特許第5958583号(P5958583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5958583
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20160719BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20160719BHJP
【FI】
   H01R12/71
   H01R12/58
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-56487(P2015-56487)
(22)【出願日】2015年3月19日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 善光
(72)【発明者】
【氏名】八木 境
(72)【発明者】
【氏名】森田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】陣内 正吾
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−006771(JP,A)
【文献】 米国特許第06334783(US,B1)
【文献】 特開2001−266994(JP,A)
【文献】 特開2000−003744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71−12/73
H01R 12/51−12/52
H01R 12/58
H01R 12/65−12/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L字状の折曲部を挟んでコネクタ側接続部及び基板側接続部を有する導電端子を前記コネクタ側接続部と前記折曲部との間にて保持する端子保持孔と、前記基板側接続部が露出可能に開設された回路基板接続用の開口部と、を有するハウジングと、
前記端子保持孔に前記コネクタ側接続部が挿入された前記導電端子の基板側接続部が導電端子挿通用の貫通孔から突出した状態で前記導電端子の基板側接続部に向かって前記ハウジングの下面側から前記開口部に装着され前記ハウジングに係止されアライメント部材と
前記導電端子の基板側接続部が前記折曲部側へ変位するのを阻止する係合手段である凹凸係合機構と、
前記ハウジングの開口部に装着された前記アライメント部材の離脱を防止するロック機構と、を備え、
前記凹凸係合機構は、
前記導電端子に設けられた凸状ショルダ部と、前記凸状ショルダ部を嵌入させるため前記アライメント部材の貫通孔内に設けられた凹状保持部と、で構成され、且つ、
前記凸状ショルダ部を前記凹状保持部に向かって誘導するガイド面が前記貫通孔の内周面と前記凹状保持部との間に存在し、
さらに、前記ロック機構は、
前記ハウジングの左右側面から背面側に突出した外側壁の前後方向に離れた複数の位置に、前記開口部内に向かって突出する前方ロック部、中間ロック部及び後方ロック部を備え、前記中間ロック部及び前記後方ロック部の下面にはそれぞれ凹溝を備えるとともに、
前記外側壁の前記前方ロック部、前記中間ロック部及び前記後方ロック部と対向する位置にある前記アライメント部材の側面部に、前記前方ロック部及び前記中間ロック部の上面にそれぞれ当接可能な複数の上方ロック部と、前記中間ロック部及び後方ロック部の凹溝にそれぞれ嵌入可能な複数の半円柱状ロック部と、を備え、
前記アライメント部材が前記ハウジングに係止された状態において、
前記アライメント部材の複数の前記半円柱状ロック部がそれぞれ前記中間ロック部及び前記後方ロック部の前面に当接した位置にあるとともに、
前記アライメント部材の複数の前記上方ロック部がそれぞれ前記ハウジングの前記前方ロック部及び前記中間ロック部の上面に当接した位置にある、ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記導電端子の基板側接続部がプレスフィット機構を有する請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に組み付けて使用される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する従来技術として、例えば、特許文献1記載の「基板用コネクタ」がある。特許文献1記載の基板用コネクタは、ハウジングの側壁が拡開するのを防止するための規制部材であるアライメントプレートを備えたものである。
【0003】
具体的には、特許文献1中の図1図2に記載されているように、ハウジング20は、端子金具21を保持可能な端子保持部22と、端子保持部22から後方へ延出形成される一対の側壁24と、両側壁24の外側面から外方へ張り出す基板固定部25とから構成される。基板固定部25には、基板10のねじ挿通孔12を通したタッピングねじを締め付け可能なねじ締付孔29が設けられ、ねじ締付孔29にタッピングねじを螺着することでハウジング20を基板10に対して固定できる。
