(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る木質梁の実施の形態を詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である木質梁の概略構成を示す立面図である。
図2は、
図1に示した木質梁の平面図である。
図3は、材軸方向で隣り合う角材同士の接合部の構成を示す平面図である。
図4は、
図3のA−A線に沿った断面図である。
【0020】
本実施の形態の木質梁1は、
図1および
図2に示すように、角材2,3,4,5を含む複数の角材を材軸方向および厚さ方向に並べて一体化している。角材2,3,4,5は、一戸建て住宅などで構造用部材として用いられる普及品であり、たとえば、断面寸法(幅方向の寸法×厚さ方向の寸法)が105mm×105mmで長さ(材軸方向の寸法)が4mのものである。
【0021】
材軸方向で隣り合う角材2と角材3とは、ボルト7とナット8とで締結して接合している。角材2と角材3との接合方法について、
図3および
図4を参照して説明する。
【0022】
角材2は、
図3および
図4に示すように角材3との接合面(木口面)2Aの近傍に第1凹部2Bが形成されている。角材2の第1凹部2Bは、接合面2Aとは反対側を向いた押圧面2Cを有する。角材2の第1凹部2Bは、ボルト7の頭部7Aおよびコッター9を配設可能であり、かつボルト7とナット8とによる締結作業が可能な寸法に形成されている。さらに、角材2は、接合面2Aと押圧面2Cとを連通する凹溝2Dが形成されている。角材2の凹溝2Dは、幅方向の中央に、ボルト7の軸7Bを収容可能な寸法に形成されている。
【0023】
同様に角材3は、角材2との接合面3Aの近傍に第1凹部3Bが形成されている。角材3の第1凹部3Bは、接合面3Aとは反対側を向いた押圧面3Cを有する。角材3の第1凹部3Bは、ナット8およびコッター9を配設可能であり、かつボルト7とナット8とによる締結作業が可能な寸法に形成されている。さらに、角材3は、接合面3Aと押圧面3Cとを連通する凹溝3Dが形成されている。角材3の凹溝3Dは、幅方向の中央に、ボルト7の軸7Bを収容可能な寸法に形成されている。
【0024】
角材2と角材3とを接合する際には、まず互いの接合面2A,3Aを突き合わせて凹溝2D,3Dにボルト7の軸7Bを収容する。ボルト7の軸7Bには、
図3および
図4に示すようにスプリングワッシャ10A、座金11A、座金11B、およびスプリングワッシャ10Bをこの順で通しておく。なお、先にボルト7の軸7Bに通したスプリングワッシャ10Aおよび座金11Aは、角材2の第1凹部2Bに配設する。一方、後からボルト7の軸7Bに通した座金11Bおよびスプリングワッシャ10Bは、角材3の第1凹部3Bに配設する。
【0025】
次に、角材2の第1凹部2Bおよび角材3の第1凹部3Bにコッター9を配設する。コッター9は、
図3および
図4に示すように角材2の押圧面2Cと座金11Aとの間、および角材3の押圧面3Cと座金11Bとの間にそれぞれ配設する。コッター9は、ボルト7の軸7Bを収容可能な凹溝9Aを形成しておく。コッター9の凹溝9Aは、角材2の第1凹部2Bおよび角材3の第1凹部3Bに配設した状態で、ボルト7の軸7Bの幅方向および厚さ方向への動きを拘束するように形成しておく。またコッター9は、角材2の第1凹部2Bおよび角材3の第1凹部3Bに配設した状態で角材2,3から厚さ方向に所定の高さだけ突出する寸法に形成しておく。なお、コッター9は、繊維方向を角材2,3の繊維方向と一致させることが望ましい。
【0026】
その後、ボルト7の軸7Aにナット8を螺合させて角材2と角材3とを締結する。この締結により角材2の押圧面2Cおよび角材3の押圧面3Cは、角材2と角材3との接合界面Jに向かう方向の押圧荷重をそれぞれ受ける。すなわち、角材2と角材3とは、押圧面2C,3Cが受ける押圧荷重により強固に接合される。そのため、角材2と角材3との接合は、曲げ応力や引張り応力に対して強固なものとなる。
【0027】
