特許第5958344号(P5958344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958344
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】熱機械処理
(51)【国際特許分類】
   C21D 8/02 20060101AFI20160714BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20160714BHJP
   C22C 38/58 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   C21D8/02 B
   C22C38/00 301A
   C22C38/58
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-545008(P2012-545008)
(86)(22)【出願日】2010年12月23日
(65)【公表番号】特表2013-515165(P2013-515165A)
(43)【公表日】2013年5月2日
(86)【国際出願番号】AT2010000493
(87)【国際公開番号】WO2011079341
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2012年7月18日
【審判番号】不服2014-25952(P2014-25952/J1)
【審判請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】09450241.6
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512150059
【氏名又は名称】フェシュタルピン グロップブレヒ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】グリル,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】エガー,ルパート
(72)【発明者】
【氏名】シュチンゲダー,クリスティアン
【合議体】
【審判長】 木村 孔一
【審判官】 鈴木 正紀
【審判官】 富永 泰規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−058149(JP,A)
【文献】 特開2004−167523(JP,A)
【文献】 特開昭61−076616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/26
C21D 8/02, 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板(1)の靭性、特に低温靭性を高めるために、鋼板(1)を原材料から製造するための熱機械処理方法であって、鋼板(1)が加熱され、圧延によって部分成形及び最終成形され、周囲温度による冷却と比べて加速して冷却され、その際、部分成形のためにAc3を上回る温度まで加熱された鋼板(1)がその最終成形後に加速して冷却される熱機械処理方法において、
前記鋼板(1)は、
0.02〜0.1質量パーセントの(C)炭素、
1.0〜2.0質量パーセントの(Mn)マンガン、
〜0.1質量パーセントの(V)バナジウム、〜0.1質量パーセントの(Ti)チタン、及び〜0.1質量パーセントの(Nb)ニオブ、
〜1.0質量パーセントの(Cr)クロム、及び〜1.0質量パーセントの(Mo)モリブデン、
〜1.0質量パーセントの(Cu)銅、及び〜1.0質量パーセントの(Ni)ニッケル、
〜0.003質量パーセントの(B)ホウ素、
CEIIW値が0.2〜0.7質量パーセント、
及び不純物、並びにその他は(Fe)鉄、
を成分とする鋼合金であって、
前記鋼板(1)が部分成形と最終成形の間にAr3を下回る温度まで加速して冷却され、続いて誘導加熱によりAc3を上回る温度まで加熱され、前記最終成形によって鋼板最終厚み(d)が25mm以上に調節されることを特徴とする熱機械処理方法。
【請求項2】
前記最終成形が、熱機械圧延又は再結晶化を制御した圧延を用いて実施されることを特徴とする請求項1に記載の熱機械処理方法。
【請求項3】
鋼板(1)が、前記部分成形に続いて加速して冷却されることを特徴とする請求項1、又は2に記載の熱機械処理方法。
【請求項4】
鋼板(1)が、前記部分成形の後で加速してAr1を下回る温度に冷却されることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項5】
鋼板(1)が誘導により自身の最終成形温度まで加熱され、続いて前記最終成形が施されることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項6】
