特許第5958427号(P5958427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958427
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】無人搬送車の駆動システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/00 20160101AFI20160719BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20160719BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20160719BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20160719BHJP
   B60L 11/12 20060101ALI20160719BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   B60W20/00
   B60W10/08 900
   B60K6/46ZHV
   B60W10/06 900
   B60L11/12
   F02D29/06 D
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-140190(P2013-140190)
(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-156240(P2014-156240A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-6323(P2013-6323)
(32)【優先日】2013年1月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】角田 憲哉
(72)【発明者】
【氏名】港 智史
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−153938(JP,A)
【文献】 特開平07−131905(JP,A)
【文献】 特開2010−064679(JP,A)
【文献】 特開平08−126116(JP,A)
【文献】 特開2006−280161(JP,A)
【文献】 特開2008−049868(JP,A)
【文献】 特開2001−268707(JP,A)
【文献】 特開2010−179677(JP,A)
【文献】 特開2012−214143(JP,A)
【文献】 特開2011−116223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/00
B60K 6/46
B60L 11/12
B60W 10/06
B60W 10/08
F02D 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン、前記エンジンの駆動力で発電可能なものであって且つ電力が供給された場合には前記エンジンを駆動させる第1発電電動機、走行に用いられるものであって回生電力を発生可能な第2発電電動機、及び前記第1発電電動機及び前記第2発電電動機に電力を供給可能であるとともに前記第2発電電動機にて発生し得る前記回生電力により充電可能な蓄電装置を有し、前記第2発電電動機にて発生した前記回生電力を、前記第1発電電動機及び前記蓄電装置に分配して供給する無人搬送車の駆動システムであって、
前記エンジン又は前記第1発電電動機の回転数を制御する回転制御部と、
前記無人搬送車の積載重量を把握する重量把握部と、
前記無人搬送車の走行パターンを把握する走行パターン把握部と、
前記積載重量及び前記走行パターンに基づいて、前記回生電力が発生し得る特定区間における前記蓄電装置のSOCの変動量及び前記蓄電装置の電流値の少なくとも一方を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果に基づいて、前記蓄電装置のSOC及び前記蓄電装置の電流値の少なくとも一方が、予め定められた許容値よりも高くなるか否かを判定する判定部と、
前記推定部の推定結果と前記許容値とに基づいて、前記第1発電電動機に分配される電力値を導出し、その導出された電力値を受入可能な前記第1発電電動機の回転数を導出する回転数導出部と
を備え、
前記回転制御部は、前記判定部により前記蓄電装置のSOC及び前記蓄電装置の電流値の少なくとも一方が前記許容値よりも高くなると判定された場合には、前記無人搬送車が前記特定区間に到達する前に、前記エンジンの回転数を上昇させて、前記第1発電電動機の回転数を、前記回転数導出部により導出された回転数に近づけることを特徴とする無人搬送車の駆動システム。
【請求項2】
現在の前記第1発電電動機の回転数から前記回転数導出部により導出された回転数となるまでに要する時間を導出する時間導出部を備え、
前記回転制御部は、前記無人搬送車が前記特定区間に到達するタイミングに対して前記時間導出部により導出された時間以前のタイミングから前記第1発電電動機の回転数の制御を開始する請求項に記載の無人搬送車の駆動システム。
【請求項3】
前記エンジンが停止しているか否かを把握するエンジン状態把握部を備え、
前記回転制御部は、前記エンジン状態把握部により前記エンジンが停止していることが把握され、且つ、前記無人搬送車が前記蓄電装置の電力を用いて前記特定区間よりも前の
区間を走行している状況において、前記推定部により前記特定区間にて発生する前記回生電力の電流値が前記蓄電装置の許容値を超えると推定された場合には、前記特定区間よりも前の区間にて前記エンジン又は前記第1発電電動機を始動させる請求項1又は請求項2に記載の無人搬送車の駆動システム。
【請求項4】
前記エンジン又は前記第1発電電動機の始動タイミングと、前記無人搬送車が前記特定区間に到達するタイミングとの間隔は、前記エンジン又は前記第1発電電動機を始動させるのに要する時間、及び、前記エンジン又は前記第1発電電動機が所定の回転数に到達するのに要する時間を合わせた時間以上である請求項に記載の無人搬送車の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車の駆動システムに関するものであって、特にハイブリッド型の無人搬送車の駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有人のハイブリッド車両においては、減速等によって生じ得る回生電力を用いて、当該ハイブリッド車両に搭載されている蓄電装置の充電を行うことが知られている。この場合、回生電力値や蓄電装置のSOCによっては、余剰電力が生じる場合がある。これに対して、例えば特許文献1には、余剰電力を用いて空調を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−20597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本発明者らは、作業者が運転を行うことなく予め定められた走行経路を走行する無人搬送車(AGV)を優れた環境性と経済性から、エンジンとエンジンの駆動力で発電する発電電動機と発電電動機に電力を供給可能であるとともに発電電動機にて発生する回生電力により充電可能な蓄電装置を有するハイブリッドにすることに着目した。この場合、無人搬送車には、有人のハイブリッド車両とは異なり、走行パターンが予め定められているとともに積載重量の変動幅が広いといった特性がある。そして、このような特性は、蓄電装置の劣化に影響を与える場合がある。
