特許第5958498号(P5958498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5958498マイコバクテリウム・イントラセルラー検出用プライマー及びプローブ、並びにこれを用いたマイコバクテリウム・イントラセルラーの検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958498
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】マイコバクテリウム・イントラセルラー検出用プライマー及びプローブ、並びにこれを用いたマイコバクテリウム・イントラセルラーの検出方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20160719BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALI20160719BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12Q1/68 A
   C12Q1/04
【請求項の数】6
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2014-123266(P2014-123266)
(22)【出願日】2014年6月16日
(62)【分割の表示】特願2010-514489(P2010-514489)の分割
【原出願日】2009年5月26日
(65)【公開番号】特開2014-195461(P2014-195461A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2008-139105(P2008-139105)
(32)【優先日】2008年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】和光純薬工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 友一
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/145181(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/129628(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/029014(WO,A1)
【文献】 特開2003−284565(JP,A)
【文献】 特開平10−323189(JP,A)
【文献】 特開2005−204582(JP,A)
【文献】 J.Clin.Microbiol.,1995,Vol.33,No.11,p.2994-2998
【文献】 J.Clin.Microbiol.,1990,Vol.28,No.8,p.1694-1697
【文献】 Tuber.Lung Dis.,Vol.74(1993)p.342-345
【文献】 結核,Vol.68,No.11(1993)p.687-693
【文献】 Journal of Clinical Microbiology,1987年,Vol.25,No.8,p.1442-1445
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号44又は46で表される塩基配列からなるフォワードプライマーと、配列番号45又は47で表される塩基配列からなるリバースプライマーとで構成される、マイコバクテリウム・イントラセルラー検出用プライマー対。
【請求項2】
請求項に記載のプライマー対を用いることを特徴とするマイコバクテリウム・イントラセルラーの検出方法。
【請求項3】
請求項に記載のプライマー対を用い、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応を行い、得られたプライマー増幅産物を検出することを特徴とする、請求項に記載の検出方法。
【請求項4】
下記工程を包含することを特徴とする、請求項に記載の検出方法、
(1)請求項に記載のプライマー対を用い、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応を行う、
(2)(1)で得られたプライマー増幅産物について電気泳動を行い、その結果に基づいてマイコバクテリウム・イントラセルラーの有無を判定する。
【請求項5】
下記のいずれかの場合に、被検試料がマイコバクテリウム・イントラセルラー陽性であると判定する、請求項に記載の検出方法、
(1)電気泳動を行った後、得られた電気泳動画分について、目的とする塩基対数のプライマー増幅産物の画分を確認し、目的とする長さのプライマー増幅産物が確認された場合、
(2)電気泳動を行った後、得られた電気泳動画分について、配列番号6で表される塩基配列若しくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド又は配列番号6で表される塩基配列の連続する15〜700塩基のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド部分若しくは配列番号6で表される塩基配列に対する相補配列の連続する15〜700塩基のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド部分を含有し、且つマイコバクテリウム・イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを標識物質で標識した標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行い、該標識プローブの標識を検出することによって該標識プローブとハイブリダイズした画分が確認された場合。
【請求項6】
請求項に記載のプライマー対を含んでなる、マイコバクテリウム・イントラセルラー検出用試薬キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸の増幅及びその検出系を利用した、マイコバクテリウム・イントラセルラー(Mycobacterium intracellulare、以下、「M.イントラセルラー」と略記する場合がある。)を検出又は/及び同定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の本明細書の記載において、核酸塩基を示す場合のAはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Tはチミン、Uはウラシルを表す。また、「オリゴヌクレオチド」という場合、「ポリヌクレオチド」をも含む場合がある。
【0003】
非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacterium)は、マイコバクテリウム(Mycobacterium、以下、単にM.と略記する場合がある。)属に分類される抗酸性の性質を持つグラム陽性桿菌で、結核菌群及びMycobacterium leprae以外の抗酸菌の一種である。喀痰の抗酸菌塗抹検査で陽性となった症例の15〜20%は、その後の菌種同定検査で非結核性抗酸菌と診断されている。
【0004】
非結核性抗酸菌のうち、臨床上問題となる菌種としては、M.イントラセルラー、Mycobacterium kansasii(マイコバクテリウム・カンサシイ)、Mycobacterium marinum(マイコバクテリウム・マリナム)、Mycobacterium gordonae(マイコバクテリウム・ゴルドネア)、Mycobacterium szulgai(マイコバクテリウム・スズルガイ)、Mycobacterium avium(マイコバクテリウム・アビウム)、Mycobacterium xenopi(マイコバクテリウム・ゼノピ)、Mycobacterium fortuitum(マイコバクテリウム・フォーチュイタム)、Mycobacterium chelonei(マイコバクテリウム・セロネイ)、Mycobacterium abscessus(マイコバクテリウム・アプセッサス)等が知られている。
【0005】
その中でもよく見られるのが、M.イントラセルラーとM.aviumである。M.イントラセルラーとM.aviumは非常によく似ており、区別が付きにくかったことから、M.イントラセルラーとM.aviumをあわせてMycobacterium avium complex (MAC)と呼ばれる。非結核性抗酸菌症患者のおよそ70%はMAC感染症であり、次に多いのがM.kansasii症で、20%を占める。そして残る10%がその他の菌種による感染症である。
【0006】
非結核性抗酸菌は一般には毒力が弱く、健常人に対しては無害であるといわれている。しかし、まれにヒトに対して感染性を示す。中でもMACは、結核後遺症(肺感染症)を引き起こしたり、AIDSなどの易感染患者に対して日和見感染を引き起こすことが知られている。そのため、非結核性抗酸菌を迅速且つ正確に検出することは治療上、特に重要である。
【0007】
また、非結核性抗酸菌症は近年増加傾向にあるため、結核菌と非結核性抗酸菌を短時間で鑑別する方法の開発が強く望まれている。更に、M.イントラセルラー及びM.aviumを核酸増幅検出法で検出・診断する方法が健康保険の適用となったことからも、その診断上の意義は大きい。
【0008】
また、非結核性抗酸菌は、多くが抗結核薬に対して抵抗性を示す。そのため、患者に抗酸菌感染症の疑いがある場合、結核症か非結核性抗酸菌症かを鑑別診断することが、治療方針を決定するために重要である。更に、非結核性抗酸菌による病気は、その菌の種類によって治療法がそれぞれ異なるので、その菌種を決めることも非常に重要である。しかし、非結核性抗酸菌症には特異的な臨床症状がない。そのため、臨床的所見、病理組織学的所見から結核症と非結核性抗酸菌症を鑑別すること、更に非結核性抗酸菌の種類を特定することは極めて困難である。そのため、結核症か非結核性抗酸菌症かの診断は菌の同定によってなさなければならない。
【0009】
非結核性抗酸菌症の診断のために行う一般的な菌の同定法は、喀痰塗沫検査である。しかし、この検査では、その病原菌が「抗酸菌陽性」か否かということが判るだけで、その病原菌が結核菌か非結核性抗酸菌かということは鑑別できない。そこで、通常、喀痰塗末検査で陽性だった場合は、小川培地等の培地上で菌を分離培養することによって菌の培養検査を行い、結核菌か非結核性抗酸菌かを鑑別する。そして、さらに生化学的試験を行い、菌種の同定をする。しかしながら、一般にマイコバクテリウム属は発育が遅く、例えば、菌の分離培養だけで3〜4週間を要する。そして、菌種を同定するための各種生化学的試験の結果を得るまでに、更に2〜3週間を要する。そのため、従来の基本法である、以上のような塗沫検査や培養検査を行って結核症か否かの診断結果を得るという方法は、かなり時間がかかる方法である。
【0010】
一方、近年、遺伝子レベルで菌を検出する技術が開発されてきた。例えばポリメラーゼ連鎖反応(Polymerare Chain Reaction、PCR)等の核酸増幅技術を利用した診断技術が、菌を検出するための有用な手段として検討されている。この方法は感度が高いので、試料中に数個の菌があれば、菌を検出できる。また、短時間(長くても4日)で検出できる(菌種を同定できる)という利点がある。しかし、通常のPCR法では、菌数は判らない。また、生菌でも死菌でも区別無く検出してしまう。更に、試料に菌があれば、菌数の多少に関わらず陽性と判定される。そのため、PCR法では患者の持つ細菌に感染性があるか否かの診断が不確実になる。更にまた、PCR法には、感度が高すぎるため、偽陽性の判定が出やすい等の問題点がある。
【0011】
PCR法を利用したM.イントラセルラーの検出方法としては、例えばMacSequevar遺伝子領域、M.avium 19キロダルトンタンパク質(MAV19k)遺伝子領域、及びM.イントラセルラーリボソームタンパク質s1遺伝子領域の二つ以上に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーの多重プライマーセットを用いて、MAC核酸の存否を検出する方法(特許文献1)がある。しかしながら、この検出方法ではM.イントラセルラーとM.aviumを判別することはできない。また、使用したrps1プライマー(M.イントラセルラーリボソームタンパク質s1遺伝子領域から設計されたプライマー)を用いたPCRでは、試料がM.avium分離株の場合にも増幅産物が検出されており、M.イントラセルラーに対する特異性に問題がある。
【0012】
また、遺伝子挿入配列IS901の挿入部位を挟むDNA塩基配列を増幅するプライマーを用いてPCRを行い、得られた増幅産物の鎖長によって、トリ結核菌(M.avium)かM.イントラセルラーかを判定する方法(特許文献2)も知られている。しかし、該プライマーを用いたPCRでは、試料がトリ結核菌(M.avium)の場合でもM.イントラセルラーの場合でもプライマー伸長産物が得られるので、この判別方法はM.イントラセルラーに特異的な方法とはいえない。また、プライマー伸長産物の鎖長によって両者を判別するという方法は、煩雑であるし、判定者によってその判定結果が異なる場合もあり得、確実な判定方法とは言えない。
【0013】
PCR法以外に、鎖置換増幅法(SDA法、Strand Displacement Amplification Method)を利用する検出方法もある。例えば、特開平10-4984号(特許文献3)には、マイコバクテリアのα抗原の一部分をコードするBCG85−B遺伝子の63ヌクレオチドセグメントを標的とする方法が開示されている。この方法は、M.イントラセルラーとM.aviumの、両方の菌が持つBCG85−B遺伝子の標的配列を増幅させるプライマーを用いて、SDA法で核酸増幅反応を行い、そして、その結果をもとにMACを検出する方法である。すなわち、該方法に用いられるプライマーは、M.イントラセルラーとM.aviumの両方を増幅させるプライマーである。しかし、この方法では、当然のことながら、試料中にM.イントラセルラーがある場合とM.aviumがある場合の両方の場合でプライマー伸長産物が得られる。そのため、この方法でMACを検出することはできるが、M.イントラセルラーを特異的に検出することはできない。また、MACを検出する際であっても、偽陽性が出現する場合がある。
【0014】
特開2001-103986号公報(特許文献4)には、MACを検出するために用いられるプライマー、捕捉プローブ及び検出用プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドが開示されている。しかしながら、該プライマーはM.イントラセルラーと鳥型結核菌(M.avium)の両方の菌が持つdnaJ遺伝子からの48bp標的配列を増幅する。すなわち、試料中にM.イントラセルラーが存在する場合にも、M.aviumが存在する場合にも増幅反応が起こる。従って、該プライマーを用いてSDA法を行い、補足プローブ及び検出用プローブを用いてプライマー伸長産物を検出し、その結果に基づいてMACの検出を行うことはできる。しかし、この方法では、M.aviumを検出せずに、M.イントラセルラーのみを特異的に検出することはできない。
【0015】
その他、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法を利用し、M.イントラセルラーの核酸を増幅する方法(特許文献5)等がある。しかし、LAMP法には、増幅されたDNAの塩基配列を決定することができない、効率よく増幅できるDNAの長さに制限がある、偽陽性が出現する、等の問題がある。
【0016】
これらの問題を解決するため、本発明者は、既にPCT/JP2007/059251号を特許出願している(特許文献6)。この出願には、M.イントラセルラーをM.アビウムと区別して識別・検出できる事に主眼をおいて開発されたプライマー及びプローブが開示されている。また、この発明により従来法に比較して、他のマイコバクテリウム属細菌と区別して、M.イントラセルラーを特異的に、かつ迅速に検出できるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11-69999号公報
【特許文献2】特許第3111213号公報
【特許文献3】特開平10-4984号公報
【特許文献4】特開2001-103986号公報
【特許文献5】特開2005-204582号公報
【特許文献6】国際公開第2007/129628号パンフレット
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】F.Poly et al., J. Bacteriology, 2004, 186(14), p.4781-4795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、診断上の偽陽性を排除した新規なM.イントラセルラー検出用プライマー、及びこれを用いた簡便、迅速且つ精度の高いM.イントラセルラーの検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は上記課題を解決する目的で成されたもので、以下の構成よりなる。
(1)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
(2)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する、M.イントラセルラー検出用プライマー。
(3)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する、M.イントラセルラー検出用プローブ。
(4)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマー又は/及びプローブとして用いることを特徴とするM.イントラセルラーの検出方法。
(5)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマー又は/及びプローブとして含んでなる、M.イントラセルラー検出用試薬キット。
【0021】
M.イントラセルラーとM.aviumよりなるMycobacterium avium complex (MAC)には、28種類の血清型が存在する事が知られている。そのため、(1) M.イントラセルラーの菌株(strain)間で高頻度に保存された共通配列であり、なおかつ(2) M.aviumを含む他の近縁種からM.イントラセルラーのみを識別・同定するためのマーカー(ターゲット)配列として利用できるDNA領域を特定することは技術的に非常に困難である。
【0022】
そのため、現在知られているプライマーセットのうち、特異性(偽陽性の回避)を追求したものでは多様なM.イントラセルラー菌株間での共通配列を捕まえられない。すなわち、M.aviumを含む他の近縁種から、ある特定の菌株のM.イントラセルラーのみを識別・同定することは可能である。しかし、このプライマーセットを用いてM.イントラセルラーの判定を行った場合、そのプライマーセットで検出可能な、ある特定のM.イントラセルラー菌株に感染している場合しか判定できず、他のM.イントラセルラー菌株に感染している場合は判定できない。
【0023】
一方、共通配列である事(偽陰性の回避)に重点を置いたプライマーセットは、逆にM.イントラセルラーに対する特異性が低い。
【0024】
従って、現在のところ、複数の血清型又は菌株のM.イントラセルラーのいずれかに感染しているか否かを判定する場合には、抗酸菌すべてを増幅するプライマーセットを用いてPCRを行う。そして、得られた増幅DNA断片に対し、M.イントラセルラーに特異的なプローブ配列をハイブリダイズさせて、M.イントラセルラーの検出を行うという、二段階の操作を行う必要があり、大変煩雑であった。
【0025】
本発明者は、このような状況に鑑み、上記した特許出願に係る発明をもとに、更に優れたM.イントラセルラーの検出方法を確立すべく鋭意研究を行った。
【0026】
その結果、M.イントラセルラーに特異的で、他のマイコバクテリウム属と区別して検出できる上に、M.イントラセルラーの複数の株間で高度に保存された配列領域を検出できるプライマー及びプローブを開発した。そして、この開発されたプライマーから選択された一組のプライマーセットを用いたPCRを行うだけで(上記したような二段階の検出操作は不要)、複数の血清型又は菌株(strain)のM.イントラセルラーのいずれかが存在する場合を検出することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【発明の効果】
【0027】
本発明のプライマー又は/及びプローブを用いたM.イントラセルラーの検出方法によれば、従来の菌の培養検査等により菌種を同定する方法と比較して、はるかに迅速且つ高精度に、M.イントラセルラーの検出を行うことができる。また、本発明の検出方法でM.イントラセルラーの検出を行うことにより、従来のプライマー又は/及びプローブを用いたPCR法による診断方法に比較して、診断上の偽陽性が排除可能となり、より高精度に且つ正確に、しかも特異的にM.イントラセルラーの検出及び診断を行うことができる。更に、本発明の検出方法を用いることにより、M.イントラセルラー菌体の定量を行うこともできる。
【0028】
