(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に本発明の実施形態について図面をもとに説明する。
【0037】
1.第1の実施形態
(1)遊技機1の構成
図1に基づいて遊技機1の構成を説明する。
図1は本発明が適用された遊技機1の正面
図である。遊技機1は、図示しない遊技場に来場した遊技者にパチンコ遊技を提供するものであって、図示しない遊技島に取り付けられる外枠3と、外枠3に開閉可能に取り付けられた内枠5と、内枠5に取り付けられ、遊技者に対面して配置された遊技盤7と、遊技者が遊技行為を行うために遊技盤7上に遊技球8を発射するためのハンドル9と、遊技盤7における遊技行為の結果として提供される賞品、ここでは遊技球8(賞品として払い出される遊技球8を賞品球と言う。)を貯留する上受け皿11と、上受け皿11から排出される遊技球8を受ける下受け皿13と、遊技者が操作可能な操作部15と、内枠5に取り付けられ、遊技を提供するための制御を行う主制御基板41とを備えている。操作部15は、第1操作ボタン15a、第2操作ボタン15b、及び第3操作ボタン15cを備えており、それぞれ、独立して押圧可能である。
【0038】
遊技者に対面する遊技盤7は、遊技者から見える位置に、遊技者に興趣のある図柄を提供する図柄表示装置21と、始動入賞口17と、拡大し始動入賞口17へ入賞しやすくする機能を有する普通電動役物18とを備え、入賞口17と、普通電動役物18とから遊技球8が入賞すると、特別図柄始動信号を出力する図示しない入賞センサと、大入賞口25を備え、大入賞口25を開放することにより大量の賞品球を提供する機能を有する特別電動役物24と、大入賞口25の左側に位置し、遊技球8が入賞する左入賞口27と、大入賞口25の右側に位置し、遊技球8が入賞する右入賞口29と、特別図柄遊技の結果を表示する特別図柄表示装置31と、特別図柄遊技の保留数を表示する特別図柄記憶表示装置33と、遊技球8が通過すると、普通図柄遊技用の普通図柄始動信号を出力する機能を有する普通図柄始動ゲート35と、普通図柄遊技の結果を表示する普通図柄表示装置37と、普通図柄遊技の保留数を表示する普通図柄記憶表示装置39とを備えている。
【0039】
また、遊技盤7には、複数の釘38が設けられており、その調整具合により、各入賞口(特に大入賞口25)への入賞のし易さが変化する。
【0040】
また、遊技盤7の左上側には左上スピーカ119が設置され、遊技盤7の右上側には右上スピーカ129が設置されている。この左上スピーカ119と右上スピーカ129とは、遊技盤7上に、遊技音や効果音をステレオ音響で出力する機能を有する。
【0041】
また、遊技盤7の左下側には確率変動中かどうかを表示したり変動時間短縮機能(以降
、時短と称す)が作動中(即ち、時短中)かどうか等を表示する状態表示LED32が設置され、遊技盤7の右下側には、大当り遊技の上限ラウンド数を表示するラウンド表示LED34が設置されている。
【0042】
尚、特別図柄表示装置31は、7セグメントLEDを1個備えた表示器からなり、7つのセグメントそれぞれの点灯・消灯により100種類の大当り図柄と、1種類の外れ図柄とを特別図柄として変動表示する。また、機種によっては大当りとはならないが、短い時間で大入賞口25が2回開放する小当り図柄があるものもある。
【0043】
また、図柄表示装置21は、左中右の3つの装飾図柄をそれぞれ独立に変動表示させる。本実施形態では、「1」,「2」,「3」,「4」,「5」,「6」,「7」,「8」,「9」,「A」,「B」,「C」,「D」,「E」の14種類の装飾図柄が設けられている。
(2)遊技機1の制御系
遊技機1の制御系を
図2に基づいて説明する。
図2は、遊技機1の制御系のブロック図である。遊技機1は、遊技機1の遊技動作を中心的に制御する主制御基板41と、図柄表示装置21、特別図柄表示装置31、及び普通図柄表示装置37の動作を制御する図柄制御基板43と、左上スピーカ119及び右上スピーカ129を用いて音声演出を実現する音声制御基板45と、払出モータM2を制御して賞品球を払い出す払出制御基板47と、AC24Vを受けて装置各部に直流電源を供給する電源基板51とを中心に構成されている。
【0044】
