(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電源からインダクタに流れる電流をスイッチングする第1スイッチング素子と、該第1スイッチング素子のオフ期間に前記インダクタに流れる電流を還流させる第2スイッチング素子とを備え、前記インダクタに誘起する電圧により前記電源の電圧を降圧(又は昇圧)して蓄電回路に供給する電圧変換回路において、
前記電源から(又は前記蓄電回路へ)の電路を流れる電流によって前記電路を遮断する遮断部と、
前記蓄電回路へ(又は前記電源から)の電路を開閉するスイッチと、
降圧した電圧(又は前記電源の電圧)及び所定の第1電圧を比較する比較部と、
降圧した電圧(又は前記電源の電圧)、及び前記第1電圧より低い第2電圧を比較する第2の比較部と、
降圧した電圧(又は前記電源の電圧)、及び前記第2電圧より低い第3電圧を比較する第3の比較部と
を備え、
前記比較部の比較結果が、降圧した電圧(又は前記電源の電圧)が前記第1電圧より高い場合、前記第2スイッチング素子(又は第1スイッチング素子)をオン状態にすると共に前記スイッチを開放させ、
前記第2の比較部の比較結果が、降圧した電圧(又は前記電源の電圧)が前記第2電圧以上である場合、前記第1スイッチング素子(又は第2スイッチング素子)をオフ状態とし、
前記第3の比較部の比較結果が、降圧した電圧(又は前記電源の電圧)が前記第3電圧以下である場合、前記オフ状態を解除するようにしてあること
を特徴とする電圧変換回路。
電源からインダクタに流れる電流をスイッチングする第1スイッチング素子と、該第1スイッチング素子のオフ期間に前記インダクタに流れる電流を還流させる第2スイッチング素子とを備え、前記インダクタに誘起する電圧により前記電源の電圧を降圧(又は昇圧)して蓄電回路に供給する電圧変換回路における過電圧保護方法において、
前記電源から(又は前記蓄電回路へ)の電路を流れる電流によって前記電路を遮断する遮断部と、前記蓄電回路へ(又は前記電源から)の電路を開閉するスイッチとを用意し、
降圧した電圧(又は前記電源の電圧)及び所定の第1電圧を比較し、
比較結果が、降圧した電圧(又は前記電源の電圧)が前記第1電圧より高い場合、前記第2スイッチング素子(又は第1スイッチング素子)をオン状態にすると共に前記スイッチを開放させ、
降圧した電圧(又は前記電源の電圧)、及び前記第1電圧より低い第2電圧を比較し、
比較結果が、降圧した電圧(又は前記電源の電圧)が前記第2電圧以上である場合、前記第1スイッチング素子(又は第2スイッチング素子)をオフ状態とし、
降圧した電圧(又は前記電源の電圧)、及び前記第2電圧より低い第3電圧を比較し、
比較結果が、降圧した電圧(又は前記電源の電圧)が前記第3電圧以下である場合、前記オフ状態を解除すること
を特徴とする過電圧保護方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電圧変換回路の構成を示す回路図である。図中1は電圧変換回路であり、電圧変換回路1は、入力端子10a,10bから与えられる電源3の電圧を降圧して、出力端子19a,19bから二次電池を含む蓄電回路5に供給する。
【0024】
電圧変換回路1は、電源3からの電路を流れる電流によって溶断するヒューズ(遮断部)11を介してドレインが入力端子10aに接続されたNチャネル型のMOSFETからなる第1スイッチング素子(以下第1FETという)12と、第1FET12のソースに一端が接続されたインダクタ13と、第1FET12のソースにドレインが接続されたMOSFETからなる第2スイッチング素子(以下第2FETという)14とを備える。第1FET12及び第2FET14は、Pチャネル型のMOSFETであってもよいし、バイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子であってもよい。ヒューズ11は、ノーヒューズブレーカ等の電流遮断器であってもよい(以下同様)。インダクタ13の他端は、蓄電回路5への電路を開閉するMOSFETからなるスイッチ15を介して出力端子19aに接続されている。スイッチ15は、機械的接点を有するリレースイッチ等であってもよい。インダクタ13の他端及び接地電位(共通電位)間には、平滑コンデンサ16が接続されている。第2FET14のソースは、接地電位に接続されている。
【0025】
電源3からの電路とは、電源3との間で実質的に同じ大きさの電流が流れる回路部分であり、具体的には、入力端子10aから、インダクタ13の一端、第1FET12のソース及び第2FET14のドレインの接続節点までの回路部分を指す。よって、ヒューズ11は、例えば第1FET12のソースと上記接続節点との間に介装されていてもよい。一方、蓄電回路5への電路とは、蓄電回路5との間で実質的に同じ大きさの電流(平滑コンデンサ16に出入りする電流と抵抗器22に分流する電流とを除く)が流れる回路部分であり、具体的には、上記接続節点から出力端子19aまでの電路を指す。よって、スイッチ15は、例えば上記接続節点とインダクタ13の一端との間に介装されていてもよい。
【0026】
