(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装置側制御部は、前記第2信号が入力されたか否かに応じて、前記充電部による前記二次電池の充電時間を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の充電装置。
前記カウントをリセットさせる処理は、電池側信号出力部から、充電装置に対し、電池が接続されているときに充電装置に印加される出力を所定時間遮断すること、もしくは、リセット信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の電池パック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような充電時間をカウントする方式の充電装置は、充電装置に予め設定された充電時間よりも長い充電時間が必要な大容量の電池パックを十分に充電できない問題を有している。例えば、前記充電電流1Aでの定電流制御の充電装置で10Ahの容量を有する電池パックを充電する場合、本来、10時間程度の充電時間が必要なところ、充電装置における充電時間のカウントにより3時間程度で通電が終了してしまい、十分な容量まで充電することができない。
【0005】
このような問題に対し、電池パックの容量に応じて専用の充電装置を用意することが考えられるが、使用者の利便性を考慮すれば、電池パック、及び、充電装置は、従来のものに対し互換性を有することが望ましい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記した充電時間をカウントする方式の充電装置のように、当初想定された仕様と異なる製品に柔軟に仕様変更できない従来技術の欠点を解消し、充電装置及び電池パック各々の性能に応じた最適な充電を行うことができる充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、二次電池を有する電池パックが
接続可能な新型の充電装置であって、前記二次電池に充電動作を行う充電部と、前記電池パックの
接続を検知した場合に前記電池パックに第1信号を出力する装置側信号出力部と、前記充電部による前記充電動作を制御する装置側制御部と、を備え、前記装置側制御部は、前記第1信号に対応した第2信号が前記電池パックから入力されたか否かに応じて、前記充電部による前記充電動作を制御することを特徴とする充電装置を提供している。
【0008】
このような構成によれば、第1信号及び第2信号のやりとりにより、充電装置は、電池パックの特性を判別することができるため、電池パックの特性に適した充電制御を行なうことが可能となる。
【0009】
また、本発明の充電装置は、前記電池パックが
接続された際に、前記電池パックと情報の交換を行うための装置側端子を更に備え、前記第1信号及び前記第2信号は、前記装置側端子を介して入出力されることが好ましい。
【0010】
ここで、前記装置側端子は、他の目的、例えば、電池パックの温度モニタや過充電・過放電等の信号を伝達するために設けられている既存の端子を兼用することが更に好ましい。このような構成によれば、第1信号及び第2信号の入出力に既存の端子が用いられているので、コスト及び回路構成の複雑化を低減させることが可能となる。
【0011】
また、前記装置側制御部は、前記第2信号が入力されたか否かに応じて、前記充電部による前記二次電池の充電時間を変更することが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、電池パックの容量に応じた充電時間で二次電池が充電されることとなるため、電池パックに充電不足が生じることが抑制される。
【0013】
また、本発明の別の観点によれば、前記新型の充電装置から前記第1信号が入力された場合に前記充電装置に前記第2信号を出力する電池側信号出力部を備えたことを特徴とする新型の電池パックを提供している。
【0014】
このような構成によれば、第1信号及び第2信号のやりとりにより、充電装置に電池パックの特性を伝達することができるため、電池パックの特性に適した充電制御が行なわれることが可能となる。
【0015】
また、本発明の新型の電池パックは、前記充電装置に
接続された際に、前記充電装置と前記情報の交換を行うための電池側端子を更に備え、前記第1信号及び前記第2信号は、前記電池側端子を介して入出力されることが好ましい。
【0016】
ここで、前記電池側端子は、他の目的、例えば、電池パックの温度モニタや過充電・過放電等の信号を伝達するために設けられている既存の端子を兼用することが更に好ましい。このような構成によれば、第1信号及び第2信号の入出力に既存の端子が用いられているので、コスト及び回路構成の複雑化を低減させることが可能となる。
【0017】