主制御基板41、図柄制御基板43、音声制御基板45、及び払出制御基板47は、それぞれ、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路が搭載されており、図柄制御基板43、音声制御基板45、及び払出制御基板47は、主制御基板41からの制御コマンドを受けて個別的な制御動作を行う。その制御動作には、後述するように、大当り遊技のとき、大入賞口25を開閉する制御動作が含まれる。
【0045】
また、主制御基板41には、特別図柄始動信号等、各種信号が入力される。
【0046】
図柄制御基板43から、表示装置21の表示内容と同期した信号を音声制御基板45に送り、表示装置21の表示に合わせた音声をスピーカ119、129において出すことが可能である。
(3)始動入賞時に遊技機1が実行する処理
遊技機1が実行する処理を
図3に基づいて説明する。
図3は、始動入賞口23に遊技球が入賞し、始動信号が出力されたときに遊技機1が実行する処理を表すフローチャートである。
【0047】
図3のステップ10では、表1に示す各種乱数を取得する。
【0048】
【表1】
大当り乱数、大当り図柄乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン選択用乱数は、主制御基板で選択を行うが、その他の乱数は別の基板(図柄制御基板、後述する演出制御基板)で選択することができる。なお、乱数は、機能ごとにそれぞれ設けてもよいし、1つの乱数を2以上の機能に用いるように兼用してもよい。兼用すれば、乱数の種類が少なくて済む。例えば、演出開始タイミング決定乱数を備えず、他の乱数(例えば、大当り図柄乱数等)で特別演出を開始するタイミングを設定してもよい。
【0049】
上記大当り乱数は、0〜746のカウンタから1つ取得される。この大当り乱数は、後に、大当りであるか否かの判定に使用される。
【0050】
上記大当り図柄乱数は、0〜99のカウンタから、1つ取得される。この大当り図柄乱数は、後に、最終的に(昇格演出の後で)停止表示される大当り図柄の設定に使用される。また、この大当り図柄乱数は、後述する確率変動(確率変動状態/低確率状態)、時短、及び大当り遊技におけるラウンド数の設定に用いられる。
【0051】
仮表示図柄乱数は、0〜99のカウンタから、1つ取得される。この仮表示図柄乱数は、変動表示後、仮に(昇格演出が始まる前に)停止表示される大当り図柄の設定に使用される。
【0052】
上記リーチ判定用乱数は、0〜88のカウンタから1つ取得される。このリーチ判定用乱数は、後述する変動表示処理において、リーチを表示するか否かを設定するために使用される。
【0053】
上記変動パターン選択用乱数は、0〜1306のカウンタから1つ取得される。この変動パターン選択用乱数は、変動表示における変動パターンの設定に使用される。
【0054】
上記演出開始タイミング決定乱数は、1〜15のカウンタから1つ取得される。この演出開始タイミング決定乱数は、後述するように、特別演出を開始するタイミングの設定に使用される。
【0055】
上記演出データ決定乱数は、1〜10のカウンタから1つ取得される。この演出データ決定乱数は、後述するように、演出データを選択するために使用される。
【0056】
ステップ20では、前記ステップ10で取得した大当り乱数が大当りに対応するものであるか否かを判断する。遊技機1は、大当りとなる確率が通常の値である低確率状態と、大当りとなる確率が高い確率変動状態とのうちのどちらかになり得る。低確率状態の場合
は、大当り乱数が(3、7)のいずれかであれば大当りであり、それ以外であれば外れである。確率変動状態の場合は、大当り乱数が(1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39)のいずれかであれば大当りであり、それ以外であれば外れである。大当りである場合はステップ30に進み、外れである場合はステップ80に進む。
【0057】
ステップ30では、N<Lの数式が成立するか否かを判断する。ここで、Nは、確率変動状態となってから、その時点までに、後述する特定大当り図柄が連続して停止表示された回数である。また、Lは、確率変動状態のまま、大当りが最大限、連続可能な回数(リミッタ)であり、例えば、L=2と設定される。N<Lの数式が成立する場合はステップ40へ進む。一方、N<Lの数式が成立しない場合は、ステップ90にてNの値を1にリセットした後、ステップ100にて低確率状態を設定し、ステップ70に進む。
