【文献】
神田順、他,震度階分布に基づく地震動距離減衰の特性について,PROCEEDINGS OF THE SEVENTH JAPAN EARTHQUAKE ENGINE,1986年12月,P.547−552
【文献】
山本 俊六,“断層の面的広がりを考慮した緊急地震速報のための即時震度推定手法”,日本地球惑星科学連合大会予稿集,2008年,S146-P004
【文献】
神田克久,武村雅之,震度データによる1914年秋田仙北地震の短周期地震波発生域と地震規模の推定および 1896年陸羽地震との比較,地震 第2輯,2011年 3月25日,第63巻,P.207−221
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、同心円設定部と、
前記震度計毎に、震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、
前記震度計それぞれ間で、前記マグニチュードの値を特定したときの前記差を、互いに比較して、前記差を最小値とする前記震度計を選択し、
選択した前記震度計から特定されるマグニチュードの値を、前記地震のマグニチュードとして推定する、マグニチュード推定部と、
を備えている、ことを特徴とするマグニチュード推定装置。
前記マグニチュード推定部が、前記震度計のうち、前記地震の震源からの距離が予め設定された閾値以下となる震度計を用いて、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、請求項1に記載のマグニチュード推定装置。
前記マグニチュード推定部が、前記震度計のうち、前記地震のS波による震度を計測してから設定時間が経過している震度計を用いて、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、請求項1に記載のマグニチュード推定装置。
(a)地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、ステップと、
(b)前記震度計毎に、震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定する、ステップと、
(c)前記震度計それぞれ間で、前記(b)のステップで前記マグニチュードの値を特定したときの前記差を、互いに比較して、前記差を最小値とする前記震度計を選択する、ステップと、
(d)前記(c)のステップで選択した前記震度計から特定されるマグニチュードの値を、前記地震のマグニチュードとして推定する、ステップと、
を有する、ことを特徴とするマグニチュード推定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、地震発生の発表においては、人命確保の点から、津波警報及び注意報が重要となる。そして、発表する津波警報及び注意報においては、マグニチュード及び津波の予測高さが可能な限り正確であることが重要である。
【0010】
しかしながら、気象庁マグニチュードは、観測点に設置された地震計のデータに基づいて計算される。従って、気象庁マグニチュードを利用する場合は、データ数が少なく、且つ振幅の小さい、地震の初動の段階において、正確なマグニチュードを計算することは困難である。そして、マグニチュードが実際よりも小さく計算されてしまった結果、津波の予測高さも小さく計算され、地震の被害が拡大するおそれがある。
【0011】
また、モーメントマグニチュードは、長周期の地震波に基づいて計算されるマグニチュードであり、地震の初動の段階でのモーメントマグニチュードの計算は不可能である。
【0012】
一方、特許文献1に開示された計算方法は、地震の初動の段階で、正確なマグニチュードを計算することを目的としているが、初動部分の波形のみを用いてマグニチュードを計算するため、揺れが徐々に大きくなり、そして長時間続く、地震の場合は正確にマグニチュードを計算できない場合がある。
【0013】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、地震の揺れ方に影響されることなく、その初動段階でのマグニチュードの推定精度を向上し得る、マグニチュード推定装置、マグニチュード推定方法、及び
プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるマグニチュード推定装置は、地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、同心円設定部と、
震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、特定した値に基づいて、前記地震のマグニチュードを推定する、マグニチュード推定部と、
を備えている、ことを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるマグニチュード推定方法は、
(a)地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、ステップと、
(b)震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、特定した値に基づいて、前記地震のマグニチュードを推定する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする。
【0016】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面における
プログラムは、
コンピュータに、
(a)地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、ステップと、
(b)震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、特定した値に基づいて、前記地震のマグニチュードを推定する、ステップと、
を実行させる
、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、地震の揺れ方に影響されることなく、その初動段階でのマグニチュードの推定精度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における、マグニチュード推定装置、マグニチュード推定方法、及びプログラムについて、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
【0020】
[装置構成]
