(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被処理物を気密状態で処理する処理装置の内部に、被処理物を当該処理装置が備える被処理物投入口部を介し、外部から気密状態で投入するために用いられる被処理物投入装置において、
前記被処理物投入口部を貫通するよう構成された投入管と、
前記投入管の通る経路に対して径外に位置し、前記投入管を前記貫通した状態で前記処理装置に取り付けるため、前記被処理物投入口部が備える取付部に取り付けられる取付用フランジと、
前記取付部と前記取付用フランジとの間の気密を確保するため、前記取付部と前記取付用フランジとの間に位置する気密保持部材と、
前記取付部と前記取付用フランジとの間に位置する角度調整部材と、
前記取付部と前記取付用フランジとを固定する固定部材と、を備え、
前記角度調整部材は、前記取付部と前記取付用フランジとの間隔を調整することで前記取付部に対する前記取付用フランジの取付角度を変更し、
前記固定部材は、前記角度調整部材により変更された前記取付角度を保持することを特徴とする被処理物投入装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、チャンバ501は、例えば製缶により形成される。このチャンバ501は、内部が真空状態とされて使用されることがある。よって、耐圧性を高めるために、例えばチャンバ501の上部が絞り加工により湾曲形状とされている。この場合、前記被処理物投入装置の投入管505は、チャンバ501において前記湾曲形状とされた部分を貫通することがある。
【0007】
しかしながら、このようにチャンバ501が形成された場合では、チャンバ501の製缶誤差、及び、投入管505を貫通させるためにチャンバ501に設けられる開口部の加工誤差により、このような湾曲形状とされた部分で投入管505を貫通させる場合、チャンバ501に対する投入管505の角度を一定とすることが難しい。つまり、チャンバ501が複数存在し、各チャンバ501にそれぞれ投入管505を貫通させる場合、各チャンバ501で投入管505の角度にばらつきが生じる。具体的には、1°程度のばらつきが生じる。
【0008】
このようにチャンバ501に対する投入管505の角度が一定にならないことから、場合によっては、投入管505と熱遮蔽体503とが接触するか極めて小さな間隔に接近してしまうことがある。そうなると、熱遮蔽体503が炉体502、及び、炉体502内の溶融シリコン504の熱の影響を受けて歪んだ場合、この歪んだ熱遮蔽体503に押されて投入管505が破損してしまうことがあった。特に、投入管505が石英ガラス製である場合は、弾性が小さいことにより投入管505が破損する可能性が大きい。
【0009】
そこで、本発明は、前記従来の被処理物投入装置が有している問題に鑑み、投入管が破損しにくい構成の被処理物投入装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被処理物を気密状態で処理する処理装置の内部に、被処理物を当該処理装置が備える被処理物投入口部を介し、外部から気密状態で投入するために用いられる被処理物投入装置において、前記被処理物投入口部を貫通するよう構成された投入管と、前記投入管の通る経路に対して径外に位置し、前記投入管を前記貫通した状態で前記処理装置に取り付けるため、前記被処理物投入口部が備える取付部に取り付けられる取付用フランジと、前記取付部と
前記取付用フランジとの間の気密を確保するため、前記取付部と
前記取付用フランジとの間に位置する気密保持部材と、前記取付部
と前記取付用フランジ
との間に位置する角度調整部材と、
前記取付部と前記取付用フランジとを固定する固定部材と、を備え
、前記角度調整部材は、前記取付部と前記取付用フランジとの間隔を調整することで前記取付部に対する前記取付用フランジの取付角度を変更し、前記固定部材は、前記角度調整部材により変更された前記取付角度を保持する。
【0011】
この構成によると、前記角度調整部材により、前記取付部に対する前記取付用フランジの取付角度を変更でき、
前記固定部材により、前記取付角度を保持できる。このため、前記取付角度に応じて投入管の処理装置に対する角度を調整
して保持できる。よって、処理装置に対して投入管を破損しないように配置できる。
【0012】
