。一方で、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させると表面外観が低下する場合がある。このため、靱性と表面外観を両立するために、基材(A)層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a1層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a2層)を有することが好ましく、前記a1層は、(a1層)全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことが好ましい。ここで、a1層がポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む場合には、a1層は、(a1層)全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の合計を1〜40質量%含むことが好ましい。
【0061】
また、靱性と自己保持性の観点からは、(a1層)中のポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂は、(a1層)全体を100質量%として、1〜30質量%であれば好ましく、1〜20質量%であれば最も好ましい。
【0062】
また、表面外観の観点から、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a2層)中のポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量は、(a2層)全体100質量%に対して、0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0質量%以上5質量%以下であればさらに好ましく、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂が0質量%であることが最も好ましい。
【0063】
本発明の積層シートは、基材(A)層と(B)層との間の工程中の密着性、および成型後の易剥離性を両立する観点から、基材(A)層と(B)層との間の剥離強度が、0.01〜0.5N/10mmであることが好ましい。25℃における剥離強度が、0.01N/10mm未満の場合は、剥離強度が低すぎて、シート搬送、巻取りなどの工程中に自然剥離が発生してしまう場合がある。一方、剥離強度が0.5N/10mmより大きい場合は、成型後の剥離が困難になる場合がある。基材(A)層と(B)層との25℃における剥離強度は、0.02〜0.3N/10mmであればより好ましく、0.05〜0.1N/10mmであれば特に好ましい。
【0064】
本発明の積層シートにおいて、25℃における基材(A)層と(B)層との剥離強度を0.01〜0.5N/10mmとする方法は特に限定されないが、例えば、基材(A)層に石油樹脂を0.1〜15質量%含有させる方法や、石油樹脂含有に加えて、基材(A)層の表面改質処理、石油樹脂以外の密着性樹脂含有などが好ましい。
【0065】
本発明の積層シートは、成型性、自己保持性の観点から、基材(A)層のガラス転移温度が80℃以上であり、基材(A)層の「ガラス転移温度−20」℃における破断伸度が200%以下であり、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における破断伸度が500%以上であることが好ましい。基材(A)層のガラス転移温度を80℃以上とし、かつ基材(A)層の「ガラス転移温度−20」℃における破断伸度を200%以下とすることで、自己保持性が十分に確保でき、取り扱い性が向上する。
【0066】
基材(A)層のガラス転移温度は、85℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。また基材(A)層のガラス転移温度は、160℃以下であることが好ましい。基材(A)層の「ガラス転移温度−20」℃における破断伸度は、190%以下であればさらに好ましく、自己保持性、耐脆性の観点から、180%以下であれば最も好ましい。基材(A)層の「ガラス転移温度−20」℃における破断伸度は、3%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、100%以上であることが特に好ましい。また、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における破断伸度を500%以上とすることで、優れた成型性も両立することができる。基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における破断伸度は、600%以上であればさらに好ましく、成型性と寸法安定性の観点から、700%以上であれば最も好ましい。基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における破断伸度は、2,000%以下であることが好ましく、1,000%以下であることがさらに好ましく、970%以下であることが特に好ましい。
【0067】
基材(A)層のガラス転移温度を80℃以上として、基材(A)層の「ガラス転移温度−20」℃における破断伸度を200%以下として、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における破断伸度を500%以上とするための、好ましい基材(A)層としては、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂などを好ましく用いることができる。