最初に、本実施の形態におけるマグニチュード推定装置10の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるマグニチュード推定装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、マグニチュード推定装置10は、ネットワーク30を介して、それぞれ別の地点に設置された複数の震度計20に接続されている。各震度計20は、地震を検知すると、震度を特定する情報(以下「震度情報」と表記する。)を出力する。
【0022】
また、ネットワーク30には、地震活動等総合監視システム40が接続されている。地震活動等総合監視システム40は、日本国において気象庁が保有するシステムであり、地震が発生すると、震源の位置を特定し、気象庁マグニチュードを算出する。また、地震活動等総合監視システム40は、算出した気象庁マグニチュードに基づいて、津波高さを予測する。更に、地震活動等総合監視システム40は、算出した気象庁マグニチュードと予測した津波高さとを、各種媒体に、緊急地震速報として配信する。
【0023】
但し、本実施の形態では、地震活動等総合監視システム40は、気象庁マグニチュードの代わりに、マグニチュード推定装置10によって推定されるマグニチュードを用いて、津波高さを予測することができる。このため、後述するように津波高さの予測精度の向上が図られることになる。
【0024】
図1に示すように、マグニチュード推定装置10は、同心円設定部11と、マグニチュード推定部12とを備えている。同心円設定部11は、地震が発生した場合に、まず、各地点の震度計20を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けする。そして、同心円設定部11は、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する。
【0025】
つまり、同心円設定部11は、地震が発生すると、各円がそれぞれグループに対応した、同心円を設定する(後述の
図2参照)。グループは、震度毎に設定されているので、この同心円は、震度の分布を表すことになる。なお、「同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置する」とは、震度計の座標が完全に当該円を表す式を満たしている場合だけに限られず、震度計の座標が当該円の近傍にある場合も含まれる。
【0026】
また、マグニチュード推定部12は、震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、震源からの距離として、震度計の地点と前記円の中心との距離を代入する。なお、上記の式の具体例については、後述する。
【0027】
そして、マグニチュード推定部12は、この式から求められる震度と震度計の計測した震度との差(以下「震度差」と表記する。)を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、特定した値に基づいて、地震のマグニチュードを推定する。
【0028】
このように、本実施の形態では、実際の震度の分布に基づいて、分布の中心が求められる。そして、断層破壊が大きな地震ほど、分布の曲率半径は大きくなり、分布の中心は、実際の震源よりも遠方に設定されるので、この中心に基づいて推定されるマグニチュードは、地震発生の初期段階では低く見積もられるマグニチュードよりも大きくなる。よって、本実施の形態によれば、地震の揺れ方に影響されることなく、その初動段階でのマグニチュードの推定精度の向上が図られることになる。
【0029】
ここで、
図1に加えて
図2を用いて、本実施の形態におけるマグニチュード推定装置10の構成を更に具体的に説明する。
図2は、本発明の実施の形態におけるマグニチュード推定装置が行なう処理を説明するための図である。
【0030】
本実施の形態では、
図1に示すように、マグニチュード推定装置10は、同心円設定部11及びマグニチュード推定部12に加えて、情報通信部13を備えている。
【0031】
このうち、情報通信部13は、ネットワーク30を介して、各震度計20及び地震活動等総合監視システム40との間で通信を行なう。なお、本実施の形態では、マグニチュード推定装置10は、地震活動等総合監視システム40の一部を構成していても良い。
【0032】
また、
図2に示すように、本実施の形態では、同心円設定部11は、計測した震度が同一又は設定範囲内にある震度計が同一グループとなるように、各地点の震度計をグループ分けする。
図2の例では、計測した震度が同一である震度計が、同一グループにグルーピングされている。
【0033】
更に、本実施の形態において、マグニチュード推定部12は、各地点に設置された震度計20毎に、上述した震度を求める式と、円の中心の位置とを用いて、マグニチュードの値を特定する。そして、マグニチュード推定部1
2は、震度計それぞれ間で、マグニチュードの値を特定したときの上述の震度差を、互いに比較して、震度差が最小値となる震度計を選択することができる。この場合、マグニチュード推定部1
2は、選択した震度計から特定されるマグニチュードの値を、発生した地震のマグニチュードとして推定する。
【0034】
また、マグニチュードの推定に用いる震度計の数が多すぎると、マグニチュードの推定に時間がかかり過ぎ、緊急地震速報として利用できなくなる。このため、マグニチュード推定部12は、例えば、震度計のうち、発生した地震の震源からの距離が予め設定された閾値以下となる震度計のみを用いても良いし、発生した地震のS波による震度を計測してから設定時間が経過している震度計のみを用いても良い。この場合、マグニチュード推定部12は、用いた震度計20毎に、上述した震度を求める式と、円の中心の位置とを用いて、マグニチュードの値を特定する。
【0035】
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態におけるマグニチュード推定装置10の動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の実施の形態におけるマグニチュード推定装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜
図1及び
図2を参酌する。また、本実施の形態では、マグニチュード推定装置10を動作させることによって、マグニチュード推定方法が実施される。よって、本実施の形態におけるマグニチュード推定方法の説明は、以下のマグニチュード推定装置10の動作説明に代える。
【0036】
[震度情報の取得ステップ]
