【実施例】
【0014】
図1および
図2に示すように、本発明の一実施形態である空気清浄機1は、各々合成樹脂材で成形された天面パネル11a、右側面パネル11b、左側面パネル11c、底部11dで略直方体状に形成された本体部11を有し、本体部11の一方の面に合成樹脂材で成形された前面パネル12が配置され、他方の面に合成樹脂材で成形されたリアパネル14が配置されている。尚、以降の説明において、必要に応じ本体部11の前面パネル12配置側を本体部前面側、本体部11のリアパネル14配置側を本体部背面側と称する。
【0015】
前面パネル12の前方には、合成樹脂材で成形されたフロントパネル13が配置され、このフロントパネル13と前面パネル12との間に、本発明の空気吸込口である上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cが形成される。また、本体部11とリアパネル14との間に、本発明の空気吹出口である上面吹出口14a、右側面吹出口14b、および左側面吹出口14cが形成される。空気清浄機1では、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cから本体部11に吸い込んだ空気を、上面吹出口14a、右側面吹出口14b、および左側面吹出口14cから室内に吹き出す間に、空気の除塵・加湿および脱臭処理が行われるようになっている。
尚、
図3および
図4に示すように、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cと、上面吹出口14a、右側面吹出口14b、および左側面吹出口14cとを連通する本体部11内部の空間が、本発明の空気清浄機1における通風路10となる。
【0016】
空気清浄機1の上面部には、上面吸込口13aの一部を覆うように操作部15が設けられている。操作部15は、電源ボタンや運転モード切り換えボタン等の空気清浄機1を操作するボタンが配置されるとともに、空気清浄機1の運転状態や図示しない塵埃センサ等の検出器における検出結果を表示する表示部が配置されている。
【0017】
図3に示すように、空気清浄機1の本体部11内部の通風路10には、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cから上面吹出口14a、右側面吹出口14b、および左側面吹出口14cに向かって順に、プレフィルタ21、集塵ユニット22、脱臭ユニット23、加湿ユニット24、送風機25が配置されている。
【0018】
プレフィルタ21は、例えば糸状のPET材を編みこんで網目構造としたものであり、本体部11内部に吸い込まれる空気に含まれる塵埃を捕集する。
図4に示すように、プレフィルタ21は、本体部前面側に向かって凸となるようなアーチ形状に形成されているので、プレフィルタ21を平坦な形状とする場合と比べて、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cから本体部11内部に吸い込まれた空気がプレフィルタ21を通過する面積が大きくなるので、より多くの塵埃を捕集することができる。
【0019】
図3および
図5に示すように、集塵ユニット22は、第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとで構成されており、第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとは上下方向に並べて配置されている。第1電気集塵機22aおよび第2電気集塵機22bは、図示しない放電電極と集塵電極とを有し、放電電極によるコロナ放電によりプレフィルタ21で捕集できなかった細かな塵埃や花粉等を帯電させ、帯電した塵埃や花粉等を集塵電極で捕集する。第1電気集塵機22aおよび第2電気集塵機22bは、主に上述した放電電極や集塵電極、および、これらを保持する筐体で形成されているので、集塵ユニット22は、背景技術で説明した不織布をプリーツ形状に形成した集塵フィルタに比べて空気抵抗が小さい。尚、
図5においては、集塵ユニット22(第1電気集塵機22aおよび第2電気集塵機22b)が視認しやすいようにするために、フロントパネル13の描画を省略している。
【0020】
図3、
図4および
図6に示すように、脱臭ユニット23は、脱臭フィルタ23aと加熱手段である加熱部23fとを有する。
