(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
緯糸を搬送するメインノズル及びサブノズル群と、エアジェット織機が消費する圧縮エアの流量を検出する流量検出装置と、制御装置と、前記制御装置に付属させた表示装置とを備えたエアジェット織機における圧縮エア流量表示装置において、
前記制御装置は、前記流量検出装置により検出された圧縮エアの検出流量及び前記エアジェット織機に設定された、エアコンプレッサーから供給され前記エアジェット織機で消費される圧縮エアの上限流量をグラフにより同時に時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は操作により前記検出流量及び前記上限流量のグラフを同時に時系列で表示することを特徴とするエアジェット織機における圧縮エア流量表示装置。
前記制御装置は、前記エアジェット織機に供給される圧縮エアの元圧力をグラフにより時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は前記元圧力を前記検出流量及び前記上限流量と同時にグラフにより時系列で表示することを特徴とする請求項1に記載のエアジェット織機における圧縮エア流量表示装置。
前記制御装置は、前記メインノズル及び前記サブノズル群の調整に関する変更項目を時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は、前記変更項目を時系列で表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアジェット織機における流量表示装置。
前記エアジェット織機は複数のメインノズルを備え、前記制御装置は、前記メインノズル毎に消費された圧縮エアの流量をグラフにより時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は前記メインノズル毎の流量をグラフにより時系列で表示することを特徴する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエアジェット織機における流量表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1を含む従来技術では、いずれも、空気消費量の最大しきい値あるいは限界値が経験的に設定されている。このような経験的に設定された値をエアコンプレッサーの電力量の節減のために用いた場合、エアジェット織機において消費される圧縮エアの流量を適切に抑制することができない。例えば、エアジェット織機においては、回転数が下げられてもメインノズルやサブノズルの圧縮エアの圧力を下げない、あるいはメインノズルやサブノズルの圧縮エアの圧力を無駄に上げたままにする等の初歩的なミスを生じたまま運転する場合がある。
【0006】
このような状態で運転が継続された場合、空気消費量の最大しきい値あるいは限界値を引き下げても構わないにもかかわらず、それを把握できないため、エアコンプレッサーを無駄に運転する結果を招いている。同様に、工場で稼動中のエアジェット織機の中には、回転数を初期よりも下げ、圧縮エアの消費流量を低下させて運転している織機がある。しかし、圧縮エアの消費流量の低下状態が一時的なものか、継続的なものかを把握できないため、空気消費量の最大しきい値あるいは限界値は、回転数を下げる前に設定した値のままで運転され、エアコンプレッサーを無駄に運転する結果を招いている。
【0007】
本願発明は、エアジェット織機で消費される圧縮エアの上限流量を可及的に引き下げ、圧縮エアの無駄な消費を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1は、緯糸を搬送するメインノズル及びサブノズル群と、エアジェット織機が消費する圧縮エアの流量を検出する流量検出装置と、制御装置と、前記制御装置に付属させた表示装置とを備えたエアジェット織機における圧縮エア流量表示装置において、前記制御装置は、前記流量検出装置により検出された検出流量及び前記エアジェット織機に設定された
、エアコンプレッサーから供給され前記エアジェット織機で消費される圧縮エアの上限流量をグラフにより同時に時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は前記検出流量及び前記上限流量のグラフを同時に時系列で表示することを特徴とする。
【0009】
請求項1によれば、予め設定された圧縮エアの上限流量と実際に消費された検出流量とを同時に時系列で表示することにより、上限流量と検出流量との差の経時的な変化を見ることができる。検出流量の経時的な変化を見て上限流量と検出流量との差が大きいと判断される場合は、直ちに上限流量を下方修正することができ、圧縮エアが無駄に消費される要因を無くすことができる。この結果、工場内に設置された全てのエアジェット織機で消費される圧縮エアの流量の和に比例するエアコンプレッサーの動力消費量を抑制し、電力使用量の節減に寄与することができる。