電圧変換回路1は、また、制御回路21を有する制御部2を備える。制御回路21を構成する方法については、CPUを含めて構成する方法と論理回路を含めて構成する方法とがあるが、以下ではCPUを含めて構成する方法について説明する。制御部2の信号入力端子には、インダクタ13の他端及び接地電位間に直列接続された抵抗器22,23の分圧電圧と、ヒューズ11に流れる電流を検出する電流検出器24が検出した検出信号が与えられる。制御部2の信号出力端子は、第1FET12及び第2FET14のゲートと、スイッチ15の制御端子(ゲート)とに接続されている。抵抗器22,23の分圧電圧は、電源3の電圧を降圧した電圧に比例する電圧となる。
【0027】
制御部2は、抵抗器22,23の分圧電圧及び基準電圧の差分を示す誤差電圧と、内部で生成した三角波とを比較した結果に基づいてPWM制御信号を生成し、生成したPWM制御信号及び該PWM制御信号を反転した信号の夫々を第1FET12及び第2FET14のゲートに与える。これにより、電源3からインダクタ13に流れる電流が、PWM制御信号のデューティに応じて第1FET12によってスイッチングされ、第1FET12のオフ期間にインダクタ13に流れる電流が第2FET14から還流される。このようにして、電源3の電圧からインダクタ13に誘起する電圧が差し引かれて降圧された電圧が、インダクタ13の他端からスイッチ15及び出力端子19a,19bを介して蓄電回路5に供給される。
【0028】
なお、制御部2では、上記のPWM制御とは別に、第1FET12を常時オフ状態とする制御及び該オフ状態を解除する制御と、第2FET14を常時オン状態とする制御及び該オン状態を解除する制御とが可能となるように構成されている。
【0029】
以上のように構成された電圧変換回路1では、制御部2におけるPWM制御によって、出力端子19a,19bから出力される電圧が、電源3の電圧を降圧した一定の電圧となるように制御される。しかしながら、蓄電回路5の変動及び蓄電回路5に接続された図示しない負荷側から流入するノイズ等の影響により、出力端子19a,19bから出力される出力電圧(出力側の電圧)が一時的に上昇する場合がある。
【0030】
図2は、電圧変換回路1の出力電圧が一時的に変動する場合のシミュレーション結果を示す波形図である。図中横軸は時間を表し、縦軸は出力電圧を表す。
図2では、第1FET12が一時的に大きなデューティでオンする異常状態が発生し、その後異常状態が解消する場合を例にして出力電圧の時間変化を示してある。
【0031】
第1FET12がオンするデューティが高くなった場合であっても、インダクタ13が出力電圧の急激な上昇を抑えるように作用する。また、第2FET14が適当なデューティでオンする限り、第2FET14が出力電圧を周期的に引き下げるように作用する。このため、出力電圧は、
図2に示すようにPWM制御の周期で上下に変動しながら徐々に上昇する。その後、第1FET12のデューティに係る異常状態が解消した場合、出力電圧は、蓄電回路5の特性や負荷4で消費される電流等に応じて徐々に低下して行く。
【0032】
次に、本実施の形態1で実行する過電圧保護について説明する。
図3は、過電圧を防止する制御を行う場合の出力電圧の時間変化を模式的に示す説明図である。図中横軸は時間を表し、縦軸は出力電圧を表す。
図3における実線は、ヒューズ11を溶断させて過電圧を防止する場合の出力電圧を示しており、一点鎖線は、ヒューズ11を溶断させずに過電圧を防止する場合の出力電圧を示している。
【0033】
図3に示すように、制御部2によるPWM制御の目標値に応じた出力電圧が、所定の電圧(蓄電回路5に供給すべき目標電圧)V0を中心にしてPWM制御の周期で上下に変動している。ここで、何らかの要因により、出力電圧が一時的に上昇して時刻t1で電圧V1(V1>V0)より高くなった場合、第1FET12が短絡故障した可能性がある。そこで、ヒューズ11を溶断させるために、制御部2の制御により第2FET14を強制的にオン状態にすると共に、蓄電回路5からの電流の逆流を防止するために、制御部2の制御によりスイッチ15をオフさせる。
【0034】
ここで、実際に第1FET12が短絡故障している場合、第2FET14には、電源3からヒューズ11及び第1FET12を介して過電流が流入するが、第2FET14のオン抵抗が低いため、検出される出力電圧は電圧V0より遙かに低い電圧となる。その後ヒューズ11が溶断した場合は、第2FET14における電圧降下が小さくなるため、検出される出力電圧が更に低下し、例えば時刻t4で出力電圧が電圧V0より遙かに低い電圧V4よりも低くなる。この電圧V4は、ヒューズ11が溶断しない限り、出力電圧がそれより低くなることがあり得ない電圧である。つまり、出力電圧が電圧V4より低くなった場合は、ヒューズ11が溶断したことが確かであるため、制御部2の制御により、第2FET14の強制的なオン状態を解除する。
【0035】
さて、出力電圧が一時的に上昇する1つの原因として第1FET12が短絡故障した可能性が考えられる一方で、第1FET12のオン/オフ制御が正常に行える可能性もある。例えば、出力電圧が電圧V1まで上昇する前に、時刻t2で電圧V2より高くなった場合、制御部2の制御により、第1FET12を強制的にオフ状態にして出力電圧を低下させることを試みる。その結果、制御されたとおりに第1FET12がオフして時刻t3で出力電圧が電圧V3以下に低下した場合、制御部2の制御により、第1FET12の強制的なオフ状態を解除する。その後、第1FET12及び第2FET14がPWM制御信号に応じたオン/オフを繰り返すことにより、出力電圧が電圧V0を中心とする電圧に戻ることが想定される。
