(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各コイルはそれぞれ、まず磁性体の磁極領域に外側から内側へ、前記磁性体の上面の上方における前記磁性体の端の外方から前記磁性体の本体部の上面に渡って平面的に巻かれ、前記磁性体の端に到達すると、下方へ降りて、前記磁性体の上面の下方における前記磁性体の端の外方から前記磁性体の本体部の上面に渡って内側から外側へ巻かれることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電用パッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に開示されている電力伝達パッドは、各磁極領域の周囲にそれぞれ、平面的に螺旋状にコイルを巻いて構成されているため、パッドの平面的な広がりが大きく、パッドの外形寸法が大きくなる。したがって、パッドを取り付けるために、大きなスペースが必要となる。このため、フォークリフトの非接触充電システムに、特許文献2に開示されているパッドを用いると、フォークリフトは一般の電気自動車と比べて、パッドを取り付け得るスペースが狭いため、パッドの外形寸法が大きくなると、パッドの取り付け箇所が益々制約されて、フォークリフトへのパッドの取り付けが困難になるという問題があった。さらに、磁性体の上面においてコイルを横一列に巻くと、コイルの一方の端部は磁性体の裏側から引き出すことが必要となり、パッドの製作が困難となるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、外形寸法を小さくでき、さらに製作が容易となる非接触給電用パッド、および、その非接触給電用パッドを用いたフォークリフトの非接触充電システムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、両端部にそれぞれ磁極領域が設定された平板状の磁性体と、前記磁性体の各磁極領域の周囲にそれぞれ、前記磁性体の端の外方から前記磁性体の本体部の上面に渡って渦状に巻かれたコイルを備え、前記各コイルはそれぞれ、前記磁性体の本体部の上面において平面的に1段に巻かれ、前記磁性体の端部外方において上下に2段に巻かれ
、2つの
前記コイルには、前記磁極領域の一方から他方へ前記磁性体の上方を通る磁束経路が形成されるよう電圧が印加されることを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、各コイルを、磁性体の端部外方では上下に2段に巻くことにより、特許文献2に開示された、コイルを横一列に巻いたパッドと比較して、平面的な寸法を短くできる。また端部外方におけるコイルが磁性体に近づくことになるので、磁性体の起磁力が強くなり、性能が向上する。さらに、磁性体の端の外方をコイルが通過することにより、コイルの一方の端部を磁性体の裏側から引き出す必要がなくなり、パッドの製作が容易となる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記各コイルはそれぞれ、まず磁性体の磁極領域に内側から外側へ、前記磁性体の上面の下方における前記磁性体の端の外方から
前記磁性体の本体部の上面に渡って巻かれた後、前記磁性体の上面の上方における前記磁性体の端の外方から前記磁性体の本体部の上面に渡って平面的に内側から外側へ巻かれることを特徴とするものである。
【0012】
上記巻き方によれば、コイルを磁性体の本体部の上面において平面的に1段に巻き、磁性体の端部外方において上下に2段に巻くことが可能となる。さらに、磁性体の端部外方において、コイルが磁性体の上面の下方を通過した後に上方を通過することになるので、パッドの製作が容易となる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記各コイルはそれぞれ、まず磁性体の磁極領域に外側から内側へ、前記磁性体の上面の上方における前記磁性体の端の外方から前記磁性体の本体部の上面に渡って平面的に巻かれ、前記磁性体の端に到達すると、下方へ降りて、前記磁性体の上面の下方における前記磁性体の端の外方から前記磁性体の本体部の上面に渡って内側から外側へ巻かれることを特徴とするものである。
【0014】
上記巻き方によれば、コイルを磁性体の本体部の上面において平面的に1段に巻き、磁性体の端部外方において上下に2段に巻くことが可能となる。さらに、コイルの重なりを確実に2重以下にすることが可能となるので、パッドの厚みの低減化を図ることができる。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記磁性体に設定された磁極領域に、前記磁性体に接する第2の磁性体を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
上記構成によれば、磁極領域に第2の磁性体を設けたことにより、さらに磁性体の起磁力が強くなり、性能が向上する。
【0017】
また請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の発明であって、前記磁性体の長軸方向における前記
第2の磁性体の磁極領域の寸法を、前記磁性体の長軸寸法の1/4以下としたことを特徴とするものである。
【0018】
上記構成によれば、磁極領域を除いた磁性体の上面の寸法として、磁性体の長軸寸法の1/2が確保され、各コイルを磁性体の本体部の上面に渡って巻くスペースを確保できる。
【0019】