【0068】
なお、本発明において、基材(A)層が、積層フィルムの場合や単層フィルムであっても複数の樹脂が混合されている場合などのように、基材(A)層のガラス転移温度を測定した際に複数のガラス転移温度が観測される場合は、高温側のガラス転移温度を基材(A)層のガラス転移温度として採用する。
【0069】
本発明の積層シートは、加熱成型時の自然剥離を抑制させるために、積層シートから基材(A)層を剥離した樹脂(B)層を含むシートの、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における、100%伸長時応力(F100値)が、3MPa以下であることが好ましい。基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃において、樹脂(B)層を含むシートの100%伸長時応力(F100値)が、3MPaより大きいと、積層シートを加熱成型した際に、樹脂(B)層を含むシート部分が、基材(A)層の成型に追従しにくくなり、基材(A)層と、樹脂(B)層間で、剥離が発生してしまう場合がある。基材(A)層への成型追従性をより高くするために、積層シートから基材(A)層を剥離した樹脂(B)層を含むシートの、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における、100%伸長時応力(F100値)は、2.5MPa以下であることが好ましく、0.01MPa以上2MPa以下であれば最も好ましい。
【0070】
積層シートから基材(A)層を剥離した樹脂(B)層を含むシートの、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃における、100%伸長時応力(F100値)を3MPa以下とするための方法として、例えば、基材(A)層を剥離した樹脂(B)層を含むシートが樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層とからなるシートの場合には、該樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層に使用する樹脂として柔軟なものを選択することが好ましい。また、該樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層とからなるシートの各層において、硬化性樹脂を使用する場合は、本発明の積層シートを作製後、できるだけ低温で保存することが好ましく、硬化性樹脂が電子線硬化性樹脂の場合には、電子線があたらない環境下で保存することが好ましい。
【0071】
本発明の積層シートは、基材(A)層の少なくとも片側に、(B)層が積層されてなる構成である。基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層を積層していれば特に構成は限定されないが、コストの観点から、基材(A)層と(B)層とが直接積層されている態様が好ましい。例えば、基材(A)層、(B)層、装飾(C)層、接着(D)層をこの順に有する構成(該構成は、基材(A)層/(B)層/装飾(C)層/接着(D)層と表現する。以下も同様。)、基材(A)層/(B)層/装飾(C)層、基材(A)層/(B)層/接着(D)層、基材(A)層/樹脂(B)層といった構成があげられる。本発明の積層シートは、基材(A)層の少なくとも片側に、(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することが特に好ましい。
【0072】
本発明の積層シートは、意匠性の観点から装飾(C)層を有する構成にすることが好ましい。特に、基材(A)層の少なくとも片側に、(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することが好ましい。
【0073】
本発明において装飾(C)層とは、基材(A)層及び、(B)層とは別の層であり、着色、凹凸、柄模様、木目調、金属調、パール調などの装飾を付加させることを目的とした層であり、例えばバインダー樹脂と着色剤とによって、構成されたり、金属調の場合は、金属薄膜層により構成される。
【0074】
装飾(C)層が、バインダー樹脂と着色剤を含む構成の場合、前記バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂及び/又は硬化性樹脂を用いることができる。バインダー樹脂として好適な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂に溶剤を混合撹拌したものを用いることができる。また、バインダー樹脂として好適な硬化性樹脂としては、外観、耐久性の観点から、成型後には硬化していることが好ましく、成型前は、成型性を保持でき、取り扱い性が低下しない程度に半硬化状態であることが好ましい。なお、バインダー樹脂は、硬化性樹脂を主成分とすることが好ましい。ここで、バインダー樹脂が硬化性樹脂を主成分とするとは、バインダー樹脂の全成分100質量%において、50質量%を超え100質量%以下の硬化性樹脂を含有していることを指す。硬化性樹脂としては、前記樹脂(B)層で挙げられた樹脂が好ましく用いられる
また、バインダー樹脂としては、共重合体であってもよく、または異種の樹脂の混合体であっても良い。本発明では、取り扱いが容易で、かつ安価であるため、熱硬化性樹脂を好ましく用いられ、特に、成型性の点から、ウレタン樹脂並びにアクリル樹脂とを含む混合体をバインダー樹脂として使用することが好ましい。