図3に示すように、最初に、情報通信部13が、ネットワーク30を介して、各震度計20から、震度情報を取得する(ステップA1)。本実施の形態では、ステップA1において、情報通信部13は、震度情報と共に、各震度計の座標を特定する情報(以下、「座標情報」と表記する。)も取得する。座標情報としては、震度計の設置場所の経度と緯度とを特定する情報が挙げられる。
【0037】
[グルーピングステップ]
次に、同心円設定部11が、ステップA1で取得された震度情報に基づいて、各震度計を震度毎のグループに分ける(ステップA2)。ステップA2では、同心円設定部11は、例えば、震度情報によって特定される震度の小数第一位以下を四捨五入し、得られた整数値に基づいて、グループ分けを実行する。
【0038】
[同心円の設定ステップ]
続いて、同心円設定部11は、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円(同心円)を設定し、その中心座標を特定する(ステップA3)。
【0039】
具体的には、ステップA2の実行後、同心円設定部11は、グループ毎に、グループに属する震度計の座標(x
n、y
n)を下記の数1に代入して、連立方程式を作成し、各座標を通る円の中心座標(X
m、Y
m)を求める。なお、nは、グループ内の震度計に付与された識別番号であり、mは、各グループに付与された識別番号である。R
mは、m番のグループにおける震度計から円の中心までの距離(円の半径)である。
【0041】
例えば、ステップA2において、各地の震度が1〜5までであったことに対応して、グループ1〜5(数値は震度に対応)が設定されていたとする。この場合、5つの円の中心座標が求められる。各円の中心座標を、それぞれ、(X
1、Y
1)、(X
2、Y
2)、(X
3、Y
3)、(X
4、Y
4)、(X
5、Y
5)とする。
【0042】
また、同心円設定部11は、求めた各円の中心座標を、下記の数2に代入して、平均座標(X
AV、Y
AV)を求め、これを同心円の中心座標に設定する。また、同心円を構成する各円の半径は、R
1〜R
mであるので、結果、同心円が設定される。
【0044】
[マグニチュードの推定ステップ]
次に、マグニチュード推定部12が、震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、震源からの距離として、震度計の座標と同心円の中心座標との距離R
mを代入し、得られた結果に基づいて、発生した地震のマグニチュードを推定する(ステップA4)。また、マグニチュード推定部12は、推定したマグニチュードを情報通信部13に出力する。
【0045】
具体的には、本実施の形態では、マグニチュード推定部12は、震源からの距離とマグニチュードMの値とから震度Iを求める式として、下記の数3〜数5が用いられる(上記非特許文献を参照。)。
【0046】
なお、下記数3において、PGV
600は基準基盤(S波速度600m/s)での最大速度[m/s]、Mはマグニチュード、Dは震源の深さ(但し、震源の深さが10km以下の場合は0である。)である。また、下記数4及び数5において、PGVは地表での各地点の最大速度[m/s]である。下記数4において、ARViは地表での各地点の速度増幅度である。
【0050】
そして、マグニチュード推定部12は、震度計毎に、Mの値を変えながら、計測された震度と
上記の数3〜数
5によって得られる震度Iとの震度差を求め、震度差の最小値と、そのときのMの値とを特定する。
【0051】
続いて、マグニチュード推定部12は、対象となる震度計全てについて、震度差の最小値とMの値とを特定すると、震度差の最小値が最も小さくなる震度計を選択する。次いで、マグニチュード推定部1
2は、選択した震度計において震度差が最小値となったときのMの値を、発生した地震のマグニチュードとして推定する。
【0052】
[出力ステップ]
その後、情報通信部13は、ステップA4で推定されたマグニチュードを、地震活動等総合監視システム40に送信する(ステップA5)。
【0053】
ステップA5が実行されると、地震活動等総合監視システム40は、津波高さの予測を実行する。具体的には、地震活動等総合監視システム40は、まず、推定された地震のマグニチュードに基づいて、予め計算された津波の挙動を格納する量的津波データベース(
図1において図示せず。)を検索する。
【0054】
次に、地震活動等総合監視システム40は、検索結果から、推定された地震のマグニチュードに合致する挙動を取得し、取得した挙動に基づいて、津波の予測高さ及び予測到達時刻を計算する(参照:http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj/kyoikuhukyu/resume/Hayashi.pdf)。なお、量的津波データベースとしては、既存のものが用いられる。
【0055】
そして、ステップA5で送信されたマグニチュードの値は、地震発生の初期段階において、地震活動等総合監視システム40が従来から採用する気象庁マグニチュードの値よりも大きくなることから、予測される津波の高さは、実際に近くなる。このため、本実施の形態によれば、人命の確保がより確実に実行されることになる。
【0056】
[プログラム]
また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータに、
図3に示すステップA1〜A5を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態におけるマグニチュード推定装置10とマグニチュード推定方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、同心円設定部11、マグニチュード推定部12、及び情報通信部13として機能し、処理を行なう。
【0057】
更に、本実施の形態におけるプログラムがインストールされるコンピュータは、既存の地震活動等総合監視システム40を構成しているコンピュータであっても良い。この場合、本実施の形態におけるマグニチュード推定装置10は、地震活動等総合監視システム40の一部として構築されることになる。
【0058】
ここで、本実施の形態におけるプログラムを実行することによって、マグニチュード推定装置10を実現するコンピュータについて
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態におけるマグニチュード推定装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0059】