また請求項6に記載の発明は、交流電源に接続される1次側の非接触給電用パッドと、バッテリが搭載されたフォークリフトに配設された2次側の非接触給電用パッドと、前記フォークリフトに配設され、前記2次側の非接触給電用パッドから送られてくる電圧を整流する整流器と、を備え、前記1次側および2次側の非接触給電用パッドが、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非接触給電用パッドであり、前記1次側の非接触給電用パッドから前記2次側の非接触給電用パッドへ非接触で電力を供給して、前記フォークリフトに搭載された前記バッテリを充電することを特徴とするものである。
【0020】
上記構成によれば、1次側および2次側の非接触給電用パッドの平面的な寸法を、特許文献2に開示されたパッドと比較して小さくできる。よって、2次側の非接触給電用パッドをフォークリフトに配設する位置の自由度が向上するので、フォークリフトへのパッドの取り付けが容易となる。さらに、特許文献2に開示されたパッドと比較して、1次側および2次側の非接触給電用パッドの磁性体の起磁力が強くなり、性能が向上する。
【0021】
また請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明であって、前記フォークリフトの一方の側部に装着されている車輪が乗ることが可能な支持台をさらに備え、前記1次側の非接触給電用パッドが前記支持台に設けられており、前記フォークリフトの前記一方の側部の下方から前記1次側の非接触給電用パッドによって供給される電力を受電できるよう、前記2次側の非接触給電用パッドが前記フォークリフトの前記一方の側部の下面または下部に設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
上記構成によれば、1次側の非接触給電用パッドを地中に埋設せずに済むので、1次側の非接触給電用パッドの敷設が容易となり、その敷設にかかる時間及び費用を減じせしめることができる。さらに、2次側の非接触給電用パッドを取り付ける対象が既存のフォークリフトであっても、2次側の非接触給電用パッドをフォークリフトの一方の側部の下面または下部に配設すればよいので、車体の下面または下部に設ける2次側の非接触給電用パッドを、車体の中心線上(車体の幅方向の中央)に配設するのに比べて、2次側の非接触給電用パッドの取り付け及びメンテナンスが容易となる。
【0023】
また請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明であって、前記1次側の非接触給電用パッドが前記フォークリフトの側面に対向できるように配設され、前記フォークリフトの側方から前記1次側の非接触給電用パッドによって供給される電力を受電できるよう、前記2次側の非接触給電用パッドが前記フォークリフトの一方の側部または側面に設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
上記構成によれば、フォークリフトの下面または下部に2次側の非接触給電用パッドを配設するのに比べ、2次側の非接触給電用パッドの取り付け及びメンテナンスが容易となる。
【0025】
また請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の発明であって、前記1次側の非接触給電用パッドが前記フォークリフトの座席後面に対向できるように配設され、前記フォークリフトの後方から前記1次側の非接触給電用パッドによって供給される電力を受電できるよう、前記2次側の非接触給電用パッドが前記フォークリフトの座席の後方に設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
上記構成によれば、フォークリフトの下面または下部に2次側の非接触給電用パッドを配設するのに比べ、2次側の非接触給電用パッドの取り付け及びメンテナンスが容易となる。
【0027】
また請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の発明であって、前記1次側の非接触給電用パッドが前記フォークリフトのヘッドガード上面に対向できるように配設され、前記フォークリフトの上方から前記1次側の非接触給電用パッドによって供給される電力を受電できるよう、前記2次側の非接触給電用パッドが前記フォークリフトのヘッドガードに設けられていることを特徴とするものである。
【0028】
上記構成によれば、フォークリフトの下面または下部に2次側の非接触給電用パッドを配設するのに比べ、2次側の非接触給電用パッドの取り付け及びメンテナンスが容易となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の非接触給電用パッドは、各コイルを磁性体の端部外方で上下2段に巻くことにより、コイルを横一列に巻いたパッドと比較して、平面的な寸法を短くでき、よって、パッドを取り付けるスペースを小さくでき、また端部外方におけるコイルが磁性体に近づくので、磁性体の起磁力が強くなり、性能を向上でき、さらに磁性体の端の外方をコイルが通過することにより、コイルの一方の端部を磁性体の裏側から引き出す必要がなくなり、パッドの製作が容易となる、という効果を有している。
【0030】
また、本発明の非接触給電用パッドを用いたフォークリフトの非接触充電システムは、コイルを横一列に巻いたパッドと比較して、1次側および2次側の非接触給電用パッドの平面的な寸法を小さくでき、フォークリフトへのパッドの取り付けが容易となり、また1次側および2次側の非接触給電用パッドの磁性体の起磁力が強くなり、性能を向上できる、という効果を有している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、同じ構成要素には同じ符号を付与することによって重複する説明を省略する。また、図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を模式的に図示している。なお、以下の実施の形態で示す各構成要素の形状や、寸法の数値等は一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、以下の実施の形態で示す各構成要素の組み合わせは一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で、適宜、組み合わせることが可能である。