更に、本発明のプライマーを用いたM.イントラセルラーの検出方法によれば、複数のプライマーセットを用いずに、一回の操作で複数の血清型又は菌株(strain)のM.イントラセルラーのいずれかが存在する場合を検出することが可能である。また、それにより検出操作が簡単になり、診断に要する時間も短縮されるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例2で得られた、プライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を用い、各M.イントラセルラー菌株由来の各DNA試料又はM.アビウム由来のDNA試料を鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。
図2】実施例4で得られた、Mint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を用い、18種のマイコバクテリウム属細菌由来のDNA試料及びEscherichia coli由来のDNA試料を鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。
図3】実施例6で得られた、Mint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を用い、M.イントラセルラー由来のDNA試料を鋳型として用いた、リアルタイムPCRで得られた増幅曲線である。
図4】実施例4で行ったリアルタイムPCR検出結果を示し、各PCR用DNA試料のゲノムのコピー数(x軸、対数値)に対するCt値(y軸)をプロットした検量線である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明において、M.イントラセルラー遺伝子とは、Mycobacterium intracellulareの持つ全ゲノム配列における任意の塩基配列単位(領域)をいう。Mycobacterium intracellulareの全ゲノム配列は、まだ解読されていない。
【0031】
本発明のオリゴヌクレオチドとしては、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つマイコバクテリウム・イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる(以下、「本発明のオリゴヌクレオチド」と略記する場合がある。)。
【0032】
本発明に係る配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドの例としては、例えば、(1)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、更に好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するオリゴヌクレオチド、又は(2)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列中の、連続する10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは18塩基以上を含有することを特徴とするオリゴヌクレオチド等が挙げられる。
【0033】
本発明に係る配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の全部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0034】
配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。好ましくは配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列中の、連続する10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは18塩基以上を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0035】
配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列の全部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0036】
配列番号1で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号16〜23又は配列番号92〜95のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0037】
配列番号2で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号24〜27又は配列番号96〜97のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0038】
配列番号3で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号28〜33又は配列番号98〜100のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0039】
配列番号4で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号34〜35又は配列番号101のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0040】
配列番号5で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号36〜39又は配列番号102〜103のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0041】
配列番号6で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号40〜47又は配列番号104〜107のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0042】
配列番号7で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号48〜53又は配列番号108〜110のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0043】
配列番号8で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号54〜57又は配列番号111〜112のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0044】
配列番号9で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号58〜63又は配列番号113〜115のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0045】
配列番号10で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号64〜69又は配列番号116〜118のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0046】
配列番号11で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号70〜73又は配列番号119〜120のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0047】
配列番号12で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号74〜77又は配列番号121〜122のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0048】
配列番号13で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号78〜81又は配列番号123〜124のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0049】
配列番号14で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号82〜87又は配列番号125〜127のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0050】
配列番号15で表される塩基配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号88〜91又は配列番号128〜129のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するものが挙げられる。
【0051】
本発明に係る、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドとしては、例えば本発明の配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする塩基配列の、一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチド等が挙げられる。
【0052】
上記の、本発明の配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする塩基配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドとは、具体的には、本発明の配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、ハイストリンジェントな条件又はストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列の、一部若しくは全部を有するオリゴヌクレオチド等が挙げられる。
【0053】
尚、ここでいう「ハイストリンジェントな条件」とは、具体的には例えば「50%ホルムアミド中で42〜70℃で、好ましくは60〜70℃でのハイブリダイゼーション、その後0.2〜2×SSC、0.1% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中で25〜70℃で洗浄」という条件である。
【0054】
また、「ストリンジェントな条件」とは、具体的には例えば「6×SSC又はこれと同等の塩濃度のハイブリダイゼーション溶液中、50〜70℃の温度の条件下で16時間ハイブリダイゼーションを行い、6×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液等で必要に応じて予備洗浄を行った後、1×SSC又はこれと同等の塩濃度の溶液等で洗浄」という条件である。
【0055】
本発明に係る配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の、一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドの例としては、例えば、(1)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、更に好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するオリゴヌクレオチド、又は(2)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列中の、連続する10塩基以上、好ましくは15以上、より好ましくは20塩基以上を含有することを特徴とするオリゴヌクレオチド、等が挙げられる。
【0056】
本発明に係る配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の全部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0057】
配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。好ましくは、配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列中の、連続する10塩基以上、好ましくは15塩基以上、更に好ましくは18塩基以上を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0058】
配列番号16〜配列番号129のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の全部を含有するオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列からなるオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0059】
本発明に係るM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとは、上記した、M.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイストリンジェントな条件又はストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有するオリゴヌクレオチド等が挙げられる。そのハイストリンジェントな条件及びストリンジェントな条件は、上記した通りである。
【0060】
尚、本発明のオリゴヌクレオチドはデオキシリボ核酸(DNA)でもリボ核酸(RNA)でもよい。リボ核酸の場合はチミジン残基(T)をウリジン残基(U)と読み替えることは言うまでもない。また合成に際して任意の位置のTをUに変えて合成を行なって得られた、ウリジン残基を含むDNAであってもよい。同様に任意の位置のUをTに変えたチミジン残基を含むRNAであってもよい。また、一つ若しくは複数のヌクレオチドが欠失、挿入或いは置換されていてもよい。一つ若しくは複数のヌクレオチドがイノシン(I)のような修飾ヌクレオチドであってもよい。
【0061】
本発明のオリゴヌクレオチドを得る方法としては、特に限定されないが、例えば自体公知の化学合成法により調製する方法が挙げられる。この方法では、ベクター等を用いる遺伝子操作法によりオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを得る方法(クローン化法)に比べ、容易、大量且つ安価に一定品質のオリゴヌクレオチドを得ることが可能である。
【0062】
例えば、DNAの合成に通常行われている、DNAシンセサイザーを用い、通常のホスホアミダイト法にてオリゴヌクレオチドを合成し、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを用いる常法により精製すれば、目的とする本発明のオリゴヌクレオチドを得ることができる。
【0063】
また、オリゴヌクレオチドの合成を業者に委託して、業者から購入しても良い。
【0064】
本発明の目的を達成し得るオリゴヌクレオチドを探索(スクリーニング)する手段としては、FEMS Microbiology Letters 166: 63-70, 1998 あるいはSystematic and Applied Microbiology 24: 109-112, 2001などに示されているサブトラクション法がある。本法は、標的であるゲノムDNA由来フラグメント群から、区別したい生物種由来のゲノムDNA由来フラグメント群と反応したものを除いて、候補配列を濃縮する方法である。
【0065】
また、標的であるゲノムDNA及び区別したい生物種由来のゲノムDNAからの増幅産物のディファレンシャルディスプレイを作成するといったアプローチがある。すなわち任意にプライムされたポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)を利用する方法等がある(特開平11-155589号公報)。
【0066】
更に、いわゆるマイクロアレイ法と呼ばれる方法を利用することによっても、本発明の目的を達成し得るオリゴヌクレオチドを探索することができるし、本発明のオリゴヌクレオチドを得ることができる。その方法の概略は以下の通りである。
【0067】
すなわち、例えばM.イントラセルラー由来ゲノムDNAのショットガン・クローンを作成し、得られたショットガン・クローンからDNAを精製する。次いで、そのショットガン・クローン由来の精製DNAを、PCR等により増幅させた後、スライドガラス上に配置させて、常法によりマイクロアレイを作製する。別に、検出対象であるM.イントラセルラー由来のゲノムDNAを蛍光標識(標識1)したDNAフラグメント群を作製する。一方、区別したい生物種由来のゲノムDNAを蛍光標識(標識2)したDNAフラグメント群を別途に作製する。そして、標識1及び標識2の各々を同一反応系で用いる競合ハイブリダイゼーション法を行い、マイクロアレイ上の精製DNAと、標識1及び標識2との反応性(結合性)を検定する。この検定により、標的であるM.イントラセルラーのゲノムDNA由来フラグメント群(標識1)とより特異的に反応する配列候補群を、選定できる(例えば非特許文献1等)。
【0068】
以上の方法により、目的の、M.イントラセルラー遺伝子の塩基配列と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを選別することができる。
【0069】
以下に、マイクロアレイ法を用いた、本発明のオリゴヌクレオチドの選定方法の一例について詳説する。
【0070】
(1)M.イントラセルラー由来精製ゲノムDNAの調製
まず、M.イントラセルラー菌株を、常法(例えばオートクレーブ処理とガラスビーズ等を用いた菌体の粉砕処理)によって破砕処理した後、常法に従ってDNAの抽出,精製を行う。
【0071】
(2)Whole Genome Shotgun Libraryの作製
M.イントラセルラーのWhole Genome Shotgun Libraryの作製を行う方法の一例として、Venter et al., Science. 2001 Feb 16;291(5507):1304-1351 に記載のWhole Genome Shotgun法を改変した方法を、以下に説明する。
【0072】
まず、上記(1)で得られたM.イントラセルラー由来精製ゲノムDNAを、適当な緩衝液等で希釈した後、例えば終濃度20%のグリセロール存在下で、5kPa〜9kPaの圧力下、ネビュライザーを用いて、約1〜15分間処理し、DNAの断片化処理を行う。得られた画分を市販の抽出カラムを利用して精製する。
【0073】
その後、得られた画分(DNA断片。目的のDNA断片を含む。)を、常法に従いライゲーションによってベクターDNAに組み込み、組み換えDNA(M.イントラセルラーのWhole Genome Shotgun Library)を得る。
【0074】
そのために用いられるベクターDNAとしては、後で形質転換する宿主細胞が大腸菌の場合には、例えば、pBS[例えばpBSII sk+ベクター(Stratagene社)]、pQE-TRIプラスミド (Qiagen社製)、pBluescript、pET、pGEM-3Z、pGEX等のベクターが挙げられる。用いるベクターの種類によっては、ライゲーションの前に、予めDNA断片を、DNAポリメラーゼで処理して、DNA断片の末端を平滑化処理してもよい。
【0075】
次いで、得られた組み換えDNAを用いて、適当な宿主細胞を形質転換して形質転換体を得る。
【0076】
そのために用いられる宿主細胞としては例えば、大腸菌(E.coli)が挙げられ、好ましくはJM109、DH5α、TOP10等が挙げられる。この他、よりプラスミドやファージDNAの導入効率の高い、Competent Cell(コンピテントセル)を用いても良い。例えば、E. coli JM109 Competent Cells(タカラバイオ社製)等が挙げられる。
【0077】
宿主細胞の形質転換は、常法[例えば、D.M.Morrisonの方法(Method in Enzymology, 68, 326-331,1979)等]により行うことができる。また、市販のCompetent Cellを用いる場合には、その製品プロトコールに従って、形質転換を行えばよい。
【0078】
「目的のDNA断片を組み込んだ組換えDNA」が導入された形質転換体を選別する方法としては、例えば、形質転換のために用いたベクターの性質を利用する方法がある。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を含有するベクターを用いた場合にば、アンピシリンを含有する培地上で形質転換体を培養し、得られたクローンを選択することにより、「目的のDNA断片を組み込んだ組換えDNA」が導入された、形質転換体のLibrary(M.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole Genome Shotgun clone Library)が容易に得られる。
【0079】
(3)マイクロアレイ作製
続いて、下記の方法でマイクロアレイを作製する。
【0080】
すなわち、上記(2)で得られた形質転換体のLibrary(M.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole Genome Shotgun clone Library)から常法に従いDNAを精製する。
【0081】