【0036】
なお、第1FET12を強制的にオフ状態にする場合、第2FET14に対しては、特別な制御を行わなくてもよい。例えば、第1FET12と共に第2FET14を強制的にオフ状態にした場合であっても、インダクタ13の還流電流が第2FET14のボディダイオードを導通するのを阻止することはできない。第2FET14を強制的にオン状態にする場合については上述した通りである。
【0037】
ところで、第1FET12が短絡故障した場合は、
図2に示す波形図と同様に出力電圧が上昇する。この場合、出力電圧を低下させる制御部2のPWM制御によって、第2FET14に対するPWM制御信号のデューティが増大することが考えられる。つまり、そのまま放置しても第1FET12及び第2FET14が実質的にオン状態となって、ヒューズ11が溶断することがあり得る。しかしながら、このようなPWM制御には数ms単位の時間遅れを伴うため、過電圧の保護としては不十分である。本実施の形態1では、例えば数μsから数十μs単位の時間遅れで過電圧の保護を行う。
【0038】
以下では、上述した電圧変換回路1の制御部2の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、制御部2が有する図示しないROMに予め格納されている制御プログラムに従って、制御回路21により実行される。実行中に一時的に発生した情報は、制御部2が有する図示しないRAMに記憶される。また、
図3に示す電圧V1,V2,V3,V4の夫々を、第1電圧,第2電圧,第3電圧,第4電圧という。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態1に係る電圧変換回路1で過電圧保護に係る制御を実行する制御回路21の処理手順を示すフローチャートである。
図4の処理は、制御回路21が所定の初期化処理の実行を終えた後、例えば50μs周期で起動されるが、この周期に限定されるものではない。また、一旦起動された後は、制御回路21が
図4の処理を繰り返し実行するようにしてもよい。
【0040】
図4の処理が起動された場合、制御回路21は、抵抗器22,23の分圧電圧を取り込んで、電源3の電圧を降圧した電圧(つまり出力電圧)を検出し(S10)、検出した電圧、即ち降圧した電圧が第1電圧より低い第2電圧以上であるか否かを比較判定する(S11:第2の比較部)。ここでの第2電圧は、PWM制御の目標値に応じた所定の電圧V0より高い電圧である(
図3参照)。
【0041】
降圧した電圧が第2電圧以上である場合(S11:YES)、制御回路21は、第1FET12を強制的にオフ状態にする(S12)。この場合、第1FET12をオフ状態にしたことを、RAMに記憶するようにしてもよい。そのようにすることにより、
図4の処理が次回起動されてステップS12に至ったときに、第1FET12をオフ状態にする処理をスキップすることができる。但し、ステップS12で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0042】
次いで、制御回路21は、降圧した電圧が、第2電圧より高い第1電圧より更に高いか否かを比較判定し(S13:比較部)、第1電圧より高い場合(S13:YES)、第2FET14を強制的にオン状態にする(S14)と共にスイッチ15を開放させる(S15)。これにより、第1FET12が短絡故障していることを前提にして、ヒューズ11を溶断させるようにすると共に蓄電回路5を切り離す。この場合も、次回起動時に同一処理をスキップするために、第2FET14をオン状態にしたことをRAMに記憶するようにしてもよい。
【0043】
その後、制御回路21は、制御部2が有する図示しない外部インタフェースを用いて所定の報知を行い(S16:報知部)、ヒューズ11を溶断させる過電圧保護を実行したことを外部に通知して、
図4の処理を終了する。RAMに記憶した内容に基づいてステップS14の処理をスキップした場合は、ステップS15,S16の処理もスキップすればよい。
【0044】
ステップS11で、降圧した電圧が第2電圧以上ではない場合(S11:NO)、制御回路21は、降圧した電圧が、第2電圧より低い第3電圧以下であるか否かを比較判定し(S17:第3の比較部)、第3電圧以下である場合(S17:YES)、第1FET12の強制的なオフ状態を解除する(S18)。降圧した電圧が、第3電圧以下ではない場合(S17:NO)、制御回路21は、そのまま
図4の処理を終了する。
【0045】
なお、ステップS12で第1FET12をオフ状態にしたことをRAMに記憶することとした場合は、RAMの記憶内容に基づき、第1FET12が強制的なオフ状態であると判定した上で、ステップS18の処理を実行すればよい。但し、ステップS18で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0046】
