(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転機構は、前記筒体保持部及び前記駆動部の回転を許容する許容状態と、前記筒体保持部及び前記駆動部の回転を規制する規制状態とを切り替えるロック機構を有する、請求項1記載の流体移送システム。
前記ロック機構は、前記回転機構の回転中心に沿った前記筒体保持部及び前記駆動部の移動に伴って、前記許容状態と前記規制状態とを切り替える、請求項2記載の流体移送システム。
前記多関節ロボットは、前記容器又は前記シリンジを把持するグリッパーと、前記グリッパーを保持して回転させる手首部と、前記手首部を移送する多関節の肢部とを有し、
前記シリンジ駆動装置は、前記グリッパーの回転中心と前記回転機構の回転中心とが一致した状態で前記グリッパーに係合する係合部を更に有する、請求項1〜4のいずれか一項記載の流体移送システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
〔第1実施形態〕
(薬剤製造システム)
図1及び
図2に示すように、薬剤製造システム1は、例えば、複数の原料薬品を混合して抗がん剤等の薬剤を製造するものであり、流体移送装置10と、コントローラ100と、画像処理装置200と、管理コンピュータ300とを備える。薬剤製造システム1は、薬剤の製造過程において、流体を移送する流体移送システム1Aとして機能する。移送対象の流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。
【0015】
流体移送装置10は、作業台2と、多関節ロボット20と、シリンジ駆動装置30と、計量装置11A,11Bと、撹拌装置12と、カメラ13A,13B,13Cとを備える。作業台2は、薬剤製造システム1を構成する各種装置を支持する。作業台2は、例えば長方形の平面形状を呈する。以下の説明において、「前後左右」は、作業台2の一方の長辺を前側とし、他方の長辺を後側とした方向を意味する。
【0016】
作業台2の上部の空間は、側壁3及び天板4によって外部空間から隔離されている。作業台2上の左前方の角部には、側壁3内に対して作業対象物の搬入・搬出を行うポート5が設けられている。作業対象物は、例えば薬液バッグ15、複数のバイアル16、シリンジ17を載せたトレー14である。
【0017】
薬液バッグ15は、薬剤を収容する容器(第2容器)であり、例えばブロック材と、その内側に収容された袋状のバッグとを有する。
【0018】
バイアル16は、原料薬品を収容した容器(第1容器)である。バイアル16は、収容瓶16aとキャップ16cとを有する(
図7〜
図9参照)。収容瓶16aは括れた口元16bを有し、原料薬品を収容している。キャップ16cは口元16bを塞いでいる。少なくともキャップ16cの中央部は、針を穿刺可能な材料(例えばゴム材料)により構成されている。
【0019】
シリンジ17は、筒体17a及びプランジャー17cと、筒体17aの先端部に設けられた針17eとを有する(
図7〜
図9参照)。筒体17aの基端部の外周にはフランジ17bが形成されており、プランジャー17cの基端部の外周にはフランジ17dが形成されている。針17eの先端は、その延びる方向に対して傾斜した斜面TSを有する。そのため、針17eの先端は先細り形状を呈し尖鋭である。従って、針17eによる穿刺対象物(本実施形態ではキャップ16cの中央部)への穿刺が容易に行われうる。
【0020】
多関節ロボット20は、作業台2上に設置されている。多関節ロボット20は、胴部21と2本の多関節アーム22A,22Bとを有する双腕型のロボットであり、薬液バッグ15、バイアル16及びシリンジ17の移送を含む様々な作業を実行可能である。胴部21は、作業台2上に固定されており、左右方向において作業台2上の中央近傍に位置すると共に、前後方向において作業台2の後側に寄っている。多関節アーム22Aは胴部21の左側に設けられており、多関節アーム22Bは胴部21の右側に設けられている。
【0021】
多関節アーム22A,22Bのそれぞれは、グリッパー23と、手首部24と、肢部25とを有する。グリッパー23は、一対の指部23a,23bを有し、これらを開閉させることで薬液バッグ15、バイアル16又はシリンジ17を把持する。手首部24はグリッパー23を保持し、電力等のエネルギー供給に応じて回転中心Ax1まわりにグリッパー23を回転させる。肢部25は、胴部21と手首部24との間に介在する。肢部25は、例えば多関節のシリアルリンク機構であり、電力等のエネルギー供給に応じて手首部24を移送する。
【0022】
図3及び
図4に示すように、シリンジ駆動装置30は、回転機構40と回転ユニット50とを有する。回転機構40は、作業台2上に固定された固定板31と、固定板31上に立設された支持柱32とによって支持されている。固定板31は、多関節ロボット20の右前方に位置している。この配置は一例であり、必須ではない。
【0023】
回転機構40は、ケース41と、回転軸42とを有する。ケース41は、水平方向において互いに対向する壁41a,41bと、壁41a,41bにより画された空間41cとを有する。壁41aは多関節ロボット20側に面する。回転軸42は、壁41aを貫通しており、回転中心Ax2まわりに回転自在となっている。回転軸42の一端部(以下、「外側端部」という。)は多関節ロボット20側に露出し、回転軸42の他端部(以下、「内側端部」という。)は空間41c内に延出している。
【0024】
回転ユニット50は、ベース板51と、保持板52,53と、区画板54と、リニアアクチュエータ60とを有する。ベース板51は、長尺の平板状を呈し、回転中心Ax2に直交した状態で回転軸42の外側端部に固定されている。
【0025】
保持板52,53は、ベース板51の幅方向において互いに対向した状態で、ベース板51の表面(多関節ロボット20側の面)から多関節ロボット20側に突出している。
【0026】
保持板52の内面(保持板53側の面)には、回転中心Ax2に沿って延びる係合溝52aが形成されている。係合溝52aの一端は、多関節ロボット20側に開放されている。保持板53の内面(保持板52側の面)には、係合溝52aに対向する係合溝53aが形成されている。係合溝53aも回転中心Ax2に沿って延びており、その一端は多関節ロボット20側に開放されている。
【0027】
係合溝52a,53aは、グリッパー23に係合する係合部として用いられる。具体的に、グリッパー23の指部23a,23bは、保持板52,53の間に挿入され、係合溝52a,53aにそれぞれ対応するように配置される(
図5参照)。この状態で、指部23a,23bは互いに離間させられ、係合溝52a,53aにそれぞれ係合する(
図6参照)。指部23a,23bと係合溝52a,53aとがそれぞれ係合した状態において、グリッパー23の回転中心Ax1と回転機構40の回転中心Ax2とは一致する(
図4参照)。すなわち、係合溝52a,53aは、グリッパー23の回転中心Ax1と回転機構40の回転中心Ax2とが一致した状態で、グリッパー23に係合するように構成されている。
【0028】
区画板54は平板状を呈し、ベース板51に平行な状態で保持板52,53の間に固定されており、保持板52,53の間から下方に延出している。区画板54は、保持板52,53の間をベース板51側の空間と多関節ロボット20側の空間とに区画している。
【0029】
ベース板51の一端側において、保持板52,53上には、平板状のフランジ保持部材55が掛け渡されている。フランジ保持部材55は、保持板52,53上において、多関節ロボット20側に寄っている。フランジ保持部材55には切欠き55aが形成されている。切欠き55aは、多関節ロボット20側に開いたU字形状を呈する。切欠き55aの側面には、上記U字形状に沿って延びる溝55bが形成されている。溝55bは、上記U字形状の両端部において多関節ロボット20側に開放されている。
