(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
配向処理の品質の重要な指標は、言うまでもないことであるが、配向の方向精度である。配向の方向精度が悪いと、膜材の特定の性質が所望の向きに向いていないことになり、予定されていた配向処理の効果が得られないことになる。配向の方向精度の悪化とは、ある面内で全体に配向が所望の方向とは異なった方向にされてしまう場合と、ある面内で配向の方向がばらついてしまう場合とがある。
例えば液晶表示素子用の配向膜を得る際の光配向処理では、配向の方向に液晶の各分子が配列されるため、配向の方向精度の悪化が全体として生じると、画面全体の視認性が悪化する。また、精度悪化が配向のばらつきとして生じると、画面の部分的なちらつきや表示むらが発生することになる。
【0007】
このような配向の方向精度は、製品の高性能化、高機能化を背景として非常に厳しい要求がされている。例えば、スマートフォン等のモバイル機器で多用されているタッチパネル(タッチスクリーンディスプレイ)では、僅かな配向の方向精度の悪化が画面の視認性低下や表示むらにつながるため、光配向の方向精度をより高くすることが求められている。
【0008】
光配向の方向精度は、膜材に対して照射される偏光光の偏光軸の方向精度によって決まる。要求されている方向精度を満足するには、照射される偏光光の偏光軸の所望の方向からのずれを非常に小さい所定の範囲内に抑え込まなければならない。したがって、光配向用の偏光光照射装置は、そのように軸ずれが小さく抑え込まれた状態で偏光光を膜材に照射する必要がある。
【0009】
一方、偏光光照射により光配向される膜材は、従来、ロールツーロールで搬送され、その搬送の過程で偏光光が照射されるようになっており、光配向処理された膜材は、所定の大きさに切断されてディスプレイ基板に貼り付けられていた。しかしながら、より高性能のディスプレイの製造においては、膜材を予め基板に設けておき、膜材付きの基板に対して偏光光を照射する構成が採用されるようになってきている。この場合、基板はステージに載置され、ステージを移動させることで基板を偏光光の照射位置まで搬送する構成が採用される。
【0010】
発明者の研究によると、このようなステージ搬送の構成が採用された偏光光照射装置では、より高品質の光配向膜を得る観点で特に留意すべきことがあることが判ってきた。以下、この点について
図4及び
図5を使用して説明する。
図4及び
図5は、ステージ搬送の構成が採用された偏光光照射装置における課題について示した図であり、
図4は斜視概略図、
図5は平面概略図である。
【0011】
図4において、偏光光照射装置は、光源11を内蔵した光照射器1と、光照射器1の下方に設定された照射面Iに基板Sを搬送する搬送系2を備えている。光照射器1内には、光源11を覆った状態で長尺なミラー13が設けられおり、ミラー13は、通常、長手方向に垂直な断面形状が放物線状である放物面鏡が採用される。
【0012】
光源11の出射側には、グリッド偏光素子12が配置される。グリッド偏光素子12は、透明な基板上に縞(ラインアンドスペース)状の微細な格子を形成した素子である。グリッド偏光素子12は、グリッドを構成する各線状部の長さ方向が、光配向させる方向(以下、設定配向方向)に対して垂直になるように姿勢精度良く配置される。
搬送系2は、膜材が表面に設けられた基板(以下、単に基板という)Sが載置されるステージ21と、ステージ21を直線移動させる移動機構22とを備えている。ステージ21を移動させる移動機構22としては、通常、リニアモータステージが採用される。リニアモータステージからなる移動機構22は、リニアモータ221と、一対のリニアガイド222とを備えている。
【0013】
このような移動機構22は、ガタの少ない精密なものが使用されるが、それでもガタを完全にゼロにすることができず、基板Sの搬送の際にステージ21の姿勢(ひいては基板Sの姿勢)が僅かに変化してしまうことがあり得る。このような移動機構22の精度上の限界からくる基板Sの姿勢変化は、航空機等の乗り物になぞらえると、ローリング、ヨーイング、ピッチングの三つに分類される。
図4において、ローリングを矢印Rで示し、ヨーイングを矢印Yで示し、ピッチングを矢印Pで示す。
【0014】
図4から明らかなように、ローリングRは、基板Sの進行方向に沿った軸の回りの回転であり、ヨーイングYは、基板Sに対して垂直な軸の回りの回転である。また、ピッチングPは、基板Sの進行方向に対して垂直で基板Sに平行な方向の軸の回りの回転である。これら基板Sの姿勢変化のうち、偏光光照射装置においては、通常、ローリングR及びピッチングPはそれほど問題にはならない。
【0015】
図4から解るように、ローリングRやピッチングPが生じると、基板Sの表面(厳密には、基板S上の膜材の表面)の各点において光照射器1までの距離がばらつくことになるものの、偏光素子12に対する基板Sの相対的な姿勢は、実質的に変化しない。偏光素子12からは、グリッドの各線状部の長さ方向に直角な方向に偏光軸が向いている直線偏光光が専ら出射するが、基板Sの姿勢がこの方向に対して相対的に変化しない限り、偏光光の方向精度は低下しない。
【0016】
尚、光照射器1までの距離の変化は、光源11までの距離の変化即ち照射距離の変化ということになるが、照射距離が多少変化しても、偏光光の照度が若干変化し得る程度であり、照射される偏光光の偏光軸の向きは実質的に変化しない。また、上述したように光源11からの光は断面放物線状であるミラー13により集光されており、光照射器1からは大まかには平行光が出射されているので、照射距離の多少の変化によって照度が大きく変化することはない。