【0058】
ステップ40では、前記ステップ10で取得した大当り図柄乱数に基づき、100種類ある大当り図柄のうち、1つを選択する。大当り図柄には、特定大当り図柄と、非特定大当り図柄との2種類があり、ここで選択した大当り図柄が、特定大当り図柄であるか否かを判断する。
【0059】
また、前記ステップ10で取得した仮表示図柄乱数に基づき、100種類ある大当り図柄のうち、1つを選択する。ただし、大当り図柄乱数に基づき設定した大当り図柄が特定大当り図柄である場合は、特定大当り図柄の中から、1つを選択する。大当り図柄乱数に基づき設定した大当り図柄が非特定大当り図柄である場合は、全ての大当り図柄の中から、1つを選択する。
【0060】
大当り図柄乱数に基づき設定した大当り図柄が特定大当り図柄である場合はステップ50に進む。一方、大当り図柄乱数に基づき設定した大当り図柄が非特定大当り図柄である場合は、ステップ90にてNの値を1にリセットした後、ステップ100にて低確率状態を設定し、ステップ70に進む。
【0061】
ステップ50では、Nの値を1増加させる。ステップ60では、遊技機1の状態を、確率変動状態とする。なお、既に確率変動状態である場合は、確率変動状態を維持する。
【0062】
ステップ70では、大当り遊技における設定を行う。具体的には、前記ステップ10で取得した大当り図柄乱数に基づき、大当り遊技におけるラウンド数を、2〜15ラウンドの中から設定する。なお、ラウンドとは、大入賞口25が開いてから、そこに遊技球が所定個数(例えば10個)入賞するか、通しての開放時間が所定時間(例えば30秒)となって大入賞口が閉じるまでをいう。ラウンド数とは、大当り遊技において、このラウンドを繰り返す回数をいう。
【0063】
また、前記ステップ10で取得した演出開始タイミング決定乱数を用い、表2に示すテーブルから、大当り遊技において、特別演出を開始するタイミングを設定する。
【0064】
【表2】
例えば、演出開始タイミング決定乱数が1の場合は大当り時(開始時)を設定し、演出開始タイミング決定乱数が2の場合は2ラウンド目を設定する。
【0065】
なお、特別演出を開始するタイミングを設定するには、表2に示すテーブルの代わりに、表3に示すテーブルを使用してもよい。
【0066】
【表3】
なお、表2及び表3は、ラウンド数が15に設定された場合のテーブルである。ラウンド数がA(Aは2〜14のうちのいずれかの自然数)に設定された場合は、当然ながら、表2は、「大当り遊技の開始時」から、「Aラウンド目」までの間で、特別演出を開始するタイミングを設定するものになり、表3は、「大当り遊技の開始時から5秒後」から、「Aラウンド目から5秒後」までの間で、特別演出を開始するタイミングを設定するものになる。例えば、ラウンド数が2に設定された場合の表2の内容を、演出開始タイミング決定乱数が1、3、5、7、9、11、13、15のとき、特別演出を開始するタイミングを「大当り遊技の開始時」に設定し、演出開始タイミング決定乱数が2、4、6、8、10、12、14のとき、特別演出を開始するタイミングを「2ラウンド目」に設定するものとすることができる。ラウンド数が3〜14に設定された場合でも、上と同様に、表2及び表3の内容を設定することができる。
【0067】
また、前記ステップ10で取得した演出データ決定乱数を用い、特別演出の長さを設定する。それには、まず、演出データのテーブルを設定する。演出データのテーブルは、基本的には表4に示すものを用いる。ただし、確率変動状態にある場合は、表4のテーブルの代わりに、表5に示すものを用いる。また、このステップ70の処理の直前に、非特定大当り図柄を選択するか(前記ステップ40でNO)、N≧Lとなって(前記ステップ30でNO)、確率変動状態から、低確率状態に変化した場合は、表4のテーブルの代わりに、表6のテーブルを設定する。
【0070】
【表6】
そして、上記のように設定したテーブル(表4、表5、表6のうちのいずれか1つ)から、前記ステップ10で取得した演出データ決定乱数に対応する特別演出の長さを設定する。例えば、設定したテーブルが表4に示すものであり、演出データ決定乱数が1の場合は、特別演出の長さが5秒に設定される。また、設定したテーブルが表5に示すものであり、演出データ決定乱数が2の場合は、特別演出の長さが5秒に設定される。また、設定したテーブルが表6に示すものであり、演出データ決定乱数が3の場合は、特別演出の長さが19秒に設定される。
