(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通知手段は、前記特定値が閾値より小さい場合は、前記特定分野にかかわらず、前記通知先情報に登録されている全ての前記通知先のうちの少なくともいずれかに通知する、
請求項1に記載のコミュニケーション処理装置。
【背景技術】
【0002】
近年、産業におけるグローバリゼーションが急速に進展することに伴い、母国語が異なる人同士がコミュニケーションを行う機会が急速に増加している。そして、母国語が異なる人同士がコミュニケーションを行うために、コンピュータを使用した音声翻訳(自動通訳)等のコミュニケーションを支援する技術は、様々な分野において利用されている。しかしながら、この音声翻訳等に関する技術は未だ発展途上であるので、周辺ノイズによる音声認識の誤りや、会話の内容が複雑である場合などにおいて、翻訳ミスや不十分なニュアンスの翻訳が発生するなど、翻訳機能の限界がある。尚、この翻訳機能の限界とは、人間がコミュニケーションを行う観点で、翻訳出力結果が期待される結果と比較して不十分あるいは不適当であることを意味する。このような翻訳機能の限界により、コミュニケーションを行っているユーザ同士に誤解が生じるミスコミュニケーションが発生する問題がある。
【0003】
一方、通訳者が、音声のみあるいは映像と音声を用いて、遠隔地から通訳を行う遠隔通訳サービスがある。係る通訳者は、通常、全ての分野(領域)に関して精通しているわけではなく、得意分野もあれば不得意分野も有している。したがって、通訳者が遠隔通訳サービスに関する要求を受け取った際に、係る要求を発行したユーザが行っているコミュニケーション中の話題が、当該通訳者が不得意とする分野に属し、かつ、その専門性が比較的高い場合、通訳結果が不正確となる可能性が高くなる。これにより、音声翻訳のときと同様に、通訳者の能力の限界(ミスマッチ)を契機としてミスコミュニケーションが発生する問題がある。
【0004】
したがって、音声翻訳システム、あるいは、遠隔通訳サービス等を使用してコミュニケーションを支援する際に、適切な情報処理を行うことにより、ミスコミュニケ−ションが発生することを回避する技術への期待が益々高まっている。
【0005】
このような技術の一例として、特許文献1には、一人の通訳者が通訳をスムーズに対応できない場合、他の通訳者に依頼し直すことによって、通訳サービスをスムーズに提供する通訳サービスシステムが開示されている。このシステムは、ユーザから通訳サービス要求を受信した場合、当該通訳サービス要求に適した通訳者に通訳を依頼する。そして、このシステムは、当該通訳者に通訳を依頼してからの経過時間を計測し、所定の時間が過ぎても当該通訳者からの通訳結果が得られない場合、当該通訳者への依頼を取り消し、他の通訳者に通訳を依頼し直す。
【0006】
また、特許文献2には、標準辞書以外にユーザ辞書や専門用語辞書にも同一項目が登録されている場合に、原文の状況に合わせて、より優先度の高い翻訳規則を適用し、より精度の高い訳文を出力する機械翻訳装置が開示されている。この装置が使用する標準辞書における翻訳規則には、登録語が他の辞書と重なった場合に、その規則を優先するか否かの情報が付与されている。そして、この装置は、複数辞書に登録されている同一見出し語の翻訳規則のうち、どの辞書のどの規則が最も優先度が高いかを判定し、適用する翻訳規則を決定する。
【0007】
また、特許文献3には、振り込め詐欺等の危険性のある会話を自動で検出し、ユーザに危険を報知する不審会話検出装置が開示されている。この装置は、会話の相手が発した音声データに含まれる単語あるいは文節から危険類型を特定する。そして、この装置は、会話内容から切り出した単語又は文節をカテゴリーに分類して抽出し、事前に登録されている特定された危険類型に対応する危険文章と、抽出した単語又は文節を組み合わせて作成される文章とを比較する。これにより、この装置は、係る会話が特定された危険類型の会話であると判定する。
【0008】
さらに、特許文献4には、翻訳を発注する発注者が原稿の内容に合った適切な翻訳者を選択可能であり、翻訳者が自分の条件に合った仕事を請け負うことが可能であり、かつ、実力に合った評価及び収入が得られる翻訳タスク処理システムが開示されている。このシステムは、発注者から提供される情報及び翻訳者から提供される情報を記憶し、発注者から提供される情報及び翻訳者から提供される情報に基づいて、翻訳者を選択する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るコミュニケーション処理システム1の構成を概念的に示すブロック図である。コミュニケーション処理システム1は、例えば、日本人の医師と外国人の患者等、異なる言語を母国語とする人同士が行う会話を支援するシステムである。あるいは、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1は、手話によるコミュニケーションを支援するシステム等である場合もある。
【0020】
本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1は、コミュニケーション処理装置10、通知先端末装置20−1乃至20−n(nは1以上の整数)、タブレットパソコン30、及び、モバイルWiFi(登録商標)(Wireless Fidelity)ルータ31を有している。これらの装置は、通信可能に接続されている。