【0017】
一方、ヨーイングYは、偏光光の方向精度に大きな影響を与える。
図5において、ヨーイングを同様に符号Yの矢印で示す。また、偏光素子12におけるグリッド121のパターンを細長い長方形で模式的に示す。
図4及び
図5から解るように、ヨーイングYが生じると、偏光素子12の姿勢に対する基板Sの姿勢が相対的に変化することになり、偏光光照射精度の悪化に直結する。即ち、
図5に示すように、基板Sは、設定配向方向Paに対して適宜の姿勢を維持した状態で搬送され、光照射されることが要請される。この例では、基板Sの長辺方向が設定配向方向Paに対して角度Θの姿勢となる(角度Θの向きで光配向される)ことが要請される。偏光素子12から出射される偏光光の偏光軸は設定配向方向Paに向いているから、
図5から解るように、ヨーイングが発生すると、基板Sに対して照射される偏光光の偏光軸が基板Sの長辺に対して成す角はΘからずれてしまう(偏光軸ずれ発生)。最近の高性能のディスプレイ用の光配向膜では、偏光軸のずれを例えば0.05度以下の非常に小さなものにすることが要求されており、ほんの僅かなヨーイングが生じただけでも要求を満たせないものになってしまう。
【0018】
リニアガイドを始めとする直線移動機構は、高精度のものが市販されており、上記のような要求を満足するように設計することは十分に可能である。しかしながら、何らかの理由(例えば装置の組み立ての際の調整不足)によりヨーイングが発生しているのにそれを知らずに処理を続けてしまうと、ずれた方向に偏光光を照射し続けることになり、不良品が多発して歩留まりを大きく悪化させることになってしまう。
本願の発明は、このような点を考慮して為されたものであり、ステージに載置された基板を偏光光の照射面まで搬送して基板に偏光光を照射する偏光光照射装置において、ヨーイングの発生を検知することを可能にし、歩留まりの改善に貢献できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、設定された照射面に偏光素子を介して光照射する光照射器と、
基板が載置されたステージを移動させて基板を照射面の位置に搬送する搬送系とを備えており、
前記搬送系は、照射面を外れた位置から照射面の位置に向かう第一の方向にステージを直線移動させる第一の直線移動機構と、前記ステージを前記ステージの載置面に垂直な軸の周りに回転させることで前記偏光素子に対して前記ステージを所定の姿勢とするθ方向移動機構とを含んでおり、
前記ステージのヨーイングを検知するヨーイング検知手段が設けられて
おり、
前記ヨーイング検知手段は、反射ミラーと、反射ミラーにレーザー光を照射するレーザー干渉計とを備え、反射ミラーに反射して戻ってくるレーザー光による干渉光に基づき前記ステージのヨーイングを検知するものであり、
さらに、
第一の定板が設けられており、
第一の定板の上には、第二の直線移動機構と、前記θ移動機構と、前記ステージとが搭載されていて、前記第一の直線移動機構は、第一の定板を前記第一の方向に移動させることで、第一の定板と一体に第二の直線移動機構、前記θ移動機構及び前記ステージを前記第一の方向に移動させるものであり、
第二の直線移動機構は、前記第一の方向と直交する第二の方向に前記ステージを直線移動させる機構であって第一の定板を移動させない機構であり、
前記θ方向移動機構は、第一の定板を回転させない機構であり、
前記反射ミラーは、第一の定板に設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記ヨーイング検知手段は、
前記レーザー干渉計からのレーザー光が前記反射ミラー上の異なる箇所に照射されるようにレーザー光を分割するものであり、各々照射されたレーザー光の反射光による干渉光に基づき前記ステージのヨーイングを検知するものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項
3記載の発明は、前記請求項
1又は2の構成において、前記搬送系は、前記ステージに載置された基板が照射面を通過するように基板を搬送させるものであり、
前記ヨーイング検知手段は、基板が照射面を通過する際のヨーイングの発生量を記憶する記憶部を含んでいるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項
4記載の発明は、前記請求項
1、2又は3の構成において、前記ヨーイング検知手段に接続されたシーケンス制御部を備え、
前記シーケンス制御部は、前記照射面を外れた位置から前記照射面の位置に前記第一の直線移動機構により前記ステージが移動する際に前記ヨーイング検知手段が限度以上のヨーイングを検知した場合に、前記ヨーイング検知手段からの指令に基づいてアラームを出力するか、又は前記搬送系を停止させる制御を行うものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項
5記載の発明は、前記請求項
4の構成において、前記照射面を外れた位置は、前記ステージに基板を搭載するロード位置であり、
前記ヨーイング検知手段は、ロード位置から前記照射面の位置まで直線移動する際に前記ステージのヨーイングを検知する手段であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項
6記載の発明は、前記請求項1乃至5いずれかの構成において、
前記第一の定板の上には第二の定板が搭載されており、
