(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原稿を載置する給紙トレイと、前記原稿を搬送する原稿搬送路の上流側に配置され、前記給紙トレイ内の前記原稿を前記原稿搬送路に向けて給紙する給紙ローラーと、前記原稿搬送路の下流側に配置され、前記原稿搬送路内から前記原稿を排紙する排紙ローラーと、前記給紙トレイの下方に配置され、前記排紙ローラーにより排紙された前記原稿を載置する排紙トレイとを備えた自動原稿搬送装置において、
前記給紙トレイの可動給紙トレイを前記給紙トレイの固定給紙トレイに対して略平行な姿勢で支持するとともに、前記排紙トレイの可動排紙トレイを前記排紙トレイの固定排紙トレイに対して略平行な姿勢で支持する第1支持状態と、前記可動給紙トレイを前記固定給紙トレイ面に対して傾動させて給紙口に近接させた姿勢で支持するとともに、前記可動排紙トレイを前記固定排紙トレイ面に対して傾動させて排紙口に近接させた姿勢で支持する第2支持状態との切換えを行う支持機構をさらに備え、
前記支持機構は、前記可動給紙トレイの傾動と前記可動排紙トレイの傾動とを連動させて、前記第1支持状態と前記第2支持状態との切換えを行う
ことを特徴とする自動原稿搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記自動給紙装置においては、環境条件などによって用紙の剛性や用紙と用紙分離ストッパーの斜面との摩擦力などが変化するため、斜面分離動作に不具合が生じるおそれがあり、また、斜面分離動作時において用紙が変形するおそれがある。このため、安価に製造できる一方、原稿の給紙不良が懸念される。また、従来、給紙トレイの上面が原稿の積載量に応じて給紙ローラー側に近づくリフトアップ機構を備えた自動原稿搬送装置が知られているが、製造コストの抑制や装置の小型化が困難である。
【0006】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、原稿の給紙および排紙不良の抑制が可能であり、かつ製造コストの抑制や装置の小型化が可能な自動原稿搬送装置、およびこれを備える画像読取装置を提供することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の自動原稿搬送装置は、原稿を載置する給紙トレイと、前記原稿を搬送する原稿搬送路の上流側に配置され、前記給紙トレイ内の前記原稿を前記原稿搬送路に向けて給紙する給紙ローラーと、前記原稿搬送路の下流側に配置され、前記原稿搬送路内から前記原稿を排紙する排紙ローラーと、前記給紙トレイの下方に配置され、前記排紙ローラーにより排紙された前記原稿を載置する排紙トレイとを備えた自動原稿搬送装置において、前記給紙トレイの可動給紙トレイを前記給紙トレイの固定給紙トレイに対して略平行な姿勢で支持するとともに、前記排紙トレイの可動排紙トレイを前記排紙トレイの固定排紙トレイに対して略平行な姿勢で支持する第1支持状態と、前記可動給紙トレイを前記固定給紙トレイ面に対して傾動させ
て給紙口に近接させた姿勢で支持するとともに、前記可動排紙トレイを前記固定排紙トレイ面に対して傾動させ
て排紙口に近接させた姿勢で支持する第2支持状態との切換えを行う支持機構をさらに備え、前記支持機構は、前記可動給紙トレイの傾動と前記可動排紙トレイの傾動とを連動させて、前記第1支持状態と前記第2支持状態との切換えを行うものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動原稿搬送装置において、前記支持機構は、前記給紙方向における前記可動
給紙トレイの側面と前記排紙方向における前記可動排紙トレイの側面とにまたがって配置される支持板と、前記可動給紙トレイから前記支持板に向けて突出する第1支軸と、前記可動排紙トレイから前記支持板に向けて突出する第2支軸と、前記支持板を前記第1支持状態および前記第2支持状態の位置で保持する保持部材とを有し、前記支持板は、前記第1支軸を保持して前記可動給紙トレイを傾動可能に支持する第1支軸孔と、前記第2支軸を保持して前記可動排紙トレイを傾動可能に支持する第2支軸孔とを有し、前記支持板を前記排紙トレイから前記給紙トレイに向かう方向または前記給紙トレイから前記排紙トレイに向かう方向に移動させて前記保持部材により保持することにより、前記第1支持状態と前記第2支持状態との切換えを行うものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の自動原稿搬送装置において、前記支持機構は、前記固定給紙トレイに対し前記可動給紙トレイを傾動可能に取り付ける第1シャフトと、前記固定排紙トレイに対し前記可動排紙トレイを傾動可能に取り付ける第2シャフトと、前記第1シャフトを回転させる駆動部と、前記第1シャフトの回転を前記第2シャフトに伝達する第1伝達部とを有し、前記駆動部により前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを一方向または他方向に所定角度回転させることで、前記第1支持状態と前記第2支持状態との切換えを行うものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動原稿搬送装置において、前記給紙トレイの前記排紙トレイとの対向面に、前記排紙トレイへ排紙される前記原稿の位置を規制する排紙ストッパーを設け、前記排紙ストッパーの一端部を前記可動給紙トレイに配置したものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項