図4に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0060】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0061】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0062】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0063】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)〜(付記15)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0064】
(付記1)
地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、同心円設定部と、
震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、特定した値に基づいて、前記地震のマグニチュードを推定する、マグニチュード推定部と、
を備えている、ことを特徴とするマグニチュード推定装置。
【0065】
(付記2)
前記マグニチュード推定部が、
前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定し、
前記震度計それぞれ間で、前記マグニチュードの値を特定したときの前記差を、互いに比較して、前記差を最小値とする前記震度計を選択し、
選択した前記震度計から特定されるマグニチュードの値を、前記地震のマグニチュードとして推定する、付記1に記載のマグニチュード推定装置。
【0066】
(付記3)
前記マグニチュード推定部が、前記震度計のうち、前記地震の震源からの距離が予め設定された閾値以下となる震度計を用いて、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、付記2に記載のマグニチュード推定装置。
【0067】
(付記4)
前記マグニチュード推定部が、前記震度計のうち、前記地震のS波による震度を計測してから設定時間が経過している震度計を用いて、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、付記2に記載のマグニチュード推定装置。
【0068】
(付記5)
前記同心円設定部が、計測した震度が同一又は設定範囲内にある震度計が同一グループとなるように、各地点の震度計をグループ分けする、
付記1〜4のいずれかに記載のマグニチュード推定装置。
【0069】
(付記6)
(a)地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、ステップと、
(b)震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、特定した値に基づいて、前記地震のマグニチュードを推定する、ステップと、
を有する、ことを特徴とするマグニチュード推定方法。
【0070】
(付記7)
前記(b)のステップにおいて、
前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定し、
前記震度計それぞれ間で、前記マグニチュードの値を特定したときの前記差を、互いに比較して、前記差を最小値とする前記震度計を選択し、
選択した前記震度計から特定されるマグニチュードの値を、前記地震のマグニチュードとして推定する、付記6に記載のマグニチュード推定方法。
【0071】
(付記8)
前記(b)のステップにおいて、前記震度計のうち、前記地震の震源からの距離が予め設定された閾値以下となる震度計について、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、付記7に記載のマグニチュード推定方法。
【0072】
(付記9)
前記(b)のステップにおいて、前記震度計のうち、前記地震のS波による震度を計測してから設定時間が経過している震度計について、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、付記7に記載のマグニチュード推定方法。
【0073】
(付記10)
前記(a)のステップにおいて、計測した震度が同一又は設定範囲内にある震度計が同一グループとなるように、各地点の震度計をグループ分けする、
付記6〜9のいずれかに記載のマグニチュード推定方法。
【0074】
(付記11)
コンピュータに、
(a)地震が発生した場合に、各地点の震度計を、それぞれが計測した震度に基づいて、グループ分けし、同一のグループに属する震度計が同一の円上に位置するように、グループ毎に互いに同心の関係にある円を設定する、ステップと、
(b)震源からの距離とマグニチュードの値とから震度を求める式に、前記震源からの距離として、前記震度計の地点と前記円の中心との距離を代入し、そして、前記式から求められる震度と前記震度計の計測した震度との差を最も小さくするマグニチュードの値を特定し、特定した値に基づいて、前記地震のマグニチュードを推定する、ステップと、
を実行させる
、プログラ
ム。
【0075】
(付記12)
前記(b)のステップにおいて、
前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定し、
前記震度計それぞれ間で、前記マグニチュードの値を特定したときの前記差を、互いに比較して、前記差を最小値とする前記震度計を選択し、
選択した前記震度計から特定されるマグニチュードの値を、前記地震のマグニチュードとして推定する、付記11に記載の
プログラム。
【0076】
(付記13)
前記(b)のステップにおいて、前記震度計のうち、前記地震の震源からの距離が予め設定された閾値以下となる震度計について、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、付記12に記載の
プログラム。
【0077】
(付記14)
前記(b)のステップにおいて、前記震度計のうち、前記地震のS波による震度を計測してから設定時間が経過している震度計について、前記震度計毎に、マグニチュードの値を特定する、付記12に記載の
プログラム。
【0078】
(付記15)
前記(a)のステップにおいて、計測した震度が同一又は設定範囲内にある震度計が同一グループとなるように、各地点の震度計をグループ分けする、
付記11〜14のいずれかに記載の
プログラム。
【0079】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0080】
この出願は、2011年8月19日に出願された日本出願特願2011−179675を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。