(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置(80)は、外部の装置(92)から前記気象予測情報(92a)を受信する受信部(85)と、前記判断部の判断に基づいて前記切替機構に切り替えを行わせる切替制御部(88)と、をさらに有している、
請求項1から3のいずれかに記載の室温調整システム。
前記切替機構は、前記冷却塔と前記冷凍機とを結ぶ配管に設けられる第1バルブ(61)と、前記冷却塔と前記熱交換器とを結ぶ配管に設けられる第2バルブ(62)と、を有しており、
前記切替制御部(88)は、前記第1状態のときに前記第1バルブを開けて前記第2バルブを閉じ、前記第2状態のときに前記第1バルブを閉じて前記第2バルブを開ける、
請求項4に記載の室温調整システム。
前記判断部(87)は、前記第1状態から前記第2状態への切り替えをするべきであると判断した後、前記第1所定期間よりも短い所定時間が経ったときに、前記実測値と前記閾値との比較を行い前記実測値が前記閾値よりも大きいときには、前記第2状態から前記第1状態へ切り替えて新しい前記気象予測情報を入手するまで前記第1状態を維持するべきである、と判断する、
請求項1に記載の室温調整システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1(特開平8−114347号公報)では、経験と勘によってビル管理人がフリークーリングへの切り替え判断をしていることを課題に挙げ、外気温度、外気露点温度あるいは外気湿度から算出される外気の湿球温度に基づいてフリークーリングが有効か無効かを判断する発明を開示している。そして、その判断結果に基づいて、例えば過去1ヶ月分の1日毎のフリークーリング有効時間帯および無効時間帯を表示させ、ビル管理人の判断の一助にしている。
【0004】
しかし、この特許文献1(特開平8−114347号公報)が開示する発明では、表示されるフリークーリング有効時間帯が段々と短くなってくる場合には、ビル管理人が適切なフリークーリングへの切り替え判断をすることができるけれども、フリークーリング有効時間帯が増えたり減ったりをランダムに繰り返している過去のデータが表示された場合には、フリークーリングへの切り替えをすべきか否かをビル管理人が適切に判断することは難しい。すなわち、過去の外気の湿球温度の実測値に基づいた表示が為されているため、外気の湿球温度が一貫して下がり続けている場合を除き、ビルの管理人が適切な切り替え判断を行うことは難しい。
【0005】
本発明の課題は、手動あるいは自動でフリークーリングの運用を適切に行うことができる室温調整システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る室温調整システムは、冷却塔と、冷凍機と、二次側空調機器と、熱交換器と、切替機構と、制御装置とを備えている。冷却塔は、一次側熱媒体の熱を大気に放熱させる。冷凍機は、冷媒循環回路を有し、一次側熱媒体の冷熱を利用して二次側熱媒体を冷やす。二次側空調機器は、二次側熱媒体の冷熱によって、空調対象空間の室温を調整する。熱交換器は、冷凍機を介さずに、一次側熱媒体と二次側熱媒体との間で熱交換を直接行わせる。切替機構は、一次側熱媒体が冷凍機に流れる第1状態と、一次側熱媒体が熱交換器に流れる第2状態とを切り替える。制御装置は、切替機構の切り替えに関する判断を行う判断部を有している。判断部は、入手された気象予測情報を用い、大気の湿球温度の予測値に基づいて、第1状態から第2状態への切り替えの是非の判断を行う。
【0007】
この室温調整システムでは、冷却塔で冷やされた一次側熱媒体によって二次側熱媒体を冷やす。その二次側熱媒体の冷却を、冷凍機を介して行うのか、それとも熱交換器によって行うのかを、切替機構によって切り替えることができる。具体的には、一次側熱媒体が冷凍機に流れる第1状態と、一次側熱媒体が熱交換器に流れる第2状態とを、切替機構が切り替える。そして、第1状態から第2状態への切り替えの是非の判断が、制御装置の判断部によって、入手された気象予測情報を用い、大気の湿球温度の予測値に基づいて行われる。このように過去の実績等ではなく、近い将来の気象予測情報を用いて、大気の湿球温度の予測値に基づいた判断が為されるため、いわゆるフリークーリングと呼ばれる第2状態への切り替えの是非が、好適に判断されることになる。このため、第1観点に係る室温調整システムによれば、手動あるいは自動でフリークーリングの運用を適切に行うことができるようになる。
【0008】
なお、気象予測情報は、大気の湿球温度の予測値そのものを示す情報であってもよいし、大気の温度や湿度といった室温調整システムが大気の湿球温度の予測値を演算できる情報であってもよい。
【0009】
本発明の第2観点に係る室温調整システムは、第1観点に係る室温調整システムであって、制御装置は、外部の装置から気象予測情報を受信する受信部と、判断部の判断に基づいて切替機構に切り替えを行わせる切替制御部と、をさらに有している。
【0010】
この室温調整システムでは、外部の装置から気象予測情報を受信することができるように構成しているため、手動で気象予測情報を入手する必要がない。また、切替制御部を設けているため、判断部の判断に応じて即座に切替機構による切り替えを実行させることができ、省エネルギーに寄与することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る室温調整システムは、第2観点に係る室温調整システムであって、切替機構は、冷却塔と冷凍機とを結ぶ配管に設けられる第1バルブと、冷却塔と熱交換器とを結ぶ配管に設けられる第2バルブと、を有している。そして、切替制御部は、第1状態のときに第1バルブを開けて第2バルブを閉じ、第2状態のときに第1バルブを閉じて第2バルブを開ける。
【0012】