【0075】
装飾(C)層は、成型後の耐久性、表面光沢性の観点から、成型後に硬化していることが好ましく、成型前は、成型性を保持でき、取り扱い性が低下しない程度に半硬化状態であることが好ましい。
【0076】
また、着色剤としては、分散性、外観、隠蔽性の観点から、特に、カーボンブラック、黒色酸化鉄といった黒色顔料、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛といった白色顔料、金属粉顔料、金属箔顔料、金属蒸着箔顔料といった金属調顔料を、装飾(C)層の全成分100質量%において、5質量%以上30質量%以下含有させることが好ましい。
【0077】
また、装飾(C)層が金属薄膜層の場合、金属簿膜の作製方法としては特に限定されないが、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。使用される金属としては成型追従性、外観の観点から融点が150〜400℃である金属化合物を蒸着して使用することが好ましい。融点が150〜400℃である金属化合物としては特に限定されるものではないが、インジウム(157℃)やスズ(232℃)が好ましく用いることができる。
【0078】
本発明における装飾(C)層の厚みとしては、装飾(C)層がバインダー樹脂と着色剤を含む構成の場合は、下地隠蔽性、厚みムラの観点から、0.5μm以上50μm以下とすることが好ましく、1μm以上40μm以下であれば、最も好ましい。また、装飾(C)層が金属薄膜層の場合は、成型性、成型後の外観の観点から、装飾(C)層の厚みは0.05μm以上1.5μm以下であれば好ましく、0.1μm以上1μm以下であればさらに好ましい。
【0079】
本発明の積層シートは、被着体との密着性の観点から、接着(D)層を有することが好ましい。接着(D)層としては、被着体に対して接着性を有する層を意味する。そして接着(D)層は、被着体の素材に合わせて適宜調整することが好ましいが、例えば、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール−レゾルシノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤およびポリアロマチック系接着剤等の熱硬化性樹脂接着剤や、不飽和ポリエステルやアクリレート等のラジカル重合性組成物からなるラジカル反応型の接着剤、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、ナイロン及びシアノアクリレート樹脂、ポリオレフィン形樹脂等の熱可塑性樹脂系接着剤やクロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤及び天然ゴム系接着剤等のゴム系接着剤等が挙げられる。
【0080】
本発明における接着(D)層の厚みとしては、接着性、厚みムラの観点から0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上40μm以下であることがさらに好ましく、2μm以上30μm以下であれば最も好ましい。
【0081】
本発明の着色(D)層の形成方法については特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどを用いて塗工により形成することができる。
【0082】
本発明の積層シートは、環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含む構成であることから、成型と同時に(B)層を含むシートを被着体へ転写させて加飾成型体を得る用途に、好適に用いられる。(B)層を含むシートを被着体へ転写させる方法としては、特に限定されないが、例えば、真空成型と同時に被着体へ転写させる方法が挙げられる。この方法では、被着体として、例えば、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂などといった樹脂および、これらのアロイ樹脂、さらには炭素繊維、ガラス繊維などで強化した樹脂などが挙げられる。さらに、金属部材、ガラス部材なども挙げられる。
【0083】
また、射出成形と同時に転写させる方法も使用することができる。この場合は、被着体としては、上記した樹脂が好ましく用いられる。
【0084】
なお、本発明の積層シートは、加熱時の成形性に優れるため、真空成型、圧空成型、プレス成型といった各種成型用途において好適に用いることができる。そして、特に真空成型用途に特に好適に用いられる。
【0085】
本発明の積層シートは、環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材(A)層の少なくとも片側に、硬化性樹脂を主成分とする(B)層を有し、該基材(A)層が石油樹脂を含む構成とすることで、基材(A)層と、(B)層が、工程中は自然剥離せず、成型後に容易に剥離することができるため、例えば、建材、モバイル機器、電機製品、自動車部品、遊技機部品などの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
【実施例】
【0086】
以下の方法で、積層シートの製造、評価を行った。
【0087】
(1)積層シート全厚み、および各層の厚み
積層シートの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、シートから切り出した長さ50mm×幅10mmの試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均値を求めた。