【0030】
保持板52,53及びフランジ保持部材55は、シリンジ17の筒体17aの保持に用いられる。すなわち、保持板52,53及びフランジ保持部材55は、シリンジ17の筒体17aを保持する筒体保持部33を構成する。具体的に、シリンジ17は、筒体17aの先端部をフランジ保持部材55の逆側に向けた状態で、多関節ロボット20側から保持板52,53の間に収容される(
図7参照)。この際に、筒体17aのフランジ17bが溝55bに嵌め込まれる。これにより筒体17aが保持される。
【0031】
区画板54の表面(多関節ロボット20側の面)には、レール56が設けられている。レール56は、区画板54の幅方向の中央に位置すると共に、区画板54の長手方向に延在する。
【0032】
レール56上には、L字状に屈曲した保持板57が取り付けられている。保持板57において、L字状の一方をなす平板部は、区画板54の表面に対向するように配置されており、レール56に沿って移動可能となっている。この平板部は、例えば区画板54と保持板57との間に生じている磁力(引力)により区画板54の表面に吸着されている。保持板57は区画板54との間の摩擦力によって固定されるが、この摩擦力に勝る外力を保持板57に付加することにより、レール56に沿う方向において保持板57の位置をずらすことが可能である。保持板57において、L字状の他方をなす平板部は、フランジ保持部材55の逆側に位置し、多関節ロボット20側に張り出している。多関節ロボット20側に張り出した平板部には、多関節ロボット20側に開いたU字状の切欠き57aが形成されている。
【0033】
切欠き57aは、バイアル16の保持に用いられる。すなわち、保持板57は、バイアル16を保持するバイアル保持部34を構成する。具体的に、キャップ16cをフランジ保持部材55側に配置し、収容瓶16aをフランジ保持部材55の逆側に配置した状態で、口元16bが切欠き57a内に嵌め込まれる(
図7参照)。切欠き57aの周縁部が口元16bの括れに嵌り込むことにより、バイアル16が保持される。上述したように、保持板57と区画板54との間の摩擦力に抗する力を保持板57に作用させることにより、レール56に沿う方向において保持板57の位置をずらすことが可能である。このため、保持板57と共にバイアル16の位置をずらし、キャップ16cに対して針17eを穿刺又は抜去することが可能である(
図8参照)。また、キャップ16cに対する針17eの刺し込み長さを調節することも可能である。
【0034】
リニアアクチュエータ60は、長尺形状を呈し、その長手方向に沿って移動可能なスライドブロック61を有する。リニアアクチュエータ60は、ベース板51と区画板54との間においてベース板51に沿うように配置され、ベース板51に固定されている。スライドブロック61は、多関節ロボット20側に配置されている。
【0035】
スライドブロック61には、多関節ロボット20側に張り出すフランジ保持部材62が設けられている。フランジ保持部材62は、フランジ保持部材55の外面(保持板52,53の逆側の面)に対向する。フランジ保持部材62のフランジ保持部材55側の面には、凹部62aが形成されている。凹部62aは、切欠き55aに対応する位置に形成され、多関節ロボット20側に開いたU字形状を呈する。凹部62aの側面には、上記U字形状に沿って延びる溝62bが形成されている。溝62bは、上記U字形状の両端部において多関節ロボット20側に開放されている。
【0036】
フランジ保持部材62は、シリンジ17のプランジャー17cの保持に用いられる。具体的に、筒体17aのフランジ17bが溝55bに嵌め込まれる際に、プランジャー17cのフランジ17dが溝62bに嵌め込まれる。これによりプランジャー17cが保持される。プランジャー17cがフランジ保持部材62に保持された状態において、リニアアクチュエータ60はスライドブロック61を移動させる(
図9参照)。これにより、プランジャー17cが押し引きされる。すなわち、リニアアクチュエータ60は、シリンジ17のプランジャー17cを押し引きする駆動部35として機能する。
【0037】
このように、筒体保持部33、バイアル保持部34及び駆動部35は、回転ユニット50に設けられている。上述したように、回転ユニット50のベース板51は回転機構40の回転軸42に固定されているので、回転ユニット50は回転軸42と共に回転自在である(
図10参照)。シリンジ17の筒体17aが筒体保持部33に保持された状態において、回転軸42の回転中心Ax2はシリンジ17の中心軸線CLに直交する(
図7〜
図9参照)。すなわち、回転機構40は、筒体保持部33、バイアル保持部34及び駆動部35を中心軸線CLに直交する軸線まわりに回転自在とするように機能する。この回転により、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させることが可能である。なお、回転中心Ax2と中心軸線CLとは少なくとも交差していればよく、直交することは必須ではない。
【0038】
回転機構40内の空間41cには、回転軸42の回転を許容する許容状態と、回転軸42の回転を規制する規制状態とを切り替えるロック機構70が設けられている(
図4及び
図11参照)。すなわち、ロック機構70は、回転ユニット50(筒体保持部33、バイアル保持部34及び駆動部35)の回転を許容する許容状態と、これらの回転を規制する規制状態とを切り替える。
【0039】
ロック機構70は、ロック板71,72及び弾性部材74を有する。ロック板71は、回転軸42を通す中心孔71aを有し、壁41aに固定されている。ロック板71には、中心孔71aを囲むように配置された複数のロック孔71bが形成されている。ロック板72は、ロック板71と壁41bとの間において回転軸42の外周に固定されており、ロック板71に対向する。ロック板
72には、複数のロックピン73が挿し込み固定されている(
図4参照)。これらのロックピン73は、回転軸42を囲むと共にそれぞれロック板71側に突出している。弾性部材74は、例えばコイルバネであり、ロック板72と壁41bとの間に圧縮状態で配置されている。なお、弾性部材74はコイルバネに限定されず、例えば板バネであってもよい。
【0040】
弾性部材74の反発力により、ロック板72はロック板71側に寄せられ、ロックピン73がロック孔71b内に嵌り込む。これにより、ロック板71とロック板72との相互回転が規制される。すなわち、弾性部材74の反発力によって回転ユニット50が回転機構40から遠ざかると、上記規制状態となる。弾性部材74の反発力に抗して回転軸42をケース41内に押し込むと、ロック板72がロック板71から遠ざかり、ロックピン73がロック板71外に出る(
図11参照)。これにより、ロック板71とロック板72とが相互に回転自在となる。すなわち、弾性部材74の反発力に抗して回転ユニット50が回転機構40に近付くと、上記許容状態となる。このように、ロック機構70は、回転機構40の回転中心Ax2に沿った回転ユニット50の移動に伴って、許容状態と規制状態とを切り替える。
【0041】
図1及び
図2に示される計量装置11A,11Bは、例えば電子天秤である。計量装置11Aは、例えば胴部21の左前方に配置され、薬液バッグ15又はバイアル16の計量に用いられる。計量装置11Bは、例えば胴部21の前方に配置され、シリンジ17の計量に用いられる。
【0042】
撹拌装置12は、例えばバイアル16に振動を付加することで、その内容物を撹拌する装置である(
図1参照)。なお、バイアル16の内容物を撹拌する方式は、振動式に限定されない。
【0043】
カメラ13A,13Bは、例えば計量装置11Bの右方及び上方にそれぞれ配置され、計量装置11B上に設置されたシリンジ17を撮像する(
