(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を好適に実施するための形態(以下、実施形態という。)につき、詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0015】
[第1の実施形態]
<蒸気システム>
本発明の実施形態に係るドレン回収システムを備える蒸気システムを説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るドレン回収システムを備えた蒸気システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、蒸気システム10は、ボイラ(蒸気供給源)11と、スチームヘッダ12と、第1負荷機器13と、給水タンク14と、第2負荷機器(フラッシュ蒸気利用機器)15と、ドレン回収システム16とを備えている。
【0016】
ボイラ11は、種々の熱源方式によって蒸気21を発生させる蒸気供給源である。ボイラ11は、燃焼式のボイラ、電気式のボイラなど種々の形式のものを用いることができる。ボイラ11は、燃焼式の場合、燃料を燃焼させた際の燃焼熱を熱源として、缶体内の缶水を加熱して蒸気を発生させる。ボイラ11は、燃焼式の場合、燃料としては、例えば、都市ガス、プロパンガス、バイオガスなどの気体燃料、重油、灯油などの液体燃料などが用いられる。ボイラ11は、燃焼式の場合、例えば、貫流ボイラ、炉筒煙管ボイラ、水管ボイラなどが挙げられる。ボイラ11は、電気式の場合、電気ヒータなどを熱源として缶体内の缶水を加熱して蒸気を発生させる。
【0017】
ボイラ11は、第1蒸気供給ラインL11でスチームヘッダ12と接続されている。第1蒸気供給ラインL11は、ボイラ11とスチームヘッダ12とを接続するラインである。蒸気21は、第1蒸気供給ラインL11を通ってボイラ11からスチームヘッダ12に送気される。
【0018】
スチームヘッダ12は、蒸気21を溜めるためのものである。本実施形態では、ボイラ11を1台備えているが、これに限定されるものではなく、複数台のボイラを備えていてもよい。この場合、複数のボイラから供給される蒸気はスチームヘッダ12に集められる。
【0019】
スチームヘッダ12は、第2蒸気供給ラインL12で第1負荷機器13と接続されている。第2蒸気供給ラインL12は、スチームヘッダ12と第1負荷機器13とを接続するラインである。蒸気21は、第2蒸気供給ラインL12を通って第1負荷機器13に送気される。
【0020】
また、スチームヘッダ12は、第3蒸気供給ラインL13で蒸気排出ラインL21と接続されている。第3蒸気供給ラインL13は、スチームヘッダ12と蒸気排出ラインL21とを接続するラインである。蒸気21は、スチームヘッダ12から第3蒸気供給ラインL13を通って蒸気排出ラインL21に送気され、第2負荷機器15に送気される。蒸気排出ラインL21の構成については、後述する。
【0021】
第1負荷機器13は、スチームヘッダ12から送気される蒸気21を加熱源または動力源などに使用する。本実施形態において、第1負荷機器13は、蒸気21を加熱源として使用する。蒸気21は、第1負荷機器13内の蒸気供給通路を通過する際に、潜熱を失って一部が凝縮し、高圧高温のドレン(凝縮水)22となる。第1負荷機器13は、高圧蒸気負荷機器または中圧蒸気負荷機器など1つ以上の負荷機器を含んでいる。したがって、ドレン22は、高圧蒸気負荷機器または中圧蒸気負荷機器など1つ以上の負荷機器で加熱源として用いられた蒸気21から生じる。
【0022】
第1負荷機器13は、ドレン供給ラインL14でフラッシュタンク23と接続されている。第1負荷機器13は、第2蒸気供給ラインL12から供給された蒸気21を加熱源として使用し、蒸気21を使用した際に生じたドレン22をドレン供給ラインL14に排出する。また、ドレン供給ラインL14は、ドレン供給ラインL14の途中にスチームトラップ24が設けられている。スチームトラップ24は、第1負荷機器13から排出されるドレン22のみを通過させる。ドレン22は、スチームトラップ24を通過した後、フラッシュタンク23に供給されてフラッシュタンク23内に回収される。フラッシュタンク23の構成については、後述する。
【0023】