【0005】
例えば、大型の無人搬送車においては、積載時と非積載時とで車両重量が3〜4倍程度異なる場合がある。このため、回生電流値又は回生電力値の変動幅が広くなり易い。すると、車両重量によっては過度に高い回生電流又は回生電力が発生し、蓄電装置が劣化するといった不都合が発生し得る。かといって、上記のような広い変動幅に対応するべく、電池容量の大きな蓄電装置を用いることは、コストや大型化の観点から好ましくない。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、蓄電装置の劣化を抑制することができる無人搬送車の駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する無人搬送車の駆動システムは、エンジン、前記エンジンの駆動力で発電可能なものであって且つ電力が供給された場合には前記エンジンを駆動させる第1発電電動機、走行に用いられるものであって回生電力を発生可能な第2発電電動機、及び前記第1発電電動機及び前記第2発電電動機に電力を供給可能であるとともに前記第2発電電動機にて発生し得る前記回生電力により充電可能な蓄電装置を有し、前記第2発電電動機にて発生した前記回生電力を、前記第1発電電動機及び前記蓄電装置に分配して供給する無人搬送車の駆動システムであって、前記エンジン又は前記第1発電電動機の回転数を制御する回転制御部と、前記無人搬送車の積載重量を把握する重量把握部と、前記無人搬送車の走行パターンを把握する走行パターン把握部と、前記積載重量及び前記走行パターンに基づいて、前記回生電力が発生し得る特定区間における前記蓄電装置のSOCの変動量及び前記蓄電装置の電流値の少なくとも一方を推定する推定部と、前記推定部の推定結果に基づいて、前記蓄電装置のSOC及び前記蓄電装置の電流値の少なくとも一方が、予め定められた許容値よりも高くなるか否かを判定する判定部と、前記推定部の推定結果と前記許容値とに基づいて、前記第1発電電動機に分配される電力値を導出し、その導出された電力値を受入可能な前記第1発電電動機の回転数を導出する回転数導出部とを備え、前記回転制御部は、前記判定部により前記蓄電装置のSOC及び前記蓄電装置の電流値の少なくとも一方が前記許容値よりも高くなると判定された場合には、前記無人搬送車が前記特定区間に到達する前に、前記エンジンの回転数を上昇させて、前記第1発電電動機の回転数を、前記回転数導出部により導出された回転数に近づけることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、特定区間における蓄電装置のSOCの変動量及び蓄電装置の電流値の少なくとも一方を推定することにより、特定区間における蓄電装置のSOC及び電流値が劣化し易い値となるか否かを判断することができる。そして、その推定結果に基づいて、無人搬送車が特定区間に到達する前にエンジン又は第1発電電動機の回転数を制御することにより、特定区間において第1発電電動機及び蓄電装置に供給される回生電力の電力値の分配比を調整でき、それを通じて特定区間における蓄電装置の電流値及びSOCを制御することができる。これにより、蓄電装置の劣化を抑制することができる。
【0009】
上記無人搬送車の駆動システムについて、前記推定部の推定結果に基づいて、前記蓄電装置のSOC及び前記蓄電装置の電流値の少なくとも一方が、予め定められた許容値よりも高くなるか否かを判定する判定部を備える。
【0010】
また、上記無人搬送車の駆動システムについて、前記推定部の推定結果と前記許容値とに基づいて、前記第1発電電動機に分配される電力値を導出し、その導出された電力値を受入可能な前記第1発電電動機の回転数を導出する回転数導出部を備え、前記回転制御部は、前記無人搬送車が前記特定区間に到達する前に、前記エンジンの回転数を上昇させて、前記第1発電電動機の回転数を、前記回転数導出部により導出された回転数に近づける。かかる構成によれば、推定部の推定結果と許容値とに基づいて、第1発電電動機に分配される電力値を導出し、その導出された電力値を受入可能な第1発電電動機の回転数を導出することにより、蓄電装置の充電を好適に行いつつ、第1発電電動機の回転数の最適化を図ることができる。なお、「受入可能」とは、第1発電電動機にて消費することができることを意味し、受入可能な電力値とは、例えば力行可能な電力値等が考えられる。
また、事前にエンジンの回転数を上昇させる構成を採用することにより、蓄電装置のSOCや電流値の変動を抑制しつつ、第1発電電動機にて受入可能な電力値を制御することができ、それを通じて蓄電装置に供給される回生電力値を制御することができる。
【0011】
上記無人搬送車の駆動システムについて、現在の前記第1発電電動機の回転数から前記回転数導出部により導出された回転数となるまでに要する時間を導出する時間導出部を備え、前記回転制御部は、前記無人搬送車が前記特定区間に到達するタイミングに対して前記時間導出部により導出された時間以前のタイミングから前記第1発電電動機の回転数の制御を開始するとよい。かかる構成によれば、回転数の変更に係るタイムラグを考慮して、第1発電電動機の回転数の制御を行うことにより、上記タイムラグに起因して無人搬送車が特定区間に到達するタイミングにおける第1発電電動機の回転数が所望の値に達していないという不都合を回避することができる。
【0014】
上記無人搬送車の駆動システムについて、前記エンジンが停止しているか否かを把握するエンジン状態把握部を備え、前記回転制御部は、前記エンジン状態把握部により前記エンジンが停止していることが把握され、且つ、前記無人搬送車が前記蓄電装置の電力を用いて前記特定区間よりも前の区間を走行している状況において、前記推定部により前記特定区間にて発生する前記回生電力の電流値が前記蓄電装置の許容値を超えると推定された場合には、前記特定区間よりも前の区間にて前記エンジン又は前記第1発電電動機を始動させるとよい。かかる構成によれば、無人搬送車が、エンジンを停止している状態で、蓄電装置の電力を用いて特定区間よりも前の区間を走行している状況において、特定区間にて発生する回生電力の電流値が蓄電装置の許容値を超えると推定された場合には、特定区間よりも前の区間にてエンジン又は第1発電電動機が始動する。これにより、減速開始タイミングでは、既にエンジン又は第1発電電動機が始動しているため、第1発電電動機が受入可能な電力値が高くなっている。よって、許容値よりも高い電流値の回生電力が発生した場合には、回生電力の一部を第1発電電動機に供給することを通じて、蓄電装置の電流値が許容値を超えることを回避できる。したがって、蓄電装置の劣化を抑制できる。
【0015】
上記無人搬送車の駆動システムについて、前記エンジン又は前記第1発電電動機の始動タイミングと、前記無人搬送車が前記特定区間に到達するタイミングとの間隔は、前記エンジン又は前記第1発電電動機を始動させるのに要する時間、及び、前記エンジン又は前記第1発電電動機が所定の回転数に到達するのに要する時間を合わせた時間以上であるとよい。かかる構成によれば、エンジン又は第1発電電動機の始動に要する時間を考慮して、エンジン又は第1発電電動機の始動タイミングが設定されている。これにより、エンジン又は第1発電電動機の始動に係るタイムラグに起因して、減速開始タイミングまでにエンジン又は第1発電電動機が所定の回転数に到達していないという事態を回避できる。なお、「所定の回転数」の具体的な一例としては、第1発電電動機に分配される回生電力値を受入可能な回転数等がある。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、蓄電装置の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のコンテナターミナルの全体像を示す模式図。