【0071】
なお、表5のテーブルの代わりに、特別演出の長さが全て5秒(表4に含まれる特別演出の長さの中で最短)である表7のテーブルを用いてもよい。また、表6のテーブルの代わりに、特別演出の長さが全て23秒(表4に含まれる特別演出の長さの中で最長)である表8のテーブルを用いてもよい。
【0073】
【表8】
ステップ80では、図柄表示を行う。特別図柄表示装置31に様々な遊技図柄を変動表示させ、その後に、所定の図柄を停止表示する。停止表示する図柄は、前記ステップ20で大当りと判断した場合は、前記ステップ40で、仮表示図柄乱数に基づき設定した大当り図柄であり、前記ステップ20で外れと判断した場合は、1種のみ用意された外れ図柄である。なお、リーチ判定用乱数がリーチ表示を行うものである場合は、変動表示から停止表示において、リーチ表示を行う。大当り図柄が停止表示されると、その後、大当り遊技が提供される。
(4)大当り遊技のときに遊技機1が実行する処理
大当り遊技のときに遊技機1が実行する処理を
図4のタイムチャートに基づいて説明す
る。
【0074】
大当り遊技は、周知の遊技機と同様に、大入賞口25が開放され、そこに遊技球が入賞し易くなり、大量の賞品球を得ることができる状態である。また、大当り遊技では、大入賞口25が開いてから、そこに遊技球が所定個数(例えば10個)入賞するか、通しての開放時間が所定時間(例えば30秒)となったときに大入賞口が閉じるまでのラウンドが、所定のラウンド数だけ繰り返される。
【0075】
なお、大当り遊技は、大入賞口の開放時間、大入賞口の開放回数、及び大入賞口への遊技球の入賞のうち、1つでも所定の条件を満たせば進行するものとすることができる。
【0076】
図4に示すように、大当り遊技が提供されるとき、左上スピーカ119及び右上スピーカ129(
図1参照)を用いて、長さが4分間の楽曲が再生される(音声演出の実行)。また、大当り遊技が提供されるとき、特別演出が行われる。特別演出を開始するタイミングは、上述したように、演出開始タイミング決定乱数により決定される。特別演出を開始するタイミングが大当り時(開始時)に設定されている場合は、
図4(a)、(b)に示すように、大当り遊技の開始時から、特別演出が行われ、特別演出が終了した直後から、楽曲の再生が開始される。また、特別演出を開始するタイミングが、Xラウンド目(Xは2から、設定されたラウンド数までのいずれか)と決定されている場合は、Xラウンドの開始に合わせて、特別演出が始まる。
【0077】
この場合、楽曲の再生は、大当り遊技の開始時に始まり、特別演出の開始時が、楽曲の再生中である場合は、
図4(c)に示すように、特別演出の開始時から、その終了時まで、楽曲の再生が中断する。そして、特別演出が終了した時点で、楽曲の再生を再開する。楽曲の再生は、中断直前に再生していた部分から再開される。そのため、楽曲の合計再生時間は、中断前と中断後とを合わせて、4分間(楽曲を中断せずに再生したときの長さ)である。
【0078】
特別演出の長さは、上述したように、演出データ決定乱数を用いて選択された演出データの長さに決定される。特別演出の内容は、次に示すような昇格演出である。大当り遊技が開始された時点では、特別図柄表示装置31には、仮表示図柄乱数に基づき設定された大当り図柄が表示されている。例えば、仮表示図柄乱数に基づき設定された大当り図柄が「4、4、4」であり、大当り図柄乱数に基づき設定された大当り図柄が「7、7、7」である場合、大当り遊技が開始された時点では、
図5(a)に示すように、特別図柄表示装置31には、「4、4、4」が表示されている。昇格演出が開始されると、
図5(b)に示すように、特別図柄表示装置31に表示される大当り図柄が、「4、4、4」→「5、5、5」→「6、6、6」と変動してゆき、最終的に、大当り図柄乱数に基づき設定された「7、7、7」が確定表示される。また、昇格演出における変動のパターンは、
図5(c)に示すものであってもよい。
図5(c)に示す例では、最終的に、大当り図柄乱数に基づき設定された「6、6、6」を確定表示する。
【0079】
さらに、昇格演出の別の例として、