ステップS18の処理を終えた場合、制御回路21は、降圧した電圧が、電圧V0より遙かに低い第4電圧よりも更に低いか否かを比較判定し(S19:第4の比較部)、第4電圧より低い場合(S19:YES)、第2FET14の強制的なオン状態を解除して(S20)、
図4の処理を終了する。降圧した電圧が、第4電圧より低くない場合(S19:NO)、制御回路21は、そのまま
図4の処理を終了する。
【0047】
なお、ステップS14で、第2FET14をオン状態にしたことをRAMに記憶することとした場合は、RAMの記憶内容に基づき、第2FET14が強制的なオン状態であると判定した上で、ステップS20の処理を実行すればよい。但し、ステップS20で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0048】
本実施の形態1にあっては、降圧した電圧と、第1電圧,第2電圧,第3電圧,第4電圧夫々との比較判定を制御回路21に含まれるCPUが実行したが、これに限定されるものではない。例えば、降圧した電圧と上記の第1,第2,第3,第4電圧夫々とを複数の電圧比較器(コンパレータ)で比較し、それらの比較結果によって、第2FET14の強制的なオフ状態及び第1FET12の強制的なオン状態夫々について、設定又は解除を行うようにしてもよい。
【0049】
より具体的には、2つのヒステリシスコンパレータを用意して、一のコンパレータの2つのトリップポイント(閾値)を第1電圧及び第2電圧とし、他のコンパレータの2つのトリップポイントを第3電圧及び第4電圧とすればよい。
【0050】
以上のように本実施の形態1によれば、降圧した電圧が制御目標の電圧V0を超えて第1電圧より高くなった場合、第2FET14を強制的にオン状態にすると共に、蓄電回路5への電路を開閉するスイッチ15を開放させる。
つまり、出力電圧が過電圧となった場合、第1FET12が短絡故障した可能性があるため、第2FET14を強制的にオン状態にする。更に、蓄電回路5からインダクタ13を介して第2スイッチング素子に流入する電流を阻止するために、スイッチ15を開放させて蓄電回路5を切り離す。
これにより、現実に第1FET12が短絡故障している場合は、電源3から第1FET12及び第2FET14に流れる過電流によってヒューズ11が溶断して外部の電源3が切り離されるときに、蓄電回路5も切り離される。
従って、出力側の過電圧を検出して入力側の回路を遮断する場合、出力側の電圧低下を防止することが可能となる。
【0051】
また、降圧した電圧が第1電圧より低い第2電圧以上である場合、第1FET12を強制的にオフ状態にし、その後、降圧した電圧が第2電圧より低い第3電圧以下に低下した場合、第1FET12のオフ状態を解除する。
つまり、出力電圧が過電圧となった場合、先ず初めに第1FET12を強制的にオフ状態とすることによって降圧動作を一旦停止させる。その後、出力電圧が低下して過電圧が解消された場合、第1FET12の強制的なオフ状態を解除して降圧動作を再開させる。
従って、出力側の電圧が一時的に過大となった場合、過電圧の抑制を試みた後に自動復帰することが可能となる。
【0052】
更に、降圧した電圧が第4電圧より低くなった場合、第2FET14について設定した強制的なオン状態を解除する。
従って、出力側の電圧が、例えばヒューズ11が溶断しない限りそれより低くなることがあり得ない第4電圧より更に低下した場合、ヒューズ11を溶断させるための制御を終了することが可能となる。
【0053】
更にまた、スイッチ15を開放させた場合、所定の報知を行うことにより、ヒューズ11を溶断させるという不可逆的な過電圧保護を開始したことを使用者に知らしめることが可能となる。
【0054】
(変形例1)
実施の形態1が、降圧した電圧が第4電圧より低くなった場合に第2FET14の強制的なオン状態を解除する形態であるのに対し、変形例1は、ヒューズ11に流れる電流が所定電流より少なくなった場合に第2FET14の強制的なオン状態を解除する形態である。
本変形例1では、実施の形態1では使用しなかった電流検出器24を用いる点を除いて、実施の形態1における電圧変換回路1と同じ回路を用いるため、回路図の説明を省略する。
【0055】
以下では、変形例1に係る電圧変換回路1の制御部2の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、制御部2が有する図示しないROMに予め格納されている制御プログラムに従って、制御回路21により実行される。
図5は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る電圧変換回路1で過電圧保護に係る制御を実行する制御回路21の処理手順を示すフローチャートである。
図5の処理は、制御回路21が所定の初期化処理の実行を終えた後、例えば250μs周期で起動されるが、この周期に限定されるものではない。実施の形態1における
図4の処理のうち、第2FET14のオン状態を解除するためのステップS19,S20の処理は、
図5の処理と並列的に実行してもよいし、スキップしてもよい。
【0056】