鋼板(1)のコア層(9)が0℃〜80℃の範囲でAr3を上回る温度まで、誘導により加熱されることを特徴とする請求項5に記載の熱機械処理方法。
【請求項7】
圧延温度にある鋼板(1)が、前記最終成形時にAr3以上に、加速して冷却されることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項8】
鋼板(1)が、続いて互いに接続し合う手順工程、すなわち部分成形、加速した冷却、誘導加熱、場合によってはデスケール、最終成形及び加速した冷却を施されることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項9】
鋼板(1)が自身の鋼板幅(11)の全体に、特に鋼板上面及び鋼板(7、8)の範囲にある加熱ゾーン(16)が誘導加熱により加熱されることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項10】
鋼板(1)が縦磁場加熱装置(5)を使用して誘導により加熱されることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項11】
鋼板(1)が、鋼板上面及び鋼板下面(7、8)に近い鋼板範囲が基本的に別の鋼板部分と比べて高められた温度を有しているように、前記最終成形のために誘導加熱により加熱されることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項12】
鋼板(1)が、圧延方向が反対の部分圧延及び/又は最終圧延を施されることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の熱機械処理方法。
【請求項13】
結晶粒の組成を備えた鋼板(1)であって、ASTM結晶粒度が8.5以上の元のオーステナイト(10)と、元のオーステナイト(10)が伸展されたオーステナイト結晶粒を備え、最終圧延後に25mm以上の鋼板最終厚み(d)を有
前記鋼板(1)は、
0.02〜0.1質量パーセントの(C)炭素、
1.0〜2.0質量パーセントの(Mn)マンガン、
〜0.1質量パーセントの(V)バナジウム、〜0.1質量パーセントの(Ti)チタン、及び〜0.1質量パーセントの(Nb)ニオブ、
〜1.0質量パーセントの(Cr)クロム、及び〜1.0質量パーセントの(Mo)モリブデン、
〜1.0質量パーセントの(Cu)銅、及び〜1.0質量パーセントの(Ni)ニッケル、
〜0.003質量パーセントの(B)ホウ素、
CEIIW値が0.2〜0.7質量パーセント、
及び不純物、並びにその他は(Fe)鉄、
を成分とする鋼合金である、ことを特徴とする鋼板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原材料から鋼板を製造する際の、鋼板の粘性、特に低温粘性を高めるための熱機械処理に関し、この処理においては鋼板が加熱され、圧延を使用して部分成形及び最終成形され、周囲温度での冷却と比べて加速して冷却され、その際部分成形のためにAc3を上回る温度に加熱された鋼板がその最終成形後に加速して冷却される。
【背景技術】
【0002】
薄鋼板において、従来の熱処理方法で公知であるよりも上級な機械技術的特性で抜きん出ている組成状態を達成することができるよう、従来技術では、鋼板製造のための熱機械処理が公知であり、この処理では原材料ないし薄鋼板に、互いに調整された成形の組み合わせ及び温度制御が行われる。
【0003】
従って、熱機械処理は、従来型の熱間圧延(例えば:rolled、hotrolledなど)とは、圧延が成型方法としてだけでなく特徴コンビネーションだけを狙って調節するために使用されることで区別される。これによって例えば高い降伏点の値に従って、引っ張り強さが低温時の高い粘性と組み合わせられ、優れた溶接性という要求が満たされる。
【0004】
こうして例えば、鋼板のための熱機械処理が公知である。鋼板がその部分成形及び最終成形後に加速してオーステナイト範囲を出て冷却され、その結果高い粘性値を達成するために結晶粒の微細な組成がもたらされる。このことは例えば、この種の鋼板をガスパイプラインに使用する場合に重要である。なぜならこの場合比較的高い低温粘性が要求されるからである。さらに、熱機械処理によって達成できる細粒化は、薄鋼板材料に特定の合金要素、例えばニオブを添加することによって改善されることができる。しかし、薄鋼板の厚みが厚くなって行くにつれて、薄い薄鋼板で知られている熱機械処理の利点が同程度には達成できないことが判明している。一方で圧延機の機械的成形性能の限界が、他方で使用できる成形程度が、ここでは他のパラメーターと共に、達成できる鋼板の粘性値の低下をもたらし、その結果値を高めるために主に鋼合金の他の化学組成及び以下の熱処理が避けられなければならず、それによって比較的費用がかかる上に時間もかかる。
【0005】