ここでは、第1状態のときに、第1バルブを通って冷却塔から冷凍機へと一次側熱媒体が流れ、冷却塔から熱交換器へは第2バルブに遮られて一次側熱媒体が流れない。一方、第2状態のときには、第2バルブを通って冷却塔から熱交換器へと一次側熱媒体が流れ、冷却塔から冷凍機へは第1バルブに遮られて一次側熱媒体が流れない。そして、第2状態に切り替わったときには、冷却塔から熱交換器へと流れた一次側熱媒体と二次側熱媒体との間で熱交換が行われ、一次側熱媒体に放熱して温度が下がった二次側熱媒体が、二次側空調機器を介して空調対象空間の室温を下げる。このように、2つのバルブの開閉によって、ここでは簡易な構成で第1状態から第2状態への切り替えができる。
【0013】
本発明の第4観点に係る室温調整システムは、第1観点〜第3観点のいずれかに係る室温調整システムであって、温度センサーをさらに備えている。温度センサーは、冷却塔の周囲の大気の湿球温度を測定する。判断部は、予測値、および、温度センサーの測定値である大気の湿球温度の実測値に基づいて、第1状態から第2状態への切り替えの是非の判断を行う。
【0014】
ここでは、大気の湿球温度を測定する温度センサーが配備されているため、気象予測情報から得られる大気の湿球温度の予測値に加え、大気の湿球温度の実測値に基づいて切り替えの是非の判断を行うことができる。したがって、この室温調整システムでは、より適切な判断を行うことが可能になる。
【0015】
本発明の第5観点に係る室温調整システムは、第4観点に係る室温調整システムであって、判断部は、実測値が閾値よりも小さく、且つ、予測値が閾値よりも小さい状態が続く期間が第1所定期間よりも長い場合に、第1状態から第2状態への切り替えをするべきであると判断する。
【0016】
ここでは、大気の湿球温度の実測値と予測値の両方が条件を満たす場合に、第1状態から第2状態への切り替えをするべきであると判断する。このため、いわゆるフリークーリングの状態である第2状態への切り替えが是である、と間違って判断してしまう可能性が低減される。また、予測値については、予測値が閾値よりも小さい状態が続く期間を基準とした判断を行っているため、より適切な判断ができる。
【0017】
本発明の第6観点に係る室温調整システムは、第4観点又は第5観点に係る室温調整システムであって、判断部は、切替機構が第2状態にあるときに、実測値が閾値よりも大きくなった場合に、第2状態から第1状態への切り替えをするべきであると判断する。
【0018】
ここでは、判断部が、第1状態から第2状態への切り替えに加え、第2状態から第1状態への切り替えについても判断する。そして、その第2状態から第1状態への切り替えの判断は、実測値に基づいて行われる。これにより、いわゆるフリークーリングが好ましいと一旦判断されて第2状態になっている室温調整システムが、実測値に鑑みるとフリークーリングが好ましくない状況に変わっているときに、それに合わせて第1状態に切り替えることができる。
【0019】
本発明の第7観点に係る室温調整システムは、第4観点又は第5観点に係る室温調整システムであって、判断部は、切替機構が第2状態にあるときに、実測値が閾値よりも大きくなり、且つ、予測値が閾値よりも大きい状態が続く期間が第2所定期間よりも長い場合に、第2状態から第1状態への切り替えをするべきであると判断する。
【0020】
ここでは、判断部が、第1状態から第2状態への切り替えに加え、第2状態から第1状態への切り替えについても判断する。そして、その第2状態から第1状態への切り替えの判断は、大気の湿球温度の実測値と予測値の両方に基づいて行われる。これにより、いわゆるフリークーリングが好ましいと一旦判断されて第2状態になっている室温調整システムが、実測値に鑑みるとフリークーリングが好ましくない状況に変わっているときに、それに合わせて第1状態に切り替えることができる。特に、予測値が閾値よりも大きい状態が続く期間を基準とした判断を行うため、より適切な判断ができる。
【0021】
本発明の第8観点に係る室温調整システムは、第5観点に係る室温調整システムであって、判断部は、第1状態から第2状態への切り替えをするべきであると判断した後、第1所定期間よりも短い所定時間が経ったときに、実測値と閾値との比較を行う。そして、判断部は、実測値と閾値との比較の結果、実測値が閾値よりも大きいときには、第2状態から第1状態へ切り替えて新しい気象予測情報を入手するまで第1状態を維持するべきである、と判断する。
【0022】
ここでは、第1状態から第2状態への切り替えをするべきであると判断した後、その判断が正しかったか否かを、実測値を用いて短時間後に検証している。そして、実測値が閾値より大きいときには、予測が外れて気象予測情報が正しくない情報になっていることに鑑み、第2状態から第1状態に戻し、新しい気象予測情報を入手するまでは第1状態を維持するべきであると判断している。これにより、気象の予測が外れた場合にも、いわゆるフリークーリングの是非の判断を実測値に基づいて修正することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1観点に係る室温調整システムでは、過去の実績等ではなく、近い将来の気象予測情報を用いて、大気の湿球温度の予測値に基づいた判断が為されるため、いわゆるフリークーリングと呼ばれる第2状態への切り替えの是非が、好適に判断される。これにより、手動あるいは自動でフリークーリングの運用を適切に行うことができるようになる。
【0024】
本発明の第2観点に係る室温調整システムでは、手動で気象予測情報を入手する必要がなく、また、判断部の判断に応じて即座に切替機構による切り替えを実行させることができる。
【0025】
本発明の第3観点に係る室温調整システムでは、2つのバルブの開閉によって第1状態から第2状態への切り替えができる。
【0026】
本発明の第4観点〜第7観点のいずれかに係る室温調整システムでは、より適切な判断を行うことが可能になる。
【0027】