図5の処理が起動された場合、制御回路21は、電流検出器24からの検出信号を取り込んでヒューズ11に流れる電流を検出し(S22)、検出した電流が所定電流より少ないか否かを判定する(S23)。ここでの所定電流は、ヒューズ11が溶断しない限りそれより少なくなることがあり得ない電流である。検出した電流が所定電流より少ない場合(S23:YES)、制御回路21は、第2FET14の強制的なオン状態を解除して(S24)、
図5の処理を終了する。検出した電流が所定電流より少なくない場合(S23:NO)、制御回路21は、そのまま
図5の処理を終了する。
【0057】
なお、
図4の処理におけるステップS14で、第2FET14をオン状態にしたことをRAMに記憶することとした場合は、RAMの記憶内容に基づき、第2FET14が強制的なオン状態であると判定した上で、ステップS24の処理を実行すればよい。但し、ステップS24で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0058】
本実施の形態1の変形例1にあっては、電流検出器24によって検出した電流と所定電流との比較判定を制御回路21に含まれるCPUが実行したが、これに限定されるものではない。例えば、第2FET14が強制的なオン状態となっていることを示す信号が有意であるときに、電流検出器24からの検出信号に対応する電圧と、所定電流に対応する所定電圧とを電圧比較器で比較し、比較結果に応じて、第2FET14の強制的なオン状態が解除されるようにすればよい。
【0059】
以上のように本実施の形態1の変形例1によれば、ヒューズ11を流れる電流が所定電流より少なくなった場合、第2FET14について設定した強制的なオン状態を解除する。
従って、ヒューズ11を流れる電流が、例えばヒューズ11が溶断しない限りそれより少なくなることがない所定電流より更に少なくなった場合、ヒューズ11を溶断させるための制御を終了することが可能となる。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態1が、電圧変換回路1が電源3の電圧を降圧して蓄電回路5に供給する間に蓄電回路5を過電圧から保護する形態であるのに対し、実施の形態2は、電圧変換回路が電源3の電圧を昇圧して蓄電回路5に供給する間に電源3を過電圧から保護する形態である。
図6は、本発明の実施の形態2に係る電圧変換回路の構成を示す回路図である。図中1bは電圧変換回路であり、電圧変換回路1bは、入力端子10a,10bから与えられる電源3の電圧を昇圧して、出力端子19a,19bから二次電池を含む蓄電回路5に供給する。
【0061】
電圧変換回路1bは、電源3からの電路を開閉するスイッチ15を介して一端が入力端子10aに接続されたインダクタ13と、該インダクタ13の他端にドレインが接続された第1FET12及び第2FET14とを備える。第2FET14のソースは、蓄電回路5への電路を流れる電流によって溶断するヒューズ(遮断部)11を介して出力端子19aに接続されている。第2FET14のソース及び接地電位間には、平滑コンデンサ16が接続されている。第1FET12のソースは、接地電位に接続されている。
【0062】
電源3からの電路とは、電源3との間で実質的に同じ大きさの電流(抵抗器22に分流する電流を除く)が流れる回路部分であり、具体的には、入力端子10aから、インダクタ13の他端、第1FET12のドレイン及び第2FET14のドレインの接続節点までの電路を指す。よって、スイッチ15は、例えばインダクタ13の他端と上記接続節点との間に介装されていてもよい。一方、蓄電回路5への電路とは、蓄電回路5との間で実質的に同じ大きさの電流(平滑コンデンサ16に出入りする電流と抵抗器25に分流する電流とを除く)が流れる回路部分であり、具体的には、上記接続節点から出力端子19aまでの電路を指す。よって、ヒューズ11は、例えば上記接続節点と第2FET14のドレインとの間に介装されていてもよい。
【0063】
電圧変換回路1bは、また、制御回路21を有する制御部2を備える。制御部2の信号入力端子には、第2FET14のソース及び接地電位間に直列接続された抵抗器25,26の分圧電圧と、ヒューズ11に流れる電流を検出する電流検出器24が検出した検出信号と、インダクタ13の一端及び接地電位間に直列接続された抵抗器22,23の分圧電圧とが与えられる。制御部2の信号出力端子は、第1FET12及び第2FET14のゲートと、スイッチ15の制御端子(ゲート)とに接続されている。抵抗器25,26の分圧電圧は、電源3の電圧を昇圧した電圧に比例する電圧となる。
【0064】
制御部2は、抵抗器25,26の分圧電圧及び基準電圧の差分を示す誤差電圧と、内部で生成した三角波とを比較した結果に基づいてPWM制御信号を生成し、生成したPWM制御信号及び該PWM制御信号を反転した信号の夫々を第1FET12及び第2FET14のゲートに与える。これにより、電源3からインダクタ13に流れる電流が、PWM制御信号のデューティに応じて第1FET12によってスイッチングされ、第1FET12のオフ期間にインダクタ13に流れる電流が蓄電回路5に還流される。このようにして、電源3の電圧にインダクタ13に誘起する電圧が加わって昇圧された電圧が、第2FET14のソースからヒューズ11及び出力端子19a,19bを介して蓄電回路5に供給される。
【0065】
