特許第5958555号(P5958555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958555
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/12 20130101AFI20160719BHJP
   H01G 11/66 20130101ALI20160719BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20160719BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20160719BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H01G11/12
   H01G11/66
   H01G11/80
   H01M10/0585
   H01M4/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-550068(P2014-550068)
(86)(22)【出願日】2013年9月25日
(86)【国際出願番号】JP2013075910
(87)【国際公開番号】WO2014083925
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-260677(P2012-260677)
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 景司
(72)【発明者】
【氏名】堀口 広貴
(72)【発明者】
【氏名】林 孝至
(72)【発明者】
【氏名】上田 安彦
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/118418(WO,A1)
【文献】 特開2011−066378(JP,A)
【文献】 特開2012−033907(JP,A)
【文献】 特開2010−219237(JP,A)
【文献】 特表2012−524980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/12
H01G 11/66
H01G 11/80
H01M 4/04
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向及び幅方向に沿って延びる第1及び第2の主面と、前記長さ方向及び厚み方向に沿って延びる第1及び第2の側面と、前記幅方向及び前記厚み方向に沿って延びる第1及び第2の端面とを有するデバイス本体と、
前記第1の端面の上に設けられた第1の外部電極と、
前記第2の端面の上に設けられた第2の外部電極と、
を備え、
前記デバイス本体は、
前記第1の外部電極に電気的に接続されている第1の内部電極と、
前記第1の内部電極と対向しており、前記第2の外部電極に電気的に接続されている第2の内部電極と、
前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との間に配されており、電解質を保持している電解質保持層と、
を有し、
前記第1の内部電極は、
第1の集電体と、
前記第1の集電体の前記第2の内部電極側の表面上に設けられた第1の活物質層と、
を有し、
前記第2の内部電極は、
第2の集電体と、
前記第2の集電体の前記第1の内部電極側の表面上に設けられた第2の活物質層と、
を有し、
前記デバイス本体は、
前記電解質保持層として、
前記第1の内部電極の前記第2の内部電極側の表面上に配された第1の電解質保持層と、
前記第2の内部電極の前記第1の内部電極側の表面上に配された第2の電解質保持層と、
を有し、
前記デバイス本体は、
前記第1の内部電極の前記第1の電解質保持層とは反対側の表面上に設けられており、前記第2の端面側に至っている第1の表層と、
前記第2の内部電極の前記第2の電解質保持層とは反対側の表面上に設けられており、前記第1の端面側に至っている第2の表層と、
前記長さ方向における前記第2の内部電極よりも前記第1の端面側において、前記第1の集電体と前記第2の表層との間に配された第1の粘着部材と、
前記長さ方向における前記第1の内部電極よりも前記第2の端面側において、前記第2の集電体と前記第1の表層との間に配された第2の粘着部材とをさらに有し、
前記第1の内部電極は、前記第1の端面に引き出されている一方、前記第2の端面には引き出されておらず、
前記第2の内部電極は、前記第2の端面に引き出されている一方、前記第1の端面には引き出されておらず、