図6に示すように、脱臭フィルタ23aは、例えば、平板材と波形に連続屈曲した屈曲材とを交互に積層してなる波形構造やハニカム構造のような多孔構造の基材を円板形状に形成してなり、その基材23aaに臭気成分を吸着して分解する触媒層23abを設けたものである。
図3および
図4に示すように、加熱部23fは、PTCヒータ23bと、2枚の放熱板23cと、2個の断熱材23dと、2個のケース23eとで構成される。PTCヒータ23bは、2枚の放熱板23cのうち本体部前面側に配置された放熱板23cに取り付けられて、2枚の放熱板23cを加熱する。2枚の放熱板23cは、各々が略三角形状に形成された金属板であり、
図3および
図4に示すように、脱臭フィルタ23aの一部を覆うように配置される。2枚の放熱板23cは、脱臭フィルタ23aの中央部に位置する箇所や脱臭フィルタ23aの外径側で接触するように構成されているので、PTCヒータ23bにより本体前面側に配置された放熱板23cだけではなく、本体背面側の放熱板23cも加熱される。断熱材23dは、PTCヒータ23bや放熱板23cを覆うように配置されてPTCヒータ23bや放熱板23cからの熱が外部に逃げることを抑制する。ケース23eは、PTCヒータ23bや放熱板23cや断熱材23dを保持できる形状に形成されている。
このように、脱臭フィルタ23aは多孔構造を有しており、また、加熱部23fが脱臭フィルタ23aの一部のみ覆う構造となっているので、脱臭フィルタ23aの空気抵抗は小さい。
【0021】
脱臭フィルタ23aの脱臭能力を再生するときは、PTCヒータ23bにより2枚の放熱板23cを加熱し、2枚の放熱板23cにより覆われた脱臭フィルタ23aの一部を加熱する。図示しないモータによって脱臭フィルタ23aを回転させながら脱臭フィルタ23aを加熱することによって、脱臭フィルタ23aの触媒層23abに吸着されていた臭気成分の分解が促進され、脱臭フィルタ23aの脱臭能力が再生される。尚、脱臭フィルタ23aが回転するのではなく、放熱板23cが移動することによって脱臭フィルタ23aを加熱してもよい。また、脱臭ユニット23は上記に限らず、加熱手段(PTCヒータ23bおよび放熱板23c)を設けず、触媒層の代わりに活性炭のような臭気成分の吸着材を基材に添加した脱臭フィルタで脱臭ユニットを構成し、吸着能力が低下すれば新しい脱臭フィルタに交換するようにしてもよい。
【0022】
図3、
図4および
図6に示すように、加湿ユニット24は、加湿フィルタ24aと水を貯留する貯水タンク24bとを有する。加湿フィルタ24aは、円板形状に形成されてその一部が貯水タンク24bに溜められた水に浸った状態で回転軸により回転可能に支持されており、図示しないモータにより回転させて、加湿フィルタ24aの外周に設けられた水汲み桶で貯水タンク24bから水を汲み上げて加湿フィルタ24aを湿潤させるようになっている。尚、加湿ユニット24は上記に限らず、回転によって水分を汲み上げる加湿フィルタ24aに代えて、毛細管現象によって水分を吸い上げる加湿フィルタであってもよい。また、
図6においては、脱臭ユニット23や加湿ユニット24が視認しやすいようにするために、フロントパネル13や底部11d以外の本体部11を構成する部材、集塵ユニット22等の描画を適宜省略している。
【0023】
図3、
図4および
図7に示すように、送風機25は、ターボファン25aとファンモータ25bとを有する。ターボファン25aは、合成樹脂材で形成されており、ファンモータ25bの出力軸に接続されている。ファンモータ25bは回転数可変であり、ファンモータ25bが回転することでターボファン25aも回転し、ターボファン25aの回転によって、空気清浄機1内部へ空気が流入あるいは空気清浄機1内部から空気が流出する。尚、
図7においては、送風機25が視認しやすいようにするために、フロントパネル13や底部11d以外の本体部11を構成する部材、集塵ユニット22、脱臭ユニット23、加湿ユニット24等の描画を適宜省略している。
【0024】
以上説明した構成を有する空気清浄機1において、使用者が操作部15を操作して空気清浄機1の運転を開始すると、送風機25が駆動するとともに、集塵ユニット22の第1電気集塵機22aおよび第2電気集塵機22bに通電が開始され、加湿ユニット24の加湿フィルタ24aが回転を開始する。送風機25が駆動すると、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cから本体部11内部に空気が吸い込まれる。