本発明の第8観点に係る室温調整システムでは、気象の予測が外れた場合にも、いわゆるフリークーリングの是非の判断を実測値に基づいて修正することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施形態に係る空調システム100について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(1)空調システムの全体構成
空調システム100は、空調対象空間である室内空間RM(
図2参照)の顕熱負荷および潜熱負荷を必要量だけ処理し、室内空間RMの湿度と温度とを調節することができるように構成されたシステムであり、例えば、オフィスビルに設置される。
【0031】
この空調システム100は、
図1に示すように、冷却塔50、チラー40、熱交換器30、空調ユニット20、熱源側ポンプ11a、利用側ポンプ12a、熱源側の第1開閉バルブ61および第2開閉バルブ62、利用側の第3開閉バルブ63および第4開閉バルブ64、制御装置80などから構成されている。冷却塔50、チラー40、熱交換器30などは熱源側設備群101に属し、空調ユニット20は利用側設備群102に属す。
【0032】
図2に示すように、室内空間RMの室内空気は、還気RAとして空調ユニット20に取り込まれて、湿度や温度が調節される。調整された空気は、給気SAとして室内空間RMへ戻される。換気が必要な場合、空調ユニット20には、還気RAに加え、外部の大気である外気OAが取り込まれる。
【0033】
冷却塔50は、熱源側循環回路11を流れてきた一次側熱媒体である第1循環水を冷却する。
【0034】
チラー40は、熱源側循環回路11を通って冷却塔50から流れてくる第1循環水の冷熱を利用して、利用側循環回路12を通って空調ユニット20から戻ってくる二次側熱媒体である第2循環水を冷やす。
【0035】
熱交換器30は、チラー40と並列配置されており、チラー40が停止しているときに使用される。熱交換器30は、熱源側循環回路11を通って冷却塔50から流れてくる第1循環水と、利用側循環回路12を通って空調ユニット20から戻ってくる第2循環水との間で熱交換を行わせ、第2循環水を冷やす。
【0036】
制御装置80は、各種制御を行う装置であり、後述するように、チラー40を用いて第2循環水を冷やすチラー運転と、熱交換器30を用いて第2循環水を冷やすフリークーリングとを切り替える役割も果たす。
【0037】
なお、本実施形態では熱源側のチラー40、冷却塔50、熱交換器30などを1つずつ例示しているが、複数のチラー40等が配備されていてもよい。一方、ビル等の建物には空調対象空間が多数存在し、空調システム100においては利用側の空調ユニット20が多数配備されるが、以下の説明においては代表的な1つの空調ユニット20のみに言及する。
【0038】
また、チラーを備える空調システムでは、利用側循環回路に往路、復路それぞれのヘッダや、往路と復路とをバイパスさせるバイパス回路が設けられることも多いが、理解の容易のために、本実施形態に係る空調システム100ではそれらの図示、説明を省略する。
【0039】
(2)空調システムの詳細構成
(2−1)空調ユニット
空調ユニット20は、二次側空調機器であり、二次側熱媒体である第2循環水の冷熱によって、空調対象空間である室内空間RMの室温を調整する。
【0040】
空調ユニット20は、
図2に示すように、概ね直方体形状のケーシングを有する。そのケーシングの内部に、空気が流れる空気通路が形成されている。空気通路の流入端には、室内空間RMにつながる吸込ダクトが接続されている。空気通路の流出端には、室内空間RMに空気(給気SA)を供給するための給気ダクトが接続されている。
【0041】
空調ユニット20の空気通路には、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、空気冷却熱交換器21、電気ヒータ22、散水式加湿器23および送風ファン24が配備されている。電気ヒータ22は、空気冷却熱交換器21を通過した空気を加熱する。電気ヒータ22は、空気の温度を上げるための機器であり、出力を段階的に変化させることが可能で、空気の加熱量を調節できる。散水式加湿器23は、ケーシングの外部に設置されたタンクの水をノズルから空気中へ散布することで、空気流路を流れる空気を加湿する。散水式加湿器23は、空気の湿度を高めるための機器であり、空気への加湿量を調節できる。送風ファン24は、インバータ制御によって回転数を段階的に変化させることが可能な送風機である。送風ファン24は、空気冷却熱交換器21、電気ヒータ22および散水式加湿器23を経て室内空間RMへと吹き出される空気の流れを生成する。
【0042】
空気冷却熱交換器21は、空気を冷却して、空気の温度を下げたり空気を除湿して湿度を低めたりする機器である。空気冷却熱交換器21は、複数の伝熱フィンと、それらの伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。空気冷却熱交換器21の伝熱管には、後述するチラー40の蒸発器44あるいは熱交換器30を出て利用側循環回路12を流れてくる第2循環水が流れる。第2循環水の冷熱は、伝熱管および伝熱フィンを介して空気流路を流れる空気に供給され、空気冷却熱交換器21を通過する空気が冷却される。
【0043】
(2−2)チラー
チラー40は、冷媒循環回路40aを有する冷凍機であって、一次側熱媒体である第1循環水の冷熱を利用して、二次側熱媒体である第2循環水を冷やす。
【0044】
冷媒循環回路40aは、
図3に示すように、冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う閉回路である。冷媒循環回路40aには、圧縮機41、放熱器42、膨張弁43、蒸発器44などが設けられている。
【0045】