前記第二の直線移動機構は、第二の定板を前記第二の方向に直線移動させるものであって、前記θ方向移動機構は、第二の定板の上に搭載されていているという構成を有する。
【発明の効果】
【0020】
以下に説明する通り、本願の請求項1記載の発明によれば、偏光素子に対してステージを所定の姿勢とすることができるので、基板に対して所望の向きに偏光軸が向いた偏光光を照射することができる。そして、ステージのヨーイングを検知する手段を備えているので、ヨーイングの発生を知らずに処理を続けてしまうことが未然に防止される。このため、不良品を大量に製造してまって歩留まりを悪化させてしまうことが少なくなる。
また、照射したレーザー光の反射光の干渉光に基づいてヨーイングを検知するので、非常に厳しい方向精度が要求されている偏光光照射装置におけるヨーイング検出のために、特に適したものとなる。
また、第二の方向での基板の位置を調節し
たりθ方向での基板の位置を調節したりしながら偏光光を照射することができ、この場合でも、ステージと一体に第一の方向に移動
し且つ第二の方向やθ方向には移動しない第一の定板に
設けられた反射ミラーに対してレーザー光を照射し、その反射光の干渉光の強度を検出することでヨーイングを検知するので、ヨーイングの検出が困難になったり大がかりになったりすることはない。
また、請求項
3記載の発明によれば、上記効果に加え、基板に偏光光が照射された際のヨーイングの発生量が記憶部に記憶されるので、後からヨーイングの発生をチェックすることができる。このため、製品の品質の優劣とヨーイングとの関係についての分析を行うことが可能となる。
また、請求項
4記載の発明によれば、上記効果に加え、限度以上のヨーイングを検知した際にアラームが出力されるか、搬送が停止されるので、ヨーイングによって偏光軸ずれが生じた状態で処理を行ってしまうことがより少なくなる。
また、請求項
5記載の発明によれば、発生し易く且つ発生した場合に問題となり易いロード位置から照射面の位置までの間でのヨーイングが検知されるので、上記効果をより高く得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、本願発明の実施形態に係る偏光光照射装置の斜視概略図である。
図1及び
図2に示す偏光光照射装置は、ディスプレイ用の膜材付き基板のような基板Sに対して偏光光を照射するための装置であり、光照射器1と、搬送系2とを備えている。
【0023】
光照射器1は、設定された照射面Iに偏光光を照射するものである。照射面Iは、二次元の有限な領域として設定されるものであり、
図1に示すように、この実施形態では長方形の領域である。
この実施形態の装置は、光配向用に偏光光を照射するものであり、照射面Iとともに設定配向方向が装置において設定される。設定配向方向は、通常、長方形の照射面Iの短辺又は長辺の方向とされる(但し、斜めの方向とされることもある)。
【0024】
図1に示すように、光照射器1は、光源11と、光源11と照射面Iの間に配置された偏光素子ユニットとを備えている。
光源11は、長尺な発光部を成す棒状のものであり長手方向が照射面Iの長辺方向に向くよう配置される。この実施形態では、光源11として水銀ランプが使用されているが、メタルハライドランプが使用されることもある。尚、点光源11を一列に並べて長尺な発光部としたものが使用されることもある。
【0025】
光源11の背後(照射面Iとは反対側)には、ミラー13が配置されている。ミラー13は、光源11の長手方向に延びた長尺なものであり、光源11の背後を覆って光を照射面Iの側に反射させて光の利用効率を高めるものである。ミラー13は、反射面の断面形状が楕円の円弧又は放物線を成している。尚、光源11やミラー13は、ランプハウス10内に収容されている。
【0026】
偏光素子ユニットは、複数の偏光素子12をユニット化したものであり、複数の偏光素子12と、複数の偏光素子12を保持したフレームとより成っている。各偏光素子12は、方形の板状であり、光源11の長さ方向に沿って並べられている。偏光素子ユニットは、光照射器1を構成するランプハウス10の下端開口に装着されており、光源11と照射面Iとの間に位置している。
この実施形態では、各偏光素子12は、ワイヤーグリッド偏光素子である。但し、グリッドの材質は金属(ワイヤー)には限られないので、この明細書では単にグリッド偏光素子と呼ぶ。
【0027】
搬送系2は、基板Sが載置されるステージ21と、ステージ21を移動させる移動機構22〜24とを備えている。ステージ21への基板Sの載置動作を行う位置(以下、ロード位置という)は、照射面Iの位置を外れた位置に設定されている。従って、搬送系2の主たる目的は、ロード位置から照射面の位置にステージ21を移動させて基板Sを搬送することである。
【0028】
加えて、この実施形態では、搬送系2は照射面Iを通過するように基板Sを搬送するものとなっている。照射面Iの位置で基板Sを静止させて偏光光を照射することも不可能ではないが、静止した状態であると、基板Sの表面での照射量の分布は照射面Iでの照度分布に依存してしまう。このため、照度分布をより均一にしないと照射量は面内でばらついてしまう。実施形態の装置は、この点を考慮し、照射面Iを基板Sが通過するようにしており、通過の際に偏光光が照射されるようにしている。
【0029】
このため、搬送系2が備える移動機構の一つは、ロード位置から照射面Iに向かう方向にステージ21を直線移動させる機構22であって、この方向の搬送ラインは、照射面Iに沿って照射面Iを通して設定されたものとなっている。以下、この方向を第一の方向とし、この方向に移動させる直線移動機構22を第一の移動機構という。