また、本発明において、前記角度調整部材は、前記気密保持部材による前記取付部と
前記取付用フランジとの間の気密が確保される範囲内にて、前記取付角度を変更できるようにすることもできる。
【0013】
この構成によると、前記気密保持部材による前記取付部と
前記取付用フランジとの間の気密を確保しつつ、投入管の処理装置に対する角度を調整できる。
【0014】
また、本発明において、前記角度調整部材は、前記取付用フランジに対して螺合することで、前記取付用フランジが備える取付面からの突出量を調整可能に構成
され、前記角度調整部材の突出端は前記取付部における端面である取付面に当接し、前記突出量に応じて前記取付部と前記取付用フランジとの間隔を調整できる。
【0015】
この構成によると、前記角度調整部材の、前記取付用フランジが備える取付面からの突出量を螺合により調整可能である。このため、前記取付部に対する前記取付用フランジの取付角度を容易に変更できる。
【0016】
また、本発明において、前記取付用フランジが備える取付面には、周方向に連続して形成された溝部を有し、前記気密保持部材は、前記溝部に嵌め込まれる弾性を有するリングとすることもできる。
【0017】
この構成によると、溝部と弾性を有するリングとの組み合わせにより、前記取付部と取付用フランジとの間の気密を十分に確保できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、処理装置に対して、投入管を破損しないように配置できる。よって、処理装置の製缶誤差及び加工誤差等の影響を受けにくく、投入管が破損しにくい構成の被処理物投入装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。下記における方向の説明につき、「上下」とは、
図1及び
図2に示された上下方向を基準としたものである。また、「前後」とは、処理装置F1の中央に近い側を前方、遠い側を後方としたものである。また、「上流・下流」とは、被処理物Sの通過方向(流れ方向)を基準としたものである。ただし、この方向表記は説明の便宜のために用いるものであり、本発明はこの方向で説明した態様に限定して理解されるものではない。
【0021】
−処理装置−
まず、本実施形態に係る被処理物投入装置1を取り付ける対象である処理装置F1について述べておく。この処理装置F1は、
図1に示すように、内部を気密状態とでき、この内部に設けられた炉体(るつぼ)F11にて被処理物Sを溶融できるものである。本実施形態では、この処理装置F1は、半導体基板の材料である単結晶シリコンS2を製造するために用いられる。炉体F11には、被処理物Sとして塊状である多結晶シリコン(シリコンナゲット)が外部から被処理物投入口部F12を貫通して投入され、炉体F11内で加熱されることにより溶融される。
【0022】
処理装置F1にて炉体F11を格納する容器は、従来と同じく、製缶により形成されており、上部が図示のように湾曲形状である。そして、横断面形状は円形とされている。ただし、この容器は、本実施形態に限定されず、円柱状または角柱状であっても良い。また、角部を面取りしたような形状であっても良い。
【0023】
本実施形態の処理装置F1では、CZ法により単結晶シリコンS2が製造される。この単結晶シリコンS2の製造方法について簡単に説明しておく。まず、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気中にて炉体F11に投入されたシリコンナゲットが融点を超える温度まで加熱されて溶融される。この溶融状態とされたシリコン(以下、「溶湯」と記す)S1に、種となる単結晶シリコン(図示しない)が漬けられ、その後、この種となる単結晶シリコンが回転しつつゆっくりと持ち上げられることにより、結晶が成長していく。そして、最終的には略円柱状の固体である単結晶シリコン(インゴット)S2が形成される。なお、被処理物Sの種類によっては処理装置F1の内部が不活性ガス雰囲気ではなく真空雰囲気とされても良い。
【0024】
この処理装置F1は、炉体F11の上方に熱遮蔽体F13を備える。この熱遮蔽体F13は、炉体F11から引き上げられる単結晶シリコンS2が受ける炉体F11及び溶湯S1の熱の影響を低減させるために設けられている。この熱遮蔽体F13は、主要部分が高融点金属(モリブデン、タンタル等)により形成され、下すぼみのテーパ筒状とされている。テーパ筒状のうち直径の小さい方が、炉体F11から引き上げられる単結晶シリコンS2の直径(成長後の最大径)よりも少し大きく形成される。この直径の小さい方が下方、かつ、溶湯S1の表面よりも上方に位置するように処理装置F1の内部に配置される。