スチールバンドの従来型の熱間圧延(hot−rolled)が公知である(特許文献1)。部分圧延後、Ar3温度より下に冷却されたバンドは誘導によりAc3を上回る温度まで加熱され、続いて最終圧延される。これによってベルトの改善された圧延可能性が達成され、ベルト材料の組成の均質性も改善される。後者はまたベルト材料の強度特性の改善と均一性をもたらし、そのことがまた深絞りによってそこから製造される製品にとって有利になり得る。ベルト材料の粘性の改善は、特許文献1では言及されていない。
【0006】
これに関しては、特許文献2の従来型の熱間圧延(hot−rolling)も補足することができない。特許文献2は、デスケーリングのためにAr3を下回って冷却された後、バンドエッジが誘導によりAc3を上回って加熱されることで、均一な組成がデュプレックス構造なしに作られること開示している(7ページ、14行目)。
【0007】
特許文献3により、さらに従来型の熱間圧延(hot−rolled)が公知である。ここではその温度が成形後にAr3を下回る中空体がAc3を超えて加熱され、その後にこれに最終圧延が施される(要約を参照)。ここでも、熱機械処理については、鋼板の製造における問題込みで取り上げられておらず、その際中空体は鋼板と比べて形状が大きく異なっており、その結果特許文献3は本発明になんら寄与することはできない。
【0008】
さらに、特許文献4によりプレートの硬化性の観点からホウ素の有効性を検査できることが公知あり、これは前圧延されたプレートを930℃まで再度加熱し、続いて圧延し、次に焼入れすることによる(22ページ)。熱機械処理によって製造された鋼板の粘性が高まることは、特許文献4では扱っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】JP2005−133177
【特許文献2】EP0227199A1
【特許文献3】JP9003539A
【特許文献4】DE2649019A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、冒頭に述べた従来技術から出発し、鋼板のための熱機械処理を作り出すことであり、この熱機械処理は特に、処理される鋼板の粘性値が改善されることを特徴としている。さらに、本方法は、迅速で簡単に適用可能であり、安価である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、提示された課題を、鋼板が部分成形と最終成形の間でAr3を下回る温度まで加速して冷却され、続いて誘導によりAc3を上回る温度に加熱されることによって解決する。
【0012】
鋼板が部分成形と最終成形の間でAr3を下回る温度まで加速して冷却され、続いて誘導によりAc3を上回る温度に加熱されると、驚いたことに公知の熱機械処理によって達成可能な鋼板の粘性値が比較的格段に改善され得る。これによって、圧延工程間に実施された、加速され、それによって迅速な冷却が、誘導による、それによって迅速な加熱によって特にオーステナイトの微粒化がもたらされ得、オーステナイトと熱機械処理の別の手順工程との組み合わせで(成形及び温度制御の意味において)公知の達成可能な粘性値の限界を超えることができることが判明した。これによって厚い鋼板のために新しい組成状態が達成され、この組成状態はより上級の粘性特性によって際立っている。そのことはそれ以外では厚みの薄い薄鋼板で知られているだけである。特に薄鋼板厚みが比較的厚く、それによって生じる圧延成形時の高い要求を備えた鋼板では、相当な低温粘性改善が確認され、それによってそのような処理をされた鋼板は、特に、石油パイプライン及び天然ガスパイプラインの管類に適し得る。従って発明によれば、少なくとも部分的に薄鋼板の組成の結晶粒転換とは、本発明による熱機械処理で場合によっては強度値が下がることが予期しうるとしても、熱機械処理によって達成できる粘性を改善するために特に有利であることが実証された。これに関して言及されている結晶粒転換は、単純化すれば、結晶粒転換とは、少なくとも1つの部分的な組成転換が、少なくとも2つの相変化ないし少なくとも1つの2回の相転換の助けによって、すなわちここではγ相から出て再び戻ってくることと理解される。それに加えて、加速した冷却及び誘導加熱は、鋼板全体と理解する必要はないがしかし好ましくはそうである。つまり、鋼板のほぼ全体が加速して冷却され、及び誘導により加熱されることも、十分想像できる。加速した冷却は、好ましくは比較的迅速なγ−α転換も、オーステナイト結晶粒成長の低減も可能にする。好ましくは、加速した冷却は薄鋼板の水衝撃で実施される。鋼板全体の誘導加熱では、好ましくは加熱率が平均で毎秒1℃が選択される。さらに、有利には、加速した冷却によって高められた温度勾配が薄鋼板の厚みにわたって調節可能であり、そのことが同じく高められるべき鋼板の粘性値に寄与しうる。さらに、本発明による方法では、特にその簡単な統合可能性が既存の熱機械処理よりも際立っている。比較的短い冷却工程及び比較的迅速な加熱工程により、この手順工程を使用すると処理進捗において比較的小さい遅延が起こるだけであり、その結果本発明による熱機械処理方法は、改善された材料特性だけでなく、鋼板の処理能力が比較的高くなり、低コスト性と適用容易性で優れている。
