【実施例1】
【0031】
図2及び
図3を参照して第1の実施例を説明する。
図2は、電流共振型コンバータ3のスイッチング周波数と電圧変換率の関係を示したグラフである。Q(=Z
0/Rac)は、等価負荷抵抗Racと特性インピーダンスZ
0により決まる値である。このグラフで、横軸は共振周波数f
0を基準としたスイッチング周波数fswの比率F(=fsw/f
0)で示されており、縦軸はスイッチング周波数fswが共振周波数f
0と等しいときの電圧変換率(Vo/Vb)を基準とした電圧変換率Mで示されている。従って、fsw=f
0のとき、F及びMは共に1になる。
【0032】
グラフ上の点Aは、スイッチング周波数fswが共振周波数f
0と等しいときに対応する。fsw=f
0(F=1)のときは、Qの値に関わらず、電圧変換率Mは同じ値になる。点B1は、無負荷状態(Q=0つまりRac=∞)で、スイッチング周波数fswを共振周波数f
0の0.6倍の周波数(0.6×f
0)にしたときに対応する。点B2は、無負荷状態(Q=0)で、スイッチング周波数fswを共振周波数f
0の1.5倍の周波数(1.5×f
0)にしたときに対応する。無負荷状態(Q=0)で、Fを0.6〜1.5の間で変化させた場合(スイッチング周波数fswを0.6×f
0から1.5×f
0までの間で変化させた場合)、電圧変換率Mは、点B1、点A及び点B2を通る曲線上で変化する。また、点C1は、Q=0.4の状態で、スイッチング周波数fswを振周波数f
0の0.6倍の周波数(0.6×f
0)にしたときに対応する。点C2は、Q=0.4の状態で、スイッチング周波数fswを共振周波数f
0の1.5倍の周波数(1.5×f
0)にしたときに対応する。Q=0.4の状態で、Fを0.6〜1.5の間で変化させた場合(スイッチング周波数fswを0.6×f
0から1.5×f
0までの間で変化させた場合)、電圧変換率Mは、点C1、点A及び点C2を通る曲線上で変化する。
【0033】
図2のグラフからも分かるように、電流共振型コンバータ3のスイッチング周波数fswを共振周波数f
0の0.6倍の周波数である最小周波数fmin(=0.6×f
0)から共振周波数f
0の1.5倍の周波数である最大周波数fmax(=1.5×f
0)までの間で変化させたき、電圧変換率Mは、スイッチング周波数fswが最小周波数fminになったときに最大となり、スイッチング周波数fswが最大周波数fmaxになったときに最小になる。また、スイッチング周波数fswが共振周波数f
0と異なる場合には、電圧変換率MはQの値に応じて変化する。つまり、電圧変換率Mは、等価負荷抵抗Racが変動すると、それに応じて変化する。例えば、スイッチング周波数fswを最大周波数fmaxに維持した状態で、等価負荷抵抗Racが変動し、その結果としてQが0〜0.4の間で変化すると、電圧変換率Mは点B2と点C2を結ぶ直線で変化する。尚、
図2に示した例では、点B2に対応する電圧変換率Mは、0.9になるように設定されている。
【0034】
第2の制御回路5は、電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voを指令電圧生成回路6から与えられる目標電圧Vtgtに一致させるように、スイッチング周波数fswを最小周波数fminから最大周波数fmaxの間で変化させるスイッチング周波数fswの制御を行う。ここで、スイッチング周波数fswが最大周波数fmaxに到達するまでは、このスイッチング周波数fswの制御により、出力電圧Voを目標電圧Vtgtに一致させるように電圧変換率Mが調整される。このとき、降圧コンバータ2の時比率は1に維持されている。つまり、トランジスタ(FET)Q2はオン状態に維持されている。このようにトランジスタ(FET)Q2がオン状態に維持されているとき、スイッチング損失(トランジスタ(FET)Q2がオンするとき、又はオフするときに生じる損失)、ダイオードD2の損失及びインダクタL2の鉄損が生じないので、降圧コンバータ2で生じる損失を低く抑えることができる。
【0035】