【0033】
図1は本発明の実施の形態における非接触給電用パッドの平面図、
図2は
図1のA−A断面図であり、
図1および
図2に示すように、非接触給電用パッド11は、両端部にそれぞれ磁極領域12,13が設定された細長い板状(スリップ状)の第1フェライト(磁性体の一例)14と、これら磁極領域12,13にそれぞれ、第1フェライト14の両端に合わせて、且つ第1フェライト14の上面に接して設けられた板状の第2フェライト(第2の磁性体の一例)15と、第1フェライト14の各磁極領域12,13の周囲にそれぞれ、第1フェライト14の端の外方から第1フェライト14の本体部の上面に渡って渦状(螺旋状)に巻かれたコイル16,17と、これら第1フェライト14、第2フェライト15、およびコイル16,17を支持する、プラスチック等の磁気非透磁性の部材からなる薄い皿状の背面プレート18を備えており、背面プレート18内には、第2フェライト15の前面(上面)を除いて樹脂19が充填されて、背面プレート18に、第1フェライト14、第2フェライト15、およびコイル16,17が固定されている。各コイル16,17の両端部はそれぞれ、背面プレート18の外方に引き出されており、端子20が取り付けられている。
【0034】
第1フェライト14の長軸方向における第2フェライト15の寸法(第2フェライトの幅方向の寸法)は、第1フェライト14の長軸寸法の1/4の寸法以下に設定され、第2フェライト15の高さ寸法(厚さ)は、コイル16,17を形成する導線16a、17aの太さに合わせて設定されている。また、背面プレート18の奥行きは、その背面プレート18の奥行き方向(第1フェライト14の幅方向または第2フェライト15の長軸方向)におけるコイル16または17の寸法に略設定され、横幅は、その横幅方向(第1フェライト14の長軸方向または第2フェライト15の幅方向)におけるコイル16とコイル17の寸法を加算した寸法以上に設定されている。例えば、第1フェライト14の幅方向におけるコイル16または17の寸法D1が100mmの場合、背面プレート18の奥行きは、略100mmに設定され、第1フェライト14の長軸方向におけるコイル16とコイル17の寸法D2が共に150mmの場合、背面プレート18の横幅は、300mm以上に設定される。背面プレート18の横幅は、コイル16とコイル17の間隙の寸法Sに応じて異なる。コイル16とコイル17の間隙の寸法Sは、コイル16とコイル17の巻き数が一定の下で、有意の水平磁束成分を提供できる非接触給電用パッド11の前面からの距離(給電範囲または給電距離)を決める因子の一つであり、その給電範囲(または給電距離)は、寸法Sが長くなるほど、大きくなる。したがって、2つの非接触給電用パッド11が離れた位置に配置されて給電が行われる場合には、コイル16とコイル17の間に隙間を広げるのが好適である。
【0035】
また各コイル16,17はそれぞれ、
図2に示すように、第1フェライト14の本体部の上面において平面的に1段に巻かれ、第1フェライト14の端の外方において、上下に2段に巻かれている。なお、巻線数は8本としている。
【0036】
具体的には、各コイル16,17は、次のように巻かれている。
(1)まず各コイル16,17をそれぞれ、磁極領域12,13に内側から外側へ、第1フェライト14の側面の外方(第1フェライト14の上面下方における第1フェライト14の端の外方)から第1フェライト14の本体部の上面に渡って巻く。No.1〜No.4の導線16a,17aに相当する。
(2)各コイル16,17が所定回数巻かれると、No.5の導線16a,17aがそれぞれ、第1フェライト14の本体部の上面から第2フェライト15の側面に巻かれる。
(3)続いて各コイル16,17をそれぞれ、第2フェライト15の側面の外方(第1フェライト14の上面の上方における第1フェライト14の端の外方)から第1フェライト14の本体部の上面に渡って、平面的に内側から外側へ巻く。No.5〜No.8の導線16a,17aに相当する。
【0037】
これにより、第1フェライト14および第2フェライト15の端の外方をコイル16,17が通過するので、各コイル16,17の一方の端部を第1フェライト14の裏側から引き出す必要がなくなり、各コイル16,17の両端部を背面プレート18から引き出しやすくなる。よって、非接触給電用パッド11の製作が容易となる。また、第2フェライト15の下方に位置する第1フェライト14の端部外方をコイル16,17が通過した後に、第1フェライト14の上方に位置する第2フェライト15の端部外方をコイル16,17が通過するので、非接触給電用パッド11の製作が容易となる。
【0038】
非接触給電用パッド11は、可搬であって通常3次元というよりも2次元的に配設でき、例えばフォークリフトの非接触充電に利用することができる。この場合、
図3に示すように、一つのパッド11は充電パッドとして、高周波電源装置21に接続され、他のパッド11はピックアップとしてフォークリフトに備えられて、フォークリフトに搭載されているバッテリ22を充電する充電器23に接続される。
【0039】
充電パッドとして使用される非接触給電用パッド11では、商用電源24(例えば、AC200V)に接続する高周波電源装置21から2つのコイル16,17へ高周波電圧が印加され、これにより
図4に示すように、磁束が、一方の磁極領域12,13(一方の第2フェライト15)から第1フェライト14の内部を通って他方の磁極領域13,12(他方の第2フェライト15)から出て、空気中を通って一方の磁極領域12,13に到る磁束経路25が形成され、すなわち非接触給電用パッド11の上方にアーチ状の磁束経路25が形成され、パッド11の前面の上方の有意の距離に有意の水平の磁束成分が提供される。なお、パッド11の裏面側には本質的に磁束経路は形成されない。