精製したDNAを鋳型として用い、適当なプライマー[市販のプライマーで良い。例えばM13 Primer M1(タカラバイオ社製)、M13 Primer RV (タカラバイオ社製)等]を用い、常法に従ってPCRを行った後、得られたPCR増幅産物を精製する。次いで常法に従って、精製したPCR増幅産物をマイクロアレイ用スライドガラス上にスポットする。これにUV照射(60mJ/cm2〜300mJ/cm2、通常150mJ/cm2)を行ない、スライドガラス上にPCR増幅産物(目的の、M.イントラセルラー由来ゲノムDNAから断片化された塩基配列を有する。)を固定することにより、マイクロアレイを作製する。
【0082】
(4)標的ゲノムDNAの蛍光色素標識
(i)標的ゲノムDNAの蛍光色素標識
例えば、ヘキシルアミノ-UTPを用いた間接標識法等の常法により、例えば上記(1)の方法で得られたM.イントラセルラー由来精製ゲノムDNAを標識物質で標識する。また、対照用ゲノムDNA(M.イントラセルラーと区別したい生物種由来のゲノムDNA)を、上記のM.イントラセルラー由来精製ゲノムDNAを標識する標識物質とは異なる標識物質で標識する。
【0083】
上記のDNAの標識に用いられる標識物質としては、通常この分野で用いられる標識物質が挙げられるが、汎用されている標識物質としては、Alexa555(インビトロジェン社商品名)、Alexa647(インビトロジェン社商品名)、Cy3(アマシャムバイオサイエンス株式会社商品名)、Cy5(アマシャムバイオサイエンス株式会社商品名)等が挙げられる。
【0084】
上記したような標識物質を用いて上記DNAを標識する方法としては、例えばDeRisi研究室(www.microarrays.org)が発表したプロトコールを改変した間接標識法が挙げられる。この方法は、まず酵素伸長反応を行い、アミノ基をもつαUTPを分子内に取り込ませたDNA鎖を作製する。そしてそのDNA鎖のアミノ基に蛍光色素(サクシニイミド体)を化学的に結合させることによって、DNAを標識するという方法である。この方法でDNAを標識するまでのDNA鎖(αUTP取り込み)の調製には、BioPrime DNA labeling system(インビトロジェン社製)等の市販キットを用いてもよい。
【0085】
以下に、Alexa647やAlexa555を用いた、上記方法によるDNAの標識方法の一例を示す。
【0086】
すなわち、まず、出発材料(M.イントラセルラー由来精製ゲノムDNA、又は対照用ゲノムDNA)を、常法に従い熱変性処理する。次いで、熱変性処理物にDTT、dATP/dCTP/dGTPの混合液、dTTP、Ha-dUTP、Klenow酵素を添加し、37℃で3時間程度の伸長反応を行う。得られた反応産物を限外ろ過カラムにのせ14000rpm で4分程度遠心した後、濃縮液をマイクロチューブに回収して、真空乾燥遠心機等を用いて乾燥させる。次に、乾燥させた上記反応産物にNaHCO3 を加えて混合し、2〜3 分常温で静置する。
【0087】
別にAlexa555(又はAlexa647)をDMSO に溶かしたものを調製(dye Solution Alexa555、dye Solution Alexa647)する。このdye Solution Alexa555を、対照用ゲノムDNAを用いて得られた上記反応産物に加える。また、dye Solution Alexa647をM.イントラセルラー由来ゲノムDNAを用いて得られた上記反応産物に加える。それぞれの反応産物を40℃で60 分程度、遮光下にインキュベートする。さらに、それぞれの反応産物に4M NH2OHを加え、攪拌後に15 分程度、遮光下にインキュベートして、それぞれのゲノムDNAの標識産物を得る。その後、得られた標識産物を、限外ろ過カラムにのせ14000rpm で4 分程度遠心した後、濃縮液をマイクロチューブに回収して、真空乾燥遠心機で乾燥させる。
【0088】
(ii)標識産物の断片化工程
上記(4)i)で得られた乾燥状態の各ゲノムDNAの標識産物に対して、終濃度が0.04M Tris-acetate(pH8.1)、0.1M 酢酸カリウム、0.03M酢酸マグネシウム四水和物の組成の溶液を調製したものを加え、懸濁混和させる。94℃で15 分間程度加熱処理し、100base〜300 base の、各ゲノムDNAの標識産物を断片化した断片化物を得る(それぞれ、Alexa555標識産物、Alexa647標識産物とする。)。
【0089】
得られたAlexa555標識産物とAlexa647標識産物の各々を、限外ろ過カラムにのせ、14000rpm で4 分程度遠心した後、各濃縮液を同一のマイクロチューブに回収して、真空乾燥遠心機等で完全に乾燥させる。
【0090】
次いで、このマイクロチューブに、salmon sperm DNAと ArrayHyb Hybridization bufferを加えて調製した試薬溶液を加え、上記で得た乾燥物を懸濁混和後、95℃で5 分程度インキュベートし、Alexa555・Alexa647標識産物混合溶液を調製する。
【0091】
(5)マイクロアレイ・ハイブリダイゼーション
上記(3)の工程で得られた、M.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole GenomeShotgun clone Libraryのマイクロアレイ上に、上記(4)(ii)で調製したAlexa555・Alexa647標識産物混合溶液をのせ、約65℃で8 時間以上、遮光下に反応させて、ハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイを洗浄し、800prm で約5 分間遠心を行って乾燥させる。
【0092】
(6)蛍光強度の測定;シグナル検出から数量化まで
蛍光読み取りスキャナーを用いて、上記(5)で得られたマイクロアレイ・ハイブリダイゼーション処理したマイクロアレイ上の蛍光強度を測定する。この際、Alexa555及びAlexa647の、2チャンネルでの蛍光強度を測定して、蛍光検出データを得る。
【0093】
蛍光シグナルの数量化を行うには、市販のDNAチップ発現イメージ解析ソフトウェア等を用いて行えばよい。そして、ソフトの操作手順に従って、スポット自動認識、バックグラウンド計算、蛍光強度比の正規化を行えば良い。
【0094】
ハイブリダイゼーションに用いたAlexa647標識産物は、M.イントラセルラー由来ゲノムDNAを標識したDNAの断片(fragment)群であり、Alexa555標識産物は対照用ゲノムDNAを標識したDNAの断片(fragment)群である。そのため、マイクロアレイ上のあるスポットのAlexa555とAlexa647のそれぞれの蛍光強度を測定した結果、Alexa555に対するAlexa647の蛍光強度比が高い場合には、そのスポットのDNA断片(PCR産物)は、Alexa647標識産物、すなわちM.イントラセルラー由来ゲノムDNAとより強くハイブリダイズした、ということを示す。そして、そのDNA断片(PCR産物)は、M.イントラセルラーに対する特異性が高いと判断される。
【0095】
一方、あるスポットのAlexa555とAlexa647のそれぞれの蛍光強度を測定した結果、Alexa555に対するAlexa647の蛍光強度比が低い場合には、そのスポットのDNA断片(PCR産物)は、M.イントラセルラー由来ゲノムDNAに対する特異性が低く、Alexa555標識産物、すなわち対照用ゲノムDNAとの交叉反応が観察されたことを示す。この場合と、Alexa555及びAlexa647の蛍光の強さが同程度だった場合と、Alexa555及びAlexa647のどちらの蛍光も検出されなかった場合には、そのスポットのDNA断片(PCR増幅産物)は、M.イントラセルラーに対する特異性が低いと判断される。
【0096】
そこで、例えばマイクロアレイ上で検出されたAlexa555/ Alexa647の蛍光強度比(Ratio)を基に、散布図(スキャッタープロット)を作成する等して、結果を解析する。そして、M.イントラセルラーに特異的な配列のスクリーニングを行う。
【0097】
スクリーニングの結果、M.イントラセルラー特異的なシグナルが得られた(Alexa647の蛍光強度が強い場合)スポットを選択し、候補とする。
【0098】
尚、選択されたスポットの中から、更にM.イントラセルラー特異的検出のための候補配列を選択するために、二次スクリーニングを行っても良い。
【0099】
例えば、(a)複数のM.イントラセルラー菌株由来のゲノムDNAを、上記と同様の方法で標識物質で標識し、断片化する。
【0100】
(b)同様に、対照として区別したい生物種由来のゲノムDNAを、M.イントラセルラー菌株とは異なる標識物質で標識し、断片化する。
【0101】
それぞれのM.イントラセルラー菌株について、それぞれこの(a)と(b)の混合溶液、すなわち、該M.イントラセルラー菌株由来ゲノムDNAの標識産物の断片化物と対照菌株由来ゲノムDNAの標識産物の断片化物の混合物を得る。
【0102】
それぞれの標識断片の混合物を用いて、一次スクリーニングで選択した候補スポットが乗ったマイクロアレイに対し、競合ハイブリダイゼーションを行う。そして、複数のM.イントラセルラー菌株由来ゲノムDNAの標識断片と重複して反応したスポットを選択する。このスポットのDNA断片を、最終的な候補クローンと決定する。
【0103】
次いで、通常この分野で用いられているシークエンサー、例えばABI PRISM310キャピラリーシーケンサー(アプライドバイオ社)等の機器を利用し、常法に従い、得られた候補クローンの塩基配列決定を行う。
【0104】
本発明のM.イントラセルラー検出用プライマーとしては、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有するプライマーが挙げられる(以下、本発明のプライマーと記載する場合がある。)。
【0105】
また、本発明のプライマーは、PCR(リアルタイムPCRを含む)等の核酸増幅反応、核酸ハイブリダイゼーション等の条件に合わせて、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチド、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドの中から、解離温度(Tm値)などを考慮して、適当な領域の適当な長さを選択して設計したものでよい。
【0106】
好ましくは、プライマー配列としての特異性を維持するために必要な塩基数と考えられている10〜50塩基、より好ましくは10〜35塩基、更に好ましくは18〜25塩基、特に好ましくは18〜22塩基の長さを有しているオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0107】
プライマーを設計するには、プライマー設計のために一般に用いられているソフトや、例えばプライマーデザイン用のWebツールPrimer3 (Whitehead Institute for Biomedical Research.)等を用ればよい。
【0108】
本発明のプライマーに用いられる、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(本発明のオリゴヌクレオチド)の具体例は、上記の本発明のオリゴヌクレオチドの説明において記載したものと同じである。
【0109】
本発明のプライマーの具体例としては、例えば配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0110】
本発明のプライマーの好ましい具体例としては、例えば配列番号16〜91のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜91のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0111】
本発明のプライマーのより好ましい具体例としては、例えば配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、54〜59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、54〜59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0112】
本発明のプライマーの更に好ましい具体例としては、例えば配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、58、59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89のいずれかで表される塩基配列からなり、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、58、59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列からなり、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0113】
尚、配列番号16〜23で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号1で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0114】
配列番号24〜27で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号2で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0115】
配列番号28〜33で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号3で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0116】
配列番号34〜35で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号4で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0117】
配列番号36〜39で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号5で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0118】
配列番号40〜47で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号6で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0119】
配列番号48〜53で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号7で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0120】
配列番号54〜57で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号8で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0121】
配列番号58〜63で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号9で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0122】
配列番号64〜69で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号10で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0123】
配列番号70〜73で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号11で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0124】
配列番号74〜77で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号12で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0125】
配列番号78〜81で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号13で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0126】
配列番号82〜87で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号14で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0127】
配列番号88〜91で表される塩基配列を含有するプライマーは、配列番号15で表される塩基配列をもとに設計されたものである。
【0128】
配列番号1で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号16〜23で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号16(Mint 02_T7pa Fw1):266位〜287位、
配列番号17(Mint 02_T7pa Rv1):361位〜381位、
配列番号18(Mint 02_T3pa Fw1):173位〜190位、
配列番号19(Mint 02_T3pa Rv1):324位〜341位、
配列番号20(Mint 02_con Fw1):425位〜443位、
配列番号21(Mint 02_con Rv1):570位〜589位、
配列番号22(Mint 02_con Fw2):63位〜80位、
配列番号23(Mint 02_con Rv2):245位〜262位。
【0129】
配列番号2で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号24〜27で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号24(Mint 04_con Fw1):40位〜59位。
配列番号25(Mint 04_con Rv1):187〜205位、
配列番号26(Mint 04_T3pa Fw1):394位〜412位、
配列番号27(Mint 04_T3pa Rv1):519位〜538位。
【0130】
配列番号3で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号28〜33で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号28(Mint 06_T3pa Fw1):458位〜475位、
配列番号29(Mint 06_T3pa Rv1):608位〜627位、
配列番号30(Mint 06_con Fw1):260位〜278位、
配列番号31(Mint 06_con Rv1):389位〜408位、
配列番号32(Mint 06_con Fw3):153位〜170位、
配列番号33(Mint 06_con Rv3):301位〜318位。
【0131】
配列番号4で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号34〜35で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号34(Mint 17_T3pa Fw1):118位〜137位、
配列番号35(Mint 17_T3pa Rv1):282位〜299位。
【0132】
また、配列番号5で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号36〜39で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号36(Mint 07_FWpa Fw1):106位〜123位、
配列番号37(Mint 07_FWpa Rv1):202位〜220位、
配列番号38(Mint 07_con Fw1):362位〜381位、
配列番号39(Mint 07_con Rv1):500位〜518位。
【0133】
配列番号6で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号40〜47で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号40(Mint 10_FWpa Fw1):496位〜513位。
配列番号41(Mint 10_FWpa Rv1):613位〜632位、
配列番号42(Mint 10_con Fw2):750位〜769位、
配列番号43(Mint 10_con Rv2):858位〜877位、
配列番号44(Mint 10_RVpa Fw1):184位〜201位、
配列番号45(Mint 10_RVpa Rv1):336位〜353位、
配列番号46(Mint 10_con Fw1):141位〜159位、
配列番号47(Mint 10_con Rv1):312位〜329位。
【0134】
配列番号7で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号48〜53で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号48(Mint 14_T3pa Fw1):141位〜160位、
配列番号49(Mint 14_T3pa Rv1):249位〜266位、
配列番号50(Mint 14_FWpa Fw1):174位〜192位、