前記長さ方向における前記第1の粘着部材よりも第1の端面側に、前記電解質保持層及び前記第2の活物質層が、前記第1の端面に露出するように設けられており、
前記長さ方向における前記第2の粘着部材よりも第2の端面側に、前記電解質保持層及び前記第1の活物質層が、前記第2の端面に露出するように設けられている、蓄電デバイス。
【請求項2】
前記第1の粘着部材と前記第1の集電体との間には、前記第1の電解質保持層が設けられており、
前記第2の粘着部材と前記第2の集電体との間には、前記第2の電解質保持層が設けられている、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記第1及び第2の内部電極は、前記デバイス本体の前記幅方向における両端部には設けられておらず、
前記デバイス本体の前記幅方向における両端部において、前記第1の粘着部材と前記第2の粘着部材とが接しており、
前記第1の粘着部材と前記第1の電解質保持層との間の粘着力と、前記第2の粘着部材と前記第2の電解質保持層との間の粘着力とは、それぞれ、前記第1の粘着部材と前記第2の粘着部材との間の粘着力よりも低い、請求項2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記第1の集電体と前記第1の粘着部材との間に前記第1の活物質層が設けられており、
前記第2の集電体と前記第2の粘着部材との間に前記第2の活物質層が設けられている、請求項2または3に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の活物質層が、それぞれ分極性電極により構成されている電気二重層コンデンサである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気二重層コンデンサや二次電池などの蓄電デバイスが種々知られている。例えば特許文献1には、その一例が記載されている。特許文献1に記載の蓄電デバイスは、第1の端面に引き出された第1の内部電極と、第2の端面に引き出された第2の内部電極と、第1の内部電極と第2の内部電極との間に配されたセパレータとを備えている。第1の端面の上には、第1の内部電極に電気的に接続された第1の外部電極が配されている。第2の端面の上には、第2の内部電極に電気的に接続された第2の外部電極が配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−33907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電デバイスの耐熱性を高めたいという要望がある。
【0005】
本発明の主な目的は、優れた耐熱性を有する蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓄電デバイスは、デバイス本体と、第1の外部電極と、第2の外部電極とを備える。デバイス本体は、第1及び第2の主面と、第1及び第2の側面と、第1及び第2の端面とを有する。第1及び第2の主面は、長さ方向及び幅方向に沿って延びている。第1及び第2の側面は、長さ方向及び厚み方向に沿って延びている。第1及び第2の端面は、幅方向及び厚み方向に沿って延びている。第1の外部電極は、第1の端面の上に設けられている。第2の外部電極は、第2の端面の上に設けられている。デバイス本体は、第1の内部電極と、第2の内部電極と、電解質保持層とを有する。第1の内部電極は、第1の外部電極に電気的に接続されている。第2の内部電極は、第1の内部電極と対向している。第2の内部電極は、第2の外部電極に電気的に接続されている。電解質保持層は、第1の内部電極と第2の内部電極との間に配されている。電解質保持層は、電解質を保持している。第1の内部電極は、第1の集電体と、第1の活物質層とを有する。第1の活物質層は、第1の集電体の第2の内部電極側の表面上に設けられている。第2の内部電極は、第2の集電体と、第2の活物質層とを有する。第2の活物質層は、第2の集電体の第1の内部電極側の表面上に設けられている。電解質保持層と、第1の活物質層と、第2の活物質層とのうちの少なくともひとつが、第1及び第2の端面に露出している。
【0007】
本発明に係る蓄電デバイスのある特定の局面では、電解質保持層が第1及び第2の端面に露出している。
【0008】
本発明に係る蓄電デバイスの他の特定の局面では、電解質保持層、第1の活物質層及び第2の活物質層が第1及び第2の端面に露出している。
【0009】