したがって、ピックアップとして使用される非接触給電用パッド11が、アーチ状の磁束経路25内に配置されると、充電パッドとして使用される非接触給電用パッド11に対して上下方向にずれても、また横方向にずれても、2つのコイル16,17に誘導電圧(高周波電圧)が誘起され、充電器23によりフォークリフトのバッテリ22が充電される。例えば、
図3(b)に示すように、並列接続された2つのコイル16,17の両端に、これらのコイル16,17とともに高周波電圧の周波数で共振する共振コンデンサ26を接続し、この共振コンデンサ26の両端に充電器23を接続して、バッテリ22を充電する回路を構成してもよい。充電器23は少なくとも整流器を含み、誘導電圧(高周波電圧)を整流して直流電圧(例えば、DC300V)を生成し、バッテリ22を充電する。
【0040】
なお、
図3(a)には、2つのコイル16,17が高周波電源装置21に直接接続された回路構成を示しているが、その2つのコイル16,17と高周波電源装置21との間に、コイル16,17とともに高周波電圧の周波数で共振する共振コンデンサを接続してもよい。この場合、コイル16,17に対して共振コンデンサを並列に接続して並列共振回路を構成してもよいし、直列に接続して直列共振回路を構成してもよい。
また、
図3(b)には、2つのコイル16,17のそれぞれの両端に、1つの共振コンデンサ26が共通に並列接続された回路構成を示しているが、コイル16,17に対して共振コンデンサ26を直列に接続して直列共振回路を構成してもよい。
また、
図3(a)には、2つのコイル16,17を直列に接続した回路構成を示し、
図3(b)には、2つのコイル16,17を並列に接続した回路構成を示しているが、充電パッドとして使用される非接触給電用パッド11において、2つのコイル16,17は並列に接続されてもよいし、ピックアップとして使用される非接触給電用パッド11において、2つのコイル16,17は直列に接続されてもよい。
【0041】
以上のように本実施の形態によれば、各コイル16,17がそれぞれ第1フェライト14の端部外方で上下2段に巻かれるので、特許文献2のようにコイルを横一列の巻いたパッドと比較して、パッドの平面的な寸法(パッドの外形寸法)を短くできる。よって、フォークリフト(特に既存のフォークリフト)へのパッドの取り付けが容易となる。また端部外方のコイル16,17がフェライト14,15に近づくことになり、フェライト14,15の起磁力が強くなり、性能を向上できる。さらに、フェライト14,15の端の外方をコイル16,17が通過することにより、各コイル16,17の一方の端部を下方のフェライト14の裏側から引き出す必要がなくなり、パッドの製作が容易となる。
【0042】
また本実施の形態によれば、第2フェライト15の下方に位置する第1フェライト14の端部外方をコイル16,17が通過した後に、第1フェライト14の上方に位置する第2フェライト15の端部外方をコイル16,17が通過するので、パッドの製作が容易となる。
【0043】
また本実施の形態によれば、各磁極領域12,13に、第1フェライト14に接する第2フェライト15を設けたので、コイル16,17を巻きやすくなり、作業性を向上でき、パッドの製作が容易となり、さらにフェライト14,15の起磁力が強くなり、性能を向上できる。
【0044】
また本実施の形態によれば、第1フェライト14の長軸方向における各磁極領域12,13の寸法を、第1フェライト14の長軸寸法の1/4以下としたので、磁極領域12,13を除いた第1フェライト14の上面の寸法として、第1フェライト14の長軸寸法の1/2が確保され、各コイル16,17を第1フェライト14の本体部の上面に渡って巻くスペースを確保できる。
【0045】
なお、本実施の形態では、第1フェライト14の裏面側に設けた背面プレート18を、プラスチック等の磁気非透磁性の部材から形成しているが、アルミニウム製の部材としてもよい。アルミニウム製の背面プレートは、第1フェライト14に欠陥や不具合があった場合に、小規模な漏洩磁束を防止できる。
また本実施の形態では、各コイル16,17の巻線数を8本としているが、8本に限ることはない。また各コイル16,17を第1フェライト14の端部外方で2段としているが、さらに多くの段数、3段、4段とすることも可能である。但し、非接触給電用パッド11の厚さを薄くするには2段が好ましい。
また本実施の形態では、各磁極領域12,13に第2フェライト15を固定しているが、第2フェライト15が無くても、非接触給電用パッド11としての機能を果たすことができる。
また本実施の形態では、コイル16,17を2本の導線によって形成しているが、コイル16,17を直列接続する場合には、1本の導線によりコイル16,17を形成してもよい。
【0046】
またコイル16,17の巻き方は、
図1および
図2に示す巻き方に限定されるものではなく、例えば
図5および
図6に示す巻き方を採用してもよい。以下、コイル16,17の巻き方の他例について、
図5および
図6に基いて説明する。
図5は本発明の実施の形態における非接触給電用パッドの変形例の平面図、
図6は
図5のA−A断面図である。
(1)まず各コイル16,17をそれぞれ、第2フェライト15の側面に外側から内側へ、第2フェライト15の端の外方(第1フェライト14の上面の上方における第1フェライト14の端の外方)から第1フェライト14の上面に渡って平面的に巻く。No.1〜No.4の導線16a,17aに相当する。
(2)内側に巻かれたNo.4の導線16a,17aが、第2フェライト15の端(第1フェライト14の端)に到達すると、第2フェライト15の下方に位置する第1フェライト14の側面へ下ろす。