配列番号51(Mint 14_FWpa Rv1):304位〜323位、
配列番号52(Mint 14_con Fw1):401位〜421位、
配列番号53(Mint 14_con Rv1):513位〜530位。
【0135】
配列番号8で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号54〜57で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号54(Mint 15_RVpa Fw1):174位〜193位、
配列番号55(Mint 15_RVpa Rv1):294位〜312位、
配列番号56(Mint 15_con Fw1):374位〜391位、
配列番号57(Mint 15_con Rv1):522位〜541位。
【0136】
配列番号9で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号58〜63で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号58(Mint 19_T3pa Fw1):853位〜872位。
配列番号59(Mint 19_T3pa Rv1):972位〜990位、
配列番号60(Mint 19_FWpa Fw1):183位〜200位、
配列番号61(Mint 19_FWpa Rv1):336位〜354位、
配列番号62(Mint 19_con Fw1):512位〜530位、
配列番号63(Mint 19_con Rv1):642位〜659位。
【0137】
配列番号10で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号64〜69で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号64(Mint 21_FWpa Fw1):902位〜921位、
配列番号65(Mint 21_FWpa Rv1):1015位〜1032位、
配列番号66(Mint 21_T3pa Fw1):178位〜197位、
配列番号67(Mint 21_T3pa Rv1):271位〜290位、
配列番号68(Mint 21_con Fw1):425位〜443位、
配列番号69(Mint 21_con Rv1):589位〜608位。
【0138】
配列番号11で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号70〜73で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号70(Mint 23_con Fw1):360位〜379位、
配列番号71(Mint 23_con Rv1):509位〜528位、
配列番号72(Mint 23_FWpa Fw1):707位〜724位、
配列番号73(Mint 23_FWpa Rv1):844位〜862位。
【0139】
配列番号12で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号74〜77で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号74(Mint 01con Fw1):129位〜147位、
配列番号75(Mint 01con Rv1):291位〜313位、
配列番号76(Mint 01_T7pa Fw1):6位〜23、
配列番号77(Mint 01_T7pa Rv1):170位〜189位。
【0140】
また、配列番号13で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号78〜81で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号78(Mint 03_con Fw1):405位〜424位、
配列番号79(Mint 03_con Rv1):523位〜540位、
配列番号80(Mint 03_con Fw2):142位〜161位、
配列番号81(Mint 03_con Rv2):270位〜288位。
【0141】
配列番号14で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号82〜87で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号82(Mint 12_FWpa Fw1):189位〜207位、
配列番号83(Mint 12_FWpa Rv1):343位〜362位、
配列番号84(Mint 12_RVpa Fw1):634位〜652位、
配列番号85(Mint 12_RVpa Rv1):716位〜734位、
配列番号86(Mint 12_con Fw1):296位〜315位、
配列番号87(Mint 12_con Rv1):468位〜485位。
【0142】
配列番号15で表される塩基配列上の、プライマーとして設計した配列番号88〜91で表される塩基配列の存在位置は、それぞれ次の通りである。
配列番号88(Mint 18con Fw1):69位〜89位、
配列番号89(Mint 18con Rv1):225位〜242位、
配列番号90(Mint 18con Fw2):354位〜373位、
配列番号91(Mint 18con Rv2):440位〜457位。
【0143】
尚、上記において、各配列番号の後の( )内に、本発明で命名したプライマーの名称を示す。
【0144】
本発明のプライマーを得る方法は、上記の本発明のヌクレオチドを得る方法において記載した通りである。
【0145】
また、本発明のプライマーは、標識物質で標識されていてもよい。
【0146】
本発明のプライマーを標識物質で標識するために用いられる標識物質としては、放射性同位体や酵素、蛍光物質、発光物質、ビオチンなど公知の標識物質であれば何れも用いることができる。
【0147】
例えば、放射性同位体としては32P,33P,35S等、酵素としてはアルカリホスファターゼ,西洋ワサビペルオキシダーゼ等、蛍光物質としてはAlexa555、Alexa647(インビトロジェン社)、Cyanine Dye系のCy3,Cy5(アマシャムバイオサイエンス株式会社)、フルオレセイン等が、発光物質としてはAcridinium Esterを含む化学発光試薬等が挙げられる。
【0148】
本発明のプライマーを放射性同位体により標識する方法としては、プライマーを合成する際に、放射性同位体で標識されたヌクレオチドを取り込ませることによって、プライマーを標識する方法や、プライマーを合成した後、放射性同位体で標識する方法等が挙げられる。具体的には、一般によく用いられているランダムプライマー法、ニックトランスレーション法、T4ポリヌクレオチド キナーゼによる5'−末端標識法、ターミナルデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを用いた3'−末端標識法、RNAラベリング法等が挙げられる。
【0149】
本発明のプライマーを標識物質で標識する方法としては、この分野で通常行われているオリゴヌクレオチドの標識方法が挙げられ、標識物質毎に適宜方法を選択すればよい。
【0150】
例えば、本発明のプライマーを酵素で標識する方法としては、アルカリホスファターゼ,西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素分子を、標識するプライマーに直接共有結合させる等の、この分野における常法である直接標識法が挙げられる。
【0151】
本発明のプライマーを蛍光物質で標識する方法としては、例えばフルオレセイン標識したヌクレオチドをこの分野における常法の標識手法によりプライマーに取り込ませる方法が挙げられる。また、リンカーアームを有するヌクレオチドを、配列中のオリゴヌクレオチドと置換する方法(例えば、Nucleic Acids Res.,1986年, 第14巻, p.6115参照)でもヌクレオチドを蛍光物質で標識することができる。その場合、5位にリンカーアームを有するウリジンを特開昭60-500717 号公報に開示された合成法によりデオキシウリジンから化学合成し、上記オリゴヌクレオチド鎖に蛍光物質を導入する方法もある。
【0152】
本発明のプライマーを発光物質で標識する方法及びビオチンで標識する方法としては、通常この分野で行われているヌクレオチドを発光標識又はビオチン標識する常法が挙げられる。
【0153】
本発明のM.イントラセルラー検出用プローブとしては、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つマイコバクテリウム・イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有するプローブが挙げられる(以下、本発明のプローブと記載する場合がある。)。
【0154】
本発明のプローブは、PCR(リアルタイムPCRを含む)等の核酸増幅反応、核酸ハイブリダイゼーション等の条件に合わせて、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチド、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドから、解離温度(Tm値)などを考慮して、適当な領域の適当な長さを選択して設計したものでよい。但し、プローブに十分な特異性を持たせたいのならば、プローブ配列としての特異性を維持するために必要な塩基数を考慮して設計することが望ましい。
【0155】
例えば、核酸ハイブリダイゼーション法(例えばサザン・ハイブリダイゼーション等)等に用いるプローブとしては、10〜700塩基、好ましくは100〜600塩基、より好ましくは100〜500塩基、更に好ましくは200〜500塩基の長さを有しているものが挙げられる。
【0156】
また、例えばリアルタイムPCR増幅系(例えばTaqManTM法、Molecular Beacon法等)等に用いるプローブとしては、10〜50塩基、好ましくは15〜40塩基、更に好ましくは20〜30塩基の長さを有しているものが挙げられる。
【0157】
本発明のプローブに用いられる、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(本発明のオリゴヌクレオチド)の具体例は、上記の本発明のオリゴヌクレオチドの説明において記載したものと同じである。
【0158】
本発明のプローブの具体例としては、例えば、配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号16〜129のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0159】
本発明のプローブの好ましい具体例としては、例えば、配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、54〜59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89、92、93、96、98、101、102、104、105、108、111、112、113、116、119、121、123、125、128のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、54〜59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89、92、93、96、98、101、102、104、105、108、111、112、113、116、119、121、123、125、128のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0160】
本発明のプローブのより好ましい具体例としては、例えば、配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、58〜59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89、92、93、96、98、101、102、104、105、108、113、116、119、121、123、125、128のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又は配列番号16〜19、24、25、28、29、34〜37、40〜43、48、49、58〜59、64、65、70、71、74、75、78、79、82、83、88、89、92、93、96、98、101、102、104、105、108、113、116、119、121、123、125、128のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0161】
尚、配列番号92〜129で表される塩基配列又は配列番号92〜129で表される塩基配列に対する相補配列は、本発明のプライマーを用いたPCRにより増幅されるオリゴヌクレオチド又はそれに相補的なオリゴヌクレオチドの塩基配列である。フォワードプライマーとリバースプライマーの組合せと、それを用いたPCRにより増幅される塩基配列の配列番号を表1に併せて示す。例えば、配列番号92で表される塩基配列は、配列番号16で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号17で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用いたPCRにより増幅されるオリゴヌクレオチドの塩基配列であることを示す。
【0162】
【表1】
【0163】
本発明のプローブを得る方法は、上記の本発明のヌクレオチドを得る方法において記載した通りである。
【0164】
本発明のプローブは、標識物質で標識されていてもよい。
【0165】
本発明のプローブを標識物質で標識するために用いられる標識物質としては、放射性同位体や酵素、蛍光物質、発光物質、ビオチンなど公知の標識物質であれば何れも用いることができる。
【0166】
本発明のプローブを標識するために用いられる標識物質の具体例及び標識方法は、本発明のプライマーの標識方法の説明において記載した通りである。
【0167】
また、後述するリアルタイムPCRによる検出法において用いられる標識プローブとしては、本発明のプローブを、リアルタイムPCR法において通常用いられている標識物質で標識したものが挙げられる。例えば、5'末端がレポーター蛍光物質[カルボキシフルオレセイン(FAM)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、テトラクロロフルオレセイン(TET)等]で標識され、3'末端がクエンチャー色素[例えばカルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)等の蛍光物質、Black Hole Quencher色素(BHQ),4-((4-(dimethylamino) phenyl)azo)benzoic acid (DABCYL)等の非蛍光物質]で標識された本発明のプローブが挙げられる。
【0168】
後述するTaqManTMリアルタイムPCRによる検出法においても、上記した標識プローブを用いることができる。
【0169】
本発明に係るM.イントラセルラーの検出に用いられる試料(被検試料)としては、喀痰、血液、咽頭粘液、胃液、気管支洗浄液、経気管支採取物、胸水などの穿刺液、尿、膿等の各種臨床材料が挙げられる。また、検体から単離、培養された培養菌体、これらより単離、精製された核酸、又は核酸増幅検出系等で増幅された核酸でもよい。
【0170】
上記試料からDNAを抽出・精製するには、検体からの抗酸菌(結核菌)のDNA抽出に用いられる常法に従って行えばよい。
【0171】
まず、試料中の菌体の細胞壁を破壊する必要がある。その方法としては、例えば菌体を試料とする場合には、例えばSDS等の界面活性剤や、グアニジンチオシアネート(GTC)等の蛋白変性剤で菌体を処理して結核菌等の抗酸菌の膜構造を破壊する方法、菌体をガラスビーズ等によって物理的に破砕する方法等が用いられる。
【0172】
喀痰を検体として用いる場合には、まず前処理として、米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、略称CDC)で推奨しているNALC (N-acetyl-L-cysteine) -NaOH法(Kent PT, Kubica GP, Pubric Health Mycobacteriology, A Guide for the Level III Laboratory, U.S.Department of Health and Human Services, Public Health Service, Center for Disease Control, Atlanta, U.S.A., 1985年, p.31-55)による検体の均質化を行うことが望ましい。
【0173】
菌体の細胞壁を破壊した後、この分野で一般的なDNAの調製法[フェノール・クロロホルム抽出、エタノール沈殿法、イソプロパノールを用いて沈殿させる方法等(R. Boom, C. J. A. SOL, M. M. M. SALIMANS, C L. JANSEN, P. M. E. WERTHEIM-van DILLEN, J. VAN DER NOORDAA, Rapid and Simple Method for Purification of Nucleic Acids, J. Clin. Microbiol., 1990, Mar;28(3), pp.495-503)]によりDNAの抽出及び精製を行えばよい。
【0174】
DNAの抽出・精製には、そのための様々なキットが市販されているので、それを用いてもよいし、この分野における常法(例えば、フェノール・クロロホルム抽出法、エタノールやイソプロパノール等を用いて沈殿させる方法等)に従って行ってもよい。例えば(株)キアゲン製イオン交換樹脂タイプ DNA抽出精製キットGenomic-tip等を用いてDNAの抽出、精製を行えばよい。
【0175】
検体から単離、培養された培養菌体を試料として用いる場合を例にとって示すと、次の通りである。
【0176】
例えば小川培地上のコロニーを採取し、滅菌蒸留水に懸濁、遠心分離して菌体を集めた後、蒸留水に再懸濁する。次いで菌体の懸濁液をオートクレーブ処理した後、菌体の粉砕処理(ガラスビーズによる物理的破砕等)を行い、さらに遠心分離して上清を回収する。得られた上清からDNAを抽出・精製すればよい。
【0177】
本発明に係るM.イントラセルラーの検出方法としては、配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマー又は/及びプローブとして用いる方法(本発明のオリゴヌクレオチドをプライマー又は/及びプローブとして用いる方法)が挙げられる。
【0178】
例えば、
(A)本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて核酸増幅反応を行い、得られたプライマー伸長産物を検出する方法、
(B)本発明のオリゴヌクレオチドを標識物質で標識したものを標識プローブとして用いる方法、
等が挙げられる。以下に、それぞれの方法について説明する。
【0179】
(A)本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、試料中の核酸を鋳型として用いて核酸増幅反応を行い、得られたプライマー伸長産物を検出する方法
(A)の方法において、本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、試料中の核酸を鋳型として用いて核酸増幅反応を行う方法としては、例えば、本発明のプライマーを用い、試料中の核酸を鋳型として用いて、DNAポリメラーゼ等による核酸増幅反応[例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法(Tsugunori Notomi et al., Nucleic Acid Res., 28, e63, 2000)、ICANTM(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法(臨床病理, 51(11), 1061-1067, 2003, Nov)、LCR(ligase chain reaction)法(特開平4-211399号)、SDA(strand displacement amplification)法(特開平8-19394号)]を行ってプライマー伸長させる方法が挙げられる。これによりM.イントラセルラーの塩基配列の特定の領域の配列を増幅させることができるので、得られたプライマー伸長産物を測定することにより、M.イントラセルラーを検出することができる。
【0180】
上記の核酸増幅反応を行う方法の中でも、PCR法が最も一般的な方法として挙げられ、PCR法の例としては、例えばリアルタイム増幅検出法(例えば米国特許第5210015号、米国特許第5538848号の記載参照)を用いることができる。また、リアルタイム増幅検出法による検出法の例として、例えばリアルタイムPCR検出法が挙げられる。
【0181】
リアルタイムPCR検出法の例としては、TaqManTMリアルタイムPCR法(例えば米国特許第5538848号の記載参照)、MGB Eclipse Probe System法(例えば米国特許第5,801,155号の記載参照)、Molecular Beacons Probe Technology法(例えば米国特許第5925517号の記載参照)、LUX Fluorogenic Primer法(Invitrogen Corporation)、Quenching probe-PCR(QP)法(例えば米国特許第6,492,121号の記載参照)等が挙げられる。