ドレン供給ラインL14は、スチームトラップ24とフラッシュタンク23との間にバイパスラインL15が接続されている。バイパスラインL15は、ドレン供給ラインL14とドレン排出ラインL22とを接続するラインである。ドレン排出ラインL22の構成については、後述する。バイパスラインL15は、ドレン22を給水タンク14に供給する。バイパスラインL15は、バイパスラインL15の途中に緊急排出弁V11が設けられている。緊急排出弁V11は、バイパスラインL15を流れるドレン22を排出するものである。第1ドレン排出弁V22の故障、ドレン排出ラインL22内の詰まりなどにより、フラッシュタンク23内の水位が通常の設定範囲よりさらに高い水位などになった場合などに、緊急排出弁V11を開いて、ドレン22をフラッシュタンク23に通さずにバイパスラインL15に通して給水タンク14に供給する。
【0024】
給水タンク14は、ドレン22を溜めるためのものである。給水タンク14内のドレン22は、蒸気21を発生させるための水25としてボイラ11に供給される。また、補給水26が給水タンク14に供給される。給水タンク14に供給されるドレン22だけではボイラ11に供給される水が不足する場合には、補給水26が給水タンク14に供給され、ボイラ11に水25として供給される。
【0025】
第3蒸気供給ラインL13は、第3蒸気供給ラインL13の途中に減圧弁V12が設けられている。スチームヘッダ12から第3蒸気供給ラインL13に送られる蒸気21は、減圧弁V12を通過した後、減圧蒸気27となる。スチームヘッダ12から第3蒸気供給ラインL13を流れる蒸気21は、減圧弁V12で減圧蒸気27として、蒸気排出ラインL21を通って第2負荷機器15に送気される。
【0026】
第2負荷機器15は、加熱源または動力源などとして、フラッシュタンク23から排出されるフラッシュ蒸気28と、減圧蒸気27とを使用する。第2負荷機器15は、1つ以上の低圧蒸気負荷機器を含む。本実施形態において、第2負荷機器15は、フラッシュ蒸気28を減圧蒸気27よりも加熱源として優先して使用する。第2負荷機器15は、フラッシュ蒸気28だけでは第2負荷機器15で使用する蒸気量が足りない場合などには、減圧蒸気27を不足分として使用する。
【0027】
(ドレン回収システム16)
蒸気回収システム16は、フラッシュタンク(分離部)23と、第1圧力センサ(第1圧力検出部)31と、第2圧力センサ(第2圧力検出部)32と、第3圧力センサ(第3圧力検出部)33と、水位検出器(水位検出部)34と、温度センサ(温度計測部)35と、制御装置(制御部)36と、出力部37と、省エネルギー効果表示部38と、蒸気排出ラインL21と、ドレン排出ラインL22と、ブロー排水ラインL23と、蒸気調節弁(蒸気調節部)V21と、ドレン排出弁(ドレン調節部)V22と、ブロー排水弁V23とを備えている。
【0028】
フラッシュタンク23は、ドレン22を回収し、回収したドレン22からフラッシュ蒸気28が発生する。フラッシュタンク23内の方がドレン供給ラインL14内よりも圧力が低いため、フラッシュタンク23に供給されたドレン22からフラッシュ蒸気28が発生する。また、フラッシュタンク23は、安全弁V24を備えている。フラッシュタンク23内が異常高圧となったときなどには、安全弁V24が開かれてフラッシュタンク23内を減圧するようにしている。
【0029】
蒸気排出ラインL21は、一端がフラッシュタンク23に接続され、他端が第2負荷機器15に接続されている。蒸気排出ラインL21は、フラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23から排出するラインである。蒸気排出ラインL21は、蒸気排出ラインL21の途中に減圧弁V25が設けられている。フラッシュ蒸気28は、フラッシュタンク23から蒸気排出ラインL21を通って、減圧弁V25で減圧された後、第2負荷機器15に送気される。第2負荷機器15は、加熱源または動力源などとしてフラッシュ蒸気28と共に低圧蒸気27を使用する。第2負荷機器15は、フラッシュ蒸気28を優先して使用し、フラッシュ蒸気28だけでは足りない分の蒸気として減圧蒸気27を使用している。なお、蒸気調節弁V21が閉じられ、フラッシュ蒸気28が第2負荷機器15に送気されない場合には、減圧蒸気27のみが第2負荷機器15の加熱源または動力源として使用される。
【0030】
蒸気調節弁V21は、蒸気排出ラインL21に設けられている。蒸気調節弁V21は、蒸気排出ラインL21を通るフラッシュ蒸気28の流量を調節するものである。蒸気調節弁V21の開度は、制御装置36から送られる制御信号に基づいて調整される。
【0031】
蒸気排出ラインL21は、第3圧力センサ33と減圧弁V25との間に逆止弁V26が設けられている。逆止弁V26は、減圧蒸気27がフラッシュタンク23側へ流れるのを防止する。
【0032】