図1及び
図2参照)。カメラ13A,13Bによる撮像画像は、画像処理装置200による画像処理に用いられる。カメラ13Cは、側壁3内の上部に配置され、多関節ロボット20の作業領域を撮像する(
図2参照)。カメラ13Cによる撮像画像は、多関節ロボット20による作業遂行状態の記録に用いられる。
【0044】
コントローラ100は、多関節ロボット20及びシリンジ駆動装置30の制御等を行う。画像処理装置200は、カメラ13A,13Bによる撮像画像を用い、例えば針17eの先端面(針先の斜面TS)の向きを認識するための画像処理を実行する。管理コンピュータ300は、例えば製造する薬剤の種類に応じて多関節ロボット20及びシリンジ駆動装置30の制御パターンを生成し、コントローラ100に送信する。また、管理コンピュータ300は、薬剤製造工程の実行履歴として、計量装置11A,11Bによる計量結果、カメラ13Cによる撮像画像等を記録する。なお、コントローラ100、画像処理装置200及び管理コンピュータ300は互いに分離している必要はなく、一体化されていてもよい。
【0045】
流体移送システム1Aによれば、後述のように、シリンジ17の筒体17aを筒体保持部33に保持させ、シリンジ17の針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御すること、プランジャー17cを引くようにシリンジ駆動装置30を制御すること、及び回転ユニット50を回転させてシリンジ17及びバイアル16の配置を調整するように多関節ロボット20を制御することを適宜組み合わせて実行することで、バイアル16からシリンジ17への流体の移送作業を自動化できる。
【0046】
多関節ロボット20は、流体の移送作業を含む複数の作業で兼用可能である。多関節ロボット20を複数の作業に兼用することで、設備(薬剤製造システム1)の大型化を抑制できる。流体の移送作業において、プランジャー17cの押し引きはシリンジ駆動装置30により実行されるので、多関節ロボット20にはプランジャー17cの押し引き用の駆動部を設ける必要がない。このため、多関節ロボット20のエンドエフェクタ(グリッパー23)を小型化できる。エンドエフェクタの小型化により、多関節ロボット20の作業空間の大型化を抑制できる。一方、プランジャー17cの押し引きに特化させることでシリンジ駆動装置30を小型化し、その設置空間の大型化も抑制できる。従って、設備の大規模化を抑制しつつ、流体移送作業を自動化できる。
【0047】
回転機構40は、回転ユニット50の回転を許容する許容状態と、回転ユニット50の回転を規制する規制状態とを切り替えるロック機構70を有する。このため、多関節ロボット20により回転ユニット50を回転させるときを除いてロック機構70を規制状態にすることで、シリンジ17及びバイアル16の配置を安定させ、流体移送作業の精度を向上させることができる。
【0048】
ロック機構70は、回転機構40の回転中心Ax2に沿った回転ユニット50の移動に伴って、許容状態と規制状態とを切り替える。このため、多関節ロボット20を用いて、許容状態と規制状態とを容易に切り替えることができる。具体的には、回転ユニット50を回転中心Ax2に沿って移動させるように多関節ロボット20を制御するのみで、許容状態と規制状態とを切り替えることができる。許容状態と規制状態との切り替えにも多関節ロボット20を活用することで、ロック機構70の小型化を図ることができる。
【0049】
回転機構40は、グリッパー23の回転中心Ax1と回転機構40の回転中心Ax2とが一致した状態でグリッパー23に係合する係合溝52a,53aを有する。このため、グリッパー23を係合溝52a,53aに係合させた後に、グリッパー23を回転させることで回転ユニット50を回転させることができる。グリッパー23の回転用の1軸のみで回転ユニット50を回転させることができるので、多関節ロボット20の制御を簡略化できる。また、回転ユニット50を回転させる際に必要となる多関節ロボット20の作業空間を小さくできる。
【0050】
多関節ロボット20は、2本の多関節アーム22A,22Bを有する双腕型のロボットである。このため、多関節ロボット20によってより多様な作業を実行できる。従って、より多くの作業に多関節ロボット20を兼用しつつ、多関節ロボット20以外の装置を削減できるので、設備の大規模化を更に抑制できる。
【0051】
なお、ロック機構70は、電磁ブレーキによって許容状態と規制状態とを切り替えるものであってもよい。
【0052】
シリンジ駆動装置30は、バイアル保持部34を有しないものであってもよい。この場合、バイアル保持部34の代わりに多関節アーム22A,22Bのいずれか一方によってバイアル16を保持する必要がある。また、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させる際には、回転ユニット50の回転にバイアル16を追従させるように多関節ロボット20を制御する必要がある。
【0053】
シリンジ駆動装置をグリッパー23に設けてもよい。この場合、グリッパー23の姿勢を変更することでシリンジ17の姿勢を自在に調整可能であるため、回転機構40に相当する構成をなくすことができる。
【0054】
コントローラ100は、多関節アーム22A,22Bのいずれか一方をシリンジ駆動装置として制御してもよい。この場合、多関節ロボット20以外の装置を更に削減できるので、設備の大規模化を更に抑制できる。
【0055】
(コントローラ)
以下、コントローラ100について詳細に説明する。
図12に示すように、コントローラ100は、PLC110と、多軸ドライバ120と、単軸ドライバ131,132,133とを有する。多軸ドライバ120は、手首部24の移送及びグリッパー23の旋回を行うための全てのアクチュエータを制御する。単軸ドライバ131,132のそれぞれは、グリッパー23の指部23a,23bを開閉させるためのアクチュエータを制御する。単軸ドライバ133は、シリンジ駆動装置30のリニアアクチュエータ60を制御する。
【0056】
PLC110は、多軸ドライバ120及び単軸ドライバ131,132,133を介して多関節ロボット20及びシリンジ駆動装置30を制御する。また、PLC110は、多関節ロボット20の制御に同期して撹拌装置12の制御(例えばオン・オフの切り替え)を行う。更に、PLC110は、多関節ロボット20の制御に同期して計量装置11A,11Bによる計量結果又は画像処理装置200による画像処理結果等を取得し、管理コンピュータ300に送信する。
【0057】
図13に示すように、PLC110は、例えばプロセッサ111と、メモリー112と、入出力部113と、ストレージ114と、これらを相互に接続するバス115とを有する。プロセッサ111は、メモリー112及びストレージ114の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、その実行結果に応じて入出力部113を介したデータの入出力を行う。これにより、コントローラ100の様々な機能が実現される。
図14は、これらの機能を仮想的なブロック(以下、「機能ブロック」という。)として表したものである。
【0058】
図14に示すように、コントローラ100は、機能ブロックとして、撹拌制御部U1と、配置制御部U2と、計量制御部U3と、穿刺制御部U4と、抜去制御部U5と、反転制御部U6と、吸気制御部U7と、減圧制御部U8と、吸引制御部U9と、送気制御部U10と、注入制御部U11とを有する。これらの機能ブロックは、コントローラ100の機能を便宜上複数のブロックに区切ったものに過ぎず、コントローラ100を構成するハードウェアがこのようなブロックに分かれていることを意味するものではない。また、各機能ブロックは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)により実現されるものであってもよい。