【0021】
コミュニケーション処理装置10は、コミュニケーションに関する支援全般を制御する、サーバ装置等の情報処理装置である。コミュニケーション処理装置10は、クラウドコンピューティングによるサービスを提供するプロバイダーが所有するデータセンターに設置されていてもよいし、係るコミュニケーションに関する支援を受けるユーザの近辺に設置されていてもよい。
【0022】
通知先端末装置20−1乃至20−nは、通訳者がコミュニケーション処理装置10を使用するユーザに対して、遠隔通訳サービスによる支援を行う際に、支援に関する情報を入出力する装置である。通知先端末装置20−1乃至20−nは、通訳者1人に対して、1台割り当てられている。通知先端末装置20−1乃至20−nは、遠隔通訳サービスに関する提供依頼をコミュニケーション処理装置10から通知された際に、コミュニケーション処理装置10と、映像及び音声(テレビ電話等)、あるいは音声のみ(音声電話等)により接続する。
【0023】
タブレット型のパーソナルコンピュータ(以下、タブレットパソコンと称する)30には、コミュニケーション処理装置10を使用するユーザが装着するヘッドセットマイク(不図示)が接続されている。このヘッドセットマイクは、ユーザによって入力された音声(発信情報)を、モバイルWiFiルータ31を介して、コミュニケーション処理装置10へ送信する。
【0024】
タブレットパソコン30は、また、タッチパネル型の表示画面(不図示)を備えており、コミュニケーション中にユーザが遠隔通訳サービスを要求するときにタッチする、遠隔通訳サービスへの切換えボタン(不図示)を表示することができる。タブレットパソコン30は、ユーザが係る切換えボタンをタッチした場合、ユーザが遠隔通訳サービスを要求していることを、モバイルWiFiルータ31を介して、コミュニケーション処理装置10へ通知する。
【0025】
タブレットパソコン30は、モバイルWiFiルータ31を介して、コミュニケーション処理装置10から受信した翻訳結果に関する情報を、タブレットパソコン30の表示画面にテキストとして表示する、もしくは音声として係るヘッドセットマイクが備えるスピーカから出力する。尚、コミュニケーション処理システムが、手話によるコミュニケーションを支援するシステムである場合、タブレットパソコン30は、装備しているカメラ(不図示)から入力された手話に関する映像(発信情報)を、コミュニケーション処理装置10へ送信する。
【0026】
タブレットパソコン30は、通知先端末装置20−1乃至20−nの何れかから遠隔通訳サービスを受ける場合、当該通知先端末装置とコミュニケーション処理装置10との間の映像あるいは音声、および、ボタンタッチのコマンドや表示テキストに関する入出力を処理する。
【0027】
コミュニケーション処理装置10は、検出部11、判定部12、通知部13、発信情報記憶部14、判定基準記憶部15、通知先情報記憶部16、及び、情報処理部17を備えている。検出部11、判定部12、通知部13、及び、情報処理部17は、電子回路の場合もあれば、コンピュータプログラム(ソフトウェアプログラム)とそのコンピュータプログラムによって動作するプロセッサによって実現される場合もある。発信情報記憶部14、判定基準記憶部15、及び、通知先情報記憶部16は、電子回路あるいはコンピュータプログラムをそのコンピュータプログラムに従って動作するプロセッサによってアクセス制御が行われる電子メモリあるいは磁気ディスク等の記憶デバイスである。
【0028】
発信情報記憶部14は、タブレットパソコン30から受信した、ユーザから入力された所定の期間分の音声あるいは映像を、発信情報140として記憶する。
【0029】
情報処理部17は、発信情報140に関する音声認識、及び、機械翻訳等の情報処理をリアルタイム処理した後、情報処理した結果を、タブレットパソコン30へ送信する。
【0030】
検出部11は、ユーザが遠隔通訳サービスを要求していることを、タブレットパソコン30から通知された場合、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知部13へ通知する。検出部11は、また、発信情報140の内容を基に、例えば「特願2013−167246」に記載された技術などを用いて、コミュニケーションに関する不全状態が発生していることを検出する。検出部11は、例えば、係るコミュニケーションを行う何れかのユーザが、同じ内容の発声を所定の回数繰り返す状態が発生した場合、不全状態が発生していることを検出する。検出部11は、例えば、係るコミュニケーションを行う何れかのユーザが、「もう一度お願いします」等の聞き返しを示す発声を所定の回数繰り返す状態が発生した場合、不全状態が発生していることを検出する。検出部11は、また係る不全状態を検出した場合、遠隔通訳サービスへの要求が発生したとして、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知部13へ通知する。
【0031】