本発明に係る蓄電デバイスの別の特定の局面では、電解質保持層は、第1の電解質保持層と、第2の電解質保持層とを有する。第1の電解質保持層は、第1の内部電極の第2の内部電極側の表面上に配されている。第2の電解質保持層は、第2の内部電極の第1の内部電極側の表面上に配されている。第1の内部電極は、第1の端面に引き出されている一方、第2の端面には引き出されていない。第2の内部電極は、第2の端面に引き出されている一方、第1の端面には引き出されていない。蓄電デバイスは、第1の表層と、第2の表層と、第1の粘着部材と、第2の粘着部材とをさらに備える。第1の表層は、第1の内部電極の第1の電解質保持層とは反対側の表面上に設けられている。第2の表層は、第2の内部電極の第2の電解質保持層とは反対側の表面上に設けられている。第1の粘着部材は、長さ方向における第2の内部電極よりも第1の端面側において、第1の集電体と第2の表層との間に配されている。第2の粘着部材は、長さ方向における第1の内部電極よりも第2の端面側において、第2の集電体と第1の表層との間に配されている。第1の粘着部材と第1の集電体との間には、第1の電解質保持層が設けられている。第2の粘着部材と第2の集電体との間には、第2の電解質保持層が設けられている。
【0010】
本発明に係る蓄電デバイスのさらに他の特定の局面では、第1及び第2の内部電極は、デバイス本体の幅方向における両端部には設けられていない。デバイス本体の幅方向における両端部において、第1の粘着部材と第2の粘着部材とが接している。第1の粘着部材と第1の電解質保持層との間の粘着力と、第2の粘着部材と第2の電解質保持層との間の粘着力とは、それぞれ、第1の粘着部材と第2の粘着部材との間の粘着力よりも低い。
【0011】
本発明に係る蓄電デバイスのさらに別の特定の局面では、第1の集電体と第1の粘着部材との間に第1の活物質層が設けられている。第2の集電体と第2の粘着部材との間に第2の活物質層が設けられている。
【0012】
本発明に係る蓄電デバイスのまた他の特定の局面では、蓄電デバイスは、第1及び第2の活物質層が、それぞれ分極性電極により構成されている電気二重層コンデンサである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優れた耐熱性を有する蓄電デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの略図的斜視図である。
図2図2は、図1の線II−IIにおける略図的断面図である。
図3図3は、図1の線III−IIIにおける略図的断面図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る蓄電デバイスの略図的断面図である。
図5図5は、第3の実施形態に係る蓄電デバイスの略図的断面図である。
図6図6は、第4の実施形態に係る蓄電デバイスの略図的断面図である。
図7図7は、比較例に係る蓄電デバイスの略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0016】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る蓄電デバイスの略図的斜視図である。図2は、図1の線II−IIにおける略図的断面図である。図3は、図1の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【0018】
図1図3に示される蓄電デバイス1は、例えば、電気二重層コンデンサや、二次電池を構成するデバイスである。
【0019】
蓄電デバイス1は、デバイス本体10を備えている。デバイス本体10は、第1及び第2の主面10a、10bと、第1及び第2の側面10c、10dと、第1及び第2の端面10e、10fとを有する。第1及び第2の主面10a、10bは、それぞれ、長さ方向L及び幅方向Wに沿って設けられている。第1の主面10aと第2の主面10bとは、厚み方向Tにおいて対向している。第1及び第2の側面10c、10dは、それぞれ、長さ方向L及び厚み方向Tに沿って設けられている。第1の側面10cと第2の側面10dとは、幅方向Wにおいて対向している。第1及び第2の端面10e、10fは、それぞれ、幅方向W及び厚み方向Tに沿って設けられている。第1の端面10eと第2の端面10fとは、長さ方向Lにおいて対向している。本実施形態では、デバイス本体10は、略直方体状に設けられている。具体的には、デバイス本体10は、角部及び稜線部が丸められた直方体状に設けられている。
【0020】
図2及び図3に示されるように、デバイス本体10は、第1の内部電極11と、第2の内部電極12とを有する。第1の内部電極11は、第1及び第2の主面10a、10bと平行に設けられている。第1の内部電極11は、第1の端面10eに引き出されている一方、第2の端面10f並びに第1及び第2の側面10c、10dには引き出されていない。
【0021】