図2】無人搬送車の駆動システムを示す概念図。
図3】無人搬送車の構成を示すブロック図。
図4】回生電力の流れを示す概念図。
図5】車載コンピュータにて実行される回生電力対応処理を示すフローチャート。
図6】N−P特性マップを示す模式図。
図7】(a)は無人搬送車の速度変化を示すグラフであり、(b)はエンジン又は第1発電電動機の回転数の時間変化を示すグラフであり、(c)は第1発電電動機が受入可能な電力値の時間変化を示すグラフであり、(d)は蓄電装置の電流値の時間変化を示すグラフであり、(e)はSOCの時間変化を示すグラフ。
図8】第2実施形態の回生電力対応処理を示すフローチャート。
図9】第3実施形態の回生電力対応処理を示すフローチャート。
図10】(a)は無人搬送車の速度変化を示すグラフであり、(b)は第2発電電動機の電力変化を示すグラフであり、(c)はエンジン又は第1発電電動機の回転数の時間変化を示すグラフであり、(d)は第1発電電動機の電力変化を示すグラフであり、(e)は蓄電装置の電力変化を示すグラフであり、(f)は(d)の一部拡大図であり、(g)は(e)の一部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、無人搬送車の駆動システムを港湾のコンテナターミナルに適用した一実施形態について説明する。
【0019】
まず、コンテナターミナルの全体像について説明する。図1に示すように、コンテナターミナルには、コンテナ船S付近に配置され、コンテナの積み降ろしを行うガントリークレーンC1と、コンテナヤードに配置され、コンテナの積み降ろしを行うラバータイヤクレーンC2とが設けられている。
【0020】
また、コンテナターミナルにおいては、無人搬送車(AGV)11が誘導ライン等の誘導部によって規定された走行経路Rを予め定められた方向(例えば反時計回り)で周回する。無人搬送車11は、コンテナを積載可能に構成されており、コンテナ船S付近及びコンテナヤード間のコンテナの搬送を行う。例えば、ガントリークレーンC1にてコンテナが無人搬送車11に積まれた場合には、無人搬送車11はそのコンテナをコンテナヤードに搬送する。そして、無人搬送車11がコンテナヤードに到着すると、そのコンテナはラバータイヤクレーンC2にて降ろされる。コンテナが降ろされた後は、無人搬送車11は再度ガントリークレーンC1に向けて走行する。なお、本実施形態では、走行経路Rは傾斜がなく平坦であるとする。
【0021】
次に、上記のように周回する無人搬送車11の駆動システム10について説明する。図2に示すように、無人搬送車11の駆動システム10は、無人搬送車11に搭載された車載コンピュータ21と、当該車載コンピュータ21と無線通信可能な運行管理コンピュータ22とを備えている。運行管理コンピュータ22は、車載コンピュータ21に各種指令を送信することにより、無人搬送車11の走行を制御する。また、運行管理コンピュータ22は、ガントリークレーンC1及びラバータイヤクレーンC2の駆動制御を行う。
【0022】
次に、無人搬送車11の具体的な構成について説明する。本実施形態の無人搬送車11は、所謂シリーズ方式のハイブリッド車両である。詳細には、図3に示すように、無人搬送車11は、エンジン31と、そのエンジン31の駆動力によって発電可能な第1発電電動機(第1モータジェネレータ)32と、第1発電電動機32に接続された発電インバータ33とを備えている。さらに、無人搬送車11は、発電インバータ33に接続された蓄電装置34と、蓄電装置34及び発電インバータ33に接続された走行インバータ35と、走行インバータ35に接続された第2発電電動機(第2モータジェネレータ)36とを備えている。各インバータ33,35は、直流電力が入力された場合には交流電力に変換して出力し、交流電力が入力された場合には直流電力に変換して出力する。
【0023】
第1発電電動機32は、そのロータがエンジン31の駆動軸に連結されており、エンジン31の駆動軸の回転にともなってロータが回転することにより、交流電力を発生させる。一方、第1発電電動機32は、交流電力が入力された場合、エンジン31を回転させることで、負荷として動作することも可能である。
【0024】
ここで、エンジン31の回転数と第1発電電動機32の回転数とは相関しており、詳細には両者の回転数は同一となっている。例えば、エンジン31の回転数が上昇すれば、第1発電電動機32の回転数も上昇する。
【0025】
第2発電電動機36は、走行に用いられるものである。詳細には、第2発電電動機36は、無人搬送車11のタイヤTに接続されており、走行インバータ35を介して、発電インバータ33(第1発電電動機32)及び蓄電装置34の少なくとも一方から電力が入力された場合には、タイヤTを回転させる。また、第2発電電動機36は、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能を有しており、無人搬送車11の減速時等において発電する。
【0026】
蓄電装置34は、例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池で構成され、発電インバータ33を介して第1発電電動機32に電力を供給可能であるとともに、走行インバータ35を介して第2発電電動機36に電力を供給可能である。また、蓄電装置34は、各発電電動機32,36にて発電された電力が各インバータ33,35を介して入力されることにより充電される。なお、蓄電装置34のSOC(充電状態、充電率)には予め定められた基準SOCが設定されており、蓄電装置34の電流値には予め定められた基準電流値が設定されている。蓄電装置34のSOC及び電流値はそれぞれ、基準SOC及び基準電流値に近づくように制御される。
【0027】
図3に示すように、無人搬送車11は、蓄電装置34のSOCを測定するとともに、その測定結果を車載コンピュータ21に送信するSOC把握部としてのSOCセンサ37を備えている。さらに、無人搬送車11は、当該無人搬送車11の積載重量(荷重)を測定するとともに、その測定結果を車載コンピュータ21に送信する重量把握部としての荷重センサ38と、エンジン31の回転数を測定し、その測定結果を車載コンピュータ21に送信する回転数センサ39とを備えている。これにより、車載コンピュータ21は、蓄電装置34のSOC、積載重量及びエンジン31の回転数を把握可能となっている。
【0028】
車載コンピュータ21は、蓄電装置34の充放電を制御することにより、無人搬送車11の加減速を好適に行う。例えば、加速時には、車載コンピュータ21は、エンジン31の駆動によって第1発電電動機32にて発電し、その発電された電力を第2発電電動機36に供給させるとともに、蓄電装置34の放電を行いその放電電力を第2発電電動機36に供給させる。一方、減速時には、車載コンピュータ21は、第2発電電動機36にて発生した回生電力の一部又は全部を蓄電装置34に供給させて蓄電装置34の充電を行う。
【0029】
ちなみに、車載コンピュータ21は、エンジン31及び第1発電電動機32の双方の回転数を個別に制御することが可能となっている。この場合、車載コンピュータ21は、エンジン31の回転数を制御する場合には燃料噴射量の制御等を行い、第1発電電動機32の回転数を制御する場合には蓄電装置34の電力の制御を行う。