蒸気排出ラインL21は、フラッシュタンク23と蒸気調節弁V21との間に内圧調節用ラインL24が接続されている。内圧調節用ラインL24は、フラッシュ蒸気28の一部を蒸気排出ラインL21から外部に排出する。内圧調節用ラインL24は、内圧調節用ラインL24の途中に内圧調節弁V28が設けられている。内圧調節弁V28は、蒸気排出ラインL21内の圧力が所定圧力以上になった場合には、内圧調節弁V28を開いて圧力を外部に逃がし、蒸気排出ラインL21内の圧力が所定圧力以上の高圧にならないように調節するために用いられる。
【0033】
ドレン排出ラインL22は、給水タンク14と接続されている。ドレン排出ラインL22は、ドレン22をフラッシュタンク23から排出するラインである。ドレン22は、ドレン排出ラインL22を通ってフラッシュタンク23から給水タンク14に流入する。
【0034】
ドレン排出弁V22は、ドレン排出ラインL22に設けられている。ドレン排出弁V22は、ドレン排出ラインL22を流れるドレン22の排出量を調節するものである。ドレン排出弁V22の開度は、制御装置36から送られる制御信号に基づいて調節される。
【0035】
ドレン排出ラインL22は、ドレン排出弁V22と、ドレン排出ラインL22がバイパスラインL15と接続する位置との間に逆止弁V27が設けられている。逆止弁V27は、ドレン22をバイパスラインL15に流した場合に、フラッシュタンク23側へ流れるのを防止する。
【0036】
ブロー排水ラインL23は、ドレン排出ラインL22の途中、具体的にはフラッシュタンク23とドレン排出弁V22との間から分岐して設けられている。ブロー排水ラインL23は、ドレン22をフラッシュタンク23から外部に排出するラインである。
【0037】
ブロー排水弁V23は、ブロー排水ラインL23に設けられている。ブロー排水弁V23は、ブロー排水ラインL23を流れるドレン22を排出するものである。ブロー排水弁V23の開閉は、制御装置36から送られる制御信号に基づいて制御される。
【0038】
第1圧力センサ31は、フラッシュタンク23に設けられている。第1圧力センサ31は、フラッシュタンク23内の圧力を検出する。
【0039】
第2圧力センサ32は、ドレン排出ラインL22のドレン排出弁V22と逆止弁V27との間に設けられている。第2圧力センサ32は、ドレン排出ラインL22内の圧力を検出する。
【0040】
第3圧力センサ33は、蒸気排出ラインL21の蒸気調節弁V21と逆止弁V26との間に設けられている。第3圧力センサ33は、蒸気排出ラインL21内の圧力を検出する。
【0041】
水位検出器34は、フラッシュタンク23の外部に設けられている。水位検出器34は、フラッシュタンク23内のドレン22の水位を検出する。水位検出器34は、水位検出筒41とフロート42と水位センサ43とを含む。水位検出筒41は、フラッシュタンク23の外部の側面側に設けられている。水位検出筒41は、その下部側の側面でフラッシュタンク23の底部と連絡管45で連通されている。また、水位検出筒41は、その上部側の側面でフラッシュタンク23の上部側と連絡管46で連通されている。水位センサ43は、水位検出筒41内に設けられたフロート42の高さを検知して水位検出筒41内のドレン22の水位を検知する。水位検出筒41は、その内部に連絡管45を通じてフラッシュタンク23からドレン22が流れることで、フラッシュタンク23のドレン22の水位と水位検出筒41内のドレン22の水位とが略同等になる。このため、水位センサ43は、水位検出筒41内のフロート42の高さを検出することで、水位検出筒41内のドレン22の水位を検出することができる。本実施形態においては、水位検出器34で検出されたフラッシュタンク23内のドレン22の水位に基づいてドレン22をフラッシュタンク23から排出する排出量を調節するようにしている。
【0042】
温度センサ35は、フラッシュタンク23に設けられている。温度センサ35は、フラッシュタンク23内のドレン22の温度を検出する。
【0043】
第1圧力センサ31、第2圧力センサ32、第3圧力センサ33、水位検出器34および温度センサ35は、それぞれ検出結果に対応した電気信号を制御装置36に送信する。
【0044】
制御装置36は、ドレン回収システム16の各部を制御する。制御装置36は、CPUとメモリとを含むコンピュータである。制御装置36は、第1圧力センサ31、第2圧力センサ32、第3圧力センサ33、水位検出器34および温度センサ35などドレン回収システム16の各所に取り付けられた各種のセンサが電気的に接続されている。これら各種のセンサの検出結果に対応した電気信号は、外部入力回路を介して制御装置36に入力される。また、制御装置36は、各種のセンサから入力された各種電気信号に基づいて、緊急排出弁V11、蒸気調節弁V21、ドレン排出弁V22およびブロー排水弁V23などの各種の弁に制御信号を出力し、これらを制御する。
【0045】
