特許第5958629号(P5958629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958629
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】端子金具
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20160719BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   H01R13/11 A
   H01R13/42 B
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-181324(P2015-181324)
(22)【出願日】2015年9月15日
(62)【分割の表示】特願2012-136319(P2012-136319)の分割
【原出願日】2012年6月15日
(65)【公開番号】特開2016-12571(P2016-12571A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 智樹
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−180922(JP,A)
【文献】 特開2011−018566(JP,A)
【文献】 特開昭54−102590(JP,A)
【文献】 特開2002−190336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒部と、
前記角筒部を構成する基板部と、
前記角筒部を構成し、前記基板部の左右両側縁から略直角に立ち上がる一対の側板部と、
前記角筒部を構成し、前記一対の側板部から略直角に延出して互いに略平行に対向するように配された一対の天板部と、
前記角筒部の前端側領域に配されて前記天板部を構成する前側板状部と、
前記基板部を基準とする高さが前記前側板状部よりも低く、前記前側板状部の後方に配されて前記天板部を構成する後側板状部と、
前記前側板状部の後端縁に形成され、前記角筒部が端子収容室に挿入された状態で前記端子収容室の内壁に形成されたランスと係止することで、前記角筒部を抜止めする係止部と、
前記前側板状部の前端から後方へ折り返されるように片持ち状に延出し、前記角筒部内に収容された弾性接触片と、
前記後側板状部から前方へ片持ち状に延出し、延出端の支持部において前記弾性接触片を前記ランス側から支持する補助バネ部と、
前記補助バネ部に形成され、前記支持部よりも後方の領域を前記ランスに近づくように屈曲させた形態の屈曲部とを備えていることを特徴とする端子金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、角筒部を有する端子金具が記載されている。角筒部は、基板部と、基板部の左右両側縁から略直角に立ち上がる一対の側板部と、一対の側板部から略直角に延出して互いに対向するように配された一対の天板部とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−190336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端子金具が角筒部の前端側領域に配されて天板部を構成する前側板状部と、基板部を基準とする高さが前側板状部よりも低く、前側板状部の後方に配されて天板部を構成する後側板状部と、前側板状部の後端縁に形成され、角筒部が端子収容室に挿入された状態で端子収容室の内壁に形成されたランスと係止することで、角筒部を抜止めする係止部と、前側板状部の前端から後方へ折り返されるように片持ち状に延出し、角筒部内に収容された弾性接触片と、後側板状部から前方へ片持ち状に延出し、延出端の支持部において弾性接触片をランス側から支持する補助バネ部とを備える場合に、ランスにおける係止部との係止代を増大させるために、後側板状部の位置をランスから遠くなる方へ変位させると、補助バネ部の位置もランスから遠くなる位置へ変位する。この場合、補助バネ部の支持部が、弾性接触片を挟んでランスとは反対側に位置し、その結果、補助バネ部による支持機能が失われることが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、弾性接触片に対しランス側から正しく当接して支持することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、本発明は、