【0010】
請求項2は、前記制御装置は、前記エアジェット織機に供給される圧縮エアの元圧力をグラフにより時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は前記元圧力を前記検出流量及び前記上限流量と同時にグラフにより時系列で表示することを特徴とする。請求項2によれば、エアジェット織機に供給される圧縮エアの元圧力の変動は、エアジェット織機で消費される圧縮エアの流量を変動させる要因となるが、元圧力の変動状態を見ながら、上限流量を適切な値に設定することができる。
【0011】
請求項3は、前記制御装置は、前記メインノズル及び前記サブノズル群の調整に関する変更項目を時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は、前記変更項目を時系列で表示することを特徴とする。請求項3によれば、エアジェット織機で消費された検出流量が上限流量を超えた場合、一般的に警報が発信される。この場合、メインノズル及びサブノズルの調整に関する変更項目を表示装置に時系列で表示させることにより、警報の発生要因を、早期にかつ容易に発見することができ、発生要因の早期の修正により圧縮エアの無駄な消費を抑制することができる。
【0012】
請求項4は、前記エアジェット織機は複数のメインノズルを備え、前記制御装置は、前記メインノズル毎に消費された圧縮エアの検出流量をグラフにより時系列で表示するプログラムを備え、前記表示装置は、前記メインノズル毎の検出流量をグラフにより時系列で表示することを特徴とする。請求項4によれば、エアジェット織機が複数のメインノズルを備えている場合、メインノズル毎に消費された圧縮エアの流量を表示装置の画面に時系列で表示することにより、圧縮エアの異常な変化が生じている場合、異常なメインノズルを早期に発見し、対策につなげることができる。
【0013】
請求項5は、前記表示装置には、前記上限流量の設定値の表示兼変更ボタンが表示されることを特徴とする。請求項5によれば、上限流量及び検出流量のグラフが表示された表示装置の画面内に上限流量の設定値の表示兼変更ボタンを表示しているため、上限流量の設定値の変更を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明は、エアジェット織機で消費される圧縮エアの上限流量を可及的に引き下げ、圧縮エアの無駄な消費を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願発明の実施形態を
図1〜
図4に基づいて説明する。なお、本願明細書では、緯糸を経糸開口内に搬送する緯入れ方向に対し、緯糸の進行方向とは反対側を上流、緯糸の進行方向側を下流として説明する。また、圧縮エアの流れる方向に対し、源流側を上流、源流と反対側を下流として説明する。
【0017】
図1はエアジェット織機1に設けられた緯入れ装置2、緯入れ装置2の下流側に配設された複数群のサブノズル3及び1群のサブエンドノズル4に対する圧縮エアの供給経路の概要をブロック図で示したものである。緯入れ装置2は、緯糸挿入部の構成として、メインノズル5、メインノズル5の上流側に配設したタンデムノズル6を備えている。メインノズル5及びサブノズル3、サブエンドノズル4は、スレイ(図示せず)上に配設され、エアジェット織機1の前後方向に往復揺動される。
【0018】
タンデムノズル6は、エアジェット織機1のフレーム(図示せず)又は、床面(図示せず)に取り付けられたブラケット(図示せず)等に固定されている。また、タンデムノズル6の上流側には、給糸部7から引き出される緯糸Yを一定量貯留するとともに緯糸係止ピン(図示せず)の作動により織幅に相当する長さの緯糸を測長する緯糸測長貯留装置8が配設されている。なお、
図1では、緯入れ装置2、給糸部7及び緯糸測長貯留装置8の組合せが1組のみ示されているが、本実施形態では、8組(7組分は図示せず)配設された多色緯入れ装置として構成されている。また、多色緯入れ装置の概念には、同色の緯糸を複数組設置した場合も含まれる。また、サブノズル3及びサブエンドノズル4は、8組の緯入れ装置2に共通に使用される。
【0019】
メインノズル5には、圧縮エアの供給、停止を行なうメインバルブ9が配管10によって接続され、タンデムノズル6には、圧縮エアの供給、停止を行なうタンデムバルブ11が配管12により接続されている。メインバルブ9及びタンデムバルブ11は、それぞれ配管13及び配管14により共通の1つのメインエアタンク15に接続されている。メインエアタンク15は、メイン圧力計16、メインレギュレータ17、元圧力計18及びフィルタ19を介して、織布工場に設置された共通のエアコンプレッサー(図示せず)に接続される。なお、元圧力計18はエアコンプレッサーからエアジェット織機1に供給された圧縮エアの元圧力を検出する。メインエアタンク15には、エアコンプレッサー(図示せず)から供給され、メインレギュレータ17により設定圧力に調整された圧縮エアが貯蔵される。メイン圧力計16は、メインエアタンク15に供給される圧縮エアの圧力を検出する。