【0182】
PCR等の核酸増幅反応において用いられる本発明のプライマーの具体例は、上記した通りである。
【0183】
また、核酸増幅反応に用いられる、好ましいフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せとしては、上記表1で示される組合せが挙げられる。
【0184】
例えば、表1において、例えば番号1の組み合わせは、「フォワードプライマーが配列番号16で表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドで、リバースプライマーが配列番号17で表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドである組合せ。」又は「フォワードプライマーが配列番号16で表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドで、リバースプライマーが配列番号17で表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドである組合せ。」を示す。
【0185】
その中でも好ましいフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せとしては、例えば下記表2に記載の組合せが挙げられる。
【0186】
【表2】
【0187】
中でも、特に好ましい組合せとしては、組合せの番号1〜9、12〜18が挙げられる。
【0188】
上記プライマーを用いたリアルタイムPCR等の核酸増幅反応に用いられるその他のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、DNAポリメラーゼ等の試薬は、通常この分野で用いられているものを用いればよく、その条件、手法等は、本発明のプライマー及びプローブを用いる以外は、PCR法の一般的なプロトコルに従って行えばよい。
【0189】
核酸増幅反応で得られたプライマー伸長産物を検出する方法は、通常この分野で行われている常法で良く、限定されるものではない。
【0190】
例えばインターカレーター法、TaqManTMリアルタイムPCR法(例えば米国特許第5538848号の記載参照)、MGB Eclipse Probe System法(例えば米国特許第5,801,155号の記載参照)、Molecular Beacons Probe Technology法(例えば米国特許第5925517号の記載参照)、LUX Fluorogenic Primer法(Invitrogen Corporation)、Quenching probe-PCR(QP)法(例えば米国特許第6,492,121号の記載参照)や、核酸増幅反応を行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいて判定を行う方法、標識プライマーを用いた核酸増幅反応を行って得られたプライマー伸長産物の標識を測定する方法等、様々な検出法が挙げられる。
【0191】
これらのうち、一般によく用いられる方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0192】
(A−1)インターカレーター法、
(A−2)TaqManTMリアルタイムPCR法、
(A−3)核酸増幅反応を行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいて(判定を)行う方法、
(A−4)標識プライマーを用いた核酸増幅反応を行って得られたプライマー伸長産物の標識を測定する方法。
【0193】
以下に、それぞれの方法について説明する。
(A−1)インターカレーター法
公知のインターカレーターを利用してリアルタイムPCRを行う、通常のインターカレーター法が利用できる。
【0194】
例えば、本発明のプライマーと、インターカレーターを用い、通常のインターカレーター法を利用したリアルタイムPCRを行う方法が挙げられる。
【0195】
すなわち、インターカレーターは、二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を発する試薬であり、励起光を照射すると蛍光を発する。PCRによって増幅を繰り返してDNAが増えると、インターカレーターがそのDNAに取り込まれるので、プライマー伸長産物の生成量に比例して、DNAに取り込まれていく。そこで、インターカレーターに由来する蛍光強度を検出することにより、プライマー伸長産物の量を知ることができる。
【0196】
但しインターカレーターは全ての二本鎖DNAに結合するので、得られた蛍光強度の測定結果を基に、必要に応じ、融解曲線分析を行う。すなわち、PCR後にPCR反応液の温度を徐々に上げながら、インターカレーター由来の蛍光強度を測定する。最初はPCR増幅産物は二本鎖を形成しているので蛍光を発しているが、PCR反応液の温度がある一定の温度に達すると一本鎖に解離するので、インターカレーター由来の蛍光は急激に低下する。この時の温度が融解温度(Tm値)であり、プライマー伸長産物の配列に固有の値である。融解曲線のピークが、目的とする特異産物のピークか、又は非特異産物のピークかについては、このTm値から判定することができる。
【0197】
このインターカレーター法は、リアルタイムPCRの後に電気泳動を行う必要がないので、臨床検査の分野等において、迅速に判定を行う必要がある場合には、有効な方法である。
【0198】
本発明に用いられるインターカレーターとしては、通常この分野で用いられているインターカレーターであれば、何でも用いることができるが、例えばSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)、エチジウムブロマイド、フルオレン等がある。
【0199】
本発明に係る「インターカレーター法を利用したM.イントラセルラーの検出方法」の例を説明すると、以下の通りである。
【0200】
本発明のプライマーと、インターカレーター(例えばSYBRTM Green I)を用い、被検試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、Taq DNA ポリメラーゼ等のポリメラーゼを用いたリアルタイムPCRを行う。そして上記した温度を上げる方法で、プライマー伸長産物の増幅量と相関してインターカレーションするインターカレーター(SYBRTM Green I)由来の蛍光強度を測定する。
【0201】
次いで、横軸をプライマー伸長産物(二本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の1次微分(変化量)をとった融解曲線を作成する。これを用いて、プライマー伸長産物の融解曲線解析を行うことによって、ピークの検出を行う。そして、単一のピークが得られた場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性(すなわち、M.イントラセルラー菌、又はその遺伝子が存在する。以下同じ。)と判定される。
【0202】
また、M.イントラセルラーの判定をより正確に行うには、以下の方法が好ましい。
【0203】
すなわち、被検試料を用いて上記の測定を行い、融解曲線を作成し、ピークの検出を行う。別に、M.イントラセルラーのtype strain(基準株)を用いて上記と同様の測定を行い、融解曲線解析を行って、ピークの検出を行う。そして、被検試料を用いて得られた結果、単一のピークが得られ、かつそのピークの位置がM.イントラセルラーのtype strainを用いて得られたピークの位置と同じかそれと近い位置に出現した場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性と判定する方法である。
【0204】
尚、M.イントラセルラーのtype strainを用いて予め測定を行い、ピークの位置を確認しておけば、被検試料の測定の度に、type strainについても同様に測定を行ってピークの位置を確認する必要はない。
【0205】
また、インターカレーター法を利用した方法で得られた測定値をもとに、リアルタイムPCRにおいて行われる常法に従って、検量線を作成することもできるので、その検量線を用いて試料中にあるM.イントラセルラーのゲノムDNA量(コピー数)を得ることができる。
【0206】
検量線の作成方法及びそれを用いたM.イントラセルラーの定量方法は後記する。
【0207】
本発明に係るインターカレーターを用いたリアルタイムPCR検出法によるM.イントラセルラーの検出方法の一例として、上記した「プライマーMint 02_T7pa Fw1」と「プライマーMint 02_T7pa Rv1」を用いて、M.イントラセルラーを検出する場合を例にとって説明すると、以下の通りである。
【0208】
まず、公知の方法により、被検試料中から精製DNA試料を得る。
【0209】
別に、例えばDNAシンセサイザーを用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号16で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(Mint 02_T7pa Fw1)、及び配列番号17で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(Mint 02_T7pa Rv1)を合成する。
【0210】
上記で合成したMint 02_T7pa Fw1をフォワードプライマーとして、02_Rv1をリバースプライマーとして用い、例えば下記の通りリアルタイムPCRを行う。
【0211】
すなわち、各50〜2000nMのプライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1、インターカレーター[例えばSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)]を原液の約5000〜100000倍希釈、1.0〜4.0mM MgCl2、KCl、BSA、コール酸ナトリウム、0.005〜0.2% TritonX-100、それぞれ0.2mM程度のdATP、dCTP、dGTP、dTTP、10〜80単位/mLのポリメラーゼ(例えばTaq DNA ポリメラーゼ)を含有する10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とする。このPCR用反応液に、精製DNA試料を加え、PCR用試料とする。このPCR用試料を用い、適当なリアルタイムPCR検出装置等を用いてリアルタイムPCRを行う。反応は30〜50回サイクル繰り返し、1サイクル毎にプライマー伸長産物の増幅量に相関してインターカレーションするインターカレーター(例えばSYBRTM Green I)由来の蛍光強度を測定する。
【0212】
次いで、横軸をプライマー伸長産物(二本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成する。これを用いて、プライマー伸長産物の融解曲線解析を行い、ピークの検出を行う。そして、単一のピークが得られた場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性と判定される。
【0213】
より好ましくは、被検試料を用いた測定、融解曲線解析で得られたピークの位置が、M.イントラセルラーのtype strainを用いて上記と同様の測定、融解曲線解析で得られたピークの位置と同じかそれと近い位置に出現した場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性と判定される。
【0214】
また、対照として、M.イントラセルラー以外のマイコバクテリウム属菌由来DNAを常法により抽出・精製し、これを鋳型として用いる以外は、上記と同様の方法でリアルタイムPCRを行い、同様にSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定し、融解曲線解析を行ってもよい。この場合は、試料中にM.イントラセルラー由来の塩基配列を持つポリヌクレオチドがないので、融解曲線解析でピークは出現しないはずである。M.イントラセルラーの有無の判定をより確実にするために、上記した対照実験を一緒に行ってもよい。
【0215】
更に、検量線を作成することによって、試料中のM.イントラセルラーのゲノムDNAの数(コピー数)を得ることができる。また、その数はM.イントラセルラーの数に比例するので、試料(被検試料)中のM.イントラセルラーの数も知ることができる。
【0216】
(A−2)TaqManTMリアルタイムPCR法(TaqManTMプローブ法)
TaqManTMリアルタイムPCR法は、5'末端を例えばFAM等の蛍光色素(レポーター)で、3'末端を例えばTAMRA等のクエンチャー色素で標識した標識プローブを用いたリアルタイムPCR法で、目的の微量なDNAを高感度且つ定量的に検出する方法である(例えば米国特許第5,538,848号の記載参照)。
【0217】
すなわち、本法は、本発明のプライマーと、本発明のプローブの5'末端がレポーター蛍光色素で標識され、3'末端がクエンチャー色素で標識された標識プローブを用いて、試料中の核酸を鋳型としてPCRを行い、該標識プローブから遊離された標識物質の標識を検出する方法である。
【0218】
TaqManTMリアルタイムPCR法の原理は以下の通りである。
【0219】
この方法には、5'末端を蛍光色素(レポーター)で、3'末端をクエンチャー色素で標識した、目的遺伝子の特定領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが使用される。該プローブは、通常の状態ではクエンチャー色素によってレポーターの蛍光が抑制されている。この蛍光標識プローブを目的遺伝子に完全にハイブリダイズさせた状態で、その外側からDNAポリメラーゼを用いてPCRを行う。DNAポリメラーゼによる伸長反応が進むと、そのエキソヌクレアーゼ活性により蛍光標識プローブが5'末端から加水分解され、レポーター色素が遊離し、蛍光を発する。リアルタイムPCR法は、この蛍光強度をリアルタイムでモニタリングする方法であり、これにより、鋳型DNAの初期量を正確に定量することができる。
【0220】
本発明に係るTaqManTMリアルタイムPCR検出法に用いられるフォワードプライマー及びリバースプライマーには、本発明のプライマーが用いられる。好ましいプライマーとしては、上記したPCR法等の核酸増幅反応において用いられるものが挙げられ、その好ましい具体例及び好ましい組合せも上記した通りである。
【0221】
本発明に係るTaqManTMリアルタイムPCR検出系に用いられる5'末端を蛍光色素(レポーター)で、3'末端をクエンチャー色素で標識したプローブに用いられるプローブとしては、上記した本発明のプローブであればよい。実際には、選択したフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せでリアルタイムPCRを行った場合に得られると予測されるプライマー伸長産物の塩基配列を含有するプローブ、又は更にその配列から設計される塩基配列を含有するプローブが用いられる。
【0222】
例えば、上記した本発明のMint 02_T7pa Fw1とMint 02_T7pa Rv1のプライマーの組み合わせを用いてリアルタイムPCRを行う場合に用いられるプローブは、そのリアルタイムPCRで増幅されると予想される配列暗号92で表される塩基配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0223】
標識プローブの5’末端を標識するレポーター蛍光物質としては、カルボキシフルオレセイン(FAM)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、テトラクロロフルオレセイン(TET)、Cy5、VIC等が挙げられるが、中でもFAMがよく用いられる。
【0224】
3’末端を標識するクエンチャー色素としては、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)等の蛍光物質、Black Hole Quencher色素(例えばBHQ2),4-((4-(dimethylamino) phenyl)azo)benzoic acid (DABCYL)等の非蛍光物質が挙げられるが、中でもTAMRAがよく用いられる。
【0225】
TaqManTMリアルタイムPCR検出系に用いられるその他のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、DNAポリメラーゼ等の試薬は、通常のリアルタイムPCRで用いられているものを用いればよく、リアルタイムPCRの手法は、本発明のプライマー及びプローブを用いる以外は、リアルタイムPCRの一般的なプロトコルに従って行えばよい。
【0226】
本発明に係るTaqManTMリアルタイムPCR検出法によるM.イントラセルラーの検出方法の一例として、上記した本発明の「プライマーMint 02_T7pa Fw1」と「プライマーMint 02_T7pa Rv1」を用いて、M.イントラセルラーを検出する場合を例にとって説明すると、以下の通りである。
【0227】
まず、公知の方法により、被検試料中から精製DNA試料を得る。
【0228】
別に、例えばDNAシンセサイザーを用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号16で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(Mint 02_T7pa Fw1)、及び配列番号17で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(Mint 02_T7pa Rv1)を合成する。
【0229】
また、Mint 02_T7pa Fw1とMint 02_T7pa Rv1のプライマー対を用いたPCRで増幅されると予想される配列番号92の塩基配列から、プローブとして利用するための配列を設計し、この塩基配列のオリゴヌクレオチドを合成する。このオリゴヌクレオチドの5'末端にレポーター色素のFAMを、3’末端にレポーター消光体のTAMRAを常法により結合し、蛍光標識プローブを得る。
【0230】
上記で合成したMint 02_T7pa Fw1をフォワードプライマーとして、Mint 02_T7pa Rv1をリバースプライマーとして用い、例えば下記の通りリアルタイムPCRを行う。
【0231】
すなわち、各0.1〜2μM、好ましくは各1μMのプライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1、100〜1000nMの蛍光標識プローブ、1.0〜4.0mM MgCl2 、KCl、BSA、コール酸ナトリウム、0.005〜0.2% TritonX-100、それぞれ0.2mM程度のdATP、dCTP、dGTP、dTTP、10〜80単位/mLのTaq DNA ポリメラーゼ等のポリメラーゼを含有する10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とする。このPCR用反応液に精製DNA試料を加え、PCR用試料を得る。
【0232】
このPCR用試料を用い、適当なリアルタイムPCR検出装置等を用いてリアルタイムPCRを行う。反応は30〜50回サイクル繰り返し、1サイクル毎にレポーター色素由来の蛍光を測定する。
【0233】
この場合のM.イントラセルラー検出方法としては、レポーター色素の蛍光が測定された場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性と判定される。
【0234】
また、リアルタイムPCR法では、検量線を作成することができるので、試料中のM.イントラセルラーのゲノムDNAの数(コピー数)を得ることがでる。また、その数はM.イントラセルラーの数に比例するので、試料(被検試料)中のM.イントラセルラーの数も知ることができる。
【0235】
検量線の作成方法は、リアルタイムPCR法において通常行われている常法に従えばよい。例えば、標準としてコピー数既知のM.イントラセルラーのゲノムDNA試料を用い、希釈系列の濃度(コピー数)のPCR用DNA試料を調製する。次いで各希釈系列のPCR用DNA試料を用いて上記方法に従いリアルタイムPCRを行い、レポーター色素由来の蛍光強度を測定する。各希釈系列のPCR用DNA試料毎に、PCRの各サイクル数(x軸)に対する、測定した蛍光強度の測定値(Rn、y軸)をプロットした増幅曲線を作成する。次いで、蛍光強度が指数関数的に増幅しているRn部を選択し、Threshold line(Th)を引く。Thと各PCR用DNA試料の増幅曲線が交差した点をThreshold cycle(Ct)値とする。次いで用いた各PCR用DNA試料のコピー数の対数値(x軸)に対するCt値(y軸)をプロットし、各Ctに対して得られた近似曲線を検量線とすればよい。
【0236】
先に記載した、インターカレーター法によるリアルタイムPCRを行った場合も、得られた測定値を基に同様に検量線を作成することができる。例えば、PCRの各サイクル数(x軸)に対するインターカレーター由来の蛍光強度の測定値(Rn、y軸)をプロットした増幅曲線を作成する。次いで、上記と同じ方法でCt値を得、リアルタイムPCRに用いた各PCR用DNA試料のコピー数の対数値(x軸)に対するCt値(y軸)をプロットし、各Ctに対して得られた近似曲線を検量線とすればよい。