【0030】
ここで、図4に示すように、第2発電電動機36にて発生した回生電力は、第1発電電動機32及び蓄電装置34に分配されて供給される。この場合、回生電力値Pmの分配比は、第1発電電動機32及びエンジン31の回転数に依存する。詳細には、第1発電電動機32及びエンジン31の回転数が高くなるほど、第1発電電動機32に供給される回生電力値Pgが高くなり、蓄電装置34に供給される回生電力値Pbが低くなる。
【0031】
エンジン31及び第1発電電動機32に供給された回生電力は、エンジン31の摩擦エネルギと、エンジン31及び第1発電電動機32の回転慣性エネルギとに変換される。この回転慣性エネルギは、回生電力の発生が終了した場合に、再度電力に変換可能である。
【0032】
運行管理コンピュータ22は、無人搬送車11を走行させる場合、走行指令とともに、無人搬送車11の加減速のパターンが設定された走行パターンを車載コンピュータ21に送信する。車載コンピュータ21は、運行管理コンピュータ22から上記走行指令及び走行パターンを受信した場合には、受信した走行パターンに従って無人搬送車11を走行させる。この場合、通常は、無人搬送車11のエンジン31の回転数は、燃費等を考慮して、走行パターンに対応させて設定されている。
【0033】
走行パターンには、走行経路Rを走行する無人搬送車11の走行距離、走行速度及び加速度等が設定されており、無人搬送車11は加減速を繰り返しながら走行するように設定されている。例えば、走行経路R中、コーナ部分の走行速度は、直線部分の走行速度よりも低く設定されている。つまり、走行経路Rには、加速区間と減速区間とが設定されている。そして、車載コンピュータ21は、走行パターンを把握することを通じて、無人搬送車11が加速区間及び減速区間に到達するよりも前のタイミングにて加速区間及び減速区間を把握することができる。
【0034】
ここで、蓄電装置34の劣化に起因するパラメータとして、蓄電装置34のSOC及び蓄電装置34の電流値がある。詳細には、蓄電装置34は、蓄電装置34のSOCが予め定められた許容値を超えた状態が続いた場合、又は蓄電装置34の電流値が予め定められた許容値を超えた状態が続いた場合、劣化し得る。特に、蓄電装置34の電流値は、蓄電装置34の劣化に大きな影響を及ぼすものであり、例えば蓄電装置34の劣化を示す指標には、蓄電装置34の電流値の二乗が含まれている。
【0035】
無人搬送車11の駆動システム10は、減速時に発生する回生電力に起因する蓄電装置34の劣化を抑制するべく、エンジン31の回転数を制御する回生電力対応処理を実行する。回生電力対応処理は、無人搬送車11が減速区間に到達する前、例えば無人搬送車11が減速区間に到達するタイミングよりも所定時間(例えば10秒)前に開始される処理である。回生電力対応処理では、エンジン31及び第1発電電動機32の回転数を、通常の回転数とは異なる回転数に設定する。
【0036】
図5に示すように、回生電力対応処理では、まずステップS101〜ステップS108にて、積載重量及び走行パターンに基づいて、減速区間における蓄電装置34のSOCの変動量δSOC及び減速区間における蓄電装置34の電流値を推定する推定処理を実行する。当該推定処理が推定部に対応する。
【0037】
詳細には、まずステップS101にて、荷重センサ38により無人搬送車11の積載重量を把握する。その後、ステップS102にて走行パターンを把握して、減速区間の距離(又は減速時間)や加速度等を把握する。当該処理が、走行パターン把握部に対応する。
【0038】
ステップS103では、上記ステップS101及びステップS102にて把握された積載重量及び走行パターンに基づいて、減速時(減速区間)の回生電力値Pmを推定する。
その後、ステップS104では、回転数センサ39により現在のエンジン31の回転数
を把握することを通じて、現在の第1発電電動機32の回転数Rg0を把握する。その後、ステップS105では、車載コンピュータ21の所定の記憶領域に記憶されたN−P特性マップ21a(図6参照)を参照して、現在の第1発電電動機32及びエンジン31が受入可能な電力値である回生受入可能電力値Pg0を導出する。なお、「受入可能」とは第1発電電動機32及びエンジン31が消費することができることを意味し、「受入可能な電力値」とは、例えば力行に要する電力値である。
【0039】
図6に示すように、N−P特性マップ21aは、第1発電電動機32の回転数と出力電力とが対応付けて設定されたマップデータである。ステップS105では、N−P特性マップ21aを参照することにより、現在の第1発電電動機32の回転数Rg0に対応する出力電力を、回生受入可能電力値Pg0として導出する。例えば、図6の矢印Aに示すように、現在の回転数Rg0が800(1/min)である場合には、100(kW)を導出する。なお、図示の関係上、図6においては、最大出力を実線で示し、定格出力を破線で示す。また、最大トルクを一点鎖線で示し、定格トルクを二点鎖線で示す。
【0040】
ここで、N−P特性マップ21aについて簡単に説明すると、低回転領域では、第1発電電動機32の最大トルクは一定となっている。このため、出力電力はトルクと回転数との乗算で得られることから、低回転領域ではN−P特性はリニアとなる。
【0041】
図5に示すように、ステップS105の処理の実行後は、ステップS106に進み、蓄電装置34に供給される回生電力値Pb0を推定する。蓄電装置34への回生電力値Pb0は、回生電力値Pmから回生受入可能電力値Pg0を減算した値である(Pb0=Pm−Pg0)。
【0042】
その後、ステップS107では、蓄電装置34への回生電力値Pb0を開放電圧OCVで割って、減速区間の蓄電装置34の電流値である減速時蓄電電流値Ib0を推定する(Ib0=Pb0/OCV)。
【0043】
そして、ステップS108では、減速区間のSOCの変動量δSOCを推定し、その推定結果に基づいて、減速後、すなわち無人搬送車11が減速区間を通過した時点での蓄電装置34のSOCである減速後SOCbを推定する。詳細には、SOCセンサ37により現在のSOCを把握し、その現在のSOCに対して、変動量δSOC(減速時蓄電電流値Ib0の和を電池容量で割った値)を加算する。
【0044】
推定処理を実行した後は、ステップS109に進み、推定処理の推定結果に基づいて、蓄電装置34のSOC又は電流値が許容値を超えるか否かを判定する。詳細には、(A)推定された減速時蓄電電流値Ib0が、予め定められた許容値Iadjよりも高いか否かを判定するとともに、(B)推定された減速後SOCbが、予め定められた許容値SOCadjよりも高いか否かを判定する。ステップS109の判定処理が判定部に対応する。
【0045】
(A)及び(B)の判定結果が、双方とも否定である場合には、ステップS116に進む一方、(A)及び(B)のいずれか一方の判定結果が肯定である場合には、ステップS110〜ステップS115にて、事前にエンジン31の回転数を上昇させる制御を行う。
【0046】
詳細には、まずステップS110にて、蓄電装置34が受入可能な最大電力値である回生受入可能最大値Pb1を把握する。回生受入可能最大値Pb1は、許容値Iadjと開放電圧OCVとを乗算した値である(Pb1=Iadj×OCV)。
【0047】
続くステップS111では、減速時に第1発電電動機32に供給されるべき電力値である回生必要電力値Pg1を算出する。回生必要電力値Pg1は、減速時の回生電力値Pmから回生受入可能最大値Pb1を減算した値である(Pg1=Pm−Pb1)。
【0048】