図6に示すものがある。昇格演出のとき、図柄表示装置21に、
図6(a)に示す円201を表示する。円201は、8つの均等な扇に分割されており、それぞれに1〜8の番号が付されている。また、奇数の番号が付された扇と、偶数の番号が付された扇とは、色が異なる。円201の真上には逆三角形のポインタ203が表示され、8つの扇のうち、真上の位置に来たものを指し示すように構成されている。
【0080】
大当り遊技が開始された時点で特別図柄表示装置31に表示されていた大当り図柄(仮表示図柄乱数に基づいて設定された大当り図柄)が、非特定大当り図柄である場合は、ポ
インタ203は、円201のうち、偶数の番号が付された扇を指し示している。一方、大当り遊技が開始された時点で特別図柄表示装置31に表示されていた大当り図柄が、特定大当り図柄である場合は、ポインタ203は、円201のうち、奇数の番号が付された扇を指し示している。すなわち、円201において奇数の番号が付された扇は、特定大当り図柄を表す。
【0081】
昇格演出が始まると、
図6(a)に示すように、円201が回転表示され、その後、
図6(b)に示すように停止表示される。このとき、大当り図柄乱数に基づき設定された大当り図柄が特定大当り図柄であった場合は、ポインタ203は、円201のうち、奇数の番号が付された扇を指し示す。一方、大当り図柄乱数に基づき設定された大当り図柄が非特定大当り図柄であった場合は、ポインタ203は、円201のうち、偶数の番号が付された扇を指し示す。遊技者は、円201及びポインタ203の表示を見て、大当り図柄が、特定大当り図柄に昇格にしたか否かを知ることができる。
(5)遊技機1が奏する効果
(i)遊技機1は、大当り遊技を提供する際、楽曲の再生が始まる前、又は楽曲の再生を
途中で中断して、長さがランダムに設定された特別演出を行うため、大当り遊技の開始から楽曲の再生が終了するまでの時間が、大当り遊技ごとにばらばらになる。
【0082】
そのため、遊技者は、楽曲の再生が終了する時点を基準として、大当り遊技の進行の早さ(大入賞口25への入賞し易さ、遊技盤7における釘調整の良否)を判断することができない。
【0083】
例えば、
図4(a)に示す場合と、
図4(b)に示す場合とでは、特別演出の長さが異なり、その結果として、大当り遊技の開始から楽曲の再生が終了するまでの時間が異なる。そのため、
図4(b)に示す場合の方が、
図4(a)に示す場合よりも、大当り遊技の進行が早かったとしても、楽曲の再生が終了した時点で消化しているラウンド数は、
図4(b)の場合の方が多く消化しているとは限らない。なお、
図4(a)、(b)では、楽曲の再生が終了した時点で消化しているラウンド数が同じとなっているが、常にこうなるわけではなく、
図4(a)の場合の方がラウンド数を多く消化しているときも、その逆のときもある。
【0084】
(ii)遊技機1は、大当り遊技の後、確率変動状態となる場合は、その大当り遊技における特別演出の時間を、表5(又は表7)のテーブルから選択することで、短く設定する。そのことで、遊技者は、楽曲をじっくりと聴くことができる。また、特別演出の時間を短く設定することで、楽曲を聴く時間が長くなるため、長い楽曲が使用されている場合でも、楽曲を最後まで聴くことができる可能性が高くなる。また、大当り遊技の後、確率変動状態にならない場合は、その大当り遊技における特別演出の時間が相対的に長くなり、楽曲の再生が終了したとき、大当り遊技が先に進んでいるので、大当り遊技の進行が早い(大入賞口25へ入賞し易く、遊技盤7における釘調整が良い)という印象を遊技者に与えることができる。
【0085】
なお、大当り遊技の後、確率変動状態となる場合に、その大当り遊技における特別演出の時間を短く設定すると、楽曲の再生が終了したとき、大当り遊技があまり先に進んでいないことがあるが、遊技者は、確率変動状態のときは、釘調整が悪いと感じても遊技を止めることはない。
【0086】
(iii)遊技機1は、確率変動状態において、非特定大当り図柄を最終的に(昇格演出の
後)停止表示し、大当り遊技の後、確率変動状態にならない場合、その大当り遊技における特別演出の時間を、表6(又は表8)のテーブルから選択することで、長く設定する。
【0087】