また、制御装置36は、第1圧力センサ31、第2圧力センサ32および第3圧力センサ33などの各種のセンサの検出結果に基づいて、第1負荷機器13の蒸気使用量、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量を算出する。また、制御装置36は、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量と、ボイラ11における燃料削減量と、ボイラ11で削減された蒸気生成費用とを省エネルギー効果として算出する。
【0046】
(第1負荷機器13の蒸気使用量の算出)
制御装置36は、ドレン22がフラッシュタンク23から排出されるフラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から排出されるフラッシュ蒸気量Gfとをそれぞれ取得する。そして、制御装置36は、得られたフラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ蒸気量Gfとに基づいて、ドレン22が第1負荷機器13から排出される負荷機器排出ドレン量Gを算出する。制御装置36は、この負荷機器排出ドレン量Gから第1負荷機器13の蒸気使用量を算出する。
【0047】
図2は、第1負荷機器13の蒸気使用量を算出する方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、ステップS11で、制御装置36は、蒸気調節弁V21およびドレン排出弁V22の開度に応じた電気信号からそれぞれのCv値を算出する。なお、Cv値とは、弁の容量係数を示す数値であり、弁の開度を一定にし、その弁の前後の差圧を1psi(6.895kPa)に保ち、60°F(約15.5℃)の水が1分間に流れる量をUS gal/min(1US gal=3.785L)で表した数値をいう。蒸気調節弁V21およびドレン排出弁V22のそれぞれのCv値を算出した後、ステップS12に移行する。
【0048】
ステップS12で、制御装置36は、ドレン排出弁V22の開度に応じた電気信号から得られたCv値と、第2圧力センサ32で計測された圧力と第1圧力センサ31で計測された圧力との差圧とに基づいて、フラッシュタンク流出ドレン量Gdを算出する。また、制御装置36は、蒸気調節弁V21の開度から得られたCv値と、第3圧力センサ33で計測された圧力と第1圧力センサ31で計測された圧力との差圧とに基づいて、フラッシュ蒸気量Gfを算出する。負荷機器排出ドレン量Gは、フラッシュタンク23に流入したドレン22の量である。負荷機器排出ドレン量Gは、下記式(1)のように、フラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ蒸気量Gfとの和から求められる。
負荷機器排出ドレン量G=フラッシュタンク流出ドレン量Gd+フラッシュ蒸気量Gf ・・・(1)
【0049】
制御装置36は、負荷機器排出ドレン量Gを算出した後、ステップS13に移行する。ステップS13では、算出された負荷機器排出ドレン量Gから第1負荷機器13の蒸気使用量を算出する。
【0050】
制御装置36は、蒸気調節弁V21およびドレン排出弁V22の開度と、蒸気排出ラインL21内の圧力とフラッシュタンク23内の圧力との差圧と、ドレン排出ラインL22内の圧力とフラッシュタンク23内の圧力との差圧とから負荷機器排出ドレン量Gを求め、第1負荷機器13の蒸気使用量を求めることができる。また、ドレン回収システム16は、フラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ蒸気量Gfとから負荷機器排出ドレン量Gを算出し、第1負荷機器13の蒸気使用量を算出するようにしている。ここで、特許文献2に記載されている技術が、ドレン回収システム16に適用される場合、フラッシュタンク23でドレン22からフラッシュ蒸気28が分離されている。そのため、特許文献2に記載されている技術は、フラッシュタンク23から排出されるドレン22の量のみを計測して、第1負荷機器13において使用されている蒸気21の使用量を計測することになる。そのため、特許文献2に記載されて技術では、フラッシュタンク23で分離されたフラッシュ蒸気28の流出がある分、第1負荷機器13において使用されている蒸気21の使用量を精度良く計測することができない可能性がある。これに対し、ドレン回収システム16は、フラッシュタンク23から排出されるドレン22およびフラッシュ蒸気28を計測しているため、第1負荷機器13の蒸気使用量を精度良く算出することができる。よって、ドレン回収システム16は、負荷機器排出ドレン量Gをより安定して高い精度で算出することができるため、信頼性が高い第1負荷機器13の蒸気使用量を得ることができる。
