(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空気清浄機を設置するには、カゴの天井上の設置スペースを確保する必要がある。また、設置費用やランニングコストが高く、フィルタ交換などのメンテナンスも簡便ではなく、さらには、カゴが重量化してしまうなどの問題がある。
【0005】
一般に、カゴの床面には、ゴム製の基材上にカーペット生地やフェルト生地を接着したマットが敷かれている。カーペット生地やフェルト生地は、人等の出入りにより汚れやすく、また、この種のマットは、裏面がゴムであるが故、水洗い等のメンテナンスに手間が掛かる。
【0006】
近年、ペット同居可のマンション等が増えているが、ペットの尿などが上記マットに染み込んだ場合、空気清浄機では十分に空気清浄できずに臭いが残り、また、マットも洗浄が困難であるため、カゴ内の臭いを取ることが難しかった。
【0007】
本発明の目的は、消臭効果が高く、メンテナンス性にすぐれるエレベータ用消臭マットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1のエレベータ用消臭マットは、
エレベータのカゴの床面に敷設される消臭マットであって、
前記カゴの床面を覆う耐水性の基材の表面に1又は複数の凹部を形成し、該凹部に消臭剤を塗布したものである。
【0009】
本発明に係る第2のエレベータ用消臭マットは、
エレベータのカゴの床面に敷設される消臭マットであって、
前記カゴの床面を覆い、1又は複数箇所に貫通して嵌合孔の形成された耐水性の基材と、
消臭機能及び吸水性を有し、前記基材の嵌合孔に嵌まる繊維材料からなる嵌め込み部材と、
を具える。
【0010】
本発明に係る第3のエレベータ用消臭マットは、
エレベータのカゴの床面に敷設される消臭マットであって、
前記カゴの床面を覆い、1又は複数箇所に貫通して通孔の形成された耐水性の第1の基材と、
該第1の基材の裏面に配置され、消臭機能及び吸水性を有する繊維材料からなる第2の基材と、
を積層したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1のエレベータ用消臭マットによれば、凹部に消臭剤が塗布されているから、人等が踏んでも消臭剤が剥離してしまうことはなく、長期に亘って消臭効果を維持することができる。また、基材は耐水性であるから、ペットの尿などが吸水されず、凹部に溜まるので、凹部を拭き取ったり水洗いするだけで、洗浄することができ、メンテナンス性にすぐれる。
【0012】
本発明の第2のエレベータ用消臭マットによれば、耐水性の基材の嵌合孔に、消臭機能及び吸水性を有する嵌め込み部材が嵌められており、ペットの尿などは、嵌め込み部材に吸収され、消臭される。ペットの尿などで汚れたときには、嵌め込み部材を取り外して洗浄すればよく、メンテナンス性にすぐれる。
また、嵌め込み部材は、全面ではなく、基材の一部にのみ配置されるから、全面に繊維材料を敷設した場合に比べて、人等に踏まれることによる汚れも低減できる。
【0013】
本発明の第3のエレベータ用消臭マットによれば、ペットの尿などは、第1の基材の通孔を通って第2の基材に吸収され、消臭される。第1の基材は、耐水性であるから、第2の基材に吸収されたペットの尿などの臭いがカゴ内に広がることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のエレベータ用消臭マットについて、図面を参照しながら説明を行なう。
【0016】
<第1実施形態>
本発明の第1のエレベータ用消臭マット(10)は、
図1及び
図2に示すように、耐水性の基材(12)の表面に1又は複数の凹部(14)を形成して構成される。
【0017】
耐水性の基材(12)は、例えばゴム製とすることができ、エレベータのカゴの床面の全面を覆う大きさ及び形状とすることが望ましい。
【0018】
凹部(14)は、
図1及び
図2に示すように、カゴへの乗降方向に対して略垂直な溝としたり、乗降方向に対して略垂直、斜め、又は環状に形成された溝であってもよい。さらには、凹部(14)は、円形、矩形、三角形などの有底穴とすることもできる。
【0019】
凹部(14)を乗降方向に対して略垂直な溝とすることで、滑り止め効果を具備することができ、また、凹部(14)にペットの尿などが溜まった場合でも、扉から外に零れ出難い。
【0020】
耐水性の基材(12)は、厚さ5mm〜1.5cm程度とした場合に、凹部(14)は、深さ3mm〜1cm程度とすることが好適である。