確率変動状態を終了するときは、遊技者が遊技を止めやすいタイミングであるが、遊技機1は、確率変動状態が終了してしまう大当り遊技において、特別演出の時間を長く設定し、楽曲の再生が終了したとき、大当り遊技が先に進んでいるので、大当り遊技の進行が早い(大入賞口25へ入賞し易く、遊技盤7における釘調整が良い)という印象を遊技者に与え、遊技者が遊技を止めてしまうことを防止できる。
【0088】
(iv)遊技機1は、特別演出を開始するタイミングをランダムに設定する。そのため、楽曲の進行具合を基準にして、大当り遊技の進行の早さ(大入賞口25への入賞し易さ、遊技盤7における釘調整の良否)を判断することが一層困難になる。
【0089】
2.第2の実施形態
本第2の実施形態の遊技機1の構成及び作用は、基本的には前記第1の実施形態と同様であるが一部において相違する。以下では、相違点を中心に説明し、同様の部分の記載は省略乃至簡略化する。
【0090】
遊技機1は、特別演出の開始タイミングについては、前記第1の実施形態と同様に設定するが(例えば
図4(a)〜(c))、特別演出の長さは設定しない。特別演出が開始されると、図柄表示装置21に
図7に示すようなクイズと、「1」〜「3」の回答の選択肢が表示される。遊技者は、操作部15(
図1参照)の操作ボタン15aを押圧することで、「1」の回答を入力することができる。また、操作ボタン15bを押圧することで、「2」の回答を入力することができる。操作ボタン15cを押圧することで、「3」の回答入力することができる。操作ボタン15a〜15cのいずれかが押圧されると、その入力信号が主制御基板41に入る。その後、回答が正解であったか否かを図柄表示装置21に表示してから、特別演出が終了する。回答が正解であったか否かを表示する時間は、固定された時間であってもよいし、ランダムに設定される時間であってもよい。なお、特別演出の開始から回答入力可能期間が経過した場合、その時点で、特別演出が終了する。回答入力可能期間は、固定した時間(例えば15秒間)であってもよいし、乱数に基づきランダムに長さが設定されてもよいし、特別遊技状態が続いている場合のみ、回答入力可能期間が徐々に短く、あるいは長くなるようにしてもよい。
【0091】
遊技者が入力を行うタイミングは不定期であるため、楽曲の再生が終了するタイミングも不定期となる。そのため、遊技者は、楽曲の再生が終了する時点を基準として、大当り遊技の進行の早さ(大入賞口25への入賞し易さ、遊技盤7における釘調整の良否)を判断することができない。
【0092】
3.第3の実施形態
本第3の実施形態の遊技機1の構成及び作用は、基本的には前記第1の実施形態と同様であるが一部において相違する。以下では、相違点を中心に説明し、同様の部分の記載は省略乃至簡略化する。
【0093】
本第3の実施形態では、確率変動状態のときの、特別演出の長さの設定方法が異なる。すなわち、低確率状態から、確率変動状態となった最初の大当り遊技では、表9に示すテーブルのうち、番号1の演出時間(5sec)を設定し、確率変動状態における2回目、3回目・・・の大当り遊技において設定する演出時間は、順に、番号2の演出時間(7sec)、番号3の演出時間(9sec)・・・とする。
【0094】
【表9】
このような特別演出の長さの設定方法を、確率変動状態が終了するまで続ける。確率変動状態が始まる前、又は確率変動状態が終了した後は、前記第1の実施形態と同様に特別演出の長さを設定する。
【0095】
また、上記の方法ではなく、以下の方法であってもよい。すなわち、低確率状態から、確率変動状態となった最初の大当り遊技では、特別演出の長さをランダムに設定し、確率変動状態における2回目、3回目・・・の大当り遊技において設定する演出時間は、その前の大当り遊技で設定した長さに、所定の長さ(例えば2秒間)ずつ加算するようにしてもよい。
【0096】
本第3の実施形態によれば、連続する大当り遊技において、後の大当り遊技になるほど、特別演出を除々に長くすることにより、楽曲の再生終了時に、大当り遊技が先まで進むようにできるので、大当り遊技の進行が早い(大入賞口25へ入賞し易く、遊技盤7における釘調整が良い)という印象を遊技者に与えることができる。しかも、特別演出の長さが、大当り遊技ごとに、急に変わることがないので、特別演出の長さが変わったことに遊技者が気付き難く、違和感を持つことがない。
【0097】
4.第4の実施形態