第1の内部電極11は、第1の集電体11aと、第1の活物質層11bとを有する。第1の集電体11aは、例えば、アルミニウム、銅等の少なくとも一種の金属からなる金属箔により構成することができる。
【0022】
第1の活物質層11bは、第1の集電体11aの第2の内部電極12側の表面上に設けられている。第1の活物質層11bは、蓄電デバイス1が電気二重層コンデンサを構成している場合には、分極性電極を構成する部材である。この場合、第1の活物質層11bは、活性炭などの炭素材料を含むことが好ましい。
【0023】
第2の内部電極12は、第1及び第2の主面10a、10bと平行に設けられている。第2の内部電極12は、第2の端面10fに引き出されている一方、第1の端面10e並びに第1及び第2の側面10c、10dには引き出されていない。
【0024】
第2の内部電極12は、第2の集電体12aと、第2の活物質層12bとを有する。第2の集電体12aは、例えば、アルミニウム、銅等の少なくとも一種の金属からなる金属箔により構成することができる。
【0025】
第2の活物質層12bは、第2の集電体12aの第1の内部電極11側の表面上に設けられている。すなわち、第1及び第2の内部電極11,12は、第1の活物質層11bと第2の活物質層12bとが対向するように設けられている。第2の活物質層12bは、蓄電デバイス1が電気二重層コンデンサを構成している場合には、分極性電極を構成する部材である。この場合、第2の活物質層12bは、活性炭などの炭素材料を含むことが好ましい。
【0026】
第1の内部電極11と第2の内部電極12との間には、電解質を保持している電解質保持層13が配されている。第1の内部電極11と第2の内部電極12とは、電解質保持層13を介して対向している。この電解質保持層13により第1の内部電極11と第2の内部電極12とが隔離されている。電解質保持層13は、第1の内部電極11と第2の内部電極12との間に電解質を保持でき、かつ、第1の内部電極11と第2の内部電極12とが直接接触することを規制できるものである限りにおいて特に限定されない。電解質保持層13は、例えば、絶縁材料からなる多孔質体により構成されたセパレータや、ゲル電解質層などにより構成することができる。セパレータは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる多孔質フィルムにより構成することができる。
【0027】
電解質は、陽イオンと陰イオンと溶媒とを含む。好ましく用いられる陽イオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウム塩などが挙げられる。好ましく用いられる陰イオンとしては、例えば、四フッ化ホウ酸イオン(BF4−)や、ビストリフルオロメチルスルフォニルイミド((CFSO)等が挙げられる。好ましく用いられる溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非水系溶媒や、水などの水系溶媒などが挙げられる。
【0028】
電解質保持層13は、第1の電解質保持層13aと、第2の電解質保持層13bとを有する。第1の電解質保持層13aは、第1の内部電極11の第2の内部電極12側の表面上に配されている。すなわち、第1の電解質保持層13aは、第1の活物質層11bの上に配されている。一方、第2の電解質保持層13bは、第2の内部電極12の第1の内部電極11側の表面上に配されている。すなわち、第2の電解質保持層13bは、第2の活物質層12bの上に配されている。第2の電解質保持層13bは、第1の電解質保持層13aと接している。
【0029】
上記電解質保持層13並びに第1及び第2の内部電極11,12により、ひとつの蓄電エレメント15が構成されている。本実施形態では、蓄電デバイス1は、厚み方向Tに沿って積層された複数の蓄電エレメント15を備えている。厚み方向Tにおいて隣り合う蓄電エレメント15は、粘着層17によって粘着されている。
【0030】
複数の蓄電エレメント15の積層体の上面の上には、第1の表層16aが配されている。複数の蓄電エレメント15の積層体の下面の上には、第2の表層16bが配されている。本実施形態では、蓄電エレメント15が複数設けられているため、第1の表層16aは、最も上面側に位置する蓄電エレメント15の第1の内部電極11の第1の電解質保持層13aとは反対側の表面の上に設けられている。第2の表層16bは、最も下面側に位置する蓄電エレメント15の第2の内部電極12の第2の電解質保持層13bとは反対側の表面の上に設けられている。最も上面側に位置する蓄電エレメント15の第2の内部電極12の第2の電解質保持層13bとは反対側の表面と第2の表層16bとの間には、少なくとも一つの蓄電エレメント15が設けられている。第1及び第2の表層16a、16bは、それぞれ、粘着層17により蓄電エレメント15に粘着されている。
