(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特徴点照合装置は、所定の前記第1の画素値特徴量である第1の基準画素値特徴量に、当該第1の基準画素値特徴量と略一致する第1の画素値特徴量が生成された第1の特徴点集合から生成された第1の位置特徴量が関連付けられた関連情報が格納される特徴格納手段をさらに備え、
前記位置特徴生成手段は、前記第1の基準画素値特徴量と略一致する第1の画素値特徴量が生成された第1の特徴点集合から前記第1の位置特徴量を生成したとき、当該第1の基準画素値特徴量に当該生成した第1の位置特徴量を前記関連情報において関連付け、
前記特徴照合手段は、前記第2の画素値特徴量と略一致する第1の基準画素値特徴量を検出し、検出した第1の基準画素値特徴量に関連付けられた第1の位置特徴量と、前記第2の画素値特徴量が生成された第2の特徴点集合から生成された第2の位置特徴量とが略一致するか否かによって、前記第1の特徴点集合と前記第2の特徴点集合とを照合する、
かもしくは、
前記特徴点照合装置は、所定の前記第1の位置特徴量である第1の基準位置特徴量に、当該第1の基準位置特徴量と略一致する第1の位置特徴量が生成された第1の特徴点集合から生成された第1の画素値特徴量が関連付けられた関連情報が格納される特徴格納手段をさらに備え、
前記画素値特徴生成手段は、前記第1の基準位置特徴量と略一致する第1の位置特徴量が生成された第1の特徴点集合から前記第1の画素値特徴量を生成したとき、当該第1の基準位置特徴量に当該生成した第1の画素値特徴量を前記関連情報において関連付け、
前記特徴照合手段は、前記第2の位置特徴量と略一致する第1の基準位置特徴量を検出し、検出した第1の基準位置特徴量に関連付けられた第1の画素値特徴量と、前記第2の位置特徴量が生成された第2の特徴点集合から生成された第2の画素値特徴量とが略一致するか否かによって、前記第1の特徴点集合と前記第2の特徴点集合とを照合する、
請求項3に記載の特徴点照合装置。
前記位置特徴生成手段は、前記第1の位置特徴量を生成する第1の位置特徴生成手段と、前記第1の位置特徴生成手段による前記第1の位置特徴量の生成と並行して、前記第2の位置特徴量を生成する第2の位置特徴生成手段とを含み、
前記画素値特徴生成手段は、前記第1の画素値特徴量を生成する第1の画素値特徴生成手段と、前記第1の画素値特徴生成手段による前記第1の画素値特徴量の生成と並行して、前記第2の画素値特徴量を生成する第2の画素値特徴生成手段とを含む
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の特徴点照合装置。
前記画像照合手段は、前記推定した変換内容に基づいて、前記第2の画像のうち、前記第1の画像に含まれる第1の領域に相当する第2の領域を特定して、当該第1の領域の特徴量と、当該第2の領域の特徴量とを比較することによって、前記第1の画像と前記第2の画像とを照合する
請求項7に記載の特徴点照合装置。
第1の画像に含まれる第1の少なくとも1つの特徴点の位置に基づいた当該第1の少なくとも1つの特徴点に関する第1の位置特徴量の生成、当該第1の少なくとも1つの特徴点の画素値に基づいた当該第1の少なくとも1つの特徴点に関する第1の画素値特徴量の生成、第2の画像に含まれる第2の少なくとも1つの特徴点の位置に基づいた当該第2の少なくとも1つの特徴点に関する第2の位置特徴量の生成、及び、当該第2の少なくとも1つの特徴点の画素値に基づいた当該第2の少なくとも1つの特徴点に関する第2の画素値特徴量の生成、を実行し、
前記第1の位置特徴量と前記第2の位置特徴量との一致度合い、及び、前記第1の画素値特徴量と前記第2の画素値特徴量との一致度合い、に基づいて、前記第1の少なくとも1つの特徴点と、前記第2の少なくとも1つの特徴点とを照合するものであり、
前記第1の位置特徴量を生成するために使用する第1の少なくとも1つの特徴点と、前記第1の画素値特徴量を生成するために使用する第1の少なくとも1つの特徴点は同一であり、
前記第2の位置特徴量を生成するために使用する第2の少なくとも1つの特徴点と、前記第2の画素値特徴量を生成するために使用する第2の少なくとも1つの特徴点は同一であり、
前記第1の画素値特徴量は、前記第1の少なくとも1つの特徴点の画素値であり、
前記第2の画素値特徴量は、前記第2の少なくとも1つの特徴点の画素値である、
特徴点照合方法。
第1の画像に含まれる第1の少なくとも1つの特徴点の位置に基づいた当該第1の少なくとも1つの特徴点に関する第1の位置特徴量の生成、当該第1の少なくとも1つの特徴点の画素値に基づいた当該第1の少なくとも1つの特徴点に関する第1の画素値特徴量の生成、第2の画像に含まれる第2の少なくとも1つの特徴点の位置に基づいた当該第2の少なくとも1つの特徴点に関する第2の位置特徴量の生成、及び、当該第2の少なくとも1つの特徴点の画素値に基づいた当該第2の少なくとも1つの特徴点に関する第2の画素値特徴量の生成、を実行する処理と、
前記第1の位置特徴量と前記第2の位置特徴量との一致度合い、及び、前記第1の画素値特徴量と前記第2の画素値特徴量との一致度合い、に基づいて、前記第1の少なくとも1つの特徴点と、前記第2の少なくとも1つの特徴点とを照合する処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記第1の位置特徴量を生成するために使用する第1の少なくとも1つの特徴点と、前記第1の画素値特徴量を生成するために使用する第1の少なくとも1つの特徴点は同一であり、
前記第2の位置特徴量を生成するために使用する第2の少なくとも1つの特徴点と、前記第2の画素値特徴量を生成するために使用する第2の少なくとも1つの特徴点は同一であり、
前記第1の画素値特徴量は、前記第1の少なくとも1つの特徴点の画素値であり、
前記第2の画素値特徴量は、前記第2の少なくとも1つの特徴点の画素値である、
特徴点照合プログラム。
【背景技術】
【0002】
特徴点配置照合装置は、例えば、画像照合装置における一機能として画像照合装置中に包含されている。特許文献1に開示される画像照合装置には次のような特徴点配置照合機能が包含されている。なお、特許文献1では、順序つきの特徴点の座標列を特徴点配置として計算している。
【0003】