【0025】
本体部11内部に吸い込まれた空気は、1)通風路10における脱臭ユニット23の下部と加湿ユニット24の上部とが前後方向に重なって配置される箇所では、プレフィルタ21→集塵ユニット22→脱臭ユニット23→加湿ユニット24の順に、2)通風路10における脱臭ユニット23の下部と加湿ユニット24の上部とが前後方向に重なって配置されていない箇所では、プレフィルタ21→集塵ユニット22→脱臭ユニット23の順に、または、プレフィルタ21→集塵ユニット22→加湿ユニット24の順に、それぞれ流れて、上面吹出口14a、右側面吹出口14b、および左側面吹出口14cから空気清浄機1が設置された室内に吹き出される。
【0026】
上記のように空気清浄機1内部の通風路10を空気が通過する際に、プレフィルタ21および通電されている集塵ユニット22で塵埃や花粉が除去される。また、脱臭ユニット23で臭気成分が除去されるとともに、加湿ユニット24で加湿される。尚、上述したように、脱臭ユニット23より各空気吸込口側に集塵ユニット22が配置されているので、脱臭ユニット23に流入する空気は塵埃や花粉等が除去されており、塵埃や花粉等によって脱臭ユニット23の脱臭フィルタ23aが目詰まりすることがない。
【0027】
図3および
図6を用いて、脱臭ユニット23と加湿ユニット24の配置についてさらに詳述する。
図3、
図6に示すように、脱臭ユニット23と加湿ユニット24は、脱臭ユニット23が備える脱臭フィルタ23aと、加湿ユニット24が備える加湿フィルタ24aとが、通風方向に対してお互いに一部が重なるように通風路10に沿って順次配置されている。具体的には、脱臭ユニット23を通風路10の上部に配置し、加湿ユニット24を通風路10の下部に配置することにより、脱臭フィルタ23aの下部と加湿フィルタ24aの上部とが通風方向に対して前後方向に重なって通風路10に配置されている(
図3のA部分)。このように、脱臭ユニット23と加湿ユニット24を配置することにより、脱臭と加湿を可能にしつつ、筐体を小型化し通風抵抗を抑えることができ、脱臭後の空気の一部を加湿フィルタ24aで加湿することもできる。また、脱臭ユニット23を上部、加湿ユニット24を下部に配置することで、
図6に示すように、脱臭ユニット23が備える加熱部23fと、加湿ユニット24が備える貯水タンク24bをお互いに離した位置に配置することができるため、加湿ユニット24において、加湿フィルタ24aの回転によって貯水タンク24bに溜められた水を汲み上げて加湿フィルタ24aを湿潤させる際に、汲み上げた水が脱臭ユニット23の加熱部23fに飛散することがない。
【0028】
図6に示すように、脱臭ユニット23は、加湿ユニット24の風上側に配置されており、脱臭フィルタ23aを回転可能に保持する保持部23gを有する。保持部23gは、内形が脱臭フィルタ23aの円板形状に沿った円筒形状に形成され、外形が矩形状に形成されている。また、保持部23gは、通風方向に対して加湿フィルタ24aと重なる下部の位置に、本体部11内部に吸込まれた空気を通風する通風孔23ga(通風手段)が形成されている。尚、通風手段は、通風孔23gaに替えて切欠きが形成されていてもよい。上述したように、加湿ユニット24よりも風上側に脱臭ユニット23が配置されているので、加湿された水分を含んだ空気によって脱臭ユニット23の脱臭フィルタ23aが目詰まりすることがない。
【0029】
なお、加湿ユニット24は、図示しないモータの駆動を制御することで、加湿フィルタ24aの湿潤状態を制御することができる。操作部15の運転モード切り換えボタンの押下により、脱臭のみの運転モードが選択されると、図示しないモータの駆動を止め、加湿フィルタ24aの回転を停止させ、加湿フィルタ24aへの水の供給を停止することで、空気の加湿運転を停止させる。
【0030】
また、以上説明したように、本実施形態の空気清浄機1は、2台の電気集塵機からなる集塵ユニット22と、2枚の放熱板23cが脱臭フィルタ23aの一部のみを覆うよう構成された脱臭ユニット23と、ターボファン25aを有する送風機25とを有する。そして、前述したように、集塵ユニット22は、背景技術で説明した不織布をプリーツ形状に形成した集塵フィルタに比べて通風抵抗が小さく、また、脱臭ユニット23も、背景技術で説明した触媒フィルタとほぼ同面積となるよう形成された板形状の加熱部を有する脱臭ユニットに比べて通風抵抗が小さい。