また、本発明のさらに別の観点によれば、充電時間をカウントすることで、第1の充電時間経過後に給電を終了する従来の充電装置と
接続可能な電池パックであって、満充電までに前記第1の充電時間よりも長い第2の充電時間を要する二次電池と、
前記充電装置と接続されている場合において、充電開始から前記第1の充電時間よりも短い第3の充電時間経過後に、前記充電装置の充電時間のカウントをリセットさせる
処理を行い、前記カウントをリセットさせる処理を行った後に前記充電装置に給電を開始させるための処理を行う電池側信号出力部と、を備えたことを特徴とする新型の電池パックを提供している。
【0018】
このような構成によれば、短い充電時間で充電を終了してしまう従来の充電装置を複数回動作させることで、電池パックに対する充電を続行させることができるため、電池パックが満充電となる前に充電が終了することが抑制される。
【0019】
また、前記カウントをリセットさせる処理は、電池側信号出力部から、充電装置に対し、電池が接続されているときに充電装置に印加される出力を所定時間遮断すること、もしくは、リセット信号を出力することが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、前記カウントをリセットさせる処理を、簡易な構成により実現することが可能となる。
【0021】
また、本発明の別の観点によれば、本発明の充電システムは、二次電池を有する充電装置と、前記充電装置に
接続可能な電池パックと、を備えた充電システムであって、前記充電装置は、前記
電池パックに充電動作を行う充電部と、前記電池パックの
接続を検知した場合に前記電池パックに第1信号を出力する装置側信号出力部と、を備え、前記電池パックは、前記充電装置から前記第1信号が入力された場合に前記充電装置に第2信号を出力する電池側信号出力部と、を備え、前記充電装置は、前記第1信号に対して前記電池パックから第2信号が入力されたか否かに応じて、前記充電部による前記充電動作を制御する装置側制御部と、を更に備えたことを特徴とする充電システムを提供している。
【0022】
このような構成によれば、充電装置は、第1信号及び第2信号のやりとりにより、電池パックの特性を判別することができるため、電池パックの特性に適した充電制御を行なうことが可能な充電システムを構築できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来の電池パック、充電装置との互換性を保ちつつ、充電装置及び電池パックの性能に応じた最適な充電を行うことができる充電システムを提供することができる。なお、本発明は、電池パックの容量と充電時間の関係に限定された効果を奏するものではなく、電池パックの種別や充放電特性に対し、充電装置が最適な充電制御を行うことができることを効果とする発明である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態として、電池容量と充電時間の制御に係る実施例を、添付図面を参照して説明する。
【0026】
本実施の形態では、本発明の10Ah等の大容量の電池パック2A、又は、既存の小容量(3Ah等)電池パック2Bから構成される電池パック2と、電池パック2A,2Bに対応可能な本発明の充電装置1A、又は、電池パック2Aに対応不可能な既存の充電装置1Bから構成される充電装置1と、が接続された充電システムに関するものである。
【0027】
本実施の形態では、電池パック2Aは、一例として、電流値1Aの充電電流での所定時間a(本実施の形態では、10時間)に亘る充電により満充電となる容量を有し、電池パック2Bは、前記1Aの充電電流での所定時間b(本実施の形態では、3時間)に亘る充電により満充電となるような容量を有するものとする。
【0028】
また、充電装置1Aは、電池パック2Aが装着された場合には、例えば、電流値1Aの充電電流で所定時間aに亘り充電を行った後に充電を終了し、電池パック2Bが装着された場合には、前記1Aの充電電流で所定時間bに亘り充電を行った後に充電を終了する構成となっている。
【0029】
一方、既存の充電装置1Bは、電池パック2Aと電池パック2Bのいずれが装着された場合であっても、電流値1A等の充電電流で所定時間bに亘り給電を行った後に充電を終了する構成となっている。
【0030】
以下では、
図1乃至5を用いて、主に、マイコン等の制御手段を有する新型の充電装置1A及び電池パック2Aの組み合わせ、および、前記充電装置1A,前記電池パック2Aと既存の充電装置1B,電池パック2Bとの組み合わせについて説明する。
【0031】
図1は、新型の充電装置1Aに新型の大容量電池パック2Aが装着された充電システムの回路図、
図2は、充電装置1Aに既存の小容量の電池パック2Bが装着された充電システムの回路図、
図3は、既存の充電装置1Bに新型の大容量電池パック2Aが装着された充電システムの回路図である。
【0032】