この機能は、原理的には、登録画像不変量計算モジュールと、検索画像不変量計算モジュールと、不変量一致判定モジュールとから構成されている。登録画像不変量計算モジュールは、登録画像から計算される特徴点配置から不変量を計算する。検索画像不変量計算モジュールは、検索画像の特徴点配置から不変量を計算する。このような構成を有する特徴点配置照合機能は、原理的には、次のように動作することにより特徴点配置の照合を実現している。まず、登録処理において登録画像の特徴点配置に含まれる各特徴点の位置座標から特徴ベクトルがあらかじめ求められる。次に、検索処理において検索画像の特徴点配置に含まれる各特徴点の位置座標から特徴ベクトルが求められる。次に、登録処理で得られた特徴ベクトルと検索処理から得られた特徴ベクトルの類似度を求める。そして、類似度があらかじめ与えられた範囲内かを判定することにより、特徴点配置の照合が行われている。
【0004】
特許文献1に開示される画像照合装置は、投影用アフィンパラメータ推定モジュールと、部分領域投影モジュールと、投影画像照合モジュールと、画像照合結果計算モジュールとを含んでいる。投影用アフィンパラメータ推定モジュールは、特徴点配置照合機能を構成する3つのモジュールを含む。この画像照合装置では、照合対象となる2つの画像において、一致と判定された特徴ベクトル対が計算された特徴点配置の対から、幾何変換パラメータを計算する。画像照合装置は、計算した幾何変換パラメータを利用して一方の画像を部分領域毎に他方に投影した上で部分領域毎に照合を行い、部分領域毎の照合結果を統合して最終的な画像照合結果を得るように動作している。
【0005】
特徴点配置の生成法に関しては、特許文献1に開示されるほかにも既知の方法が存在している。例えば、特許文献2に開示される文書画像特徴量生成装置を利用することも可能である。
【0006】
また、特許文献3に開示される画像照合装置には、次のような特徴点群照合機能が包含されている。なお、本出願においては、特徴点群と特徴点配置という用語を区別して用いる。特徴点群という用語は、単に特徴点の集合であることを示す。この特徴点群に属す各特徴点に対して順序が付けられているとき、順序つきの特徴点群のことを特徴点配置と呼ぶ。
【0007】
この機能は、原理的には、2つの画像特徴データ群生成部と、照合部とから構成されている。2つの画像特徴データ群生成部は、基本画像及びサンプル画像から、2次元ベクトル(V)と、走査点についての2次元画素位置(R)との対を計算する。2次元ベクトル(V)は、画像中の所定の条件を満たす走査点周辺の平均輝度の空間的勾配である。照合部は、2つの画像特徴データ群生成部によりそれぞれ計算された2次元ベクトル(V)と2次元画素位置(R)の関係を利用して、本来正しい特徴点群の対応をとった場合に特定の画素値に対する投票値が高くなるような投票処理を行う。この特徴点群照合機能は、まず、2つの画像特徴データ群により、2次元ベクトル(V)と2次元画素位置(R)を計算しておき、次に、照合部が動作することにより、特徴点群を照合する処理を実現する。
【0008】
特許文献3に開示される技術では、2次元ベクトルと2次元画素位置の関係に基づいた投票が行われている。従って、投票対象の2画像が互いに平行移動もしくは回転もしくはそれらの組み合わせの関係にある場合には有効な技術と考えられる。しかしながら、投票対象の2画像が互いに2次元アフィン変換や射影変換(平面を平面に映す任意の変換)の関係にある場合には原理的に適さない技術である。
【0009】
特許文献4に開示される画像照合方法は、画像照合の類似度を計算する方法である。この画像照合方法は、局所領域毎の照合結果に基づいて、対応する局所領域対の情報を元に幾何変換パラメータを推定する。次に、この画像照合方法は、推定された幾何変換パラメータに基づいて位置補正を行い、相対位置投票処理を行って、画像照合の類似度を計算する。この画像照合方法は、照合の結果対応付けられるのは、特徴点ではなく局所領域である。この画像照合方法は、適切に局所領域の対応を求めることができれば、原理的にはアフィン変換又は射影変換が起きていても適用可能な方法である。しかしながら、アフィン変換や射影変換が起きている場合には、局所領域の大きさが大きくなるに従い、局所領域の照合精度が落ちると考えられる。従って、結果として得られる画像照合の精度も落ちると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の第1の実施の形態.
まず、
図1を参照して本発明の第1の実施の形態にかかる特徴点配置照合装置1の概要となる特徴点照合装置5について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる特徴点照合装置5の構成を示すブロック図である。
【0022】
特徴点照合装置5は、位置特徴生成手段51、画素値特徴生成手段52、及び、特徴照合手段53を有する。
【0023】
位置特徴生成手段51は、画像に含まれる少なくとも1つの特徴点の位置に基づいて、少なくとも1つの特徴点に関する位置特徴量を生成する。画素値特徴生成手段52は、画像に含まれる少なくとも1つの特徴点の画素値に基づいて、少なくとも1つの特徴点に関する画素値特徴量を生成する。
特徴照合手段53は、位置特徴生成手段51によって第1の画像に含まれる第1の少なくとも1つの特徴点から生成された第1の位置特徴量と、位置特徴生成手段51によって第2の画像に含まれる第2の少なくとも1つの特徴点から生成された第2の位置特徴量との一致度合い、及び、画素値特徴生成手段52によって第1の少なくとも1つの特徴点から生成された第1の画素値特徴量と、画素値特徴生成手段52によって第2の少なくとも1つの特徴点から生成された第2の画素値特徴量との一致度合い、に基づいて、第1の少なくとも1つの特徴点と、第2の少なくとも1つの特徴点とを照合する。
【0024】
続いて、本発明の第1の実施の形態にかかる特徴点照合装置5の動作について説明する。
【0025】
位置特徴生成手段51は、第1の画像に含まれる第1の少なくとも1つの特徴点が外部から入力される。位置特徴生成手段51は、入力された第1の少なくとも1つの特徴点の位置に基づいて、第1の少なくとも1つの特徴点に関する第1の位置特徴量を生成する。画素値特徴生成手段52は、第1の画像に含まれる第1の少なくとも1つの特徴点が外部から入力される。画素値特徴生成手段52は、入力された第1の少なくとも1つの特徴点の画素値に基づいて、第1の少なくとも1つの特徴点に関する第1の位置特徴量を生成する。
【0026】
位置特徴生成手段51は、第2の画像に含まれる第2の少なくとも1つの特徴点が外部から入力される。位置特徴生成手段51は、入力された第2の少なくとも1つの特徴点の位置に基づいて、第2の少なくとも1つの特徴点に関する第2の位置特徴量を生成する。画素値特徴生成手段52は、第2の画像に含まれる第2の少なくとも1つの特徴点が外部から入力される。画素値特徴生成手段52は、入力された第2の少なくとも1つの特徴点の画素値に基づいて、第2の少なくとも1つの特徴点に関する第2の位置特徴量を生成する。