【0030】
搬送系2は、この他、第二の移動機構23とθ方向移動機構24とを備えている。第二の移動機構23は、照射面Iに沿った方向であって第一の方向に垂直な第二の方向にステージ21を移動させる機構である。θ方向移動機構は、ステージ21の基板載置面に垂直な軸の回りにステージ21を移動させる(回転させる)機構である。
【0031】
第一の移動機構22は、直接的には第一の定板31を直線移動させる機構である。第一の移動機構22としては、この実施形態では、リニアモータステージが採用されており、第一の定板31はリニアモータステージにおけるステージとなっている。リニアモータステージは、第一の方向に沿って配設されたリニアモータ221及び一対のリニアガイド222を備えた機構であり、リニアモータ221により第一の定板31をリニアガイド222に沿って移動させる機構である。
【0032】
第一の定板31には、第二の定板32と第二の移動機構23とが搭載されている。第二の移動機構23も、リニアモータステージによって構成されており、第二の方向に沿って配設されたリニアモータ231と一対のリニアガイド232とを備えている。第二の定板32は、このリニアモータステージにおけるステージとなっている。このように各々リニアモータステージである第一第二の移動機構22,23を備えた機構は、二軸型のリニアモータステージ(クロス型XYステージ)として市販されており、それを使用することができる。
【0033】
第二の定板32には、θ方向移動機構24が搭載されている。θ方向移動機構24は、ステージ21の中心軸(ステージ21の基板載置面の中心を通りステージ21に垂直な軸)の回りにステージ21を回転させるモータを含んでいる。モータの出力軸は、ステージ21の下面に連結されている。
【0034】
尚、ステージ21は、複数の不図示の支持ピンを備えたものである。各支持ピンは、ステージ21の上面から少し突出している。各支持ピンは管状であり、真空吸着のための吸気を行うようになっている。ステージ21は、各支持ピン上で真空吸着されながら保持される。尚、この明細書において「ステージ」の語は広い意味で使用されており、基板Sを載せる台状のものには限られず、基板Sを保持し得る部材であれば「ステージ」と呼び得る。
【0035】
このようなステージ21に対して、基板Sの搭載と回収を行う不図示のロボットが設けられている。この実施形態の装置は、照射面Iの一方の側に設定されたロード位置で基板Sの載置を行い、搬送系2によって照射面Iを通過するようにして基板Sを搬送した後、ロード位置まで戻して同じ位置で基板Sの回収を行うようになっている。従って、ロード位置には、基板Sの載置と回収とを行う不図示のロボットが配置されている。ロボットは、ロード位置において一枚の基板Sをステージ21に載置し、偏光光照射済みの基板Sをロード位置で回収するようティーチングされる。
【0036】
また、ステージ21上で基板Sが所定の姿勢で保持されるようにするため、装置は不図示のアライメント機構を備えている。基板Sには、所定の箇所に複数のアライメントマークが設けられており、アライメント機構は、アライメントマークをそれぞれ撮像する撮像素子と、撮像素子からの出力に従って第二の移動機構23及びθ方向移動機構24を制御するアライメント制御部等によって構成される。アライメント制御部は、基板Sが第二の方向において所定の位置に位置するよう第二の移動機構23を制御するとともに、θ方向移動機構24を制御してθ方向で基板Sが所定の姿勢となるようにする。第二の移動機構23及びθ方向移動機構24はサーボ機構を含んでおり、第二の方向の位置及びθ方向の姿勢が保たれるようになっている。
【0037】
このような実施形態の偏光光照射装置は、前述したヨーイングの問題を考慮し、ヨーイング検知手段を備えている。ヨーイング検知手段は、ステージ21がロード位置から照射面Iの位置まで直線移動する際にステージ21のヨーイングを検知する手段である。
図2は、実施形態の装置におけるヨーイング検知手段の概略図である。この実施形態では、ヨーイング検知手段は、ステージ21と一体に直線移動する部材の異なる二つの箇所にレーザー光を照射し、各々照射されたレーザー光の反射光による干渉光に基づきヨーイングを検知するものとなっている。このような方式によるヨーイング検知手段の一例として、実施形態ではレーザー干渉計4が採用されている。レーザー干渉計4は、対象物にレーザー光を照射し、対象物に反射して戻ってくるレーザー光の干渉光を検出することにより距離や角度を計測るものである。この実施形態では、レーザー干渉計4は、第一の定板31に取り付けた反射鏡ユニット43に対してレーザー光を照射するものとなっており、直接的には第一の定板31のヨーイングを検知するものとなっている。
【0038】
発明者らは、上記のようなレーザー干渉計4をヨーイング検知手段として採用する場合、どこにレーザー光を照射する構成が最適であるかを鋭意検討した。レーザー光照射は、ステージ21のヨーイングの検出であることを考慮すると、ステージ21にレーザー光を照射し、その反射光の干渉光を検出するのが自然である。しかしながら、実施形態の偏光光照射装置では、ステージ21にレーザー光を照射してヨーイングを検出することは好ましくないことが判明した。上記のように、実施形態の装置は、θ方向移動機構24を含んでおり、照射される偏光光の偏光軸に対して基板Sが所望の方向を向いた姿勢とすることができるようになっている。これは、主に、所望の方向に光配向をさせたいという装置ユーザーの要求に応じたものであるものの、ステージ21のヨーイングを直接的に検知することについては障害となる。レーザー干渉計4による姿勢検知のためには、照射したレーザー光がレーザー干渉計4に向けて戻ってくる必要があるが、ステージ21はθ方向移動機構24によりθ方向移動(回転)され、任意の姿勢とされる。このため、レーザー干渉計4を搭載していても、装置ユーザーがθ方向移動機構24を動作させてステージ21の姿勢を変化させた結果、ヨーイング検知不可の状態となってしまう。