その後、ステップS112にて、N−P特性マップ21aを参照して必要回転数Rg1を導出する。詳細には、N−P特性マップ21aを参照して、回生必要電力値Pg1に対応する回転数を導出し、その導出された回転数を必要回転数Rg1として設定する。例えば、図6の矢印Bに示すように、回生必要電力値Pg1が200(kW)である場合には、必要回転数Rg1として1500(1/min)を設定する。必要回転数Rg1を導出する処理が回転数導出部に対応する。
【0049】
図5に示すように、必要回転数Rg1を導出した後は、ステップS113に進み、エンジン31(第1発電電動機32)の回転数が、現在の回転数Rg0から必要回転数Rg1まで上昇するのに要する時間である回転数上昇必要時間Tupを導出する。当該回転数上昇必要時間Tupは、エンジン31の特性及び第1発電電動機32の特性等に基づいて導出される。回転数上昇必要時間Tupを導出する処理が、時間導出部に対応する。
【0050】
その後、ステップS114にて、回転数の上昇開始タイミングか否かを判定する。上昇開始タイミングは、無人搬送車11が減速区間に到達するタイミングである減速開始タイミングに対して、回転数上昇必要時間Tupだけ前のタイミングである。つまり、ステップS114の処理では、現在から減速開始タイミングまでの時間が、回転数上昇必要時間Tupであるか否かを判定する。なお、上昇開始タイミングについては、エンジン31の回転数の上昇に係るタイムラグや他のタイムラグ等を考慮して、減速開始タイミングに対して、回転数上昇必要時間Tupに所定の時間を加えた時間だけ前のタイミングに設定してもよい。要は、上昇開始タイミングは、減速開始タイミングに対して回転数上昇必要時間Tup以前のタイミングであればよい。
【0051】
回転数の上昇開始タイミングではない場合には、ステップS113に戻り、再度回転数上昇必要時間Tupを導出する。この際、回転数センサ39の測定結果を再度取得することにより現在の回転数Rg0を更新し、その更新された回転数Rg0に基づいて回転数上昇必要時間Tupを導出する。
【0052】
一方、回転数の上昇開始タイミングである場合には、ステップS115に進み、蓄電装置34の電力を用いることなく、燃料噴射量等を制御して、エンジン31の回転数を上昇させる。当該処理が回転制御部に対応する。
【0053】
その後、減速開始タイミングとなったことに基づいて、ステップS116にて減速中の回転数を制御する減速中処理を実行する。減速中処理では、第2発電電動機36を回生ブレーキとして機能させるとともに、第2発電電動機36にて発生した回生電力を用いて第1発電電動機32を駆動させて、エンジン31を回転させる。この場合、第1発電電動機32及びエンジン31には所定の抵抗(フリクションロス)が存在しており、回生電力は、その抵抗に対抗して回転させるのに用いられる。
【0054】
その後、減速区間が終了した場合、又は、蓄電装置34の電流値及びSOCが許容値Iadj,SOCadjを超えることがないことが確認できた場合には、エンジン31の回転数を通常の回転数に設定して、本回生電力対応処理を終了する。
【0055】
次に、図7を用いて本実施形態の作用を説明する。なお、図7(b)〜図7(e)においては、比較対象のため、事前にエンジン31の回転数を上昇させない場合を二点鎖線で示す。また、図7においては、無人搬送車11が加速する加速区間Ta、無人搬送車11が一定速で走行する定速区間Tc、及び無人搬送車11が減速する減速区間Tdを合わせて示す。この際、各区間Ta,Tc,Tdの範囲は、各区間Ta,Tc,Tdを走行する無人搬送車11の走行期間を示す。
【0056】
図7(a)に示すように、走行経路R上を走行する無人搬送車11の走行パターンが、加速→定速→減速→定速に切り換わる。これに対応させて、図7(b)及び図7(c)に示すように、エンジン31の回転数が変動するとともに、第1発電電動機32が受入可能な電力値が変動する。そして、図7(d)及び図7(e)に示すように、走行パターンに対応させて、蓄電装置34の電流値及びSOCが変動する。詳細には、加速区間Taの前半においては、蓄電装置34の放電が行われることに起因して、蓄電装置34の電流値及びSOCが低下する。その後、加速区間Taの後半においては、第1発電電動機32の発電によって蓄電装置34の充電が行われ、蓄電装置の電流値及びSOCが上昇する。
【0057】
その後、定速区間Tcにおけるt1のタイミングにて、回生電力対応処理が開始される。なお、t1のタイミングにおいては、蓄電装置34の電流値は予め定められた基準電流値近傍にあり、蓄電装置34のSOCは予め定められた基準SOC近傍にある。
【0058】
そして、減速開始タイミングであるt3のタイミングよりも、回転数上昇必要時間Tupだけ前のタイミングであるt2のタイミングにて、エンジン31の回転数が上昇する。その後、t3のタイミングにて、無人搬送車11の減速が開始される。
【0059】
この場合、t3のタイミングの前からエンジン31の回転数が高くなっているため、減速区間Tdにて発生する回生電力は、エンジン31及び第1発電電動機32に供給され易くなっている。このため、図7(d)及び図7(e)に示すように、事前にエンジン31の回転数を上昇させない構成と比較して、減速区間Tdにおける蓄電装置34の電流値及びSOCが低くなっている。そして、蓄電装置34の電流値が許容値Iadjよりも低くなっており、蓄電装置34のSOCが許容値SOCadjよりも低くなっている。
【0060】
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
(1)積載重量及び走行パターンに基づいて、減速区間Tdにおける蓄電装置34の電流値(減速時蓄電電流値Ib0)及びSOCの変動量δSOCを推定し、その推定結果に基づいて、無人搬送車11が減速区間Tdに到達する前におけるエンジン31の回転数を制御する構成とした。具体的には、減速時蓄電電流値Ib0及び減速後SOCbが予め定められた許容値Iadj,SOCadjよりも高いか否かを判定し、高いと判定した場合には、無人搬送車11が減速区間Tdに到達する前に、エンジン31の回転数を上昇させる構成とした。これにより、エンジン31及び第1発電電動機32に供給される回生電力値Pgが高くなり、蓄電装置34に分配される回生電力値Pbが低くなるため、回生電力に起因する蓄電装置34の電流値及びSOCの変動幅を狭くすることができる。よって、蓄電装置34の電流値及びSOCが許容値Iadj,SOCadjを超えることを抑制することを通じて、回生電力に起因する蓄電装置34の劣化を抑制することができる。
【0061】
特に、無人搬送車11はコンテナ等を積載する関係上、積載重量の変動幅が自動車等の通常の車両と比較して広いため、回生電力値Pmの変動幅が広くなり易い。このため、蓄電装置34の電流値及びSOCの変動幅が広くなり易い。この点、本実施形態では、上記に示した積載重量の変動幅が広いことと、走行パターンが予め定められているという無人搬送車11の特有の特性に着目して、減速時の回生電力値Pmを推定する際に積載重量及び走行パターンを考慮する構成を採用することにより、減速時の回生電力値Pmの推定精度の向上を図ることができる。そして、その推定結果に基づいて、エンジン31及び第1発電電動機32の回転数を制御することにより、蓄電装置34の劣化を、好適に抑制することができる。
【0062】