【0027】
特徴照合手段53は、第1の位置特徴量と第2の位置特徴量との一致度合い、及び、第1の画素値特徴量と第2の画素値特徴量との一致度合い、に基づいて、第1の少なくとも1つの特徴点と第2の少なくとも1つの特徴点とを照合する。
【0028】
なお、第1の位置特徴量、第2の位置特徴量、第1の画素値特徴量、及び、第2の画素値特徴量の生成順序は、上述した順序に限られない。また、それらの特徴量のうち、任意の2つ以上の特徴量が並列して生成されるようにしてもよい。
【0029】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の最良の実施形態に係る特徴点配置照合装置1の構成を示すブロック図である。
【0030】
図1を参照すると、特徴点配置照合装置1は、例えばCPU(Central Processing Unit)などに代表される演算装置(以下、単にCPUと呼ぶ。)7と、記憶媒体8とから構成されている。また、入出力インターフェイス9を備えていても良い。
【0031】
CPU7は、以下で述べる各種手段を実装した各種ソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム)を実行することにより、特徴点配置照合装置1の全体的な動作を司る。
記憶媒体8は各種ソフトウェア・プログラムとその実行に必要なデータを格納するための記憶媒体である。記憶媒体は、例えば、メモリ及びハードディスク等である。
【0032】
入出力インターフェイス9は、特徴点配置照合装置1の外部とのデータ通信に用いる。通信されるデータの例としては、特徴点配置照合装置1の外部から入力される特徴点配置データ、特徴点配置照合装置1が出力する特徴点配置照合結果データがあるが、これらに限られない。入出力インターフェイス9は、少なくともCPU7との通信ができればよい。入出力インターフェイス9は、例えば、外部からの信号を伝達できる通信線を接続するコネクタや、無線信号を受信する機器などを用いることができる。または、特徴点配置照合装置1内部の信号伝達経路の一部をそのまま用いることもできる。
【0033】
図3は、本発明の第1の最良の実施形態に係る特徴点配置照合装置13における、ソフトウェア構成を示すブロック図である。
図3を参照すると、特徴点配置照合装置13は、特徴点番号付与手段R12およびQ12、特徴計算手段R131およびQ131、特徴照合手段132とから構成されている。
【0034】
ここで、特徴点番号付与手段R12は、外部から入力された第1の特徴点群から後述する方法で各特徴点を順序付けすることで、第1の特徴点配置を計算する。以下では、特徴点群とは、各特徴点の位置座標および画素値を示す情報である。また、順序付けされた特徴点群のことを特徴点配置と呼ぶ。つまり、特徴点配置とは、各特徴点の位置座標、画素値、及び、順序を示す情報である。特徴点番号付与手段R12は、第1の特徴点配置を特徴計算手段R131に出力する。また、特徴点は、画像の特徴を示す画像内の任意の点であれば、どのようなものであってもよい。例えば、特徴点は、画像を二値化した後に得られる1つ以上の連結領域の和領域の重心点や、画素値分布における特徴的な点等である。
【0035】
特徴点番号付与手段Q12は、外部から入力された第2の特徴点群から第2の特徴点配置を計算する。特徴点番号付与手段Q12は、第2の特徴点配置を特徴計算手段R131に出力する。
【0036】
また、特徴計算手段R131は入力された第1の特徴点配置から特徴を計算する。特徴計算手段Q131は入力された第2の特徴点配置から特徴を計算する。特徴点番号付与手段R12と特徴点番号付与手段Q12は、同一の構成であり、同一の動作を実行する。同様に、特徴計算手段R131と特徴計算手段Q131は、同一の構成であり、同一の動作を実行する。ただし、特徴点が抽出された画像の性質が異なる場合などの場合は、その差異を吸収するために、特徴点番号付与手段R12と特徴点番号付与手段Q12の間と、R特徴計算手段131と特徴計算手段Q131の間の少なくとも一方で、構成もしくは動作の少なくとも何れかを変えても良い。
【0037】
以下の説明では、特に断りの無い限り、特徴点番号付与手段R12と特徴点番号付与手段Q12は同様の構成であり、特徴計算手段R131と特徴計算手段Q131は同様の構成であるとして説明する。なお、第1の特徴点群中の各特徴点にあらかじめ順序付けがされていればR12は不要であり、第2の特徴点群中の各特徴点にあらかじめ順序付けがされていればQ12は不要である。
【0038】
特徴点番号付与手段R12は、上述したように、第1の特徴点群から第1の特徴点配置を計算する。例えば、与えられた特徴点群(特徴点数n個)の注目する点について次の(A)から(C)までの処理を行うことにより、特徴点群の順序を得る。ここで、nは、任意の正整数である。
【0039】
(A)まず、特徴点群から注目する1点の近傍m個の点を選択する。ここで、mは、任意の正整数である。mは、例えば、n未満の数のいずれかとする。(B)次に、m個の点のうち注目する点に最も近い近傍の点を1点選び順序を1番とする。(C)注目する点を中心として、1番の特徴点の位置から時計回りにm−1個の特徴点を探索し、探索された順に2番からm番を選ぶ。順序付けを行う方法は必ずしもこの方法には限られない。これらの処理は、n個の特徴点の中からあらかじめ与えられる1点を注目点としてもよいし、n個の点を全て注目点とするまで上述の処理を繰り返しても良い。例えば、(C)では近傍m個から特徴点配置を構成しているが、注目する1点を含めたm+1個で特徴点配置を構成しても良い。
【0040】
特徴点番号付与手段Q12は、特徴点番号付与手段R12と同様の方法で、第2の特徴点群から第2の特徴点配置を計算する。ここで、nとmとの関係について具体例を挙げて説明する。1例としては、1つの画像に含まれる全ての特徴点を特徴点群(特徴点数n個)とし、かつ、m+1<nとして、入力された特徴点群のうち、m個又はm+1個ずつの特徴点を、特徴点配置とするようにしてもよい。他の例としては、1つの画像に含まれる全ての特徴点のうち、特徴点配置に相当する数の特徴点を特徴点群(特徴点数n個)とし、かつ、m+1=nとして、m個又はm+1個の特徴点を、特徴点配置とするようにしてもよい。つまり、後者の場合は、1つの画像から抽出された、特徴点配置に相当する数ずつの特徴点が、特徴点群として順次、特徴点番号付与手段R12及びQ12に入力されていくことになる。
【0041】
特徴計算手段R131は、特徴点番号付与手段R12から入力された第1の特徴点配置中の各特徴点の座標および画素値から、特徴点配置の照合に必要な第1の特徴セットを計算する。特徴計算手段R131は、位置特徴計算手段R1311と画素値特徴計算手段R1312とから構成される。