一方、電流共振型コンバータ3のスイッチング周波数fswが最大周波数fmaxに到達したとき、第2の制御回路5は、スイッチング周波数fswを最大周波数fmaxに維持した状態で、降圧コンバータ2の時比率を調整する。このとき、降圧コンバータ2の時比率は1より小さくなり、トランジスタ(FET)Q2がスイッチング動作を開始する。つまり、降圧コンバータ2が降圧動作を開始する。この降圧動作により、電流共振型コンバータ3に入力される電圧Vbが力率改善回路1によって生成される電圧Vpよりも低くなる。このようにして電圧Vbを降下させるのは、スイッチング周波数fswが最大周波数fmaxに到達したときには、電流共振型コンバータ3の電圧変換率Mをこれ以上小さくすることができないためである。電圧変換率Mをこれ以上小さくすることができなくなったとき、つまり、スイッチング周波数fswが最大周波数fmaxに到達したときには、次のような制御が行われる。指令電圧生成回路6から与えられる目標電圧Vtgtが電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voよりも低いときには、第2の制御回路5が降圧コンバータ2の時比率を小さくしていく。降圧コンバータ2の時比率が小さくなっていくと、電流共振型コンバータ3に入力される電圧Vbが降下するため、出力電圧Voも降下する。第2の制御回路5は、出力電圧Voが目標電圧Vtgtと等しくなるまで、降圧コンバータ2の時比率を小さくしていく。反対に、目標電圧Vtgtが出力電圧Voよりも高いときには、第2の制御回路5が降圧コンバータ2の時比率を大きくしていく。降圧コンバータ2の時比率が大きくなっていくと、電流共振型コンバータ3に入力される電圧Vbが上昇するため、出力電圧Voも上昇する。第2の制御回路5は、出力電圧Voが目標電圧Vtgtと等しくなるまで、降圧コンバータ2の時比率を大きくしていく。このように、第2の制御回路5は、降圧コンバータ2の時比率を制御することにより、電流共振型コンバータ3に入力される電圧Vbを調整し、出力電圧Voを目標電圧Vtgtに一致させる。
【0036】
次に、
図3を参照して、降圧コンバータ2と電流共振型コンバータ3の動作を説明する。
図3は、降圧コンバータ2のトランジスタ(FET)Q2並びに電流共振型コンバータ3のトランジスタ(FET)Q3及びトランジスタ(FET)Q4のスイッチング動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3において、上から一番目と二番目の波形は、トランジスタ(FET)Q3とトランジスタ(FET)Q4のゲートに印加される駆動電圧の電圧波形をそれぞれ示し、上から四番目の波形は、トランジスタ(FET)Q2のゲートに印加される駆動電圧の電圧波形を示している。尚、トランジスタ(FET)Q2〜4は、駆動電圧がハイレベルのときにオンしロウレベルのときにオフする。また、上から三番目に、トランジスタ(FET)Q3及びトランジスタ(FET)Q4がオンオフするスイッチング周波数fswの変化が示され、上から五番目に、降圧コンバータ2から出力される電圧Vbと、力率改善回路1から出力される電圧Vpの比(Vb/Vp)が示されている。
【0037】
期間Taにおいては、トランジスタ(FET)Q3とトランジスタ(FET)Q4のスイッチング周波数fswは上昇していき、トランジスタ(FET)Q2はオン状態に維持されている。この期間、第2の制御回路5は、電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voを目標電圧Vtgtに一致させるように、トランジスタ(FET)Q3とトランジスタ(FET)Q4のスイッチング周波数fswを制御する。この例では、第2の制御回路5は、出力電圧Voを目標電圧Vtgtに一致させるために、スイッチング周波数fswを上昇させていく。その結果、電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voは、スイッチング周波数fswの上昇に応じて降下していく。そして、時点t1でスイッチング周波数fswが最大周波数fmaxに到達し、期間Tbに移行する。
【0038】