【0013】
特に改善された粘性値により、最終成形を熱機械圧延又は再結晶化を制御した圧延によって実施することが実現可能である。再結晶化を制御した圧延(RCR)と比べ、熱機械圧延(TM)ではオーステナイトの結晶粒がもはや再結晶化しなくなり、特に圧延方向に伸展されることが可能である。その過程で、強く成形されたオーステナイト結晶粒が生成され得、そのことは、転換のために重要なオーステナイト結晶粒度を薄鋼板厚み方向で小さくするために、及び空格子点密度を高めるために使用可能である。この種のTM圧延は、場合によっては、元のオーステナイト結晶粒に内接する楕円長軸と短軸の比が1.25を超えないように、完成した鋼板で実証できる。TM最終圧延により、部分成形と最終成形の間で本発明による微粒化によりもたらされた前提条件は、完成した鋼板が特別な粘性特性になるようにするため、さらに改善されることが可能である。このような改善は、この範囲ではないにもかかわらず、RCR最終圧延によっても、特に後続する加速した冷却との組み合わせで可能である。
【0014】
特に本発明による方法は、最終成形によって鋼板最終厚みが24mm以上に調節されることで際立っている。これにより、厚くなった薄鋼板厚みがこの方法によって許容されるだけでなく、それによってもたらされたこのような鋼板は、特に公知の鋼板に比べて同じ厚さでより低温粘性が改善された組成で際立っている。
【0015】
鋼板が部分成形に続いて加速して冷却されると、次にスムーズな処理プロセスが可能になるだけでなく、改善された微粒化がもたらされる。こうして例えば比較的高い鋼板の余熱が部分成形後に、鋼板が加速した冷却及び誘導再加熱によって高められた温度差にさらされることで、組成の結晶粒転換の改善に寄与する。さらに、部分成形後にもたらされた鋼板の組成はほとんど変わることなく結晶粒転換に送り込まれる。なぜなら部分成形と冷却の間の待機期間はほとんどなくてよいからで、その結果熱機械処理された鋼板の粘性値が追加的に改善され得る。
【0016】
鋼板が部分成形後に加速してAr1を下回る温度に冷却されると、比較的高い粘性値の生成における特別な比率が生じうる。これによって特にオーステナイトの完全な結晶粒転換が、混合相(γ+α相)を防止することで可能になり、このことでオーステナイト組成の著しい微粒化がもたらされ得る。
【0017】
鋼板が最終成形のための温度まで誘導により加熱され、及び続いて最終成形が行われると、処理プロセスはその進行において簡素化されることが可能である。なぜなら、鋼板を最終圧延のために準備するための他の処置が不要になるからである。それに続く最終成形は有利には、起こりうる鋼板の膨らみを簡単な方法で阻止することもできる。なぜならそれによって最終圧延のために必要な温度に達するまでの待機期間を守る必要がなく、この意味において鋼板が加熱直後からさらに加工されることが可能であるからである。さらに、鋼板は結晶粒転換後に遅延なしに熱機械処理のさらなる工程を行うことができ、このことにより迅速で再現可能な処理プロセスが提供されるだけでなく、例えば待機期間が原因の意図しない組成の変化を回避することができる。それに加えて、この調整によって特に鋼板の結晶粒層が有利な温度にされることが可能である。これはすなわち、鋼板が最終成形のための温度まで、結晶粒層に近い範囲で温度がAr3を上回る温度にあるように誘導により加熱され、その結果最終圧延によって高められた微粒化が鋼板の結晶粒組成内で達成されることができ、それによって鋼板の粘性が高まる。
【0018】
鋼板の結晶粒層が0℃〜80℃の範囲でAr3を超えた温度、特にAc3を20℃超えた温度に誘導により加熱された場合に、特別な熱機械処理パラメーターを作り出すことができる。なぜなら、最終圧延によって特別な微粒化が鋼板の結晶粒組成内で生じうるからである。言うまでもなく、横断面図では鋼板の結晶粒層とは鋼板の中間の組成層と理解することができ、この層には鋼板の2つのバリヤ層が接続している。
【0019】
オーステナイトの微粒化を特別な粘性に移行可能にするため、鋼板が圧延温度で、最終成形時にAr3以上に加速して冷却されることが企図されてよい。加速した冷却により、Ar3を上回る温度を基点にして、最終圧延された微粒で空格子点の多いオーステナイト組成が、特に均質な転換組成に移行される。従って熱機械処理によってもたらされた組成は特にその低温粘性によって際立っている。特に鋼板の温度が最終成形時に再結晶化温度を下回って維持されることで、成形されたオーステナイトで生じることができなくなり、それによって組成が場合によって損なわれることがない。
【0020】