本第4の実施形態の遊技機1の構成及び作用は、基本的には前記第1の実施形態と同様であるが一部において相違する。以下では、相違点を中心に説明し、同様の部分の記載は省略乃至簡略化する。
【0098】
本第4の実施形態では、特別演出の内容が、確変昇格演出ではなく、ラウンド数昇格演出である。すなわち、本第4の実施形態では、特別演出が開始される時点では、ラウンド表示LED34(
図1参照)に、最終的な(特別演出の終了後に表示される)ラウンド数ではなく、仮のラウンド数が表示されている。
【0099】
特別演出が開始されると、
図8(a)に示すように、図柄表示装置21に、先ず、仮のラウンド数(
図8の例では2R)が表示され、その後、15R→2Rと変動表示され、最終的に15Rが確定表示される。大当り遊技では、この最終的に確定表示されたラウンド
数が実行される。
【0100】
特別演出は、
図8(b)に示すものであってもよい。特別演出が開始されると、
図8(b)に示す立方体301の斜視図が表示される。
図8(b)に示す例では、立方体301の面のうち、視認できる3面には、それぞれ、2R、15R、15Rが表示されている。このうち、2Rは、特別演出が開始される時点でラウンド表示LED34(
図1参照)に表示されている仮のラウンド数である。また、上側の面に表示された15Rは、最終的な(特別演出の終了後に表示される)ラウンド数である。特別演出が進行すると、立方体301の3面のうち、1面のみに特定の色が付され、その特定の色が付される面は、3面の中で変動する。最終的に、一つの面(
図8(b)の例では上面)に確定的に特定の色が付され、その面に表示された15Rが最終的に確定する。大当り遊技では、この最終的に表示されたラウンド数が実行される。
【0101】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0102】
例えば、前記各実施の形態では、確率変動状態のとき、特別演出の時間を、表5(又は表7)のテーブルから選択することで、短く設定するようにしているが、それに代えて、またはそれに加えて、時短状態のときは、特別演出の時間を、表5(又は表7)のテーブルから選択することで、短く設定するようにしてもよい。
【0103】
また、前記各実施の形態では、確率変動状態において、非特定大当り図柄を最終的に(昇格演出の後)停止表示し、確率変動状態を終了するとき、特別演出の時間を、表6(又は表8)のテーブルから選択することで、長く設定しているが、それに代えて、またはそれに加えて、時短が終了するとき、特別演出の時間を、表6(又は表8)のテーブルから選択することで、長く設定するようにしてもよい。
【0104】
また、前記第3の実施形態では、確率変動状態において大当りが連続するとき、後の大当り遊技ほど、特別演出の時間を徐々に長く設定するようにしているが、それに代えて、またはそれに加えて、時短状態のとき、特別演出の時間を徐々に長く設定するようにしてもよい。
【0105】
前記各実施の形態の遊技機1において、特別演出の終了後に停止表示される大当り図柄が特定大当り図柄である場合、時短を開始させることができる。また、時短となってから、非特定大当り図柄を停止表示するか、大当りの抽選(
図3のステップ20)を所定回数(例えば、50回、100回)行ったとき、時短状態を終了させることができる。
【0106】
遊技機1の電気的構成は、
図9のブロック図に示すものであってもよい。この電気的構成では、図柄制御基板43と音声制御基板45との両方の機能を奏する演出制御基板53を備えている。
【0107】
遊技機1の操作部15は、携帯電話の入力キーのような、カーソルの上下、左右への移動を可能とする操作ボタンと、入力確定ボタンを備えているものであってもよい。その場合、操作ボタンにより、
図7に示す画面において、カーソルを、「1」〜「3」の回答の選択肢のいずれかに移動させ、その後、入力確定ボタンを押圧することにより、回答することができる。
【0108】
前記第1、3、4の実施形態では、乱数を用いて直接、特別演出の長さを設定するのではなく、他のパラメータをランダムに設定し、そのパラメータに応じて特別演出の長さを設定してもよい。この場合も結果として、特別演出の長さをランダムに設定することがで
きる。その具体的な態様としては、例えば、音声演出の長さを乱数に基づいてランダムに設定し、その音声演出の長さに合わせて、特別演出の長さを設定することができる。