(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マザーの空隙配置構造体を個々の空隙配置構造体に切断する工程において、前記空隙配置構造体に、前記位置ずれ規制部を構成する切欠き、突起または直線部分を形成する、請求項1または2に記載の測定装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の分光測定用デバイスでは、上記空隙配置構造体が、枠部材に対してネジにより固定されている。このような構造では、ネジとネジ穴との間にクリアランスが存在する。従って、空隙配置構造体の位置決めを高精度に行うことができなかった。すなわち、枠部材に対し、上記クリアランスの分だけ空隙配置構造体の位置がずれることがあった。そのため、空隙配置部に付着した被検出物質を高精度に測定することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、枠部材と空隙配置構造体との位置ずれを確実かつ容易に防止することを可能とする測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の発明に係る測定装置は、開口を有する枠部材と、空隙配置構造体とを備える。空隙配置構造体は複数の空隙を有する。また、空隙配置構造体は、照射された電磁波の中から特定周波数の電磁波を選択する空隙配置部と、空隙配置部の周囲に配置されている外周部とを有する。
【0007】
第1の発明では、空隙配置部が枠部材の開口に臨むように、空隙配置構造体が枠部材に保持されている。また、空隙配置構造体の外周部の外縁に突起または切欠きが形成されている。他方、空隙配置構造体が枠部材に保持されている状態で、空隙配置構造体の枠部材に対する位置ずれを規制するように、空隙配置構造体の突起または切欠きに嵌まり合う切欠きまたは突起が枠部材に設けられている。それによって、上記空隙配置構造体の突起または切欠きと、上記枠部材の切欠きまたは突起とにより、上記位置ずれを規制する位置ずれ規制部が構成されている。
【0008】
第2の発明に係る測定装置は、開口を有する枠部材と、空隙配置構造体とを備える。空隙配置構造体は複数の空隙を有する。また、空隙配置構造体は、照射された電磁波の中から特定周波数の電磁波を選択する空隙配置部と、空隙配置部の周囲に配置されている外周部とを有する。
【0009】
本発明では、空隙配置構造体が、空隙配置部が枠部材の開口に臨むように枠部材に保持されている。
【0010】
第2の発明では、空隙配置構造体の外周部の外周縁の一部が直線部分であり、残りが曲線部分である。他方、空隙配置構造体が枠部材に保持されている状態で、空隙配置構造体の枠部材に対する位置ずれを規制するように、枠部材には、空隙配置構造体の上記直線部分が当接される直線状部分が設けられている。
【0011】
第2の発明では、上記空隙配置構造体の直線部分と、上記枠部材の直線状部分とにより、上記位置ずれを規制する位置ずれ規制部が構成されていることになる。
【0012】
本発明(第1,第2の発明)に係る測定装置のある特定の局面では、上記位置ずれ規制部が、複数設けられている。
【0013】
本発明に係る測定装置の他の特定の局面では、上記枠部材が、上記開口を取り囲む枠部と、該枠部の外周縁から上記空隙配置構造体側に突出するように設けられた保持部とを有する。そして、上記位置ずれ規制部が、上記空隙配置構造体と保持部との間で構成されている。
【0014】
本発明に係る測定装置のさらに他の特定の局面では、上記空隙配置構造体が板状の形状を有する。
【0015】
本発明に係る測定装置の製造方法は下記の各工程を備える。
【0016】
複数の上記空隙配置構造体が連結部で連ねられているマザーの空隙配置構造体と、複数の上記枠部材を用意する工程。
【0017】
上記マザーの空隙配置構造体を個々の空隙配置構造体単位に切断する工程。
【0018】
上記マザーの空隙配置構造体段階または上記個々の空隙配置構造体単位に切断した後に、個々の空隙配置構造体に枠部材を上記位置ずれ規制部を構成するように取り付ける工程。
【0019】
本発明に係る測定装置の製造方法のある特定の局面では、上記マザーの空隙配置構造体を個々の空隙配置構造体に切断する工程において、上記空隙配置構造体に、上記位置ずれ規制部を構成する切欠き、突起または直線部分を形成する。
【発明の効果】
【0020】
第1,第2の発明に係る測定装置では、上記位置ずれ規制部が構成されているため、空隙配置構造体の枠部材に対する位置ずれが生じ難い。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しつつ説明することにより、本発明を明らかにする。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る測定装置の分解斜視図である。測定装置1は、空隙配置構造体2と、枠部材3と、保持板4とを有する。
【0024】
空隙配置構造体2は、複数の空隙5aがマトリクス状に配置された空隙配置部5を有する。空隙配置部5の周囲に、外周部6が連ねられている。本実施形態では、外周部6はドーナツ状の形状を有している。外周部6の外周縁には、複数の突起7が設けられている。本実施形態では、複数の突起7は、外周部6の外周縁において均一に分散配置されている。