本発明による方法により熱機械的処理プロセスで処理される鋼板の処理能力は、鋼板に以下の、互いに接し合って接続する手順工程が行われた場合に、さらに改善される。つまり部分成形、加速した冷却、誘導加熱、場合によってはデスケール、最終成形及び加速した冷却である。スケール洗浄ないしデスケールは、例えば酸化鉄が圧延によって鋼板中に入り込まないようにするため、スケール(鋼板表面の酸化鉄)が比較的高い水圧を使用して除去されなければならない場合に必要である。
【0021】
鋼板は好ましくは薄鋼板幅のほぼ全体に誘導により加熱されてよく、それによって本発明による方法が特に簡単に公知の熱機械処理に統合され得る。つまり、結晶粒転換された鋼板の範囲に最終成形を行うために、成形用スタンドないし圧延機に特別な構成的準備を行う必要がない。さらに、これによって組成の均質な結晶粒転換が、均質なオーステナイト結晶粒度のために鋼板全体にわたってもたらされ得る。薄鋼板の上面及び下面の範囲にある加熱ゾーンで薄鋼板が誘導により加熱される場合、圧延成形のための特別な成形比率が出され得る。
【0022】
薄鋼板が縦磁場加熱を使用して誘導により加熱されると、均等な加熱及びそれによって均一な微粒化が鋼板組成について可能になり、このことで材料の粘性が追加的に改善され得る。このゾーンを他の鋼板の部分と均等に共に加熱できるようにするために、鋼板の横断面が閉じた加熱ゾーンを作っている場合に、特に縦磁場加熱が使用できる。これによって例えば特に微細なオーステナイト組成が生じ得る。さらに加えて、磁場による鋼板の誘導衝撃を介して、少なくとも部分的に、鋼板の縦伸びに沿って、比較的均等な誘導も、少なくとも鋼板の組成部分に実現可能であり、そのことが熱機械処理パラメーターの改善をもたらし得る。
【0023】
好ましくは、鋼板は、それによってオーステナイト結晶粒伸展の最終成形時の特別な前提条件を可能にするため、薄鋼板の上面及び下面が薄鋼板範囲の付近で、基本的に、他の薄鋼板部分と比べて高められた温度を有しているように最終成形のために誘導により加熱される。特にTM圧延において、最終成形として、薄鋼板厚みが半分の領域で、改善されたオーステナイト結晶粒伸展が調整され、そのことがそのように製造された鋼板の粘性特性に格段に改善をもたらし得る。
【0024】
鋼板に反転された部分圧延及び/又は最終圧延が施されると、特に厚くされた薄鋼板厚みも熱機械処理され得る。さらに熱機械処理の進行がそれによって改善して制御され得る。
【0025】
熱機械処理プロセスによって作り出された鋼板の結晶粒度が小さい場合、この熱機械処理プロセスで特に2つの圧延工程間に粒状化転換が実施され、鋼板の粘性を高め得る組成が可能になる。
【0026】
元のオーステナイトのASTM結晶粒度(ASTM E112 1996「アメリカ材料試験協会」)が8.5以上で、伸展された元のオーステナイト結晶粒が存在する場合、鋼板が特別な粘性特性を持つことができる。
【0027】
鋼板の持つ最終圧延後の鋼板最終厚みが24mm以上の場合、高められた粘性特性を持つ比較的厚い鋼板が可能になる。
【0028】
熱機械処理プロセスのために、0.02〜0.1質量パーセントの(C)炭素、1.0〜2.0質量パーセントの(Mn)マンガン、0〜0.1質量パーセントの(V)バナジウム及び(Ti)チタン及び(Nb)ニオブ、0〜1.0質量パーセントの(Cr)クロム及び(Mo)モリブデン、0〜1.0質量パーセントの(Cu)銅及び(Ni)ニッケル、0〜0.003質量パーセントの(B)ホウ素、CEIIW値0.2〜0.7質量パーセントの、並びに混入物質及び(Fe)鉄が、鋼板の鋼合金に使用される場合、粘性値の改善が可能になる。周知のように、国際溶接学会(IIW)の炭素当量は、以下の公式で計算される:CEIIW=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15
【0029】
以下では、例えば本発明による熱機械処理が実施例を使用して例として記述される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】熱機械処理を実施するための装置の模式図である。
図2A】公知の従来技術の熱機械処理を施した鋼板の組成の模式的縦断面図である。
図2B】本発明による熱機械処理を施した鋼板の組成の模式的縦断面図である。
図3図1による方法に従った誘導加熱中の鋼板の横断面図である。
図4】温度変化の表示を付けた、誘導により加熱された鋼板の、部分的にカットした横断面図である。
図5図1による方法の温度分布である。