圧縮機41は、インバータモータを有し、運転容量の調節が可能である。インバータの周波数を変更すると、圧縮機41の運転容量が変わる。
【0046】
放熱器42は、圧縮機41から吐出され冷媒循環回路40aを流れる高圧高温の冷媒と熱源側循環回路11を流れる第1循環水との間で熱交換を行わせ、冷媒から第1循環水へと放熱させる。
【0047】
放熱器42を出た高圧低温の冷媒は、膨張弁43で減圧され、蒸発器44へと流れ込む。蒸発器44では、冷媒循環回路40aを流れる低温低圧の冷媒と利用側循環回路12を流れる第2循環水との間で熱交換が行われ、冷媒の蒸発によって第2循環水が冷やされる。そして、蒸発器44を出たガス冷媒は、再び圧縮機41に吸入される。
【0048】
(2−3)熱交換器
熱交換器30は、チラー40を介さずに、一次側熱媒体である第1循環水と二次側熱媒体である第2循環水との間で熱交換を直接行わせる、プレート式の水−水熱交換器である。
【0049】
(2−4)冷却塔
冷却塔(クーリングタワー)50は、チラー40の蒸発器44あるいは熱交換器30から流れてくる第1循環水の熱を大気に放散させる、開放式あるいは密閉式の装置である。冷却塔50では、送風ファンによって外気(大気)の流れを作り、外気と第1循環水とを直接あるいは間接的に接触させ、第1循環水の温度を低下させる。冷却塔50は、ビル等の建物の屋上あるいは外部に設置される。
【0050】
(2−5)熱源側循環回路の熱源側ポンプおよび開閉バルブ
熱源側循環回路11には、一次側熱媒体である第1循環水が流れる。
図1および
図3における熱源側ポンプ11aの近傍の矢印は、第1循環水の流れる向きを示している。熱源側ポンプ11aは、インバータ駆動式のポンプであり、吐出流量の調整が可能である。
【0051】
また、熱源側循環回路11では、熱交換器30とチラー40の放熱器42とが並列に配されている。そして、チラー40の放熱器42の入口側に第1開閉バルブ61が設けられ、熱交換器30の入口側に第2開閉バルブ62が設けられている。具体的には、第1開閉バルブ61は、冷却塔50とチラー40とを結ぶ配管に設けられ、第2開閉バルブ62は、冷却塔50と熱交換器30とを結ぶ配管に設けられる。第1開閉バルブ61および第2開閉バルブ62は、自動開閉バルブであり、非通電時に第1開閉バルブ61が開、第2開閉バルブ62が閉の状態となる。以下、この非通電時の第1開閉バルブ61および第2開閉バルブ62の状態を、第1循環水がチラー40に流れる第1状態と呼ぶ。一方、通電時には、第1開閉バルブ61が閉、第2開閉バルブ62が開の状態となるが、この熱交換器30に第1循環水が流れる状態を第2状態と呼ぶ。
【0052】
言い換えると、熱源側循環回路11に設けられた第1開閉バルブ61および第2開閉バルブ62は、第1状態と第2状態とを切り替える切替機構を構成している。第1状態のときには、第1開閉バルブ61を通って冷却塔50からチラー40へと第1循環水が流れ、冷却塔50から熱交換器30へは第2開閉バルブ62に遮られて第1循環水が流れない。一方、第2状態のときには、第2開閉バルブ62を通って冷却塔50から熱交換器30へと第1循環水が流れ、冷却塔50からチラー40へは第1開閉バルブ61に遮られて第1循環水が流れない。そして、第2状態に切り替わったときには、冷却塔50から熱交換器30へと流れた第1循環水と利用側循環回路12を流れる第2循環水との間で熱交換が行われ、第1循環水に放熱して温度が下がった第2循環水が、空調ユニット20を介して室内空間RMの室温を下げる。
【0053】
(2−6)利用側循環回路の利用側ポンプおよび開閉バルブ
利用側循環回路12には、第2循環水が充填されている。利用側循環回路12は、チラー40の蒸発器44あるいは熱交換器30を出た第2循環水を各空調ユニット20へ流し、各空調ユニット20で利用した第2循環水を再びチラー40の蒸発器44あるいは熱交換器30へ戻すための循環流路である。
図1および
図3における利用側ポンプ12aの近傍の矢印は、第2循環水の流れる向きを示している。利用側ポンプ12aは、インバータ駆動式のポンプであり、吐出流量の調整が可能である。
【0054】
各空調ユニット20は、利用側循環回路12において、
図2に示すように並列配置されている。各空調ユニット20を流れる第2循環水の量は、流量調節弁20aによって変えられる。流量調節弁20aは、弁開度の変更が可能であり、これらの流量調節弁20aの開度調整によって、各空調ユニット20が要求した量だけ各空調ユニット20の空気冷却熱交換器21に第2循環水が流れることになる。
【0055】
また、利用側循環回路12では、熱交換器30とチラー40の蒸発器44とが並列に配されている。そして、チラー40の蒸発器44の入口側に第3開閉バルブ63が設けられ、熱交換器30の入口側に第4開閉バルブ64が設けられている。第3開閉バルブ63および第4開閉バルブ64は、自動開閉バルブであり、非通電時に第3開閉バルブ63が開、第4開閉バルブ64が閉の状態となる。以下、この非通電時の第3開閉バルブ63および第4開閉バルブ64の状態を、第2循環水がチラー40に流れる第1状態と呼ぶ。第1状態のときには、第3開閉バルブ63を通ってチラー40へと第2循環水が流れ、熱交換器30へは第4開閉バルブ64に遮られて第2循環水が流れない。一方、通電時には、第3開閉バルブ63が閉、第4開閉バルブ64が開の状態となるが、この熱交換器30に第2循環水が流れる状態を第2状態と呼ぶ。第2状態のときには、第4開閉バルブ64を通って熱交換器30へと第2循環水が流れ、チラー40へは第3開閉バルブ63に遮られて第2循環水が流れない。この第2状態では、冷却塔50から熱交換器30へと流れた第1循環水と利用側循環回路12を流れる第2循環水との間で熱交換が行われ、第1循環水に放熱して温度が下がった第2循環水が、空調ユニット20を介して室内空間RMの室温を下げる。
【0056】
(2−7)制御装置
制御装置80は、CPU、ROM、RAM、HDD、受信部85などから成り、制御プログラムがCPUで実行されることにより、多くの機能を果たすコンピュータである。制御プログラムが実行された制御装置80は、その機能部として、
図4に示すチラー制御部81、冷却塔制御部82、演算部86、判断部87、切替制御部88などを更に有するようになる。また、制御装置80には、チラー40、冷却塔50、冷却塔50の周囲の大気の湿球温度を実際に測定する温度センサー71、4つの開閉バルブ61〜64、遠方にある気象予報センター91の気象情報サーバ92などが接続される。温度センサー71は、湿球温度を測定して測定値を出力することができる湿球温度計である。なお、図示は省略しているが、制御装置80は、空調ユニット20の各種制御や流量調節弁20aの開度調整も担っている。
【0057】
チラー制御部81は、チラー40の圧縮機41の容量や膨張弁43の開度を制御する。
【0058】
冷却塔制御部82は、冷却塔50の送風ファンなどを制御する。
【0059】
受信部85は、インターネット等の公衆回線98を介して、遠方に存在している気象予報センター91の気象情報サーバ92から、気象予測情報92aを受信する。受信された気象予測情報92aは、RAMあるいはHDDに一時的に保存される。
【0060】
演算部86は、気象予測情報92aに含まれる大気の温度や湿度の予測情報から、大気の湿球温度の予測値を演算する。具体的には、1時間後の予測値、2時間後の予測値、3時間後の予測値、・・・と、複数の近い未来の大気の湿球温度の予測値を演算する。
【0061】
判断部87は、上述の第1状態と第2状態との切り替えに関する判断を行う。具体的には、後述するチラー運転を行うときの第1状態からフリークーリングを行うときの第2状態への切り替えの是非の判断を行い、また、第2状態から第1状態への切り替えの是非の判断を行う。上述のとおり、第1状態は、熱源側循環回路11に設けられた第1開閉バルブ61を開け第2開閉バルブ62を閉めるとともに、利用側循環回路12に設けられた第3開閉バルブ63を開け第4開閉バルブ64を閉めた状態である。第2状態は、熱源側循環回路11に設けられた第1開閉バルブ61を閉め第2開閉バルブ62を開けるとともに、利用側循環回路12に設けられた第3開閉バルブ63を閉め第4開閉バルブ64を開ける状態である。判断部87は、気象予測情報92aから演算された大気の予測値に基づいて切り替えの是非の判断を行うが、詳細については後述する。
【0062】
切替制御部88は、判断部87の第1状態から第2状態への切り替えの是非の判断、および、第2状態から第1状態への切り替えの是非の判断に基づいて、第1開閉バルブ61、第2開閉バルブ62、第3開閉バルブ63および第4開閉バルブ64の開閉の自動制御を行う。
【0063】
なお、4つの開閉バルブ61〜64が第1状態にあるときには、チラー40が運転状態となり、熱交換器30が機能しない後述するチラー運転となるため、第1状態はチラー運転を意味する。また、4つの開閉バルブ61〜64が第2状態にあるときには、チラー40が停止状態となり、熱交換器30が機能する後述するフリークーリングとなるため、第2状態はフリークーリングを意味する。したがって、判断部87は、チラー運転とフリークーリングとの切り替えに関する判断を行っていることになり、切替制御部88は、そのチラー運転とフリークーリングとの切り替えの是非の判断に基づいて4つの開閉バルブ61〜64の自動制御を行っていることになる。
【0064】
(3)空調システムの動作
(3−1)基本動作
空調システム100は、空気の冷却と除湿を行う冷房除湿モード、空気の冷却と加湿を行う冷房加湿モード、空気の除湿と加熱とを行う暖房除湿モード、および、空気の加熱と加湿とを行う暖房加湿モードのいずれかのモードを選ぶことができる。空調システム100では、各モードで、室内空間RMの温度および湿度を、設定温度および設定湿度になるように空気調和を行う。これらのモードのうち、ここでは冷房除湿モードを例にとって説明を行い、冷房加湿モード、暖房除湿モードおよび暖房加湿モードの説明は省略する。
【0065】
冷房除湿モードでは、チラー運転と、フリークーリングとが選択的に行われる。チラー運転では、チラー40が運転状態となり、
図1および
図3に示すように、第1開閉バルブ61および第3開閉バルブ63が開き、第2開閉バルブ62および第4開閉バルブ64が閉まる(第1状態)。一方、フリークーリングでは、チラー40が停止状態となり、
図6に示すように、第1開閉バルブ61および第3開閉バルブ63が閉まり、第2開閉バルブ62および第4開閉バルブ64が開く(第2状態)。上述のように、第1状態と第2状態との切り替えは、判断部87の判断に基づいて切替制御部88が自動的に行う。以下、チラー運転、フリークーリング、それぞれにおける動作を詳述する。
【0066】
(3−1−1)冷房除湿モードにおけるチラー運転実行時の動作
冷房除湿モードにおけるチラー運転では、熱源側ポンプ11a、利用側ポンプ12a、空調ユニット20の送風ファン24の運転が行われる。冷房除湿モードでは、基本的には、電気ヒータ22が停止状態となり、散水式加湿器23の散水も停止状態となる。そして、チラー運転では、チラー40の圧縮機41が起動され、冷媒循環回路40aにおいて冷凍サイクルが行われる。これにより、チラー40の蒸発器44において、冷媒循環回路40aを流れる冷媒と利用側循環回路12を流れる第2循環水との間で熱交換が行われ、冷媒の蒸発によって第2循環水が冷やされる。一方、チラー40の放熱器42では、圧縮機41から吐出され冷媒循環回路40aを流れる冷媒と熱源側循環回路11を流れる第1循環水との間で熱交換が行われ、冷媒から第1循環水へと熱が放散される。チラー40の放熱器42で加熱された第1循環水は、冷却塔50において熱を大気中に放出する。チラー40の蒸発器44で冷やされた第2循環水は、空調ユニット20の空気冷却熱交換器21の伝熱管を通り、空調ユニット20の空気通路を流れる室内空気の温度を下げる。空気冷却熱交換器21で冷却/除湿された室内空気は、給気SAとして室内空間RMへ供給される。一方、空気冷却熱交換器21で温められた第2循環水は、開いている第3開閉バルブ63を通ってチラー40の蒸発器44に戻って再び冷やされることになる。