材軸方向で隣り合う角材5と角材6は、角材2と角材3と同様の方法で締結して接合している。そのため、角材5と角材6との接合も、曲げ応力や引張り応力に対して強固なものとなる。
【0028】
また、本実施の形態の木質梁1は、厚さ方向に重なる角材(角材2,4,5や角材3,4,6)もボルトとナットとで締結して接合している。厚さ方向に重なる角材の接合方法について、
図1から
図4までを参照して説明する。
【0029】
角材2は、
図3および
図4に示すようにコッター9を配設する第1凹部2Bの他に、コッター12を配設する第2凹部2Eが角材4との接合面に形成されている。角材3も、コッター9を配設する第1凹部3Bの他に、コッター12を配設する第2凹部3Eが角材4との接合面に形成されている。
【0030】
角材2,3の上に重ねる角材4は、
図1および
図4に示すように、角材2と角材3とを跨いで重ねられる。角材4は、
図3および
図4に示すように第1凹部4Aおよび第2凹部4Bが角材2との接合面に形成されている。角材4の第1凹部4Aは、角材2の第1凹部2Bに配設されたコッター9と嵌合する凹部である。角材4の第2凹部4Bは、角材2の第2凹部2Eとともにコッター12を嵌合させる空間を画成する凹部である。また、角材4は、第3凹部4Cおよび第4凹部4Dが角材3との接合面に形成されている。角材4の第3凹部4Cは、角材3の第1凹部3Bに配設されたコッター9と嵌合する凹部である。角材4の第4凹部4Dは、角材3の第2凹部3Eとともにコッター12を嵌合させる空間を画成する凹部である。
【0031】
角材4の上には、
図1に示したように、角材5および角材6が重なる。そのため、角材4は、
図4に示すように、角材5および角材6との接合面にも第1凹部4A’、第2凹部4B’、第3凹部4C’および第4凹部4D’が形成されている。
【0032】
角材2,4,5が重なる部分には第1貫通孔13および第2貫通孔14を設けている。同様に、角材3,4,6が重なる部分にも第1貫通孔13および第2貫通孔14を設けている。第1貫通孔13は、角材2,4,5(または角材3,4,6)およびコッター12を貫く貫通孔である。第1貫通孔13には、
図1に示すように、ボルト15が挿通される。第1貫通孔13の開口端には、
図1および
図4に示すように、ボルト15の頭部およびナット16を収容する座掘り穴13Aが形成されている。第2貫通孔14は、角材2,4,5(または角材3,4,6)を貫く貫通孔であり、角材2と角材3との接合界面Jの近傍に設けている。第2貫通孔14には、
図1に示すように、ボルト17が挿通される。第2貫通孔14の開口端には、
図1および
図4に示すように、ボルト17の頭部およびナット18を収容する座掘り穴14Aが形成されている。
【0033】
厚さ方向に重ねた角材2〜6を接合する際には、まず
図4に示すように接合(締結)された角材2の第2凹部2Eおよび角材3の第2凹部3Eにコッター12をそれぞれ配設し、その上に角材4を重ねる。続けて角材4の第2凹部4B’および第4凹部4D’にコッター12を配設し、
図1に示すように接合(締結)された角材5,6を角材4の上に重ねる。
【0034】
次に、
図1に示すようにボルト15を第1貫通孔13に挿通してナット16で締結するとともに、ボルト17を第2貫通孔14に挿通してナット18で締結する。この締結により角材2,4,5および角材3,4,6が接合される。また、この締結により第1貫通孔13の座掘り穴13Aの底面および第2貫通孔14の座掘り穴14Aの底面は、厚さ方向の中心に向かう方向の押圧荷重をそれぞれ受ける。すなわち、厚さ方向に重なる角材同士は、座掘り穴13A,14Aの底面が受ける押圧荷重により強固に接合される。また、厚さ方向に重なる角材同士の接合面にはコッター9,12が介在している。そのため、自重によるたわみなどで生じる応力を厚さ方向の角材間で伝達し合い、分散させることができる。さらに、材軸方向で接合された2本の角材2,3および角材5,6を跨ぐように角材4を重ねている。そのため、本実施の形態の木質梁1は、材軸方向で接合された角材の接合強度を厚さ方向に重ねた角材で補強できる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態の木質梁1は、材軸方向で隣り合う角材同士(角材2と角材3や、角材5と角材6など)をボルト7とナット8とで締結し、それぞれの角材に設けた押圧面から接合界面Jに向かう方向の押圧荷重を加えて接合している。そのため、本実施の形態の木質梁1は、材軸方向で隣り合う角材同士が強固に接合している。