判定部12は、発信情報記憶部14に記憶された発信情報140から、例えば、形態素解析等の手法を用いて、発信情報140が包含する要素であるワードを抽出する。判定部12は、係るワードを情報処理部17から入手してもよい。判定部12は、抽出したワードを、判定基準記憶部15に記憶された判定基準(判定基準を示す情報)150と照合する。判定基準150は、コミュニケーション処理システム1を管理するシステム管理者等によって、判定基準記憶部15に格納されている。
【0032】
判定基準150の構成例を
図2に示す。判定基準150は、
図2に示す通り、「ワード」、「専門性の高さ」、「話題分野」、及び、「優先度」を関連付けたレコードを1以上包含するテーブルである。尚、
図2に示す判定基準150は一例であり、判定基準150は、
図2に示す内容とは別の内容であってもよい。
【0033】
判定基準150における「ワード」は、発信情報140に要素として含まれる可能性があるワードの内容を示している。
【0034】
判定基準150における「話題分野」は、関連付けられたワードを包含する発信情報140がユーザから発せられた場合における、コミュニケーションに関する話題の分野を識別可能な情報である。発信情報140が、例えば、「手術」あるいは「腹痛」等のワードを含んでいる場合、判定部12は、
図2に示す通り、係るコミュニケーションに関する話題の分野が「医療」であると判定する。発信情報140が、例えば、「富士山」あるいは「京都」等のワードを含んでいる場合、判定部12は、
図2に示す通り、係るコミュニケーションに関する話題の分野が「観光・名物」であると判定する。
【0035】
判定基準150における「専門性の高さ」は、関連付けられたワードを包含する発信情報140がユーザから発せられた場合における、コミュニケーションに関する専門性の高さ、すなわち、ミスコミュニケーションが発生するリスクの高さを示している。発信情報140が、例えば、「手術」というワードを含んでいる場合、判定部12は、
図2に示す通り、係るコミュニケーションに関する専門性の高さが「高」であると判定する。すなわち、この場合、判定部12は、係るコミュニケーションが専門性が高い難解な話題に関することであり、ミスコミュニケーションが発生するリスクが高いと判定する。発信情報140が、例えば、「お見舞」というワードを含んでいる場合、判定部12は、
図2に示す通り、係るコミュニケーションに関する専門性の高さが「低」であると判定する。すなわち、この場合、判定部12は、係るコミュニケーションが専門性が低い平易な話題に関することであり、ミスコミュニケーションが発生するリスクが低いと判定する。
【0036】
判定基準150における「優先度」は、コミュニケーションに関して、専門性の高さが同等である複数の話題分野の候補がある場合において、話題分野を1つに決定する際の優先度を示している。この優先度は、ミスコミュニケーションが発生した場合に、ユーザに対して与える影響の大きさを考慮して設定されている。例えば、発信情報140が、「刺身を食べたら腹痛になった」という文章を包含している場合を考える。この場合、判定部12は、発信情報140が包含するワードとして、「刺身」及び「腹痛」を抽出する。
図2に示す判定基準150において、「刺身」というワードは、「観光・名物」という話題の分野に属し、専門性の高さは、「中」である。「腹痛」というワードは「医療」という話題の分野に属し、専門性の高さは、「中」である。したがって、この場合、判定部12は、専門性の高さがいずれも「中」である話題分野である「観光・名物」及び「医療」を、話題分野の候補として選択する。ここで、
図2に示す判定基準150において、「観光・名物」に関する優先度は「2」であり、「医療」に関する優先度は「1」である。本実施形態に係る判定基準150は、優先度を示す数値が小さいほど、優先度が高いことを示している。したがって、判定部12は、係るコミュニケーションに関する話題の分野が「医療」であると判定する。
【0037】
判定部12は、発信情報140が包含する1以上のワードを判定基準150と照合することにより、コミュニケーションに関する話題の分野及びその専門性の高さを判定する。判定部12は、発信情報140が、特定の話題の分野に関して、複数の専門性の高さに関連付けられた複数のワードを包含する場合、最も値が高い専門性の高さを、係る特定の話題に関する専門性の高さと判定する。そして、判定部12は、コミュニケーションが、専門性の高さが同等である複数の話題の分野に関係する場合、係る複数の話題の分野のうち、優先度が最も高い話題の分野を、係るコミュニケーションに関する話題の分野と判定する。
判定部12は、判定した話題の分野及び専門性の高さを、通知部13へ入力する。
【0038】
通知部13は、検出部11から、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知された場合、判定部12から入力されたコミュニケーションに関する話題の分野及び専門性の高さを、通知先情報記憶部16に記憶された通知先情報160と照合する。通知先情報160は、コミュニケーション処理システム1を管理するシステム管理者等によって、通知先情報記憶部16に格納されている。通知部13は、この照合によって、通知先端末装置20−1乃至20−nのうちから、通知先である通知先端末装置を決定し、当該通知先端末装置へ、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する。