【0042】
位置特徴計算手段R1311は、特徴点番号付与手段R12から入力された第1の特徴点配置に含まれる各特徴点の座標に基づいて、第1の特徴点配置に関する第1の位置特徴量を計算する。位置特徴計算手段R1311は、第1の特徴点配置の各特徴点の位置に基づいた特徴量を計算する。例えば、特許文献2に開示されるように、各特徴点の座標に基づいて計算される幾何変換不変量を要素とした特徴ベクトルを、位置特徴量として計算すればよい。具体的には、上述した順序付けによる順序を守ってm個の特徴点から所定数の特徴点を選択する場合にとり得る複数の組み合わせのそれぞれについて、選択した特徴点の座標から不変量を計算することによって特徴ベクトルを計算する。つまり、位置特徴量は、上述した順序付けによる順序に従って計算された幾何不変量が並べられた情報(特徴ベクトル)である。ここで、位置特徴量は、このような特徴ベクトルに限られない。例えば、特徴点配置に属する各特徴点の位置座標の組み合わせを位置特徴量としても良い。つまり、上述した順序付けによる順序に従って各特徴点の位置座標が並べられた情報を位置特徴量としてもよい。
【0043】
画素値特徴計算手段R1312は、特徴点番号付与手段R12から入力された第1の特徴点配置に含まれる各特徴点の画素値に基づいて、第1の特徴点配置に関する第1の画素値特徴量を計算する。例えば、特徴点配置中の各特徴点の輝度値、又は、RGB表色系、XYZ表色系もしくはHSV表色系といった色空間における点の座標値(RGB空間内の点であれば、R成分の値とG成分の値とB成分の値に相当)を画素値特徴量として利用することができる。また、色空間上の点の座標値に基づいて計算される値、例えば、特徴量の各成分を適当な幅で正規化した値を使っても良い。画素値特徴量は、例えば、上述した順序付けによる順序に従って、上述した各特徴点の画素値が並べられた情報である。すなわち、画素値とは、例えば、輝度値及び色空間における座標値等である。特徴点の座標値が整数値でなく直接画素値を取得することができない場合は、特徴点周囲で画素値が定義されている点における座標と画素値および、それらの点と特徴点との位置関係から既知の方法を用いて推定される特徴点の画素値を利用することができる。例えば、既知の方法として線形補間を行うことができるが、これに限られない。以上のように、本実施形態において、第1の特徴セットは、第1の位置特徴量と第1の画素値特徴量とから構成される。特徴計算手段R131は、計算した第1の特徴セットを特徴照合手段132に出力する。
【0044】
特徴計算手段Q131は、特徴点番号付与手段Q12から入力された第2の特徴点配置中の各特徴点の座標および画素値からの第2の特徴セットの計算を、特徴計算手段R131と同様に行うので、説明を省略する。特徴計算手段Q131を構成する位置特徴計算手段Q1311と画素値特徴計算手段Q1312は、それぞれ、位置特徴計算手段R1311と画素値特徴計算手段R1312と同様であるので、説明を省略する。結果として、特徴計算手段Q131によって、第2の位置特徴量と第2の画素値特徴量からなる、第2の特徴セットが計算される。特徴計算手段Q131は、計算した第2の特徴セットを特徴照合手段132に出力する。
【0045】
特徴照合手段132は、特徴計算手段R131およびQ131によって計算された、第1の特徴セットと第2の特徴セットを照合することにより、特徴点配置が同一であるかどうかを判定する。好適な一例では、特徴照合手段132は、位置特徴照合手段1321と画素値特徴照合手段1322と特徴点配置照合手段1323とから構成される。
【0046】
位置特徴照合手段1321は、第1の位置特徴量と第2の位置特徴量が同一のものであるかどうかを判定する。判定には既知の方法を使えばよい。例えば、位置特徴量をベクトルとみなしたときの、両ベクトル間の市街地距離、ユークリッド距離、ベクトルの内積、2つのベクトルがなす角度などを用いた既知の方法で類似度を計算する。そして、その計算された類似度が予め定められた一定の範囲内にある(通常、小さい値をとる)場合に一致すると判定する方法を用いればよい。つまり、位置特徴量が略一致した場合に、位置特徴量が一致したと判定するようにしてもよい。ここで、略一致とは、位置特徴量の一致度合いが、位置特徴量が完全に一致する場合を含む所定の範囲内となることである。位置特徴照合手段1321は、位置特徴量が一致したか否かを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。または、類似度をそのまま判定結果として出力することも可能である。
【0047】
画素値特徴照合手段1322は、第1の画素値特徴量と第2の画素値特徴量が同一のものであるかどうかを判定する。判定には既知の方法を使えばよい。例えば、特徴量をベクトルとみなしたときの、両ベクトル間の市街地距離、ユークリッド距離、ベクトルの内積、2つのベクトルがなす角度などを用いた既知の方法で類似度を計算する。そして、その計算された類似度が予め定められた一定の範囲内にある(通常、小さい値をとる)場合に一致すると判定する方法を用いればよい。つまり、画素値特徴量についても、位置特徴量と同様に、画素値特徴量が略一致した場合に、画素値特徴量が一致したと判定するようにしてもよい。画素値特徴照合手段1322は、位置特徴量が一致したか否かを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。または、類似度をそのまま判定結果として出力することも可能である。
【0048】
特徴点配置照合手段1323は、位置特徴照合手段1321が出力する判定結果と、画素値特徴照合手段1322が出力する判定結果とが入力される。特徴点配置照合手段1323は、入力されたそれぞれの判定結果に基づいて、第1の特徴点配置と第2の特徴点配置とが同一であるかどうかの判定を行う。例えば、位置特徴照合手段1321と画素値特徴照合手段1322がどちらも一致すると判定した場合に、特徴点配置が一致したと判定する。
【0049】
後述する動作の説明では、この方法を例として説明を行うが、この方法には限定されない。例えば、位置特徴照合手段1321が出力する類似度と、画素値特徴照合手段1322が出力する類似度を変数とする適当な関数をあらかじめ定めておく。そして、その関数に類似度を入力した結果、その関数が出力する値が、あらかじめ定めておいた一定の範囲内にあった場合に、特徴点配置が一致したと判定してもよい。つまり、特徴点配置が略一致した場合に、特徴点配置が一致したと判定するようにしてもよい。ここで、略一致とは、特徴点配置の一致度合いが、位置特徴量が完全に一致する場合を含む所定の範囲内となることである。