【0020】
メインノズル5には、微風回路20がメインバルブ9を迂回する形態で配管10に接続されている。微風回路20は絞弁21及び微風用レギュレータ22を備え、メインエアタンク15の上流側に設置されたメインレギュレータ17と元圧力計18とを接続する配管23に直接接続されている。従って、エアコンプレッサーから供給される圧縮エアの元圧力が微風回路20の微風用レギュレータ22によって調整され、絞弁21によって微調整された低圧、低流量の微風が微風回路20から配管10を介してメインノズル5へ常時供給されている。微風回路20から供給され、メインノズル5から噴射される微風は、緯入れ終了後にメインノズル5内に残存する緯糸Yの姿勢が乱れないように緯糸Yを保持する機能を有する。
【0021】
サブノズル3は3群に分けられ、各群のサブノズル3はそれぞれ、エアジェット織機1のフレームに固定された3個のサブバルブ24に配管25により接続されている。なお、サブノズル3は3群に限らず、織幅に応じて複数群設置し、サブバルブ24はサブノズル3の各群に対応して複数個設けるように構成することができる。各サブバルブ24は配管26により共通のサブエアタンク27に接続されている。
【0022】
サブエアタンク27は配管28によりサブ圧力計29を介してサブレギュレータ30に接続され、サブレギュレータ30は配管31によりメインレギュレータ17と元圧力計18とを接続する配管23に接続される。サブエアタンク27では、エアコンプレッサーから供給され、サブレギュレータ30により設定圧力に調整された圧縮エアが貯蔵される。また、サブエアタンク27に供給される圧縮エアは、サブ圧力計29により常時圧力を検出されている。
【0023】
サブエンドノズル4は反緯入れ側の織端付近に配置された1群のサブノズルで構成され、配管32によりサブエンドバルブ33に接続され、配管34によりサブエンドエアタンク35に接続されている。サブエンドエアタンク35は配管36によりサブエンド圧力計37を介してサブエンドレギュレータ38に接続され、サブエンドレギュレータ38は配管39により配管31を介して配管23に接続されている。
【0024】
サブエンドエアタンク35には、エアコンプレッサーから供給され、サブエンドレギュレータ38により設定圧力に調整された圧縮エアが貯蔵される。サブエンドレギュレータ38は、サブエンドエアタンク35に供給される圧縮エアを、サブレギュレータ30により調整された圧縮エアよりも低い圧力となるように調整している。また、サブエンド圧力計37は、サブエンドエアタンク35に供給される圧縮エアの圧力を検出している。従って、サブエンドノズル4はサブノズル3よりも低い圧力に調整された圧縮エアを噴射し、緯入れの最終段階にある緯糸Yの飛走速度を制御するとともに圧縮エアの消費を低減している。
【0025】
メインバルブ9、タンデムバルブ11、サブバルブ24、サブエンドバルブ33、元圧力計18、メイン圧力計16、サブ圧力計29及びサブエンド圧力計37は、それぞれエアジェット織機1の制御装置40と配線41、42、43、44、45、46、47、48、49により電気的に接続されている。制御装置40には、表示装置50が付属されている。表示装置50は、画面51(
図2参照)に種々のデータを表示するとともに表示された一部のデータについて画面51上で新規入力や書換えが可能である。
【0026】
元圧力計18はエアコンプレッサーから供給される圧縮エアの元圧力P(
図2参照)を検出し、制御装置40に発信する。また、メイン圧力計16はメインレギュレータ17により調整された圧縮エアの圧力を検出し、サブ圧力計29はサブレギュレータ30により調整された圧縮エアの圧力を検出し、サブエンド圧力計37はサブエンドレギュレータ38により調整された圧縮エアの圧力を検出して制御装置40に発信する。制御装置40には、メインバルブ9、タンデムバルブ11、サブバルブ24、サブエンドバルブ33及び緯糸測長貯留装置8の緯糸係止ピンを作動するタイミング及び作動時間(メインバルブ9、タンデムバルブ11、サブバルブ24、サブエンドバルブ33では、各バルブが開いている開度)が予め設定されている。従って、制御装置40は、緯入れ開始時にメインバルブ9、タンデムバルブ11及び緯糸係止ピンに作動信号を発信し、緯入れ中にサブバルブ24、サブエンドバルブ33に対し、リレー的に作動信号を発信し、緯糸Yの緯入れを行わせる。
【0027】
図2に示した表示装置50の画面51における表示項目について説明する。画面51には、現在値ボタン52、履歴ボタン53及びその他のボタン54が表示されており、