【0021】
凹部(14)には、
図2に示すように、消臭剤(16)が塗布される。消臭剤(16)として、触媒作用を有する金属塩や、化学反応によりホルムアルデヒド等を消臭する有機窒素化合物、これらの組み合わせ(例えば住江織物株式会社製の製品名「トリプルフレッシュ(登録商標)」)などを例示することができる。
【0022】
消臭剤(16)は、基材(12)に噴霧して塗布したり、基材(12)を消臭剤(16)の溶液に浸漬して塗布することもでき、また、刷毛などを使って基材(12)に塗布することもできる。
【0023】
消臭剤(16)は、少なくとも基材(12)の凹部(14)に塗布されていればよく、凹部(14)以外の基材の表面や裏面に塗布されていても構わない。
【0024】
上記構成のエレベータ用消臭マット(10)は、エレベータのカゴの床面に敷設して使用される。
本発明の第1のエレベータ用消臭マット(10)によれば、凹部(14)に消臭剤(16)が塗布されているから、人等が踏んでも消臭剤(16)が剥離してしまうことはなく、長期に亘って消臭効果を維持することができる。また、基材(12)は耐水性であるから、ペットの尿などが吸水されず、尿などは凹部(14)に溜まるので、凹部(14)を拭き取ったり水洗いするだけで、洗浄することができ、メンテナンス性にすぐれる。
【0025】
<第2実施形態>
本発明の第2のエレベータ用消臭マット(20)は、
図3及び
図4に示すように、ゴム製等の耐水性の基材(22)の1又は複数箇所に嵌合孔(24)が貫通して形成されており、該嵌合孔(24)に消臭機能及び吸水性を有する繊維材料からなる嵌め込み部材(26)を嵌めて構成される。
【0026】
基材(22)に形成される嵌合孔(24)の数、形状及び大きさは適宜決定することができるが、嵌合孔(24)の総面積は、基材(22)の面積の1/4〜1/2程度とすることが望ましい。嵌合孔(24)の面積が小さくなると、嵌め込み部材(26)の占める面積も小さくなるから、十分な消臭及び吸水効果を具備することができず、逆に嵌め込み部材(26)の占める面積が大きくなると、嵌め込み部材(26)の洗浄等のメンテナンス性が悪くなる虞があるためである。
【0027】
嵌合孔(24)は、基材(22)の角部や周面以外の部分に形成することが望ましい。これは、ペットの習性上、カゴ内の角部や周縁部に尿をすることが多いからであり、このような場合には、嵌め込み部材(26)に尿を吸収させて嵌め込み部材(26)を洗浄等するよりも、耐水性の基材(22)上に溜まった尿を拭き取った方がメンテナンス性にすぐれるからである。
【0028】
嵌め込み部材(26)は、フェルト生地などの不織布、カーペット生地などの織布などの繊維材料を例示することができる。繊維材料には、消臭機能と吸水性を具備することが求められる。消臭機能は、繊維材料に消臭剤を浸透や塗布したり、繊維材料自体に消臭剤を予め混ぜ込むことで実現される。この種の消臭剤として、触媒作用を有する金属塩や、化学反応によりホルムアルデヒド等を消臭する有機窒素化合物、これらの組み合わせ(例えば住江織物株式会社製の製品名「トリプルフレッシュ(登録商標)」)を例示できる。
【0029】
嵌め込み部材(26)は、嵌合孔(24)の形状に合わせて切断、縫製、成形等して作製することができる。
【0030】
図3及び
図4のエレベータ用消臭マット(20)は、基材(22)の略中央に矩形(菱形)の嵌合孔(24)を形成しており、該嵌合孔(24)に矩形の嵌め込み部材(26)を嵌めて構成している。
【0031】
本発明の第2のエレベータ用消臭マット(20)によれば、耐水性の基材(22)の嵌合孔(24)に、消臭機能及び吸水性を有する嵌め込み部材(26)が嵌められているから、ペットの尿などは、嵌め込み部材(26)に吸収され、消臭される。また、嵌め込み部材(26)がペットの尿などで汚れたり、消臭機能や吸水性が低下したときには、嵌め込み部材(26)を取り外して交換、洗浄等すればよく、メンテナンス性にすぐれる。
【0032】
また、嵌め込み部材(26)は、エレベータのカゴの床面全面ではなく、基材(22)の一部にのみ配置されるから、全面に繊維材料を敷設した場合に比べて、人等に踏まれることによる汚れも低減できる。
【0033】
図5は、基材(22)に複数の嵌合孔(24)を形成し、その夫々に嵌め込み部材(26)を収容した実施例である。このように、嵌合孔(24)の数、形状、大きさ等を変えることで、バリエーションに富んだエレベータ用消臭マット(20)を提供できる。
【0034】
<第3実施形態>