3を引用する請求項4に記載の自動原稿搬送装置において、前記排紙ストッパーの一端部を支持する第3シャフトと、前記第1シャフトの回転を前記第3シャフトに伝達する第2伝達部とをさらに備え、前記第3シャフトを前記給紙方向と直交する方向に配置し、前記駆動部の駆動により前記排紙ストッパーの他端部を前記給紙トレイ側に近づける方向または前記排紙トレイ側に近づける方向に移動させるものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動原稿搬送装置を備える原稿読取装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、原稿を載置する給紙トレイと、前記原稿を搬送する原稿搬送路の上流側に配置され、前記給紙トレイ内の前記原稿を前記原稿搬送路に向けて給紙する給紙ローラーと、前記原稿搬送路の下流側に配置され、前記原稿搬送路内から前記原稿を排紙する排紙ローラーと、前記給紙トレイの下方に配置され、前記排紙ローラーにより排紙された前記原稿を載置する排紙トレイとを備えた自動原稿搬送装置において、前記給紙トレイの可動給紙トレイを前記給紙トレイの固定給紙トレイに対して略平行な姿勢で支持するとともに、前記排紙トレイの可動排紙トレイを前記排紙トレイの固定排紙トレイに対して略平行な姿勢で支持する第1支持状態と、前記可動給紙トレイを前記固定給紙トレイ面に対して傾動させ
て給紙口に近接させた姿勢で支持するとともに、前記可動排紙トレイを前記固定排紙トレイ面に対して傾動させ
て排紙口に近接させた姿勢で支持する第2支持状態との切換えを行う支持機構をさらに備え、前記支持機構は、前記可動給紙トレイの傾動と前記可動排紙トレイの傾動とを連動させて、前記第1支持状態と前記第2支持状態との切換えを行うものであるから、給紙トレイに載置される原稿の種類(素材)や載置量に応じて、搬送路に原稿を給紙する際の経路長および給紙角度を可動給紙トレイにより適宜調整できるとともに、搬送路から原稿を排紙する際の経路長および排紙角度を可動給紙トレイに連動する可動排紙トレイにより調整することができる。これにより、固定給紙トレイから可動給紙トレイを経て搬送路の給紙口に至るまでの給紙経路、および搬送路の排紙口から可動排紙トレイを経て固定排紙トレイに至るまでの排紙経路を緩やかにすることができるため、原稿の給紙および排紙不良を抑制できる。また、搬送路の給紙口に原稿を自動的に近づけるリフトアップ機構を備える場合と比較して、自動給紙装置の製造コストの抑制や装置の小型化を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記支持機構は、前記給紙方向における前記可動
給紙トレイの側面と前記排紙方向における前記可動排紙トレイの側面とにまたがって配置される支持板と、前記可動給紙トレイから前記支持板に向けて突出する第1支軸と、前記可動排紙トレイから前記支持板に向けて突出する第2支軸と、前記支持板を前記第1支持状態および前記第2支持状態の位置で保持する保持部材とを有し、前記支持板は、前記第1支軸を保持して前記可動給紙トレイを傾動可能に支持する第1支軸孔と、前記第2支軸を保持して前記可動排紙トレイを傾動可能に支持する第2支軸孔とを有し、前記支持板を前記排紙トレイから前記給紙トレイに向かう方向または前記給紙トレイから前記排紙トレイに向かう方向に移動させて前記保持部材により保持することにより、前記第1支持状態と前記第2支持状態との切換えを行うものであるから、簡易な構成により原稿の給紙および排紙不良を抑制でき、以って、製造コストの抑制を図ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、前記支持機構は、前記固定給紙トレイに対し前記可動給紙トレイを傾動可能に取り付ける第1シャフトと、前記固定排紙トレイに対し前記可動排紙トレイを傾動可能に取り付ける第2シャフトと、前記第1シャフトを回転させる駆動部と、前記第1シャフトの回転を前記第2シャフトに伝達する第1伝達部とを有し、前記駆動部により前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを一方向または他方向に所定角度回転させることで、前記第1支持状態と前記第2支持状態との切換えを行うものであるから、簡易な構成により給紙口に対する可動給紙トレイの相対位置、および排紙口に対する可動排紙トレイの相対位置を多段階に調整できる。このため、原稿の給紙および排紙不良をより抑制できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記給紙トレイの前記排紙トレイとの対向面に、前記排紙トレイへ排紙される前記原稿の位置を規制する排紙ストッパーを設け、前記排紙ストッパーの一端部を前記可動給紙トレイに配置したものであるから、排紙ストッパーは、可動給紙トレイが搬送路の給紙口に近接するにしたがって、排紙トレイ上から遠ざかる。