【0059】
撹拌制御部U1は、バイアル16を撹拌装置12上に移送するように多関節ロボット20を制御し、バイアル16を振動させるように撹拌装置12を制御する。
【0060】
配置制御部U2は、薬液バッグ15、バイアル16及びシリンジ17の少なくとも一つを移送し、目標位置に配置するように多関節ロボット20を制御する。
【0061】
計量制御部U3は、薬液バッグ15及びバイアル16の少なくとも一つを計量装置11A上に移送するように多関節ロボット20を制御した後に、計量装置11Aによる計量結果を取得する。また、計量制御部U3は、シリンジ17を計量装置11B上に移送するように多関節ロボット20を制御した後に、計量装置11Bによる計量結果を取得する。
【0062】
穿刺制御部U4は、シリンジ17の針17eを薬液バッグ15又はバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御する。また、穿刺制御部U4は、針17eの刺し込み長さが目標値に近い値となるように多関節ロボット20を制御する。
【0063】
抜去制御部U5は、シリンジ17の針17eを薬液バッグ15又はバイアル16から抜去するように多関節ロボット20を制御する。
【0064】
反転制御部U6は、回転ユニット50を回転させることで、回転ユニット50の上下を反転させるように多関節ロボット20を制御する。
【0065】
吸気制御部U7は、プランジャー17cを引いてシリンジ17内に気体を吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0066】
減圧制御部U8は、プランジャー17cを引いてバイアル16の内圧を低下させるようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0067】
吸引制御部U9は、プランジャー17cを引いてバイアル16内の流体をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0068】
送気制御部U10は、プランジャー17cを押してシリンジ17内の気体をバイアル16内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0069】
注入制御部U11は、プランジャー17cを押してシリンジ17内の流体を薬液バッグ15内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0070】
配置制御部U2、穿刺制御部U4、反転制御部U6及び吸引制御部U9を有することで、コントローラ100は、例えば、流体を収容したバイアル16をシリンジ17の下方に配置して針17eをバイアル16に穿刺した状態で、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させるように多関節ロボット20を制御すること、バイアル16がシリンジ17の上方に配置された状態で、プランジャー17cを引いてバイアル16内の液体をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御すること、を実行可能である。
【0071】
具体的に、コントローラ100は、筒体17aを筒体保持部33に保持させた後に、流体を収容したバイアル16をシリンジ17の下方に配置するように多関節ロボット20を制御すること、バイアル16がシリンジ17の下方に配置された状態で、針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御すること、針17eがバイアル16に穿刺された状態で、回転ユニット50を回転させることで、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させるように多関節ロボット20を制御すること、バイアル16がシリンジ17の上方に配置された状態で、プランジャー17cを引いてバイアル16内の流体をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御すること、を実行可能である。
【0072】
吸気制御部U7及び送気制御部U10を更に有することで、コントローラ100は、針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御する前に、プランジャー17cを引いてシリンジ17内に気体を吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御し、プランジャー17cを引いてバイアル16内の液体をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御した後に、プランジャー17cを押してシリンジ17内の気体をバイアル16内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御することも実行可能である。
【0073】
コントローラ100は、針17eをバイアル16に穿刺する際に、針17eの先端部がバイアル16内の液体に到達しないように多関節ロボット20を制御することも実行可能である。
【0074】
減圧制御部U8を更に有することで、コントローラ100は、針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御した後、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させるように多関節ロボット20を制御する前に、プランジャー17cを引いてバイアル16の内圧を低下させるようにシリンジ駆動装置30を制御することも実行可能である。
【0075】
抜去制御部U5及び注入制御部U11を更に有することで、コントローラ100は、針17eをバイアル16から抜去するように多関節ロボット20を制御すること、針17eを薬液バッグ15に穿刺するように多関節ロボット20を制御すること、プランジャー17cを押してシリンジ17内の流体を薬液バッグ15内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御すること、を実行可能である。
【0076】
コントローラ100は、多関節アーム22A,22Bの一方(例えば多関節アーム22B)によりシリンジ17を取り扱い、多関節アーム22A,22Bの他方(例えば多関節アーム22A)によりバイアル16を取り扱うように多関節ロボット20を制御することも可能である。
【0077】
(薬剤製造方法)
以上に例示したように、コントローラ100は、流体移送制御装置として機能し、流体移送制御方法を実行する。管理コンピュータ300により設定された制御パターンに従った流体移送制御方法をコントローラ100により実行することで、薬剤製造システム1は薬剤を製造する。以下、薬剤製造システム1により実行される薬剤製造方法の具体例について説明する。なお、移送対象の流体は原料薬液であるため、この薬剤製造方法においては液体移送制御方法が実行される。すなわち、流体移送システム1Aは液体移送システムとして用いられる。
【0078】
図15に示すように、まず、原料薬液を撹拌する制御を撹拌制御部U1が実行する(ステップS1)。例えば撹拌制御部U1は、バイアル16をトレー14上から撹拌装置12上に移送するように多関節ロボット20を制御し、バイアル16を振動させるように撹拌装置12を制御する。
【0079】