【0039】
上記のような点を考慮し、実施形態の装置は、第一の定板31に対してレーザー光を照射してヨーイングを検知する構成を採用している。上述したように、θ方向移動機構24は第一の定板31上に第二の定板32を介して搭載されている。したがって、θ方向移動機構24が動作しても第一の定板31はθ移動はせず、姿勢は変化しない。そして、ステージ21は、第二の定板32及びθ移動機構24を介して第一の定板31上に搭載されているから、第一の定板31にヨーイングが生じると、当然ながらステージ21上の基板Sのヨーイングとなる。そして、第一の移動機構22は、搬送系2における主たる機構であってステージ21を長い距離移動させる機構であり、ヨーイングの主たる発生源である。第一の移動機構22は直接的には第一の定板31を移動させるものであるから、第一の定板31のヨーイングを検知していれば、問題となる基板Sのヨーイングも検知できる。このような考えに基づき、発明者らは、第一の定板31に対してレーザー光を照射してヨーイングを検知する構成を想到するに至った。
【0040】
具体的に説明すると、
図2に示すように、レーザー干渉計4は、レーザー発振器41、レーザー発振器41から出力されたレーザー光を分割するビームスプリッタ421を含む中間ユニット42、第一の定板31の側面に取り付けられた反射鏡ユニット43、干渉光を検出する検出器44などから構成されている。レーザー発振器41、中間ユニット42、検出器44は、干渉計本体40を構成しており、干渉計本体40は不図示の支持台に固定されている。
【0041】
レーザー発振器41としては、例えばHe−Neレーザー発振器41が使用でき、検出器44には例えばSiフォトダイオードが使用される。
中間ユニット42は、ビームスプリッタ421とミラー422とを並設したユニットである。ミラー422は、ビームスプリッタ421で分割された他方の光路に対して垂直に配置されており、従って
図2に示すように、中間ユニット42の出射側では、レーザー光の光路は平行な二つの光路451,452に分割されるようになっている。以下、これら光路を第一光路451、第二光路452とする。
【0042】
反射鏡ユニット43は、二つの断面V字状の溝(以下、V溝という)431,432に形成した反射面を有する光学部材(コーナーキューブ)である。
図2に示すように反射鏡ユニット43における一方のV溝431は、第一光路451上に位置し、他方のV溝432は、第二光路上452に位置している。干渉計本体40に対してこのような位置関係になるよう、反射鏡ユニット43は第一の定板31上の所定の位置に固定されている。尚、干渉計本体40において、レーザー発振器41と検出器44は、中間ユニット42内のビームスプリッタ421の分割面423に対して光軸が垂直に交差する姿勢及び位置となっている。
【0043】
このようなレーザー干渉計4によるヨーイングの検知について、以下に説明する。
反射鏡ユニット43における各V溝431,432は、直角に交差する反射面をそれぞれ形成している。従って、
図2に示すように、第一光路451に沿って進んできたレーザー光が一方のV溝431に達すると、反射面で二回反射して往路光と平行な光路を通って中間ユニット42に戻る。第二光路452についても同様で、第二の光路452に沿って進んできたレーザー光が他方のV溝432に達すると、反射面で二回反射して平行な光路を通って中間ユニット42に戻る。このようにして戻る各復路光は、ビームスプリッタ421に分割面423において合成され、検出器44に達して検出される。
【0044】
第一光路451を進んで一方のV溝431で反射して中間ユニット42に戻り、検出器44で検出される光の光路長をL
1とし、第二光路452を進んで他方のV溝432で反射して中間ユニット42に戻り、検出器44で検出される光の光路長をL
2とする。二つの光はビームスプリッタ421で合成されて干渉するから、検出器44で検出されるのは干渉光の強度であり、強度は光路差(|L
1−L
2|)に応じたものとなる。
【0045】
第一の定板31にヨーイングが生じると、第一の定板31の姿勢が変化し、各光路451,452に対する反射鏡ユニット43の向きが変化する。この際、各V溝431,432の向きも変化するが、各V溝431,432は互いに直行する二つの反射面を形成しているので、各V溝431,432から出射する復路光は、姿勢変化に関わらず往路光に対して平行に進む。このため、同様にビームスプリッタ421で合成されて干渉し、干渉光の強度が検出器44で検出される。
【0046】
そして、第一の定板31の姿勢変化により、光路差が変化するので、検出される干渉光の強度も変化する。例えばレーザー光が波長632nmのHe−Neレーザーである場合、光路差が316nm異なる毎に周期的に干渉光の強度が変化する。したがって、ある時点での干渉光の強度を基準値として保持しておけば、その時点での姿勢を基準にした第一の定板31の姿勢変化、即ちヨーイングを検知することができる。
【0047】