【0051】
(第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量の算出)
制御装置36は、フラッシュ蒸気28が第2負荷機器15で利用されたフラッシュ蒸気使用量を算出する。フラッシュ蒸気量Gfが第2負荷機器15で利用されたフラッシュ蒸気使用量であるため、制御装置36は、フラッシュ蒸気量Gfから第2負荷機器15で利用されたフラッシュ蒸気使用量を算出する。
【0052】
(ボイラ11における燃料削減量の算出)
制御装置36は、フラッシュ蒸気使用量に基づいてボイラ11における燃料削減量を算出する。
【0053】
フラッシュ蒸気使用量がボイラ11における燃料削減量に相当するため、制御装置36は、例えば下記式(2)を用いてフラッシュ蒸気使用量からボイラ11における燃料削減量を算出する。
ボイラ11における燃料削減量=[フラッシュ蒸気使用量×(ボイラ蒸気全熱−給水熱量)]/(燃料低位発熱量×ボイラ効率/100) ・・・(2)
【0054】
フラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から第2負荷機器15に供給されることにより、その分だけボイラ11から第2負荷機器15に供給される蒸気21の量を節減することができる。この結果、ボイラ11で蒸気21を発生させるための燃料の量が削減される。制御装置36は、フラッシュ蒸気使用量を算出することにより、ボイラ11での燃料削減量を明確に算出することができる。ボイラ11での燃料削減量は、フラッシュ蒸気使用量に相当することから、フラッシュ蒸気使用量を算出することでボイラ11での燃料削減量を容易に得ることができる。
【0055】
(ボイラ11で削減された蒸気生成費用の算出)
制御装置36は、フラッシュ蒸気使用量に基づいてボイラ11で削減された蒸気生成費用を算出する。ボイラ11で削減された蒸気生成費用は、例えば下記式(3)のように算出される。なお、式(3)中、蒸気単価とは、蒸気21を第2負荷機器15に供給するために必要な費用の指標である。蒸気単価は、例えば、蒸気21を所定量(例えば蒸気21を1トン)生成するために必要な燃料費、電力費、原水費、薬品代などを合計した費用をいう。
ボイラ11で削減された蒸気生成費用=フラッシュ蒸気使用量×蒸気単価 ・・・(3)
【0056】
フラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から第2負荷機器15に供給されることにより、その分だけボイラ11から第2負荷機器15に供給される蒸気21の量を節減することができる。この結果、ボイラ11で蒸気21を発生させるための燃料の量が削減される。制御装置36は、フラッシュ蒸気使用量を算出する。ボイラ11で削減される蒸気生成費用は、フラッシュ蒸気使用量に相当することから、フラッシュ蒸気使用量を算出することでボイラ11で削減される蒸気生成費用を容易に得ることができる。
【0057】
制御装置36は、各種センサから入力された各種電気信号に基づいて上記のように算出された検出結果を出力部37に送信する。
【0058】
出力部37は、制御装置36から送信された検出結果に基づきドレン回収システム16の運転情報を出力する。
【0059】
省エネルギー効果表示部38は、出力部37に備えられている。省エネルギー効果表示部38は、制御装置36で上記のように算出された第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量、ボイラ11における燃料削減量およびボイラ11で削減された蒸気生成費用を省エネルギー効果として表示する。
【0060】
このように、ドレン回収システム16は、制御装置36が第1圧力センサ31、第2圧力センサ32および第3圧力センサ33との検出結果に基づいて、第1負荷機器13の蒸気使用量、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量を算出する。そして、ドレン回収システム16は、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量と、ボイラ11における燃料削減量と、ボイラ11で削減された蒸気生成費用とを省エネルギー効果として算出し、表示する。よって、ドレン回収システム16は、第1負荷機器13の蒸気使用量と第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量とをより高い精度で算出することができる。また、ドレン回収システム16は、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量、ボイラ11における燃料削減量およびボイラ11で削減された蒸気生成費用を省エネルギー効果として出力部37の省エネルギー効果表示部38に表示することができる。