(3)続いて各コイル16,17をそれぞれ、第2フェライト15の下方に位置する(第1フェライト14の上面の下方における)第1フェライト14の側面(端)の外方から第1フェライト14の本体部の上面に渡って内側から外側へ巻く。No.5〜No.8の導線16a,17aに相当する。
【0047】
これにより、フェライト14,15の端の外方をコイル16,17が通過するので、各コイル16,17の一方の端部を第1フェライト14の裏側から引き出す必要がなくなり、各コイル16,17の両端部を背面プレート18から引き出しやすくなる。よって、パッドの製作が容易となる。また、各コイル16,17の重なりを確実に2重以下にすることが可能となるので、背面プレート18の高さを、第1フェライト14の厚さに第2フェライト15の厚さを加えた寸法に略設定でき、背面プレート18の高さを低くできる。これにより、非接触給電用パッド11の厚みを薄くすることができ、非接触給電用パッド11をさらに薄い平板状にできる。よって、非接触給電用パッド11の取り付けが容易となる。
【0048】
続いて、上記説明した非接触給電用パッド11を用いたフォークリフトの非接触充電システムについて説明する。以下で説明する非接触充電システムは、既存のカウンタバランス式の電動フォークリフト(バッテリ車)に搭載されているバッテリ(鉛蓄電池)を充電するためのものである。
【0049】
図7は本発明の実施の形態における非接触充電システムの全体構成を説明するための斜視図、
図8は本発明の実施の形態における非接触充電システムの全体構成を説明するための側面図である。
図7および
図8に示す非接触充電システムは、図示しない高周波電源装置(交流電源の一例)に接続される1次側の非接触給電用パッド(充電パッド)11aと、バッテリ(鉛蓄電池)31とそのバッテリ31を充電する充電器32とが搭載されたフォークリフト33に配設された2次側の非接触給電用パッド(ピックアップ)11bと、フォークリフト33に配設され、2次側の非接触給電用パッド11bから送られてくる高周波電圧を整流して充電器32へ送る整流器34と、を備え、1次側の非接触給電用パッド11aおよび2次側の非接触給電用パッド11bが、上記説明した非接触給電用パッド11であり、1次側の非接触給電用パッド11aから2次側の非接触給電用パッド11bへ非接触で電力を供給して、フォークリフト33に搭載されているバッテリ31を充電する。
【0050】
さらに、この非接触充電システムは、地面に設置されて、フォークリフト33の一方の側部に装着されている車輪(前輪35aおよび後輪35b)が乗ることが可能な、例えばアルミニウム製の支持台36をさらに備え、1次側の非接触給電用パッド11aが支持台36に設けられており、支持台36(フォークリフト33の一方の側部の下方)から1次側の非接触給電用パッド11aによって供給される電力を受電できるよう、2次側の非接触給電用パッド11bがフォークリフト33の一方の側部の下面または下部に設けられている。
【0051】
充電パッドとして使用される1次側の非接触給電用パッド11aは、例えば
図3(a)に示すように、商用電源24に接続する高周波電源装置21から2つのコイル16,17に高周波電圧が印加される。一方、ピックアップとして使用される2次側の非接触給電用パッド11bは、
図8に示すように、整流器34に接続している。
【0052】
既存のフォークリフト33は、商用電源に繋がるケーブルの先端に設けられているプラグが人手によって差し込まれるコネクタを装備しており、そのコネクタは充電器32に接続している。充電器32は少なくとも整流器を含み、商用電源からケーブルを介してコネクタに供給された交流電圧(例えば、AC200V)を整流して直流電圧(例えば、DC300V)を生成し、バッテリ31を充電する。そこで、本実施の形態では、フォークリフト33に装備されているコネクタ(図示せず)に、2次側の非接触給電用パッド11bが整流器34を介して接続する構成としている。この構成によれば、1次側の非接触給電用パッド11aの上方にアーチ状の形成されている磁束経路内に2次側の非接触給電用パッド11bが配置されたとき、その2次側の非接触給電用パッド11bの2つのコイル16,17に誘導電圧(高周波電圧)が誘起され、その誘導電圧が整流器34によって整流されて直流電圧(例えば、DC300V)となり、その直流電圧がフォークリフト33に装備されているコネクタ(図示せず)に供給される。そして、フォークリフト33に搭載されている充電器32により、フォークリフト33のバッテリ31が充電される。なお、2次側の非接触給電用パッド11bを含む受電回路は、例えば、
図3(b)に示す回路構成に整流器34を追加した構成としてもよい。すなわち、共振コンデンサ26と充電器23(
図8の充電器32に対応する)との間に整流器34を接続した構成としてもよい。
【0053】
支持台36は、
図7に示すように平坦な上面36aを有し、フォークリフト33の進行方向に長くなるように構成されている。支持台36の上面36aの長さは、フォークリフト33が所定の充電位置で停止しているときに、フォークリフト33の一方の側部の前輪35aおよび後輪35bが上面36aに同時に乗ることが可能な長さにする。なお、既存の電動フォークリフトのホイールベースは一定ではない。そこで、支持台36の上面36aの長さは、充電対象のフォークリフトのホイールベースに対応させる。ここで、上記説明した非接触給電用パッド11は、ピックアップと充電パッドが横方向にずれても、ピックアップ2つのコイル16,17に誘導電圧(高周波電圧)が誘起されるので、その許容される横方向のずれ量に合わせて、既存の電動フォークリフトのホイールベースを複数のグループに分けて、各グループごとに支持台36の上面36aの長さを決定することができる。または、支持台36を、複数のパーツを繋げる構成にして、充電対象のフォークリフト33のホイールベースに合せて、地面に載置して繋げるパーツの数を変化させることにより、支持台36の上面36aの長さを変更してもよい。この場合も、上記した許容される横方向のずれ量に合わせて、既存の電動フォークリフトのホイールベースを複数のグループに分けることにより、支持台36を構成するパーツの数を減らすことができる。あるいは、支持台36の上面36aの長さは、既存の電動フォークリフトのホイールベースのうちの最大のホイールベースに対応させてもよい。