【0039】
通知先情報160の構成例を
図3に示す。通知先情報160は、
図3に示す通り、「話題分野」、「スキル」、「通知先」、及び、「アドレス」を関連付けたレコードを1以上包含するテーブルである。尚、
図3に示す通知先情報160は一例であり、通知先情報160は、
図3に示す内容とは別の内容であってもよい。
【0040】
通知先情報160における「話題分野」は、判定基準150に関する説明において説明した通りである。通知先情報160における「スキル」は、通知先における通訳者の専門性の高さを示す指標である。例えば、特定の話題の分野に関してスキルが「高」である場合、当該レコードにおける通知先における通訳者が、当該話題の分野に関する全ての話題について、遠隔通訳処理を担当可能であることを示している。また、特定の話題の分野に関してスキルが「中」である場合、当該レコードにおける通知先における通訳者が、当該話題の分野に関する専門性が「中」以下である話題について、遠隔通訳処理を担当可能であることを示している。
【0041】
通知先情報160は、また、スキルが「低」であるレコードについては、特定の話題の分野と関連付けておらず、当該レコードにおける話題分野は「全般」としている。これは、コミュニケーションの専門性の高さが「低」である場合は、話題の分野にかかわらず、どの通訳者も遠隔通訳処理を担当可能であるということに基づいている。
【0042】
通知先情報160における「通知先」及び「アドレス」は、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する通知先である通知先端末装置に関する名称およびアドレスを示している。
【0043】
通知部13は、判定部12から入力されたコミュニケーションに関する話題の分野、及び、専門性の高さから特定されるスキルに関連付けられたアドレスを有する通知先端末装置に、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する。例えば、判定部12から入力されたコミュニケーションに関する話題の分野が「医療」であり、専門性の高さが「高」である場合、通知部13は、
図3に示す通り、通知先端末装置20−a1に、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する。例えば、判定部12から入力されたコミュニケーションに関する話題の分野が「観光・名物」であり、専門性の高さが「中」である場合、通知部13は、
図3に示す通り、通知先端末装置20−b1及び20−b3のうちの少なくともいずれかに、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する。また、例えば、判定部12から入力されたコミュニケーションに関する専門性の高さが「低」である場合、通知部13は、判定部12から入力されたコミュニケーションに関する話題の分野によらず、通知先情報160に登録されている全ての通知先のうちの少なくともいずれかに、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する。
【0044】
尚、通知部13は、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する通知先の候補が複数ある場合、所定の基準に基づき、係る複数の通知先のうちのいずれか1つを選択してもよい。あるいは、通知部13は、係る複数の通知先の全てに一斉に通知してもよい。通知部13が係る複数の通知先の全てに一斉に通知する場合、係る通知に対して最初に応答した通知先端末装置が、遠隔通訳サービスを提供する。
【0045】
次に
図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1の動作(処理)について詳細に説明する。
【0046】
発信情報記憶部14は、タブレットパソコン30から受信した発信情報140を記憶する(ステップS101)。情報処理部17は、発信情報140について、音声認識処理及び機械翻訳処理を行い、その処理結果をタブレットパソコン30へ送信する(ステップS102)。判定部12は、発信情報140からワードを抽出する(ステップS103)。判定部12は、抽出したワードを判定基準150と照合することによって、コミュニケーションに関する話題の分野及び専門性の高さを判定する(ステップS104)。
【0047】
検出部11が遠隔通訳サービスへの要求があることを検出しない場合(ステップS105でNo)、処理はステップS101へ戻る。検出部11が遠隔通訳サービスへの要求があることを検出した場合(ステップS105でYes)、判定部12は、判定結果である話題の分野及び専門性の高さを、通知部13へ入力する(ステップS106)。
【0048】
通知部13は、判定結果である話題の分野及び専門性の高さを通知先情報160と照合することにより、通知先である通知先端末装置20−i(iは1乃至nの少なくともいずれかの整数)を決定し、通知先端末装置20−iに遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する(ステップS107)。通知先端末装置20−iは、コミュニケーション処理装置10と、映像情報あるいは音声情報による通信を開始して、遠隔通訳サービスの提供を開始し(ステップS108)、全体の処理は終了する。