角筒部と、
前記角筒部を構成する基板部と、
前記角筒部を構成し、前記基板部の左右両側縁から略直角に立ち上がる一対の側板部と、
前記角筒部を構成し、前記一対の側板部から略直角に延出して互いに略平行に対向するように配された一対の天板部と、
前記角筒部の前端側領域に配されて前記天板部を構成する前側板状部と、
前記基板部を基準とする高さが前記前側板状部よりも低く、前記前側板状部の後方に配されて前記天板部を構成する後側板状部と、
前記前側板状部の後端縁に形成され、前記角筒部が端子収容室に挿入された状態で前記端子収容室の内壁に形成されたランスと係止することで、前記角筒部を抜止めする係止部と、
前記前側板状部の前端から後方へ折り返されるように片持ち状に延出し、前記角筒部内に収容された弾性接触片と、
前記後側板状部から前方へ片持ち状に延出し、延出端の支持部において前記弾性接触片を前記ランス側から支持する補助バネ部と、
前記補助バネ部に形成され、前記支持部よりも後方の領域を前記ランスに近づくように屈曲させた形態の屈曲部とを備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
この構成によれば、前側板状部と後側板状部との高低差を利用して、係止部が形成される。また、ランスにおける係止部との係止代を増大させるために、後側板状部の位置をランスから遠くなる方へ変位させると、補助バネ部の位置もランスから遠くなる位置へ変位する。この場合、補助バネ部の支持部が、弾性接触片を挟んでランスとは反対側に位置し、その結果、補助バネ部による支持機能が失われることが懸念される。しかし、補助バネ部のうち弾性接触片への支持部よりも後方の領域には、ランスに近づくように屈曲させた形態の屈曲部を形成しているので、屈曲部が形成されていない場合に比べると、支持部の位置はランス側へ変位している。これにより、支持部は、弾性接触片をランス側から正しく支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の端子金具の正面図
図2】端子金具の側面図
図3】端子金具の平面図
図4図1のA−A線断面図
図5図4の部分拡大図
図6図4のB−B線断面図
図7図4のC−C線断面図
図8】端子金具の展開図
図9】実施例2の端子金具の断面図
図10図9のD−D線断面図
図11】端子金具の展開図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図8を参照して説明する。本実施例1の端子金具10は、図8に示す形状に打ち抜かれた一定厚さの金属板材11に曲げ加工等を施して成形され、図2,3に示すように、全体として前後方向に細長い形状に成形されている。端子金具10の前端部には角筒部12が形成され、端子金具10の後端部には、電線(図示省略)を接続するためのオープンバレル状の電線圧着部13が形成されている。角筒部12の後端と電線圧着部13の前端は、略U字形断面の連結部14を介して繋がっている。尚、以下の説明では、前後方向に関して図2〜5の左方を前方とし、左右の方向については、図1,6,7を基準とする。
【0009】
図2に示すように、端子金具10は、合成樹脂製のハウジング30に形成した端子収容室31に対し後方から挿入されるようになっている。端子収容室31の上側の内壁には、前方へ片持ち状に延出した形態のランス32が形成されている。端子収容室31に端子金具10が挿入されると、ランス32への係止によって端子金具10(角筒部12)が抜止めされるようになっている。端子収容室31に挿入された角筒部12には、その前方から相手側端子(図示省略)のタブが挿入されるようになっている。
【0010】
図1〜4に示すように、角筒部12は、基板部15、右側板部16R(本発明の構成要件である側板部)、左側板部16L(本発明の構成要件である側板部)、一対の天板部17H,17L、弾性接触片23及び補助バネ部24とを備えて構成されている。基板部15は、前後方向に細長い略長方形をなす。
【0011】