【0004】
両側壁24間に組み付けられるアライメントプレート40の両側縁には、両側壁24の内側面に設けられた被規制部30に対して係止可能な規制部43が設けられている。規制部43が被規制部30に係止することにより、タッピングねじを締め付けるのに伴って側壁24が拡開変形するのを規制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−123120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の基板用コネクタは、回路基板側から導電端子に作用する外力(反力)を受ける手段を有していないので、当該基板用コネクタを回路基板への組み付けるとき、回路基板側から導電端子の基板側接続部に外力(反力)が作用すると、導電端子が逃げ、基板側接続部が回路基板の正常位置に圧入されないことがある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、アライメント部材を備えた電気コネクタを回路基板へ組み付ける場合に導電端子に当該回路基板から外力(反力)が作用しても導電端子の基板側接続部が逃げない電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気コネクタは、L字状の折曲部を挟んでコネクタ側接続部及び基板側接続部を有する導電端子を前記コネクタ側接続部と前記折曲部との間にて保持する端子保持孔と、前記基板側接続部が露出可能に開設された回路基板接続用の開口部と、を有するハウジングと、
前記端子保持孔に前記コネクタ側接続部が挿入された前記導電端子の基板側接続部が導電端子挿通用の貫通孔から突出した状態で前記導電端子の基板側接続部に向かって前記ハウジングの下面側から前記開口部に装着され前記ハウジングに係止されアライメント部材と
前記導電端子の基板側接続部が前記折曲部側へ変位するのを阻止する係合手段である凹凸係合機構と、
前記ハウジングの開口部に装着された前記アライメント部材の離脱を防止するロック機構と、を備え、
前記凹凸係合機構は、
前記導電端子に設けられた凸状ショルダ部と、前記凸状ショルダ部を嵌入させるため前記アライメント部材の貫通孔内に設けられた凹状保持部と、で構成され、且つ、
前記凸状ショルダ部を前記凹状保持部に向かって誘導するガイド面が前記貫通孔の内周面と前記凹状保持部との間に存在し、
さらに、前記ロック機構は、
前記ハウジングの左右側面から背面側に突出した外側壁の前後方向に離れた複数の位置に、前記開口部内に向かって突出する前方ロック部、中間ロック部及び後方ロック部を備え、前記中間ロック部及び前記後方ロック部の下面にはそれぞれ凹溝を備えるとともに、
前記外側壁の前記前方ロック部、前記中間ロック部及び前記後方ロック部と対向する位置にある前記アライメント部材の側面部に、前記前方ロック部及び前記中間ロック部の上面にそれぞれ当接可能な複数の上方ロック部と、前記中間ロック部及び後方ロック部の凹溝にそれぞれ嵌入可能な複数の半円柱状ロック部と、を備え、
前記アライメント部材が前記ハウジングに係止された状態において、
前記アライメント部材の複数の前記半円柱状ロック部がそれぞれ前記中間ロック部及び前記後方ロック部の前面に当接した位置にあるとともに、
前記アライメント部材の複数の前記上方ロック部がそれぞれ前記ハウジングの前記前方ロック部及び前記中間ロック部の上面に当接した位置にある、ことを特徴とする。
ここで、前記「前方」、「後方」については、前記ハウジングの端子保持孔に挿入された前記導電端子のコネクタ接続部側を「前方」とし、前記正面と180度反対側を「後方」とする。前記「上面」、「下面」については、前記導電端子の折曲部から見て基板側接続部側に向かう方向を「下」とし、これと180度反対側を「上」とする。前記「左右」とは前記前後方向及び前記上下方向と直交する方向とする。
【0009】
このような構成を備えた電気コネクタにおいては、ハウジングの端子保持孔に保持された導電端子の基板側接続部は、ハウジングの開口部を閉塞するように装着されたアライメの貫通孔から突出した状態にあり、導電端子と貫通孔との間には導電端子の基板側接続部が、折曲部側へ変位するのを阻止する係合手段が存在するので、電気コネクタを回路基板へ組み付ける場合に導電端子に当該回路基板から外力(反力)が作用しても導電端子の基板側接続部が折曲部側へ逃げることがない。
【0010】
本発明の電気コネクタにおいては、前記係合手段として、前記開口部に装着された前記アライメント部材を前記導電端子の基板側接続部と交差する方向へスライドさせると前記導電端子に係合する凹凸係合機構を設けている。
【0011】
このような構成とすれば、アライメント部材を一定方向へスライドさせるという比較的容易な作業により、導電端子の基板側接続部に対し、アライメント部材を確実に係合させることができる。