【0025】
なお、本実施形態では被処理物Sを構成する物質がシリコンであるが、本発明の対象となる被処理物Sはこれに限定されるものではない。シリコン以外の金属や樹脂などの種々の物質を被処理物Sとすることができる。
【0026】
また、本実施形態における「処理」とは、シリコンナゲットの加熱による溶融、及び、溶湯S1からの引き上げによる単結晶シリコン(インゴット)S2の形成までの一連の操作を含んでいるが、本発明における「処理」とは、もっと広い概念であって、気密状態で被処理物Sに種々の物理変化あるいは化学変化を加えるための操作全般を含む概念である。
【0027】
−被処理物投入装置−
被処理物投入装置1は、
図1及び
図2に示すように、前記処理装置F1の内部に、この処理装置F1の外部から被処理物Sを炉体F11内に投入できるよう構成されている。この被処理物投入装置1は、投入装置本体1aと投入部1bとから構成されており、投入装置本体1aと投入部1bとはジョイント部15によって分離及び接合可能である。
【0028】
<投入装置本体>
投入装置本体1aは、
図2に示すように、被処理物収容部(ホッパー)11と被処理物取出機構12とを備えており、これらは供給タンク111の内部に設けられている。そして、投入装置本体1aは、下流端にジョイント部15及び受けシュート16を備え、この受けシュート16から投入部1bへと被処理物Sを送ることができる。供給タンク111は、ステンレス合金製で略円筒形状の供給タンク本体111aと、この供給タンク本体111aから水平方向に突出している突出部111bとを備えており、両者は一体である。そして、投入装置本体1aは、ジョイント部15(後述)の一部である上側ジョイントフランジ151と受けシュート保護用ベローズ153とを備える。上側ジョイントフランジ151と、投入部1bが備える下側ジョイントフランジ152とが結合された状態で、かつ、被処理物投入装置1が処理装置F1に取り付けられた場合において、この供給タンク111自体が外気に対する気密状態を保持できる。なお、本実施形態の説明における「外気」とは、被処理物投入装置1及び処理装置F1の外部雰囲気を指す。
【0029】
被処理物Sは、投入装置本体1aにおいて被処理物収容部11から被処理物取出機構12、受けシュート16を順に通る。その後、投入部1bの閉鎖部14、投入管13を順に通り、炉体F11まで搬送される。この搬送経路のうちで被処理物Sが触れる部分は、磨耗に強い材料である石英ガラス製であるか、あるいは金属等に石英ガラスが内張りされている。これにより、磨耗による金属粉などの不純物が被処理物Sに混入する可能性を極力抑えることができ、純度の高い単結晶シリコンS2を製造することができる。
【0030】
<被処理物収容部>
被処理物収容部11は、被処理物Sが搬送されるまでの間、被処理物Sを一時的に収容しておくことのできる部位である。この被処理物収容部11を開閉可能とする収容口111cを供給タンク111に備えている。この収容口111cは、被処理物Sが被処理物収容部11内に収容される際に用いられる。本実施形態では、蓋部111dによって収容口111cが開閉できるようになっている。収容口111cを開放することで、被処理物収容部11に被処理物Sを補充できる。本実施形態の被処理物収容部11は、前記供給タンク111内に設けられ、平板状の石英ガラスが張り合わせられたものであり、具体的には、上下両端部が開放された八角柱の下端に八角錐が接続された形状である。この被処理物収容部11では、前記八角錐部分の下端が開放されており、その部分から被処理物Sが自然落下し、被処理物Sが被処理物収容部11から被処理物取出機構12に取り出されるようになっている。
【0031】
<被処理物取出機構>
被処理物取出機構12は、前記被処理物収容部11から処理装置F1に向かい被処理物Sを気密状態で搬送させるための部位である。本実施形態では、この被処理物取出機構12として、電磁振動フィーダが用いられる。
【0032】