右側板部16Rは、前後方向に細長く、図1に示すように、基板部15の正面に向かって右側の側縁の前後方向における全領域から、上方へ略直角に立ち上がっている。図2に示すように、右側板部16Rの上端縁(立ち上がり端縁)は、前端部で高く、前端部よりも後方の領域は段差状に低くなっている。左側板部16Lは、前後方向に細長く、図1に示すように、基板部15の正面に向かって左側の側縁の前後方向における全領域から、上方へ略直角に立ち上がっている。図4に示すように、左側板部16Lの上端縁(立ち上がり端縁)は、前後方向における略前半領域が高く、それよりも後方の略後半領域が段差状に低くなっている。
【0012】
図4に示すように、一対の天板部17H,17Lは、角筒部12の外面(上面)に露出しない内側の天板部17Lと、内側の天板部17Lを覆い隠して角筒部12の外面に露出する外側の天板部17Hとから構成される。内側の天板部17Lは、前後に2分割され、前側内板部18F(本発明の構成要件である前側板状部)と後側内板部18R(本発明の構成要件である後側板状部)とによって構成されている。外側の天板部17Hは、前後に2分割され、前側外板部19F(本発明の構成要件である前側板状部)と後側外板部19R(本発明の構成要件である後側板状部)とによって構成されている。
【0013】
図2に示すように、前側内板部18Fは、右側板部16Rの上端縁のうち高くなっている前端部(前端側領域)から、片持ち状に略直角に延出して基板部15と略平行に位置している。図6に示すように、前側内板部18Fの延出端(自由端)には、前部係止突起20Fが形成されている。前側外板部19Fは、左側板部16Lの上端縁のうち高くなっている略前半領域(前端側領域)から、片持ち状に略直角に延出して基板部15と略平行に位置している。図5,6に示すように、前側外板部19Fは、前側内板部18Fの外面(基板部15とは反対側の上面)に対し所定の隙間Sを空けて平行に対向するように配されている。前側外板部19Fの後端縁は、ランス32に係止される係止部21となっている。
【0014】
図6に示すように、左側板部16Lの上端縁と前側外板部19Fの左側縁とが略直角に繋がる角縁部には、前部係止孔22Fが形成されている。前部係止孔22Fに前部係止突起20Fが差し込まれて係止されることで、前側内板部18Fと前側外板部19Fとが、上下に離間する方向への相対変位を規制された状態に位置決めされている。上下方向は、タブを弾性接触片23と基板部15との間で挟む方向であり、換言すると弾性接触片23が弾性変形する方向を意味する。
【0015】
図4に示すように、前側内板部18Fの前端には、弾性接触片23の基端部(前端部)が繋がっている。弾性接触片23は、前側内板部18Fの前端から斜め下後方へ折り返されて片持ち状に延出した形態であり、基端部を支点として上下方向に弾性変形し得るようになっている。上下方向における基板部15と弾性接触片23との間隔は、前端から後端に向かって次第に狭くなっており、弾性接触片23の後端部において最も狭くなる。前方から角筒部12内に挿入されたタブは、基板部15と弾性接触片23との間に割り込むように進入して、弾性接触片23を上方へ弾性変位させる。これにより、タブは、弾性接触片23の弾性復元力により、弾性接触片23と基板部15との間に弾性的に挟み付けられるようになっている。
【0016】
図2に示すように、後側内板部18Rは、右側板部16Rの上端縁のうち低い領域の後端部から、片持ち状に略直角に延出して基板部15と略平行に位置している。基板部15を基準とする後側内板部18Rの上面の高さは、前側内板部18Fの下面よりも低い。後側内板部18Rの延出端(自由端)には、後部係止突起20Rが形成されている。後側外板部19Rは、左側板部16Lの上端縁のうち低くなっている略後半領域(後端側領域)から、片持ち状に略直角に延出して基板部15と略平行に位置し、後側内板部18Rの外面(基板部15とは反対側の上面)に重ねられている。
【0017】
基板部15を基準とする後側外板部19Rの上面の高さは、前側内板部18Fの下面よりも低い。左側板部16Lの上端縁に近い位置には、後部係止孔22Rが形成されている。図4に示すように、後部係止孔22Rに後部係止突起20Rが差し込まれて係止されることで、後側内板部18Rと、左側板部16L及び後側外板部19Rとが、上下方向への相対変位を規制された状態に位置決めされている。
【0018】
図4に示すように、後側内板部18Rの前端には、補助バネ部24の基端部(後端部)が繋がっている。補助バネ部24は、後側内板部18Rの前端から前方へ片持ち状に延出した形態であり、後端部を支点として上下方向へ弾性変形し得るようになっている。補助バネ部24の前端部(延出端部)は、弾性接触片23の弾力を高めるための支持部25となっている。支持部25は、弾性接触片23の後端部に対し上から(ランス32側から)当接し得るように配されている。