また、通常有人の車両においては、エンジン31の回転数は、アクセル操作等の運転者の操作によって変動し得るものであるため、有人の車両におけるエンジン31の回転数の制御には制限がある。これに対して、無人搬送車11においては、アクセル操作等が存在しないため、車載コンピュータ21がエンジン31の回転数を比較的自由に設定することができる。この点、本実施形態では、蓄電装置34の電流値及びSOCを制御するものとして、無人搬送車11にて制御し易いエンジン31の回転数を採用した。これにより、ハイブリッド型の無人搬送車11において、蓄電装置34の劣化を好適に抑制することができる。
【0063】
(2)推定された減速時の回生電力値Pmと、蓄電装置34の電流値の許容値Iadjとに基づいて、減速時に第1発電電動機32に供給されるべき回生必要電力値Pg1を算出し、その回生必要電力値Pg1から必要回転数Rg1を導出する構成とした。そして、エンジン31及び第1発電電動機32の回転数が必要回転数Rg1となるように、エンジン31又は第1発電電動機32の回転数を上昇させる構成とした。これにより、回生電力を蓄電装置34の充電に最大限に用いつつ、第1発電電動機32の回転数の最適化を図ることができる。
【0064】
(3)特に、第1発電電動機32の回転数と、第1発電電動機32が受入可能な電力値とが対応付けられたN−P特性マップ21aを設け、当該N−P特性マップ21aを参照することにより、必要回転数Rg1を導出する構成とした。これにより、複雑な計算等を行うことなく必要回転数Rg1を導出することができ、必要回転数Rg1の導出に係る処理負荷の軽減を図ることができる。
【0065】
(4)第1発電電動機32の現在の回転数Rg0から必要回転数Rg1になるまでに要する回転数上昇必要時間Tupを導出し、無人搬送車11が減速区間Tdに到達する減速開始タイミングに対して回転数上昇必要時間Tupだけ前のタイミングから、エンジン31の回転数を上昇させる構成とした。これにより、エンジン31の回転数の上昇に係るタイムラグに起因して、減速開始タイミングにおいてエンジン31の回転数が必要回転数Rg1に達していない事態を回避することができる。また、必要最低限の時間である回転数上昇必要時間Tupだけ前に回転数を上昇させる構成を採用することにより、高い回転数を維持する時間を短くすることを通じて、燃費の向上を図ることができる。
【0066】
(5)燃料噴射量の制御等を行うことにより、エンジン31の回転数を事前に上昇させる構成を採用した。これにより、蓄電装置34のSOCの変動を抑制しつつ、エンジン31及び第1発電電動機32が受入可能な電力値を高くすることができる。
【0067】
(第2実施形態)
本実施形態では、回生電力対応処理が第1実施形態と異なっている。その異なる点を以下に説明する。
【0068】
図8に示すように、ステップS109の判定処理にて、減速時蓄電電流値Ib0及び減速後SOCbが許容値Iadj,SOCadjよりも低いと判定した場合、ステップS201にて、走行パターンに基づいて無人搬送車11の減速開始タイミングであるか否かを判定する。そして、減速開始タイミングである場合にはステップS116に進む一方、減速開始タイミングでない場合には、ステップS104に戻る。
【0069】
また、ステップS113の処理の後に実行されるステップS202では、現在から減速開始タイミングまでの時間が、回転数上昇必要時間Tupに所定の時間(マージン)を加えた時間よりも短いか否かを判定する。そして、現在から減速開始タイミングまでの時間が、回転数上昇必要時間Tupに所定の時間を加えた時間よりも長い場合には、上昇開始タイミングではないとして、ステップS104に戻る。
【0070】
なお、上記所定の時間は、ステップS104〜ステップS113の処理に要する時間よりも十分に長く設定されている。このため、ステップS104〜ステップS113の処理を実行することに起因して、現在から減速開始タイミングまでの時間が回転数上昇必要時間Tupよりも短くなってしまう事態が生じにくくなっている。
【0071】
ステップS202において、現在から減速開始タイミングまでの時間が、回転数上昇必要時間Tupに所定の時間を加えた時間よりも短い場合には、上昇開始タイミングであると判定し、ステップS203に進む。ステップS203では、蓄電装置34の電力を用いて第1発電電動機32の回転数を上昇させる。これにより、エンジン31の回転数が上昇する。なお、無人搬送車11の減速開始タイミングよりも前に、必要回転数Rg1に到達した場合には、その回転数を維持する。その後、ステップS116にて減速中処理を実行し、本処理を終了する。
【0072】
次に本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、無人搬送車11の減速が開始される前において、蓄電装置34の電力を用いることによって第1発電電動機32及びエンジン31の回転数が上昇している。また、事前の回転数制御を要する場合であって回転数の上昇開始タイミングでない場合(ステップS109:YES,ステップS202:NO)、又は、事前の回転数制御を要しない場合であって減速開始タイミングでない場合(ステップS109:NO,ステップS201:NO)には、ステップS104に戻る。そして、再度減速時蓄電電流値Ib0、及び、減速後SOCbが推定され、その推定結果に基づいて事前にエンジン31及び第1発電電動機32の回転数を上昇させるか否かの判定が行われるようになっている。
【0073】
以上詳述した本実施形態によれば、上記(1)〜(4)の効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。
(6)無人搬送車11が減速区間Tdに到達する前に、蓄電装置34の電力を用いて、第1発電電動機32の回転数を上昇させて、第1発電電動機32及びエンジン31の受入可能な電力値を高める構成とした。これにより、燃費の低下を抑制しつつ、蓄電装置34の電流値又は蓄電装置34のSOCが許容値Iadj,SOCadjを超えないようにすることができる。
【0074】
(7)車載コンピュータ21は、事前の回転数制御を要する場合であって回転数の上昇開始タイミングでない場合、又は、事前の回転数制御を要しない場合であって減速開始タイミングでない場合には、再度減速時蓄電電流値Ib0、及び、減速後SOCbを推定する。そして、車載コンピュータ21は、その推定結果に基づいて事前にエンジン31及び第1発電電動機32の回転数を上昇させるか否かの判定を行う構成とした。これにより、第1発電電動機32及びエンジン31の回転数の変動、及び、蓄電装置34のSOCの変動に追従した上記推定処理及び上記判定処理を実行することができる。
【0075】
詳述すると、ステップS105にて回生受入可能電力値Pg0を導出する際には、現在の第1発電電動機32の回転数Rg0を把握する必要がある。また、減速後SOCbを推定するためには、現在のSOCを把握する必要がある。これらのパラメータは、時間経過によって変動し得る。このため、時間経過によって、回生受入可能電力値Pg0及び減速後SOCbの推定結果、及びステップS109の判定処理の判定結果が変動し得る。
【0076】
これに対して、本実施形態によれば、事前の回転数制御を要する場合には回転数の上昇開始タイミングとなるまで、又は、事前の回転数制御を要しない場合には減速開始タイミングとなるまで、上記推定処理及び上記判定処理を繰り返し実行する構成とした。これにより、第1発電電動機32の回転数Rg0及び蓄電装置34のSOCが変動することに起因する上記推定処理及び上記判定処理の精度低下を抑制することができる。
【0077】
(第3実施形態)