前記電磁振動フィーダは、駆動部121とトラフ122とを備えている。駆動部121によりトラフ122を振動させて、トラフ122に載せられた被処理物Sを下流側へと搬送させることができる。トラフ122は、上部及び下流端が開放している樋状の部位であり、本実施形態では、内面に石英ガラスが内張りされている。このトラフ122は、供給タンク111における突出部111bの延びる方向に沿って、被処理物収容部11の直下から突出部111bの下流端付近まで設けられている。これにより、被処理物収容部11の下端から自然落下した被処理物Sは、トラフ122に載って下流側に搬送されていく。そして、トラフ122の下流端まで来た被処理物Sは、前記受けシュート16の漏斗状部分161へと落下する。
【0033】
なお、被処理物取出機構12は、本実施形態のような電磁振動フィーダに限らず、例えば、ベルトコンベアやローラコンベアのように、一方側から他方側へと被処理物Sを搬送させることのできる機能を有するものであれば、種々の搬送機構を用いることができる。
【0034】
<受けシュート>
受けシュート16は、石英ガラス製で、
図2に示すような形状である。この受けシュート16の上半分は漏斗状部分161であり、下半分は円筒状部分162である。この円筒状部分162は、ジョイント部15の接合時に閉鎖部14の内部に位置する。これにより、閉鎖部(ゲートバルブ)14の内面を被処理物Sから保護できる。
【0035】
−投入部−
投入部1bは、処理装置F1に投入される被処理物Sが通過可能な部位である。この投入部1bの上流端は、
図2に示すように、前記投入装置本体1aから被処理物Sを受けることができる位置に設けられている。この投入部1bは、
図1に示すように、ジョイント部15(後述)のうち下側ジョイントフランジ152、投入管13、閉鎖部14、投入部移動機構17、処理装置固定部18を備える。この投入部1bは、投入部移動機構17の操作により、処理装置固定部18以外の部位が処理装置F1に対して移動される。
【0036】
<投入管>
投入管13は、投入装置本体1aの下流端に対し、閉鎖部14及びジョイント部15を介して、被処理物Sが通過可能なように接続される。この投入管13は、
図1に示すように、処理装置F1に投入部1bを取り付けた状態にて、下斜め前方へ傾斜して延びるように配置される。本実施形態の投入管13は石英ガラス製であり、一本のパイプからなる直線部分131と、直線部分131の上流側端部に隣接して配置された拡大部分132とからなる。本実施形態では、直線部分131と拡大部分132とが別体とされており、端部を接合して用いるものとされているが、一体とされていても良い。また、直線部分131についても、複数のパイプが組み合わされていても良い。更には、複数のパイプが組み合わされた場合には、例えば一方のパイプに他方のパイプを差し込み可能とすることで直線部分131が伸縮可能に構成されていても良い。
【0037】
直線部分131は、処理装置F1に投入部1bを取り付けた状態にて、下流端131aの端面が水平方向に沿い、炉体(るつぼ)F11内における溶湯S1の表面と略平行となる。ただし、これに限らず、例えば下流端131aが垂直方向(炉体F11の中央を通る垂直線に平行な方向)に沿うものでも良い。
【0038】
拡大部分132は、上流側に向かうにつれ径寸法が拡大されて形成された漏斗状の部位である。この拡大部分132は被処理物取出機構(電磁振動フィーダ)12におけるトラフ122の下流端に対して下方に位置する。そして、このトラフ122上を搬送されてきた被処理物Sは、受けシュート16を介して拡大部分132により受け止められ、投入管13の直線部分131へと導かれる。
【0039】
炉体F11から引き上げられる単結晶シリコンS2との干渉を避けるため、また、被処理物Sの炉体F11内への投入位置を調整するため、投入管13は処理装置F1に対して移動可能とされている(移動範囲を、
図1に実線と破線で示した)。このため、投入管13の直線部分131は、長手方向における全区間で直線状とされている。そして、投入管13は投入部移動機構17により直線部分131の延びる方向に沿って前進及び後退する。ただし、処理装置F1に対する投入管13の移動に支障が生じないことを条件として、投入管13の一部のみが直線状とされ、途中区間では湾曲または屈曲していても良い。
【0040】