【0019】
補助バネ部24は、全体として基板部15と略平行に延出している。詳細には、補助バネ部24の延出方向(前後方向)における略中央位置(つまり、支持部25よりも後方に位置)には、上方(ランス32側)へ立ち上がるように屈曲した屈曲部26が形成されている。屈曲部26が形成されていない場合に比べると、補助バネ部24のうち屈曲部26よりも前方の部分は、屈曲部26の立ち上がり寸法分だけ上方(ランス32側)へ変位している。補助バネ部24のうち屈曲部26が形成されている領域は、前側外板部19Fの後端と後側外板部19Rの前端との間において、角筒部12の上方に露出している。
【0020】
弾性接触片23と基板部15との間にタブが進入して弾性接触片23が弾性変位すると、弾性接触片23の後端部が支持部25を上方へ押圧して補助バネ部24を上方へ弾性変位させる。すると、補助バネ部24の弾性復元力により、支持部25が弾性接触片23をタブがへ押圧するので、弾性接触片23の弾力が高められ、弾性接触片23とタブとの間の接触圧が高くなる。
【0021】
本実施例1の端子金具10は、所定形状に打ち抜いた金属板材11に曲げ加工を施すことによって角筒部12が成形されているが、材料の歩留まりを向上させる手段として、外側の天板部17Hと内側の天板部17Lのうち内側の天板部17Lに繋がる右側板部16Rの高さ(基板部15からの立ち上がり寸法)、特に、前側内板部18Fに繋がる前端側領域の高さを低くしている。ところが、右側板部16Rの前端側領域の高さ寸法を小さくしたことにより、前側外板部19F(外側の天板部17H)と前側内板部18F(内側の天板部17L)との間に隙間Sが空いたため、角筒部12の形状、特に角筒部12の前端部の形状が不安定になることが懸念される。そこで、本実施例1では、材料の歩留まり向上を図りながら角筒部12の形状を安定させる手段として、前側内板部18Fに突出部27を形成した。
【0022】
図5,6,8に示すように、突出部27は、前側内板部18Fの一箇所を部分的に上方(つまり、前側外板部19F側)へ叩き出すことによって形成されている。前後方向における突出部27の形成領域は、前側内板部18Fの中央部であり、左右方向における突出部27の形成領域も、前側内板部18Fの中央部である。また、突出部27の平面形状は略方形である。そして、突出部27の上面は、前側内板部18Fの上面(外面)のうち突出部27の形成されていない領域、及び前側外板部19Fの下面(内面)と平行をなす平坦な当接面28となっている。この突出部27の当接面28は、前側外板部19Fの下面に対してほぼ面当たり状態で当接している。
【0023】
本実施例1では、上述したように前部係止孔22Fと前部係止突起20Fとの係止により両板部18F,19Fの上下に離間する方向への相対変位を規制するとともに、突出部27によって両板部18F,19Fの上下に接近する方向への相対変位を規制している。この規制構造により、材料の歩留まり向上を図るために、前側内板部18Fと前側外板部19Fの対向間隔(隙間S)を拡げても、前側内板部18Fと前側外板部19Fの上下方向における位置関係が安定し、角筒部12の形状が安定する。したがって、本実施例1によれば、材料の歩留まり向上を図りながら、角筒部12の形状を安定させることができる。
【0024】
また、突出部27における前側外板部19Fとの接触領域は、前側外板部19Fの内面と平行な当接面28(平面)となっているので、突出部27と前側外板部19Fとが面当たりすることになる。これにより、前側内板部18Fと前側外板部19Fとの間では、前後方向の傾き及び左右方向の傾きが生じ難くなり、角筒部12の形状が、より安定する。
【0025】
また、本実施例1の端子金具10は、角筒部12の前端側領域に配された前側外板部19Fと、基板部15を基準とする高さが前側外板部19Fよりも低くて前側外板部19Fの後方に配された後側外板部19Rと、前側外板部19Fの後端縁に形成された係止部21とを備えている。係止部21は、角筒部12が端子収容室31に挿入された状態で端子収容室31の内壁に形成されたランス32と係止することで、角筒部12(端子金具10)を抜止めする。この構成は、前側外板部19Fと後側外板部19Rとの高低差を利用して、係止部21を形成したことを意味する。