このため、排紙ストッパーに起因した排紙不良が懸念されやすい原稿の使用時においては、排紙経路上から当該排紙ストッパーを退避させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記排紙ストッパーの一端部を支持する第3シャフトと、前記第1シャフトの回転を前記第3シャフトに伝達する第2伝達部とをさらに備え、前記第3シャフトを前記給紙方向と直交する方向に配置し、前記駆動部の駆動により前記排紙ストッパーの他端部を前記給紙トレイ側に近づける方向または前記排紙トレイ側に近づける方向に移動させるものであるから、搬送路の排紙口付近における原稿の排紙不良をより抑制できる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、上述の自動原稿搬送装置のいずれかを備える原稿読取装置であるから、原稿のリフトアップ機能などを備える場合と比較して、原稿の給紙および排紙不良の抑制が可能であり、かつ製造コストの抑制や装置の小型化が可能な原稿読取装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の画像読取装置4は、画像形成装置の一例としての複合機1(以下、MFPという)に搭載されている。
【0021】
(1).画像形成装置の概要
図1に示すMFP1は、コピー機能、スキャナ機能、プリンター機能、ファックス機能といった多くの機能を有するものであり、例えばLANや電話回線といったネットワーク(通信網)を介してのデータ送受信が可能になっている。すなわちMFP1は、原稿から読み取った画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力したり、ネットワーク経由で他のコンピュータから画像データを入力し、当該画像データに基づく印刷を実行したり、FAXデータの送受信をしたりできるものである。
【0022】
MFP1における装置本体1aの上部に、スキャナ部2及び自動原稿搬送部3(以下、ADFという)からなる画像読取装置4が設けられている。画像読取装置4は、スキャナ部2とADF3とを同期して作動させ、ADF3にセットされた原稿1枚ずつから画像を光学的に読み取ることにより、画像データを取得するように構成されている。すなわち、ADF3はスキャナ部2に向けて原稿を1枚ずつ搬送し、スキャナ部2は、原稿が所定の読取位置を通過する際に画像を読み取って、画像データを取得するように構成されている
【0023】
装置本体1aの下部には、記録材を収容する給紙部6が設けられている。装置本体1aのうち画像読取装置4と給紙部6との間には、記録材上にトナー画像を印刷する画像形成部5が設けられている。給紙部6は記録材を1枚ずつ画像形成部5に供給し、画像形成部5は、画像読取装置4やネットワーク経由で取得された画像データに基づき、記録材上にトナー画像を印刷するように構成されている。装置本体1aのうち画像読取装置4と画像形成部5との間にある凹みスペースは排紙貯留部7になっている。画像形成部5によってトナー画像が印刷された記録材は排紙貯留部7に排出される。
【0024】
装置本体1aの正面側(前面側)には、複数のキー(ボタン)を有する操作パネル8が設けられている。ユーザは、操作パネル8の表示画面等を見ながらキー操作をすることによって、MFP1の各種機能の中から選択した機能について設定操作をしたり、MFP1に作業実行を指示したりできる。
【0025】
(2).画像読取装置の構造
次に、主として
図2を参照しながら画像読取装置4の構造について説明する。ADF3は、複数枚の原稿Mが積載(セット)される給紙トレイ31を備えている。給紙トレイ31に積載された原稿Mは、ピックアップローラー32及び給紙ローラー対33にて、最上層のものから1枚ずつ原稿搬送路30に送り出され、中間ローラー対34を介してレジストローラー対35に搬送される。レジストローラー対35は、搬送されてきた1枚の原稿Mを所定の姿勢にすると共に、所定のタイミングで第1搬送ローラー対36に向けて搬送するように構成されている。そして、第1搬送ローラー対36にて、原稿Mがスキャナ部2のスリットガラス21上に搬送される。スリットガラス21は、原稿搬送方向と直交する主走査方向に長い細幅長板状に形成され且つ透明なものである。
【0026】
スリットガラス21上を原稿Mが通過するに際しては、スリットガラス21の下方に位置する第1原稿読取手段22が、原稿Mにおける下向きの第1面(表面)の画像を読み取る。原稿搬送路30のうちスリットガラス21上より搬送下流側には、第2搬送ローラー対37、第2原稿読取手段38、第3搬送ローラー対39及び排紙ローラー40が配置されている。スリットガラス21上を通過した原稿Mは、第2搬送ローラー対37にて第2原稿読取手段38の直下に送られ、第2原稿読取手段38が、通過中の原稿Mにおける上向きの第2面(裏面)の画像を読み取る。第2原稿読取手段38の直下を通過した原稿Mは、第3搬送ローラー対39及び排紙ローラー40にて、給紙トレイ31の下方に位置する排紙トレイ41上に排出される。
【0027】
図2から明らかなように、ADF3内の原稿搬送路30は、給紙トレイ31から、ピックアップローラー32、給紙ローラー対33、中間ローラー対34、レジストローラー対35、第1搬送ローラー対36、スリットガラス21上、第2搬送ローラー対37、第2原稿読取手段38の直下、第3搬送ローラー対39及び排紙ローラー40を経て、排紙トレイ41に至る側面視略U字状(湾曲状)の経路になっている。