【0067】
(3−1−2)冷房除湿モードにおけるフリークーリング実行時の動作
冷房除湿モードにおけるフリークーリングでも、熱源側ポンプ11a、利用側ポンプ12a、空調ユニット20の送風ファン24の運転が行われる。空調ユニット20では、電気ヒータ22が停止状態となり、散水式加湿器23の散水も停止状態となる。そして、チラー40も停止状態となる。冷却塔50において冷却された第1循環水は、開いている第2開閉バルブ62を通って熱交換器30に入る。この第1循環水は、熱交換器30において、利用側循環回路12を流れる第2循環水との間で熱交換を行い、温まって熱交換器30を出る。熱交換器30を出た第1循環水は、再び冷却塔50で冷却される。一方、熱交換器30で冷やされた第2循環水は、空調ユニット20において室内空気の温度を下げる。この冷却/除湿された室内空気は、給気SAとして室内空間RMへ供給される。一方、空調ユニット20の空気冷却熱交換器21で温められた第2循環水は、開いている第4開閉バルブ64を通って熱交換器30に戻って再び冷やされることになる。
【0068】
(3−2)空調システムにおけるチラー運転とフリークーリングとの自動切り替え
制御装置80では、判断部87の判断に基づいて切替制御部88が4つの開閉バルブ61〜64の開閉の自動制御を行う。この判断部87によるチラー運転とフリークーリングとの切り替えの是非の判断および切替制御部88による自動制御について、
図5を参照して説明する。
【0069】
まず、ステップS1では、判断部87が、温度センサー71が測定した現在の大気の湿球温度(実測値)が閾値を下回っているか否かを判定する。この閾値は、チラー40を運転しなくても冷却塔50で第1循環水を冷却するだけで空調ユニット20の負荷を処理することができるか否かのボーダーの湿球温度値である。ステップS1での判定がNoの場合、冷却塔50だけでは空調ユニット20の負荷を処理しきれないため、ステップS8に移り、切替制御部88がチラー運転を選択して実行する。すなわち、現在の大気の湿球温度が閾値よりも大きければ、4つの開閉バルブ61〜64の第2状態(フリークーリングの状態)から第1状態(チラー運転の状態)への切り替えをするべきであると判断部87が判断し、切替制御部88がチラー運転を実行する。
【0070】
ステップS1での判定がYesの場合、ステップS2に移行し、判断部87が、演算部86で演算された大気の湿球温度の予測値に基づいた判断を行う。具体的には、1時間後、2時間後といった複数の近い未来の大気の湿球温度の予測値それぞれが閾値を下回り続ける期間(以下、予測期間という。)が、第1所定期間を超えるか否かを判断する。これは、第1所定期間を超える長期間にわたって大気の湿球温度が低い状態が続くならば、チラー40を停止状態として冷却塔50のみの能力によって空調負荷を処理することが省エネルギーに寄与することに鑑みた判断である。第1所定期間は、例えば5時間、10時間、15時間といった比較的長い期間である。そして、ステップS2での判定がNoの場合、ステップS8に移って切替制御部88がチラー運転を選択して実行する。ステップS1、ステップS2からステップS8への移行は、現在の湿球温度が閾値よりも小さくても、その状態が第1所定期間を超える長期間続かなければフリークーリングに切り替えても直ぐにチラー運転に戻さなくてはいけない、という考え方に基づいている。
【0071】
ステップS2での判定がYesの場合、ステップS3に移行し、判断部87が、チラー運転よりもフリークーリングのほうが好ましく、4つの開閉バルブ61〜64を第1状態から第2状態へと切り替えるべきであると判断し、その判断に基づいて切替制御部88がチラー40の運転状態を停止状態に変えて4つの開閉バルブ61〜64を第2状態に変える。これにより、フリークーリングが始まり、チラー40ではなく熱交換器30によって利用側循環回路12を流れる第2循環水が冷やされる。
【0072】
フリークーリングが始まると、図示しないタイマーが作動し、ステップS4では、フリークーリングの開始から所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間は、ステップS2における第1所定期間よりも短い時間であり、例えば、1時間、2時間、3時間といった時間である。
【0073】
ステップS4においてフリークーリングの開始から所定時間が経過したと判定されると、ステップS5において、温度センサー71が測定した現在の大気の湿球温度(実測値)が、予測どおりに閾値を下回っているか否かを判定する。ステップS5での判定がYesの場合、実測値が予測どおりに推移していると判断部87が判断し、切替制御部88は4つの開閉バルブ61〜64を第2状態のまま維持させ、空調システム100ではフリークーリングが継続される。
【0074】
ステップS5での判定がNoの場合、ステップS7に移行し、判断部87が、フリークーリングよりもチラー運転のほうが好ましく、4つの開閉バルブ61〜64を第2状態から第1状態へと切り替えるべきであると判断し、その判断に基づいて切替制御部88がチラー40を起動させ、4つの開閉バルブ61〜64を第1状態に変える。これにより、空調システム100は、フリークーリングからチラー運転へと切り替わる。また、気象情報サーバ92で更新された気象予測情報92aを、受信部85が新たに受信して制御装置80において予測値が更新されるまで、チラー運転は継続される。
【0075】
(4)空調システムの特徴
(4−1)