この投入管13は処理装置F1の被処理物投入口部F12を貫通して設けられる。本実施形態における投入管13は、被処理物投入口部F12の周囲に形成された筒状の取付部F14によって支持される。この支持は、処理装置固定部18(後述)を介してなされる。そのため、この取付部F14は、端面において取付用フランジ181の締結具貫通孔181cと一致する位置に、有底のねじ孔である取付孔F142を備える(
図3参照)。なお、この取付部F14は、本実施形態のような筒状に限定されず、フランジ状であっても良い。また、取付孔F142は貫通孔であっても良い。
【0041】
なお、投入管13は処理装置F1に対して移動するため、処理装置F1の外部に露出する場合がある。この際、石英ガラス製である投入管13を破損しないように保護するため、投入管13の外周を覆うように保護ベローズ19が設けられている。この保護ベローズ19は、ステンレス合金の薄板が蛇腹状に形成されたものであり、投入部移動機構17の動作に応じて伸縮する。
【0042】
<閉鎖部>
閉鎖部14は、投入管13とジョイント部15との間における空間を遮断することが可能な部位である。この閉鎖部14は、ジョイント部15の下側ジョイントフランジ152に隣り合うようにして設けられたゲートバルブである。この閉鎖部14を遮断することで、閉鎖部14よりも処理装置F1側の部分である投入管13を気密状態で閉鎖できる。閉鎖部14に用いるバルブの種類としては、ゲートバルブ以外に、例えばグローブバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブなどの種々のバルブが使用できる。
【0043】
このように閉鎖部14を設けることにより、閉鎖部14を遮断すれば、処理装置F1の内部の不活性ガス雰囲気を保ったままで、被処理物収容部11を外気に開放することが可能となる。そのため、処理装置F1の炉体F11における被処理物Sの溶融を続けたまま、蓋部111dを開けて被処理物収容部11に被処理物Sを補充することが可能となる。そして、被処理物収容部11への被処理物Sの補充後、閉鎖部14を開くことによって、被処理物収容部11に新たに補充された被処理物Sを炉体F11内に投入することができる。なお、被処理物収容部11に新たに補充された被処理物Sを炉体F11内に投入する場合には、閉鎖部14よりも被処理物収容部11側を不活性ガス雰囲気としておく必要がある。
【0044】
<投入部移動機構>
投入部移動機構17は、投入管13を直線部分131の延びる方向に沿って前進及び後退させ、これに伴い投入管13を処理装置F1に対して移動させることができる部位である。この投入部移動機構17の詳細な説明は省略するが、操作ハンドル171を操作することによりシャフト部172を回転させ、これに伴い、シャフト部172に取り付けられたブラケット173を介して投入管13を移動させる。
【0045】
<処理装置固定部>
処理装置固定部18は、投入管13を、貫通した状態で処理装置F1に取り付けるために用いられる部位であり、
図3に示すように、取付用フランジ181、固定用締結具182、気密保持部材183、角度調整部材としてのジャッキボルト184を備える(
図3では投入管13の図示を省略している。また、
図3は、位置関係を強調して示したものである)。
【0046】
取付用フランジ181は、処理装置F1の取付部F14に重ねられて固定される。取付用フランジ181は図示下面が取付面181aとされている。一方、処理装置F1の取付部F14は、前記のように筒状に形成されており、その端面である取付面F141に取付用フランジ181の取付面181aが対向する。この取付面181aに、気密保持部材183を嵌め込むための溝部181bが形成されている。本実施形態では、この溝部181bは径方向断面形状が長方形状の溝(幅7mm、深さ3mm)であって、取付面181aの周方向に連続して(溝における径内側の壁の直径が85mm)形成されている。
【0047】
なお、本実施形態では、取付部F14における取付面F141に溝部は設けられていないが、取付部F14の取付面F141に溝部を設け、その代わりに、取付用フランジ181の取付面181aには溝部を設けないものとしても良い。また、取付用フランジ181の取付面181a及び取付部F14の取付面F141の両方に溝部を設けても良い。
【0048】
この取付用フランジ181は、中央に投入管貫通孔181eを有している。この投入管貫通孔181eは、投入管13における直線部分131の外径よりも大きな内径とされており、投入管13が処理装置F1に対して移動した際でも、投入管13が干渉しない。また、投入管13の処理装置F1に対する角度を調整した際にも投入管13が干渉しないようにされている。