また、積層シートの各層の層厚みを測定する際は、ライカマイクロシステムズ製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いて、シートの断面を倍率100倍の条件で透過光を写真撮影した。そして撮影した写真から、積層シートの各層ごとに任意の5ヶ所の厚みを測定し、その平均値を各層の層厚みとした。
【0088】
(2)基材(A)層のガラス転移温度
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および解析を行った。
基材(A)層5mgをサンプルとした。サンプルを25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のガラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読み取った。各ベースラインを延長した直線から縦軸(熱流を示す軸)方向で等距離(中間点)にある上記直線に平行な直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点である中間点ガラス転移温度を求め、ガラス転移温度とした。なお、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度を基材(A)層のガラス転移温度として採用した。また、(1)の方法で基材(A)層について積層構成を確認したフィルムについては、表層、内層を削りとって各層のガラス転移温度についても測定を行った。
【0089】
(3)剥離強度
メタルハライドランプ(アイグラフィックス製、M04−L41)を用いて、積算光量1000mJ/cmとなるように、基材(A)層側から紫外線照射処理を行い、(B)層を硬化させた。
【0090】
次に、積層シート中の(B)層を含むシート側に、日東電工製OPP粘着テープ(ダンプロンエースNo.375)を貼り合わせ、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該サンプルを基材(A)層と(B)層間で、強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度を20mm/分として、180°剥離試験を行った。剥離長さ130mm(チャック間距離230mm)になるまで測定を行い、剥離長さ25mm〜125mmの荷重の平均値を剥離強度とした。なお、測定は5回行い、その平均値を採用した。
なお、25℃における剥離強度は、25℃に温度調節した室内で測定し、100℃における破断強度は、予め100℃に設定した恒温層中にサンプルをセットし、60秒間予熱後に180°剥離試験を行った。
【0091】
(4)基材(A)層の「ガラス転移温度−20℃」、および、「ガラス転移温度+20℃」における破断伸度
積層シートから基材(A)層のみを剥離した後、任意の一方向および、それに直交する方向に、長さ100mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離20mmとし、引張速度を200mm/分として任意の一方向とそれに直交する方向にそれぞれ引張試験を行った。
測定は予め所定の温度(本発明の場合は、基材(A)層の「ガラス転移温度−20」℃、および、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃)に設定した恒温層中にサンプルをセットし、60秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが破断したときの伸度を破断伸度とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値(各方向の平均値から得られる平均値)で評価を行った。
【0092】
(5)基材(A)層の100%伸長時応力(F100値)
積層シートから基材(A)層のみを剥離した後、任意の一方向および、その方向に直交する方向に長さ100mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離20mmとし、引張速度を200mm/分として任意の一方向とそれに直交する方向にそれぞれ引張試験を行った。測定は予め所定の温度(本発明の場合は、基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃)に設定した恒温層中にサンプルをセットし、60秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが100%伸長したとき(チャック間距離が40mmとなったとき)のシートにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(シート厚み(mm)×10mm)で除した値を100%伸長時応力(F100値)とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
【0093】
(6)巻取性
500mm幅、200m長(6インチ径、550mm長コア巻)の積層シートを準備し、下記条件で、3インチ径、550mm長コアに巻返しを行い、下記の基準で評価を行った。
巻出:上巻出し、張力200N/m、巻取:上巻取り、張力100N/m
速度:5m/min
A:基材(A)層/(B)層間で、全く剥離が発生しなかった。
B:基材(A)層/(B)層間で、剥離がみられたが、剥離箇所にエア噛み込みは発生しなかった。