【0028】
スリットガラス21の上方には回転可能な清掃ローラー42が設けられている。清掃ローラー42は、スリットガラス21上に原稿Mがない状態で回転駆動して、スリットガラス21上に付着した紙粉等の異物を取り除くように構成されている。例えばADF3において複数枚の原稿Mを連続搬送する際に、清掃ローラー42は、先の原稿Mがスリットガラス21上を通過してから次の原稿Mが到着するまでの時間間隔で回転駆動して、スリットガラス21上を清掃する。原稿搬送路30を挟んで第2原稿読取手段38の反対側には、シェーディング補正用の白色基準体の一例である回転ローラー43が回転可能に設けられている。
【0029】
一方、スキャナ部2の上面には、前述したスリットガラス21と、広幅平板状で且つ透明なプラテンガラス23とが設けられている。そして、スキャナ部2内に、前述した第1原稿読取手段22が設けられている。第1原稿読取手段22は、スリットガラス21上を通過する原稿Mの第1面の画像や、プラテンガラス23上に載置された原稿Mの画像を読み取るものであり、光源24a及び反射ミラー24bを有する走査ユニット24、一対の反転ミラー25a,25bを有する走行ユニット25、結像レンズ26及び第1ラインセンサ27を備えている。
【0030】
スリットガラス21上を原稿Mが通過する際は、走査ユニット24及び走行ユニット25を固定した状態で、光源24aから原稿Mの第1面に向けて光を照射する。そうすると、原稿Mの第1面からの反射光が、反射ミラー24b、両反転ミラー25a,25b及び結像レンズ26を介して、第1ラインセンサ27に導かれて結像される。また、プラテンガラス23上に載置された原稿Mの画像を読み取る際は、走査ユニット24及び走行ユニット25が副走査方向に移動しながら、光源24aから原稿Mの下面(対峙面)に向けて光を照射し、その反射光を第1ラインセンサ27に導いて結像させる。第1ラインセンサ27は、主走査方向に沿って並ぶ複数の光電変換素子を有するCCD(Charge Coupled Device)にて構成されている。第1ラインセンサ27は、結像された光画像を画像信号に変換して画像処理部28に出力する。画像処理部28では、入力された画像信号を、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等して、デジタル化した画像データを生成し、これを画像形成部5に出力する。
【0031】
ADF3内に移動不能に配置された第2原稿読取手段38は、回転ローラー43上を通過する原稿Mの第2面の画像を読み取るものであり、一対の光源44a,44b及び第2ラインセンサ45を備えている。回転ローラー43上を原稿Mが通過する際は、両光源44a,44bから原稿Mの第2面に向けて光を照射し、その反射光を第2ラインセンサ45が受けて結像させる。第2ラインセンサ45は、主走査方向に沿って並ぶ複数の光電変換素子を有するCIS(Contact Image Sensor)にて構成されている。第2ラインセンサ45も第1ラインセンサ27と同様に、結像された光画像を画像信号に変換して画像処理部28に出力する。
【0032】
ADF3の底面側には、第2原稿読取手段38と対峙するカバー体50が、搬送下流(
図2においては右方)側の支点部49を回動中心として開閉回動可能に設けられている。カバー体50における原稿搬送路30側の内面は、当該カバー体50を閉じた状態で原稿搬送路30の一部を構成するガイド面として機能している。カバー体50には、第2搬送ローラー37の一方と回転ローラー43と第3搬送ローラー39の一方とが、互いに平行状で且つ回転可能に組み付けられてユニット化されている。カバー体50における原稿搬送路30側の内面には、各ローラー37,43,39に対応して開口溝(図示省略)が形成されている。各ローラー37,43,39の外周側の一部を開口溝から露出させている。カバー体50の開閉回動によって、原稿搬送路30のうち第2搬送ローラー対37から第3搬送ローラー対39までの範囲が露出したり覆われたりすることになる。
【0033】
カバー体50における主走査方向の両側板部には、ADF3側に設けられたラッチ受け片に係脱するラッチ爪がそれぞれ設けられている(いずれも図示省略)。カバー体50に設けられた開閉把手(図示省略)の操作にてラッチ受け片に対してラッチ爪を係脱させることにより、カバー体50を開き回動可能な状態にしたり(開き状態に移行可能にしたり)、閉じ状態に維持したりすることになる。
【0034】
白色基準体の一例である回転ローラー43は主走査方向に延びていて、カバー体50に回転可能に軸支されている。回転ローラー43の外周部は湾曲面(ローラー面)と平坦面とにより構成されている。湾曲面側は、主走査方向に沿って帯状に延びるシェーディング補正のための白色基準面と、原稿M搬送時に原稿Mに接触してガイドする通紙面とに分けられている(いずれも図示省略)。平坦面側には、多数のブラシ毛からなる不図示の清掃ブラシが植設されている。
【0035】
(3).第1実施形態における給紙トレイ構造および排紙トレイ構造
次に、
図2〜