【0237】
試料中のM.イントラセルラーのゲノムDNAの数(コピー数)を定量するには、先ず被検試料中からDNAを分離精製した後、得られたDNA試料についてリアルタイムPCRを行い、同様に増幅曲線を作成する。検量線を作成したときのThと得られた増幅曲線が交差したCt値を得る。そのCt値を検量線に当てはめることにより、試料中のM.イントラセルラーのゲノムDNA量(コピー数)を得ることができる。
【0238】
(A−3)核酸増幅反応を行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいて(判定を)行う方法
この方法としては、例えば
「下記工程を包含することを特徴とするM.イントラセルラーの検出方法、
(i)配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマー(本発明のプライマー)として用い、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応を行う、
(ii)上記(i)で得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいてM.イントラセルラーの有無を判定する。」
が挙げられる。
【0239】
核酸増幅反応の具体例は、上記した通りである。
【0240】
電気泳動を行い、その結果に基づいて、M.イントラセルラーの有無を判定する方法としては、例えば
(A−3−1)目的とする大きさ(塩基対数)のプライマー伸長産物画分を確認することにより判定する方法、
(A−3−2)標識プローブを用いたハイブリダイゼーションにより判定する方法、
等が挙げられる。
【0241】
電気泳動法の条件、操作方法等は、この分野で通常行われている常法に従えばよい。
【0242】
以下に、(A−3−1)及び(A−3−2)の方法について説明する。
【0243】
(A−3−1)目的とする大きさ(塩基対数)のプライマー伸長産物画分を確認することにより判定する方法
例えば、まず本発明のプライマーから、適当なフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せを選択し、それを用いてPCR等の核酸増幅反応を行う。
【0244】
次いで、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。予め、核酸増幅反応に用いたフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せから、増幅されるであろうプライマー伸長産物の大きさ(塩基対数)を予測しておき、得られた電気泳動画分が予測された大きさのプライマー伸長産物に該当するか否かを、常法により確認すればよい。例えば、得られた電気泳動画分をエチジウムブロマイド等で染色して核酸種を視覚化するといった方法で、該画分を染色し、そのプライマー伸長産物の大きさ(塩基対数)を確認する等の方法が挙げられる。そして、目的とする塩基対数のプライマー伸長産物が確認された場合、被検試料はM.イントラセルラー陽性であると判定する。
【0245】
(A−3−1)の方法による具体的な判定方法としては、例えば上記の表1に記載されたフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せを用いてPCRを行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果、使用したプライマーの組合せで増幅されると予想される塩基配列のオリゴヌクレオチド、又はその塩基対数の大きさの画分が確認された場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性と判定する方法が挙げられる。
【0246】
(A−3−1)の方法の具体例を、下記表3にまとめて示す。
【0247】
すなわち、例えば下記表3における番号1の方法とは、「フォワードプライマーとして配列番号16で表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号17で表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、116塩基対の画分又は配列番号92で表される塩基配列を持つオリゴヌクレオチドの画分が確認されたものを陽性と判定する方法。」又は「フォワードプライマーとして配列番号16で表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号17で表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、116塩基対の画分又は配列番号92で表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドの画分が確認されたものを陽性と判定する方法。」である。
【0248】
【表3】
【0249】
上記表3に記載の方法の中でも、より好ましい方法としては、表3の番号1、2、5、7、10、11、13、14、17、20〜22、25、28、30、32、34,37の方法が挙げられる。
【0250】
また、上記表3に記載の方法の中でも、更に特に好ましい方法としては、表3の番号1、2、5、7、10、11、13、14、17、22、25、28、30、32、34,37の方法が挙げられる。
【0251】
(A−3−2)標識プローブを用いたハイブリダイゼーションにより判定する方法
例えば核酸増幅反応を行って得られたプライマー伸長産物について、電気泳動を行う。得られた電気泳動画分について、本発明のプローブ(核酸増幅反応に用いたフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せで増幅されると予測される塩基配列を持つ。)を標識物質で標識した標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行う。該標識プローブの標識を検出することによって、該標識プローブとハイブリダイズした画分の存在が確認された場合に、その被検試料は、M.イントラセルラー陽性と判定する方法が挙げられる。
【0252】
用いられるプローブ及びプローブを標識する標識物質の具体例、並びにプローブの標識方法は、上記した通りである。
【0253】
これらの方法の好ましい具体例を、下記表4にまとめて示す。
【0254】
例えば、表4において、番号1の方法とは、「フォワードプライマーとして配列番号16で表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号17で表される塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。次いで、得られた画分について、配列番号92で表される塩基配列の一部又は全部を含有する塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドを標識物質で標識した標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行い、該標識プローブの標識を検出することによって該標識プローブとハイブリダイズした画分が確認されたものを陽性と判定する方法。」又は「フォワードプライマーとして配列番号16で表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号17で表される塩基配列に対する相補配列を含有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。次いで、得られた画分について、配列番号92で表される塩基配列の一部又は全部を含有する塩基配列を含有するオリゴヌクレオチドを標識物質で標識した標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行い、該標識プローブの標識を検出することによって該標識プローブとハイブリダイズした画分が確認されたものを陽性と判定する方法。」である。
【0255】
【表4】
【0256】
上記表4に記載の方法の中でも、より好ましい方法としては、表3の番号1、2、5、7、10、11、13、14、17、20〜22、25、28、30、32、34,37の方法が挙げられる。
【0257】
また、上記表4に記載の方法の中でも、更に特に好ましい方法としては、表3の番号1、2、5、7、10、11、13、14、17、22、25、28、30、32、34,37の方法が挙げられる。
【0258】
(A−3)の方法による、本発明のM.イントラセルラーの検出方法の詳細を、例えばMint 02_T7pa Fw1をフォワードプライマーとして用い、Mint 02_T7pa Rv1をリバースプライマーとして用いたPCR、及び電気泳動を行った後、目的とする塩基対数のプライマー伸長産物画分を確認する方法によって検出する場合(上記の(A−3−1)の、表3・番号1の方法)を例に挙げて説明すると、以下の通りである。
【0259】
まず、公知の方法により、被検試料中から精製DNA試料を得る。
【0260】
別に、例えばDNAシンセサイザーを用いてホスホアミダイト法にて、Mint 02_T7pa Fw1(配列番号16で表される配列からなるオリゴヌクレオチド)及びMint 02_T7pa Rv1(配列番号17で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)を合成する。
【0261】
本発明のプライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を用い、PCRを行う。
【0262】
得られたPCR後の反応液を、アガロースゲル電気泳動する。次いでエチジウムブロマイド染色した後、紫外線での蛍光を検出する。また、分子量マーカーも反応液と同時に電気泳動し、相対泳動度の比較により、検出されたDNA断片の長さを算出する。フォワードプライマーとしてMint 02_T7pa Fw1、及びリバースプライマーとしてMint 02_T7pa Rv1を用いたPCRでは、M.イントラセルラーの塩基配列中の116塩基対のDNA断片(配列番号92で表される塩基配列を持つ。)が複製されると予測される(表3・番号1参照)。そこで、116塩基対の大きさの蛍光バンドが確認された場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性と判定すればよい。
【0263】
また本発明は、核酸増幅工程において、RNA転写産物を利用した検出法を適用する事ができる。例えば、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)法(特許第2650159号)、3SR(self-sustained sequence replication)法(特公平7-114718号)、TAS(transcription based amplification system)法(特表平2-500565号:国際公開WO88/10315号)、TMA(transcription mediated amplification)法(特開平11-46778号)などが挙げられる。中でも逆転写酵素及びRNAポリメラーゼの協奏的作用(逆転写酵素及びRNAポリメラーゼが協奏的に作用するような条件下で反応させる。)を利用する一定温度核酸増幅法は、測定系を自動化する場合には適した方法である。
【0264】
(A−4)標識プライマーを用いた核酸増幅反応を行い、得られたプライマー伸長産物の標識を測定する方法、
本発明のプライマーを上記した方法で標識した標識プライマーを用い、被検試料中の核酸を鋳型として用いてPCR等の核酸増幅反応を行い、得られたプライマー伸長産物の標識を検出・測定し、標識を検出できた場合には、その被検試料M.イントラセルラー陽性である、と判定する方法が挙げられる。
【0265】
この方法に用いられるフォワードプライマー及びリバースプライマーとしては、上記のPCR法において用いられるものが挙げられ、その好ましい具体例及び好ましい組合せも上記した通りである。
【0266】
上記方法の場合、核酸増幅反応を行ったのち、遊離の標識プライマーを除き、プライマー伸長産物の標識を測定し、標識を検出できた場合に、被検試料はM.イントラセルラー陽性であると判定される。
【0267】
遊離の標識プライマーを除く方法としては、核酸増幅反応を行って得られた反応物中のプライマー伸長産物を、核酸を沈殿させる常法(エタノール沈殿法、イソプロパノールを用いた沈殿法等)により沈殿させた後、沈殿しなかった遊離の標識プライマーを含有する上清を除去する方法等が挙げられる。
【0268】
また、核酸増幅反応を行って得られた反応物を適当な条件下、ゲルクロマトグラフィーで処理して、プライマー伸長産物と遊離の標識プライマーを分離する方法、電気泳動法により分離する方法等も挙げられる。
【0269】
(B)本発明のオリゴヌクレオチドを標識物質で標識したものを標識プローブとして用いる方法
更に、本発明のM.イントラセルラーの検出方法として、本発明のオリゴヌクレオチドを標識物質で標識したものを標識プローブとして用い、該標識プローブを試料中の核酸とハイブリダイゼーションさせ、遊離の標識プローブを除いた後、ハイブリダイズした複合体の標識を検出する方法が挙げられる。
【0270】
具体的には、例えば下記のような方法が挙げられる。
【0271】
(B−1)本発明のオリゴヌクレオチドを固相担体に結合させたものを捕捉プローブとして用い、被検試料中の核酸とハイブリダイゼーションさせて、試料中のM.イントラセルラー由来の核酸を固相上に固定化させる検出法(例えば、特開昭62-265999号の記載参照)。
【0272】
この方法の場合、本発明のオリゴヌクレオチドあるいは固相担体が、標識物質で標識されていてもよい。
【0273】
(B−2)標識されていない(B-1)の捕捉プローブと、本発明のプローブを標識した標識プローブを、被検試料中の核酸とハイブリダイゼーションさせて、固相担体上に補足プローブとM.イントラセルラー由来の核酸と標識プローブの複合体を形成させて、標識プローブの標識を測定するサンドイッチアッセイ(例えば、特開昭58-40099号の記載参照)を行う方法。
【0274】
(B−3)ビオチンで標識した本発明のプローブを用い、被検試料中の核酸とハイブリダイゼーション後、試料中のM.イントラセルラー由来の核酸をアビジン結合担体で捕捉する方法。
【0275】
尚、本発明のM.イントラセルラーの検出方法に用いられる試薬中には、通常この分野で用いられる試薬類、例えば緩衝剤、安定化剤、防腐剤等であって、共存する試薬等の安定性を阻害せず、PCR等の核酸増幅反応やハイブリダイゼーション反応を阻害しないものを用いることができる。また、その濃度も、通常この分野で通常用いられる濃度範囲から適宜選択すればよい。
【0276】
緩衝液の具体例を挙げると、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液等、通常のPCR等の核酸増幅反応やハイブリダイゼーション反応を実施する場合に用いられている緩衝液は全て挙げられ、そのpHも特に限定されないが、通常5〜9の範囲が好ましい。
【0277】
また、必要に応じて核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素など)、酵素に応じた基質(dNTP、rNTPなど)、また二本鎖インターカレーター(エチジウムブロマイド、SYBRTM Greenなど)あるいはFAMやTAMRA等の標識検出物質などが用いられる。
【0278】
本発明に係るM.イントラセルラー検出用試薬キットとしては、「配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマー(本発明のプライマー)又は/及びプローブ(本発明のプローブ)として含んでなるM.イントラセルラー検出用試薬キット。」が挙げられる。プライマーは標識物質で標識されたものであってもよい。その標識物質の具体例は上記した通りである。
【0279】
上記キットを構成する本発明のプライマー及び本発明のプローブの具体例は、上記した「本発明のプライマー」、「本発明のプローブ」についての説明に記載した通りである。
【0280】
本発明のプライマーは標識物質で標識されたものであってもよい。その標識物質の具体例は上記した通りである。
【0281】
本発明のプライマーを含んでなるキットには、フォワードプライマーとリバースプライマーの一組のプライマー対を含む組成も含まれる。そのプライマー対の好ましい組合せは、上記した通りである。
【0282】
また、上記キットは、更に、本発明のオリゴヌクレオチドを標識物質で標識したものを標識プローブとして含んでいてもよい。
【0283】
更に、本発明のキットとして、「配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列の一部若しくは全部、又は配列番号1〜15のいずれかで表される塩基配列に対する相補配列の一部若しくは全部を含有し、且つM.イントラセルラー遺伝子の塩基配列とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマー(本発明のプライマー)又は/及びプローブ(本発明のプローブ)として含んでなるM.イントラセルラー検出用試薬キット。」が挙げられる。該プローブは標識物質で標識されたものであってもよい。
【0284】
これらのキットを構成する構成試薬の好ましい態様及び具体例は上記した通りである。
【0285】
尚、本発明のM.イントラセルラーの検出用試薬キットには、例えば緩衝剤、安定化剤、防腐剤等であって、共存する試薬等の安定性を阻害せず、PCR等の核酸増幅反応やハイブリダイゼーション反応を阻害しないものが含まれていてもよい。また、その濃度も、通常この分野で通常用いられる濃度範囲から適宜選択すればよい。
【0286】
緩衝液の具体例を挙げると、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液等、通常のPCRやハイブリダイゼーション反応を実施する場合に用いられている緩衝液は全て挙げられ、そのpHも特に限定されないが、通常5〜9の範囲が好ましい。
【0287】
また、必要に応じて核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素など)、酵素に応じた基質(dNTP、rNTPなど)、また二本鎖インターカレーター(エチジウムブロマイド、SYBRTM Greenなど)あるいはFAMやTAMRA等の標識検出物質などを含んでいてもよい。
【0288】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0289】
尚、実施例で用いられる細菌はいずれも臨床分離株であり、培養後、コロニーの形状や従来の各種生化学的試験などによって菌種がすでに鑑別されているものである。
【実施例】
【0290】
実施例1.M.イントラセルラー由来のクローンの選択
(1)M.イントラセルラー由来DNA試料の調製
まず、M.イントラセルラーの基準株であるMycobacterium intracellulare JCM6384 (理化学研究所より分譲された。)を精製水に懸濁し、オートクレーブ処理(120℃・2気圧、20分)した。次いで、菌体を粉砕処理(直径2mmガラスビーズによる物理的破砕)した後、遠心分離し、上清を得た。得られた上清から、(株)キアゲン製のイオン交換樹脂タイプ DNA抽出精製キットGenomic-tipを用いてDNAの抽出、精製を行い、M.イントラセルラー(Mycobacterium intracellulare JCM6384)由来の精製ゲノムDNAを得た。
【0291】
得られたM.イントラセルラー由来精製ゲノムDNAを、最終400ng/μl(10mM Tris-HCl緩衝液、pH8.9)になるように調製し、それを「M.イントラセルラー由来DNA試料」として用いた。
【0292】
(2)Whole Genome Shotgun Libraryの作製
上記(1)で得られたM.イントラセルラー由来DNA試料24μgを材料として用い、以下の方法(Science. 2001 Feb 16;291(5507):1304-1351 Venter et al.に記載のWhole Genome Shotgun法を改変)で、Whole Genome Shotgun Libraryの作製を行った。
【0293】
まず、上記(1)で得られたM.イントラセルラー由来DNA試料を、終濃度20%のグリセロール存在下で、、5kPa〜9kPaの圧力下、ネビュライザー(インビトロジェン社製)を用いて約10分間処理して、M.イントラセルラー由来DNA試料を断片化した。この処理により、目的とする500〜1000bpのサイズの画分(DNA断片)を効率よく回収する事ができた。得られた分画を(株)キアゲン製の抽出カラムを利用して精製した。
【0294】
次に、DNA Blunting Kit(タカラバイオ(株)製)を用い、T4 DNA Polymeraseの5'→3'polymerase活性と3'→5'exonuclease活性を利用して、得られたDNA断片の末端を平滑化した。このDNA断片と、平滑末端処理済みpBSII sk+ベクター(Stratagene社)とでライゲーション反応を行い、DNA断片をpBSII sk+ベクター(amp)に組み込んだ組み換えDNAを作製した。
【0295】
E. coli JM109 Competent Cells(タカラバイオ(株)製)を用い、その製品プロトコールに従って、上記で得られた組み換えDNAを用いてE. coli JM109 Competent Cellsの形質転換を行った。
【0296】