【0025】
また、本実施形態では、突起7は、
図4に示すように、一対の斜辺7a,7bと、頂辺7cとを有する。斜辺7a,7bは、外周部6の外周縁から頂辺7c側に延ばされている。斜辺7a,7bが頂辺7cに近づくにつれて、突起7の幅方向が小さくなる。言い換えれば、本実施形態では、突起7は、先端に向かうにつれて細くなっており、等脚台形の形状を有している。
【0026】
外周部6には、ネジ穴6aが設けられている。
【0027】
上記空隙配置構造体2は、照射されたテラヘルツ波のような電磁波の中から特定の周波数のみを選択するように構成されている。例えば空隙配置構造体2の空隙配置部5内において、タンパク質などの被検出物質を付着させる。被検出物質が付着された空隙配置構造体2に電磁波を照射する。空隙配置構造体2を透過していた電磁波の周波数特性を検出することにより、あるいは反射してきた電磁波の周波数特性を検出することにより、被検出物質の特性を測定することができる。
【0028】
上記電磁波としては、特に限定されないが、20GHz〜120GHzの周波数域のテラヘルツ波が好適に用いられる。
【0029】
上記のような空隙配置構造体を用いた測定方法は、前述したWO2011/070817などに記載されている。
【0030】
空隙配置構造体2は、例えば金属などにより形成することができる。すなわち空隙配置構造体2を金属メッシュにより構成し、この金属メッシュに空隙配置部5を残すようにして金属膜を成膜することにより、外周部6を構成することができる。あるいは、金属板の空隙配置部5に相当する部分を打ち抜き、空隙配置部5を設けてもよい。
【0031】
図2に示すように、枠部材3は、枠部8と、枠部8の外周縁から空隙配置構造体2側に突出するように設けられた筒状の保持部9とを有する。枠部8は、開口3aを有する。開口3aは、空隙配置部5に臨むように設けられている。
【0032】
上記枠部8においては、複数のネジ穴8aが設けられている。ネジ穴8aは、空隙配置構造体2の前述したネジ穴6aと重なり合うように設けられている。
【0033】
他方、枠部材3の保持部9には、切欠き10が設けられている。切欠き10は、筒状の保持部9の空隙配置構造体2側の端縁に設けられている。上記切欠き10は、突起7が切欠き10に嵌まり合った際に、空隙配置構造体2の枠部材3に対する位置がずれないように設けられている。より具体的には、
図3(a)及び(b)に示すように、切欠き10は、側面10a及び10bと、側面10a,10bの最奥部同士を結ぶ底面10cとを有する。本実施形態では、一対の側面10a,10bは互いに平行に延びている。もっとも、側面10aと側面10bは平行でなくともよい。
【0034】
図4に示すように、空隙配置構造体2が枠部材3に重ねられた場合、上記突起7が切欠き10に嵌まり合っている。突起7の斜辺7a,7bの途中が、側面10a,10bと当接し、それによって空隙配置構造体2の枠部材3に対する位置ずれが規制されている。すなわち、本実施形態の測定装置1では、上記切欠き10と、突起7とにより、本発明における位置ずれ規制部が構成されている。
【0035】
保持板4は、円形の開口4bを有し、かつドーナツ状の形状を有する。
【0036】
上記保持板4にも、ネジ穴4aが設けられている。
【0037】
上記枠部材3及び保持板4は、金属や剛性樹脂などの適宜の剛性材料により形成することができる。
【0038】
測定装置1の製造に際しては、
図2に示すように、板状の空隙配置構造体2を、枠部材3の枠部8に重ね合わせる。この場合、突起7が切欠き10に嵌まりあい、その状態で、ネジ穴6aとネジ穴8aとが重なり合うこととなる。しかる後、保持板4を、ネジ穴4aがネジ穴6a,8aと重なり合うように重ねる。この状態で、ネジ及びボルトにより、枠部材3、空隙配置構造体2及び保持板4を固定する。
【0039】
測定装置1では、突起7と切欠き10により位置ずれ規制部が構成されているため、空隙配置構造体2の枠部材3に対する位置ずれが防止される。その状態で、上記ネジ及びボルト等を用いて、空隙配置構造体2を枠部材3に固定することができる。従って、空隙配置構造体2の枠部材3に対する位置ずれを確実かつ容易に防止することができる。
【0040】
本実施形態では、突起7が等脚台形の形状を有していたが、突起7の形状はこれに限定されるものではなく、突起7と切欠き10により、位置ずれ規制部としての機能を発現し得る限り、突起7の形状や切欠き10の形状は適宜変形することができる。
【0041】
また、本実施形態では、空隙配置構造体2は円板状の形状を有していたが、角板状等の他の形状を有していてもよい。すなわち、空隙配置構造体2の外周部の外形は、円形に限らず、正方形や長方形等の他の形状であってもよい。その場合、枠部材3の形状は空隙配置構造体2の形状に応じた形とすればよい。保持板4の外形についても同様である。
【0042】
また、空隙配置部5の平面形状についても、
図1及び
図2に示す円形の領域でなく、矩形等の他の形状の領域としてもよい。その場合、枠部材3の開口3a及び保持板4の開口4bも、空隙配置部5の領域の外形に応じた形状とすればよい。さらに、空隙5aの開口形状についても、四角形に限らず、円形等の他の形状としてもよい。
【0043】