図6】2つの組成を比較表示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図5に示されたように、部分圧延の前に、原材料、例えばスラブを、スラブ加熱装置を使用してAc3を上回る温度まで、好ましくは1000℃〜1200℃に加熱する。続いて、図1及び図5に従い、原材料または鋼板1で示された圧延ピースに圧延が施され、その際この圧延が、場合によっては複数の部分圧延工程(ステッチ)を伴う1つ又は複数の部分圧延と、場合によっては複数の最終圧延工程(ステッチ)を伴う1つの最終圧延とからなってよく、このことが例えば反転された圧延を可能にすることができる。このような方法は、例えば三相圧延であり、2つの部分圧延、すなわち前圧延と中間圧延が、そして最後に最終圧延が行われる。簡素化するために、部分圧延だけが取り上げられ、特に、部分圧延と最終圧延の間の結晶粒転換が含まれ、この結晶粒転換が部分圧延の間に実施でき、その上に最終圧延が実施可能である。部分圧延とは、したがって鋼板1の成形と理解され、これによってはまだ鋼板1の最終成形は達成されない。
【0032】
加熱された鋼板1は、図1及び図5に従い、続いて圧延機2に部分圧延のため送り込まれる。部分成形され、まだ完成していない鋼板1は、熱機械処理の過程で最終成形も施され、その際これに関して同様に圧延機2が使用されてよい。周知のように完成鋼板1の粘性値が高くなるよう、最終成形後、好ましくはAr3を上回る圧延温度で、鋼板1が加速して冷却される。この種の、周囲温度での冷却と比べて加速した冷却は、例えば冷却区間3で水4を使って、圧延が完了した鋼板1の冷却が行われてよい。考えられるように、加速した冷却が中止される冷却停止温度は、Ar3を下回る温度又は圧延温度より少なくとも100℃低く、その際鋼板1を完成させるために、周囲温度でのさらなる冷却が実施できる。
【0033】
しかし従来技術とは異なり、鋼板1全体は部分成形と最終成形の間に加速してオーステナイト範囲(γ相)から冷却され、それによって微粒の組成が比較的小さいフェライト比率を備えて可能であり、その後で比較的迅速に再びこの温度範囲ないしこの相まで誘導により加熱される。これは図1及び図5で明かである。それによって少なくとも短時間、少なくともオーステナイト組成の一部が結晶粒転換12になる。この、部分的なγ−α−γ転換により、特別な微粒化を可能にすることができる。(水による)加速した冷却のために、例えばすでに言及した冷却区間3を使用してよい。反転された圧延は図示していないが、鋼板1要求に応じてこれを複数のステッチで各圧延機2によって熱機械的に加工できることは、当業者には明確である。
【0034】
ここで本発明による利点は、図2A及び2Bを使用して、例によって詳しく説明される。図2Aに従い、鋼板1のための従来型の熱機械処理プロセスは大幅に簡略化されて示されている。この方法は、第一の部分成形ないし前圧延(例えばスラブ)を備え、この前圧延では高い比較成形率が、圧延機2の圧延体2'を介して、まだ完成していない鋼板1ないし原材料に加えられる。鋼板1の薄鋼板厚みdと、それと共に現れる、圧延機2の加工深さの制限の問題が薄鋼板の上面と下面7、8の間の温度ドリフトと相互作用することが原因で、鋼板1の結晶粒層9ないし鋼板1の内部に向けて、ここでは薄鋼板厚みdにわたってオーステナイト10の結晶粒度が均質にならない。こうして薄鋼板の上面と下面7、8とは対照的に、結晶粒9内には粗いまたはより大きいオーステナイト結晶粒10が形成される。なぜならこの範囲は温度がより高く比較成形率が小さいからである。ここでも、半分の薄鋼板厚み9ないし結晶粒9の範囲がしばしば言われており、その際流れるように相互に入り込んで移行する範囲があり、及びそのために明確なオーステナイト10の異なった結晶粒度の範囲の間に範囲境界線を引くことができないことは、当業者には明確である。簡略化するために、ただ2つのはっきりした範囲が図2A及び2Bに示されている。鋼板1のエッジ領域ないし薄鋼板上面7及び薄鋼板下面8範囲には、部分圧延の後、比較的高い比較成形率並びに低い温度のために、鋼板の内部よりも微細なオーステナイト結晶粒度が生じる。このプロセスは基本的に再結晶化によって制限される。図2Aに従い、この異なった結晶粒度は鋼板1内ではっきり認識できる。この違いは、ここでは鋼板1の最終成形ないし完成圧延によってはもう除去できない。この圧延が好ましくは熱機械圧延(TM圧延)としてオーステナイト10の再結晶温度下で実施され、この圧延は図2Aの右手に示されている。圧延体2'、好ましくは同じ圧延機2を介した最終圧延により、オーステナイト結晶粒10はエッジ領域内で特に伸展されることができるが、結晶粒9内ではしかしこれに比べてわずかなオーステナイト結晶粒伸展しか可能ではない。これにより、熱機械圧延にもかかわらず、オーステナイトの再結晶化が完全には排除できなくなるという問題が引き起こされる可能性がある。薄鋼板厚みdにわたる温度分布は、ここではすなわち前圧延に類似しており、薄鋼板の上面と下面7、8の範囲では、温度が結晶粒9ないし半分の薄鋼板厚み9の範囲より低い。熱機械最終圧延によってすら、鋼板1の薄鋼板厚みd全体にわたる均一な細粒化を実現することはできず、このことは高い粘性、特に低温粘性が、特に半分の薄鋼板厚み9の範囲とは異なる
【0035】