次に、バイアル16及びシリンジ17を計量する制御を計量制御部U3が実行する(ステップS2)。例えば計量制御部U3は、トレー14上のバイアル16を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持して移送し、計量装置11A上に載置するように多関節ロボット20を制御する。また、計量制御部U3は、トレー14上のシリンジ17の筒体17aを多関節アーム22Bのグリッパー23により把持して移送し、針17eを上にして計量装置11B上に載置するように多関節ロボット20を制御する。その後、計量制御部U3は計量装置11A,11Bによる計量結果を取得する。
【0080】
次に、シリンジ17を筒体保持部33に保持させる制御を配置制御部U2が実行する(ステップS2)。例えば配置制御部U2は、計量装置11B上のシリンジ17の筒体17aを多関節アーム22Bのグリッパー23により把持してシリンジ駆動装置30側に移送し、筒体保持部33に保持させるように多関節ロボット20を制御する(
図7参照)。
【0081】
次に、バイアル16をシリンジ17の下方に配置する制御を配置制御部U2が実行する(ステップS3、
図16(a)参照)。例えば配置制御部U2は、撹拌装置12上のバイアル16を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してシリンジ駆動装置30側に移送し、バイアル保持部34に保持させるように多関節ロボット20を制御する(
図7参照)。
【0082】
バイアル16をバイアル保持部34に保持させる際に、バイアル保持部34が筒体保持部33の下方に位置していれば、バイアル16はシリンジ17の下方に配置される。バイアル16をバイアル保持部34に保持させる際に、バイアル保持部34が筒体保持部33の上方に位置している場合には、バイアル16はシリンジ17の上方に配置される。この場合には、反転制御部U6により、バイアル16とシリンジ17との上下関係を反転させる制御を実行する必要がある。この制御は、バイアル16をバイアル保持部34に保持させる前後のいずれで実行されてもよい。
【0083】
なお、バイアル16の配置に際して、回転ユニット50は鉛直方向に対して傾いていてもよい。すなわち、バイアル16は必ずしもシリンジ17の直下に配置されなくてよく、シリンジ17の斜め下方に配置されてもよい。
【0084】
次に、シリンジ17内に気体を吸引する制御を吸気制御部U7が実行する(ステップS5、
図16(b)参照)。吸気制御部U7は、プランジャー17cを引いてシリンジ17内に気体を吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御する。この際、
シリンジ17内に吸引する気体の体積と、バイアル16内から吸引予定の液体の体積とを略一致させてもよい。これにより、後述のステップS10において、バイアル16内を過剰に加圧することが防止される。なお、ここでの略一致とは、吸気制御部U7内に吸引する気体の体積が、バイアル16内から吸引予定の液体の体積に対して90%〜100%であることを意味する。
【0085】
次に、針17eをバイアル16に穿刺する制御を穿刺制御部U4が実行する(ステップS6、
図16(c)参照)。例えば穿刺制御部U4は、バイアル16を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してシリンジ17に近付けることで、針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御する。また、穿刺制御部U4は、針17eの先端部がバイアル16内の液体に到達しないように多関節ロボット20を制御する。
【0086】
次に、バイアル16内を減圧させる制御を減圧制御部U8が実行する(ステップS7、
図16(d)参照)。減圧制御部U8は、プランジャー17cを引いてバイアル16の内圧を低下させるようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0087】
次に、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させる(すなわち、バイアル16をシリンジ17の上方に位置させる)制御を反転制御部U6が実行する(ステップS8、
図16(e)参照)。反転制御部U6は、例えば多関節アーム22Bにより回転ユニット50を回転させることで、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させるように多関節ロボット20を制御する。具体的に、反転制御部U6は、次の制御を順に実行して回転ユニット50を回転させる。
i) グリッパー23の指部23a,23bを係合溝52a,53aに係合させるように多関節ロボット20を制御する。
ii) グリッパー23により回転ユニット50を回転機構40側に押すように多関節ロボット20を制御する。これにより、回転中心Ax2に沿って回転ユニット50を移動させ(回転機構40に近付け)、回転機構40を許容状態とする。
iii) グリッパー23を回転させ、その回転に伴って回転ユニット50を回転させる。
iv) グリッパー23により回転ユニット50を回転機構40側から引き戻すように多関節ロボット20を制御する。これにより、回転中心Ax2に沿って回転ユニット50を移動させ(回転機構40から離間させ)、回転機構40を規制状態にする。
【0088】
次に、バイアル16内の原料薬液LMをシリンジ17内に吸引する制御を吸引制御部U9が実行する(ステップS9、
図16(f)及び
図16(g)参照)。吸引制御部U9は、プランジャー17cを引いてバイアル16内の原料薬液LMをシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0089】
次に、シリンジ17内の気体をバイアル16内に注入する制御を送気制御部U10が実行する(ステップS10、
図16(h)参照)。送気制御部U10は、プランジャー17cを押してシリンジ17内の気体をバイアル16内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御する。この際、バイアル16内に注入する気体の体積と、ステップS9においてシリンジ17内に吸引した原料薬液LMの体積とを略一致させてもよい。これにより、バイアル16内を過剰に加圧することが防止される。なお、ここでの略一致とは、バイアル16内に注入する気体の体積が、シリンジ17内に吸引した原料薬液LMの体積に対して90%〜100%であることを意味する。
【0090】
次に、針17eをバイアル16から抜去する制御を抜去制御部U5が実行する(ステップS11、
図16(i)参照)。抜去制御部U5は、バイアル16を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してシリンジ17から遠ざけることで、針17eをバイアル16から抜去するように多関節ロボット20を制御する。
【0091】
次に、バイアル16をトレー14に返送する制御を配置制御部U2が実行する(ステップS12)。例えば配置制御部U2は、バイアル16を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してバイアル保持部34から外し、トレー14上に移送するように多関節ロボット20を制御する。
【0092】
次に、シリンジ17を計量する制御を計量制御部U3が実行する(ステップS13)。例えば計量制御部U3は、筒体保持部33に保持された筒体17aを多関節アーム22Bのグリッパー23により把持し、シリンジ17を筒体保持部33から外して移送し、針17eを上にして計量装置11B上に載置するように多関節ロボット20を制御する。その後、計量制御部U3は計量装置11Bによる計量結果を取得する。
【0093】
次に、シリンジ17を筒体保持部33に再度保持させる制御を配置制御部U2が実行する(ステップS14)。例えば配置制御部U2は、計量装置11B上のシリンジ17の筒体17aを多関節アーム22Bのグリッパー23により把持してシリンジ駆動装置30側に移送し、筒体保持部33に保持させるように多関節ロボット20を制御する。