C:基材(A)層/(B)層間で、剥離がみられ、剥離箇所にエア噛み込みが若干発生した(エア噛み込み率(積層シートの全面積を100%とした際の、エアが噛み込んだ面積の割合)が5%未満)。
D:基材(A)層/(B)層間で、剥離がみられ、剥離箇所にエア噛み込みが発生した(エア噛み込み率(積層シートの全面積を100%とした際の、エアが噛み込んだ面積の割合)が5%以上)、もしくは完全に剥離した。
【0094】
(7)加熱時自然剥離
積層シートをA4サイズに切り出し、真空成型装置(布施真空製、NGF−0406−T)内の上部にあるシートクランプ枠にセットした。続いて、上下ボックス内の真空度を99.0kPaに減圧し、赤外線ヒータを用いて加熱していった際の挙動について、下記の基準で評価を行った。
A:シート温度140℃でも、基材(A)層/(B)層間に剥離が発生しなかった。
B:シート温度120℃以上140℃未満で、基材(A)層/(B)層間に剥離が発生した。
C:シート温度100℃以上120℃未満で、基材(A)層/(B)層間に剥離が発生した。
D:シート温度100℃未満で、基材(A)層/樹脂(B)層間に剥離が発生した。
【0095】
(8)成型性
積層シートを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。積層シートの(B)層側に、アプリケーターを用いて、後述する装飾層用塗料組成物を塗工し、80℃で10分乾燥を行い、塗膜厚み25μmの装飾(C)層を形成した。さらに装飾層の上に、アプリケーターを用いて、後述する接着層用塗料組成物を塗工し、80℃で10分乾燥を行い、塗膜厚み20μmの接着(D)層を形成し、加飾シートを作製した。真空成型装置(布施真空製、NGF−0406−T)内の上下昇降テーブル上に、ポリプロピレン製形状体(長さ100mm×幅100mm、高さは20mm、25mm、30mmの3種類)を置き、加飾シート(長さ300mm×幅200mm)を上記装置内の形状体の上部にあるシートクランプ枠にセットした。続いて、上下ボックス内の真空度を99.0kPaに減圧し、赤外線ヒータを用いて加飾シート表面温度を、熱可塑性樹脂基材(A)層の「ガラス転移温度+20」℃になるまで加熱し、形状体を上昇させて、形状体と積層シートを密着させ、3秒間保持した。その後、上ボックスのみを大気圧に開放することで、積層シートを賦型させて、加飾成型体を得た。
上記のようにして得られた加飾成型体について、下記のような評価を行った。
A:高さ30mmで成型できた。
B:高さ25mmで成型できたが、30mmでは形状を再現できなかった。
C:高さ20mmで成型できたが、25mmでは形状を再現できなかった。
D:高さ20mmで形状を再現できなかった。
【0096】
(9)成型後剥離
(8)のようにして得られた基材(A)層/(B)層/装飾(C)層/接着(D)層/ポリプロピレン製形状体の構成の加飾成型体について、基材(A)層/(B)層間で剥離を行い、下記の基準で評価を行った。なお、本評価は、メタルハライドランプ(アイグラフィックス製、M04−L41)を用いて、積算光量1000mJ/cmとなるように、基材(A)層側から紫外線照射処理を行い、(B)層を硬化させた後に行った。
A:問題なく剥離できた。
B:やや抵抗はあったが、成型体に密着痕を残さず剥離できた。
C:成型機内から取り出す際に、剥がれてしまった。
D:抵抗が強く、あるいは(B)層が硬化しておらず、剥離の際に成型体に密着痕がついてしまった。あるいは剥がれなかった。
【0097】
(10)成型後の表面外観
フィルムストレッチャー(ブルックナー製、KARO−IV)を用いて、下記の条件でフィルムを延伸した。延伸後のフィルムの表面外観について、以下の基準にて評価を行った。
初期サンプル:100mm×100mm、予熱・延伸温度:(2)にもとづき測定した基材(A)層のガラス転移温度より20℃高い温度、予熱時間:20秒、延伸温度:20%/秒、延伸倍率2×2
A:表面光沢が非常に高く、ムラが全く観察されなかった
B:表面光沢が高く、ほとんどムラが観察されなかった
C:表面に若干のうねり状のムラが観察された。
D:表面に顕著なうねり状のムラが観察された。
【0098】
(11)剥離の際の耐引裂性
得られた成型転写箔を、(8)と同様にして成型を行い、基材(A)層/(B)層/装飾(C)層/接着(D)層/ポリプロピレン製形状体の構成の加飾成型体を得た。加飾成型体をメタルハライドランプ(アイグラフィックス製、M04−L41)を用いて、積算光量1000mJ/cmとなるように、基材(A)層側から紫外線照射処理を行い、(B)層を硬化させた後に、基材(A)層を成型部材から手で剥離した。なお、剥離箇所は基材(A)層と(B)層の間である。同様の操作を10回行い、基材(A)層が裂けて一度でフィルムが(B)層から剥がれなかった回数で評価を行った。
A:なし
B:1〜2回
C:3〜4回
D:5回以上。
【0099】
(12)本発明における熱可塑性樹脂基材(A)層の製造に用いた樹脂
(環状オレフィン共重合樹脂A(COC−A))
ポリプラスチックス製“TOPAS 8007F−04”(ガラス転移温度78℃のエチレンとノルボルネンを共重合させた樹脂) を用いた。
(環状オレフィン共重合樹脂B(COC−B))
ポリプラスチックス製 “TOPAS 6013F−04”(ガラス転移温度138℃のエチレンとノルボルネンを共重合させた樹脂) を用いた。
(環状オレフィン樹脂C(COP−C))
日本ゼオン製“ZEONOR 1060R”(ガラス転移温度105℃の環状オレフィン樹脂)を用いた。
(環状オレフィン樹脂D(COP−D))