【0031】
図2に示されるように、第1の端面10eの上には、第1の外部電極18が設けられている。第1の外部電極18は、第1の内部電極11に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第1の外部電極18は、第1の端面10e上から、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10d上にまで至っている。
【0032】
第2の端面10fの上には、第2の外部電極19が設けられている。第2の外部電極19は、第2の内部電極12に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第2の外部電極19は、第2の端面10fの上から、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10d上にまで至っている。
【0033】
第1及び第2の外部電極18,19は、それぞれ、例えば、アルミニウム、銅等の少なくとも一種の金属により構成することができる。
【0034】
各蓄電エレメント15には、第1の粘着部材21と、第2の粘着部材22とが設けられている。これら第1及び第2の粘着部材21,22によって蓄電エレメント15が一体化されている。
【0035】
第1の粘着部材21は、長さ方向Lにおける第2の内部電極12よりも第1の端面10e側に設けられている。第1の粘着部材21の長さ方向Lにおける第2の内部電極12よりも第1の端面10e側に位置する部分は、第1の集電体11aと第2の表層16bとの間に配されている。最も下方に位置する蓄電エレメント15を除いた蓄電エレメント15においては、第1の粘着部材21の長さ方向Lにおける第2の内部電極12よりも第1の端面10e側に位置する部分は、第1の集電体11aと、当該蓄電エレメント15の下方に位置する蓄電エレメント15との間に配されている。また、第1の粘着部材21は、幅方向Wにおける第2の内部電極12及び第2の電解質保持層13bの両側にも設けられている。
【0036】
第2の粘着部材22は、長さ方向Lにおける第1の内部電極11よりも第2の端面10f側に設けられている。第2の粘着部材22の長さ方向Lにおける第1の内部電極11よりも第2の端面10f側に位置する部分は、第2の集電体12aと第1の表層16aとの間に配されている。最も上方に位置する蓄電エレメント15を除いた蓄電エレメント15においては、第2の粘着部材22の長さ方向Lにおける第1の内部電極11よりも第2の端面10f側に位置する部分は、第2の集電体12aと、当該蓄電エレメント15の上方に位置する蓄電エレメント15との間に配されている。
【0037】
また、第2の粘着部材22は、幅方向Wにおける第1の内部電極11及び第1の電解質保持層13aの両側にも設けられている。幅方向Wにおける第1及び第2の内部電極11,12の両側においては、第1の粘着部材21と第2の粘着部材22とが接しており、互いに粘着している。幅方向Wにおける第1及び第2の内部電極11,12の両側において第1の粘着部材21と第2の粘着部材22とが粘着することにより、各蓄電エレメント15において、第1の内部電極11、第1の電解質保持層13a、第2の電解質保持層13b及び第2の内部電極12が一体化されている。
【0038】
本実施形態では、電解質保持層13と、第1の活物質層11bと、第2の活物質層12bが、第1及び第2の端面10e、10fに露出している。このため、第1の外部電極18,19は、それぞれ、電解質保持層13と、第1の活物質層11bと、第2の活物質層12bと接触している。
【0039】
具体的には、本実施形態では、第1の粘着部材21よりも第2の端面10f側に第2の活物質層12b及び第2の電解質保持層13bが設けられているのみならず、第1の粘着部材21よりも第1の端面10e側にも第2の活物質層12b及び第2の電解質保持層13bが設けられている。このため、第1の端面10eには、第1の活物質層11bと、第2の活物質層12bと、第1の電解質保持層13aと、第2の電解質保持層13bとのすべてが露出している。同様に、第2の粘着部材22よりも第1の端面10e側に第1の活物質層11b及び第1の電解質保持層13aが設けられているのみならず、第2の粘着部材22よりも第2の端面10f側にも第1の活物質層11b及び第1の電解質保持層13aが設けられている。このため、第2の端面10fにも、第1の活物質層11bと、第2の活物質層12bと、第1の電解質保持層13aと、第2の電解質保持層13bとのすべてが露出している。