図6を参照しながら、原稿Mの給紙および排紙不良を抑制する給紙トレイ31および排紙トレイ41の構造を説明する。
【0036】
上記のように、給紙トレイ31に積載された原稿Mを、ピックアップローラー32にて、最上層のものから1枚ずつ原稿搬送路30に送り出すと、上層の原稿Mと下層の原稿Mとでは、搬送される際の経路長および搬送角度が異なる。
【0037】
具体的には、上層の原稿Mは、給紙ローラー対33に近い位置でピックアップローラー32より送り出されるため、原稿搬送路30までの経路長が短く、搬送角度も小さい。一方、下層の原稿Mは、給紙ローラー対33から離れた位置でピックアップローラー32より送り出されるため、原稿搬送路30までの経路長が長く、搬送角度も大きくなる。
【0038】
このため、下層の原稿Mほど搬送時において略S字状の曲げグセがつきやすい状態となり、原稿搬送路30の給紙口における給紙不良や、原稿搬送路30の排紙口における排紙不良を生じさせるおそれがある。
【0039】
これに対し実施形態では、給紙トレイ31を給紙ローラー対33に近づけることで、原稿Mに搬送時の曲げグセがつきづらいようにしている。また、給紙トレイ31の動きに連動させて排紙トレイ41を排紙ローラー対40に近づけることで、排紙トレイ41上で原稿Mが丸まるなどの排紙不良が生じづらいようにしている。
【0040】
図2などに示されるように、給紙トレイ31は、原稿Mの給紙方向において給紙ローラー対33側に配置された可動給紙トレイ51と、給紙方向において可動給紙トレイ51を挟んで給紙ローラー対33の反対側に配置された固定給紙トレイ52とを有する。
【0041】
排紙トレイ41は、原稿Mの排紙方向において排紙ローラー40側に配置された可動排紙トレイ61と、排紙方向において可動排紙トレイ61を挟んで排紙ローラー40の反対側に配置された固定排紙トレイ62とを有する。
【0042】
図3,
図4から明らかなように、可動給紙トレイ51は、固定給紙トレイ52と隣接する端部において、当該固定給紙トレイ52の上面に対し、原稿搬送路30の給紙口に近づく方向および離れる方向に傾動可能に設けられている。
【0043】
また、可動排紙トレイ61は、固定排紙トレイ62と隣接する端部において、当該固定排紙トレイ62の上面に対し、原稿搬送路30の排紙口に近づく方向および離れる方向に傾動可能に設けられている。
【0044】
具体的には、
図5および
図6に示されるように、可動給紙トレイ51と対向する固定給紙トレイ52の端面には、給紙トレイ31の原稿載置面において給紙方向と直交する方向に延びる傾動支軸52Aが設けられている。
【0045】
また、固定給紙トレイ52と対向する可動給紙トレイ51の端面には、傾動支軸52Aと回動可能に係合される係合フック51Aが設けられている。係合フック51Aと傾動支軸52Aとの係合により、可動給紙トレイ51は、固定給紙トレイ52に傾動可能に支持されている。
【0046】
固定給紙トレイ52は、固定排紙トレイ62上に配置されている。図示は省略するが、この場合、固定給紙トレイ52は、例えば、固定排紙トレイ62に着脱可能に取り付けられる。
【0047】
図6に示されるように、可動排紙トレイ61と対向する固定排紙トレイ62の端面には、傾動支軸52Aと略同一の構造、すなわち、排紙トレイ41の原稿載置面において排紙方向と直交する方向に延びる傾動支軸62Aが設けられている。
【0048】
また、固定排紙トレイ62と対向する可動排紙トレイ61の端面には、係合フック51Aと略同一の構造、すなわち、傾動支軸62Aと回動可能に係合される係合フック61Aが設けられている。係合フック61Aと傾動支軸62Aとの係合により、可動排紙トレイ61は、固定排紙トレイ62に傾動可能に支持されている。
【0049】
また、給紙トレイ31の裏面(排紙トレイ41との対向面)には、排紙トレイ41へ排紙される原稿の先端位置を規制する排紙ストッパー46が設けられている。具体的には、排紙ストッパー46一端部(上端)は、可動給紙トレイ51の裏面に固定されている。
【0050】
(4).第1実施形態における給紙トレイおよび排紙トレイの支持構造
次に、
図5および
図6を参照しながら、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の支持構造を説明する。
【0051】
可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61は、可動給紙トレイ51を固定給紙トレイ52に対して略平行な姿勢で支持するとともに、可動排紙トレイ61を固定排紙トレイ62に対して略平行な姿勢で支持する第1支持状態(
図6(a)参照)と、可動給紙トレイ51を傾動させて原稿搬送路30の給紙口に近接させた姿勢で支持するとともに、可動排紙トレイ61を傾動させて原稿搬送路30の排紙口に近接させた姿勢で支持する第2支持状態(
図6(b)参照)との切換えを行う支持機構10により支持されている。
【0052】
ここで、支持機構10は、
図5中の給紙方向に向かって左右対称状に構成された一対のものであり、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の左右両側面部とADF3の筺体との間にそれぞれ配置されている。このため、以下においては、説明の便宜上、