【0061】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。例えば、本実施形態では、水位検出器34は、フロート方式を採用しているが、これに限定されるものではなく、電極棒を用いる電極棒方式、水圧検出方式など公知の水位検出方法を採用した装置を用いてもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、ブロー排水ラインL23がドレン排出ラインL22から分岐して設けられているが、これに限定されるものではなく、ドレン排出ラインL22がブロー排水ラインL23から分岐して設けられてもよいし、ドレン排出ラインL22およびブロー排水ラインL23がフラッシュタンク23にそれぞれ接続されていてもよい。
【0063】
また、本実施形態においては、制御装置36は、フラッシュタンク流出ドレン量Gdおよびフラッシュ蒸気量Gfをそれぞれ取得する際、蒸気調節弁V21およびドレン排出弁V22の開度から得られたCv値と、第2圧力センサ32で計測された圧力と第1圧力センサ31で計測された圧力との差圧と、第3圧力センサ33で計測された圧力と第1圧力センサ31で計測された圧力との差圧とを用いて、フラッシュタンク流出ドレン量Gdおよびフラッシュ蒸気量Gfを算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、ドレン回収システム16は、蒸気排出ラインL21およびドレン排出ラインL22に、第2圧力センサ32および第3圧力センサ33の他に、蒸気調節弁V21と第3圧力センサ33との間と、ドレン排出弁V22と第2圧力センサ32との間との何れか一方または両方に、オリフィスを設ける。そして、制御装置36は、前記オリフィスの前後の差圧に基づいて、フラッシュタンク流出ドレン量Gdおよびフラッシュ蒸気量Gfをそれぞれ算出するようにしてもよい。この場合、制御装置36は、予め、前記オリフィスの前後の差圧と、前記オリフィスを通過するドレン22およびフラッシュ蒸気28の量との関係を記録しておくようにする。
【0064】
また、例えば、ドレン回収システム16は、蒸気排出ラインL21およびドレン排出ラインL22の第2圧力センサ32および第3圧力センサ33の他に、第2圧力センサ32および第3圧力センサ33と所定間隔で更に他の圧力センサを設ける。そして、制御装置36は、第2圧力センサ32と前記他の圧力センサとで蒸気排出ラインL21の圧力を計測して、蒸気排出ラインL21の所定間隔における差圧を検出する。また、制御装置36は、第3圧力センサ33と前記他の圧力センサとでドレン排出ラインL22の圧力を計測して、ドレン排出ラインL22の所定間隔における差圧を検出する。そして、制御装置36は、蒸気排出ラインL21およびドレン排出ラインL22の所定間隔における差圧に基づいて、フラッシュタンク流出ドレン量Gdおよびフラッシュ蒸気量Gfをそれぞれ算出するようにしてもよい。この場合、制御装置36は、予め、蒸気排出ラインL21およびドレン排出ラインL22の所定間隔における差圧と、ドレン22およびフラッシュ蒸気28の流量との関係を記録しておくようにする。
【0065】
また、本実施形態においては、制御装置36は、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量と、ボイラ11における燃料削減量と、ボイラ11で削減された蒸気生成費用とを算出しているが、これに限定されるものではなく、制御装置36は、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量とボイラ11における燃料削減量とボイラ11で削減された蒸気生成費用とのうち少なくとも1つを算出するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、省エネルギー効果表示部38は、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量と、ボイラ11における燃料削減量と、ボイラ11で削減された蒸気生成費用とを省エネルギー効果として表示しているが、これに限定されるものではない。省エネルギー効果表示部38は、第2負荷機器15におけるフラッシュ蒸気使用量と、ボイラ11における燃料削減量と、ボイラ11で削減された蒸気生成費用とのうち少なくとも1つを省エネルギー効果として表示するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、フラッシュタンク23から排出されるドレン22またはバイパスラインL15を通るドレン22は、給水タンク14に供給して、給水タンク14のみでドレン22を溜めるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、第1ドレン排出ラインL22は、給水タンク14の上流側であって、具体的には、バイパスラインL15との接続箇所と給水タンク14との間に、給水タンク14とは別にドレンタンクを設けて、このドレンタンクにドレン22を溜めるようにしてもよい。