【0050】
なお、この関数は、位置特徴照合手段1321が出力する類似度が予め定められた一定の範囲内にあり、かつ、画素値特徴照合手段1322が出力する類似度が予め定められた一定の範囲内にある場合に、上述した一定の範囲内の値を出力する。また、この場合に、特徴点配置が一致するか否かを示す値を出力するようにしてもよい。特徴点配置照合手段1323は、特徴点配置照合結果を外部に出力する。特徴点配置照合結果は、例えば、特徴点配置が一致したか否かを示す情報である。
【0051】
ここで、上述した手段において入出力される、特徴点群、特徴点配置、位置特徴量、画素値特徴量、判定結果、及び、特徴点配置照合結果等は、厳密には、CPU7によって取り扱い可能な情報となる。
【0052】
次に、
図4のフローチャートを参照して本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0053】
まず、特徴計算手段R131が、特徴点番号付与手段R12から入力された第1の特徴点配置から、第1の特徴セットを計算する(ステップS101)。特徴計算手段R131は、計算した第1の特徴セットを特徴照合手段132に出力する。次に、特徴計算手段Q131が、特徴点番号付与手段Q12から入力された第2の特徴点配置から、第2の特徴セットを計算する(ステップS102)。特徴計算手段Q131は、計算した第2の特徴セットを特徴照合手段132に出力する。
【0054】
次に、画素値特徴照合手段1322が、第1の特徴セットに含まれる第1の画素値特徴量と、第2の特徴セットに含まれる第2の画素値特徴量が同一であるかどうかを判定する(ステップS103)。第1の画素値特徴量と第2の画素値特徴量が同一であれば、画素値特徴照合手段1322は、画素値特徴量が一致したことを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。そして、位置特徴照合手段1321は、ステップS104の処理を行う。第1の画素値特徴量と第2の画素値特徴量が同一でなければ、画素値特徴照合手段1322は、画素値特徴量が不一致であることを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。これによって、特徴点配置照合手段1323は、特徴点配置照合結果を不一致として、結果「不一致」を外部に出力する(ステップS106)。
【0055】
ステップS104では、位置特徴照合手段1321が、第1の特徴セットに含まれる第1の位置特徴量と第2の特徴セットに含まれる第2の位置特徴量が同一であるかどうかを判定する(ステップS104)。第1の位置特徴量と第2の位置特徴量が同一であれば、位置特徴照合手段1321は、位置特徴量が一致したことを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。これによって、特徴点配置照合手段1323は、特徴点配置照合結果を一致として、結果「一致」を外部に出力する(ステップS105)。第1の位置特徴量と第2の位置特徴量が同一でなければ、位置特徴照合手段1321は、位置特徴量が不一致であることを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。これによって、特徴点配置照合手段1323は、上述したステップS106の処理を行う。
【0056】
なお、本実施形態の動作は、画素値特徴量および位置特徴量の双方が一致すれば特徴点配置として一致、そうでなければ不一致と判定する動作であればよく、上述した処理の順序を入れ替えたり、並列処理を行ったりしてもよい。例えば、特徴計算手段Q131による第2の特徴セットの計算の後に、特徴計算手段R131による第1の特徴セットの計算を行うようにしてもよく、それぞれの計算を並列に行うようにしてもよい。また、例えば、位置特徴照合手段1321による位置特徴量が一致しているか否かの判定の後に、画素値特徴照合手段1322による画素値特徴量が一致しているか否かの判定を行うようにしてもよく、それぞれの判定を並列に行うようにしてもよい。
【0057】
なお、本実施の形態では、画素値特徴量が一致した場合に、位置特徴量の判定を行うようにしているが、これは、例えば、画素値特徴照合手段1322が、画素値特徴量が一致したことを示す判定結果を位置特徴照合手段1321に出力するようにして、位置特徴照合手段1321が判定結果に応じて位置特徴量の判定を行うようにすることで実現するようにしてもよい。位置特徴量が一致した場合に、画素値特徴量の判定を行うようにした場合についても同様である。
【0058】
また、本実施の形態では、第1の位置特徴量と第2の位置特徴量とのそれぞれを、特徴点配置において順序付けられた順序に従った順序の特徴量を含むように計算する場合について例示したが、これに限られない。第1の位置特徴量と第2の位置特徴量との一致を比較することができるように、それぞれの位置特徴量に含まれる値が対応付けられていればよい。ただし、好ましくは、本実施の形態のように、第1の位置特徴量と第2の位置特徴量とを同様の規則で計算することで、第1の位置特徴量と第2の位置特徴量との比較を容易にすることができ、位置特徴照合手段1321による処理量を削減することができる。これは、画素値特徴量についても同様である。
【0059】
また、本実施形態の構成および動作は、第1の画像から計算される1つ以上の特徴点配置のおのおのと、第2の画像から計算される1つ以上の特徴点配置のおのおのとを総当りで照合させる場合には、次のように構成及び動作を変更することもできる。具体的には、第1の画像に関する1つ以上の特徴点配置のおのおのから先に第1の特徴セットを計算しておいて記憶媒体8中に格納しておく。そして、第2の画像に関する特徴点配置のおのおのについて第2の特徴セットを計算する毎に、記憶媒体8から第1の特徴セットのおのおのを読み出して、計算した第2の特徴セットと照合するように構成しても良い。
【0060】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
本実施の形態では、第1の特徴点配置と第2の特徴点配置から、第1の位置特徴量、第1の画素値特徴量、第2の位置特徴量、及び第2の画素値特徴量を計算し、これらを用いて特徴点配置の照合が判定されるように構成されている。ここで、画素値特徴量は、各特徴点配置をなんらかの方法で順序付けた場合の画素値の列を利用している。従って、特徴点配置が一致しているかどうかに関して、特徴点の位置のみを用いる手法よりも高精度に照合できる。
【0061】