【0049】
本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1は、言語を使用して発信された発信情報を用いるコミュニケーション支援処理において外部の通訳者から支援を受ける際に、支援を受けるユーザ間で行われたコミュニケーションに関する分野及び専門性の高さに応じて、適切な通訳者を選択することによって、ミスコミュニケーションが発生するリスクを低減することができる。その理由は、判定部12が発信情報140から抽出したワードを判定基準150と照合することによって、コミュニケーションに関する分野及び専門性の高さを判定し、通知部13がその判定結果を通知先情報160と照合することにより、係るコミュニケーションを支援可能な通訳者の通知先端末装置に通知するからである。
【0050】
母国語が異なる人同士におけるコミュニケーションを支援する方法には、音声翻訳システムを使用する方法、あるいは、遠隔通訳サービスを使用する等がある。音声翻訳システムを使用する方法は、通訳者に関する人手不足の問題を解消できるが、音声翻訳等に関する技術が未だ発展途上であるため、翻訳が高品質であるとはいえない。一方、遠隔通訳サービスを使用する方法は、音声翻訳システムと比較して高品質である翻訳結果を期待できるが、通訳者に関する人手不足の問題がある。これらの問題を解消するために、最初は音声翻訳システムを使用し、必要に応じて遠隔通訳サービスに切換えるシステムが考えられる。
【0051】
このようなシステムにおいては、コミュニケーションに関する話題の分野及びその専門性の高さに応じて、適切な通訳者が遠隔通訳サービスを提供するようにすることが重要である。その理由は、例えば、コミュニケーションに関する専門性が比較的高い場合、当該コミュニケーションに関する話題の分野に関して、高いスキル(専門性)を保有する通訳者でないと、正確に通訳を行うことが困難であるため、ミスコミュニケーションが発生するリスクが高くなるからである。したがって、このようなシステムにおいて、ミスコミュニケーションが発生するリスクを低減する技術が求められている。
【0052】
これに対して、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1では、判定基準150が、ワードに関連付けられた話題の分野及びその専門性の高さを定義している。そして、本実施形態に係る判定部12が、発信情報140に含まれるキーワードを判定基準150と照合することにより、コミュニケーションに関する話題の分野及び専門性の高さを判定する。次に、通知部13が、その話題の分野及び専門性の高さを通知先情報160と照合することにより、係るコミュニケーションを支援可能な通知先のアドレスへ、遠隔通訳サービスへの要求があることを通知する。これにより、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1は、コミュニケーションを支援可能な通訳者に、通訳サービスを確実に依頼することができる。
【0053】
通訳者には、業務経験が長くスキルが高い人もいれば、業務経験が浅くスキルがまだ低い人もいる。スキルが高い通訳者が全ての通訳サービスを提供することが理想ではあるが、人的リソースの観点から現実的ではない。コミュニケーションに関する専門性が高い場合は、ミスコミュニケーションが発生するリスクを避けるため、スキルが高い通訳者が通訳を担当することが必須である。これに対して、コミュニケーションに関する専門性が低い場合は、スキルが低い通訳者が通訳を担当しても、ミスコミュニケーションが発生するリスクは小さい。本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1は、コミュニケーションに関する専門性が低い場合は、スキルが低い通訳者を活用することが可能であるため、
人的リソースの観点をふまえた最適な通訳サービスを提供することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1では、判定基準150において、話題の分野に関する優先度を定義している。この優先度は、ミスコミュニケーションが発生した場合に、ユーザに対して与える影響の大きさを考慮して設定されている。このため、コミュニケーション処理システム1は、コミュニケーションに関して、専門性の高さが同等である複数の話題分野の候補がある場合において、ユーザに対して与える影響が可能な限り小さくなるように、通訳者を選択することができる。
【0055】
また、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1は、例えば、コミュニケーションに関する話題の分野が「医療」であり、重要度が「中」である場合、
図3に例示する、通知先端末装置20−a1乃至20−a4に一斉に通知できる。そして、通知先端末装置20−a1乃至20−a4のうち最初に応答した通知先端末装置が、コミュニケーション処理装置10と映像及び音声(テレビ電話等)、あるいは、音声のみ(音声電話等)により、ユーザに対して通訳サービスを提供する。これにより、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1は、通知先である通訳者が不在であることにより、通訳サービスを提供できないことを回避できる。