【0036】
また、厚さ方向に重なる角材は、ボルト15とナット16とで締結するとともにボルト17とナット18とで締結して接合している。加えて、厚さ方向に重なる角材同士の接合面にコッター9,12を介在させている。そのため、本実施形態の木質梁1は、自重によるたわみなどで生じる応力を厚さ方向の角材間で伝達し合い、分散させることができる。したがって、本実施の形態の木質梁1は、厚さ方向に重なる角材同士も強固に接合している。さらに、本実施の形態の木質梁1は、角材を厚さ方向に重ねる際に材軸方向で接合された2本の角材を跨ぐように重ねている。そのため、本実施の形態の木質梁1は、材軸方向で接合された角材の接合強度を厚さ方向に重ねた角材で補強できる。
【0037】
その上、本実施の形態の木質梁1は、上述のように複数の角材をボルトとナットとで締結して接合してあるので、接着剤で接合した場合に比べて経年による接合強度の低下が起こりにくい。また、ボルトとナットとの締結(螺合)にゆるみが生じて接合強度が低下した場合もボルトとナットを締めなおすだけでよいので、対処が容易である。そのため、本実施の形態の木質梁1は、曲げ応力や引張り応力に対する強度などの性能を長期にわたり維持することが容易である。
【0038】
しかも、本実施の形態の木質梁1は、複数の角材の接合に接着剤を使用していない。そのため、接着剤で接着して一体化する木質梁に比べ製作時におけるエネルギー消費量や二酸化炭素の排出量を低く抑えることができる。
【0039】
また、本実施の形態の木質梁1は、角材同士の接合に接着剤を使用しないので、角材を接着するための設備が無い工場でも製作できる。加えて、本実施の形態の木質梁1は、上記のように普及品の角材(製材)で製作することができる。そのため、本実施の形態の木質梁1は、大断面で長尺な木質梁の安定した供給を可能にするとともに、製作コストの低減も可能にする。
【0040】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2である木質梁の概略構成を模式的に示す立面図である。
図6は、
図5に示した木質梁の左側面図である。
【0041】
本実施の形態の木質梁50は、
図5および
図6に示すように、6本の角材51〜56を厚さ方向に3段、幅方向に2列となるように並べて一体化している。角材51〜56は、実施の形態1の木質梁1に用いた角材2〜5と同様の、一戸建て住宅などで構造用部材として用いられる普及品である。
【0042】
厚さ方向に重なる角材51,53,55は、
図5および
図6に示すようにこれらの角材51,53,55を貫通する貫通孔(図示せず)に挿通したボルト57とナット58とで締結して接合している。同様に、厚さ方向に重なる角材52,54,56は、
図5および
図6に示すようにこれらの角材52,54,56を貫通する貫通孔(図示せず)に挿通したボルト57とナット58とで締結して接合している。
【0043】
一方、幅方向で隣り合う角材51,52、角材53,54、および角材55,56は、
図6に示すように、これらの角材を貫通する貫通孔(図示せず)に挿通したボルト59とナット60とでそれぞれ締結して接合している。
【0044】
また、本実施の形態の木質梁50では、厚さ方向に重なる角材51,53,55の組と角材52,54,56の組との間に第1補助鉄板61を介在させている。第1補助鉄板61は、厚さ方向に重なる角材51,53,55に跨って延在する1枚の鉄板であり、所定の箇所に幅方向に並んだ角材同士を締結するボルト59を挿通する孔(図示せず)が形成されている。
【0045】
さらに、本実施の形態の木質梁50は、第2補助鉄板62を下端に配設している。第2補助鉄板62は、幅方向に並ぶ角材51,52に跨って延在する1枚の鉄板であり、所定の箇所にボルト57を挿通する孔(図示せず)が形成されている。第2補助鉄板62は、溶接により第1補助鉄板61と一体化させている。