【0012】
本発明の電気コネクタにおいて、前記凹凸係合機構は、前記導電端子に設けられた凸状ショルダ部と、前記凸状ショルダ部を嵌入させるため前記アライメント部材の貫通孔内に設けられた凹状保持部と、を備えている。
【0013】
このような構成とすれば、凸状ショルダ部が凹状保持部に嵌入することにより、強固な係合状態を実現することができ、導電端子の基板側接続部が折曲部側へ逃げるのを防止する上で有効である。
【0014】
また、本発明の電気コネクタにおいては、前記アライメント部材を前記基板側接続部と交差する方向へスライドさせたとき、前記凸状ショルダ部を前記凹状保持部に向かって誘導するガイド面を前記貫通孔の内周面と前記凹状保持部との間に設けている。
【0015】
一方、前記導電端子の基板側接続部がプレスフィット機構を有するものとすることもできる。
【0016】
さらに、本発明の電気コネクタにおいては、前記ハウジングの開口部に装着された前記アライメント部材の離脱を防止するロック機構を設けている。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、回路基板へ組み付ける場合に導電端子に当該回路基板から外力(反力)が作用しても導電端子の基板側接続部が折曲部側へ逃げない電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態である電気コネクタを示す正面、平面及び右側面側から見た斜視図である。
図2図1に示す電気コネクタの一部省略分解斜視図である。
図3図2中に示す導電端子の斜視図である。
図4図2中に示すハウジングの拡大斜視図である。
図5図4に示すハウジングの背面、平面及び右側面側から見た斜視図である。
図6図2中に示すアライメント部材の拡大斜視図である。
図7図6に示すアライメント部材の背面、平面及び右側面側から見た斜視図である。
図8図6に示すアライメント部材の平面図である。
図9図6に示すアライメント部材の底面図である。
図10図6に示すアライメント部材の右側面図である。
図11図8中のA−A線における断面図である。
図12図9中の矢線Bで示す部分の拡大図である。
図13図11中の矢線Cで示す部分の拡大図である。
図14図1に示す電気コネクタの組立工程の一部を示す図である。
図15図14に示す組立工程の一部を示す拡大図である。
図16図14に示す組立工程における導電端子の凸状ショルダ部の動作を示す断面図である。
図17図16中の矢線D方向から見た図である。
図18図14に示す組立工程におけるアライメント部材とハウジングとのロック状態を示す断面図である。
図19】組立完了後の電気コネクタを示す正面、底面及び右側面側から見た斜視図である。
図20図19に示す電気コネクタに回路基板を組み付ける前の状態を示す斜視図である。
図21図19に示す電気コネクタに回路基板を組み付ける工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1図2に示すように、本実施形態の電気コネクタ100は、L字形状をした複数の導電端子10,10xと、複数の導電端子10,10xを整列状態に保持するハウジング30と、ハウジング30に係止されたアライメント部材50と、を備えている。なお、図1において、矢線Xを左右方向(横方向)、矢線Yを上下方向、矢線Zを前後方向(正面・背面方向)とする(以下、同様。)。
【0020】
図3に示すように、導電端子10は、L字状の折曲部11を挟んでコネクタ側接続部12と基板側接続部13とを有している。コネクタ側接続部12は略四角柱形状をなし、その対向する二面にはその長手方向に沿って複数の溝12aが形成されている。コネクタ側接続部12と折曲部11との間には、後述するハウジング30の端子保持孔31に挿着される係止部14と、導電端子10をハウジング30に圧入する際の押圧位置を確保するための幅広部16と、が形成されている。
【0021】
導電端子10において、折曲部11と基板側接続部13との間の、基板側接続部13寄りの部分には、端子本体部10aから倒立T字状をなすように拡幅した凸状ショルダ部15が設けられ、折曲部11寄りの部分には、端子本体部10aより拡幅した略ホームベース形状をなす端子保持部17が設けられている。
【0022】
また、導電端子10において、基板側接続部13の先端部13aは断面C字状の略円筒形状をなし、先端部13aと凸状ショルダ部15との間には弾性的に縮径拡径可能なプレスフィット機構を有する接触部13bが設けられている。接触部13bと凸状ショルダ部15との間には断面C字状の連設部13cと、連設部13cと凸状ショルダ部15とを滑らかな曲面で連続するガイド部13dと、が設けられている。
【0023】
図2に示すように、複数の導電端子10,10xは、ハウジング30に対する取り付け位置の違いにより、全体の長さや折曲部11の位置が異なっているが、基本的な形状及び機能は図3に示す導電端子10と共通しているので、その他の導電端子10についての説明は省略する。なお、図2において、全体の長さが最も短い導電端子10x及びその次に短い導電端子10xには端子保持部17が設けられていない。