その理由は、2次元アフィン変換や2次元射影変換といった自由度の大きな幾何変換の影響を受けていても、特徴点群もしくは特徴点配置中の各特徴点の位置だけでなく、各特徴点の画素値をも利用して、与えられた2つの特徴点配置が一致しているか否かを判定しているからである。
【0062】
発明の第2の実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の第2の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態と共通する部分が多いため、相違する部分を中心に説明する。
【0063】
本発明の第2の実施の形態の構成が、本発明の第1の実施の形態の構成と異なる点は、画素値特徴計算手段R1312が画素値特徴計算手段R2312に変更されており、画素値特徴計算手段Q1312が画素値特徴計算手段Q2312に変更されているところである。これに伴い、特徴計算手段R131が特徴計算手段R231に変更されており、Q131がQ231に変更されている。なお、特徴計算手段Q231及び画素値特徴計算手段Q2312は、特徴計算手段R231及び画素値特徴計算手段R2312と同様であるため、説明及び図示を省略する。
【0064】
図5は、本発明の第2の実施形態における画素値特徴計算手段R2312の構成を示すブロック図である。本実施の形態における画素値特徴計算手段R2312は、第1の実施の形態の画素値特徴計算手段R1312が計算する画素値特徴の種類が後述するように限定されるよう構成されている。具体的には、画素値特徴計算手段R2312は、特徴点画素値二値化手段R23121と画素値特徴生成手段R23122とから構成される。
【0065】
特徴点画素値二値化手段R23121は、特徴点番号付与手段R12から入力される特徴点配置に属する各特徴点の画素値を二値化する。例えば、特徴点の画素値が輝度値である場合は、輝度値を既知の方法で二値化して得られる値を用いればよい。画素値がRGB、XYZ、及びHSV等の色空間上の点として表現される場合は、あらかじめ与えられる関数で1次元の数値を求め、その数値を二値化して得られる値を用いてもよい。または、色空間上で既知の方法を用いてクラスタリングを行い、適当な1つ以上のクラスタに属すか属さないかを判定することにより二値のいずれであるかを求めても良い。なお、各画素値が二値化されていることがあらかじめわかっている場合は、この手段は必ずしも必要ない。
【0066】
画素値特徴生成手段R23122は、与えられている特徴点配置の各画素値に対して二値化を行った結果を利用して、画素値特徴量を生成する。具体的には、例えば、特徴点配置に属する各特徴点の順序に従って、各特徴点の画素値を二値化した結果を順に並べればよい。
【0067】
図6は、画素値特徴計算手段R2312により計算される画素値特徴量の例を示すための図である。
図6中の黒点が特徴点の位置を表している。
図6を参照すると、各特徴点の画素値を二値化して得られた結果がビット列の形式で表現されている。特徴点配置がm個の点を含んでいたとすると、この画素値特徴は2のm乗個のバリエーションを表現できる。また、この画素値特徴は1つの特徴点につき1ビットの情報量しか含まないため、コンパクトな特徴量と言える。例えば、m≦8の場合は記憶容量1バイトの変数に格納できる。
【0068】
本発明の第2の実施の形態の動作は、本質的には、本発明の第1の実施の形態の動作と同一であるため、説明を省略する。
【0069】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
本実施の形態では、画素値特徴として各特徴点の画素値を二値の何れかで表現したビットの列を計算するように構成されている。例えば、上述したようにm≦8の場合は記憶容量1バイトの変数に格納できるため、画素値特徴が一致するかどうかについての判定を、1バイト変数が一致するかどうかの判定に基づいて決定するように実装することができる。このように、本実施の形態で計算される画素値特徴はコンパクトであるため、高速な照合が実現できる。
【0070】
また、ここで指摘しておきたいことは、
図4に示されるように、画素値特徴を照合した後に位置特徴を照合することが、特徴点配置の照合を高速に行うという観点からは、特に好適ということである。これは、画素値特徴が高速に照合できることによる。特に、位置特徴が一致するか否かの照合に時間がかかる場合、全体の特徴点配置照合にかかる処理時間を小さくする効果が大きい。
【0071】
なお、本実施の形態では、画素値を二値化した場合について例示したが、画素値を二値化以外の値に複数値化するようにしてもよい。例えば、画素値を四値化してもよい。例えば、元の画素値が0〜255で表現されているときに、その複数値よりも少ない四値化をした場合であっても、情報量を削減して、高速な照合を実現することができるからである。
【0072】
発明の第3の実施の形態.
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
まず、本実施の形態を説明するための背景を述べる。例えば、本発明の第2の実施の形態を実施する場合で、照合対象となる第1の特徴点配置がp1個、第2の特徴点配置がp2個あり、第1の特徴点配置と第2の特徴点配置とのすべての組み合わせについて一致かどうか判定する問題を考える。ここで、p1及びp2は、それぞれ任意の正整数である。この場合、位置特徴量もしくは画素値特徴量の少なくともいずれかの一致判定が必ずp1×p2回行われることになる。例えば、
図4のような照合を行うとすると、少なくとも画素値特徴の照合がp1×p2回行われる。これは、本発明の第1の実施の形態でも同様である。本発明の第3の実施の形態は、位置特徴量および画素値特徴量の一致判定回数を削減することにより、さらに全体として高速な処理が行えるようにすることを実現した実施形態である。
【0073】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して、構成、動作、および、本実施の形態に特有の効果について詳細に説明する。本実施形態は、本発明の第2の実施の形態と共通する部分が多いため、異なる部分のみ説明する。
【0074】
図7は、本発明の第3の実施の形態の構成を説明するための図である。
図7を参照すると、本発明の第2の実施の形態と異なっているのは、特徴格納手段R333が含まれていることである。
【0075】
特徴格納手段R333は、典型的には記憶媒体8内に実装されるが、これに限られない。特徴格納手段R333は、位置特徴計算手段R1311が計算する位置特徴量が、画素値特徴計算手段R2312が計算する画素値特徴量の値に基づいて格納される。
図8は、位置特徴量が格納された様子の一例を説明するための図である。なお、
図8では、位置特徴量を「p.f.