図2は現在値ボタン52が操作されて現在値が表示された項目である。なお、現在値ボタン52、履歴ボタン53及びその他のボタン54は、画面51が切換えられても常時表示される項目である。
【0028】
現在値の画面51では、8組の緯入れ装置2全体の状態を示すオールカラーボタン55、個々の緯入れ装置2の状態を表示するカラーボタンC1〜C8、グラフ表示画面56、検出流量表示手段としての総流量表示画面57、上限流量表示画面58及びメインノズル5、タンデムノズル6、サブノズル3、サブエンドノズル4における流量、圧力、開度の個別表示画面59が同時に表示されている。各表示画面は、全て制御装置40に登録されたプログラムに基づき表示されるように構成されている。
【0029】
グラフ表示画面56では、流量及び圧力を縦軸にし、現在から過去3日間のエアジェット織機1が消費した圧縮エアの検出流量としての総流量GQと元圧力Pについて、単位時間毎の変化が線グラフで時系列に表示されている。また、同じグラフ表示画面56に、総流量GQよりも高い値となるように、制御装置40に予め設定されているエアジェット織機1の上限流量LQが線グラフで時系列に表示されている。
【0030】
なお、総流量GQは、エアジェット織機1の製織運転中及び寸動運転中に緯糸Yを緯入れするために消費される圧縮エアの他、緯入れ停止中にメインノズル5から噴射される微風、緯糸Yに作用するために使用される圧縮エア等を全て含んでいる。緯糸Yに作用するために使用される圧縮エアとは、例えば、圧縮エアの噴射により緯糸端を把持するエア把持装置や圧縮エアを使用して耳を形成するエアタッカー等が付加されている場合に消費される圧縮エアである。また、総流量GQが上限流量LQを越える状態が生じると、制御装置40は警告信号を発信することができる。警告信号が発信された場合、表示装置50に警告が表示され、エアジェット織機1の警報ランプが点灯する。
【0031】
総流量表示画面57には、現在、エアジェット織機1が消費している圧縮エアの総流量GQが数値データで表示され、上限流量表示画面58には、予め設定されたエアジェット織機1の上限流量LQが設定値として表示されている。個別表示画面59は現在のデータを表示し、圧力の項目には、メイン圧力計16で検出された圧縮エアの圧力P1、サブ圧力計29により検出された圧縮エアの圧力P2、サブエンド圧力計37により検出された圧縮エアの圧力P3が表示されている。
【0032】
開度の項目には、現在設定されているメインバルブ9の開度A1、タンデムバルブ11の開度A2、サブバルブ24の開度A3、サブエンドバルブ33の開度A4がそれぞれ表示されている。なお、上限流量表示画面58の上限流量LQの表示部及び個別表示画面59の開度A1〜A4の表示部は、各設定値の表示兼変更ボタンとして構成されている。従って、表示兼変更ボタンの操作により、上限流量LQや開度A1〜A4の設定値を画面51上で書換えて変更し、制御装置40に登録することができる。
【0033】
流量の項目には、8組の緯入れ装置2におけるメインノズル5の総合の流量Q1及びタンデムノズル6の総合の流量Q2、サブノズル3の流量Q3、サブエンドノズル4の流量Q4が表示されている。なお、本実施形態の総流量表示画面57,個別表示画面59に表示される流量は、圧力とバルブの開度に基づく計算式によって算出される。従って、本実施形態では、制御装置40、各圧力計16、29、37及び開度を設定された各バルブ9、11、24、33によって本願発明の流量検出装置が構成されている。このため、流量Q1〜Q4は、制御装置40において、圧力P1〜P3と開度A1〜A4に基づき算出され、表示されている。また、総流量GQは、計算された流量Q1〜Q4及び制御装置40において計算された微風等のその他の流量の総和である。
【0034】
本実施形態の作用について、以下に説明する。作業者が表示装置50の現在値ボタン52を操作することにより、画面51には、オールカラーボタン55が操作された状態でのグラフ表示画面56、総流量表示画面57、上限流量表示画面58及び個別表示画面59が表示される。なお、カラーボタンC1〜C8のいずれかを操作すると、対応する緯入れ装置2に関連するデータからなる
図2と同様の各表示画面が表示される。
【0035】
グラフ表示画面56では、総流量GQ及び上限流量LQの線グラフが同時に表示されているため、作業者は、過去数日からの総流量GQの経過を上限流量LQと比較して見ることができる。
図2では、総流量GQが上限流量LQに対して低い値で安定的に推移しているため、エアジェット織機1では圧縮エアを無駄に消費していることが判る。エアジェット織機1での圧縮エアの無駄な消費は、工場のエアコンプレッサーの運転に無駄な負荷を掛けていることになり、エアコンプレッサーによる電力消費の増加の直接的な要因となる。
【0036】