本実施形態では、減速区間Tdよりも前の区間である定速区間Tcにおいて、無人搬送車11は、エンジン31が停止した状態(アイドリングストップ状態)で、蓄電装置34の電力を用いて走行している。なお、以降の説明において、アイドリングストップ状態で、蓄電装置34の電力のみを用いた無人搬送車11の走行態様を、EV走行という。
【0078】
ここで、既に説明した通り、車載コンピュータ21は、エンジン31の回転数を検出する回転数センサ39(図3参照)を備えている。車載コンピュータ21は、回転数センサ39の検出結果に基づいて、エンジン31の状態を把握する。詳細には、車載コンピュータ21は、回転数センサ39の回転数が「0」である場合には、エンジン31がアイドリングストップ状態であると判定する一方、回転数センサ39の回転数が「0」でない場合には、エンジン31がアイドリング中であると判定する。つまり、回転数センサ39は、エンジン31が停止しているか否かを把握するエンジン状態把握部として機能している。
【0079】
車載コンピュータ21は、回転数センサ39により、エンジン31の回転数が「0」でないと検出された場合には、各実施形態にて説明したような、エンジン31及び第1発電電動機32が回転していることを前提とする回生電力対応処理を実行する。一方、車載コンピュータ21は、減速区間Tdよりも前の定速区間Tcにて無人搬送車11がEV走行している場合には、EV走行を前提とする回生電力対応処理を実行する。当該回生電力対応処理について以下詳細に説明する。
【0080】
図9に示すように、まずステップS301〜ステップS303にて減速時の回生電力値Pmの推定を行う。これらの処理は、既に説明した通りであるため、説明を省略する。
その後、ステップS304では、推定された回生電力値Pmが予め定められた許容値Padjよりも高いか否かを判定する。ここで、エンジン31及び第1発電電動機32の現状の回転数は「0」であるため、第1発電電動機32が受入可能な電力値(回生受入可能電力値Pg0)は「0」である。この場合、推定された回生電力値Pmは、全て蓄電装置34に供給される(Pb0=Pm)。また、既に説明した通り、電力値と電流値との間には一定の関係(Ib0=Pb0/OCV)がある。以上のことから、ステップS304の判定処理は、蓄電装置34に供給される回生電力の電流値(減速時蓄電電流値Ib0)が許容値Iadjよりも高いか否かの判定処理と等価である。なお、許容値Padjは、第1実施形態及び第2実施形態における回生受入可能最大値Pb1に相当する。
【0081】
推定された回生電力値Pmが許容値Padj以下である場合には、事前に回転数の制御を行う必要がないため、ステップS311に進む。
一方、推定された回生電力値Pmが許容値Padjよりも高い場合には、事前の回転数制御を要することを意味する。この場合、ステップS305に進み、減速時に第1発電電動機32に供給されるべき電力値である回生必要電力値Pg1を導出する。具体的には、回生必要電力値Pg1は、推定された回生電力値Pmから許容値Padjを差し引いた電力値である。その後、ステップS306では、N−P特性マップ21aを参照して、回生必要電力値Pg1を受入可能な必要回転数Rg1を導出する。
【0082】
続くステップS307では、第1発電電動機32の始動に要する時間である始動時間Ton、及び、回転数上昇必要時間Tupを導出する。始動時間Tonは、予め記憶領域に記憶させておいたものを読み出すことによって導出してもよいし、各種パラメータ(エンジン31の温度等)から計算で導出してもよい。回転数上昇必要時間Tupについては、既に説明した通りであるため、説明を省略する。
【0083】
その後、ステップS308では、上昇開始タイミングとなるまで待機する。上昇開始タイミングは、減速開始タイミングよりも、始動時間Ton及び回転数上昇必要時間Tupの総和時間だけ前のタイミングである。
【0084】
上昇開始タイミングとなった場合には、ステップS309に進み、第1発電電動機32を始動させる。詳細には、蓄電装置34の電力を用いて、第1発電電動機32を始動させる。この場合、第1発電電動機32の始動に伴い、エンジン31も始動する。続くステップS310では、必要回転数Rg1となるまで、第1発電電動機32の回転数を上昇させる。この回転数の上昇には、エンジン31に対する燃料噴射を用いてもよいし、燃料噴射を用いることなく、蓄電装置34の電力を用いて第1発電電動機32の回転数を上昇させてもよい。
【0085】
エンジン31及び第1発電電動機32の回転数が必要回転数Rg1となった場合には、ステップS311に進み、本処理を終了する。
次に、本実施形態の作用として、無人搬送車11の一連の動作を示す。
【0086】
まず、事前に第1発電電動機32を始動させない場合について説明すると、図10(a)及び図10(b)に示すように、t11のタイミングにて、無人搬送車11が減速すると、第2発電電動機36にて許容値Padjよりも高い回生電力値Pmの回生電力が発生する。この場合、図10(c)の二点鎖線に示すように、t11のタイミングでは、第1発電電動機32の回転数は「0」である。このため、図10(d)に示すように、第1発電電動機32が受入可能な電力値は「0」である。よって、図10(d)〜図10(g)の二点鎖線に示すように、t11のタイミングでは、回生電力は、第1発電電動機32ではなく、蓄電装置34に供給される。これにより、図10(g)の二点鎖線に示すように、t11のタイミングでは、蓄電装置34の電力値が許容値Padjを超える。
【0087】
次に、事前に第1発電電動機32を始動させる場合について説明する。図10(c)の実線に示すように、t11のタイミングよりも前のタイミングであって、無人搬送車11がEV走行を行なっているt10のタイミングにて、第1発電電動機32が始動し、エンジン31が始動する。つまり、本実施形態では、減速区間Tdに到達する前の定速区間Tcにて、第1発電電動機32が始動する。この場合、図10(d)及び図10(e)の実線に示すように、第1発電電動機32の始動には、蓄電装置34の放電電力が用いられる。その後、第1発電電動機32の回転数が上昇する。これにより、図10(d)及び図10(f)の一点鎖線に示すように、第1発電電動機32が受入可能な電力値が高くなる。
【0088】
ここで、図10(a)に示すように、第1発電電動機32を事前に始動させるt10のタイミングと、減速開始タイミングであるt11のタイミングとの間隔は、始動時間Ton及び回転数上昇必要時間Tupを合わせた時間である。このため、図10(c)の実線に示すように、t11のタイミングには、第1発電電動機32の回転数が必要回転数Rg1となっている。
【0089】
そして、図10(a)及び図10(b)に示すように、t11のタイミングにて、無人搬送車11の減速が開始され、許容値Padjよりも高い回生電力値Pmの回生電力が発生する。この場合、図10(e)及び図10(g)の実線に示すように、回生電力のうち許容値Padj分は、蓄電装置34に供給される(Pb=Padj)。また、図10(d)及び図10(f)の実線に示すように、回生電力値Pmの余剰分は第1発電電動機32に供給される(Pg1=Pm−Padj)。このため、蓄電装置34の電力値が許容値Padjを超えないようになっている。その後、回生電力値Pmが許容値Padj以下となった場合には、回生電力の全部が蓄電装置34に供給される。
【0090】
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