通常、光路差の変化は、レーザーの半波長(ここでは316nm)よりも大きい。従って、光路差の変化の大きさは、干渉光の強度の周期的な変化の頻度、即ち干渉縞の明暗の数に相当する。第一の定板31が第一の方向に移動した際に観測される干渉縞の数をnとし、レーザーの波長をλとすると、nλ/2が光路差(|L
1−L
2|)の変化に相当している(nλ/2=Δ|L
1−L
2|)。
レーザー干渉計は、ある基準となる時刻からスタートした干渉縞のカウント数を出力するものとなっている。ヨーイング検知手段は、この出力に対して基準値を適用し、ヨーイングが発生したか否かを判断するものとなっている。
【0048】
また、レーザー干渉計4の出力によってどの程度のヨーイングが発生したかを算出することもできる。詳細な説明は省略するが、
図2に示すように、二つのV溝431,432の間の距離をWとすると、第一の定板31の姿勢変化の角度(即ち、ヨーイングの大きさ)Δθは、Δθ=sin
−1(|L
1−L
2|/W)で表される。従って、反射鏡ユニット43が第一の方向に対して垂直な場合の|L
1−L
2|を基準値(ゼロ)として、干渉縞の数をカウントすることで得たnによりΔ|L
1−L
2|を求め、上記式に代入することで、ヨーイングの発生量(Δθ)が求められる。
【0049】
尚、干渉計本体40は、不図示の支柱台に固定されていて第一の定板31上の反射鏡ユニット43に対して固定された位置を保持する。このため、第一の定板31の移動に伴ってレーザー光の第一の光路及び第二の光路の各光路長は変化するが、反射鏡ユニット43の姿勢が変化しない限り、光路差(|L
1−L
2|)は一定であり、反射鏡ユニット43の姿勢が変化した場合に限り、上記のように干渉光強度の変化として現れる。つまり、第一の移動機構22によるステージ21の移動によらず、また移動の過程で、常時ヨーイングが検出できる。
【0050】
このようなレーザー干渉計4をヨーイング検知手段として採用することには、僅かなヨーイングでも問題となり得る光配向用の偏光光照射装置であることに関連して、意義がある。レーザー干渉計は、上記のように僅かな姿勢変化でも干渉光強度の変化として検出できるものであり、例えば0.05度以下といった非常に厳しい方向精度が要求されている光配向用の偏光光照射装置におけるヨーイング検出のために、特に適したものとなっている。
【0051】
実施形態の装置は、このようなレーザー干渉計4の動作原理に基づき、レーザー干渉計4の出力が入力されるデータ処理ユニット5を備えている。データ処理ユニット5は、レーザー干渉計とともにヨーイング検知手段を構成するものであり、レーザー干渉計4の出力値を記憶する記憶部51や、レーザー干渉計4の出力値の基準値からのずれを算出する演算処理部52等を含んでいる。データ処理ユニット5におけるデータ処理の一例について、
図3を使用して説明する。
図3は、データ処理ユニット5におけるデータ処理の一例について示した図である。
実施形態の装置は、
図1に示すように、装置の各部を制御する主制御部50を備えている。データ処理ユニット5は、この主制御部の要素となっており、以下に説明するデータ処理は主制御ユニットが行うものとなっている。
【0052】
前述したように、偏光光の照射の際にヨーイングが発生していると偏光軸の向きがずれて照射されるから、少なくとも偏光光の照射時にヨーイングが発生していないか検知する必要がある。実施形態の装置では、アライメント機構によって基板Sは予めアライメントされ、アライメントにはθ方向のアライメントも含まれる。従って、アライメント完了時の位置を基準とし、この位置から干渉縞の数のカウントを開始することでヨーイングを検知することが考えられる。つまり、ロード位置でアライメントが行われるから、ロード位置でのレーザー干渉計4の出力値を基準値とし、第一の方向における第一の定板31の移動に伴ってレーザー干渉計4の出力が基準値に対して限度以上に変化していないかでヨーイングの発生を監視することが考えられる。
【0053】
このようなデータ処理でも構わないのであるが、簡略化できる要素もある。というのは、ロード位置から照射面Iの位置に至る過程でいったんヨーイングが発生しても元の姿勢に戻り、照射面Iではヨーイングが発生していないこともあり得るからである。例えば、第一の移動機構22に含まれる部材につなぎ目のような特異箇所があり、この特異箇所で一時的にヨーイングが発生するものの、その箇所を過ぎれば元の姿勢にも戻る場合もある。このような点を考慮し、この実施形態では、照射面Iの位置に達する少し手前の位置でのレーザー干渉計4の出力値を基準とし、この値に対する差分でヨーイングの発生を監視するようにしている。
【0054】
具体的に説明すると、
図3において、横軸は第一の方向即ち搬送方向における第一の定板31の位置を示し、縦軸はレーザー干渉計4の出力値(干渉縞のカウント数)を示す。
図3に示すように、第一の方向への移動に伴ってレーザー干渉計4の出力値(干渉縞のカウント数)は変化する。この際、出力値(カウント数)の最大値が一定以下であれば、問題となるヨーイングは発生していないとして良い。尚、レーザー干渉計4の検出部の出力の変化により第一の定板31が逆向きに姿勢変化したことが検知されるので、その場合には、出力値(カウント数)が減算されて出力される。
【0055】
図3において、第一の定板31が照射面Iの位置から少し手前の位置にある時のレーザー干渉計4の出力値が基準値とされる。この位置を、以下、基準位置と呼び、
図3にP
0で示す。また、ステージ21上の基板Sの搬送方向前側の縁が照射面Iに達した際の第一の定板31の後ろ側の縁の位置をP