【0024】
図2図4図5に示すように、ハウジング30の正面には相手コネクタ(図示せず)を嵌入させるための複数の開口部32が隔壁33で区画された状態で設けられ、それぞれの開口部32の奥にはハウジング30を横断する状態で遮壁34が設けられている。ハウジング30の両側面には、遮壁34から背面側に突出する外側壁35,35が設けられている。対向する外側壁35,35の間の領域においては、遮壁34から背面側に突出する複数の内側壁36,36が設けられている。内側壁36,36は隔壁33,33と同間隔をなすように形成されている。ハウジング30においては、対向する外側壁35,35の間の、外側壁35,35の下縁側の開口部30aが、導電端子10,10xの基板側接続部13が露出可能に開設された回路基板接続用の開口部に相当する。
【0025】
遮壁34には、複数の端子保持孔31が、上下左右に所定間隔を置いて開設されている。遮壁34の背面側から正面側に向かう方向に沿って、図2図3に示す導電端子10,10xのコネクタ側接続部12が端子保持孔31に挿入され、係止部14が端子保持孔31の内面に係合することによって導電端子10がハウジング30に保持される。
【0026】
ハウジング30の外側壁35,35の背面側の下縁部分には、後述するアライメント部材50の側面部51を嵌入させるための切欠き部37が設けられている。ハウジング30の外側壁35,35の背面側の下縁部分の内側には、アライメント部材50の側面部51の上方に設けられた複数のロック部52,53が嵌入する凹部40と、ロック部52,52と係合するロック部38,39と、が設けられている。
【0027】
図2図6図13に示すように、アライメント部材50は、ハウジング30の開口部30aを閉塞するように装着されるプレート状の部材であり、導電端子10,10xの基板側接続部13を挿通するための複数の貫通孔55が、その厚さ方向(矢線Y方向)に貫設されている。複数の貫通孔55の配列は、ハウジング30の端子保持孔31に装着された複数の導電端子10,10xの基板側接続部13の配列と同位相をなすように設定されている。
【0028】
アライメント部材50の前縁部には、ハウジング30の遮壁34の下縁部に設けられた複数の凸部34aが嵌入可能な凹部54が設けられている。複数の凸部34aは内側壁36,36と遮壁34との境界部分の下方部分に、内側壁36,36と同間隔に設けられている。アライメント部材50の後縁部には、ハウジング30の内側壁36の後縁部下方に設けられた凹部36aに嵌入可能なブリッジ部56が設けられている。
【0029】
図6図7図10に示すように、アライメント部材50の上面は、前縁部から後縁部に向かって高くなる階段形状をなしている。各階段の上面の高さは、ハウジング30に保持された複数の導電端子10の端子保持部17の高さ方向の位置に対応するように設定されている。
【0030】
図11に示すように、アライメント部材50に貫設された複数の貫通孔55は、アライメント部材50の上面に開口する擂鉢状のガイド部55aと、ガイド部55aの下縁部からアライメント部材50の下面に向かって貫通した貫通部55bと、貫通部55b内のアライメント部材50背面側に向かって凹むように形成された凹状保持部55cと、を備えている。貫通部55bの内周面と凹状保持部55cとの間にはガイド面55dを有する垂下部55gが設けられている。
【0031】
図8図9図12に示すように、アライメント部材50の貫通孔55は、貫通部55bの内周面から半径方向に拡がる一対のショルダ部挿通溝55eが180度対向状態に設けられている。また、貫通部55bから凹状保持部55cに向かって広がった移動経路55fが設けられている。
【0032】
次に、図14図18に基づいて、図1に示す電気コネクタ100の組み立て工程などについて説明する。
【0033】
図14(a)に示すように、ハウジング30の遮壁34に開設された複数の端子保持孔31に対し、遮壁34の背面側から正面側に向かって複数の導電端子10,10xのコネクタ側接続部12をそれぞれ挿入すると、導電端子10,10xの係止部14が端子保持孔31内に圧入された状態で保持される。
【0034】
次に、図14(b)に示すように、ハウジング30の上面側に治具60を装着する。治具60の下面には、段違いに配列された階段状の当接面61が設けられている。ハウジング30の下面側から、導電端子10,10xの基板側接続部13に向かって、アライメント部材50を装着すると、治具60の当接面61と、導電端子10の端子保持部17とが当接することにより、確実なアライメント部材50の装着が可能となる。
【0035】