なお、制御部2では、上記のPWM制御に関わらず、第1FET12を常時オン状態とする制御及び該オン状態を解除する制御と、第2FET14を常時オフ状態とする制御及び該オフ状態を解除する制御とが可能となるように構成されている。
【0066】
以上のように構成された電圧変換回路1bでは、制御部2におけるPWM制御によって、出力端子19a,19bから出力される電圧が、電源3の電圧を昇圧した一定の電圧となるように制御される。しかしながら、蓄電回路5の変動及び蓄電回路5に接続された図示しない負荷側から流入するノイズ等の影響により、入力端子10a,10bにおける電源3の電圧(入力側の電圧)が一時的に上昇する場合がある。
【0067】
例えば、第2FET14が短絡的に故障して蓄電回路5から電源3に電流が逆流する場合、インダクタ13が、電源3の電圧の急激な上昇を抑えるように作用する。また、第1FET12が適当なデューティでオンする限り、第1FET12が、電源3の電圧を周期的に引き下げるように作用する。このため、電源3の電圧は、
図2に示す波形図と同様にPWM制御の周期で上下に変動しながら徐々に上昇することが想定される。
【0068】
次に、本実施の形態2で実行する過電圧保護について説明する。電源3の電圧の時間変化を模式的に示す説明図については、実施の形態1における
図3と同等のものになるため、ここでは
図3を引用して説明を行う。但し、
図3の縦軸の出力電圧を、電源3の電圧に読み替える。また、電源3から供給される電流が、制御部2におけるPWM制御の周期で変動するため、電源3の電圧がPWM制御の周期で変動しているものと読み替える。更に、電圧V0は、電源3の定格電圧に応じた所定の電圧と読み替える。
なお、時刻t3より後の時刻t4における電圧V4については、ここでは出力電圧の意味で用いる。
【0069】
読み替えた
図3に示すように、電源3の電圧が、何らかの要因により、一時的に上昇して時刻t1で電圧V1(V1>V0)より高くなった場合、第2FET14が短絡故障した可能性がある。そこで、ヒューズ11を溶断させるために、制御部2の制御により第1FET12を強制的にオン状態にすると共に、電源3からの電流の流入を防止するために、制御部2の制御によりスイッチ15をオフさせる。
【0070】
ここで、実際に第2FET14が短絡故障している場合、第1FET12には、蓄電回路5からヒューズ11及び第2FET14を介して過電流が流入するが、第1FET12のオン抵抗が低いため、検出される出力電圧は電圧V0より遙かに低い電圧となる。その後ヒューズ11が溶断した場合は、第1FET12における電圧降下が小さくなるため、検出される出力電圧が更に低下し、例えば時刻t4で出力電圧が蓄電回路5に供給すべき目標電圧より遙かに低い電圧V4(第4電圧)よりも低くなる。この電圧V4は、ヒューズ11が溶断しない限り、出力電圧がそれより低くなることがあり得ない電圧である。つまり、出力電圧が電圧V4より低くなった場合は、ヒューズ11が溶断したことが確かであるため、制御部2の制御により、第1FET12の強制的なオン状態を解除する。
【0071】
さて、出力電圧が一時的に上昇する1つの原因として第2FET14が短絡故障した可能性が考えられる一方で、第2FET14のオン/オフ制御が正常に行える可能性もある。例えば、出力電圧が電圧V1まで上昇する前に、時刻t2で電圧V2より高くなった場合、制御部2の制御により、第2FET14を強制的にオフ状態にして電源3の電圧を低下させることを試みる。その結果、制御されたとおりに第2FET14がオフして時刻t2で電源3の電圧が電圧V2以下に低下した場合、制御部2の制御により、第2FET14の強制的なオフ状態を解除する。その後、第1FET12及び第2FET14がPWM制御信号に応じたオン/オフを繰り返すことにより、電源3の電圧が電圧V0を中心とする電圧に戻ることが想定される。
【0072】
なお、第2FET14を強制的にオフ状態にする場合、第1FET12に対して別の制御を行ってもよい。例えば、第2FET14と共に第1FET12を強制的にオフ状態にした場合、インダクタ13に流れる電流のスイッチングを完全に停止させることができる。第1FET12を強制的にオン状態にする場合については上述した通りである。
【0073】
ところで、第2FET14が短絡故障した場合は、蓄電回路5から電源3に電流が逆流するため、蓄電回路5に供給する出力電圧が低下する。この場合、出力電圧を上昇させる制御部2のPWM制御によって、第1FET12に対するPWM制御信号のデューティが増大することが考えられる。つまり、そのまま放置しても第1FET12及び第2FET14が実質的にオン状態となって、ヒューズ11が溶断することがあり得る。しかしながら、このようなPWM制御には数ms単位の時間遅れを伴うため、過電圧の保護としては不十分である。本実施の形態1では、例えば数μsから数十μs単位の時間遅れで過電圧の保護を行う。
【0074】
以下では、上述した電圧変換回路1bの制御部2の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、制御部2が有する図示しないROMに予め格納されている制御プログラムに従って、制御回路21により実行される。実行中に一時的に発生した情報は、制御部2が有する図示しないRAMに記憶される。実行中に一時的に発生した情報は、制御部2が有する図示しないRAMに記憶される。また、読み替えた