【0054】
充電パッドとして使用される1次側の非接触給電用パッド11aを支持台36に設ける位置は、例えば、フォークリフト33の前輪35aからの距離によって決定してもよい。このようにすれば、フォークリフト33の前輪35aが所定の位置に停止したときに、支持台36に設けられた1次側の非接触給電用パッド11aから発生する交番磁界によって誘導電圧が誘起される位置に、フォークリフト33に設けられた2次側の非接触給電用パッド11bを配置させることができる。フォークリフト33の前輪35aの位置決めは、上記したように、ピックアップと充電パッドが横方向にずれても、ピックアップの2つのコイル16,17に誘導電圧(高周波電圧)が誘起されるので、例えば
図7に示すように、運転者が停止線37を目印にフォークリフト33を停止させることにより実現してもよい。
【0055】
支持台36の高さHは、1次側の非接触給電用パッド11aの厚み(高さ)に依存する。フォークリフト33の一方の側部の前輪35aおよび後輪35bのみが支持台36に乗り、他方の側部に装着されている前輪および後輪が地面に支持される場合、支持台36に乗ったフォークリフト33は傾くので、支持台36の高さが高くなるほど、不安定な状態となるが、上記説明したように、本実施の形態の非接触給電用パッド11は、その厚さを薄くすることができ、第1フェライト14の端部外方において各コイル16,17が2段に巻かれる場合であれば、2.5cmの厚みにすることができる。このため、支持台36の高さHは、例えば40mm程度とすることができる。よって、本実施の形態によれば、片輪が支持台36に乗り上げて傾斜するフォークリフト33の不安定さを軽減することができる。
支持台36の幅Wは、フォークリフト33の車輪35の幅以上とし、例えば300mmにする。但し、上記したように支持台36に乗ったフォークリフト33は傾くので、その傾斜したフォークリフト33の下面が支持台36に接触しない程度の幅以下にする必要がある。また、前輪35aと後輪35bの内側面と外側面の少なくとも一方の位置が車体の幅方向においてずれているときには、より外側にある外側面と、より内側にある内側面との間の、車体の幅方向における間隔以上に、支持台36の幅Wは設定される。
【0056】
なお、支持台36は、図示するように、フォークリフト33の支持台36への乗り降りがスムーズになるように、フォークリフト33の進行方向の両端部にスロープ36bを設けてもよい。
【0057】
1次側の非接触給電用パッド11aは、上記説明した非接触給電用パッド11に、フォークリフト33の重量に耐え得るカバーを設けて、そのカバーの上面が支持台36の上面36aと同一平面となるように支持台36から露出させてもよいし、
図9に示すように、1次側の非接触給電用パッド11aの厚みよりも深い凹部38を支持台36に形成して、その凹部38内に1次側の非接触給電用パッド11aを配設するとともに、その凹部38の上面に、フォークリフト33の重量に耐え得る蓋39を設けてもよい。なお、カバーや蓋39の材質には、1次側の非接触給電用パッド11aから発生する磁界(磁束)に与える影響が小さいものを選択する。
【0058】
1次側の非接触給電用パッド11aへの高周波電圧の印加は、例えば、フォークリフト33の一方の側部の前輪35aおよび後輪35bが支持台36に乗り上げて、前輪35aが所定の位置で停止した後に、運転者または操作者が、高周波電圧の印加を指示するスイッチを操作することによって開始してもよいし、
図10に示すように、支持台36に荷重センサ40を設け、フォークリフト33の前輪35aが荷重センサ40上を通過するときに荷重センサ40から発生する信号によって開始してもよい。
【0059】
以上のように本実施の形態の非接触充電システムでは、フォークリフト33の一方の側部に装備されている前輪35aおよび後輪35bが乗り上げる支持台36に、充電パッドとして使用される1次側の非接触給電用パッド11aが配設され、フォークリフト33の一方の側部の下面または下部に、ピックアップとして使用される2次側の非接触給電用パッド11bが配設される。
【0060】
一方、ガレージの床面や駐車場の地面等に固定された充電パッドから、車体の下面に設けられたピックアップへ、電力が非接触で伝達される一般的な電気自動車の非接触充電システムでは、車体の中心線上(車体の幅方向の中央)にピックアップが配設される。しかし、非接触で電力を伝達する対象がフォークリフトである場合、フォークリフトの車体の下面に設けるピックアップを、その車体の中心線上に配設すると、地面に固定された充電パッドにフォークが接触して、充電パッドが破損する虞がある。この問題を回避するには、充電パッドを地中に埋設する必要があり、充電パッドの敷設工事に時間及び費用を要する。さらに、ピックアップを取り付ける対象が既存のフォークリフトである場合、フォークリフトの車体は一般的な電気自動車に比べて重く、また強固であるため、車体の下面に設けるピックアップを、車体の中心線上に取り付ける作業は、困難なものとなる。
【0061】