【0040】
ところで、外部電極と内部電極との電気的な接続は、一般的に内部電極の集電体が端面に引き出されることにより確保されている。活物質層は、集電体に対して電気抵抗が高いため、一般的には、引き出されていない。それに対して、本実施形態の蓄電デバイス1では、電解質保持層13と、第1の活物質層11bと、第2の活物質層12bとが、第1及び第2の端面10e、10fの双方に露出している。他方、集電体11a,12aに比べて、電解質保持層13、第1の活物質層11b及び第2の活物質層12bの表面粗さは粗い。このため、アンカー効果により、第1の外部電極18,19とデバイス本体10との間の密着強度が高められている。その結果、優れたESR及び耐熱性を実現することができる。具体的には、例えば、ESRが低く、かつ、蓄電デバイス1の温度が繰り返し変化した際においてもESR等が劣化し難い。
【0041】
本実施形態では、電解質保持層13と、第1の活物質層11bと、第2の活物質層12bとのすべてが、第1及び第2の端面10e,10fの双方に露出していたが、本発明においては、電解質保持層、第1の活物質層及び第2の活物質層のうち少なくとも一つが、第1の端面及び第2の端面の双方に露出しておれば良い。それによって、第1の外部電極とデバイス本体との間の密着性を高めることができる。よって、ESR値を低めることができ、かつ温度衝撃が加わった際のESR値の変化を少なくすることができ、耐熱性も高めることができる。
【0042】
より優れた耐熱性を実現する観点からは、活物質層11b、12bよりも気孔率が高く、表面粗さが大きな電解質保持層13が第1及び第2の端面10e、10fに露出していることが好ましい。電解質保持層13、第1の活物質層11b及び第2の活物質層12bのすべてが第1及び第2の端面10e、10fのそれぞれに露出していることがより好ましい。
【0043】
ところで、電解質保持層は、第1の内部電極と第2の内部電極との接触を規制する部材であるため、第1の内部電極と第2の内部電極とが対向している領域にのみ設ければよい。従って、電解質保持層のコストを低減する観点からは、第1の内部電極と第2の内部電極とが対向している領域のみに電解質保持層を設けるのが一般的である。その場合は、第1の粘着部材が第1の内部電極と粘着し、第2の粘着部材が第2の内部電極と粘着する。本発明者は、鋭意研究の結果、粘着部材と電極とが粘着している場合は、例えば積層した際のプレス加工時や蓄電デバイス1の温度が上昇した際に粘着部材からの応力が内部電極、特に集電体に加わることによって、集電体が物理的に変形し、内部電極の電気抵抗が増大することを見いだした。内部電極の電気抵抗が増大すると、蓄電デバイスの出力特性が低下することとなる。
【0044】
ここで、蓄電デバイス1では、第1の粘着部材21と第1の内部電極11との間に第1の電解質保持層13aが設けられている。このため、第1の電解質保持層13aが緩衝部材として機能し、第1の粘着部材21からの応力が第1の内部電極11に直接伝わることが規制されている。また、第2の粘着部材22と第2の内部電極12との間に第2の電解質保持層13bが設けられている。このため、第2の電解質保持層13bが緩衝部材として機能し、第2の粘着部材22からの応力が第2の内部電極12に直接伝わることが規制されている。従って、製造時や蓄電デバイス1の温度が上昇した際に、第1及び第2の内部電極11a,12aが損傷することが効果的に抑制されている。従って、高い出力特性を有する蓄電デバイス1を実現することができる。
【0045】
粘着部材21,22からの応力が電極11,12により伝わり難くする観点からは、第1の集電体11aと第1の粘着部材21との間に第1の活物質層11bが設けられていることが好ましく、第2の集電体12aと第2の粘着部材22との間に第2の活物質層12bが設けられていることが好ましい。
【0046】
粘着部材21,22から電極11,12に加わる応力を小さくする観点からは、第1の粘着部材21と第1の電解質保持層13aとの間の粘着力と、第2の粘着部材22と第2の電解質保持層13bとの間の粘着力との各々が低いことが好ましい。第1の粘着部材21と第1の電解質保持層13aとの間の粘着力と、第2の粘着部材22と第2の電解質保持層13bとの間の粘着力とが、それぞれ、第1の粘着部材21と第2の粘着部材22との間の粘着力よりも低いことが好ましい。第1の粘着部材21と第1の電解質保持層13aとの間の粘着力と、第2の粘着部材22と第2の電解質保持層13bとの間の粘着力とが、それぞれ、第1の粘着部材21と第2の粘着部材22との間の粘着力の1倍以下であることが好ましく、0.5倍以下であることがより好ましい。
【0047】