図3に示す電圧V1,V2,V3の夫々を、第1電圧,第2電圧,第3電圧という。
【0075】
図7は、本発明の実施の形態2に係る電圧変換回路1bで過電圧保護に係る制御を実行する制御回路21の処理手順を示すフローチャートである。
図7の処理は、制御回路21が所定の初期化処理の実行を終えた後、例えば50μs周期で起動されるが、この周期に限定されるものではない。また、一旦起動された後は、制御回路21が
図7の処理を繰り返し実行するようにしてもよい。
【0076】
図7の処理が起動された場合、制御回路21は、抵抗器22,23の分圧電圧を取り込んで、入力端子10a,10bから与えられる電源3の電圧を検出し(S30)、検出した電圧、即ち電源3の電圧が第1電圧より低い第2電圧以上であるか否かを比較判定する(S31:第2の比較部)。ここでの第2電圧は、電源3の定格電圧に応じた所定の電圧V0より高い電圧である(
図3参照)。
【0077】
電源3の電圧が第2電圧以上である場合(S31:YES)、制御回路21は、第2FET14を強制的にオフ状態にする(S32)。この場合、第2FET14をオフ状態にしたことを、RAMに記憶するようにしてもよい。そのようにすることにより、
図7の処理が次回起動されてステップS32に至ったときに、第2FET14をオフ状態にする処理をスキップすることができる。但し、ステップS32で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0078】
次いで、制御回路21は、電源3の電圧が、第2電圧より高い第1電圧より更に高いか否かを比較判定し(S33:比較部)、第1電圧より高い場合(S33:YES)、第1FET12を強制的にオン状態にする(S34)と共にスイッチ15を開放させる(S35)。これにより、第2FET14が短絡故障していることを前提にして、ヒューズ11を溶断させるようにすると共に電源3を切り離す。この場合も、次回起動時に同一処理をスキップするために、第1FET12をオン状態にしたことをRAMに記憶するようにしてもよい。
【0079】
その後、制御回路21は、制御部2が有する図示しない外部インタフェースを用いて所定の報知を行い(S36:報知部)、ヒューズ11を溶断させる過電圧保護を実行したことを外部に通知して、
図7の処理を終了する。RAMに記憶した内容に基づいてステップS34の処理をスキップした場合は、ステップS35,S36の処理もスキップすればよい。
【0080】
ステップS31で、電源3の電圧が第2電圧以上ではない場合(S31:NO)、制御回路21は、電源3の電圧が、第2電圧より低い第3電圧以下であるか否かを比較判定し(S37:第3の比較部)、第3電圧以下である場合(S37:YES)、第2FET14の強制的なオフ状態を解除する(S38)。電源3の電圧が、第3電圧以下ではない場合(S37:NO)、制御回路21は、そのまま
図7の処理を終了する。
【0081】
なお、ステップS32で第2FET14をオフ状態にしたことをRAMに記憶することとした場合は、RAMの記憶内容に基づき、第2FET14が強制的なオフ状態であると判定した上で、ステップS38の処理を実行すればよい。但し、ステップS38で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0082】
ステップS38の処理を終えた場合、制御回路21は、抵抗器25,26の分圧電圧を取り込んで、電源3の電圧を昇圧した電圧(つまり出力側の電圧)を検出し(S39)、検出した電圧、即ち昇圧した電圧が、蓄電回路5に供給すべき目標電圧より遙かに低い第4電圧よりも更に低いか否かを比較判定し(S40:第4の比較部)、第4電圧より低い場合(S40:YES)、第1FET12の強制的なオン状態を解除して(S41)、
図7の処理を終了する。昇圧した電圧が、第4電圧より低くない場合(S40:NO)、制御回路21は、そのまま
図7の処理を終了する。
【0083】
なお、ステップS34で、第1FET12をオン状態にしたことをRAMに記憶することとした場合は、RAMの記憶内容に基づき、第1FET12が強制的なオン状態であると判定した上で、ステップS40の処理を実行すればよい。但し、ステップS40で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0084】
本実施の形態2にあっては、電源3の電圧及び第1電圧,第2電圧,第3電圧夫々の比較判定と、昇圧した電圧及び第4電圧の比較判定とを制御回路21に含まれるCPUが実行したが、これに限定されるものではなく、複数の電圧比較器を用いて電圧判定を行うようにしてもよい。
【0085】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0086】
以上のように本実施の形態2によれば、電源3の電圧が、定格電圧に応じた所定の電圧V0を超えて第1電圧より高くなった場合、第1FET12を強制的にオン状態にすると共に、電源3からの電路を開閉するスイッチ15を開放させる。