【0068】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る蒸気システムを説明する。本実施形態に係る蒸気システムは、
図1に示す制御装置36のフラッシュ蒸気量Gfを算出する方法を変更したこと以外は第1の実施形態に係るドレン回収システムと同様であるため、重複した説明は省略し、フラッシュ蒸気量Gfの算出方法についてのみ説明する。
【0069】
(フラッシュ蒸気量Gfの算出)
制御装置36は、第1負荷機器13で使用される蒸気21の圧力とフラッシュタンク23内の圧力とから、フラッシュ蒸気28のフラッシュ率を算出して、フラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ率とからフラッシュ蒸気量を算出する。
【0070】
図3は、フラッシュ蒸気量を算出する方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップS21で、制御装置36は、第1負荷機器13で使用される蒸気21の圧力の値と第1圧力センサ31で計測された圧力の値とが入力される。そして、制御装置36は、第1負荷機器13で使用される蒸気26の圧力と第1圧力センサ31で計測された圧力との差圧とからフラッシュ蒸気28のフラッシュ率を算出する。フラッシュ率(単位:%)とは、ドレン1kgから発生するフラッシュ蒸気の質量であり、下記式(4)から計算することができる。なお、下記式(4)中、fはフラッシュ率(単位:%)であり、h1は第1負荷機器13で使用される蒸気26の圧力下(フラッシュ前)でのドレン22の持つ比エンタルピ(単位:kJ/kg)であり、h2は第1圧力センサ31で計測された圧力下(フラッシュ後)でのドレン22の持つ比エンタルピ(単位:kJ/kg)であり、r2はフラッシュ後の圧力におけるドレン22(フラッシュタンク23内のドレン22)の蒸発潜熱(単位:kJ/kg)である。
フラッシュ率f(%)=(h1−h2)/r2×100(%) ・・・(4)
【0071】
制御装置36は、フラッシュ蒸気28のフラッシュ率fを算出した後、処理をステップS22に移行させる。ステップS22で、制御装置36は、フラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ率fとからフラッシュ蒸気量Gfを算出する。負荷機器排出ドレン量G、フラッシュタンク流出ドレン量Gdおよびフラッシュ蒸気量Gfは、下記式(1)のように関係式で表せる。また、下記式(5)のように、フラッシュ蒸気量Gfは、負荷機器排出ドレン量Gにフラッシュ率fを乗じて100で除した値で表される。よって、下記式(5)に下記式(1)を合わせることで、フラッシュ蒸気量Gfは、下記式(6)のように表される。そして、下記式(7)のように、フラッシュ蒸気量Gfは、フラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ率fと用いて表される。よって、制御装置36は、フラッシュタンク流出ドレン量Gdとフラッシュ率fとからフラッシュ蒸気量Gfを算出する。
負荷機器排出ドレン量G=フラッシュタンク流出ドレン量Gd+フラッシュ蒸気量Gf ・・・(1)
フラッシュ蒸気量Gf=負荷機器排出ドレン量G×フラッシュ率f/100 ・・・(5)
フラッシュ蒸気量Gf=(フラッシュタンク流出ドレン量Gd+フラッシュ蒸気量Gf)×フラッシュ率f/100 ・・・(6)
フラッシュ蒸気量Gf=フラッシュタンク流出ドレン量Gd×フラッシュ率f/(100−フラッシュ率f) ・・・(7)
【0072】
本実施形態では、制御装置36は、第1負荷機器13で使用される蒸気21の圧力とフラッシュタンク23内の圧力とからフラッシュ蒸気28のフラッシュ率fを算出して、フラッシュタンク流出ドレン量Gdと算出されたフラッシュ率fとからフラッシュ蒸気量Gfを算出している。
【0073】
したがって、本実施形態によれば、フラッシュ率fを用いてフラッシュ蒸気量Gfを算出した場合でも、上記第1の実施形態と同様、フラッシュタンク流出ドレン量Gdと算出されたフラッシュ蒸気量Gfを用いて負荷機器排出ドレン量Gを算出することができるため、第1負荷機器13の蒸気使用量を求めることができる。