初めに、
図1に記載した新型の充電装置1Aと新型の大容量電池パック2Aの組み合わせを用いて、充電システムの概要を説明する。電池パック2Aは、複数の電池セル2aと、保護IC2bと、電池種判別素子2cと、サーミスタ等の温度検知素子2dと、定電圧電源2eと、電池側マイコン2fと、電池種判別素子開放手段2gと、電池種判別素子ショート手段2hと、サーミスタ開放手段2iと、ショート信号伝達手段2jと、を備えている。
【0033】
なお、電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iが、本発明の電池側信号出力部に相当する。
【0034】
また、複数の電池セル2aは、直列に接続されており、それぞれ、リチウムイオン電池等、周知の二次電池からなるセルで構成されている。
【0035】
保護IC2bは、各電池セル2aの電圧を監視し、複数の電池セル2aの1つでも過電圧、過放電等、通常と異なる状態であると判断した場合に充電装置1Aに充電停止信号を出力する。
【0036】
電池種判別素子2cは、電池パック2に含まれる電池セル2aのセル数に応じた数値を示す素子であり、好適には、識別抵抗素子により、固有の抵抗値を有している。電池パック2Aが充電装置1Aに装着された際には、電池種判別素子2cの一端は充電装置1Aに接続され、充電装置は電池パック2と電気的な回路を形成する。
【0037】
温度感知素子としてのサーミスタ2dは、電池セル2aに接触又は近接して配置されており、電池パック2内の電池温度に応じて数値、ここでは抵抗値が変化する。電池パック2が充電装置1Aに装着された際には、サーミスタ2dの一端が充電装置1Aに接続され、充電装置と電池パック2は電気的な回路を形成する。
【0038】
定電圧電源2eは、複数の電池セル2aの電圧から駆動電圧を生成して電池側マイコン2fに供給する。
【0039】
電池種判別素子開放手段2gは、電池種判別素子2cの他端とGNDとの間に配置されたスイッチング素子である。電池種判別素子開放手段2gは、通常時は、オンしており、電池種判別素子開放手段2gがオンしている場合に、電池種判別素子2cの抵抗値に対応したセル数信号が、充電装置1Aに入力される。
【0040】
電池種判別素子ショート手段2hは、電池種判別素子2cの一端とGNDとの間に配置されたスイッチング素子である。電池種判別素子ショート手段2hは、通常時は、オフしており、後述する第2ショート信号の入力の際にオンされる。
【0041】
サーミスタ開放手段2iは、サーミスタ2dの他端とGNDとの間に配置されたスイッチング素子である。サーミスタ開放手段2iは、通常時は、オンしており、サーミスタ開放手段2iがオンしている場合に、サーミスタ2dの抵抗値に対応した温度信号が、充電装置1Aに入力される。
【0042】
なお、本実施の形態では、電池パック2A又2Bが装着された充電装置1A又は1Bは、セル数信号及び温度信号が入力されている場合に充電動作を行うことが可能となる構成を例示しているが、セル数信号及び温度信号のいずれか一方、もしくは、電池パックと充電装置とが接続されたことを認識し得る他の任意の構成を用いてもよい。
【0043】
電池側マイコン2fは、電池種判別素子開放手段2g、電池種判別素子ショート手段2h、サーミスタ開放手段2iのオン・オフを制御可能な構成となっている。
【0044】
詳細は後述するが、新型の大容量電池パック2Aが新型の充電装置1Aに装着された場合には、電池側マイコン2fには、充電装置1Aからショート信号伝達手段2jを介して第1ショート信号が入力され、電池側マイコン2fは、第1ショート信号に応じて電池種判別素子ショート手段2hをオンさせる。これにより、充電装置1Aには、第2ショート信号が入力されることとなり、この第2ショート信号の入力により、充電装置1A側では、装着された電池パック2が新型の大容量電池パック2Aであることを判別することが可能となる。
【0045】
一方、
図2に示すように、既存の小容量電池パック2Bが新型充電装置1Aに装着された場合には、既存小容量電池パック2Bは電池側マイコン2fを有しておらず、第1ショート信号が入力されないので、充電装置1Aに第2ショート信号が入力されることもない。これにより、新型充電装置1A側では、装着された電池パック2が既存の小容量電池パック2Bであることを判別することが可能となり、従来同様の充電を行う。
【0046】
次に、
図3に記載した既存の充電器1Bに新型の大容量電池2Aが装着された場合には、上述したように、既存充電装置1Bは、充電開始から所定時間b(本実施の形態では3時間)経過後に充電を終了する構成となっているため、10Ah電池パック2Aが充電装置1Bに装着された場合には、満充電となる前に充電が終了してしまうこととなる。
【0047】