図5中の給紙方向に向かって右側の支持機構10についてのみ説明する。
【0053】
上記支持機構10は、可動給紙トレイ51と可動排紙トレイ61とにまたがって設けられる支持板11と、可動給紙トレイ51から支持板11に向けて突出する第1支軸12と、可動排紙トレイ61から支持板11に向けて突出する第2支軸13と、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の支持状態に応じて支持板11の位置を保持(固定)する保持部材としてのロックピン14とにより構成されている。
【0054】
支持板11は、可動給紙トレイ51に設けられた第1支軸12を保持して、当該可動給紙トレイ51を傾動可能に支持する第1支軸孔15と、可動排紙トレイ61に設けられた第2支軸13を保持して、当該可動排紙トレイ61を傾動可能に支持する第2支軸孔16と、ロックピン14の軸体の中途部を保持する軸孔17とを有している。
【0055】
ロックピン14の軸体は、支持板11の軸孔17を貫通してADF3の筐体側に(外向きに)突出しており、当該突出部分には、圧縮コイルばね18が被嵌されている。また、突出部分の最先端部には、当該軸体からの圧縮コイルばね18の抜脱を防止する大径部がねじ込み固定されている。ロックピン14の頭部は、軸体のうち、支持板11を挟んで大径部の反対側に位置している。
【0056】
図5および
図6に示されるように、各支持板11と対向するADF3の筺体面の各々には、支持機構10が第2支持状態のときにロックピン14の大径部(圧縮コイルばね18側の先端部)が嵌るロック孔3aが設けられている。
【0057】
上記構成の支持機構10において、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61を第1支持状態の位置から第2支持状態の位置に移動させるとき、圧縮コイルばね18の弾性に抗してロックピン14を可動給紙トレイ51の内方に向かって引っ張り操作し、ロックピン14の大径部を支持板11寄りに移動させる。そして、支持板11を排紙トレイ41から給紙トレイ31に向かう方向に移動させることにより、可動給紙トレイ51と可動排紙トレイ61とが連動して傾動する。
【0058】
続いて、可動給紙トレイ51を原稿搬送路30の給紙口に近接させるとともに、可動排紙トレイ61を原稿搬送路30の排紙口に近接させた状態で、ロックピン14の引っ張り操作を終了することにより、圧縮コイルばね18の弾性復元力によって、ロックピン14の大径部がADF3の筐体側に移動して、ロック孔3aに嵌め合わされる。これにより、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61が、第2支持状態の位置で支持される。
【0059】
また、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61を第2支持状態の位置から第1支持状態の位置に移動させるとき、ロックピン14を引っ張り操作し、ロックピン14の大径部を支持板11寄りに移動させて、当該大径部とロック孔3aとの嵌め合いを解除する。そして、支持板11を給紙トレイ31から排紙トレイ41に向かう方向に移動させることにより、可動給紙トレイ51と可動排紙トレイ61とが連動して初期位置、すなわち第1支持状態の位置に復帰する。
【0060】
上記の構成によると、給紙トレイ31に載置される原稿Mの種類(素材)や載置量に応じて、原稿搬送路30に原稿を給紙する際の経路長および給紙角度を可動給紙トレイ51により適宜調整できるとともに、原稿搬送路30から原稿Mを排紙する際の経路長および排紙角度を可動給紙トレイ51に連動する可動排紙トレイ61により調整することができるため、固定給紙トレイ52から可動給紙トレイ51を経て原稿搬送路30の給紙口に至るまでの給紙経路、および原稿搬送路30の排紙口から可動排紙トレイ61を経て固定排紙トレイ62に至るまでの排紙経路を緩やかにすることができる。これにより、原稿Mに搬送時の曲げグセがつきづらいようにして原稿Mの給紙不良を抑制できるとともに、排紙トレイ41上で原稿Mが丸まるなどの排紙不良も抑制できるという効果を奏する。
【0061】
特に、第1実施形態においては、支持板11を排紙トレイ41から給紙トレイ31に向かう方向または給紙トレイ31から排紙トレイ41に向かう方向に移動させて、ロックピン14によりADF3の筐体部分に固定することにより、第1支持状態と第2支持状態との切換えを行うものであるから、また、第1実施形態においては、原稿搬送路30の給紙口に原稿を自動的に近づけるリフトアップ機構を備える場合と比較して、ADF3(自動給紙装置)の製造コストの抑制や装置の小型化を図ることができる。
【0062】
また、第1実施形態においては、排紙ストッパー46は、可動給紙トレイ51が原稿搬送路30の給紙口に近接するにしたがって、排紙トレイ41上から遠ざかるため、排紙ストッパー46に起因した排紙不良が懸念されやすい原稿の使用時においては、排紙経路上から当該排紙ストッパー46を退避させることができる。
【0063】