日本ゼオン製“ZEONOR 1430R”(ガラス転移温度135℃の環状オレフィン樹脂)を用いた。
(ポリエチレン系樹脂E(PE−E))
プライムポリマー製“エボリュー SP2540”(JIS K7210−1999によるMFRが3.8g/10min、JIS K7121−1987による融点が123℃である、線状低密度ポリエチレン系樹脂)を用いた。
(石油樹脂F)
出光興産製“アイマーブ P100”(JIS K2207−1996による軟化点が100℃の、C5留分を主成分とする完全水添石油樹脂)を用いた。
(石油樹脂G)
トーネックス製“エスコレッツ 213”(JIS K2207−1996による軟化点が104℃の、C5留分/C9留分共重合の未水添石油樹脂)を用いた。
(石油樹脂H)
荒川化学製“アルコン P100” (JIS K2207−1996による軟化点が100℃の、C9留分を主成分とする完全水添石油樹脂)を用いた。
(テルペン樹脂I)
ヤスハラケミカル製“YSレジンPX1000”(JIS K2207−1996による軟化点が100℃の、テルペン重合体樹脂)を用いた。
(酸化防止剤)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製“イルガノックス1010”を用いた。
【0100】
(13)本発明における(B)層の製造に用いた樹脂
(硬化性樹脂J)
以下の紫外線硬化性樹脂と溶剤を以下の配合比で混合したものを用いた。
・紫外線硬化性樹脂:DIC製“V−4025”(紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、固形分:80%) 50質量部
・溶剤:酢酸ブチル 50質量部
(硬化性樹脂K)
以下の紫外線硬化樹脂と溶剤を以下の配合比で混合したものを用いた。
・紫外線硬化型樹脂:荒川化学製“ビームセット1200”(紫外線、電子線硬化型エポキシアクリレート樹脂、固形分100%) 40質量部
・溶剤:メチルエチルケトン 60質量部
(硬化性でない樹脂L)
東レファインケミカル製“LG−517”(常温乾燥型樹脂、固形分:50質量%)を用いた。
【0101】
(14)本発明における装飾(C)層の製造に用いた樹脂
主剤と硬化剤を以下の配合比で混合したものを装飾層用塗料組成物とした。
・主剤:日本ビー・ケミカル製“R2325”(固形成分:36%) 100質量部
・硬化剤:三井化学製“D−178N”(固形成分:100%) 2質量部
(15)本発明における接着(D)層の製造に用いた樹脂
以下のポリオレフィン系ホットメルト接着剤と溶剤を以下の配合比で混合したものを接着層用塗料組成物とした。
・ポリオレフィン系ホットメルト接着剤:東洋紡績製“M−28”(無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン) 20質量部
・溶剤:トルエン 80質量部。
【0102】
(実施例1)
基材(A)層について、単層構成とした。表のような組成で樹脂を混合し、単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度235℃、それ以降の温度を250℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた。次いで、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、75℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの基材(A)層を得た。
【0103】
得られた基材(A)層の片面に、硬化性樹脂Jをスロットダイコーターで塗工を行い、80℃条件下で10分間乾燥を行って(B)層を形成し、本発明の積層シートを得た。得られたシートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0104】
実施例1の積層シートは、加熱時自然剥離、成型性、成型後剥離評価など、いずれも良好であった。
【0105】
なお、(1)〜(11)に記載の評価のうち、(3)、(8)、(9)、(11)については、メタルハライドランプ(アイグラフィックス製、M04−L41)によって(B)層を紫外線硬化処理を行ってから評価を行っており、それ以外の評価については、(B)層を硬化させる前の状態、あるいは(B)層を硬化させる前に基材(A)層と(B)層を剥離してから評価を行っており、他の実施例、比較例についても同様である。
【0106】
(実施例2、3)
基材(A)層の組成を表の通りとした以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0107】
実施例2の積層シートは、実施例1と比較して石油樹脂の濃度が高いため、加熱時自然剥離が良化し、剥離の際の耐引裂性は低下した。また、実施例3の積層シートは、実施例2よりさらに石油樹脂の濃度が高いため、巻取性は良化し、成型後の剥離評価が低下した。
【0108】
(実施例4)
基材(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度235℃、それ以降の温度を250℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてa2層/a1層/a2層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、75℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの基材(A)層を得た。