1とし、照射開始位置と呼ぶ。また、基板Sの搬送方向後ろ側の縁が照射面Iを通り過ぎた際の第一の定板31の後ろ側の縁の位置をP
2とし、照射終了位置とする。基準位置P
0は、照射開始位置P
1に対して距離dだけ離れた位置であり、距離dは、例えば2000〜5000mm程度の範囲で適宜選定される。
【0056】
データ処理ユニット5は、まず、基準位置P
0におけるレーザー干渉計4の出力値を基準値として取得し記憶部51に記憶する。例えば、基板Sがロード位置でステージ21に搭載された際にレーザー干渉計4は動作を開始し、その際の出力値をゼロにリセットする。そして、基準位置P
0に達した際の出力値(カウント数)を基準値とする。基準位置P
0からステージ21がさらに前進していく際、データ処理ユニット5は、レーザー干渉計4の出力値を逐次記憶するとともに、基準値との差分を逐次計算し、記憶部51に記憶する。そして、ヨーイングの監視領域において差分の最大値をヨーイング値として記憶する。
【0057】
図3に示すように、照射開始位置P
1から照射終了位置P
2までの間がヨーイングの監視領域であり、この間でのレーザー干渉計4の出力値をカウントする。尚、レーザー干渉計4からの出力値の取得及び記憶部51への記憶は、P
2に達した時点で終了しても良いし、その後も少し続けても良い。
【0058】
データ処理ユニット5において、記憶部51はRAMのようなメモリ素子であり、演算処理部52はマイクロプロセッサである。上記のようなデータ処理が行われるよう、データ処理ユニット5にはプログラムが実装される。そして、記憶部51に記憶されている各データを表示する表示部53をデータ処理ユニット5は備えている。データ処理ユニット5は、
図3に示すようなグラフとしてヨーイングの発生量を表示部53に表示できるようになっている。
【0059】
次に、実施形態の偏光光照射装置の全体の動作について説明する。
ロード位置にステージ21が位置している状態で、不図示のロボットが動作し、基板Sがステージ21に載置される。そして、アライメント機構が動作して第二の方向及びθ方向のアライメントが行われる。
【0060】
アライメントが完了すると、第一の移動機構22が動作し、ステージ21をロード位置から第一の方向に移動させる。ステージ21は、基準位置P
0を通過して照射面Iの位置に達し、照射面Iの位置を通過して前進限界位置に達する。前進限界位置は、ステージ21上の基板Sの後ろ側の縁が照射面Iを完全に通り過ぎ、その後少し前進した位置である。
【0061】
ステージ21が前進限界位置に達すると、第一の移動機構22は、ステージ21を後退させ、照射面Iを通してロード位置に戻す。ステージ21上の基板Sに対しては、往路移動において照射面Iを通過する際と、復路移動で照射面Iを通過する際の双方において偏光光が照射される。
そして、ロード位置に戻った基板Sはロボットによりステージ21から取り去られ、ロボットは次の基板Sをステージ21に載置する。そして、同様の動作が繰り返される。
【0062】
上記動作において、前述したようにステージ21が基準位置に達した際のレーザー干渉計4の出力値が基準値として記憶部51に記憶され、基準位置以後のレーザー干渉計4の出力値が逐次記憶部51に記憶される。データ処理ユニット5は、基準値との差分を算出するともに、差分のP
1からP
2における最大値をヨーイング値として算出する。
【0063】
このような各基板Sに対する枚葉の偏光光照射を行い、装置は、各基板Sを処理した際のレーザー干渉計4の出力値のデータを履歴データとして記憶部51に記憶する。履歴データは、そのデータを記憶した際の基板Sの特定情報(基板ID)とともに記憶される。
【0064】
記憶部51の履歴データは、作業員によって随時チェックされる。例えば、一日のうちに何回かデータを表示部53に表示してチェックしたり、製品において不具合があった際に特にチェックしたりする。製品の配向特性が思わしくない場合、その製品における基板IDに従って履歴データを参照し、ヨーイングが発生していなかったか分析することが行われる。
【0065】
このように、実施形態の偏光光照射装置によれば、ステージ21のヨーイングを検知する手段を備えているので、ヨーイングの発生を知らずに処理を続けてしまうことが未然に防止される。このため、不良品を大量に製造してしまって歩留まりを悪化させてしまうことがなくなる。
【0066】
また、実施形態の偏光光照射装置では、前述したように第一の定板31に対してレーザー干渉計4を設けて干渉光の強度を計測しているので、θ方向移動機構24によって基板Sの姿勢調整を任意に行うことを可能にしつつ基板Sのヨーイングの検知を確実に行えるようになっている。
また、第二の定板32ではなく第一の定板31に対してレーザー干渉計4を設けている点にも別の顕著な意義がある。ヨーイングの検知のためには、第二の定板32に対してレーザー干渉計4を設けることも考えられる。しかしながら、第二の定板32は、第二の移動機構23によって第二の方向に移動するものである。第二の定板32に反射鏡ユニット43を固定して第二の定板32からの反射光による干渉光を検出しようとした場合、第二の定板32が第二の方向に移動するため、反射鏡ユニット43もレーザー干渉計4の各光路451,452に対して移動してしまう。反射鏡ユニット43の一つの反射面の幅内における短い移動距離であれば、移動にかかわらず干渉光の強度計測によりヨーイングが検出できることもあり得るが、この許容距離は例えば10mm程度の僅かなものである。
【0067】