【0026】
更に、本実施例1の端子金具10は、前側内板部18Fの前端から後方へ折り返されるように片持ち状に延出する弾性接触片23と、後側内板部18Rから前方へ片持ち状に延出し、延出端の支持部25において弾性接触片23をランス32側から支持する補助バネ部24と、補助バネ部24に形成され、支持部25よりも後方の領域をランス32に近づくように屈曲させた形態の屈曲部26とを備えている。
【0027】
屈曲部26を設けることの技術的意義は、次の通りである。ランス32における係止部21との係止代を増大させるために、後側内板部18Rの位置をランス32から遠ざかるように下方(基板部15に近づく方向)へ変位させた場合、補助バネ部24の位置もランス32から遠くなる位置へ変位する。そのため、屈曲部26を形成せずに、補助バネ部24が、後側内板部18Rの前端から前方へ下り勾配で延びる形態であった場合は、補助バネ部24の支持部25が、弾性接触片23を挟んでランス32とは反対側に(弾性接触片23の下に潜り込むように)位置し、その結果、補助バネ部24による支持機能が失われることが懸念される。しかし、本実施例1では、補助バネ部24のうち弾性接触片23への支持部25よりも後方の領域に、ランス32に近づくように屈曲させた形態の屈曲部26を形成したので、屈曲部26が形成されていない場合に比べると、支持部25がランス32側へ変位している。したがって、支持部25は、弾性接触片23に対しランス32側から正しく当接して支持することができる。
【0028】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を図9図11を参照して説明する。本実施例2の端子金具40は、突出部41を上記実施例1とは異なる位置に形成したものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0029】
上記実施例1の端子金具10では、突出部27を、前側内板部18Fに形成して前側外板部19Fの内面(下面)に当接させたが、本実施例2の端子金具40では、突出部41が、前側外板部19Fに形成され、下方へ突出している。この突出部41は平面からなる当接面42を有し、当接面42が、前側内板部18Fの外面(上面)に対して面当たり状態で当接している。
【0030】
<他の実施例>
(1)上記実施例1,2では、突出部を一対の天板部のうちいずれか一方のみに形成したが、突出部は一対の天板部の両方に形成してもよい。この場合、双方の突出部を、他方の天板部のうち突出部の形成されていない領域に当接させてもよく、双方の突出部同士を当接させてもよい。
(2)上記実施例1,2では、突出部における他方の天板部との接触領域が、他方の天板部と平行な平面であったが、突出部における他方の天板部との接触領域は、細長く線状に延びた形態でもよく、点のように狭く局所的に限定された形態であってもよい。
(3)上記実施例1,2では、突出部における他方の天板部との接触部位を、1箇所だけとしたが、1つの突出部における他方の天板部との接触部位が、複数箇所であってもよい。
(4)上記実施例1,2では、1つの天板部に1つの突出部を形成したが、1つの天板部に複数の突出部を形成してもよい。
(5)上記実施例1,2では、突出部を、前側板状部(前側内板部又は前側外板部)のみに形成したが、突出部は、前側板状部と後側板状部の両方に形成してもよく、後側板状部のみに形成してもよい。
(6)上記実施例1,2では、突出部を叩き出しによって形成したが、突出部は、切り起こしによって形成してもよい。
(7)上記実施例1,2では、前側内板部(内側の天板部)に弾性接触片が直接つながる形態としたが、前側内板部は、弾性接触片と直接つながらない形態でもよい。
【符号の説明】
【0031】
10…端子金具
12…角筒部
15…基板部
16L…左側板部(側板部)
16R…右側板部(側板部)
17H…天板部
17L…天板部
18F…前側内板部(前側板状部)
18R…後側内板部(後側板状部)
19F…前側外板部(前側板状部)
19R…後側外板部(後側板状部)
21…係止部
23…弾性接触片
24…補助バネ部
25…支持部
26…屈曲部
27…突出部
31…端子収容室
32…ランス
40…端子金具
41…突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11