従来から良く知られているフリークーリングは、夏ではなく、春や秋の中間期および冬期に主として行われており、チラーを稼働させずに冷却塔のみの能力で利用側の循環水を冷やすため、大きな省エネルギー効果を生んでいる。そして、従来のチラー等の冷凍機を備えた空調システムでは、フリークーリングを行うか否かは、システム管理者の経験や勘に依存することが多かった。しかし、それでは大気の湿球温度が十分に低い日であってもチラー運転が行われてしまうことがあり、無駄にエネルギーを消費していることがあった。
【0076】
これに対し、温度センサーによって大気の湿球温度を測定し、その湿球温度が閾値を下回ったときに自動的にフリークーリングに切り替える制御を採用することが考えられる。冷却塔のファン制御によって水温をどこまで下げることができるのかは、大気の湿球温度に依存するからである。しかし、例えば
図7の湿球温度の時系列カーブWB1M、WB1Pが示すように、1日のうちに閾値を下回ったり上回ったりする現象が何度も繰り返されると、チラー運転とフリークーリングとが何度も切り替わることになる。そして、その切り替えのたびにチラーや冷却塔の準備運転が行われるので、熱媒体である循環水の温度が不安定になって空調負荷が処理できないといった不具合が生じる。すなわち、切り替えのたびに、室温と設定温度との乖離が生じる恐れがある。
【0077】
これらの課題を解決するために、本願発明者は、大気の湿球温度の予測値に基づいてフリークーリングへの切り替えの判断を行うことを発明する。上記の実施形態に係る空調システム100では、チラー運転とフリークーリングとの自動切り替えを、過去の実績等ではなく、近い将来の気象予測情報92aを用いて、大気の湿球温度の予測値に基づいて行っている。このように、フリークーリングを行うための開閉バルブ61〜64の第2状態への切り替えの是非が、判断部87によって、大気の湿球温度の予測値に基づいて判断される(ステップS2参照)。このため、空調システム100では、好適にチラー運転からフリークーリングへの切り替えが行われ、省エネルギーが図られる。
【0078】
空調システム100によれば、上述の
図7の湿球温度の時系列カーブWB1M、WB1Pが示すような大気の湿球温度の乱高下が起こる日であっても、チラー運転とフリークーリングとの頻繁な切り替え(ハンチング)は起こらない。もし大気の湿球温度の現在の値(実測値)のみに基づいて自動切替を行うとハンチングしてしまうが、空調システム100の判断部87は、大気の湿球温度の予測値に基づいた判断を行い、確実に省エネルギー効果が見込めるときにだけフリークーリングへの切り替えを是とする判断を下す。具体的には、ステップS1における現在の湿球温度(実測値)と閾値との比較に加え、ステップS2における予測値に基づく切り替え判断を行っている。ステップS2では、湿球温度が閾値よりも小さいと予想される期間である予測期間が、第1所定期間を超えるか否かを判定する。これを
図7の湿球温度の時系列カーブWB1M、WB1Pに当てはめると、現在の時刻14:00の時点において実測値は閾値を下回っており、ステップS1の判定はYesとなる。しかし、それだけで直ぐにフリークーリングが始まるのではなく、ステップS2の判断が加わっている。そして、例えば第1所定期間が4時間と設定されていると、判断部87は、14:00以降の各時刻の予測値を参照し、15:00、16:00、17:00、18:00の各予測値が閾値を下回っているか否かを調べる。予測値を示す
図7の湿球温度の時系列カーブWB1Pによれば、17:00および18:00の予測値は閾値を下回っているが、15:00および16:00の予測値が閾値を上回っているため、判断部87は、湿球温度が閾値よりも小さいと予想される期間である予測期間は1時間未満であって第1所定期間を超えないと判断し、ステップS8に移行させる。すなわち、空調システム100は、フリークーリングには切り替わらず、チラー運転を続けて行う。
【0079】
また、空調システム100によれば、
図7の湿球温度の時系列カーブWB1M、WB1Pよりも湿球温度のカーブが緩やかな時系列カーブWB2M、WB2Pに示すように大気の湿球温度が推移する日であっても、現在時刻14:00において、フリークーリングへの切り替えは非である(チラー運転を続けるべきである)という判断を判断部87が下す。時系列カーブWB2Mによれば、14:00の時点で現在の湿球温度が閾値を下回っておりステップS1の判定はYesとなるが、予測値を示す時系列カーブWB2Pによれば、湿球温度が閾値よりも小さいと予想される期間である予測期間は1時間強であって第1所定期間(4時間)を超えないと判断部87がステップS2で判定を下し、空調システム100ではチラー運転が続けられる。
【0080】
一方、空調システム100では、
図7の湿球温度の時系列カーブWB3M、WB3Pに示すように大気の湿球温度が推移する日であれば、現在時刻14:00において、フリークーリングへの切り替えは是である(チラー運転からフリークーリングに切り替えるべきである)という判断を判断部87が下し、空調システム100はフリークーリングに切り替わる。具体的には、時系列カーブWB3Mによれば、14:00の時点で現在の湿球温度が閾値を下回っているためステップS1の判定はYesとなり、ステップS2では、予測値を示す時系列カーブWB3Pによれば、湿球温度が閾値よりも小さいと予想される期間である予測期間は7時間であって、その予測期間が第1所定期間(4時間)を超えると判断部87が判定を下す。そして、空調システム100は、チラー運転からフリークーリングに切り替わる。14:00以降、時系列カーブWB3Pに示すように大気の湿球温度が推移し、大気の湿球温度が閾値を下回り続けるのであれば、エネルギーを消費してチラー40の運転を続ける必要はなく、冷却塔50だけで空調負荷を処理できることに鑑みた切替制御である。
【0081】
(4−2)
空調システム100では、外部の気象情報サーバ92から気象予測情報92aを定期的に受信することができる構成を採っているため、手動で気象予測情報を入手する必要がない。