なお、上述の第1実施形態においては、ロックピン14とADF3の筺体面に設けられたロック孔3aとの嵌合により支持板11を第2支持状態の位置に固定したが、支持板11の支持構造は実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、支持板11およびADF3の筐体に、互いに係合するフック状の係合突起をそれぞれ設けても良い。
【0064】
(5).第2実施形態における給紙トレイ構造および排紙トレイ構造
次に、
図2〜
図4,
図7〜
図8を参照しながら、給紙トレイ31および排紙トレイ41の構造を説明する。
【0065】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、可動給紙トレイ51は、固定給紙トレイ52と隣接する端部において、当該固定給紙トレイ52の上面に対し、原稿搬送路30の給紙口に近づく方向および離れる方向に傾動可能に設けられている。また、可動排紙トレイ61は、固定排紙トレイ62と隣接する端部において、当該固定排紙トレイ62の上面に対し、原稿搬送路30の排紙口に近づく方向および離れる方向に傾動可能に設けられている(
図3,
図4参照)。
【0066】
具体的には、
図7および
図8に示されるように、固定給紙トレイ52と対向する可動給紙トレイ51の端面には、給紙トレイ31の原稿載置面において給紙方向と直交する方向に延びる傾動支軸51Bが設けられている。
【0067】
また、可動給紙トレイ51と対向する固定給紙トレイ52の端面には、傾動支軸51Bと回動可能に係合される係合フック52Bが設けられている。係合フック52Bと傾動支軸51Bとの係合により、可動給紙トレイ51は、固定給紙トレイ52に傾動可能に支持されている。
【0068】
図8に示されるように、固定排紙トレイ62と対向する可動排紙トレイ61の端面には、傾動支軸51Bと略同一の構造、すなわち、排紙トレイ41の原稿載置面において排紙方向と直交する方向に延びる傾動支軸61Bが設けられている。
【0069】
また、可動排紙トレイ61と対向する固定排紙トレイ62の端面には、係合フック52Bと略同一の構造、すなわち、傾動支軸61Bと回動可能に係合される係合フック62Bが設けられている。係合フック62Bと傾動支軸61Bとの係合により、可動排紙トレイ61は、固定排紙トレイ62に傾動可能に支持されている。
【0070】
また、給紙トレイ31の裏面(排紙トレイ41との対向面)には、第1実施形態と同様の排紙ストッパー46が、給紙トレイ31の裏面に形成された開口部31Aを介して、可動給紙トレイ51の裏面に設けられている。なお、排紙ストッパー46の取付構造については後述する。
【0071】
(6).第2実施形態における給紙トレイおよび排紙トレイの支持構造
次に、
図7および
図8を参照しながら、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の支持構造を説明する。
【0072】
可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61は、第1実施形態の支持機構10と同様、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の姿勢を第1支持状態(
図8(a)参照)と、第2支持状態(
図8(b)参照)とに切換える支持機構70により支持されている。
【0073】
支持機構70は、固定給紙トレイ52に対し可動給紙トレイ51を傾動させるための第1シャフト71と、第1シャフト71の端部に設けられ、モーター(図示省略)の動力が伝達される第1入力ギヤ73と、第1シャフト71の端部に設けられた第1プーリー74と、固定排紙トレイ62に対し可動排紙トレイ61を傾動させるための第2シャフト75と、第2シャフト75の端部に設けられた第2プーリー76と、第1プーリー74と第2プーリー76とにまたがって巻き掛けられたタイミングベルト77とにより構成されている。
【0074】
具体的には、第1シャフト71は、給紙方向と直交する方向に配置されており、上述の傾動支軸51Bとして兼用されている。
図7から明らかなように、MFP1の上面視における第1シャフト71の中途部は、可動給紙トレイ51に固定されており、可動給紙トレイ51から突出する第1シャフト71の左右両端部は、ADF3の筺体にそれぞれ回動可能に軸支されている。
【0075】
第1入力ギヤ73および第1プーリー74は、MFP1の上面視における第1シャフト71の右端部に固定されており、MFP1の右側面側から第1プーリー74、第1入力ギヤ73の順で配置されている。第1入力ギヤ73は、モーターの動力を伝達する出力ギヤ78に歯合されている。
【0076】
第2シャフト75は、排紙方向と直交する方向に配置されており、上述の傾動支軸61Bとして兼用されている。上述の第1シャフト71と同様に、MFP1の上面視における第2シャフト75の中途部は、可動排紙トレイ61に固定されており、可動排紙トレイ61から突出する第2シャフト75の左右両端部は、ADF3の筺体内部においてそれぞれ回動可能に軸支されている。
【0077】
第2プーリー76は、MFP1の上面視における第2シャフト75の右端部に固定されるとともに、第1プーリー74の下方に配置されている。
【0078】