期間Tbにおいては、トランジスタ(FET)Q3とトランジスタ(FET)Q4のスイッチング周波数fswは、最大周波数fmaxに維持される。一方、トランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率は1未満となり、トランジスタ(FET)Q2がスイッチング動作を開始する。この期間、第2の制御回路5は、電流共振型コンバータ3のスイッチング周波数fswを最大周波数fmaxに維持しつつ、電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voを目標電圧Vtgtに一致させるように、トランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率を制御する。つまり、等価負荷抵抗Racの変化の影響がなければ、第2の制御回路5は、目標電圧Vtgtが降下したときにトランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率を降下させ、目標電圧Vtgtが上昇したときにトランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率を上昇させる。トランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率が降下すると、降圧コンバータ2から出力される電圧Vbが降下するため、Vb/Vpの値が小さくなっていき、出力電圧Voが降下する。トランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率が上昇すると、降圧コンバータ2から出力される電圧Vbが上昇するため、Vb/Vpの値が大きくなっていき、出力電圧Voが上昇する。そして、トランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率が1になると電圧Vpと電圧Vbが等しくなるため、Vb/Vpの値は1になる。この例では、時点t2で、トランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率が1になる。そして、この期間は、時点t2で終了し、期間Tcに移行する。
【0039】
期間Tcにおいては、トランジスタ(FET)Q3とトランジスタ(FET)Q4のスイッチング周波数fswは降下していき、トランジスタ(FET)Q2がオンオフする時比率は1に維持されている(トランジスタ(FET)Q2はオン状態に維持されている)。この期間、第2の制御回路5は、電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voを目標電圧Vtgtに一致させるように、トランジスタ(FET)Q3とトランジスタ(FET)Q4のスイッチング周波数fswを制御する。この例では、第2の制御回路5は、電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voを目標電圧Vtgtに一致させるために、トランジスタ(FET)Q3とトランジスタ(FET)Q4のスイッチング周波数fswを降下させていく。このとき、電流共振型コンバータ3から出力される出力電圧Voは、等価負荷抵抗Racの変化の影響がなければ、スイッチング周波数fswが降下するにつれて上昇していく。
【0040】
上述のように、本実施例では、トランジスタ(FET)Q2は、電流共振型コンバータ3のスイッチング周波数fswが最大周波数fmaxに到達したときにだけ、スイッチング動作を開始する。従って、トランジスタ(FET)Q2が、常時、スイッチング動作を行っている場合よりも、降圧コンバータ2における損失を低減することができる。
【0041】
次に、降圧コンバータ2及び電流共振型コンバータ3のスイッチング動作を制御する制御システム(制御系)を、図面を参照して説明する。
図4は、この制御システム(制御系)のブロック線図を示している。このブロック線図に示されているように、この制御システム(制御系)は、減算器21、PID制御器22、乗算器23、制限器24、減算器25、乗算器26、加算器27及び制限器28により構成されている。
【0042】