【0094】
次に、シリンジ17の上下を反転させる制御を反転制御部U6が実行する(ステップS15)。例えば反転制御部U6は、多関節アーム22Bにより回転ユニット50を回転させることで、針17eを下に向けるように多関節ロボット20を制御する。回転ユニット50を回転させる手順は、ステップS8における手順と同じである。
【0095】
次に、薬液バッグ15を計量する制御を計量制御部U3が実行する(ステップS16)。例えば計量制御部U3は、トレー14上の薬液バッグ15を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持して移送し、計量装置11A上に載置するように多関節ロボット20を制御する。その後、計量制御部U3は計量装置11Aによる計量結果を取得する。
【0096】
次に、薬液バッグ15をシリンジ17の下方に配置する制御を配置制御部U2が実行する(ステップS17)。例えば配置制御部U2は、計量装置11A上の薬液バッグ15を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持して移送し、シリンジ17の下方に配置するように多関節ロボット20を制御する。
【0097】
次に、針17eを薬液バッグ15に穿刺する制御を穿刺制御部U4が実行する(ステップS18)。例えば穿刺制御部U4は、薬液バッグ15を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してシリンジ17に近付けることで、針17eを薬液バッグ15に穿刺するように多関節ロボット20を制御する。
【0098】
次に、シリンジ17内の原料薬液を薬液バッグ15内に注入する制御を注入制御部U11が実行する(ステップS19)。注入制御部U11は、プランジャー17cを押してシリンジ17内の原料薬液を薬液バッグ15内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0099】
次に、針17eを薬液バッグ15から抜去する制御を抜去制御部U5が実行する(ステップS20)。例えば抜去制御部U5は、薬液バッグ15を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してシリンジ17から遠ざけることで、針17eを薬液バッグ15から抜去するように多関節ロボット20を制御する。
【0100】
次に、薬液バッグ15を計量する制御を計量制御部U3が実行する(ステップS21)。例えば計量制御部U3は、薬液バッグ15を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持して移送し、計量装置11A上に載置するように多関節ロボット20を制御する。その後、計量制御部U3は、計量装置11Aによる計量結果を取得する。
【0101】
複数のバイアル16にそれぞれ収容された複数種類の原料薬液を用いる場合には、バイアル16ごとに以上の工程を繰り返す。以上により薬剤の製造が完了する。なお、ステップS1〜S21の順序は適宜変更可能である。また、複数のステップを同時に進行させてもよい。
【0102】
原料薬液の種類等に応じて各種制御パラメータを変更してもよい。制御パラメータとしては、ステップS5において吸引すべき気体の量、ステップS6における針17eの刺し込み長さ、ステップS7におけるプランジャー17cの引き戻し量、ステップS9におけるプランジャー17cの引き戻し量・引き戻し速度、ステップS10においてバイアル16内に注入する気体の体積等が挙げられる。原料薬液の種類等に応じて各種制御パラメータを変更する具体的手法としては、原料薬液の種類等と制御パラメータとを対応付けたデータベースを予め作成しておき、各制御部によってこのデータベースを参照させることが挙げられる。データベースの格納場所としては、例えばPLC110のストレージ114又は管理コンピュータ300のストレージが挙げられる。
【0103】
以上の薬剤製造方法によれば、多関節ロボット20及びシリンジ駆動装置30を制御することにより、バイアル16からシリンジ17への原料薬液の移送作業を自動化できるのに加え、シリンジ17から薬液バッグ15への原料薬液の移送作業をも自動化できる。従って、設備の大規模化を抑制しつつ、液体移送作業を自動化できる。
【0104】
バイアル16からシリンジ17への液体移送制御方法は、液体を収容したバイアル16をシリンジ17の下方に配置するように多関節ロボット20を制御すること、バイアル16がシリンジ17の下方に配置された状態で、シリンジ17の針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御すること、針17eがバイアル16に穿刺された状態で、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させるように多関節ロボット20を制御すること、バイアル16がシリンジ17の上方に配置された状態で、プランジャー17cを引いてバイアル16内の原料薬液をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御すること、を含んでいる。
【0105】
この方法によれば、原料薬液がバイアル16の下部に集まり、バイアル16の上部に気層が形成された状態で、バイアル16の上部に針17eが穿刺される。このため、少なくとも穿刺の途中において、バイアル16内の気層とシリンジ17内とが連通する。穿刺前において、バイアル16の内圧がシリンジ17の内圧に比べ高い場合には、バイアル16内の気層とシリンジ17内との連通によってバイアル16内圧が軽減される。その後、バイアル16及びシリンジ17の上下関係が反転させられ、針17e側に原料薬液が寄せられた状態で、バイアル16内の原料薬液がシリンジ17内に吸引される。上述のように穿刺の際にバイアル16の内圧が軽減されるので、原料薬液をシリンジ17内に吸引する際に、針17eの穿刺部分からの原料薬液の漏出が抑制される。針17e側に液体が寄せられた状態で原料薬液の吸引が行われるので、バイアル16内のより多くの原料薬液を効率よく吸引できる。従って、原料薬液の漏出を抑制しつつ、バイアル16内からシリンジ17内に効率よく原料薬液を移送するように、原料薬液の移送作業を自動化できる。
【0106】
上記液体移送制御方法は、針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御する前に、プランジャー17cを引いてシリンジ17内に気体を吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御すること、プランジャー17cを引いてバイアル16内の原料薬液をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御した後に、プランジャー17cを押してシリンジ17内の気体をバイアル16内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御すること、を更に含んでいる。
【0107】
このため、原料薬液の吸引に際してバイアル16内に生じる負圧が、シリンジ17内の気体をバイアル16内に注入することによって軽減される。バイアル16内の負圧の軽減により、バイアル16から針17eを抜去する際の原料薬液の漏出が抑制される。従って、自動化された原料薬液の移送作業において、原料薬液の漏出を更に抑制できる。
【0108】