図2Aに従った公知の熱機械処理とは異なり、図2Bでは、原材料から鋼板1を製造するための本発明による熱機械処理が示され、これは卓越した粘性、特に低温粘性を鋼板1にもたらす。まず両方の熱機械処理においては、部分成形ないし圧延機2の圧延体2'による前圧延はほとんど同じである。しかし、最終成形ないし完成圧延の前に、同じく圧延機2の圧延体2'によって、鋼板1の組成の結晶粒転換12の本発明による中間工程が行われる。このような結晶粒転換12は、加速した冷却(水による冷却区間3)を誘導加熱(縦磁場誘導加熱5)込みで含んでおり、及び図2B中央に図示されているように鋼板上に特別な作用を、オーステナイト10の組成に、特に結晶粒9ないし鋼板1の半分の薄鋼板厚み9の範囲に及ぼす。これによって、驚くべきことに、既存のオーステナイト直径を小さくし、オーステナイト10の結晶粒間の直径の違いを、薄鋼板の上面と下面7ないし8の範囲と(基本的に前圧延によって生じる)、内側にあるオーステナイト10の結晶粒とで合わせることができる。このことは図2Bにも示されているように、続いて前圧延又は部分圧延が実施された結晶粒転換で認識される。本発明により、このように均一な細粒ないし均質なオーステナイト10の組成は、薄鋼板厚みd全体にわたり、次の手順工程でもたらされる。しかし追加的に、本発明による結晶粒転換によって改善された最終成形ないし完成圧延の前提条件がもたらされる技術的な効果も利用される。従来技術と比べて、好ましくは熱機械圧延が最終成形として、圧延機2を使用して温度勾配を鋼板厚みにわたって調整することができ、上面ないし仮面7、8を、鋼板1の結晶粒9ないしその内面と比べて高い温度にする。それによって、場合によって起こりうるオーステナイト10再結晶化が半分の薄鋼板厚み9の範囲ですら抑制されることができ、それによって比較的薄鋼板厚みが厚い場合に、TM圧延によってすらまったく阻止することはできず、その結果この範囲でも圧延伸展されたオーステナイト結晶粒10が基本的に維持されたままとなり、空格子点密度の上昇を調節することが可能である。この特に微細なオーステナイト組成は、図2Bにおいて、続いて最終成形ないし完成圧延で認識され、このことは追加的に均質なオーステナイト10の伸展を鋼板厚みdにわたって示している。これにより、例えば厚さが24mmを超える完成した鋼板1においてさえ、最終組成が達成でき、元のオーステナイト10のASTM結晶粒度(ASTM E112 1996「アメリカ材料試験協会」:研摩標本での面積単位当たりの結晶粒数測定方法)が8.5以上で、伸展した元のオーステナイト結晶粒10を備えている。達成可能な粘性値の、公知の技術的限界は、本発明に従い、例えば24mmを超える、より厚い厚みの鋼板の場合でさえも、より上級の粘性特性を備えた組成状態が達成可能であるようにすることで乗り越えられる。この利点は、図6でも明確に示されている。ここでは拡大図に複数のオーステナイト組成が比較し示されている。符号10'により、オーステナイト結晶粒10を備えたオーステナイト組成が示され、これは組成が従来型のないし公知の熱処理(調質又は焼きならし)を施された場合に達成可能であり、符号10”はオーステナイト結晶粒10を備えた格段に微細なオーステナイト組成であり、これは本発明によってもたらされることが可能である。
【0036】
特に誘導による縦磁場加熱5を使用した誘導による加熱が有利であることが判明し、これは図3に従って例として示されている。鋼板1のほぼ縦方向に配向された磁場6が、熱機械処理プロセス内で達成できる粘性値において、際立った特性を示す。こうして鋼板1は縦方向にコイル13を通って案内され、その際交流電圧を印加されたコイル13によって渦電流14が基本的に上面及び下面7、8のエッジ領域及び鋼板1の長辺15に誘導される。図3に簡略化して示されたように、閉じられた加熱ゾーン16が形成され、これによって均等に迅速な加熱が、有利な組成比率を作るために使用可能である。
【0037】
磁場6を介して、図4に従って示された温度分布17が、鋼板厚みdないし鋼板横断面にわたってもたらされる。これにより、薄鋼板上面ないし薄鋼板下面7、8全体の範囲で、鋼板1の内部温度と比較してより高い温度が確保され、その結果、TM圧延としての最終成形が改善された粘性値が鋼板1に、前述のようにもたらされ得る。まさに鋼板1の誘導縦磁場加熱5は、簡単な構成的方法で図4に従って示された温度分布をもたらすことができる。他の構成、例えば誘導横磁場加熱を使用して、縦磁場加熱の場合と同様にして加熱が鋼板1の薄鋼板幅11のほぼ全体で得られることが考えられる。
【0038】
これに比べて、図4でも熱機械処理プロセスの温度分布18が、従来技術に従って示されている。見て取れるように、発明による温度推移17はこれとは格段に異なっている(傾斜がほとんど反対方向)。
【0039】
微粒化は、圧延ピースがAr1を下回って加速して冷却される場合、特に改善可能であり、このことは特に図5から見て取れる。これによって、組成全体が少なくとも短期間α相に達し、再加熱後にオーステナイト組成全体の完全な結晶粒転換12が起こる。
【0040】