q」として示す。この例では、位置特徴量がまったく格納されていない初期状態から、画素値特徴量を索引として、位置特徴量を要素としたリスト形式で、位置特徴量を格納した様子を示している。
図8中の「p」は次の要素へのポインタを表し、「終」は終端であることを表すポインタである。このような位置特徴量の格納がどのように行われるかについては、動作の説明で後述する。
【0076】
次に、本発明の第3の実施の形態の動作を説明する。
本実施の形態の動作は、登録処理SR3、検索処理SQ3とからなる。登録処理SR3は、第1の特徴点配置すべてに関してあらかじめ第1の位置特徴量および第1の画素値特徴量を計算し、第1の位置特徴量を特徴格納手段R333に格納する処理である。検索処理SQ3は、第2の特徴点配置に関する第2の位置特徴量および第2の画素値特徴量の計算を行う。そして、検索処理SQ3は、計算した第2の画素値特徴量と、特徴格納手段R333に格納されている第1の画素値特徴量との照合を行うことにより、第1の特徴点配置と第2の特徴点配置の照合を行う。以下、登録処理SR3と検索処理SQ3を、より詳細に説明する。
【0077】
図9は、登録処理SR3の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、特徴計算手段R231は、p1個ある第1の特徴点配置のうちの一つに対して第1の特徴セット(第1の位置特徴量および第1の画素値特徴量)を計算する(ステップSR301)。
【0078】
次に、特徴計算手段R231は、計算した第1の位置特徴量を特徴格納手段R333に格納する(ステップSR302)。このとき第1の位置特徴量は、計算された第1の画素値特徴量を索引とするリストの最後尾に連結される。すなわち、ステップSR302では、次に記すステップSR3021からSR3023までの処理を順に実行していけばよい。なお、ステップSR3021からSR3023までの処理については、図示を省略している。
【0079】
まず、特徴計算手段R231は、計算された第1の画素値特徴量を索引とするリストの最後尾を見つける(ステップSR3021)。特徴計算手段R231は、リストの最後尾に第1の位置特徴量を要素として付加する(ステップSR3022)。特徴計算手段R231は、その要素に終端であることを表すポインタを付加する(ステップSR3023)。また、特徴計算手段R231は、付加した要素の1つ前の要素のポインタを、新たに付加へのポインタに更新する。ステップSR302が終了したら、特徴計算手段R231は、すべての第1の特徴点配置について特徴量の計算が終わったかどうかを判定する(ステップSR303)。特徴計算手段R231は、すべての第1の特徴点配置について特徴量の計算が終わっていたら登録処理SR3を終了する。そうでなければまだ第1の位置特徴量の格納が行われていない第1の特徴点配置についてステップSR301〜SR303の処理を行う。
【0080】
次に、検索処理SQ3の動作を説明する。
図10は、検索処理SQ3の動作を説明するためのフローチャートである。
図10を参照すると、まず、特徴計算手段Q231は、p2個ある第2の特徴点配置のうちの一つに対して第2の特徴セット(第2の位置特徴量および第2の画素値特徴量)を計算する(ステップSQ301)。特徴計算手段Q231は、計算した第2の特徴セットを特徴照合手段132に出力する。
【0081】
次に、画素値特徴照合手段1322は、特徴格納手段R333に格納されるリストから、特徴計算手段Q231から出力された第2の特徴セットに含まれる第2の画素値特徴量と一致する第1の画素値特徴量の索引を検索する。画素値特徴照合手段1322は、第2の画素値特徴量と一致する索引を検出した場合、検出した索引を位置特徴照合手段1321に出力する。さらに、この場合に、画素値特徴照合手段1322は、検出した索引のリストの第1要素へのポインタが終端でなければ、画素値特徴量が一致したことを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。逆に、画素値特徴照合手段1322は、検出した索引のリストの第1要素へのポインタが終端である場合、画素値特徴量が不一致となったことを示す判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。リストに第1の位置特徴量が格納されていない場合は、そのリストの索引となる第1の画素値特徴量が計算される第1の特徴点配置は存在しなかったことになるからである。
【0082】
位置特徴照合手段1321は、画素値特徴照合手段1322から出力された索引のリストの第1要素へのポインタを取得し、取得した第1要素へのポイントを次の要素へのポインタとする(ステップSQ302)。
【0083】
次に、位置特徴照合手段1321は、取得した次の要素へのポインタが、終端であるかかどうかを判定する(ステップSQ303)。次の要素へのポインタが終端である場合、位置特徴照合手段1321は、そのリストでの検索を終了して、ステップSQ305の処理を行う。もし次の要素へのポインタが終端でなければステップSQ304の処理を行う。
【0084】
ステップSQ304の処理では、位置特徴照合手段1321は、次の要素に格納されている第1の位置特徴量と、特徴計算手段Q231から出力された第2の特徴セットに含まれる第2の位置特徴量との照合を行って判定結果を特徴点配置照合手段1323に出力する。そして、位置特徴照合手段1321は、照合した第1の位置特徴量に付加されているポインタを、次の要素へのポインタとして取得する。そして、位置特徴照合手段1321は、再び、ステップSQ303の処理を行う。
【0085】
ステップSQ305の処理では、すべての第2の特徴点配置について照合が終了したかどうかが判定される。全ての第2の特徴点配置について照合が終了した場合、検索処理SQ3を終了する。全ての第2の特徴点配置について照合が終了していない場合、まだ照合が行われていない第2の特徴点配置に関してSQ301の処理を行う。つまり、特徴照合手段132は、照合が行われていない第2の特徴点配置から計算した第2の特徴セットを特徴計算手段Q231から取得して検索処理SQ3を継続する。
【0086】
次に、本実施の形態の効果について説明する。本実施の形態では、登録処理において位置特徴を索引に基づいて分類して格納した上で、検索処理において画素値特徴量が索引と一致した特徴セットの位置特徴量のみを照合することにより、特徴点配置を照合するように構成されている。したがって、本発明の第1および第2の実施形態と比べて高速な照合が可能となる。
【0087】
具体的に説明すると、第2の実施の形態では、位置特徴量及び画素値特徴量のそれぞれの一致判定が、第1の特徴点配置の数p1×第2の特徴点配置の数p2回行われることになる。しかし、本第3の実施の形態では、画素値特徴量の一致判定が、画素値特徴量が一致する索引を検出するまでの比較回数で済み、位置特徴量の一致判定が、検出した索引に含まれる要素の数だけで済む。したがって、画素値特徴量及び位置特徴量の一致判定回数を削減することができる。特に、第1の特徴点配置の数及び第2の特徴点配置の数が多くなればなるほど、より一致判定回数を大幅に削減することができる。
【0088】
以上で説明した本発明の第3の実施形態では、画素値特徴量の値に基づいて位置特徴量を分類したが、位置特徴量の値に基づいて画素値特徴量を分類するように構成してもかまわない。また、実装に当たっては、位置特徴量が記憶媒体8に格納済みである場合には、記憶媒体8上の位置特徴格納領域へのポインタを利用して、リストを構成してもよい。
【0089】