上記液体移送制御方法は、針17eをバイアル16に穿刺する際に、針17eの先端部がバイアル16内の原料薬液に到達しないように多関節ロボット20を制御する。このため、穿刺の際に針17eの先端部が気層に留まるので、バイアル16内圧がより確実に軽減される。従って、自動化された原料薬液の移送作業において、原料薬液の漏出を更に抑制できる。なお、針17eの先端部をバイアル16内の気層に確実に留めるためには、シリンジ17及びバイアル16の位置決めを高精度に行う必要がある。従って、手作業に比べ位置決めの安定性に優れる多関節ロボット20の特性をより有効活用できる。
【0109】
上記液体移送制御方法は、針17eをバイアル16に穿刺するように多関節ロボット20を制御した後、バイアル16及びシリンジ17の上下関係を反転させるように多関節ロボット20を制御する前に、プランジャー17cを引いてバイアル16の内圧を低下させるようにシリンジ駆動装置30を制御すること、を更に含む。
【0110】
このため、針17eの先端部が気層に留まった状態において、バイアル16内を更に減圧できる。従って、自動化された原料薬液の移送作業において、原料薬液の漏出を更に抑制できる。
【0111】
〔第2実施形態〕
続いて、第2実施形態に係る液体移送システム1Bを用いた液体の移送作業について、主に
図17及び
図18を参照して説明する。液体移送システム1Bは、第1実施形態に係る流体移送システム1Aに対して、システム構成の点では同じ(
図1参照)であるが、バイアル16からシリンジ17への原料薬液の移送作業の内容の点で異なる。以下では、当該相違点を中心に説明する。
【0112】
まず、第2実施形態に係る液体移送システム1Bを用いた液体の移送作業が開始されると、
図17に示されるように、第1実施形態と同様にステップS1〜S9が行われる。ステップS9において、バイアル16内の原料薬液LMをシリンジ17内に吸引する制御を吸引制御部U9が実行する際には、吸引制御部U9は、プランジャー17cを引いてバイアル16内の原料薬液LMの一部(例えば、1/20〜1/3程度)をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御する(
図18(a)参照)。
【0113】
次に、バイアル16内の原料薬液の液面よりも上方に針17eの先端部を位置させる制御を穿刺制御部U4が実行する(ステップS22、
図18(b)参照)。穿刺制御部U4は、バイアル16を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してシリンジ17にさらに近付けることで、針17eの先端部が当該液面よりも上方に突き出るように多関節ロボット20を制御する。
【0114】
次に、シリンジ17内の気体をバイアル16内に注入する制御を送気制御部U10が実行する(ステップS23、
図18(c)参照)。送気制御部U10は、プランジャー17cを押してシリンジ17内の気体をバイアル16内に注入するようにシリンジ駆動装置30を制御する。この際、バイアル16内に注入する気体の体積と、ステップS9においてシリンジ17内に吸引した原料薬液LMの体積とを略一致させてもよい。これにより、バイアル16内を過剰に加圧することが防止される。なお、ここでの略一致とは、バイアル16内に注入する気体の体積が、シリンジ17内に吸引した原料薬液LMの体積に対して90%〜100%であることを意味する。
【0115】
次に、針17eの一部をバイアル16から抜去する制御を抜去制御部U5が実行する(ステップS24、
図18(d)参照)。抜去制御部U5は、バイアル16を多関節アーム22Aのグリッパー23により把持してシリンジ17から遠ざけることで、針17eをバイアル16から部分的に抜去するように多関節ロボット20を制御する。より詳しくは、抜去制御部U5は、針17eの先端部がバイアル16内で且つキャップ16cの近傍に位置するように多関節ロボット20を制御する。
【0116】
次に、バイアル16内の残余の原料薬液LMをシリンジ17内に吸引する制御を吸引制御部U9が実行する(ステップS25、
図18(e)参照)。吸引制御部U9は、プランジャー17cを引いてバイアル16内の残余の原料薬液LMをシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御する。こうして、バイアル16内の原料薬液LMは、針17eを通じてシリンジ17内に全て移送される。以降は、第1実施形態と同様にステップS11〜S21が行われる。
【0117】
以上の薬剤製造方法によれば、第1実施形態と同様に、設備の大規模化を抑制しつつ、液体移送作業を自動化できる。
【0118】
以上のような第2実施形態に係る液体移送制御方法は、(A1)原料薬液LMを貯留するバイアル16のキャップ16cにシリンジ17の針17eを穿刺するように多関節ロボット20の動作を制御することと、A1項に記載の制御の後に、(B1)バイアル16がシリンジ17の上方に位置し且つ針17eの先端がバイアル16内の原料薬液LMよりも上方に位置した状態で、プランジャー17cを押してシリンジ17内の空気をバイアル16内に送り込むように、シリンジ駆動装置30の動作を制御することと、B1項に記載の制御の後に、(C1)針17eの先端がバイアル16内の液体中に位置した状態で、プランジャー17cを引いて針17eを通じてバイアル16内の原料薬液LMを吸引するように、シリンジ駆動装置30の動作を制御することとを含んでいる。
【0119】
ところで、バイアル16内の原料薬液LMの全量が一度にシリンジ17へ移送されると、バイアル16とシリンジ17との間の圧力差によってシリンジ17内の空気がバイアル16内に意図せず移動することがある。当該空気がバイアル16内の原料薬液LMを通過すると、原料薬液LMが泡立ち、原料薬液LMの正確な量を目盛りで読み取ることが困難となる場合がある。しかしながら、第2実施形態に係る方法によれば、バイアル16内の原料薬液LMの全量が一度にシリンジ17へ移送されず、バイアル16内の原料薬液LMの一部がシリンジ17に移送された後に、シリンジ17内の空気がバイアル16内の空気層に送気される。そのため、シリンジ17からバイアル16への意図しない空気の移動が生ずる前にシリンジ17内の空気がバイアル16内に戻されることに加え、その際にシリンジ17内の空気がバイアル16内の原料薬液LMを通過しない。従って、原料薬液LMの泡立ちが極めて抑制される。その結果、シリンジ17によって、正確な量の原料薬液LMをバイアル16から抜き取ることが可能となる。
【0120】
〔第3実施形態〕
続いて、第3実施形態に係る液体移送システム1Cを用いた液体の移送作業について、主に
図19及び
図20を参照して説明する。液体移送システム1Cは、第1実施形態に係る流体移送システム1Aに対して、バイアル保持部34が存在せずにグリッパー23の指部23a,23bによってバイアル16を保持している点(
図19参照)と、コントローラ100が有する機能ブロックの点(
図20参照)とで異なる。以下では、当該相違点を中心に説明する。
【0121】
図19に例示されるように、バイアル16がグリッパー23の指部23a,23bによって保持されているので、バイアル16の姿勢がグリッパー23によって自在に変更可能である。そのため、シリンジ17に対するバイアル16の姿勢は、グリッパー23の駆動及びシリンジ駆動装置30における回転ユニット50の回転の少なくとも一方によって決定される。一方の多関節アーム22Aが有するグリッパー23がバイアル16を把持しつつその姿勢を変更し、他方の多関節アーム22Bが有するグリッパー23がシリンジ17を把持しつつその姿勢を変更してもよい。
【0122】
コントローラ100は、