本実施形態では、上記突起7及び切欠き10からなる位置ずれ規制部が空隙配置構造体2の外周に沿って複数設けられている。従って、位置ずれを確実に規制することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、空隙配置構造体2に突起7が、枠部材3に切欠き10が設けられていたが、逆に、空隙配置構造体2に切欠きが、枠部材3に該切欠きと嵌まり合う突起が設けられていてもよい。
【0045】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る測定装置に用いられる空隙配置構造体の正面図であり、
図6(a)及び(b)は、第2の実施形態で用いられる枠部材の斜視図及び正面図である。
【0046】
第2の実施形態では、空隙配置構造体21が、全体が略円板状の形状を有する。もっとも、外周部6の外周縁は、一部が直線部分22である。残りの部分23が円弧状すなわち曲線状の形状とされている。そして、第1の実施形態における突起7は設けられていない。その他の点は、空隙配置構造体21は、空隙配置構造体2と同様に構成されている。従って、同一部分については同一の参照番号を付することによりその説明を省略する。
【0047】
他方、
図6(a)及び(b)に示すように、枠部材24は、筒状の保持部9において、上記空隙配置構造体21の直線部分22と当接される直線状部分25を有する。直線状部分25とは、筒状の保持部9の内周面の一部において、
図6(b)に示すように、正面図において直線状の内面部分をいう。枠部材24では、上記直線状部分25以外の内面部分26は、円筒曲面とされている。
【0048】
本実施形態では、
図5に示した空隙配置構造体21の直線部分22が、上記枠部材24の直線状部分25に当接されるようにして、空隙配置構造体21が枠部材24の枠部8に重ねられる。従って、その状態において、空隙配置構造体21の枠部材24に対する面方向の位置ずれを確実に防止することができる。すなわち、上記直線部分22と、直線状部分25とが、本発明における位置ずれ規制部を構成している。
【0049】
第2の実施形態において、上記位置ずれ規制部の構成以外は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
第2の実施形態においても、上記位置ずれ規制部が設けられているため、空隙配置構造体21の枠部材24に対する位置ずれを確実かつ容易に防止することが可能となる。
【0051】
なお、第2の実施形態では、1つの直線部分22と1つの直線状部分25とが設けられていたが、このような組み合わせからなる位置ずれ規制部は、複数設けられていてもよい。
【0052】
図7は、本発明の第3の実施形態としての測定装置の製造方法を説明するための模式的平面図である。
【0053】
本実施形態では、上述した第1の実施形態に係る測定装置1を製造する。本実施形態では、図示の連結構造体30を用意する。連結構造体30では、複数の空隙配置構造体が連結部31により連結されている。この連結構造体は、様々な方法で作製することができる。
【0054】
例えば第1の方法としては、マザーの金属メッシュをまず用意する。このマザーの金属メッシュ上に、金属膜を成膜し、パターニングする。それによって、複数の空隙配置構造体2の外周部6と、
図7に示す連結部31との領域に金属膜を残す。しかる後、連結部31及び空隙配置部5及び外周部6を残すように打ち抜く。このようにして、
図7に示す連結構造体30を得ることができる。
【0055】
連結構造体30を、
図7の二点鎖線A及びBに沿って切断する。この切断工程において、連結部31を、隣り合う空隙配置構造体2間において切断するにあたり、前述した突起7が残るように切断を行う。従って、上記二点鎖線A及びBに沿う切断に際し、連結部31を通過する部分において前述した突起7の形状となるように連結部31を切断すれば、第1の実施形態の空隙配置構造体2を得ることができる。
【0056】
しかる後、この空隙配置構造体2に、前述した枠部材3及び保持板4を重ね合わせる。そして、ネジ等により空隙配置構造体2、枠部材3及び保持板4を固定する。このようにして、測定装置1を得ることができる。
【0057】
第2の方法としては、連結構造体30を用意した段階で、切断に先立ち、枠部材3及び保持板4を積層し、固定する。しかる後、連結部31を切断する。この場合には、連結部31の切断前の形状が、枠部材3の切欠き10に嵌まり合う突起となるように連結部31を形成しておくことが必要となる。
【0058】
また、上記空隙配置構造体2の製造に際しては、金属メッシュ上に、外周部6及び連結部31を構成するために、金属膜を成膜する方法の他、金属箔を貼り合わせる方法などを用いてもよい。
【0059】
図8は、本発明の第4の実施形態としての第2の実施形態の測定装置の製造方法の一例を説明するための模式的平面図である。
【0060】
第2の実施形態の測定装置の製造に際しては、
図8に示す連結構造体41を用いることができる。連結構造体41では、隣り合う空隙配置構造体21の外周部6同士が連なっている。そして、この連なっている部分において、二点鎖線D1,D2に沿って切断することにより、前述した直線部分22を空隙配置構造体21に形成することができる。このようにして空隙配置構造体21を得た後に、枠部材24及び保持板4とを積層し、固定することにより測定装置を得ることができる。