【0082】
(4−3)
空調システム100では、開閉バルブ61〜64の開閉状態を、チラー運転を行うための第1状態からフリークーリングを行うための第2状態へと切り替えることで、チラー運転からフリークーリングへの切り替えができるようにしている。そして、切替制御部88が自動的に開閉バルブ61〜64の開閉をコントロールできる構成を採っているため、チラー運転からフリークーリングへの自動切替が実現されている。
【0083】
(4−4)
空調システム100では、大気の湿球温度を測定する温度センサー71が冷却塔50の近傍に配備されているため、気象予測情報92aから得られる大気の湿球温度の予測値に加え、大気の湿球温度の実測値に基づいて、チラー運転とフリークーリングとの切り替え是非の判断ができている(ステップS1、ステップS5など参照)。
【0084】
具体的には、大気の湿球温度の実測値と予測値の両方が条件を満たす場合(ステップS1,S2を参照)に、第1状態から第2状態への切り替えをしてチラー運転からフリークーリングへ移行するべきであると判断している(ステップS3)。このため、フリークーリングの状態である第2状態への切り替えが是である、と間違って判断部87が判断してしまう可能性が低減されている。また、予測値については、予測値が閾値よりも小さい状態が続く期間(ステップS2の予測期間を参照)を基準とした判断を判断部87が行っているため、より適切な判断ができている。
【0085】
(4−5)
空調システム100では、判断部87が、チラー運転(第1状態)からフリークーリング(第2状態)への切り替えに加え、フリークーリングからチラー運転への切り替えについても判断している(ステップS1,S5参照)。そして、そのフリークーリングからチラー運転への切り替えの判断は、温度センサー71が測定した現在の大気の湿球温度(実測値)に基づいて行われる。これにより、フリークーリングが好ましいと一旦判断されてフリークーリングが行われている空調システム100が、実測値に鑑みるとフリークーリングが好ましくない状況に変わっているときに、それに合わせてチラー運転に切り替えることができている(ステップS7,S8参照)。
【0086】
(4−6)
空調システム100では、判断部87が、チラー運転(第1状態)からフリークーリング(第2状態)への切り替えをするべきであると判断した後、その判断が正しかったか否かを、実測値を用いて短時間(所定時間)後に検証している(ステップS3〜S5を参照)。そして、実測値が閾値より大きいときには、予測が外れて気象予測情報92aが正しくない情報になっていることに鑑み、フリークーリングからチラー運転に戻し(ステップS7)、新しい気象予測情報を入手するまではチラー運転(第1状態)を維持するべきであると判断部87が判断している。このように、空調システム100では、気象予報センター91の予測が外れた場合にも、フリークーリングの是非の判断を実測値に基づいて修正することができている。
【0087】
(5)変形例
(5−1)
上記の実施形態では、気象予測情報92aに含まれる大気の温度や湿度の予測情報から、演算部86が大気の湿球温度の予測値を演算している。しかし、気象情報サーバ92が大気の湿球温度の予測値そのものを示す情報を提供している場合には、それを受信して、そのまま判断部87の判断に用いてもよい。
【0088】
(5−2)
上記の実施形態では、気象情報サーバ92から受信部85で気象予測情報92aを受信する構成を採っているが、手動で気象予測情報92aを取得する構成を採ることもできる。例えば、フリークーリングへの切り替え判断を任されているビル管理者が、別途入手した気象予測情報を手入力したり記録媒体を介して入力したりすることも可能である。
【0089】
また、上記の実施形態では切替制御部88が判断部87の判断に基づいて自動的にフリークーリング或いはチラー運転への切り替えを行う構成を採っているが、判断部87の判断をディスプレイに表示させてビル管理者等が手動で運転切り替えを行う構成を採ってもよい。
【0090】
(5−3)
上記の実施形態では、空調ユニット20として、空気冷却熱交換器21や送風ファン24だけではなく、電気ヒータ22や散水式加湿器23を兼ね備えた多機能ユニットを例示しているが、二次側(利用側)の空調ユニットはシンプルなファンコイルユニットでもよい。
【0091】
(5−4)
上記の実施形態では、オフィスビルへの設置だけではなく、厳格な温度管理が要求されるコンピュータセンターへの設置も想定して、判断部87がフリークーリングからチラー運転への切り替えの判断を行っている。すなわち、現在の大気の湿球温度(実測値)が閾値よりも大きければ、即座にチラー運転に切り替えている(ステップS1,S8参照)。
【0092】
しかし、省エネルギーが重視され、多少の一時的な温度上昇が許容されるオフィスビルのような物件に設置される空調システムであれば、例えば、次のような省エネ制御を採用してもよい。
【0093】
この省エネ制御では、判断部87は、開閉バルブ61〜64が第2状態でありフリークーリングが行われているときに、実測値が閾値よりも大きくなり、且つ、予測値が閾値よりも大きい状態が続く期間が第2所定期間よりも長い場合に、フリークーリング(第2状態)からチラー運転(第1状態)への切り替えをするべきであると判断する。ここでは、判断部87が、切り替えの判断を、大気の湿球温度の実測値と予測値の両方に基づいて行い、予測値が閾値よりも大きい状態が続く期間を基準とした判断を行うため、より省エネルギーに適した判断ができる。例えば、現在の大気の湿球温度はフリークーリングに不適でチラー運転をしなければ空調負荷が処理できない場合でも、1時間後からは大気の湿球温度が下がるという予測が出ている場合には、約1時間だけオフィスビルの温度上昇を我慢してもらうという省エネルギー重視の判断をすることができる。