この制御システム(制御系)おいて、PWM制御により時比率Dが制御されている降圧コンバータ2に対する指令値(第1の指令値)は、減算器21、PID制御器22、乗算器23及び制限器24により生成される。一方、PFM制御によりスイッチング周波数fswが制御されている電流共振型コンバータ3に対する指令値(第2の指令値)は、減算器21、PID制御器22、減算器25、乗算器26、加算器27及び制限器28により生成される。このように、この制御システム(制御系)は、降圧コンバータ2に対する第1の指令値を生成するためのブロックと電流共振型コンバータ3に対する第2の指令値を生成するためのブロックを含んでいる。そして、減算器21からPID制御器22までは、第1の指令値を生成する側と第2の指令値を生成する側とで共用されている。
【0043】
つぎに、この制御システム(制御系)を構成する各要素について説明する。減算器21は、出力電圧Voの目標値である目標電圧Vtgtから出力電圧Voを減算する。この減算により得られた差分値(Vtgt−Vo)は、PID制御器22に入力される。尚、減算器21は、出力電圧Voから目標電圧Vtgtを減算するような構成であってもよい。
【0044】
PID制御器22は、差分値(Vtgt−Vo)又は差分値(Vo−Vtgt)に基づいて操作量Uを生成する。この操作量Uは、比例制御、積分制御及び微分制御の3つを組み合わせた制御に基づいて生成される。PID制御器22は、比例制御、積分制御及び微分制御のうちのいずれか1つを用いた制御により、又はこれらのうちの2つを組み合わせた制御により、操作量Uを生成する制御器に置き換えることもできる。但し、一般的な電源装置においては、比例制御、積分制御及び微分制御の3つの組み合せた制御器、比例制御及び積分制御の2つの組み合せた制御器、又は比例制御及び微分制御の2つの組み合せた制御器を用いることが好ましい。尚、降圧コンバータ2に対する第1の指令値及びと電流共振型コンバータ3に対する第2の指令値は、共にPID制御器22により生成される操作量Uに基づいて生成される。
【0045】
次に、降圧コンバータ2に対する第1の指令値を生成する経路について説明する。乗算器23には、PID制御器22により生成された操作量Uが入力される。乗算器23は、操作量Uに第1の定数Kaを乗算した値(第1の算出値)を出力する。この第1の算出値(U×Ka)は、制限器24により、所定の最大時比率Dmaxが上限になるように制限されたうえで、降圧コンバータ2のPWM制御における時比率Dの指令値として出力される。つまり、第1の算出値(U×Ka)が最大時比率Dmaxより小さいときは、第1の算出値(U×Ka)が時比率Dの指令値として出力される。そして、第1の算出値(U×Ka)が最大時比率Dmaxと等しいとき、又は最大時比率Dmaxより大きいときは、最大時比率Dmaxが時比率Dの指令値として出力される。
【0046】
次に、電流共振型コンバータ3に対する第2の指令値を生成する経路について説明する。減算器25は、PID制御器22により生成された操作量Uから第2の定数Aを減算した値(U−A)を出力する。第2の定数Aは、例えば、Dmax/Ka(最大時比率Dmaxを第1の定数Kaで除算した値)に設定される。乗算器26は、減算器25から出力される値に第3の定数Kbを乗算した値((U−A)×Kb)を出力する。加算器27は、乗算器26から出力される値に第4の定数Bを加算した値(第2の算出値=(U−A)×Kb+B)を出力する。第4の定数は、例えば、PFM制御における最大のスイッチング周波数(最大周波数fmax)に対応する周期(最小周期Tmin=1/fmax)に設定される。加算器27から出力される第2の算出値((U−A)×Kb+B)は、制限器28により、所定の最小周期Tminが下限になるように制限されたうえで、電流共振型コンバータ3のPFM制御にける周期Tの指令値(つまり、スイッチング周波数fswを調整するための指令値)として出力される。つまり、第2の算出値((U−A)×Kb+B)が最小周期Tminと等しいとき、又は第2の算出値((U−A)×Kb+B)が最小周期Tminより小さいときは、最小周期Tminが周期Tの指令値として出力される。そして、第2の算出値((U−A)×Kb+B)が最小周期Tminより大きいときは、第2の算出値((U−A)×Kb+B)が周期Tの指令値として出力される。
【0047】