【0049】
また、取付用フランジ181は締結具貫通孔181cを有する。この締結具貫通孔181cは、処理装置F1における取付部F14に設けられた取付孔F142と、周方向及び径方向の位置が一致するように設けられている。この締結具貫通孔181cと取付孔F142とにわたって固定用締結具182が取り付けられる。この締結具貫通孔181cは、内周面にねじ山の無い孔であっても、ねじ山が形成されたねじ孔であっても良い。
【0050】
また、取付用フランジ181はジャッキボルト取付孔181dを有する。このジャッキボルト取付孔181dは、本実施形態では、ジャッキボルト184が螺合可能な有底のねじ孔とされている。このジャッキボルト取付孔181dは、取付用フランジ181における周方向において、締結具貫通孔181cと交互に、等間隔に設けられている。
【0051】
固定用締結具182は、処理装置F1の取付部F14における取付孔F142に螺合可能なボルトである。締結具貫通孔181cがねじ孔でない場合は、固定用締結具182として有頭のボルトを用い、ボルトの頭部で取付用フランジ181を固定する。また、締結具貫通孔181cがねじ孔である場合は、植込ボルトのような頭部の無いボルトを使用することもできる。なお、固定用締結具182としてはボルトに限られず、取付部F14と取付用フランジ181とを外周から固定するクランプ等、種々の構造のものを採用し得る。
【0052】
気密保持部材183は、処理装置F1の取付部F14と取付用フランジ181との間の気密性を保つために用いられ、本実施形態では、取付用フランジ181の溝部181bに嵌め込み可能な弾性を有するリングである。より具体的には、合成ゴム製であって径方向断面形状が円形のOリングである。
【0053】
このOリングは、取付部F14と取付用フランジ181とにより圧縮して変形することで生じる反発力により気密性を発揮できる程度の弾性を必要とする。なお、Oリングの圧縮代としては、変形前の断面寸法を基準として12%以上を確保する。また、Oリングの断面寸法は、ジャッキボルト184により取付部F14と取付用フランジ181との間隔が空いた場合でも気密性が確保できる程度の寸法とする。本実施形態のOリングは、径方向断面形状の直径が5.7mmである。ここで、本実施形態では、取付用フランジ181の溝部181bの深さが3mmであるため、Oリングが最も圧縮されるのは、処理装置F1における取付部F14の取付面F141と取付用フランジ181の取付面181aとが密着する場合であり、断面寸法基準の圧縮率は、(5.7−3)/5.7=約47%である。よって、このOリングは、前記圧縮率が12%〜47%の範囲内で、取付部F14と取付用フランジ181との間に取付可能である。
【0054】
なお、この気密保持部材183はOリングに限定されず、取付部F14と取付用フランジ181との間の気密性を保つことのできるものであれば、種々の構造及び材質のものを採用し得る。
【0055】
ジャッキボルト184は、本実施形態では、ジャッキボルト取付孔181dに螺合可能な植込ボルトである。ジャッキボルト184の下部における突出端は取付部F14の取付面F141に当接する。このジャッキボルト184は、取付用フランジ181のジャッキボルト取付孔181dへのねじ込み量に応じて、取付面181aからの突出量Aを変化させることができる。この突出量Aに応じ、取付部F14と取付用フランジ181との間隔を調整できる。つまり、ジャッキボルト184の突出量が大きい位置では取付部F14と取付用フランジ181との間隔を広くでき、突出量が小さい位置では間隔を狭くできる。このため、
図3に示すように、取付部F14の取付面F141に対して取付用フランジ181の取付面181aを傾斜させることができる。つまり、気密保持部材(Oリング)183による取付部F14と取付用フランジ181との間の気密が確保される範囲内にて、取付部F14に対する取付用フランジ181の取付角度を変更できる。そして、変更した取付角度にて、取付部F14と取付用フランジ181とを固定用締結具182で固定することにより、前記取付角度を保持できる。
【0056】
なお、この角度調整部材(ジャッキボルト184)は、本実施形態のような植込ボルトに限定されず、取付部F14と取付用フランジ181との間に位置することで、取付部F14と取付用フランジ181との間隔を調整できるものであれば、種々の構造のものを採用し得る。例えば、シムあるいはくさび等、取付部F14と取付用フランジ181との間に挟み込む構造の角度調整部材であっても良い。更に、例えば、取付部F14と取付用フランジ181とを外部から固定するもの等、取付部F14と取付用フランジ181との間に位置しない構造の角度調整部材であっても良い。
【0057】
また、取付用フランジ181における角度調整部材(ジャッキボルト184)の設置位置及び設置数は任意に決定できる。例えば、
図1から理解できるように、熱遮蔽体F13に対して投入管13は常に前方(処理装置F1の中央側)に位置するため、これに対応し、取付用フランジ181の前半分の領域にのみ角度調整部材(ジャッキボルト184)を設けても良い。また、複数設けたジャッキボルト取付孔181dの全てを使用せず、一部を選択してジャッキボルト184を取り付けても良い。
【0058】
以上のように処理装置固定部18が構成されたことにより、取付部F14に対する取付用フランジ181の取付角度に応じて、投入管13の中央が通る中心線(仮想線)を、各取付面F141,181aが平行である場合の第1中心線C1から第2中心線C2へと傾斜させることができる。よって、投入管13の処理装置F1に対する角度θを調整できる。このため、処理装置F1内に配置された部材、特に、熱遮蔽体F13に対して投入管13が干渉しないようにでき、これにより、投入管13の破損する可能性を低減できる。また、例えば熱遮蔽体F13を投入管13に干渉しない形状に再加工する必要もないため、低コストで干渉対策をすることができる。
【0059】
−ジョイント部−
ジョイント部15は、投入装置本体1aと投入部1bとを分離及び接合可能とする部位である。このジョイント部15は、上側ジョイントフランジ151、下側ジョイントフランジ152、受けシュート保護用ベローズ153を備える。
【0060】
上側ジョイントフランジ151は、投入装置本体1aの下流端に設けられている。この上側ジョイントフランジ151は水平方向に配置された板状のものである。この上側ジョイントフランジ151には、中央に貫通穴が設けられており、この貫通穴から下方に前記受けシュート16の円筒状部分162が突出している。受けシュート保護用ベローズ153は、上側ジョイントフランジ151の上方に設けられている。この受けシュート保護用ベローズ153は、前記受けシュート16の円筒状部分162の外周部分に位置しており、この円筒状部分162を保護できる。
【0061】
下側ジョイントフランジ152は、投入部1bの上流端に設けられている。この下側ジョイントフランジ152もまた、水平方向に配置された板状のものである。この下側ジョイントフランジ152には、中央に貫通穴が設けられている。そのため、ジョイント部15の接合時においては、この貫通穴に前記受けシュート16の円筒状部分162が入り込み、上側ジョイントフランジ151の下面と下側ジョイントフランジ152の上面とが当接して接合状態となる。なお、ジョイント部15の分離及び接合される場合における、上側ジョイントフランジ151と下側ジョイントフランジ152の相対的な移動方向は上下方向とされている。
【0062】
本実施形態では、閉鎖部14とジョイント部15とが設けられたことによって、投入装置本体1aと投入部1bとがジョイント部15で分離された場合に、閉鎖部14によって、投入管13の気密状態を保つことができる。具体的には次のようなことが可能となる。つまり、もし仮に、処理装置F1に被処理物Sを補充する必要が無くなった時点において、被処理物収容部11の内部にまだ被処理物Sが残っている場合、閉鎖部14を遮断した上で、ジョイント部15を境に投入部1bを分離し、投入装置本体1aを分離前とは別の処理装置F1に付け替えることができる。これにより、被処理物収容部11に残った被処理物Sを別の処理装置F1に投入できる。
【0063】
そして、被処理物収容部11に収容された被処理物Sが無くなってしまった場合には、まず、閉鎖部14が閉じられた上で、ジョイント部15を境に投入部1bが分離される。そして、リフトの操作により投入装置本体1aが下降されるなどして、投入装置本体1aが作業上都合の良い位置に移動され、その上で被処理物収容部11に被処理物Sが補充される。その後、投入装置本体1aが分離前とは別の処理装置F1に付け替えられる。