【0046】
厚さ方向に重なる角材51,53,55の組は、ボルト57とナット58とで一体化しているだけでなく、第1補助鉄板61およびボルト59によっても一体化している。厚さ方向に重なる角材52,54,56の組も、ボルト57とナット58とで一体化しているだけでなく、第1補助鉄板61およびボルト59によっても一体化している。そのため、厚さ方向に重なる角材51,53,55の組および厚さ方向に重なる角材52,54,56の組は、ボルト57とナット58とで締結しただけの場合に比べて厚さ方向の応力に対する曲げ剛性が高くなる。また、厚さ方向に重なる角材51,53,55の組と厚さ方向に重なる角材52,54,56の組との間に第1補助鉄板61を介在させることで、幅方向の外力による第1補助鉄板61の座屈を防止できる。
【0047】
さらに、本実施の形態の木質梁50は、幅方向に並んだ角材に跨って延在する第2補助鉄板62を下端に設けている。そのため、たわみによる引張り応力に対し第2補助鉄板62で抵抗できる。したがって、本実施の形態の木質梁50は、曲げ応力や引張り応力の集中による割れ(破壊)が生じにくい。
【0048】
その上、本実施の形態の木質梁50は、第1補助鉄板61と第2補助鉄板62とを逆T字型に一体化しているので、幅方向に対する曲げ剛性も高くなる。
【0049】
次に、本実施の形態の木質梁50と柱との接合方法について、
図7から
図10までを参照して説明する。
【0050】
図7は、実施の形態2の木質梁と柱とを接合する際の第1補助鉄板および第2補助鉄板と柱の十字鉄板との接合方法の一例を示す立面図である。
図8は、
図7のC−C線に沿った断面図である。
図9は、実施の形態2の木質梁と柱との接合方法の一例を示す立面図である。
図10は、
図9のD−D線に沿った断面図である。
【0051】
本実施の形態の木質梁50を柱に接合する際には、まず、
図7および
図8に示すように第1補助鉄板61および第2補助鉄板62と柱の十字鉄板63とを、連接鋼板64を用いて連接する。
【0052】
第1補助鉄板61は、
図7に示すように貫通孔61Aを所定の位置に形成しておく。貫通孔61Aは、幅方向で隣り合う角材同士を締結するボルト59を挿通させる孔である。第2補助鉄板62は、
図8に示すように貫通穴62Aを所定の位置に形成しておく。貫通孔62Aは、厚さ方向で隣り合う角材同士を締結するボルト57を挿通させる孔である。また第1補助鉄板61と第2補助鉄板62とは、材軸方向の端面61B,62Bの位置を揃えて逆T字に接合して一体化しておく。
【0053】
十字鉄板63は、
図7および
図8に示すように、横断面が十字型の基部63Aに、第1連接部63Bと、第2連接部63Cとを設けておく。基部63Aは、柱として用いる角材の接合および木質梁50の端部の接合に用いられる部分である。基部63Aは、貫通孔63Dを所定の位置に形成されている。貫通孔63Dは、柱用角材を接合するボルトや、木質梁50の端部を接合するボルト57,59を挿通させる孔である。第1連接部63Bは、
図7および
図8に示すように、基部63Aから材軸方向に突出した部分であり、第1補助鉄板61の端面と連接される。第2連接部63Cは、第1連接部63Bの下端に設けられた横断面が矩形状の部分であり、第2補助鉄板62の端面と連接される。また、第2連接部63Cは、木質梁50の端部を支持する役割もある。
【0054】
連接鋼板64は、
図7および
図8に示すように、第2補助鉄板62の端部と十字鉄板63の第2連接部63Cとに跨るように配設した鋼板である。連接鋼板64は、溶接などで第2補助鉄板62および十字鉄板63一体化する。連接鋼板64は、第2補助鉄板62の貫通穴62Aおよび十字鉄板63の第2連接部63Cに設けた貫通穴63Dと対応する位置に、ボルト57を挿通する貫通穴(図示しない)を形成しておく。
【0055】
次に、
図9および