上記のように、電流共振型コンバータ3に対する第2の指令値は、スイッチング周波数fswの値としてではなく、スイッチングの周期Tの値として生成される。しかし、スイッチング周波数fswはスイッチングの周期Tの逆数なので、スイッチングの周期Tの指令値を生成することにより、間接的に又は実施的にスイッチング周波数fswの指令値を生成している。
【0048】
次に、PID制御器22により生成された操作量U、降圧コンバータ2に対する第1の指令値である時比率D及び電流共振型コンバータ3に対する第2指令値である周期Tの関係を、図面を参照して説明する。
図5はこれらの関係を示したグラフであり、操作量Uが横軸に、時比率D及び周期Tが縦軸に割り当てられている。
【0049】
時比率Dは、最大時比率Dmaxに到達するまでは、一定の傾きで増加していく。この傾きは、第1の定数Kaによって決まる。つまり、操作量Uの変化に対する時比率Dの変化の度合いは、第1の定数Kaを大きくすると大きくなり、第1の定数Kaを小さくすると小さくなる。また、時比率Dが最大時比率Dmaxに到達すると、操作量Uが増加しても、時比率Dは一定値(最大時比率Dmax)に維持される。
【0050】
周期Tは、操作量Uが第2の定数Aに到達するまでは、操作量Uが増加しても一定値(最小周期Tmin)に維持される。操作量Uが第2の定数Aを超えると、周期Tは一定の傾きで増加していく。この傾きは、第3の定数Kbによって決まる。つまり、操作量Uの変化に対する周期Tの変化の度合いは、第3の定数Kbを大きくすると大きくなり、第3の定数Kbを小さくすると小さくなる。また、第3の定数Kbは、操作量Uが最大操作量Umaxに到達したときに、周期Tが最大周期Tmax(最小周波数fminの逆数)に到達するように設定される。また、第2の定数AをDmax/Ka(最大時比率Dmaxを第1の定数Kaで除算した値)に設定し、第4の定数Bを最小周期Tminに設定することにより、時比率Dが増加から一定値に切り替るときに、周期Tが一定値から増加に切り替るようにすることができる。つまり、このように設定すれば、周期Tが最小周期Tminに維持されているときに、時比率Dが操作量Uの変化に応じて変化し、時比率Dが最大時比率Dmaxに維持されているときに、周期Tが操作量Uの変化に応じて変化するようにすることができる。
【実施例3】
【0053】
次に、限られた操作量Uの範囲において、操作量Uの変化に基づいた時比率Dの変化及び周期Tの変化の双方を許容する場合の実施例(第3の実施例)を、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7に示されている第3の実施例の制御システム(制御系)では、最大時比率Dmaxは1に設定され、第2の定数Aは0.9/Kaに設定される。
【0054】
このように設定した場合、
図7に示したように、時比率Dは操作量Uが1/Kaを超えると1に維持される。一方、周期Tは操作量Uが0.9/Kaを超えると操作量Uの変化に基づいた変化を開始する。従って、操作量Uが0.9/Kaから1/Kaまでの範囲においては、時比率Dが操作量Uの変化に基づいて変化すると共に、周期Tも操作量Uの変化に基づいて変化する。
【0055】
次に、電流共振型コンバータの共振回路の構成方法について図面を参照して説明する。この共振回路において、直列共振に関わるインダクタ(直列共振インダクタ)と並列共振に関わるインダクタ(並列共振インダクタ)は、以下のようにして構成される。
図9は、直列共振インダクタを、トランスT1の漏れインダクタLrp、Lrsにより構成した場合を示している。この場合、トランスT1を疎結合にし、このトランスT1に共振コンデンサを接続することにより共振回路が構成される。このとき、トランスT1の結合係数は0.8〜0.9程度に設定される。尚、トランスT1の励磁インダクタLmは、並列共振インダクタになる。
【0056】
図10は、直列共振インダクタを、外部インダクタLaddにより構成した場合を示している。この場合、トランスT1を密結合にし、このトランスT1に外部インダクタLaddと共振コンデンサを接続することにより共振回路が構成される。尚、トランスT1の励磁インダクタLmは、
図10の場合と同様に、並列共振インダクタになる。
【0057】