また、本発明の第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、第2の画素値特徴量と、索引となる第1の画素値特徴量とが略一致する場合にも、画素値特徴量が一致したと判定してもよい。つまり、画素値特徴照合手段1322は、特徴格納手段R333に格納されるリストから、第2の画素値特徴量と略一致する第1の画素値特徴量の索引を検出するようにしてもよい。また、位置特徴量についても、同様に、第1の位置特徴量と第2の位置特徴量が略一致した場合に、位置特徴量が一致したと判定するようにしてもよい。
【0090】
また、本発明の第3の実施の形態では、画素値を二値化した画素値特徴量をリストの索引とした場合について例示したが、これに限られない。例えば、画素値を二値化以外の値に複数値化した画素値特徴量を索引としてもよく、画素値を複数値化していない画素値特徴量を索引としてもよい。
【0091】
上述したような、各実施形態の特徴点配置照合装置13は、画像照合装置における一機能として利用可能である。
【0092】
それは、背景技術で記載したように、画像照合装置における一機能として特徴点配置機能を有している技術があるためである。例えば、特許文献1に開示されるような画像照合装置の一機能として利用できることは、明らかである。
【0093】
例えば、
図11に例示するように、本実施の形態にかかる特徴点配置照合装置13を含んだ画像照合装置として構成することができる。この画像照合装置は、特徴点抽出手段12、本実施の形態にかかる特徴点配置照合装置13、及び、画像照合手段14を含む。
【0094】
画像照合装置は、第1の画像と第2の画像と照合する場合、特徴点抽出手段12に第1の画像と第2の画像とを入力する。特徴点抽出手段12は、第1の画像から特徴点を抽出して第1の特徴点群を計算する。また、特徴点抽出手段12は、第2の画像から特徴点を抽出して第2の特徴点群を計算する。特徴点抽出手段12は、計算した第1の特徴点群及び第2の特徴点群を特徴点配置照合装置13に出力する。
【0095】
画像照合手段14は、特徴点配置照合装置13から出力される特徴点配置照合結果に基づいて、第1の画像と第2の画像とを照合する。具体的には、画像照合手段14は、特徴点配置照合結果が第1の特徴点配置と第2の特徴点配置とが一致していたことを示す場合に、その第1の特徴点配置及び第2の特徴点配置に基づいて、第1の画像と第2の画像との間の幾何変換内容を推定する。幾何変換内容の推定に用いる第1の特徴点配置及び第2の特徴点配置は、例えば、特徴点配置照合装置13が画像照合手段14に出力するようにする。幾何変換内容は、例えば、第1の画像と第2の画像とを相互に変換する場合に使用される数式における幾何変換パラメータである。画像照合手段14は、推定した幾何変換内容に基づいて、第1の画像と第2の画像とを照合する。
【0096】
具体的には、画像照合手段14は、画像の照合において、幾何変換内容に基づいて、第1の画像に含まれる任意の第1の領域を、第2の画像に投影する。つまり、第2の画像のうち、第1の画像に含まれる第1の領域に相当する第2の領域を特定する。画像照合手段14は、第1の領域の特徴量と、第2の領域の特徴量を計算して、第1の領域の特徴量と第2の領域の特徴量とを比較することによって第1の画像と第2の画像が一致するか否かを判定する。第2の領域から特徴量を計算する際には、一旦、第2の領域で指定される画像を、幾何変換内容に基づいて、第1の領域と同一の形状となるように変形した上で、計算するのが好適である。ここでの領域の特徴量は、領域の特徴を記述した値であれば、どのようなものであってもよい。領域の特徴量は、例えば、特許文献1に開示されているように、背景でない画素の存在比率や、部分領域中の画素値の和の値を領域面積で割った値等としてよい。
【0097】
これにより、アフィン変換や射影変換といった幾何学的変換に頑健な画像照合装置が実現できる。
【0098】
その理由は下記のとおりである。例えば、特許文献4に開示される方法では局所領域を照合単位としている。ところが、局所領域から抽出される特徴がアフィン変換や射影変換の影響を受けやすい。言い換えれば、第1の画像における局所領域から抽出される特徴と第2の画像における局所領域から抽出される特徴は異なりやすい。そのため、局所領域の照合はアフィン変換や射影変換の影響を受けやすい。
【0099】
これに対して、上述した本発明の各実施形態の特徴点配置照合装置では、特徴点配置に属する複数の特徴点位置における画素値を特徴点配置の照合に用いている。第1の画像中のある注目点における画素値は、第1の画像中の注目する点に対応する第2の画像中の点の画素値と、理想的には一致する。
【0100】
たとえば特許文献1に記載される画像照合装置では、特徴点配置の照合結果に基づき幾何変換パラメータを計算し、計算した幾何変換パラメータを用いて部分領域毎に投影と照合を行うようにしている。従って、本実施の形態における特徴点配置照合装置13を適用した場合、画像照合を、アフィン変換や射影変換に対して頑健にすることができる。
【0101】
連結領域の重心を特徴点として照合する場合は、文字列画像の照合に好適である。文字列画像では、連結領域を計算しやすいからである。ここで、連結領域の重心は射影変換により本質的に位置ずれするため、照合精度に悪い影響があることが懸念される。しかしながら、文字は形状に関して多様なバリエーションを持つ。例えば、
図12に示したHとOのように、重心座標の画素値が図(文字)の色になりやすいものと、地の色になりやすいものとがある。したがって、地が単一色であるような文字列画像を照合対象とする場合は、特徴点を重心として照合する場合、射影変換に起因する重心が微小に位置ずれしただけで画素値が大きく変わるような複雑な画像である可能性は小さい。
【0102】
以上、上述した特徴点配置照合装置、および、画像照合装置の実施の形態において、各種手段をソフトウェアの形で実装する場合を例に説明した。しかしながら、各手段の一部、および全部をハードウェアで構成することも可能である。
【0103】
本発明によれば、検索用の画像に同一もしくは類似する画像を、あらかじめデータベースに格納された画像の中から検索する情報検索装置といった用途に適用できる。また、特開2010−224943に開示されるような、電子投票装置といった用途にも適用可能である。
【0104】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0105】
上述した本発明の実施の形態の各種手段を実現するプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0106】
また、コンピュータが上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現される場合だけでなく、このプログラムが、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)もしくはアプリケーションソフトウェアと共同して、上述の実施の形態の機能を実現する場合も、本発明の実施の形態に含まれる。さらに、このプログラムの処理の全てもしくは一部がコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットによって行われて、上述の実施の形態の機能が実現される場合も、本発明の実施の形態に含まれる。
【0107】
この出願は、2011年2月23日に出願された日本出願特願2011−037069を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。