上記実施形態では、第1の表層16aから第2の表層16bに向かって第1の内部電極11と第2の内部電極12が交互に積層されているが、第1,第2の内部電極11,12の積層順はこれに限られない。第1の表層16aから順に、第1の内部電極11→第2の内部電極12→第2の内部電極12→第1の内部電極11→第1の内部電極11→第2の内部電極12→第2の内部電極12→第1の内部電極11としてもよい。この積層形態によれば、粘着層17を介して同じ極性の内部電極同士が隣接することとなる。よって、粘着層17が薄くても、第1の内部電極11と第2の内部電極12との短絡を確実に抑制することができる。
【0048】
上記実施形態では、蓄電デバイスが複数の蓄電エレメントを備える例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。蓄電デバイスは、蓄電エレメントをひとつのみ有していてもよい。
【0049】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。また、下記の比較例の説明においても、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0050】
(第2及び第3の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る蓄電デバイス1aの略図的断面図である。図5は、第3の実施形態に係る蓄電デバイス1bの略図的断面図である。
【0051】
図4に示される蓄電デバイス1aや図5に示される蓄電デバイス1bのように、第1の電解質保持層13aが第1の粘着部材21によって第1の端面10e側の部分と第2の端面10f側の部分とに分断されていてもよい。蓄電デバイス1bのように、第1の活物質層11bも、第1の粘着部材21によって第1の端面10e側の部分と第2の端面10f側の部分とに分断されていてもよい。
【0052】
また、蓄電デバイス1a、1bのように、第2の電解質保持層13bが第2の粘着部材22によって第2の端面10f側の部分と第1の端面10e側の部分とに分断されていてもよい。蓄電デバイス1bのように、第2の活物質層12bも、第2の粘着部材22によって第2の端面10f側の部分と第1の端面10e側の部分とに分断されていてもよい。
【0053】
(第4の実施形態)
図6は、第4の実施形態に係る蓄電デバイス1cの略図的断面図である。
【0054】
第1〜第3の実施形態に係る蓄電デバイス1、1a、1bとは異なり、図6に示される蓄電デバイス1cのように、単一の電解質保持層13が設けられていてもよい。
【0055】
上記のように、本発明においては、電解質保持層、第1の活物質層及び第2の活物質層のうち少なくとも一つが、第1及び第2の端面の双方に露出していることにより、ESR値を低めることができ、かつ温度衝撃が加わった際のESR値の変化を小さくすることができる。本願発明者は、上記第3の実施形態及び第4の実施形態に係る蓄電デバイスと、電解質保持層、第1及び第2の活物質層が第1及び第2の端面に露出していない相当の比較例の蓄電デバイスを試作した。図7は、この比較例の構造を示す。第3及び第4の実施形態によれば、上記比較例に比べて、初期ESR値を69%程度の大きさに低くし得ることが確かめられている。また、−40℃で30分保持した後に、125℃に加熱し30分保持し、しかる後、−40℃まで冷却するサイクルを500回サイクル繰り返した後においても、上記相当の比較例では、ESR値が20%程度高くなったのに対し、第3及び第4の実施形態の蓄電デバイスによれば、ESR値がほとんど変化しなかったことが確かめられている。これは、上記のように、本発明に従って、電解質保持層、第1の活物質層及び第2の活物質層のうち少なくとも一つが第1及び第2の端面に露出していることにより、アンカー効果によって外部電極とデバイス本体との密着性が効果的に高められていることによると考えられる。
【0056】
1、1a、1b、1c…蓄電デバイス
10…デバイス本体
10a…第1の主面
10b…第2の主面
10c…第1の側面
10d…第2の側面
10e…第1の端面
10f…第2の端面
11…第1の内部電極
11a…第1の集電体
11b…第1の活物質層
12…第2の内部電極
12a…第2の集電体
12b…第2の活物質層
13…電解質保持層
13a…第1の電解質保持層
13b…第2の電解質保持層
15…蓄電エレメント
16a…第1の表層
16b…第2の表層
17…粘着層
18…第1の外部電極
19…第2の外部電極
21…第1の粘着部材
22…第2の粘着部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7