つまり、電源3の電圧が過電圧となった場合、第2FET14が短絡故障した可能性があるため、第1FET12を強制的にオン状態にする。更に、電源3からインダクタ13を介して第1スイッチング素子に流入する電流を阻止するために、スイッチ15を開放させて電源3を切り離す。
これにより、現実に第2FET14が短絡故障している場合は、蓄電回路5から第2FET14及び第1FET12に流れる過電流によってヒューズ11が溶断して蓄電回路5が切り離されるときに、電源3も切り離される。
従って、出力側の過電圧を検出して入力側の回路を遮断する場合、出力側の電圧低下を防止することが可能となる。
【0087】
また、電源3の電圧が第1電圧より低い第2電圧以上である場合、第2FET14を強制的にオフ状態にし、その後、降圧した電圧が第2電圧より低い第3電圧以下に低下した場合、第2FET14のオフ状態を解除する。
つまり、電源3のが過電圧となった場合、先ず初めに第2FET14を強制的にオフ状態とすることによって昇圧動作を一旦停止させると共に蓄電回路5を切り離す。その後、電源3の電圧が低下して過電圧が解消された場合、第2FET14の強制的なオフ状態を解除して昇圧動作を再開させる。
従って、入力側の電圧が一時的に過大となった場合、過電圧の抑制を試みた後に自動復帰することが可能となる。
【0088】
更に、昇圧した電圧が第4電圧より低くなった場合、第1FET12について設定した強制的なオン状態を解除する。
従って、出力側の電圧が、例えばヒューズ11が溶断しない限りそれより低くなることがあり得ない第4電圧より更に低下した場合、ヒューズ11を溶断させるための制御を終了することが可能となる。
【0089】
更にまた、スイッチ15を開放させた場合、所定の報知を行うことにより、ヒューズ11を溶断させるという不可逆的な過電圧保護を開始したことを使用者に知らしめることが可能となる。
【0090】
(変形例2)
実施の形態2が、昇圧した電圧が第4電圧より低くなった場合に第1FET12の強制的なオン状態を解除する形態であるのに対し、変形例2は、ヒューズ11に流れる電流が所定電流より少なくなった場合に第1FET12の強制的なオン状態を解除する形態である。
本変形例2では、実施の形態2では使用しなかった電流検出器24を用いる点を除いて、実施の形態1における電圧変換回路1bと同じ回路を用いるため、回路図の説明を省略する。
【0091】
以下では、変形例2に係る電圧変換回路1bの制御部2の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、制御部2が有する図示しないROMに予め格納されている制御プログラムに従って、制御回路21により実行される。
図8は、本発明の実施の形態2の変形例2に係る電圧変換回路1bで過電圧保護に係る制御を実行する制御回路21の処理手順を示すフローチャートである。
図8の処理は、制御回路21が所定の初期化処理の実行を終えた後、例えば250μs周期で起動されるが、この周期に限定されるものではない。実施の形態2における
図7の処理のうち、第1FET12のオン状態を解除するためのステップS39〜S41の処理は、
図8の処理と並列的に実行してもよいし、スキップしてもよい。
【0092】
図8の処理が起動された場合、制御回路21は、電流検出器24からの検出信号を取り込んでヒューズ11に流れる電流を検出し(S42)、検出した電流が所定電流より少ないか否かを判定する(S43)。ここでの所定電流は、ヒューズ11が溶断しない限りそれより少なくなることがあり得ない電流である。検出した電流が所定電流より少ない場合(S43:YES)、制御回路21は、第1FET12の強制的なオン状態を解除して(S44)、
図8の処理を終了する。検出した電流が所定電流より少なくない場合(S43:NO)、制御回路21は、そのまま
図8の処理を終了する。
【0093】
なお、
図7の処理におけるステップS34で、第1FET12をオン状態にしたことをRAMに記憶することとした場合は、RAMの記憶内容に基づき、第1FET12が強制的なオン状態であると判定した上で、ステップS44の処理を実行すればよい。但し、ステップS44で同じ処理を複数回実行したとしても特に問題は生じない。
【0094】
本実施の形態2の変形例2にあっては、電流検出器24によって検出した電流と所定電流との比較判定を制御回路21が実行したが、これに限定されるものではない。例えば、第1FET12が強制的なオン状態となっていることを示す信号が有意であるときに、電流検出器24からの検出信号に対応する電圧と、所定電流に対応する所定電圧とを電圧比較器で比較し、比較結果に応じて、第1FET12の強制的なオン状態が解除されるようにすればよい。
【0095】
以上のように本実施の形態2の変形例2によれば、ヒューズ11を流れる電流が所定電流より少なくなった場合、第1FET12について設定した強制的なオン状態を解除する。
従って、ヒューズ11を流れる電流が、例えばヒューズ11が溶断しない限りそれより少なくなることがない所定電流より更に少なくなった場合、ヒューズ11を溶断させるための制御を終了することが可能となる。
【0096】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。