作業者は、総流量GQの推移から、上限流量LQを
図2の仮想線で示す位置まで、即ち矢印で示す流量Xだけ(グラフ表示画面56にLQ−Xで示した仮想線位置に)引き下げられると、判断することができる。そこで、作業者は、上限流量表示画面58の上限流量LQが表示されている表示兼変更ボタンの操作により、上限流量LQの値を書換え可能な表示画面に切換える。また、作業者は、図示しない数字キーを操作してLQ−Xの値を入力し、上限流量LQ−Xが上限流量表示画面58及びグラフ表示画面56に表示されるとともにLQ−Xは変更後の上限流量として制御装置40に設定される。
【0037】
なお、エアコンプレッサーから供給される圧縮エアの元圧力は、変動する場合が有り、元圧力の変動には、メインレギュレータ17、サブレギュレータ30及びサブエンドレギュレータ38が追随し、メインエアタンク15、サブエアタンク27及びサブエンドエアタンク35の圧力変動に繋がる。このため、元圧力Pの推移を示す線グラフをグラフ表示画面56に同時に表示させておくことにより、元圧力Pの変動状況を確認しながら、上限流量LQを変更すべきか否かの判断、あるいは変更する範囲の判断に利用することができる。
【0038】
図3及び
図4は、
図2に示す総流量GQの推移が異なる場合を示している。
図3に示すように、過去3日間における総流量GQは上限流量LQより低い状態で推移していたが、現在の時点で、総流量GQ1で示すように、上限流量LQを越える異常が生じている。異常状態はグラフ表示画面56に線グラフで、総流量表示画面57に数値でそれぞれ表示されている。また、制御装置40から警告信号が発信され、図示しないが、表示装置50に警告を表示し、エアジェット織機1の警報ランプを点灯している。
【0039】
作業者は、制御装置40の警告に基づき、総流量GQ1の異常を生じた原因を確認するため、履歴ボタン53の操作により、
図3の画面51を
図4の画面60に切換え、履歴表示画面61を表示する。履歴表示画面61には、エアジェット織機1の圧縮エアに関係する箇所の変更項目が表示され、変更した日時、流量、変更箇所、変更後及び変更前の各項目について表形式で時系列に表示される。例えば、最後の履歴についてみると、作業者は、6月5日10時25分、サブノズル圧力が変更され、サブノズル圧力が変更前のP4から変更後のP4+αに昇圧され、圧力を上げることによりサブノズル流量がQ5になった、と把握できる。
【0040】
作業者は、履歴表示画面61に表示された変更項目をチェックすることにより、総流量GQ1を生じた要因の把握が容易となり、その要因を修正できるものか否かの判断を行い易くなる。総流量GQ1を生じた要因が例えば必要以上に圧力増大方向に変更されていた場合では、正しい状態に再変更し、また、変更がミスにより行われていた場合ならば、元の状態に変更する等の判断を作業者がし易くなる。作業者が速やかに要因を把握し、調整することにより、上限流量LQを越える異常な総流量GQ1を上限流量LQより低い総流量GQの状態に戻し、エアコンプレッサーに掛かる無駄な負荷を早期に解消し、無駄な電力消費を無くすことができる。
【0041】
本願発明は、前記した実施形態の構成に限定されるものではなく、本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0042】
(1)本願発明は、流量検出装置として、圧力とバルブの開度から流量を計算する方法に限らず、流量を直接検出できる流量計を圧縮エアの配管に設けるように構成しても良い。
(2)グラフ表示画面56に表示する過去の経過は、
図2及び
図3に示す過去3日間に限らず、過去4日以上から数ヶ月に亘る経過を表示するように構成しても良い。また、グラフ表示画面56に表示するグラフは線グラフに限らず、棒グラフ等の適宜形式であれば良い。
【0043】
(3)
図2及び
図3に示すグラフ表示画面56は、元圧力Pを表示しない構成であっても良く、また、個別表示画面59を表示しない構成であっても良い。
【0044】
(4)メインノズル5とタンデムノズル6には同一圧力の圧縮流体を供給しているが、両者に異なる圧力の圧縮流体を供給できるように構成しても良い。この場合は、タンデムノズル6の圧縮エアの供給経路に専用のレギュレータ及びエアタンクを設けるように構成すれば良い。
(5)緯入れ装置2はタンデムノズル6を備えずメインノズル5のみで構成しても良い。
(6)流量の検出や表示はエアジェット織機1で消費される圧縮エアの流量の全てでなく、主要なものだけとしてもよい。
(7)画面51において、初期状態ではグラフ表示画面56だけが表示され、必要に応じて総流量表示画面57、上限流量表示画面58、個別表示画面59を表示させてもよい。
(8)グラフ表示画面56と履歴表示画面61を同一画面に並列表示してもよい。
(9)グラフ表示画面56に初期状態から個別表示画面59で表示される各流量をグラフ表示するようにしてもよい。