有利には、これに続く鋼板1の最終圧延がさらにAr3を上回る圧延温度を備え、この温度が好ましくは680℃〜920℃の間にあるように、誘導による加熱がAc3を上回る高い温度まで行われる。これにより、鋼板1の誘導による加熱の後で待機期間なしに最終圧延が開始できる。特にこれにより、まさに厚い鋼板でもその比較的重い、加工可能な結晶粒9が、有利には熱機械処理が可能になるように、鋼板の結晶粒層9の温度も調整可能である。Ar3温度を上回る、0℃〜80℃の範囲の温度、特にAr3を20℃上回る温度がここで実証されている。
【0041】
本発明による熱機械処理は、特に圧延を完了した鋼板厚みが24mmを超えており、好ましくは25mm〜100mmを超えており、及び/又は鋼板1のための鋼合金が以下:
0.02〜0.1質量パーセントの(C)炭素、
1.0〜2.0質量パーセントの(Mn)マンガン、
0〜0.1質量パーセントの(V)バナジウム及び(Ti)チタン及び(Nb)ニオブ、
0〜1.0質量パーセントの(Cr)クロム及び(Mo)モリブデン、
0〜1.0質量パーセントの(Cu)銅及び(Ni)ニッケル、
0〜0.003質量パーセントの(B)ホウ素
CEIIW値0.2〜0.7質量パーセント、
並びに混入物質及び(Fe)鉄、
を含む場合有利であることが判明している。これにより、熱間圧延によって、従来技術に相当する熱機械処理によって、また自然な熱処理によっては達成され得ない機械技術的特性が達成可能であった。
【0042】
一般に、本発明による方法によって、薄鋼板厚みが24mmを超えると、好ましくは25mmで、格段にオーステナイト10の結晶粒度が小さくできること、及びそれによってそこから生じる転換組成の粘性ないし低温粘性も改善することが可能であるということが確認できた。こうして例えばシャルピー衝撃試験又は「バッテル落重引裂」試験(BDWTT)によって検出された脆性破壊遷移の低温への移動を、そのように処理された鋼板1からガスパイプライン又は「洋上」プラットフォームを製造するために利用できる。なぜならこの材料は低温で十分に粘性を持ちかつ溶接可能でなければならないからである。本発明はそのために、鋼板1を少なくとも1つの部分的にオーステナイト組成を結晶粒転換する方向に加速させて温度負荷をかけることで、薄鋼板厚みdと達成可能な粘性値に間にある限界を超え、そのことは加速した冷却によっても誘導による迅速な加熱によっても作り出すことができ、特に時間の経過で算出された誘導加熱は1秒当たり1℃以上である。
【0043】
こうして試験結果は、例えば薄鋼板厚み25mmの場合に、脆性破壊遷移温度が改善されることを示し、これはBDWTT(DIN EN 10274規格に準拠)で算出され、約40℃であり、この温度によって本発明による熱機械処理の土台を可能にし得る。その際本発明による熱機械処理は特に、最低耐力700MPaを備えた鋼板のための鋼合金が以下を含む、
0.06質量パーセントの(C)炭素、
0.34質量パーセントの(Si)シリコン、
1.63質量パーセントの(Mn)マンガン、
0.012質量パーセントの(P)リン、
0.001質量パーセントの(S)硫黄、
0.04質量パーセントの(AI)アルミニウム、
0.4質量パーセントの(Cr)クロム、
0.2質量パーセントの(Mo)モリブデン、
0.035質量パーセントの(Nb)ニオブ、
0.014質量パーセントの(Ti)チタン、
0.0015質量パーセントの(B)ホウ素、
0.0045質量パーセントの(N)窒素、
並びに混入物質及び(Fe)鉄、また最低耐力448MPa鋼合金が以下を含む
0.03質量パーセントの(C)炭素、
0.35質量パーセントの(Si)シリコン、
1.55質量パーセントの(Mn)マンガン、
0.009質量パーセントの(P)リン、
0.001質量パーセントの(S)硫黄、
0.03質量パーセントの(AI)アルミニウム、
0.18質量パーセントの(Cr)クロム、
0.04質量パーセントの(Nb)ニオブ、
0.012質量パーセントの(Ti)チタン、
0.0044質量パーセントの(N)窒素、
並びに混入物質及び(Fe)鉄、が使用された。
【0044】
一般に、DIN EN 10052に従い、以下のように定義されることが言及される:
Ac3:フェライトのオーステナイトへの転換が熱によって終了する温度
Ar1:オーステナイトのフェライトへの又はフェライトとセメンタイトへの転換が冷却によって終了する温度
Ar3:フェライトの形成が冷却によって開始される温度
【符号の説明】
【0045】
1 鋼板
2 圧延機
3 冷却区間
4 水
5 縦磁場加熱
6 磁場
7 薄鋼板上面
8 薄鋼板下面
9 結晶粒層、結晶粒、半分の薄鋼板厚み
10 オーステナイト
11 薄鋼板幅全体
12 結晶粒転換
13 コイル
14 渦電流
15 長辺
16 加熱ゾーン
17 温度分布
18 温度分布
d 鋼板最終厚み
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6