本発明の第3のエレベータ用消臭マット(30)は、
図6乃至
図9に示すように、ゴム製等の耐水性の第1の基材(32)と、消臭機能及び吸水性を有する繊維材料からなる第2の基材(38)を積層して構成され、第1の基材(32)には、1又は複数箇所に通孔(34)を貫通形成したものである。なお、
図6では、説明を判り易くするために、
図7乃至
図9に示す3種類の通孔(35)(36)(37)を第1の基材(32)に開設している。
【0035】
ペットの尿などは、第1の基材(32)の通孔(34)を通って第2の基材(38)により吸収されて、消臭することができる。
【0036】
先に、第2の基材(38)について説明すると、第2の基材(38)は、フェルト生地などの不織布、カーペット生地などの織布などの繊維材料を例示することができる。繊維材料には、消臭機能と吸水性を具備することが求められる。消臭機能は、繊維材料に消臭剤を浸透や塗布したり、繊維材料自体に消臭剤を予め混ぜ込むことで実現される。この種の消臭剤として、触媒作用を有する金属塩や、化学反応によりホルムアルデヒド等を消臭する有機窒素化合物、これらの組み合わせ(例えば住江織物株式会社製の製品名「トリプルフレッシュ(登録商標)」)を例示できる。
【0037】
第1の基材(32)に形成される通孔(34)の形状、大きさ、数等は適宜決定することができる。通孔(34)の形状は、以下で説明する円形断面のものや、矩形断面、三角形断面等を例示できる。通孔(34)の直径は、3mm〜1cm程度とすることが、通水性の点や足等の引っ掛かりを防ぐ点から望ましい。また、通孔(34)の数は、通孔(34)の直径にも左右されるが、1cm〜10cm間隔程度が通水性の点から好適である。
【0038】
図6の線C−Cに沿う断面図である
図7は、円筒状の通孔(35)を形成したものである。
図7に示すように、ペットの尿などは、
図7中矢印αで示すように、通孔(35)を通って第2の基材(38)に吸収され、消臭される。
【0039】
図6の線D−Dに沿う断面図である
図8は、表面から裏面に向けて縮径する漏斗状の通孔(36)を形成したものである。通孔(36)を漏斗状に形成することで、ペットの尿などの流れ込みを良好なものとすることができる。本実施例においても、ペットの尿などは、
図8中矢印αで示すように、通孔(36)を通って第2の基材(38)に吸収され、消臭される。
【0040】
図6の線E−Eに沿う断面図である
図9は、表面から裏面に向けて直径の異なる段付きの通孔(37)を形成したものである。通孔(37)を段付き形状とすることで、ペットの尿などの流れ込みを良好なものとすることができる。本実施例においても、ペットの尿などは、
図9中矢印αで示すように、通孔(37)を通って第2の基材(38)に吸収され、消臭される。
【0041】
本発明の第3のエレベータ用消臭マット(30)によれば、ペットの尿などは、第1の基材(32)の通孔(34)を通って第2の基材(38)に吸収され、消臭される。第1の基材(32)は、耐水性であるから、第2の基材(38)に吸収されたペットの尿などの臭いがカゴ内に広がることを防止できる。また、第1の基材(32)と第2の基材(38)を単に積層した構成とすることで、洗浄や交換等のメンテナンスが必要となった場合でも、第1の基材(32)、第2の基材(38)の何れか又は両方を洗浄等すればよいから、メンテナンス性にすぐれる。さらに、エレベータのカゴの床面には耐水性の第1の基材(32)のみが露出するため、人等に踏まれることによる第2の基材(38)の汚れを抑えることができる。
【0042】
なお、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0043】
例えば、実施形態において説明したエレベータ用消臭マット等の形状、大きさ等は一例であることは理解されるべきである。
【0044】
また、繊維材料の材質、消臭剤の種類等も一例であり、他の材料を適用することができることも理解されるべきである。消臭剤に加えて芳香剤を繊維材料に添加等しても構わない。
【0045】
さらに、上記した第1乃至第3のエレベータ用消臭マットの構成を組み合わせることも勿論できる。例えば、第2や第3のエレベータ用消臭マットにおいて、基材に第1のエレベータ用消臭マット(10)の如く凹部(14)を形成し、凹部(14)に消臭剤(16)を塗布してもよい。
【0046】
本発明のエレベータ用消臭マットをエレベータのカゴの床面に敷設し、さらにカゴに空気清浄機を搭載することで、空気清浄効果を可及的に高めることができる。