図11は、直列共振インダクタを、外部インダクタLaddと漏れインダクタLrp、Lrsにより構成した場合を示している。この場合、トランスT1を疎結合にし、このトランスT1に外部インダクタLaddと共振コンデンサを接続することにより共振回路が構成される。尚、トランスT1の励磁インダクタLmは、
図10の場合と同様に、並列共振インダクタになる。
【0058】
次に、共振回路の共振コンデンサの構成方法について説明する。
図12は、コンデンサC11及びコンデンサC12により、共振コンデンサを構成した場合を示している。この場合、直流電源Vinの両端にコンデンサC11とコンデンサC12が直列に接続され、コンデンサC11とコンデンサC12の接続部にトランスT1の一次巻線の一端が接続される。
【0059】
図13は、コンデンサC13、コンデンサC14及びコンデンサC15により、共振コンデンサを構成した場合を示している。この場合、直流電源Vinの両端にコンデンサC14とコンデンサC15が直列に接続され、コンデンサC14とコンデンサC15の接続部とトランスT1の一次巻線の一端との間にコンデンサC13が接続される。また、コンデンサC14及びコンデンサC15の過負荷保護のために、これらのコンデンサにダイオードD11及びダイオード12を並列に接続してもよい。この例では、コンデンサC14と並列にダイオードD11が接続されており、この接続において、ダイオードD11のカソードは直流電源Vinの正極側に接続される。また、コンデンサC15と並列にダイオードD12が接続されており、この接続において、ダイオードD12のアノードは直流電源Vinの負極側に接続される。尚、このようにダイオードD11及びダイオード12を接続することにより、出力電圧の垂下を行わせることも可能になる。
【0060】
また、本実施1から3では、ハーフブリッジ構成の電流共振型コンバータを用いたが、
図14に示したようなフルブリッジ構成の電流共振型コンバータであってもよい。この回路では、直流電源Vinの両端にトランジスタ(FET)Q11とトランジスタ(FET)Q12が直列に接続され、更に、トランジスタ(FET)Q13とトランジスタ(FET)Q14も直流電源Vinの両端に直列に接続されている。トランジスタ(FET)Q11とトランジスタ(FET)Q12の接続部は、共振回路を構成するコンデンサCrとインダクタCrを介してトランスT1の一次巻線の一端に接続され、トランジスタ(FET)Q13とトランジスタ(FET)Q14の接続部は、トランスT1の一次巻線の他端に接続されている。トランジスタ(FET)Q11とトランジスタ(FET)Q14が同時にオンし、トランジスタ(FET)Q12とトランジスタ(FET)Q13が同時にオンする。トランジスタ(FET)Q11とトランジスタ(FET)Q14の組と、トランジスタ(FET)Q12とトランジスタ(FET)Q13の組は、ほぼ50%の時比率で、デッドタイムを挟んで交互にオンする。
【0061】
また、トランスT1の二次側に設けられる整流回路は、
図15に示したようなダイオードブリッジ10であってもよい。
【0062】
上述のように、本発明に係るコンバータの一部をなす電流共振型コンバータには色々な構成があるが、共振電流が流れるスイッチング素子のスイッチング周波数により電圧変換率が調整されるように構成されていれば、その構成は、特に、限定されることはない。従って、電流共振型コンバータは、トランスT1の一次巻線又は二次巻線にコンデンサが並列に接続された電流共振型コンバータ(いわゆるLCCコンバータ)であっても、同様に実施することができる。また、降圧コンバータについても、降圧動作をするように構成されていれば、その構成は、特に、限定されることはない。
【0063】
また、上記の実施例では、降圧コンバータを電流共振型コンバータの前段に接続した場合について説明したが、本発明は、降圧コンバータを電流共振型コンバータの後段に接続した場合にも同様に実施することができる。つまり、
図16に示したように、電流共振型コンバータの出力が降圧コンバータの入力に接続される構成であっても、本発明を同様に実施することができる。尚、このように降圧コンバータを電流共振型コンバータの後段に接続した場合、降圧コンバータから出力される出力電圧を、指令電圧生成回路から与えられる目標電圧に一致させるように、降圧コンバータ及び電流共振型コンバータの動作が制御される。