得られた形質転換体を100μg/mlのアンピシリン、0.2 mM IPTG、40μg/ml X-Galを含むLB-寒天培地で培養した。白色コロニーをピックアップし、「目的のDNA断片を組み込んだ組み換えDNA」が導入された、形質転換体のLibrary(M.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole Genome Shotgun clone Library)を得た。
【0297】
(3)マイクロアレイ作製
上記(2)で得られた形質転換体のLibrary(M.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole Genome Shotgun cline Library)を用い、下記の方法でPCRを行って、スライドガラス上に固定するプローブ材料を調製した。
【0298】
まず、各1μMのプライマーM13 Primer M1(タカラバイオ(株)製)及びプライマーM13 Primer RV(タカラバイオ(株)製)、1.5mM MgCl2、80mM KCl、500μg/ml BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.1% Triton X-100(トリトンX-100、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ローム アンド ハース社商品名)、それぞれ0.2mM のdATP、dCTP、dGTP、dTTPおよびTaq DNA ポリメラーゼ((株)ニッポン・ジーン製)40単位/ml を含有する10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とした。
【0299】
上記(2)で得られた形質転換体(M.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole Genome Shotgun clone)のそれぞれから、常法に従いDNAを精製した。この精製したDNA(後で行うPCRで、鋳型として用いられる。)をPCR用反応液20μlに懸濁添加したものを調製し、PCR用試料とした。このPCR試料を用い、DNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200、MJ Research Inc.製)を使用して、下記の反応条件で30サイクル PCRを行った。
【0300】
PCR反応条件:
熱変性: 94℃、0.5分
アニーリング:55℃、1分
重合反応: 75℃、0.5分。
【0301】
得られたPCR増幅産物を精製後、固定化Buffer(終濃度3x SSC)と混合した。
【0302】
スポットされるPCR増幅産物の終濃度が300ng/μLとなるように調整し、装置内の湿度を55%に設定したタイピング用装置(GTMAS Stamp II; 日本レーザ電子社製)を使用し、スライドガラス(CMT GAPS-II; Corning社製)上に、上記で得られたPCR増幅産物をスポットした(スポット径150-250μm)。スポットが終了したスライドガラスをUVクロスリンカー(UV Stratalinker1800; Stratagene社製)に移し、150mJ/cm2のUV照射を行なって、PCR増幅産物(目的の、M.イントラセルラー由来ゲノムDNAの塩基配列を持つ。)をスライドガラス上に固定化し、マイクロアレイ(M.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole Genome Shotgun clone Libraryを材料としたマイクロアレイ、合計2000クローンを集積したもの)を作製した。
【0303】
(4)標的ゲノムDNAの蛍光色素標識
(i)標的ゲノムDNAの蛍光色素標識
BioPrime DNA labeling system(インビトロジェン社製)を利用し、標的ゲノムDNAの蛍光色素標識を行った。
【0304】
まず、上記(1)で得られたM.イントラセルラー由来精製ゲノムDNA 2μgに、製品中のrandom primer solution 20μLを混合した後、熱変性(95℃、5分間)処理を行い、サンプル溶液を得た。別に、M.アビウム(IID 585)から常法によりゲノムDNAを抽出・精製し(対照用ゲノムDNA)、同様に処理を行い、サンプル溶液を得た(対照)。
【0305】
次いで、得られたサンプル溶液それぞれに、0.1M DTT 2μl、dATP/dCTP/dGTP(各5mM)の混合液 2μl、2.5mM dTTP 0.8μl、5mM Ha-dUTP 1.6μl、Klenow酵素(40U/μL) 1μlを添加し、total volume=50μLとなるように脱イオン化滅菌水を加え、37℃で3時間の伸長反応を行った。
【0306】
マイクロコンYM-30(ミリポア社製)の限外ろ過カラムを付属の1.5ml チューブにセットし、上記で得られた反応産物をカラムにのせ、14,000rpm で4 分遠心した後、濃縮液をマイクロチューブに回収して、真空乾燥遠心機(CentriVap concentrator; LABCONCO社製)で完全に乾燥させた。
【0307】
乾燥させた上記反応産物に50mM NaHCO3 を10μl 加え混合し、2〜3 分常温で静置した。
【0308】
別に、1mg のAlexa647(インビトロジェン社製)またはAlexa555(インビトロジェン社製)を105μl のDMSO に溶かしたものを調製した(dye Solution Alexa647、 dye Solution Alexa555)。この、dye Solution Alexa647 10μl をM.イントラセルラー由来ゲノムDNAを用いて得られた上記反応産物に加え、40℃で60 分インキュベート(遮光)を行った。また、dye Solution Alexa555 10μl を対照用ゲノムDNA(M.アビウム由来)を用いて得られた上記反応産物に加え、同様に40℃で60 分インキュベート(遮光)を行った。
【0309】
さらに、インキュベート後の、それぞれの上記反応産物に、4M NH2OH(使う直前に作製する)を10μl 加え、攪拌後、15 分インキュベート(遮光)を行い、それぞれの標識産物、すなわちM.イントラセルラー由来ゲノムDNAをAlexa647で標識した標識産物、及びM.アビウム由来ゲノムDNAをAlexa555で標識した標識産物を得た。
【0310】
マイクロコンYM-30(ミリポア社製)の限外ろ過カラムを付属の1.5ml チューブにセットし、上記で得られた各ゲノムDNAの標識産物をカラムにのせ、14,000rpmで4分遠心した後、濃縮液をマイクロチューブに回収して、真空乾燥遠心機(CentriVap concentrator; LABCONCO社製)で完全に乾燥させた。
【0311】
(ii)標識産物の断片化工程
上記(4)(i)で得られた乾燥状態の各ゲノムDNAの標識産物に対して、終濃度が0.04M Tris-acetate(pH8.1)、0.1M 酢酸カリウム、0.03M酢酸マグネシウム四水和物の組成の溶液40μLを調製したものを加え、懸濁混和させた。次いで94℃で15 分間加熱処理し、100base〜300 base の、各ゲノムDNAの標識産物を断片化した生成物を得た(それぞれ、「Alexa555標識産物」、「Alexa647標識産物」とする。)。
【0312】
なお、間接標識法を利用してラベル化効率(base/dye)を調べた結果、Alexa647に関しては、約100〜200塩基にdye1分子が取り込まれることを確認している。また、Alexa555に関しては、約150塩基にdye 1分子が取り込まれることを確認している。
【0313】
得られたAlexa647標識産物及びAlexa555標識産物の各々をマイクロコンYM-10(ミリポア社製)の限外ろ過カラムにのせ、14000rpm で4 分遠心した後、濃縮液を同一のマイクロチューブに回収して、真空乾燥遠心機(CentriVap concentrator; LABCONCO社製)で完全に乾燥させた。次いで、このマイクロチューブに以下の試薬を加え、懸濁混和させ、標識産物の乾燥物を溶解させた。
【0314】
ArrayHyb Hybridization buffer(SIGMA社製);40μL
salmon sperm DNA(10mg/mL) ;0.5μL
formamide ;5μL
Total 40〜50μL
【0315】
以上の操作により、M.イントラセルラー由来ゲノムDNA Alexa647標識産物の断片化生成物と、M.アビウム由来の対照用ゲノムDNA Alexa555標識産物の断片化生成物の、Alexa555・Alexa647標識産物混合溶液が得られた。
【0316】
得られたAlexa555・Alexa647標識産物混合溶液を95℃で5 分インキュベートし、ハイブリダイゼーションまで70℃に保っておいた。
【0317】
(5)マイクロアレイ・ハイブリダイゼーション
前記(3)の工程で得られたM.イントラセルラー由来ゲノムDNAのWhole Genome Shotgun clone Libraryのマイクロアレイ(DNAチップ)上に、上記(4)(ii)で調製したAlexa555Alexa647標識産物混合溶液を全てのせ、気泡が入らないようにカバーガラスをかぶせた。これをハイブリカセットにセットし、タッパーに蒸留水で湿らせたキムタオルをひいたものの上にのせて密閉し、遮光下に65℃で8 時間以上反応させてハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイをカバーグラスごと2×SSC-0.1%SDS 溶液に室温で浸し、溶液中でマイクロアレイを静かに揺らしてカバーがラスをはずした。次いで1×SSC、0.03%SDS溶液(60℃)で10 分間洗浄、 0.2×SSC 溶液(42℃)で10 分間洗浄、0.05×SSC溶液(室温)で10 分間洗浄した後、新しい乾いたラックにマイクロアレイをすばやく移し、すぐに800prm で5 分間遠心を行って乾燥させた。
【0318】
(6)蛍光強度の測定:シグナル検出から数量化まで
蛍光読み取りスキャナー GenePix 4000B(Axon Instruments Inc.製)を用いて、上記(5)で得られた、マイクロアレイ・ハイブリダイゼーション処理したマイクロアレイ上の蛍光強度を測定した。この際、Alexa555標識産物とAlexa647標識産物の競合ハイブリダイゼーションの結果を解析するため、2チャンネル、すなわち2ch(Alexa555、Alexa647)の蛍光を検出した。
【0319】
蛍光シグナルの数量化は日立ソフト社製のDNASISTM-Array(DNAチップ発現イメージ解析ソフトウェア)を用いて行った。すなわち、ソフトの操作手順に従って、スポット自動認識、バックグラウンド計算、蛍光強度比の正規化を行った。また、信頼性限界ラインを定め、それ以下の領域のデータは扱わないようにする事で、正規化され信頼性のある蛍光強度比を求めた。
【0320】
さらに、マイクロアレイ上で検出されたAlexa555/ Alexa647の蛍光強度比(Ratio)を基に、常法に従い、散布図(スキャッタープロット)解析を行った。
【0321】
すなわち、あるマイクロアレイ上のスポットのAlexa555に対するAlexa647の蛍光強度比が高い場合には、そのスポットのDNA断片(PCR産物)は、Alexa647標識産物、即ちM.イントラセルラー由来のゲノムDNAとより強くハイブリダイズしたことを示す。他方、あるスポットのAlexa555に対するAlexa647の蛍光強度比が低い場合は、そのスポットのDNA断片は、M.イントラセルラー由来のゲノムDNAに対する特異性が低く、Alexa555標識産物、すなわちM.アビウム由来の対照用ゲノムDNAとの交叉反応が観察された(M.アビウム由来の対照用ゲノムDNAとハイブリダイズした)ことを示す。
【0322】
この方法で、マイクロアレイの全てのスポットの蛍光強度比を算出した。そして、蛍光強度が高く、且つAlexa555に対するAlexa647の蛍光強度比が高いスポットを選択した。
【0323】
(7)その他のM.イントラセルラー株(strain)を用いた二次スクリーニング
下記表5に記載のM.イントラセルラー菌株各種(日本細菌学会より分譲された)を用い、上記(1)と同様の方法で、各菌株から「M.イントラセルラー由来DNA試料」を調製した。
【0324】
【表5】
【0325】
次いで、上記(4)i)〜ii)と同様の方法で、各M.イントラセルラー菌株由来ゲノムDNAをAlexa647で標識した標識産物を得、その断片化物を得た。
【0326】
また、上記(4)i)〜ii)と同様の方法で、M.アビウム由来ゲノムDNAをAlexa555で標識した標識産物を得、その断片化物を得た。
【0327】
それから、上記(4)i)〜ii)と同様の方法で、各M.イントラセルラー菌株由来ゲノムDNA Alexa647標識産物の断片化物と、M.アビウム由来の対照用ゲノムDNA Alexa555標識産物の断片化物の、Alexa555Alexa647標識産物混合溶液を得た。
【0328】
得られた各Alexa555Alexa647標識産物混合溶液を用い、実施例1(3)で得られたM.イントラセルラー由来ゲノムのWhole Genome Shotgun cloneのマイクロアレイに対する、Alexa647標識産物とAlexa555標識産物の競合ハイブリダイゼーション、及び蛍光強度の測定を、上記(5)〜(6)と同様の方法で行った。
【0329】
さらに、上記(6)と同様の方法で、マイクロアレイ上で検出されたAlexa555/ Alexa647の蛍光強度比(Ratio)を基に、常法に従い、散布図(スキャッタープロット)解析を行った。
【0330】
得られた解析結果に基づいて、上記(6)と同様の方法で、マイクロアレイの全てのスポットの蛍光強度比を算出し、蛍光強度が高く、且つAlexa555に対するAlexa647の蛍光強度比が高いスポットを選択した。
【0331】
(8)候補クローンの選択
以上の結果を基に、コンセンサス配列としての候補を選択する上での一つの目安として、7株以上のM.イントラセルラー菌株とハイブリダイズし、且つM.アビウムとはハイブリダイズしなかったスポットをM.イントラセルラー由来ゲノムのマイクロアレイ上から選択した。その結果、15のスポット(候補クローン)を選択した。
【0332】
(9)候補クローンの塩基配列決定
次に、上記(8)で選択された候補15クローンについて、下記の方法でシークエンス解析を行い、それぞれのクローンの塩基配列決定を行った。
【0333】
即ち、Big Dye Terminatorキット(アプライドバイオシステムズ社製)を使用し、製品プロトコールに従い以下の手順でシークエンス解析を行った。
【0334】
一次候補DNA(一次候補クローン) ;2μL(100ng)
M13 Primer M1 ;1μL(5pmol)
premix ;8μL
上記の混合物に、総volume=20μLとなるように脱イオン化滅菌水を加え、DNAサーマルサイクラー(DNA Engine PTC200、MJ Research Inc.製)を使用し、下記の反応条件で30サイクルのシークエンス反応を行った。
【0335】
96℃ 2 min → (96℃ 10sec→50℃ 5sec→60℃ 4min)×25 →4℃
得られたPCR産物をQIAGEN社製ゲルろ過カラムで精製後、シークエンサー(BaseStation、MJ Research Inc.製)を用い、機器付属の手順書に従い、候補配列すべてのシークエンス解読を完了した。
【0336】
得られた結果をデータベース(NCBI BLAST及びCHEMICAL ABSTRACT)で検索した結果、M.イントラセルラーがゲノム配列未解読の生物種であるにも起因するが、データベース上では候補の15クローンの塩基配列は、未登録の新規な配列であることが推定できた。
【0337】
決定された各候補クローンの候補配列の名称、クローンID番号および塩基配列の配列番号を下記表6にまとめて示す。尚、「クローンID番号」とは、本発明者が命名したクローンID番号である。
【0338】
【表6】
【0339】
実施例2.候補配列AのM.イントラセルラー株間保存性評価1
(1)本発明のプライマーの合成
実施例1(9)で決定された表6記載の候補クローンのうち、候補クローンA(クローンID番号:R02_5h)のシークエンス(塩基配列)の各解析結果に基づき、その候補配列A(配列番号1)から、プライマーデザイン用のWebツールPrimer3(Whitehead Institute for Biomedical Research)を用いて、PCRに用いるためのプライマーの塩基配列、すなわち「5’− CGTGGTGTAGTAGTCAGCCAGA−3’」(配列番号16、以下、「Mint 02_T7pa Fw1」と呼ぶ。)、及び「5’− AAAAACGGATCAGAAGGAGAC−3’」(配列番号17,以下、「Mint 02_T7pa Rv1」と呼ぶ。)を設計した。
【0340】
次に、ABI社DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、設計した塩基配列のオリゴヌクレオチドを合成した。合成手法はABI社のマニュアルに従った。各種オリゴヌクレオチドの脱保護はオリゴヌクレオチドのアンモニア水溶液を55℃で一夜加熱することにより実施した。
【0341】
次いでファルマシア社製FPLCを用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを行い、合成オリゴヌクレオチドを精製した。
【0342】
この合成オリゴヌクレオチドを、本発明のプライマーとして用いた。
【0343】
(2)M.イントラセルラー由来DNA試料の調製
実施例1(1)に記載の調製方法に従って、上記表5に記載のM.イントラセルラー菌株(10菌株)を処理し、それぞれDNAの抽出、精製を行った。得られたそれぞれの精製DNAを、最終1ng/μl(10mM Tris-HCl緩衝液、pH8.9)になるように調製し、各M.イントラセルラー菌株由来のDNA試料とした。
【0344】
別に、M.アビウム(IID585)から常法によりゲノムDNAを抽出、精製し、同様に最終1ng/μl(10mM Tris-HCl緩衝液、pH8.9)になるように調製し、M.アビウム由来のDNA試料とした。
【0345】
(3)リアルタイムPCR
(i)PCR用反応液の調製
上記(1)で合成したプライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を各300nM、SYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)を最終濃度で原液の30000倍となるように、1.5mM MgCl2 、80mM KCl、500μg/ml BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.1% TritonX-100、それぞれ0.2mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、及びTaq DNA ポリメラーゼ(ニッポンジーン製)40単位/ml を含有する10mM Tris-HCl(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とした。
【0346】
(ii)リアルタイムPCR
PCRにおける増幅ターゲットとなる鋳型DNAとして、上記(2)で調製した各M.イントラセルラー菌株由来のDNA試料を用い、以下の通り、インターカレーション法によるリアルタイムPCRを行い、蛍光の定量モニタリングを行った。
【0347】
まず、上記(3)(i)で調製したPCR用反応液20μlに、上記(2)で調製したDNA試料1μL(1ng)を添加し、PCR用試料とした。
【0348】
このPCR用試料を、96 穴反応プレート(マイクロアンプ・オプチカル・96ウェル・リアクション・プレート、アプライドバイオシステムズジャパン社製)のウェルに入れ、TaqManTM PCR専用サーマルサイクラー・検出器(ABI 7500、アプライドバイオシステムズジャパン社製)を用いてリアルタイムPCRを行った。
【0349】
すなわち、95℃ で10分間保温した後、95℃で15秒間、60℃ で1分間の反応を40サイクル繰り返し、プライマー伸長産物の増幅量と相関してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定した。
【0350】
尚、フォワードプライマーMint 02_T7pa Fw1とリバースプライマーMint 02_T7pa Rv1を用いた上記のリアルタイムPCRにより、鋳型として用いた各M.イントラセルラー菌株のゲノムDNA中に候補クローンAの塩基配列が存在すれば、配列番号92で表される配列(116塩基)の断片が複製され、蛍光が検出されると予測される。
【0351】
(4)融解曲線解析
各M.イントラセルラー菌株由来の各DNA試料を鋳型として用いたPCRにより得られた測定結果を基に、それぞれ横軸をプライマー伸長産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の1次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
【0352】
(5)結果
各M.イントラセルラー菌株由来の各DNA試料を用いて得られた融解曲線解析の結果を1つのグラフにまとめて、図1に示す。
【0353】