これらの問題に対し、本実施の形態によれば、1次側の非接触給電用パッド(充電パッド)11aを地中に埋設せずに済むので、1次側の非接触給電用パッド11aの敷設が容易となり、その敷設にかかる時間及び費用を減じせしめることができる。さらに、2次側の非接触給電用パッド(ピックアップ)11bを取り付ける対象が既存のフォークリフト33であっても、2次側の非接触給電用パッド11bをフォークリフト33の一方の側部の下面または下部に配設すればよいので、車体の下面または下部に設ける2次側の非接触給電用パッド11bを、車体の中心線上に配設するのに比べて、2次側の非接触給電用パッド11bの取り付け及びメンテナンスが容易となる。また、支持台36は、フォークリフト33を所定の充電位置へガイドするガイド部としても機能することができ、一般的な電気自動車の非接触充電システムのように、充電パッドとは別の場所にガイド部を設ける必要がなく、非接触充電システムの1次側を敷設するのにかかる労力及び費用を減じせしめることができる。
【0062】
また本実施の形態によれば、片輪が支持台36に乗り上げてフォークリフト33が傾斜するので、フォークリフト33の重心が移動する。よって、支持台36がフォークリフト33から受ける圧力を減じせしめることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、運転者が停止線37を目印にフォークリフト33を停止させる場合について説明したが、例えば
図11に示すように、支持台36に輪止め41を設けることにより、フォークリフト33の前輪35aの位置決めを実現してもよい。また、この場合、
図11に示すように、その輪止め41に荷重センサ40を設けて、フォークリフト33の前輪35aが輪止め41に当接することにより荷重センサ40から発生する信号によって、1次側の非接触給電用パッド11aへの高周波電圧の印加を開始してもよい。
また本実施の形態では、フォークリフト33の一方の側部に装着されている車輪(前輪35aおよび後輪35b)が乗ることが可能な支持台36のみを地面に設置する場合について説明したが、上記したように、この場合、フォークリフト33が傾き、不安定な状態となる。そこで、
図12に示すように、フォークリフト33が傾斜しないように、フォークリフト33の他方の側部に装着されている車輪が乗ることが可能な支持台42をさらに地面に設置してもよい。この支持台42には、1次側の非接触給電用パッドを設ける必要はない。
【0064】
続いて、支持台36の変形例について説明する。
図13は支持台36の変形例を示している。
図13(a)〜
図13(c)に示すように、支持台36は、フォークリフト33が乗り上げる側の端部の幅が広がっていてもよい。このようにすれば、フォークリフト33が曲がりながら支持台36に乗り上げるときにも、フォークリフト33の後輪35bを支持台36に乗せることが容易となる。また、
図13(a)に示すように、幅が広がっている端部の側面にもスロープ36cを設ければ、より容易に、フォークリフト33の後輪35bを支持台36に乗せることができるようになる。
【0065】
続いて、非接触給電用パッドを用いたフォークリフトの非接触充電システムの他例について説明する。上記した非接触充電システムは、車体の下方から非接触でフォークリフト33に給電したが、
図14に示すように、車体の一方の側部または側面に2次側の非接触給電用パッド11bを配設して、車体の一方の側方から非接触でフォークリフト33に給電するようにしてもよいし、
図15に示すように、フォークリフト33の座席33aの後方に2次側の非接触給電用パッド11bを配設して、車体の後方から非接触でフォークリフト33に給電するようにしてもよいし、
図16に示すように、フォークリフト33のヘッドガード33bに2次側の非接触給電用パッド11bを配設して、車体の上方から非接触でフォークリフト33に給電するようにしてもよい。
【0066】
車体の一方の側方から非接触でフォークリフト33に給電する場合、1次側の非接触給電用パッド11aは、フォークリフト33の側面に対向できるように配設される。例えば
図14に示すように、柱43に固定されて水平方向に突出する支持部材44に、フォークリフト33に配設した2次側の非接触給電用パッド11bと同じ高さ位置で1次側の非接触給電用パッド11aを支持させてもよい。停止線37は、その停止線37を目印に運転者がフォークリフト33を停止させることにより、支持部材44に支持されている1次側の非接触給電用パッド11aから発生する交番磁界によって誘導電圧が誘起される位置に、フォークリフト33に設けられた2次側の非接触給電用パッド11bが配置されるように、地面に引かれている。
【0067】
なお、1次側の非接触給電用パッド11aから発生する有意な磁界の範囲内に2次側の非接触給電用パッド11bが確実に配置されるように、アクチュエータによって突出方向に伸縮可能な支持アームを支持部材44として用いて、1次側の非接触給電用パッド11aが2次側の非接触給電用パッド11bに対し接近および離間して、1次側の非接触給電用パッド11aと2次側の非接触給電用パッド11bとの間の間隔を調整できるようにしてもよい。また、停止線37に代えて、フォークリフト33の前輪を位置決めする輪止めを地面に敷設してもよい。あるいは、2次側の非接触給電用パッド11bが1次側の非接触給電用パッド11aから発生する有意な磁界の範囲内に配置されるようにフォークリフト33をガイドする部材として、
図12に示す支持台42を一対地面に設置してもよい。この場合、停止線37に代えて、フォークリフト33の前輪を位置決めする輪止めを一対の支持台42のうちの少なくとも一方に設けてもよい。
【0068】
車体の後方から非接触でフォークリフト33に給電する場合、
図15に示すように、2次側の非接触給電用パッド11bは、フォークリフト33の座席33aの後方の、カウンタウエイト33cの上方に設けられる。この2次側の非接触給電用パッド11bの配設は、例えば、2次側の非接触給電用パッド11bを保持可能な板状部材をフォークリフト33の座席33aの後方に固定することにより実現してもよい。一方、1次側の非接触給電用パッド11aは、フォークリフト33の座席後面に対向できるように配設される。例えば