次に、図14(c)に示すように、アライメント部材50の貫通孔55を貫通して、その下面側から突出する複数の導電端子10,10xの基板側接続部13に向かって治具70を装着する。治具70には、複数の導電端子10,10xの基板側接続部13の先端部13aがそれぞれ挿入可能な複数の保持凹部71が開設されている。従って、図14(c)及び図15(a)に示すように、複数の導電端子10,10xの先端部13aを保持凹部71に挿入した状態で治具70を装着すると、導電端子10,10xの基板側接続部13側は外力で動かないように保持される。
【0036】
この後、図14(d)及び図15(b)に示すように、治具60,70を保持した状態で、アライメント部材50の背面側から正面側に向かって矢線Z1方向の外力を加えると、アライメント部材50がハウジング30の遮壁34に向かって横スライドする。これにより、アライメント部材50の貫通孔55の貫通部55b内に位置していた凸状ショルダ部15が、後述する図16に示すような過程を経て、凹状保持部55c内に嵌り込む。また、アライメント部材50を横スライドさせるときに、治具60の当接面61が、導電端子10の端子保持部17をガイドすることで、凸状ショルダ部15の高さを正規位置に合わせることができる。
【0037】
具体的には、図16(a)に示す状態にあるアライメント部材50に矢線Z1方向の外力を加えると、図16(b)に示すように、導電端子10の凸状ショルダ部15の上面15aの後縁に形成された斜面15bが、垂下部55gのガイド面55dに当接する。この後、さらに矢線Z1方向の外力が加わると、斜面15b及びガイド面55dは同じ方向に傾斜しているので、ガイド面55dは斜面15bに沿って上面15aに乗り上がるように滑動していき、これに伴って、凸状ショルダ部15は下方へ押し下げられる。このとき、導電端子10の本体部10a(図3参照)の水平部分(幅広部16と折曲部11との間の部分)が下方へ弾性変位することで凸状ショルダ部15が下方へ押し下げられる。
【0038】
この後、ガイド面55dの後縁部が凸状ショルダ部15の上面15aの前縁部を通過すると、凸状ショルダ部15に対する下方押圧力が解除されるので、図16(c)及び図17に示すように、凸状ショルダ部15は元の位置に向かって上昇し、凹状保持部55c内に嵌り込み、ハウジング30に対するアライメント部材50の装着が完了する。
【0039】
一方、ハウジング30に対するアライメント部材50の装着が行われているとき、アライメント部材50の側面部51と、ハウジング30の外側壁35との間においては、図18に示すような過程を経て、ハウジング30に対してアライメント部材50がロックされている。
【0040】
具体的には、ハウジング30に対してアライメント部材50が、図14(c)に示す状態にあるとき、アライメント部材50の側面部51と、ハウジング30の外側壁35とは図18(a)に示す状態にある。即ち、図18(a)に示すように、アライメント部材50の両側に設けられた半円柱形状のロック部52は、ハウジング30の外側壁35の凹部40に設けられたロック部39下面の凹溝39aに嵌入している。
【0041】
次に、アライメント部材50に矢線Z1方向の外力が加えられると、図18(b)に示すように、二つのロック部52はそれぞれ二つのロック部39の正面側に嵌り込むとともに、二つのロック部53のうち前方のロック部53はロック部38の上面に当接し、後方のロック部53はロック部39の上面に当接した状態となる。図18に示すような過程を経ることにより、アライメント部材50の側面部51と、ハウジング30の外側壁35とは、容易に分離しないようにロックされる。
【0042】
次に、図19図21に基づいて、電気コネクタ100に回路基板200を組み付ける工程について説明する。
【0043】
図19に示すように、完成した電気コネクタ100は、アライメント部材50の下面から、複数の導電端子10,10xの基板側接続部13が突出した状態となっている。電気コネクタ100に回路基板200を組み付ける場合、図20及び図21(a)に示すように、筐体300の内面301に、電気コネクタ100のハウジング30の上面30bを当接させた状態にセットする。
【0044】
次に、回路基板200及び基板圧入治具80を、露出状態にあるアライメント部材50の下面側に配置する。回路基板200には、複数の導電端子10,10xの基板側接続部13と同じ配列で複数のスルーホール201が開設され、基板圧入治具80にも複数のスルーホール201と同配列で穴部81が開設されている。
【0045】
この後、基板圧入治具80を介して回路基板200を電気コネクタ100に向かって押圧すると、複数の基板側接続部13がそれぞれ回路基板200のスルーホール201内に挿着される。基板側接続部13のスルーホール201内への挿着が終わった後、基板圧入治具80を回路基板200から離脱させると、図21(b)に示すように、基板側接続部13の接触部13bがスルーホール201内に保持された状態となり、電気コネクタ100に対する回路基板200の組み付けが完了する。
【0046】