【0031】
また、集塵ユニット22や脱臭ユニット23の通風抵抗が小さいだけでなく、
図3乃至
図7に示したように、脱臭ユニット23と加湿ユニット24が一部で重なるように配置していることから、上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cから上面吹出口14a、右側面吹出口14b、および左側面吹出口14cに向かって、集塵ユニット22、脱臭ユニット23、加湿ユニット24、送風機25の順に並べて配置しても通風抵抗が大きくならないので、シロッコファンと比べて静圧が低い、つまり、同じ通風抵抗がある場合においてシロッコファンより風量が小さいが、シロッコファンと比べて効率が高く騒音が小さいターボファン25aを送風機25に用いることができ、必要な集塵能力や脱臭能力を確保しつつ騒音を抑制した空気清浄機1を実現できる。尚、ターボファン25aは、シロッコファンが備える渦巻きケーシングが不要なことから、シロッコファンより小型化と薄型化ができる。このため、空気清浄機1の筐体寸法が大きくなることをさらに防ぐことができる。そして、上記のように通風路10に沿って順次各構成(集塵ユニット22、脱臭ユニット23、加湿ユニット24、送風機25)を並べて配置することによって、本体部11が前後(奥行き)方向の寸法が長くなり、かつ、本体部11の前面側に各空気吸込口を配置し本体部11の背面側に各空気吹出口を配置しているので、
図4に示す各空気吸込口と各空気吹出口との距離Lを大きくすることができる。これにより、各空気吹出口から室内に吹き出された空気がすぐに各空気吸込口から空気清浄機1内部に吸い込まれる、所謂空気吸込口と空気吹出口との間のショートサーキットの発生が抑制される。
【0032】
上述したショートサーキットが発生しづらい距離Lを実現できるので、本体部11前方の上端部、右側端部、左側端部の3方向から空気清浄機1内部に空気を吸込むための上面吸込口13a、右側面吸込口13b、および左側面吸込口13cを備えることができ、また、本体部11後方の上端部、右側端部、左側端部から3方向へ空気を吹き出すための上面吹出口14a、右側面吹出口14b、および左側面吹出口14cを備えることができる。従って、空気吸込口および空気吹出口の面積を大きくでき、空気の吸い込み量や吹き出し量を十分に確保できるとともに、3方向からの空気の吸い込みおよび吹き出しを行うことで、空気清浄機1が設置された室内の空気をまんべんなく吸い込んで集塵・加湿および脱臭し、浄化した空気を吹き出して室内に行き渡らせることができる。
【0033】
尚、
図3の線分Pに示すように、ファンモータ25bの中心の高さを、集塵ユニット22の第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとの間の空間の高さに合せるように、集塵ユニット22および送風機25を配置することが望ましい。ファンモータ25bの中心付近には、ターボファン25aの回転による空気の流れが少ないため、本体部11内部におけるファンモータ25bの中心付近の空間での空気の流れは少ない。そこで、集塵ユニット22のうち空気が通過しても集塵能力のない第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとの間の空間の高さを、ファンモータ25bの中心の高さに合わせることによって、空気の流れが多いターボファン25aの羽根が存在する空間に第1電気集塵機22aと第2電気集塵機22bとを配置することとなるので、効率的に集塵ユニット22での除塵が行える。
【0034】
以上説明した通り、本実施形態の空気清浄機1は、脱臭フィルタ23aの下部と加湿フィルタ24aの上部とが通風方向に対して前後方向に重なるように通風路10に配置されている。このため、脱臭と加湿を可能にしつつ通風抵抗を抑え、空気清浄機1の筐体である本体部11が大きくなるのを避け小型化することができる。また、脱臭ユニット23の保持部23の下部に通風孔23gaが形成されている。このため、脱臭ユニット23の下部と加湿ユニット24の上部が重なる箇所でも通風抵抗を抑えることができる。