図1の結果から明らかな如く、本発明のプライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を用い、10種類のM.イントラセルラー菌株から得られたDNA試料それぞれを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行い、SYBR Green I存在下で増幅された核酸の融解曲線解析を行った結果、いずれの場合でも、核酸増幅の結果生じる蛍光シグナルが確認でき(図1:M. intracellulare)、M.イントラセルラー陽性と判定できた。しかも、得られたシグナルのピークはいずれも単一ピークであった。更にピークの位置は、ほぼ重っていた。
【0354】
これに対し、上記(1)〜(4)と同様の方法で、M.イントラセルラー以外のマイコバクテリウム属菌であるM.アビウムから得られたDNA試料を鋳型として用い、同じプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。この場合には、核酸増幅の結果生じる蛍光シグナルが確認できず(図1:M.avium)、M.イントラセルラー陰性であると判定できた。
【0355】
以上のことから、本発明のプライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を用いてPCRを行えば、上記10種類のM.イントラセルラー菌株の何れかが存在していればその検出が可能であり、しかもM.イントラセルラー菌種に特異的な検出が行えることが判る。そして、このことからターゲットとした候補配列Aは、M.イントラセルラーのコンセンサス配列である可能性が高いことも示唆された。
【0356】
実施例3.その他の候補クローンのM.イントラセルラー株間における塩基配列の保存性評価2
実施例1(9)で決定された表6記載の候補クローンA〜Oのそれぞれのシークエンス(塩基配列)の解析結果に基づき、その各候補クローンの塩基配列から、プライマーデザイン用のWebツールPrimer3(Whitehead Institute for Biomedical Research.)を用いて、PCR増幅検出のためのプライマー配列をそれぞれ設計した。
【0357】
各候補配列の名称、その候補配列の塩基配列の配列番号、その候補クローンの塩基配列をもとに設計したプライマーの名称(発明者が命名した。)及びその塩基配列の配列番号、更に続いて行うPCRで用いた、フォワードプライマーとリバースプライマーの組み合わせを、表7にまとめて示す。
【0358】
【表7】
【0359】
次いで、実施例2(1)と同様の方法で、設計した塩基配列の各オリゴヌクレオチドを合成、精製した。この合成オリゴヌクレオチドを本発明のプライマーとして用い、表7記載のフォワードプライマーとリバースプライマーの組み合わせで、実施例2(2)〜(4)と同様の方法で、DNA試料の調製、リアルタイムPCR、融解曲線解析を行った。
【0360】
その結果、いずれのプライマーの組み合わせを用いてリアルタイムPCRを行った場合も、実施例2の図1と同様の融解曲線が得られた。すなわち、表7記載のプライマーの組み合わせを用い、表5記載の10種類のM.イントラセルラー菌株から得られたDNA試料それぞれを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行い、SYBR Green I存在下で増幅された核酸の融解曲線解析を行った。その結果、いずれの場合でも、核酸増幅の結果生じる蛍光シグナルが確認でき、M.イントラセルラー陽性と判定できた。しかも、得られたシグナルのピークはいずれも単一ピークであった。しかもピークの位置は、ほぼ重っていた。
【0361】
また、実施例2と同様に、M.イントラセルラー以外のマイコバクテリウム属菌であるM.アビウムから得られたDNA試料を鋳型として用い、同じプライマーを用いてPCRを行った。この場合には、核酸増幅の結果生じる蛍光シグナルが確認できず、すべてM.イントラセルラー陰性と判定できた。
【0362】
以上のことから、表7に記載された本発明のプライマーを用いてPCRを行えば、上記10種類のM.イントラセルラー菌株の何れかが存在していればその検出が可能であり、しかもM.イントラセルラー菌種に特異的な検出が行えることが判る。そして、このことからターゲットとした候補配列A〜Oは、いずれもM.イントラセルラーのコンセンサス配列である可能性が高いことも示唆された。
【0363】
実施例4.候補クローンAのM.イントラセルラー特異性評価
(1)本発明のプライマーの合成
上記実施例2(1)で用いたのと同じMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を、実施例2(1)と同じ機器を用い、同様の方法で合成した。
【0364】
これを、本発明のプライマーとして用いた。
【0365】
(2)各細菌由来のDNA試料の調製
以下に示す各マイコバクテリウム属細菌及びEscherichia coli由来のDNA試料を、それぞれ下記の方法で調製した。
a:Escherichia coliE. coli、大腸菌)(ATCC11775)
b:Mycobacterium tuberculosis(マイコバクテリウム・ツベルクローシス、ヒト型結核菌)(TMC102[H37Rv])
c:Mycobacterium kansasii(M.カンサシ)(ATCC12478)
d:Mycobacterium marinum(マイコバクテリウム・マリナム)(ATCC927)
e:Mycobacterium simiae(マイコバクテリウム・シミアエ)(ATCC25275)
f:Mycobacterium scrofulaceum(マイコバクテリウム・スクロフラセウム)(ATCC19981)
g:Mycobacterium gordonae(マイコバクテリウム・ゴルドネア)(ATCC14470)
h:Mycobacterium szulgai(マイコバクテリウム・スズルガイ)(ATCC35799)
i:M.アビウム(IIID 585)
j:M.イントラセルラー(マイコバクテリウム・イントラセルラー)(ATCC13950)
k:Mycobacterium gastri(マイコバクテリウム・ガストリ)(ATCC15754)
l:Mycobacterium xenopi(マイコバクテリウム・ゼノピ)(ATCC19250)
m:Mycobacterium nonchromogenicum(マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム)(ATCC19530)
n:Mycobacterium terrae(マイコバクテリウム・テレ)(ATCC15755)
o:Mycobacterium triviale(マイコバクテリウム・トリビアレ)(ATCC23292)
p:Mycobacterium fortuitum(マイコバクテリウム・フォーチュイタム)(ATCC6841)
q:Mycobacterium chelonei(マイコバクテリウム・セロネイ)(ATCC35752)
r:Mycobacterium abscessus(マイコバクテリウム・アプセッサス)(ATCC19977)
s:Mycobacterium peregrinum(マイコバクテリウム・ペレグリナム)(ATCC14467)

まず、Mycobacterium tuberculosisは、Mycos Research, LLCから精製ゲノムDNAを入手し、それを精製DNAとして用いた。
【0366】
M.アビウムは、東京大学医科学研究所から基準株(IIID 585)を入手し、それ以外の細菌については、American Type Culture Collection (ATCC)から菌株を入手した。そして、下記の方法でDNAを抽出・精製した。細菌はいずれも基準株であり、培養後、コロニーの形状や従来の各種生化学的試験などによって菌種がすでに鑑別されているものである。
【0367】
すなわち、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌については、まず、小川培地上のコロニーを精製水に懸濁し、オートクレーブ処理(120℃・2気圧、20分)した。次いで菌体を粉砕処理(直径2mmガラスビーズによる物理的破砕)した後、遠心分離し、上清を得た。得られた上清から、(株)キアゲン製のイオン交換樹脂タイプ DNA抽出精製キットGenomic-tipを用いてDNAの抽出、精製を行った。
【0368】
また、大腸菌については、大腸菌のDNA抽出方法の常法に従い、DNAを抽出、精製した。
【0369】
得られたそれぞれの精製DNAを、最終1ng/μl(10mM Tris-HCl緩衝液、pH8.9)になるように調製し、各細菌由来のDNA試料とした。
【0370】
(3)リアルタイムPCR
上記(2)で調製した各細菌由来のDNAを鋳型として用いる以外は、実施例2(3)と同様の方法でリアルタイムPCRを行った。
【0371】
(4)融解曲線解析
実施例2(4)と同様の方法で、各細菌由来のDNA試料を鋳型として用いたPCRにより得られた測定結果を基に、それぞれ横軸をプライマー伸長産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の1次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
【0372】
(5)結果
各細菌由来のDNA試料を用いて得られた融解曲線解析の結果を1つのグラフにまとめて、図2に示す。
【0373】
図2の結果から明らかな如く、本発明のプライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1を用い、SYBR Green I存在下でリアルタイムPCRにより増幅された核酸の融解曲線解析を行った結果、M.イントラセルラー由来のDNA試料を鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った場合のみに、核酸増幅の結果生じる蛍光シグナルが確認でき(図2:M. intracellulare)、M.イントラセルラー陽性であると判定できた。
【0374】
これに対し、図2から明らかな如く、M.イントラセルラー以外のマイコバクテリウム属細菌や他の属の細菌である大腸菌由来のDNAを鋳型として用いて、同じプライマーの組合せを用いて同様にリアルタイムPCRを行った場合には、該当する蛍光シグナルが確認できず(図2:other species)、すべてM.イントラセルラー陰性と判定できた。
【0375】
更に、図2から明らかな如く、M.イントラセルラー由来のDNA試料を鋳型として用いた場合の融解曲線解析の結果、単一の明瞭なピークが得られたことから、行った検出法は、M.イントラセルラーに極めて特異性の高い、検出方法であることが判る。
【0376】
以上のことから、本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRに用いることにより、M.イントラセルラーを特異的に検出することが出来ることが判る。また、PCRなどの核酸増幅による検出は高感度が期待できるため、細菌を単離する必要がなく、臨床材料をそのまま検出に用いることが可能であるため、従来の細菌を培養してから検出する方法では培養に数週間かかっていたM.イントラセルラーの検出を、長くても1日以内に終わらせることができることが判る。
【0377】
実施例5.その他の候補クローンのM.イントラセルラー特異性評価2
(1)本発明のプライマーの合成
実施例2(1)と同じ機器を用い、同様の方法で、上記表7に記載された、プライマーMint 02_T7pa Fw1及びプライマーMint 02_T7pa Rv1以外のオリゴヌクレオチドを合成、精製した。
【0378】
この合成オリゴヌクレオチドを、本発明のプライマーとして用いた。
【0379】
(2)各細菌由来のDNA試料の調製
実施例4で用いたのと同じ細菌を用い、実施例4(2)と同様の方法で、各細菌由来のDNA試料を調製した。
【0380】
(3)リアルタイムPCR
上記(1)で設計、合成したプライマーを、上記表7の組み合わせで用い、上記(2)で調製した各細菌由来のDNA試料を鋳型として用いる以外は、実施例2(3)と同様の方法で、リアルタイムPCRを行った。
【0381】
(4)融解曲線解析
実施例2(4)と同様の方法で、各細菌由来のDNA試料を鋳型として用いたPCRにより得られた測定結果を基に、それぞれ横軸をプライマー伸長産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の1次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
【0382】
(5)結果
実施例4の結果と同様、上記表7に記載された本発明のプライマーを用い、SYBR Green I存在下でリアルタイムPCRにより増幅された核酸の融解曲線解析を行った結果、表7記載のどのプライマーの組み合わせを用いた場合でも、M.イントラセルラー由来のDNA試料を鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った場合のみに、核酸増幅の結果生じる蛍光シグナルが確認でき、M.イントラセルラー陽性と判定できた。
【0383】
これに対し、M.イントラセルラー以外のマイコバクテリウム属細菌や他の属の細菌である大腸菌由来のDNAを鋳型として用いて、表7記載のどの同じプライマーの組合せを用いて同様にリアルタイムPCRを行った場合にも、該当する蛍光シグナルが確認できず、すべてM.イントラセルラー陰性と判定できた。
【0384】
更に、M.イントラセルラー由来のDNA試料を鋳型として用いた場合の融解曲線解析の結果、実施例4の場合と同様、単一の明瞭なピークが得られたことから、行った検出法は、M.イントラセルラーに極めて特異性の高い、検出方法であることが分かる。
【0385】
以上のことから、本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRに用いることにより、M.イントラセルラーを特異的に検出することが出来ることが判った。また、PCRなどの核酸増幅による検出は高感度が期待できるため、細菌を単離する必要がなく、臨床材料をそのまま検出に用いることが可能であるため、従来の細菌を培養してから検出する方法では培養に数週間かかっていたM.イントラセルラーの検出を、長くても1日以内に終わらせることができる。
【0386】
実施例6.最小検出感度試験
リアルタイムPCR検出法を利用し、候補クローンJ(クローンID番号:R27_4g)の塩基配列をターゲットとした場合の検出感度の検定を行った。
【0387】
(1)本発明のプライマーの合成
実施例1(9)で決定された表6記載の候補クローンのうち、候補クローンJ(クローンID番号:R27_4g)のシークエンス(塩基配列)の各解析結果に基づき、その候補配列J(配列番号10)から、プライマーデザイン用のWebツールPrimer3(Whitehead Institute for Biomedical Research.)を用いて、PCRに用いるためのプライマーの塩基配列、すなわち「5’−CAGCGACCGTGTGTTCTTAC−3’」(配列番号64、以下、「Mint 21_FWpa Fw1」と呼ぶ。)、及び「5’−GGAAGTGGGCGGTATCCT−3’」(配列番号65,以下、「Mint 21_FWpa Rv1」と呼ぶ。)を設計した。
【0388】
次に、ABI社DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、設計した塩基配列のオリゴヌクレオチドを合成した。合成手法はABI社のマニュアルに従った。各種オリゴヌクレオチドの脱保護はオリゴヌクレオチドのアンモニア水溶液を55℃で一夜加熱することにより実施した。
【0389】
次いでファルマシア社製FPLCを用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを行い、合成オリゴヌクレオチドを精製した。この合成オリゴヌクレオチドを、本発明のプライマーとして用いた。
【0390】
(2)PCR用DNA試料の調製
実施例1(1)に記載の調製方法に従って、M.イントラセルラー(M. intracellulare JCM6384)から、M.イントラセルラー由来精製ゲノムDNAを取得し、M.イントラセルラー由来DNA試料を調製した。
【0391】
調製したM.イントラセルラー由来DNA試料の吸光度を測定して、該試料中のDNA量を測定した。得られたDNA量を、濃度既知のM. intracellulare JCM6384のゲノムDNAを試料として同様に吸光度を測定して得られた測定値と比較することにより、試料中のゲノムDNA量(ゲノムコピー数)を決定した。10コピー/μlのゲノムDNAが得られた。
【0392】
次いで10mM Tris-HCl緩衝液、pH8.9を用いてDNA試料を105, 104, 103, 102, 10, 5,コピー/μLの希釈系列に希釈したものを調製し、PCR用DNA試料とした。
【0393】
(3)リアルタイムPCR
(i)PCR用反応液の調製
上記(1)で得られたプライマーMint 21_FWpa Fw1及びプライマーMint 21_FWpa Rv1を各300nM、SYBR Green I (Molecular Probe社)を最終濃度で原液の30000倍希釈となるように、1.5mM MgCl2、80mM KCl、500μg/ml BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.1%TritonX-100、それぞれ0.2mM のdATP、dCTP、dGTP、dTTP、及びTaq DNA ポリメラーゼ(ニッポンジーン製)40単位/ml を含有する10mM Tris-HCl(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とした。
【0394】
(ii)リアルタイムPCR
上記(3)(i)で調製したPCR用反応液20μlに、上記(2)で調製したPCR用DNA試料1μLを添加したものを、PCR用試料とした。
【0395】
このPCR用試料を、96 穴反応プレート( マイクロアンプ・オプチカル・96 ウェル・リアクション・プレート、アプライドバイオシステムズジャパン社製)のウェルに入れ、TaqManTM PCR 専用サーマルサイクラー・検出器(ABI7500、アプライドバイオシステムズジャパン社製) を用いてリアルタイムPCRを行った。
【0396】
すなわち、95℃ で10分間保温の後、95℃で15秒間、60℃ で1分間の反応を40サイクル繰り返し、プライマー伸長産物の増幅量と相関してインターカレーションするSYBR Green Iの蛍光強度を測定した。
【0397】
尚、蛍光強度は、測定に供した96穴反応プレート1プレート毎に、測定に用いたサーマルサイクラーの、相対的な蛍光強度比を数値化する機能を用いて求めた。
【0398】
(4)結果
得られた実験データから、リアルタイムPCR法において行われている常法に従い、各濃度のPCR用DNA試料毎に、PCRのサイクル数(x軸)に対するSYBR Green I由来の蛍光強度(Rn、y軸)をプロットした増幅曲線を作成した。
得られた増幅曲線を図3に示す。
【0399】
次いで、得られた増幅曲線から、下記の方法によって、検量線を作成した。
【0400】
すなわち、得られた増幅曲線(図3)の、蛍光強度が指数関数的に増幅しているRn部を選択し、Threshold line(Th)を引いた。Thと各PCR用DNA試料の蛍光強度が交差した点をThreshold cycle(Ct)値とした。次いで用いた各PCR用DNA試料のゲノムのコピー数(x軸、対数値)に対するCt値(y軸)をプロットし、各Ctに対して得られた近似曲線を検量線とした。得られた検量線を図4に示す。
【0401】
y=−3.356x+35.57
=0.999
【0402】
以上の結果、まずリアルタイムPCRで蛍光が検出されたことから、本発明に係るオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、リアルタイムPCRを行えば、M.イントラセルラーが検出できることが判った。
【0403】
また、検量線が作成できたことより、本発明のプライマー及びプローブを用いたリアルタイムPCR法によれば、M.イントラセルラーの定量が可能であることが判った。更に、図4より、本発明のプライマー及びプローブを用いたリアルタイムPCR法では、M.イントラセルラーのゲノムDNAが初期量として5コピー存在する条件でもM.イントラセルラーの検出が可能である事がわかる。
【0404】
また、本法によるPCRの増幅効率は、計算上98.4%となり、高い反応性を確認できた。
【0405】
更に、上記表7に記載された他のプライマーの組み合わせを用いて同様に実験を行った結果、ほぼ同等の成績を得ることが出来た。以上のことから、候補配列A〜Oを標的としてリアルタイムPCRを行うことにより、M.イントラセルラーの検出及び定量を行うことが出来ることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0406】
本発明のプライマー又は/及びプローブを用いたM.イントラセルラーの検出方法によれば、従来の検出方法と比較して、はるかに迅速且つ高精度に、且つ特異的にM.イントラセルラーの検出を行うことができる。
【0407】
また、本発明のプライマーを用いたM.イントラセルラーの検出方法によれば、一回の操作で複数の血清型又は菌株のM.イントラセルラーのいずれかが存在する場合を検出することが可能である。また、それにより検出操作が簡単になり、診断に要する時間も短縮されるので、特に診断の迅速性が要求される臨床検査の分野に於いて、極めて有用である。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]