そこで、本実施の形態では、電池パック2Aが充電装置1Bに装着された場合には、電池側マイコン2fは、充電開始から所定時間bより短い所定時間c経過後に、電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iを一時的にオフさせることにより、疑似的に電池を抜いた時と同様の状態を生じさせることにより、充電装置1Bのカウントをリセットし、充電を継続させる。
【0048】
詳細には、上述したように、本実施の形態における充電装置1A及び1Bは、セル数信号及び温度信号が入力されている場合に充電動作を行う構成であるので、電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iがオフされた場合には、電池パックが外された時と同様の状態となり、充電動作を停止する。そして、この場合には、同時に、充電時間のカウントもリセットされる。
【0049】
従って、電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iを再びオンした際には、充電装置は、新たな電池パックが装着された状態と認識し、充電動作を開始すると同時に、充電時間のカウントも新たに開始されることとなる。このような動作を繰り返すことで、10Ahの電池パック2Aを既存の充電装置1Bで満充電まで充電させることが可能となる。
【0050】
以上の動作により、新型、もしくは、既存の、充電装置及び電池パックのすべての組み合わせにおいて、互換性を維持した上で、それぞれの電池パックを十分に充電させることが可能となる。なお、既存の充電装置1Bと既存の電池パック2Bの組み合わせについては、上記課題が生じず、従来の方法で充電できることは明らかであるから、説明は省略する。
【0051】
以下、本実施の形態における、充電装置、及び、電池パックの他の構成要素について、概略を説明する。これらの構成要素は、好適な一例を示したものにすぎず、他の周知の構成と置換することや、必要に応じて適宜省略し得ることは、当業者にとって自明である。
【0052】
充電装置1Aは、1次側整流・平滑回路10と、スイッチング回路20と、2次側整流・平滑回路30と、電流検出抵抗3と、充電電流設定手段70と、充電電流制御回路60と、充電電圧制御回路100と、充電制御信号伝達手段4と、充電電流信号伝達手段5と、定電圧電源回路40と、整流・平滑回路6と、電池種判別抵抗7と、電池種判別ショート手段8と、電池温度検出手段80と、電池電圧検出手段90と、表示手段9と、装置側マイコン50と、を備えている。
【0053】
なお、1次側整流・平滑回路10と、スイッチング回路20と、2次側整流・平滑回路30と、が、本発明の充電部に相当する。また、電池種判別ショート手段8が、本発明の装置側信号出力部に相当する。また、装置側マイコン50が、本発明の装置側制御部に相当する。
【0054】
1次側整流・平滑回路10は、ブリッジ接続された整流ダイオードを含む全波整流回路11と、平滑用コンデンサ12と、を備えており、交流電源200から供給された交流電力を全波整流する。
【0055】
スイッチング回路20は、高周波トランス21と、MOSFET22と、PWM制御IC23と、を備えている。
【0056】
MOSFET22は、高周波トランス21の1次側に直列接続されており、PWM制御IC23からゲート電極に印加される駆動パルス信号に基づきオン・オフする。
【0057】
PWM制御IC23は、充電制御信号伝達手段4を介して装置側マイコン50から伝達される制御信号に基づき、充電動作の開始および停止を制御する。詳細には、制御信号がHIGHレベルの場合にはMOSFET22のオン・オフ動作を許可し、LOWレベルの場合には許可しない。
【0058】
また、PWM制御IC23は、充電電流信号伝達手段5を介して充電電流制御回路60又は充電電圧制御回路100から伝達される制御信号に基づき、MOSFET22のゲート電極に供給する駆動パルス幅を変化させる。これにより、MOSFET22のオン時間が制御され、その結果、高周波トランス21から出力される電力が制御される。
【0059】
2次側整流平滑回路30は、整流用ダイオード31と、平滑用コンデンサ32と、放電用抵抗33と、を備えている。高周波トランス21の2次側から出力されたパルス電力は、整流用ダイオード31及び平滑用コンデンサ32によって半波整流され、充電電力として電池パック2に供給される。放電用抵抗33は、電力供給停止時に平滑用コンデンサ32に蓄積された電力を放電するためのものである。
【0060】
電流検出抵抗3は、電流検出抵抗3に流れる充電電流を検出し、充電電流制御回路60に出力する。詳細には、電流検出抵抗3における降下電圧を、後述する充電電流制御回路60のオペアンプ61、抵抗62及び63によって構成される反転増幅回路に出力する。
【0061】
充電電流設定手段70は、抵抗71及び72を備えており、基準電圧Vccの抵抗71及び72による分圧電圧が、定電流制御の際の基準となる設定充電電流として充電電流制御回路60に入力される。
【0062】
充電電流制御回路60及び充電電圧制御回路100は、それぞれ、電池パック2の充電電流及び充電電圧を制御するための回路である。
【0063】
充電電流制御回路60は、オペアンプ61及び65と、オペアンプ61及び65の入力抵抗62及び64と、オペアンプ61及び65の帰還抵抗63及び66と、ダイオード68と、電流制限用抵抗67と、を備えている。
【0064】
充電電流制御回路60は、電流検出抵抗3に流れる充電電流に基づく電圧降下をオペアンプ61によって反転増幅させ、その出力電圧と充電電流設定手段70から入力された設定充電電流との差をオペアンプ65によって比較し、比較結果を充電電流信号伝達手段5を介してPWM制御IC23に出力する。このようにして、充電電流制御回路60は、充電電流が設定充電電流になるように定電流制御を行う。また、装置側マイコン50に電流信号を出力するために、オペアンプ61の出力段は、装置側マイコン50にも接続されている。
【0065】
充電電圧制御回路100は、抵抗101、103、105、106、及び、106と、ポテンショメータ102と、コンデンサ104と、整流ダイオード107と、シャントレギュレータ108と、を備えている。
【0066】
シャントレギュレータ108のリファレンス端子rには、抵抗101とポテンショメータ102との合成抵抗と、抵抗105と、による電池電圧の分圧電圧が入力されることとなるので、リファレンス端子rに入力された電圧が目標電圧より大きい場合に、ダイオード107から抵抗106へ向けて電流が流れることとなる。このようにして、充電電圧制御回路100は、充電電圧が設定電圧となるように定電圧制御を行う。
【0067】
なお、本実施の形態では、充電電流信号伝達手段5は、充電電流制御回路60及び充電電圧制御回路100にOR回路で接続されている。
【0068】
従って、本実施の形態では、充電電流が設定した値より高い充電初期には、充電装置1Aは、充電電流制御回路60による定電流制御で充電を行い、充電が進み、充電電圧が設定電圧まで増加した時に充電電圧制御回路100による定電圧制御に切り替わることとなる。
【0069】
定電圧電源回路40は、トランス41a〜41cと、スイッチング素子42と、制御素子43と、整流ダイオード44と、コンデンサ45、47と、3端子レギュレータ46と、リセットIC48と、を備えており、1次側整流・平滑回路10から出力された電圧から安定化直流電圧Vccを生成し、装置側マイコン50、オペアンプ61及び65等の各種の制御回路へ供給する。なお、リセットIC48は、交流電源200が充電装置1Aに接続された際に、リセット信号を出力するためものである。
【0070】
整流・平滑回路6は、トランス6aと、整流用ダイオード6bと、平滑用コンデンサ6cと、を備えており、定電圧電源回路40のトランス41aから出力された交流電力を整流・平滑してPWM制御IC23に駆動電力として供給する。
【0071】
電池種判別抵抗7は、所定の抵抗値を有しており、充電装置1Aに電池パック2Aが装着されていない場合には、装置側マイコン50には、直流電圧Vccが入力される。
【0072】
一方、充電装置1Aに電池パック2Aが装着されている場合、すなわち、充電装置側端子A1、A2と電池側端子B1、B2とが接続されている場合には、電池パック2Aの電池種判別素子開放手段2g及び電池種判別素子ショート手段2hの状態に応じた電圧が、装置側マイコン50及び電池側マイコン2fに入力されることとなる。
【0073】
詳細には、電池種判別素子ショート手段2hがオフし、電池種判別素子開放手段2gがオンしている場合には、直流電圧Vccの電池種判別抵抗7と電池種判別素子2cとによる分圧が、セル数信号として、装置側マイコン50及び電池側マイコン2fに入力される。この場合には、充電装置1A又は1Bは、充電動作を行うことが可能な状態となる。
【0074】
一方、電池種判別素子ショート手段2h及び電池種判別素子開放手段2gがオフしている場合には、直流電圧Vccが装置側マイコン50及び電池側マイコン2fに入力される。この場合には、充電装置1A又は1Bは、充電動作を停止することとなる。
【0075】
また、電池種判別素子ショート手段2hがオンしている場合には、電池種判別素子開放手段2gの状態に関わらず、GNDレベルの電圧が装置側マイコン50及び電池側マイコン2fに入力される。後述するが、この電圧は、第2ショート信号を解除するためのものである。
【0076】
電池種判別ショート手段8は、電池種判別抵抗7の低電圧側端子とGNDとの間に配置されたスイッチング素子である。電池種判別ショート手段8は、通常時は、オフされており、電池種判別ショート手段8がオフされている場合に、電池種判別素子2cの抵抗値に対応したセル数信号が、装置側マイコン50に入力される。
【0077】
電池温度検出手段80は、抵抗81及び82から構成されており、抵抗81と、サーミスタ2dと抵抗82との合成抵抗と、による基準電圧Vccの分圧電圧が、温度信号として装置側マイコン50に入力される。
【0078】
電池電圧検出手段90は、抵抗91及び92から構成されており、抵抗91と、抵抗92と、による電池電圧の分圧電圧が、電圧信号として装置側マイコン50に出力される。
【0079】
表示手段9は、赤色LED(R)および緑色LED(G)から構成された表示回路9aと、各LEDに接続された電流制限抵抗9b及び9cと、を備えている。
【0080】
本実施形態では、電池パック2が充電前である場合には、装置側マイコン50の出力ポート51aから抵抗9bにHIGH信号が出力され、これにより、充電前を示す赤色LED(R)が点灯する。また、電池パック2が充電終了後である場合には、出力ポート51aから抵抗9cにHIGH信号が出力され、これにより、充電終了を示す緑色LED(G)が点灯する。更に、電池パック2が充電中である場合には、出力ポート51aから抵抗9bと抵抗9cの両方にHIGH信号が出力される。この場合、赤色LED(R)と緑色LED(G)とが同時に点灯することとなるので、表示回路9aは、全体として、充電中を示す橙色に点灯することとなる。
【0081】
装置側マイコン50は、CPU51と、出力ポート51aと、出力ポート51bと、A/Dコンバータ52と、リセット入力ポート53と、を備えている。
【0082】
A/Dコンバータ52は、アナログ信号(上述した電流信号、セル数信号、温度信号、及び、電圧信号)をデジタル信号に変換する。リセット入力ポート53には、リセットIC48から上述したリセット信号が入力される。
【0083】
CPU51は、電池種判別抵抗7から入力されたセル数信号に基づき、出力ポート51aから充電制御伝達信号手段4に充電開始信号を出力する。
【0084】
また、CPU51は、温度信号が充電異常を示す場合には、出力ポート51aから充電制御信号伝達手段4に充電停止信号を出力することにより、充電を停止させる。
【0085】
また、CPU51は、充電電流制御回路60のオペアンプ61から入力された電流信号、及び、電池電圧検出手段90から入力された電圧信号に基づき、電池パック2の充電状態を示す充電状態信号を表示手段9に出力する。
【0086】
更に、本実施の形態では、CPU51は、充電装置1Aに電池パック2A又は2Bが装着された時に、電池種判別ショート手段8を一時的にオンさせる。電池種判別ショート手段8がオンすることにより、電池パック2A又は2Bには、GNDレベルの第1ショート信号が入力されることとなる。
【0087】
また、本実施の形態による充電装置1Aでは、CPU51は、充電時間をカウントし、所定時間経過後に、出力ポート51aから充電制御信号伝達手段4に充電停止信号を出力することにより、充電を停止させる。
【0088】
詳細には、上述したように、充電装置1Aが電池パック2Aに装着された場合には、CPU51は、所定時間a経過後に充電を停止させる。
【0089】
また、充電装置1Aが電池パック2Bに装着された場合には、CPU51は、所定時間b経過後に充電を停止させる。
【0090】
また、充電装置1Bが電池パック2A又は2Bに装着された場合にも、CPU51は、所定時間b経過後に充電を停止させる。
【0091】
なお、セル数信号及び温度信号が入力されていない場合には、充電装置1A、1Bのいずれにおいても、CPU51は、充電を停止させると同時に、カウントもリセットする構成となっている。
【0092】
次に、本実施形態の充電システムにおける装置側マイコン50による一連の動作の制御について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
図4のフローチャートは、充電装置1Aの電源がオン、すなわち充電装置1Aが交流電源200に接続されたことを契機に開始する。また、
図4のフローチャートでは、開始時には、充電装置1Aには、電池パック2A又は2Bは装着されていないものとする。
【0093】
まず、装置側マイコン50は、装置側マイコン50は、表示手段9の赤色LED(R)を点灯させて、充電前であることを表示させる(S401)。
【0094】
続いて、装置側マイコン50は、充電装置1Aに電池パック2A又は2Bが装着されたか否かを判断する(S402)。本実施の形態では、セル数信号、及び、温度信号が装置側マイコン50に入力された場合に電池パック2A又は2Bが装着されたものと判断する。
【0095】
充電装置1Aに電池パック2A又は2Bが装着された場合には(S402:YES)、装置側マイコン50は、表示手段9の赤色LED(R)と緑色LED(G)とを同時に点灯させて、充電中であることを表示させる(S403)。
【0096】
続いて、装置側マイコン50は、電池種判別ショート手段8をオンさせる(S404)。
【0097】
これにより、電池パック2Aの電池側マイコン2fには、GNDレベルの第1ショート信号が入力されることとなり、電池パック2Aでは、この第1ショート信号に応じて、第2ショート信号を充電装置1Aに出力することとなる。
【0098】
一方で、
図3に示すように、充電装置1Aに接続された電池パック2が電池パック2Bである場合には、電池種判別素子ショート手段2hを備えていないため、第1ショート信号に応じて第2ショート信号を充電装置1Aに出力することはできない。
【0099】
続いて、装置側マイコン50は、電池種判別ショート手段8をオフさせ(第1ショート信号の解除)(S405)、その後、所定時間内に、電池種判別抵抗7(電池パック2A又は2B)からGNDレベルの第2ショート信号が入力されたか否かを判断する(S406)。
【0100】
所定時間内に第2ショート信号が入力された場合には(S406:YES)、装置側マイコン50は、
図1に示すように、充電装置1Aに10Ah電池パック2Aが装着されているものと判断し、電池パック2Aに関する電池Aフラグを1に設定する(S407)。
【0101】
一方、所定時間内に第2ショート信号が入力されなかった場合には(S406:NO)、装置側マイコン50は、
図2に示すように、充電装置1Aに既存の3Ah電池パック2Bが装着されているものと判断し、電池パック2Bに関する電池Bフラグを1に設定する(S408)。
【0102】
このように、本実施の形態では、第1ショート信号及び第2ショート信号のやりとりにより、電池パック2A側では、10Ah電池パック2Aに対応した充電装置1Aが接続されていることを、充電装置1A側では、10Ah電池パック2Aが接続されていることを検知することができるので、以後、それらの特性に適した充電制御を行なうことが可能となる。
【0103】
続いて、装置側マイコン50は、充電を開始させるために、充電制御信号伝達手段4にLOW信号を出力して、PWM制御IC23を動作可能な状態にした上で(S409)、電池Aフラグが1であるか否かを判断する(S410)。
【0104】
電池Aフラグが1である場合には(S410:YES)、充電装置1Aには電池パック2Aが装着されているので、その後、電池パック2Aに対応した所定時間aが経過したか否かを判断する(S411)。
【0105】
一方、電池Aフラグが1でない場合には(S410:NO)、充電装置1Aには電池パック2Bが装着されているので、その後、電池パック2Bに対応した所定時間bが経過したか否かを判断する(S412)。
【0106】
所定時間a又はbが経過した場合には(S411:YES、又は、S412:YES)、表示手段9の緑色LED(G)を点灯させて、充電が終了したことを表示させる(S413)。そして、充電制御信号伝達手段4にHIGH信号を出力してPWM制御IC23を停止させることにより、充電を終了する(S414)。
【0107】
一方、所定時間a又はbが経過していない場合には(S411:NO、又は、S412:NO)、充電時間以外の方法により、電池パック2A又は2Bが満充電であるか否かを判断する(S415)。
【0108】
満充電を検出する方法としては様々な方法が考えられるが、例えば、リチウムイオン電池の場合には、一般的な定電流・定電圧制御充電における定電圧区間において充電電流が所定値以下であることを検出した場合に満充電であると判断することができる。
【0109】
電池パック2A又は2Bが満充電であると判断した場合には(S415:YES)、S413及びS414へ進み、充電を終了する。
【0110】
続いて、
図5のフローチャートを用いて、本実施形態の充電システムにおける新型の電池パック2Aの電池側マイコン2fによる一連の動作の制御について説明する。
図5のフローチャートは、充電装置1A又は1Bに電池パック2Aが装着されたことを契機に開始する。
【0111】
まず、電池側マイコン2fは、電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iをオンさせる(S501)。これにより、充電装置1A又は1Bにセル数信号及び温度信号が入力され、充電装置1A又は1Bは、充電動作を行うことが可能な状態となる。
【0112】
続いて、電池側マイコン2fは、所定時間内に、充電装置1A又は2Bから第1ショート信号が入力されたか否かを判断する(S502)。
【0113】
所定時間内に第1ショート信号が入力された場合には(S502:YES)、電池側マイコン2fは、
図1に示すように、電池パック2Aが充電装置1Aに装着されているものと判断し、充電装置1Aに関する充電装置Aフラグを1に設定した上で(S503)、電池種判別素子ショート手段2hをオンさせる(S504)。これにより、充電装置1Aには、GNDレベルの第2ショート信号が入力されることとなる。
【0114】
その後、電池側マイコン2fは、電池種判別素子ショート手段2hをオフさせて(S505)、フローチャートは終了する。
【0115】
なお、充電装置1A側では、第2ショート信号が入力されたことにより、装着された電池パック2が電池パック2Aであると判断し(
図4のS406)、所定時間a経過後に充電を終了させることとなる。
【0116】
一方、所定時間内に第1ショート信号が入力されなかった場合には(S502:NO)、電池側マイコン2fは、
図3に示すように、電池パック2Aが既存の充電装置1Bに装着されているものと判断し、充電装置1Bに関する充電装置Bフラグを1に設定する(S506)。
【0117】
ここで、充電装置1Bでは、既存の3Ah電池パック2Bに対応した充電時間として所定時間b(本実施の形態では、3時間)が設定されているため、そのままでは、新型の10Ah電池パック2Aへの充電は、満充電となる前に終了してしまう。
【0118】
そこで、本実施の形態では、電池側マイコン2fは、充電装置1Bに電池パック2Aが装着されてから、所定時間bより短い所定時間c経過後に(S507:YES)、電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iをオフさせる(S508)。
【0119】
電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iがオフされることにより、充電装置1Bには、セル数信号及び温度信号が入力されなくなるので、充電装置1Bは、電池パック2Aが充電装置1Bから取り外されたものと判断し、充電を停止させると同時にカウントもリセットする。
【0120】
その後、電池側マイコン2fは、電池種判別素子開放手段2g及びサーミスタ開放手段2iを再びオンさせ(S509)、S507に戻る。
【0121】
これにより、一時的に充電が中断するものの、カウントがリセットされた状態で新型10Ah電池パック2Aへの充電が継続される形になる。
【0122】
なお、ステップ507からステップ509の動作を繰り返すことにより、装置側マイコン50におけるカウントに用いる容量が不足することを回避することも可能となる。
【0123】
また、
図5には示していないが、本実施の形態では、電池側マイコン2fは、所定時間cが複数回繰り返された時には、S507でYES後に、フローチャートを終了する。
【0124】
これにより、必要時間以上に電池パックが充電されて過充電となることが防止される。
【0125】
以上説明したように、本実施の形態による充電システムでは、充電装置1Aは、第1ショート信号及び第2ショート信号のやりとりにより、電池パック2の特性を判別することができるため、電池パック2の特性に適した充電制御を行なうことが可能となる。
【0126】
また、上記実施の形態では、第1ショート信号及び第2ショート信号の入出力に既存の端子A1、A2、B1、B2が用いられているので、コスト及び回路構成の複雑化を低減させることが可能となる。
【0127】
また、上記実施の形態では、充電装置1Aは、第2ショート信号が入力されたか否かに応じて充電時間を変更するので、容量に応じた充電時間で電池パック2が充電されることとなり、電池パック2に充電不足が生じることが抑制される。
【0128】
また、上記実施の形態では、電池パック2Aが既存の充電装置1Bに装着された場合には、電池パック2Aは、充電開始から所定時間bより短い所定時間c経過後に、カウントをリセットさせるので、電池パック2Aが充電不足となることが抑制される
【0129】
本発明による充電システムは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。
【0130】
例えば、上記実施の形態における電池パック2A及び2Bの容量は、一例であり、それぞれ、10Ah及び3Ahに限定されるものではない。
【0131】
また、上記実施の形態では、セル数信号と温度信号の両方が装置側マイコン50に入力された場合に充電を開始したが、いずれか一方であってもよく、他の信号を充電開始信号として用いてもよい。
【0132】
また、上記実施の形態では、第2ショート信号を装置側マイコン50に入力させるために、電池種判別素子2cに対応の電池種判別素子ショート手段2hを設けたが、替わりに、サーミスタ2dに対応のサーミスタショート手段を設けてもよい。
【0133】
また、上記実施の形態における第1ショート信号及び第2ショート信号は、ショート以外の方法により生成されてもよい。
【0134】
また、上記実施の形態では、電池パック容量に応じた充電時間の制御を行う充電システムを例示したが、本発明は、該実施の形態に限定されるものではなく、電池種別(例えば、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池など)に応じて、充電装置の電圧・電流の制御条件を変更すること等に適用することもできる。