【0056】
さらに、本実施形態に係るコミュニケーション処理システム1では、発信情報記憶部14が所定の期間分の発信情報140を記憶し、判定部12が、発信情報140の内容に基づき、コミュニケーションに関する話題の分野及び専門性の高さを判定する。これにより、判定部12は、発信情報140の履歴をふまえた、より正確な判定を行うことができる。尚、判定部12は、係る判定を行う際に、最新情報140における新しい情報に重みをつけるようにしてもよい。
【0057】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係るコミュニケーション処理装置40の構成を概念的に示すブロック図である。
【0058】
本実施形態に係るコミュニケーション処理装置40は、言語を用いるコミュニケーションに伴い発生した内容を表す発信情報を用いることによってコミュニケーションを支援する装置である。本実施形態に係るコミュニケーション処理装置40は、判定部41、及び、通知部43を備えている。
【0059】
判定部41は、係る発信情報を基に、例えば支援を受けるユーザ間で行われたコミュニケーションに関する分野及び専門性の高さを判定する。
【0060】
通知部43は、係るコミュニケーションに関して外部の通知先から支援を受ける際に、係る通知先を示すアドレスと、コミュニケーションに関する分野及び専門性の高さと、が関連付けされている通知先情報420を参照する。そして、通知部43は、通知先情報420において、判定部41が判定した特定分野に関連付けられ、かつ、係る専門性の高さが判定部41が判定した特定値以上である通知先のうちの少なくともいずれかに、係る支援を依頼することを通知する。
【0061】
本実施形態に係るコミュニケーション装置40は、言語を使用して発信された発信情報を用いるコミュニケーション支援処理において外部の通訳者から支援を受ける際に、支援を受けるユーザ間で行われたコミュニケーションに関する分野及び専門性の高さに応じて、適切な通訳者を選択することによって、ミスコミュニケーションが発生するリスクを低減することができる。その理由は、判定部41が発信情報の内容を基に、コミュニケーションに関する分野及び専門性の高さを判定し、通知部43がその判定結果を通知先情報420と照合することにより、係るコミュニケーションを支援可能な通訳者の通知先端末装置に通知するからである。
【0062】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1、及び、
図5に示した各部は、専用のHW(HawdWare)(電子回路)によって実現することができる。また、少なくとも、判定部12及び41、及び、通知部13及び43は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、
図6を参照して説明する。
【0063】
図6は、本発明の模範的な実施形態に係るコミュニケーション処理装置を実行可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図6は、
図1、及び、
図5に示したコミュニケーション処理装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0064】
図6に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク904(記憶装置)、
・外部装置との通信インタフェース905(Interface:以降、「I/F」と称する)、
・CD−ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記憶媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・入出力インタフェース909、
情報処理装置900は、これらの構成がバス906(通信線)を介して接続された一般的なコンピュータである。
【0065】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、
図6に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1、及び、
図5)における、設定部12及び41、及び、通知部13及び43、或いはフローチャート(
図4)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性の記憶メモリ(RAM903)またはハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0066】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD−ROM等の各種記憶媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記憶媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0067】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。