第二の方向の移動は、照射面I内の幅方向の照射位置の微調節のためのものではあるものの、許容距離よりもはるかに長い距離の移動となることが想定される。したがって、第二の定板32に反射鏡ユニット43を取り付けた構成では、ヨーイングの検出は難しい。干渉計本体40を第二の定板32と同一の移動をする部材に対して設けることも考えられるが、構造的に大がかりになるし、その部材がヨーイングしたことを検知することができなくなってしまう。
尚、ステージ21自体に反射鏡ユニット43を取り付けてヨーイングを検知することは好ましくない点は前述したが、ステージ21のθ移動と同一のθ移動をする部材に干渉計本体40を取り付ける構成も、やはり好ましくない。構造的に大がかりになってしまう問題の他、角度の変化とヨーイング発生とを峻別することが困難であるという問題もある。
【0068】
このような困難性や問題がない点で、第一の定板31に反射鏡ユニット43と取り付ける構成には優位性がある。言い換えれば、実施形態の装置は、照射面Iの幅方向での照射位置の調節を可能にしたり、任意の向きに偏光光が向いた状態で偏光光を照射することを可能にしたりした構成において、ヨーイングの検知を精度良く確実に行えるようにしたという顕著な意義を有している。
【0069】
また、レーザー干渉計4が第一の方向に沿ってレーザー光を照射する構成である点は、別の意義を有している。第一の定板31に対して、例えば第二の方向に沿ってレーザー光を照射することでヨーイングを検知することも可能である。例えば、第一の方向に沿った第一の定板31の移動距離以上の長さを有する長尺な反射面を有する反射鏡ユニットを第一の定板31に対して取り付ける。第一の定板31とともに移動する反射鏡ユニットに対して第二の方向からレーザー光を照射し、その反射光の干渉光の強度を検出することで、同様にヨーイングの検知が可能である。しかしながら、構造、特に光学系の構成が複雑で大がかりになってしまい、高コストとなってしまう欠点がある。このような欠点がない点で、第一の方向に沿ってレーザー光を照射してヨーイングを検出する構成には顕著な意義がある。
【0070】
尚、第二の方向の移動やθ方向の移動が不要な場合には、レーザー干渉計4はステージ21に対して設けることも可能であり、またステージ21と一体に第一の方向に移動する別の部材に対して設けることも可能である。
基板Sに対して所定の角度Θで偏光光が照射されるようにするためのθ方向の移動は、ステージ21をθ移動させる構成の他、偏光素子12をθ移動させて姿勢を偏光したり、またはランプハウス10を全体にθ移動させる構成もあり得る。このような場合には、ステージ21にθ方向移動機構を設けない場合もある。
【0071】
上述した実施形態において、ヨーイング検知手段の検知結果は、履歴データとして記憶部51に記憶されるだけであったが、限度以上のヨーイングが発生した場合にアラームが出力されるようにしても良いし、偏光光照射処理を取りやめるような制御シーケンスを実装しても良い。例えば、ロード位置でのレーザー干渉計4の出力値を基準値とし、ステージ21が照射面Iに達するまでの間にレーザー干渉計4の出力値が基準値に対して限度以上に変化した場合、アラームが出力されるようにするとともに、装置が緊急停止されるようにする。このようにすると、方向精度が悪化した状態で偏光光が照射されることが未然に防止されるので、不良品が産出されることがなくなる。
【0072】
具体的に説明すると、装置が備える主制御部は、シーケンス制御部を含んでいる。シーケンス制御部は、装置の各部が所定のシーケンスで動作するように制御するものである。データ処理ユニット5内に、限度以上のヨーイングが発生したことを判断するための基準値(以下、警戒基準値)を設定しておき、レーザー干渉計の出力が警戒基準値に達したかを判断する手段、警戒基準値に達した場合にシーケンス制御部に警戒出力を行う出力手段をデータ処理ユニット5内に設ける。これら手段は、適宜の回路又はプログラムである。そして、警戒出力が入力された場合、アラーム信号を出力したり、及び又は装置を緊急停止させたりできるようシーケンス制御部を構成する。アラーム出力は、アラームランプのような点灯の他、履歴情報として記録するために使用され得る。
【0073】
また、上述した実施形態において、ヨーイング検知手段を構成するレーザー干渉計4は、第一の定板31の異なる二つの箇所にレーザー光を照射し、それぞれの反射光による干渉光の強度を検出するものであったが、他の構成もあり得る。例えば、ビームスプリッタで分割した一方のレーザー光を基準となる固定された位置及び姿勢の反射板に照射して反射させ、他方を第一の定板31に照射して反射させる。二つの反射光の干渉光の強度は、ステージ21の第一の方向への移動に伴って変化するが、その際の変化の仕方は、ヨーイングが発生した場合としない場合とで異なる。従って、ヨーイングが発生しない場合の干渉光の変化のパターンを予め記憶部51に記憶しておき、これとの比較によってヨーイングの発生を検知することができる。
【0074】
尚、上述した実施形態の偏光光照射装置は、光配向用のものであったが、光配向用以外の用途においても本願発明の装置を使用することができる。
また、レーザー干渉計4は、干渉縞の数をカウントして出力するものであると説明したが、検知するヨーイングの大きさに対してレーザーの波長が長い場合、光路差の変化がλ/2以内である場合もあり、この場合には、干渉縞の数ではなく、干渉光の強度変化自体でヨーイングを検出することがあり得る。つまり、ある限度以上に干渉光強度が変化したことを捉えてヨーイング発生とすることがあり得る。