上記構成の支持機構70において、モーターを所定時間駆動させて、第1シャフト71および第2シャフト75を一方向に順回転させることにより、可動給紙トレイ51と可動排紙トレイ61とが連動して傾動する。そして、予め設定された駆動時間でモーターと停止させることにより、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61が、第2支持状態の位置で支持される。
【0079】
また、モーターを所定時間駆動させて、第1シャフト71および第2シャフト75を他方向に逆回転させることにより、可動給紙トレイ51と可動排紙トレイ61とが連動して初期位置、すなわち第1支持状態の位置に復帰する。この場合も、予め設定された駆動時間でモーターと停止させることにより、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61が、第1支持状態の位置で支持される。
【0080】
また、第2実施形態においては、排紙ストッパー46は、可動給紙トレイ51の裏面において回転可能に設けられた第3シャフト79に取り付けられている。具体的には、第3シャフト79は、第1シャフト71および第2シャフト75と同じ方向に延びており、MFP1の上面視における右端部に第2入力ギヤ80が設けられている。第2入力ギヤ80は、第1入力ギヤ73に歯合しており、当該第1入力ギヤ73を介して、モーターの駆動力が伝達される。
【0081】
このため、上記構成の排紙ストッパー46においては、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の位置が、第1支持状態から第2支持状態に切り換わるとき、第1入力ギヤ73および第2入力ギヤ80により伝達されるモーターの回転力により、第3シャフト79が一方向に順回転して、排紙ストッパー46の下端部が給紙トレイ31側に近づく方向に移動する構成となっている。
【0082】
また、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の位置が、第2支持状態から第1支持状態に切り換わるとき、第1入力ギヤ73および第2入力ギヤ80により伝達されるモーターの回転力により、第3シャフト79が他方向に逆回転して、排紙ストッパー46の下端部が排紙トレイ41側に近づく方向に移動する構成となっている。
【0083】
ここで、第1入力ギヤ73および出力ギヤ78は、本発明における「駆動部」に相当する。また、第1プーリー74、第2プーリー76、およびタイミングベルト77は、本発明における「第1伝達部」に相当する。さらに、第2入力ギヤ80は、本発明における「第2伝達部」に相当する。
【0084】
上述した通り、第2実施形態の場合も、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の位置が、給紙トレイ31に載置される原稿Mの種類(素材)や載置量に応じて、第1支持状態と第2支持状態とに切り換えられるため、第1実施形態と同様に、原稿Mに搬送時の曲げグセがつきづらいようにして原稿Mの給紙不良を抑制できるとともに、排紙トレイ41上で原稿Mが丸まるなどの排紙不良も抑制できるという効果を奏する。
【0085】
特に、第2実施形態においては、モーターの駆動により第1シャフト71および第2シャフト75を一方向または他方向に所定角度回転させることで、第1支持状態と第2支持状態との切換えを行うため、給紙口に対する可動給紙トレイ51の相対位置、および排紙口に対する可動排紙トレイ61の相対位置を多段階に調整できる。したがって、原稿Mの給紙および排紙不良をより抑制できる。
【0086】
また、第2実施形態においては、可動給紙トレイ51および可動排紙トレイ61の位置が、第1支持状態から第2支持状態に切り換わるときに、排紙ストッパー46の下端部を給紙トレイ31側に近づける方向移動させ、第2支持状態から第1支持状態に切り換わるときに、排紙ストッパー46の下端部を排紙トレイ41側に近づける方向移動させるため、原稿搬送路30の排紙口付近における原稿の排紙不良をより抑制できる。
【0087】
なお、上述の第2実施形態においては、モーターの駆動により第1入力ギヤ73および第2入力ギヤ80に所定の回転力を伝達させたが、両ギヤに対する回転力の入力方法は実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、ADF3の筺体上面にダイヤル操作による回転力の入力が可能なトルク入力構造を設けて、第1入力ギヤ73および第2入力ギヤ80に入力するトルク量を多段階で調整できるようにしても良い。
【0088】
(7).その他
以上、本願に関するいくつかの実施例について説明したが、本願発明は上述した内容のものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、画像形成装置MFP1が、コピー機能、FAX機能、プリンター機能、スキャナ機能などの複数の機能を備えた装置である場合を示したが、必ずしもそれら複数の機能を全て備えている必要はない。特に画像読取装置4は、コピー機能、FAX機能、スキャナ機能のうちの少なくとも1つの機能を備えた装置に対して適用可能である。白色基準体としては、回転ローラー43に限らず、移動可能な白色基準板も採用できる。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。