図15に示すように、壁45に固定されて水平方向に突出する支持部材46に、フォークリフト33に配設した2次側の非接触給電用パッド11bと同じ高さ位置で1次側の非接触給電用パッド11aを支持させてもよい。停止線37は、その停止線37を目印に運転者がフォークリフト33を停止させることにより、支持部材46に支持されている1次側の非接触給電用パッド11aから発生する交番磁界によって誘導電圧が誘起される位置に、フォークリフト33に設けられた2次側の非接触給電用パッド11bが配置されるように、地面に引かれている。
【0069】
なお、1次側の非接触給電用パッド11aから発生する有意な磁界の範囲内に2次側の非接触給電用パッド11bが確実に配置されるように、アクチュエータによって突出方向に伸縮可能な支持アームを支持部材46として用いて、1次側の非接触給電用パッド11aが2次側の非接触給電用パッド11bに対し接近および離間して、1次側の非接触給電用パッド11aと2次側の非接触給電用パッド11bとの間の間隔を調整できるようにしてもよい。また、停止線37に代えて、フォークリフト33の後輪を位置決めする輪止めを地面に敷設してもよい。あるいは、2次側の非接触給電用パッド11bが1次側の非接触給電用パッド11aから発生する有意な磁界の範囲内に配置されるようにフォークリフト33をガイドする部材として、
図12に示す支持台42を一対地面に設置してもよい。この場合、停止線37に代えて、フォーリフト33の後輪を位置決めする輪止めを一対の支持台42のうちの少なくとも一方に設けてもよい。
【0070】
車体の上方から非接触でフォークリフト33に給電する場合、1次側の非接触給電用パッド11aはフォークリフト33のヘッドガード33bの上面に対向できるように配設される。例えば
図16に示すように、柱47に固定されて水平方向に突出する支持部材48に、フォークリフト33のヘッドガード33bよりも高い位置で、磁束経路が下方に形成されるように1次側の非接触給電用パッド11aを支持させてもよい。停止線37は、その停止線37を目印に運転者がフォークリフト33を停止させることにより、支持部材48に支持されている1次側の非接触給電用パッド11aから発生する交番磁界によって誘導電圧が誘起される位置に、フォークリフト33に設けられた2次側の非接触給電用パッド11bが配置されるように、地面に引かれている。
【0071】
なお、1次側の非接触給電用パッド11aから発生する有意な磁界の範囲内に2次側の非接触給電用パッド11bが確実に配置されるように、アクチュエータによって突出方向に伸縮可能な支持アームを支持部材48として用いて、1次側の非接触給電用パッド11aが横方向(水平方向)において2次側の非接触給電用パッド11bに対して接近および離間して、2次側の非接触給電用パッド11bに対する1次側の非接触給電用パッド11aの横方向(水平方向)の位置を調整できるようにしてもよい。また、停止線37に代えて、フォークリフト33の前輪を位置決めする輪止めを地面に敷設してもよい。また、2次側の非接触給電用パッド11bが1次側の非接触給電用パッド11aから発生する有意な磁界の範囲内に配置されるようにフォークリフト33をガイドする部材として、
図12に示す支持台42を一対地面に設置してもよい。この場合、停止線37に代えて、フォークリフト33の前輪を位置決めする輪止めを一対の支持台42のうちの少なくとも一方に設けてもよい。
【0072】
以上のように本実施の形態によれば、コイルを横一列に巻いたパッドと比較して、1次側および2次側の非接触給電用パッド11aおよび11bの平面的な寸法を小さくでき、2次側の非接触給電用パッド11bをフォークリフトに配設する位置の自由度を向上できる。よって、フォークリフト33への2次側の非接触給電用パッド11bの取り付けが容易となる。また、1次側および2次側の非接触給電用パッド11aおよび11bの起磁力が強くなり、性能を向上できる。
特に、電力を非接触で給電する対象が既存のカウンタバランス式のフォークリフト33である場合、車体の後部にカウンタウエイト33cが配置されており、そのカウンタウエイト33cを加工してパッド11bを取り付けると、車体のバランスが保てなくなるおそれがあるため、カウンタウエイト33cへのパッド11bの取り付けはできず、よって、既存のカウンタバランス式のフォークリフト33はパッドを取り付け得るスペースが特に狭いという問題があるが、本実施の形態によれば、パッド11bの平面的な寸法を小さくできるので、パッド11bを取り付ける箇所の制約を緩和することができる。よって、フォークリフト33への2次側の非接触給電用パッド11bの取り付けが容易となる。さらに、電力を非接触で給電する対象が既存のフォークリフト33である場合、フォークリフト33は車体が強固にできているため、パッド11bを取り付けるための加工の作業に時間がかかり、その作業時間は、パッド11bの平面的な寸法が大きくなるほど長くなる。これに対し、本実施の形態によれば、パッド11bの平面的な寸法を小さくできるので、パッド11bを取り付けるための加工の作業時間を減じせしめることができる。したがって、既存のフォークリフト33へ非接触で電力を伝達して、そのフォークリフト33のバッテリ31を充電するシステムを容易に実現できるようになる。
【0073】
なお、本実施の形態では、カウンタバランス式の電動フォークリフト(バッテリ車)を例に、フォークリフトの非接触充電システムを説明したが、本実施の形態におけるフォークリフトの非接触充電システムは、例えば
図17に示すように、リーチ式の電動フォークリフト(バッテリ車)にも適用することができる。
図17に示す非接触充電システムは、
図7に示す非接触充電システムに対応しているが、本実施の形態で説明した非接触充電システムの変形例や他の例も、
図7に示す非接触充電システムと同様に、リーチ式のフォークリフトに適用することができる。