(8)車載コンピュータ21は、エンジン31が停止しているか否かを把握する回転数センサ39によりエンジン31が停止していることが把握され、且つ、無人搬送車11が蓄電装置34の電力を用いて減速区間Tdよりも前の定速区間Tcを走行している状況において、減速区間Tdにて発生する回生電力値Pmを推定する。そして、車載コンピュータ21は、推定された回生電力値Pmが蓄電装置34の許容値Padjを超えると推定された場合には、減速区間Tdよりも前の定速区間Tcにて第1発電電動機32を始動させる。これにより、無人搬送車11がエンジン31を停止している状態で走行している場合であっても、減速開始タイミングまでには、第1発電電動機32の回転数を、必要回転数Rg1まで上昇させておくことができる。よって、上述した(1)等の効果を得ることができる。
【0091】
また、減速開始タイミングであるt11のタイミングにて、第1発電電動機32が必要回転数Rg1で回転しているため、回転数が「0」である場合と比較して、回生電力の受入応答性の向上を図ることができる。例えば、減速区間Tdにて発生する回生電力を受け入れるべく、第1発電電動機32の回転数を更に高くする必要がある場合には、その回転数の上昇時間の短縮化を図ることができる。
【0092】
(9)第1発電電動機32を事前に始動させるt10のタイミングと、減速開始タイミングであるt11のタイミングとの間隔は、第1発電電動機32を始動させるのに要する時間である始動時間Ton、及び、第1発電電動機32が所定の回転数に到達するのに要する時間である回転数上昇必要時間Tupを合わせた時間である。これにより、第1発電電動機32の始動に要するタイムラグを考慮して、事前に始動を開始するタイミングが設定されているため、上記タイムラグによって、減速開始タイミングであるt11のタイミングまでに、第1発電電動機32が必要回転数Rg1まで上昇していないといった不都合を回避できる。
【0093】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 各実施形態では、事前にエンジン31又は第1発電電動機32の回転数を上昇させる構成であったが、これに限られない。例えば、事前にエンジン31又は第1発電電動機32の回転数を下げる構成としてもよい。
【0094】
詳細には、推定された減速時蓄電電流値Ib0と基準電流値との比較、又は、推定された減速後SOCbと基準SOCとの比較を行う。そして、減速時蓄電電流値Ib0が基準電流値よりも低い、又は、減速後SOCbが基準SOCよりも低い場合には、蓄電装置34に分配される回生電力値Pbが高くなるように、事前にエンジン31又は第1発電電動機32の回転数を下げる構成としてもよい。
【0095】
○ 各実施形態では、減速時蓄電電流値Ib0とSOCの変動量δSOCとの双方を推定する構成としたが、これに限られず、いずれか一方を推定する構成であってもよい。
○ 運行管理コンピュータ22は、走行経路Rの傾斜に関する傾斜情報を所定の記憶領域に記憶させておく構成としてもよい。そして、運行管理コンピュータ22は、走行パターンに加えて、走行経路Rの傾斜情報を車載コンピュータ21に送信する構成としてもよい。この場合、車載コンピュータ21は、減速区間Tdにおける傾斜を把握し、ステップS103にて、積載重量、走行パターン及び傾斜に基づいて回生電力値Pmを推定する構成としてもよい。
【0096】
○ 各実施形態では、回生電力が発生する区間として減速区間Tdが設定されていたが、これに限られず、例えば下り傾斜の区間であってもよい。
○ 各実施形態では、荷重センサ38を用いて積載重量を測定する構成であったが、積載重量を把握する構成は任意である。例えば、加速時に要した電力量から積載重量を推定する構成としてもよいし、運行管理コンピュータ22から無線通信で取得する構成としてもよいし、ガントリークレーンC1又はラバータイヤクレーンC2にて測定された測定結果を取得する構成であってもよい。
【0097】
○ 第1実施形態では、定速区間Tcを走行中にエンジン31の回転数を上昇させる構成であったが、これに限られない。例えば、加速区間Ta中に回転数が高くなった場合には、その回転数を低くすることなく維持し、定速区間Tcにおいても、その回転数を維持するようにしてもよい。
【0098】
○ 各実施形態では、必要回転数Rg1を導出する構成であったが、これに限られず、必要回転数Rg1を導出せず、現状の回転数Rg0よりも高い所定の回転数に上昇させる構成としてもよい。
【0099】
○ 各実施形態では、蓄電装置34はニッケル水素電池やリチウムイオン電池であったが、これに限られず、例えば電気二重層キャパシタ等であってもよい。
○ 各実施形態では、車載コンピュータ21が一連の制御を行う構成であったが、これに限られず、複数の制御部が各種制御を行う構成であってもよい。つまり、エンジン31及び各発電電動機32,36の制御主体は任意である。
【0100】
○ 各実施形態では、第2発電電動機36は1つ設けられていたが、これに限られず、複数であってもよい。
○ 各実施形態では、運行管理コンピュータ22が各クレーンC1,C2の駆動制御を行う構成であったが、これに限られず、別の管理コンピュータがこれらの駆動制御を行う構成であってもよい。
【0101】
○ 第3実施形態において、エンジン状態把握部として回転数センサ39を用いたが、これに限られず、エンジン31が停止しているか否かを把握可能であれば任意である。例えば運行管理コンピュータ22から送信される走行パターンに基づいて、エンジン31が停止しているか否かを推定する構成であってもよい。
【0102】
○ 第3実施形態では、t10のタイミングとt11のタイミングとの間隔は、始動時間Ton及び回転数上昇必要時間Tupを合わせた時間であったが、これに限られず、上記間隔は、始動時間Ton及び回転数上昇必要時間Tupを合わせた時間以上であればよい。
【0103】
○ また、t10のタイミングとt11のタイミングとの間隔は、始動時間Tonであってもよい。要は、上記間隔は、少なくとも始動時間Tonを含むものであればよい。
○ 第3実施形態では、第1発電電動機32を始動させる構成であったが、これに限られず、スタータ等を用いてエンジン31を始動させる構成であってもよい。この場合、エンジン31の始動に係る時間を始動時間Tonとして、エンジン31の始動開始タイミングを設定するとよい。要は、減速区間Tdよりも前の区間にて無人搬送車11がEV走行している状況において、推定された回生電力値Pmが許容値Padjを超える場合には、減速区間Tdよりも前の区間にて、エンジン31又は第1発電電動機32を始動させればよい。
【0104】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記回生電力は、前記第1発電電動機と前記蓄電装置とに分配され、その分配比は、前記エンジン及び前記第1発電電動機の回転数に応じて変動する請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の無人搬送車の駆動システム。
【0105】
(ロ)前記回転数導出部は、前記第1発電電動機の回転数と、前記第1発電電動機が受入可能な電力値とが対応付けられたデータを参照することにより、前記第1発電電動機の回転数を導出する請求項3に記載の無人搬送車の駆動システム。
【符号の説明】
【0106】
10…無人搬送車の駆動システム、11…無人搬送車、21…車載コンピュータ、21a…N−P特性マップ、22…運行管理コンピュータ、31…エンジン、32…第1発電電動機、34…蓄電装置、36…第2発電電動機、37…SOCセンサ、38…荷重センサ、39…回転数センサ。
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