電気コネクタ100は、導電端子挿通用の貫通孔55から基板側接続部13を突出させた状態でハウジング30に係止されるアライメント部材50を備え、導電端子10,10xの基板側接続部13が折曲部11側へ変位するのを阻止する係合手段である凹凸係合機構を、導電端子10の凸状ショルダ部15と貫通孔55との間に設けている。
【0047】
即ち、凹凸係合機構として、導電端子10,10xに設けられた凸状ショルダ部15と、凸状ショルダ部15を嵌入させるためアライメント部材50の貫通孔55内に設けられた凹状保持部55cとを設けている。
【0048】
従って、図14図17に示すように、ハウジング30の開口部30aに一次係止されたアライメント部材50を導電端子10,10xの基板側接続部13と交差する方向(ハウジング30の遮壁34に接近する方向)へスライドさせると、導電端子10,10xの凸状ショルダ部15が、貫通孔55の凹状保持部55cに係合する。
【0049】
これにより、導電端子10,10xの基板側接続部13が折曲部11側へ変位するのを阻止することができるので、図21に示すように、電気コネクタ100に回路基板200を組み付けるときの圧入抵抗に起因して、導電端子10,10xの基板側接続部13が折曲部11側へ逃げるのを防止することができる。
【0050】
また、図12図13図16に示すように、アライメント部材50を基板側接続部13と交差する方向へスライドさせたとき、導電端子10,10xの凸状ショルダ部15を凹状保持部55cに向かって誘導するガイド面55dを貫通孔55の内周面と凹状保持部55cとの間の垂下部55gの下面に設けている。このため、アライメント部材50のスライド操作により、導電端子10,10xの凸状ショルダ部15は円滑に凹状保持部55cに嵌入される。
【0051】
さらに、導電端子10,10xの基板側接続部13には、プレスフィット機構を有する複数の接触部13bが設けられているため、回路基板200のスルーホール201内への挿着も容易であり、挿着した後の接触信頼性も優れている。
【0052】
一方、アライメント部材50の側面部51と、ハウジング30の外側壁35との間に、図18に示すようなロック機構を設けているため、ハウジング30の開口部30aに装着されたアライメント部材50の不所望な離脱を防止することができる。
【0053】
なお、図1図21に基づいて説明した電気コネクタ100などは本発明の一例を示すものであり、本発明の電気コネクタは、前述した電気コネクタ100に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の電気コネクタは、電子・電気機器産業あるいは自動車産業などの分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10,10x 導電端子
10a 本体部
11 折曲部
12 コネクタ側接続部
13 基板側接続部
13a 先端部
13b 接触部(プレスフィット機構)
13c 連設部
13d ガイド部
14 係止部
15 凸状ショルダ部(係合手段、凹凸係合機構)
15a 上面
15b 斜面
16 幅広部
17 端子保持部
30 ハウジング
30a 開口部
30b 上面
31 端子保持孔
32 開口部
33 隔壁
34 遮壁
34a 凸部
35 外側壁
36 内側壁
36a 凹部
37 切欠き部
38,39 ロック部(ロック機構)
39a 凹溝
40 凹部
50 アライメント部材
51 側面部
52,53 ロック部(ロック機構)
54 凹部
55 貫通孔
55a ガイド部
55b 貫通部
55c 凹状保持部(係合手段、凹凸係合機構)
55d ガイド面
55e 凸状ショルダ部挿通溝
55f 移動経路
55g 垂下部
56 ブリッジ部
60,70,80 治具
61 当接面
71 保持凹部
81 穴部
100 電気コネクタ
200 回路基板
201 スルーホール
300 筐体
301 内面
【要約】
【課題】回路基板へ組み付ける場合に導電端子に当該回路基板からの外力(反力)が作用しても導電端子の基板側接続部が折曲部側へ逃げない電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ100は、L字状の折曲部11を挟んでコネクタ側接続部12及び基板側接続部13を有する導電端子10と、導電端子10をコネクタ側接続部12と折曲部11との間にて保持する端子保持孔と、基板側接続部13が露出可能に開設された回路基板接続用の開口部30aと、を有するハウジング30と、導電端子10の基板側接続部13に向かって開口部30aを閉塞するように装着され導電端子挿通用の貫通孔55から基板側接続部13を突出させた状態でハウジング30に係止されるアライメント部材50と、を備え、導電端子10の基板側接続部13が折曲部11側へ変位するのを阻止する係合手段を導電端子10と貫通孔55との間に設けられている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21