図10に示すように木質梁50を構成する角材51〜56を第1補助鉄板61および第2補助鉄板62でなる逆T字の補助鉄板に配置して接合する。角材51〜56は、それぞれ、材軸方向の端を十字鉄板63の基部63Aに付き合わせた状態で接合する。厚さ方向で重なる角材51,53,55の組および角材52,54,56の組は、ボルト57とナット58とでそれぞれ締結する。このとき、材軸方向の端部では、第2補助鉄板62の代わりに、十字鉄板63の第2連接部63Cを下端に介在させた状態で締結される。
【0056】
また、幅方向で隣り合う角材51,52、角材53,54、および角材55,56は、ボルト59とナット60とでそれぞれ締結する。このとき、材軸方向の端部では、第1補助鉄板61の代わりに、十字鉄板63の第1連接部63Bを介在させた状態で締結される。
【0057】
さらに十字鉄板63の基部63Aには、
図9および
図10に示すように8本の柱用角材65〜72を2本1組として田の字型に配設し、ボルト59とナット60とで締結する。
【0058】
このように、本実施形態の木質梁50を接合する柱も、複数の柱用角材を接合して一体化した合わせ柱(重ね柱)にすることで大断面化が可能になる。また、十字鉄板63を用いて8本の柱用角材65〜72を2本1組として田の字型に配設し、ボルト59とナット60とで締結することで、柱の曲げ剛性が向上する。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態の木質梁50は、厚さ方向に重なる角材同士および幅方向で隣り合う角材同士をボルトとナットとで締結して接合してある。そのため、本実施の形態の木質梁50は、角材同士が強固に接合している。
【0060】
また、本実施の形態の木質梁50は、第1補助鉄板61および第2補助鉄板62を用いることで、曲げ応力や引張り応力に抵抗できるようにしている。さらに、第1補助鉄板61は幅方向に並ぶ角材の間に介在させ、第2補助鉄板62は木質梁50の下端に配設している。そのため、木質梁50の自重の増加を抑えることができ、自重によるたわみを生じにくくできる。したがって、本実施の形態の木質梁50は、曲げ応力や引張り応力の集中による狂いや割れが生じにくい。加えて、木質梁50を接合する柱も十字鉄板63を用いて複数の角材とともにボルトとナットとで締結して接合することで、柱の曲げ剛性が向上し、応力の集中による角材の割れ(破壊)が生じにくくなる。
【0061】
その上、本実施の形態の木質梁50は、上述のように複数の角材をボルトとナットとで締結して接合してあるので、接着剤で接合した場合に比べて経年による接合強度の低下が起こりにくい。また、ボルトとナットとの締結(螺合)にゆるみが生じて接合強度が低下した場合も、ボルトとナットを締めなおすだけでよいので、対処が容易である。そのため、本実施の形態の木質梁50は、曲げ応力や引張り応力に対する強度などの性能を長期にわたり維持することが容易である。
【0062】
しかも、本実施の形態の木質梁50は、複数の角材の接合に接着剤を使用していない。そのため、接着剤で接着して一体化する木質梁に比べ製作時におけるエネルギー消費量や二酸化炭素の排出量を低く抑えることができる。
【0063】
また、本実施の形態の木質梁50は、角材同士の接合に接着剤を使用しないので、角材を接着するための設備が無い工場でも製作できる。加えて、本実施の形態の木質梁50は、上記のように普及品の角材(製材)で製作することができる。そのため、本実施の形態の木質梁50は、大断面で長尺な木質梁の安定した供給を可能にするとともに、製作コストの低減も可能にする。
【0064】
なお、本実施の形態では、第2補助鉄板62を木質梁50の下端に配置している。しかしながら、第2補助鉄板62の配置位置は、これに限らず、木質梁50の中立面より下側であればよい。そのため、第2補助鉄板62は、
図6における下段の角材51,52と中段の角材53,54との間に介在させてもよい。
【0065】
また、木質梁50と柱とを接合する際には、木質梁50の端部および柱の端部を覆う一対の接合鋼板で挟んでもよい。
【0066】
以上、本発明を上記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることはもちろんである。