特許第5958762号(P5958762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958762
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】はつり装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20160719BHJP
   B08B 5/04 20060101ALI20160719BHJP
   B25D 17/18 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   E04G23/08 Z
   B08B5/04 A
   E04G23/08 D
   B25D17/18
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-263503(P2012-263503)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-109122(P2014-109122A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】尾熊 紘而
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 和敬
(72)【発明者】
【氏名】松尾 浄
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−004593(JP,A)
【文献】 特開昭61−237605(JP,A)
【文献】 米国特許第04594759(US,A)
【文献】 特開平04−226850(JP,A)
【文献】 米国特許第05199501(US,A)
【文献】 特開昭59−147617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/08
B08B 5/04
B25D 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に設けられた切削ビットを被はつり体の表面に沿って上下方向に移動させることにより前記被はつり体の表面をはつるはつり装置であって、前記切削ビットを内側に囲むように環状に取り付けられ、前記切削ビットによるはつり粉塵を集塵する集塵カバーと、前記集塵カバーの外側下方に取り付けられ、前記集塵カバーの外側にあるはつり粉塵を捕捉するための開口部からなる集塵ノズルとを備えることを特徴とするはつり装置。
【請求項2】
前記集塵カバーは前記切削ビットを内側に囲むように円環状に取り付けられ、前記集塵ノズルの開口部の開口形状を前記集塵カバーの下側に隣接して延びる略円弧状としたことを特徴とする請求項1に記載のはつり装置。
【請求項3】
前記切削ビットの基部側に設けられ、前記集塵カバーにより集塵されたはつり粉塵を回収するための集塵部をさらに備え、前記集塵部は、前記集塵ノズルの開口部により捕捉されたはつり粉塵を回収可能に構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のはつり装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被はつり体表面をはつる(切削する)際に用いられるはつり装置に関し、特に、コンクリート壁面のはつり作業において使用されるスパイキハンマーなどのはつり装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スパイキハンマーのような機械的打撃による表面剥離方式のはつり機械を使用したコンクリート壁面のはつり(切削)作業が知られている(例えば、本出願人による特許文献1または非特許文献1を参照)。図4は従来のスパイキハンマーのヘッド部の概略構成を示す図であり、図5はこのスパイキハンマーによるコンクリートのはつり作業の一般的な実施態様を説明したものである。
【0003】
図4に示すように、スパイキハンマー1の前端の円筒状のヘッド部2には複数本のハンマー4(チゼルロッド)が近接配置されている。各ハンマー4の先端には切削ビット5が複数取り付けてあり、ハンマー4の根元の図示しないエアーピストンに図外のエアーコンプレッサーから供給される圧縮空気が常時入るようにしてある。このエアーピストンによって飛び出したハンマー4がコンクリートを打撃した後、後退して再びエアーピストンにより飛び出してコンクリートを繰り返し叩打することによりコンクリートをはつるようになっている。
【0004】
ここで、スパイキハンマー1の前端には、ヘッド部2の周囲を覆うようにナイロンなどの材質で構成された集塵カバーブラシ6が前方に向けて環状に突設してある。また、ヘッド部2の後方外周には、集塵カバーブラシ6の内側と連通した中空環状部からなる集塵部7が設けてあり、集塵部7の下側に設けた開口部8にバキュームホース9が連通している。なお、スパイキハンマー1の後端は図示しない重機に取り付けてある。
【0005】
このスパイキハンマー1を用いたはつり作業においては、図5に示すように、集塵カバーブラシ6をコンクリート壁面3に押し付けながらヘッド部2を壁面3に沿って上下方向に繰り返し移動させることにより、所定の深さになるまではつるが、この際にコンクリートから発生する細かいコンクリート塊や粉体といったはつり片・粉塵は、集塵カバーブラシ6に案内されるようにして集塵部7に一時的に回収された後、開口部8とバキュームホース9を介して図外の集塵機に吸引されるようになっている。こうすることで、はつり片や粉塵が周辺に飛散するのを防ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2011−265026号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「汚染コンクリート除染技術の開発」、小栗第一郎・鳥居和敬・塚原裕一、デコミッショニング技報第30号、財団法人原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)発行、2004年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ある程度はつり作業が進むと、図5に示すように、スパイキハンマー1を下方向へ移動しながらはつる際、既にはつられたコンクリート壁面3を集塵カバーブラシ6の下側部分が撫でることによってこの部分に付着していたはつり片・粉塵3aが掃かれてしまい、集塵部7に集塵されずに取りこぼしてしまうことがある。これは、特に放射性物質で汚染されたコンクリート表面のはつり除染作業等のような高い粉塵回収性能が要求される作業においては、解決が望まれていた問題であった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、下方向へ移動しながらはつる際においても、はつり粉塵を取りこぼすことなく集塵することができるはつり装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るはつり装置は、先端部に設けられた切削ビットを被はつり体の表面に沿って上下方向に移動させることにより前記被はつり体の表面をはつるはつり装置であって、前記切削ビットを内側に囲むように環状に取り付けられ、前記切削ビットによるはつり粉塵を集塵する集塵カバーと、前記集塵カバーの外側下方に取り付けられ、前記集塵カバーの外側にあるはつり粉塵を捕捉するための開口部からなる集塵ノズルとを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他のはつり装置は、上述した発明において、前記集塵カバーは前記切削ビットを内側に囲むように円環状に取り付けられ、前記集塵ノズルの開口部の開口形状を前記集塵カバーの下側に隣接して延びる略円弧状としたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他のはつり装置は、上述した発明において、前記切削ビットの基部側に設けられ、前記集塵カバーにより集塵されたはつり粉塵を回収するための集塵部をさらに備え、前記集塵部は、前記集塵ノズルの開口部により捕捉されたはつり粉塵を回収可能に構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、先端部に設けられた切削ビットを被はつり体の表面に沿って上下方向に移動させることにより前記被はつり体の表面をはつるはつり装置であって、前記切削ビットを内側に囲むように環状に取り付けられ、前記切削ビットによるはつり粉塵を集塵する集塵カバーと、前記集塵カバーの外側下方に取り付けられ、前記集塵カバーの外側にあるはつり粉塵を捕捉するための開口部からなる集塵ノズルとを備えるので、はつり装置を下方向へ移動しながらはつる際、既にはつられた被はつり体表面を集塵カバーの下側部分が撫でることによってこの部分に付着していたはつり粉塵が掃かれたとしても、このはつり粉塵は、集塵カバーの外側下方に取り付けられた集塵ノズルの開口部によって捕捉され得る。したがって、本発明によれば、下方向へ移動しながらはつる際においても、はつり粉塵を取りこぼすことなく集塵することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係るはつり装置の実施例を示す斜視図である。
図2図2は、本発明に係るはつり装置の実施例を示す正面図である。
図3図3は、本発明に係るはつり装置の実施例を示す側断面図である。
図4図4は、従来のスパイキハンマーのヘッド部の概略構成を示す斜視図である。
図5図5は、従来のスパイキハンマーによるコンクリート壁面のはつり作業の実施態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係るはつり装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例では、はつり装置の基本構成となるはつり機械としてスパイキハンマーの場合を例にとり、コンクリート(被はつり体)をはつる場合を想定して説明するが、本発明は他の形式のはつり機械を用いた場合でも適用可能であり、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は本発明に係るはつり装置の斜視図、図2は正面図、図3は側断面図である。
図1図3に示すように、本発明に係るはつり装置10は、円柱状の本体12の先端部14に設けられた切削ビット16を有するハンマー18をコンクリート壁面に沿って上下方向に移動させることによりコンクリート壁面をはつるスパイキハンマー型のはつり装置であって、集塵カバーブラシ20(集塵カバー)と、開口部22からなる集塵ノズル24とを備える。なお、はつり装置10の後端は図示しない重機に取り付けてあり、重機側の操作により上下方向の移動が可能である。
【0017】
集塵カバーブラシ20は、複数のハンマー18を内側に囲むように円環状に取り付けられ、ハンマー18によるはつり片・粉塵を集塵するためのものである。この集塵カバーブラシ20は、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニールなどの材質で構成可能であるが、これ以外の材質で構成してももちろん構わない。
【0018】
また、集塵ノズル24の開口部22は、集塵カバーブラシ20の外側下方に隣接して取り付けられ、集塵カバーブラシ20の外側にあるはつり片・粉塵を捕捉するためのものである。この開口部22の開口形状は、集塵カバーブラシ20の下側に隣接して延びる略円弧状としてある。
【0019】
ハンマー18の基部26側の外周には、集塵部28が設けてある。この集塵部28は、集塵カバーブラシ20により集塵されたはつり片・粉塵を一時的に回収するためのものであり、集塵カバーブラシ20の内側と連通した中空環状の中空環状部28aと、その下側に連通した中空矩形状の導流部28bとで構成されている。
【0020】
導流部28bの下側後面にはバキュームホース30と連通する開口部28cが設けてある。また、導流部28bは、集塵ノズル24と連通しており、開口部22により捕捉されたはつり片・粉塵を回収可能になっている。バキュームホース30は図外の集塵機に接続してあり、集塵ノズル24の開口部22には、この集塵機からの吸引力によって集塵部28側に吸引しようとする向きの吸引力が常時作用している。このため、集塵部28に一時的に回収されたはつり片・粉塵は、開口部28cおよびバキュームホース30を介して集塵機に吸引・回収されるようになっている。こうすることで、はつり片・粉塵が周辺に飛散するのを防いでいる。
【0021】
上記のように構成した本発明によれば、はつり装置10を下方向へ移動しながらはつる際、既にはつられたコンクリート壁面を集塵カバーブラシ20の下側部分が撫でることによってこの部分に付着していたはつり片・粉塵が掃かれたとしても、このはつり片・粉塵は、集塵カバーブラシ20の外側下方に取り付けられた集塵ノズル24の吸引力が作用する開口部22によって捕捉され得る。したがって、本発明によれば、はつり装置10を下方向へ移動しながらはつる際においても、はつり片・粉塵を取りこぼすことなく集塵することができる。
【0022】
また、スパイキハンマーを用いた上記の特許文献1のような従来のコンクリート壁面のはつりシステムにおける集塵率は98%と十分高いものである。しかしながら、放射性物質で汚染されたコンクリート表面のはつり除染作業等におけるその集塵率は100%であることが要求されるが、本発明に係るはつり装置によれば、下方向へ移動しながらはつる際においても、はつり片・粉塵を取りこぼすことなく集塵することができるので、その集塵率は限りなく100%に近づくものとなる。
【0023】
なお、上記の実施の形態において、はつり装置10における集塵カバーブラシ20の寸法、集塵ノズル24の開口部22の寸法としては、例えば図3に示すように、本体12の外径Dを300mm程度とした場合には、集塵カバーブラシ20の突出長L1を50mm程度、集塵カバーブラシ20の取り付け端から集塵部28までの延長L2を100mm程度、集塵ノズル24の開口部22の上下方向の開口高さL3を100mm程度として構成してもよい。
【0024】
また、上記の実施の形態において、集塵部28は円柱状の本体12に対して着脱自在に構成するようにしてもよい。
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、先端部に設けられた切削ビットを被はつり体の表面に沿って上下方向に移動させることにより前記被はつり体の表面をはつるはつり装置であって、前記切削ビットを内側に囲むように環状に取り付けられ、前記切削ビットによるはつり粉塵を集塵する集塵カバーと、前記集塵カバーの外側下方に取り付けられ、前記集塵カバーの外側にあるはつり粉塵を捕捉するための開口部からなる集塵ノズルとを備えるので、はつり装置を下方向へ移動しながらはつる際、既にはつられた被はつり体表面を集塵カバーの下側部分が撫でることによってこの部分に付着していたはつり粉塵が掃かれたとしても、このはつり粉塵は、集塵カバーの外側下方に取り付けられた集塵ノズルの開口部によって捕捉され得る。したがって、本発明によれば、下方向へ移動しながらはつる際においても、はつり粉塵を取りこぼすことなく集塵することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明に係るはつり装置は、コンクリート壁面のはつり作業において使用されるスパイキハンマーなどのはつり装置に有用であり、特に、下方向へ移動しながらはつる際においても、はつり粉塵を取りこぼすことなく集塵するのに適している。
【符号の説明】
【0027】
10 はつり装置
12 本体
14 先端部
16 切削ビット
18 ハンマー
20 集塵カバーブラシ(集塵カバー)
22 開口部
24 集塵ノズル
26 基部
28 集塵部
28a 中空環状部
28b 導流部
28c 開口部
30 バキュームホース
図1
図2
図3
図4
図5