得られた基材(A)層の片面に、硬化性樹脂Jをスロットダイコーターで塗工を行い、80℃条件下で10分間乾燥を行って(B)層を形成し、本発明の積層シートを得た。得られたシートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0109】
実施例4の積層シートは、実施例2と比較して、基材(A)層を積層構成とし、a2層の主成分をCOPとしたため、成型後表面外観、および剥離の際の耐引裂性が良化した。
【0110】
(実施例5〜15)
基材(A)層の組成を表の通りとした以外は、実施例4と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0111】
実施例5の積層シートは、実施例4と比較して、石油樹脂Fを石油樹脂Gとした構成となっており、同等の評価となった。
【0112】
実施例6の積層シートは、実施例4と比較して、石油樹脂Fを石油樹脂Hとした構成となっており、巻取り性が良化した。
【0113】
実施例7の積層シートは、実施例4と比較して、a1層にも石油樹脂Fを含有した構成となっており、剥離の際の耐引裂性が低下した。
【0114】
実施例8の積層シートは、実施例7と比較して、a2層に石油樹脂Fを含有していない構成となっており、巻取性や加熱時自然剥離評価、成型後剥離評価が低下した。
【0115】
実施例9の積層シートは、実施例4と比較して、a2層の石油樹脂Fの割合を高くしたため、巻取性が向上し、一方で成型後剥離評価、成型後表面外観、剥離の際の耐引裂性が低下した。
【0116】
実施例10の積層シートは、実施例4と比較して、a2層の主成分がCOCとなっており、剥離の際の耐引裂性が低下した。
【0117】
実施例11の積層シートは、実施例4と比較して、a1層の主成分がCOPで、かつ、a1層、a2層ともガラス転移温度が高くなっており、成型後の表面外観は低下し、剥離の際の耐引裂性は良化した。
【0118】
実施例12の積層シートは、実施例4と比較して、a1層/a2層の2層構成となっており、基材(A)層にややカールが見られたため、巻取り性が低下した。
【0119】
実施例13の積層シートは、実施例4と比較して、a1層にPE−Eを含まない構成となっており、剥離の際の耐引裂性が低下した。
【0120】
実施例14の積層シートは、実施例4と比較して、a1層にPE−Eの割合を高くしたため、成型後表面外観は低下し、剥離の際の耐引裂性は良化した。
【0121】
実施例15の積層シートは、実施例4と比較して、a2層に石油樹脂Fに加えてテルペン樹脂Iを含有した構成となっており、巻取性が良化した。
【0122】
(実施例16)
基材(A)層の組成を表の通りとした以外は、実施例4と同様にして基材(A)層を得た。得られた基材(A)層の片面に、エキシマランプ(岩崎電気製“EVUV−200”)にて積算光量100mJ/cmとなるように照射時間40秒で行った後に、照射面に硬化性樹脂Jをスロットダイコーターで塗工を行い、80℃条件下で10分間乾燥を行って(B)層を形成し、本発明の積層シートを得た。得られたシートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0123】
実施例16の積層シートは、実施例4と比較して、エキシマランプによるUV処理を行っており、巻取性、加熱時自然剥離が良化した。一方で基材(A)層と(B)層の密着性が上がったため、成型後剥離評価が低下した。また、エキシマランプによるUV処理の際に、熱で基材(A)層が少し変形したため、成型後の表面外観が低下した。
【0124】
(実施例17)
基材(A)層へのエキシマランプでの積算光量を110mJ/cmとなるように照射時間44秒で行った以外は、実施例16と同様にして本発明の積層シートを得た。得られたシートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0125】
実施例17の積層シートは、実施例16と比較して、エキシマランプの積算光量を大きくしており、成型後表面外観が低下した。
【0126】
(実施例18)
(B)層を硬化性樹脂Kに変更した以外は、実施例4と同様にして本発明の積層シートを得た。得られたシートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0127】
実施例18の積層シートは、実施例4と同様の評価を得た。
【0128】
(比較例1、2)
基材(A)層の組成を表の通りとした以外は、実施例1と同様にして基材(A)を得た。得られた積層シートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0129】
比較例1は、実施例1と比較して石油樹脂Fを含有しない構成となっており、巻取性、加熱時自然剥離評価が大きく低下し、転写箔としての性能が不十分であった。
【0130】
比較例2は、実施例2と比較して環状オレフィン系樹脂が主成分ではないため、剥離の際の耐引裂性は良化したものの、成型後表面外観が大きく低下し、転写箔としての性能が不十分であった。
【0131】
(比較例3)
基材(A)層の組成、および(B)層の組成を表の通りとした以外は、実施例4と同様にして基材(A)を得た。得られた積層シートについて、(1)〜(11)に記載の方法にて評価を行った。
【0132】
比較例3は、実施例2と比較して、(B)層が硬化性でない樹脂で構成されており、成型後剥離の際に(B)層の成分が粘着して残り、成型後剥離評価が大幅に低下した。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】
【表5】