図20に示されるように、機能ブロックとして、撮像制御部U12と、姿勢制御部U13とを有する。撮像制御部U12は、所定のタイミングでカメラ13A,13Bに撮像を行わせるようにカメラ13A,13Bを制御し、例えば針17eの先端を撮像する。姿勢制御部U13は、シリンジ17に対してバイアル16が所望の姿勢となるように、多関節ロボット20及びシリンジ駆動装置30の少なくとも一方を制御する。より詳しくは、コントローラ100は、姿勢制御部U13により、バイアル16及びシリンジ17の少なくとも一方の姿勢を変更して針17eがバイアル16のキャップ16cに対して斜めとなるように、多関節ロボット20及びシリンジ駆動装置30の少なくとも一方を制御することを実行可能である。
【0123】
続いて、第3実施形態に係る液体移送システム1Cを用いた液体の移送作業について説明する。当該移送作業が開始されると、第1実施形態と同様に
図15に示される各ステップS1〜S21が行われる。特に第3実施形態では、ステップS6で針17eをバイアル16のキャップ16cに穿刺した後で且つステップS6〜S9のいずれかの実行中、針17eがバイアル16のキャップ16cに対して斜めとなるようにシリンジ17に対するバイアル16の姿勢が調整される(
図19参照)。
【0124】
以上の薬剤製造方法によれば、第1実施形態と同様に、設備の大規模化を抑制しつつ、液体移送作業を自動化できる。
【0125】
以上のような第3実施形態に係る液体移送制御方法は、(A2)原料薬液LMを貯留するバイアル16のキャップ16cにシリンジの針17eを穿刺するように多関節ロボット20の動作を制御することと、A2項に記載の制御の後に、(B2)プランジャー17cを引いて針17eを通じてバイアル16内の原料薬液LMを吸引するように、シリンジ駆動装置30の動作を制御することと、A2項に記載の制御の後に、(C2)バイアル16及びシリンジ17の少なくとも一方の姿勢を変更して針17eがバイアル16のキャップ16cに対して斜めとなるように、多関節ロボット20の動作を制御することとを含んでいる。
【0126】
このような第3実施形態に係る方法によれば、針17eがバイアル16のキャップ16cに対して斜めとなるので、針17eの先端がキャップ16cに近接し且つバイアル16の内壁寄りに位置する。そのため、針17eがキャップ16cに対して垂直となった状態でバイアル16内の原料薬液LMをシリンジ17によって吸引する場合と比較して、バイアル16のキャップ16c近傍に集まった原料薬液LMのほとんど又は全部をシリンジ17によって吸引することができる。そのため、バイアル16内の原料薬液LMを無駄なく利用することが可能となる。
【0127】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、流体移送システム1Aの適用対象は薬剤製造システム1に限られず、バイオ分野又はメディカル分野等において人手による液体移送を必要としてきた様々なシステムに応用可能である。具体例として、培養液の移送を必要とする培養システム等が挙げられる。
【0128】
第2実施形態では、バイアル16内に貯留された原料薬液LMの種類に関する情報に応じて、(i)
図17に示されるステップS6〜S9,S22〜S25を順次実行してもよいし、(ii)
図17に示されるステップS6〜S9を順次実行するがステップS22〜S25を実行しなくてもよい。後者(ii)の場合、ステップS9においては、吸引制御部U9は、プランジャー17cを引いてバイアル16内の原料薬液LMの全部をシリンジ17内に吸引するようにシリンジ駆動装置30を制御する。
【0129】
原料薬液LMの種類に関する情報は、原料薬液LMの特性に関する情報と関連づけてデータベースとして記憶装置に記憶されていてもよい。当該データベースが記憶される記憶装置としては、上述のように
、例えばPLC110のストレージ114(
図13参照)又は管理コンピュータ300(
図1参照)のストレージが挙げられる。
【0130】
原料薬液LMの特性に関する情報としては、例えば粘度が挙げられる。原料薬液LMの粘度が大きいと、シリンジ17によるバイアル16内の原料薬液LMの吸引速度(プランジャー17cを引く速度)が小さい場合であっても、原料薬液LMが泡立ちやすく且つ生じた泡が消え難い。そこで、原料薬液LMの粘度が大きい場合には、
図17に示されるステップS6〜S9,S22〜S25を順次実行してもよい。一方、原料薬液LMの粘度が小さいと、シリンジ17によるバイアル16内の原料薬液LMの吸引速度(プランジャー17cを引く速度)が大きい場合であっても、原料薬液LMが泡立ち難く且つ泡が生じたとしても消えやすい。そこで、原料薬液LMの粘度が小さい場合には、
図17に示されるステップS6〜S9を順次実行するがステップS22〜S25を実行しなくてもよい。このように、原料薬液LMの特性である粘度に応じて制御パラメータが関連づけられていてもよい。当該データベースにおいて、原料薬液LMの種類に関する情報と制御パラメータとが直接対応付けられていてもよい。
【0131】
原料薬液LMの種類に応じて変更される他の制御パラメータとしては、上記の吸引速度の他に、ステップS9,S25におけるバイアル16又はシリンジ17の姿勢が挙げられる。キャップ16cが水平に対して傾くようにバイアル16の姿勢を変更すると、バイアル16内の原料薬液LMがキャップ16cの傾いた側に集まるので、集まった原料薬液LMのほとんど又は全部をシリンジ17によって吸引することができる。針17eの先端が上向きで且つシリンジ17が水平に対して傾くようにシリンジ17の姿勢を変更すると、シリンジ17内に吸引された原料薬液LMが筒体17aの内面に沿って伝わるので、吸引された原料薬液LMが泡立ち難くなる。
【0132】
原料薬液LMの種類に応じて変更される他の制御パラメータとしては、シリンジ17によりバイアル16内の原料薬液LMを所定量吸引した後の静止時間が挙げられる。
【0133】
第3実施形態では、針17eの先端における斜面TSが、バイアル16の内壁面と対向しつつバイアル16の内壁面に近接した状態となっていてもよい(
図19参照)。キャップ16cが水平を保った状態であれば、針17eの斜面TSは、バイアル16の内壁面のうちどの領域と対向していてもよい。キャップ16cが水平に対して傾いた状態であれば、針17eの斜面TSは、傾いたバイアル16の内壁面のうち下方に位置する領域と対向していてもよい。この場合、バイアル16内のうち原料薬液LMが溜まりやすい箇所に針17eの斜面TSが向かうので、バイアル16のキャップ16c近傍に集まった原料薬液LMのほとんど又は全部をシリンジ17によってより確実に吸引することができる。
【0134】
回転中心Ax2を中心軸として回転ユニット50が回転することを考慮して、第3実施形態では、斜面TSのうち針17eの先端側と、斜面TSのうち針17eの基端側とが並ぶ方向が回転中心Ax2を中心とする径方向と略同一となるように、シリンジ17が回転ユニット50に取り付けられていてもよい。この場合、針17eの斜面TSを、傾いたバイアル16の内壁面のうち下方に位置する領域と対向させやすくなる。あるいは、回転ユニット50が回転中心Ax2と直交する回転軸周りに回転可能となるように、シリンジ駆動装置30が構成されていてもよい。
【0135】
第3実施形態では、シリンジ17に対するバイアル16の姿勢を調整するにあたり、カメラ13A,13Bが撮像した撮像画像を画像処理装置200が処理し、その処理結果に基づいて姿勢制御部U13が多関節ロボット20及びシリンジ駆動装置30の少なくとも一方を制御してもよい。この場合、バイアル16又はシリンジ17の姿勢を液体移送システム1Cが自動的に決定できる。
【0136】
第3実施形態では、バイアル16内の原料薬液LMをシリンジ17によって吸引しながら、シリンジ17に対するバイアル16の姿勢を変化させてもよい。具体的には、プランジャー17cを引きながら、バイアル16及びシリンジ17の少なくとも一方の傾きを変更してもよい。この場合、シリンジ17による原料薬液LMの吸引量、すなわちバイアル16内における原料薬液LMの残量に応じて、原料薬液LMをより効率的に吸引できる。