特許第5958846号(P5958846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5958846充電デバイスを含むポータブル電子システムおよび二次電池を充電する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958846
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】充電デバイスを含むポータブル電子システムおよび二次電池を充電する方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20160719BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160719BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20160719BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20160719BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20160719BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   A24F47/00
   H02J7/00 303C
   H02J7/10 B
   H02J7/10 H
   H01M10/44 Q
   H01M10/48 P
   G01R31/36 A
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-527935(P2015-527935)
(86)(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公表番号】特表2015-534458(P2015-534458A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2013067563
(87)【国際公開番号】WO2014029880
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】12181682.1
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ホルツヘル ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド フェリクス
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−519054(JP,A)
【文献】 特表2011−515080(JP,A)
【文献】 特開平06−315366(JP,A)
【文献】 特開2011−034699(JP,A)
【文献】 特表2010−521950(JP,A)
【文献】 特表2010−523074(JP,A)
【文献】 特開2005−158285(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201341434(CN,Y)
【文献】 特表2003−503992(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0194933(US,A1)
【文献】 特表2014−500017(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02454956(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0200986(US,A1)
【文献】 特開2001−045670(JP,A)
【文献】 特開2005−010032(JP,A)
【文献】 特開2001−233065(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/113206(WO,A1)
【文献】 特開2008−253129(JP,A)
【文献】 特開平10−214643(JP,A)
【文献】 特開平09−019073(JP,A)
【文献】 PRODUCTS/PERFORMANCE,[ONLINE],2012年 7月16日,URL,http://web.archive.org/web/20120716232611/http://www.altairnano.com/products/performance
【文献】 RUI XU,ULTRAFINE METATITANIC ACID ELECTRODE FOR ULTRAFAST LITHIUM ION BATTERIES,ELECTROCHIMICA ACTA,英国,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS,2011年 5月10日,V56 N18,P6330-6335
【文献】 PAUL V. BRAUN,HIGH POWER RECHARGEABLE BATTERIES,CURRENT OPINION IN SOLID STATE AND MATERIALS SCIENCE,2012年 6月15日,V16 N4,P186-198
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
G01R 31/36
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再充電可能な一次デバイスおよび二次デバイスを含むポータブル電子喫煙システムであって、前記二次デバイスは、従来のたばこと同様のサイズの電気加熱タバコデバイスであり、前記二次デバイスは、エアロゾル形成基体を加熱するように構成されたヒータを含み、前記一次デバイスは、従来のたばこパックと同様の形状およびサイズを有するハウジングを含み、前記二次デバイスは、再充電サイクルの間、前記一次デバイスの前記ハウジング内に収容されるように構成され、前記一次デバイスは、酸化リチウムコバルト電池である第1の電池を有し、前記二次デバイスは、リン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池である第2の電池を有し、前記第1の電池の容量は、前記第2の電池の容量の5倍から40倍の間であり、前記一次デバイスおよび前記二次デバイスは、2Cから16Cの間のレートで前記第1の電池から前記第2の電池を再充電するように構成され、前記一次デバイスは、
前記第2の電池に接続するための出力端子の対と、
DC電源と、
充電電圧を制御するために前記DC電源と前記出力端子との間に接続された電圧調整器と、
前記電圧調整器および前記出力端子に結合されたマイクロプロセッサとを含み、前記一次デバイスおよび第2の電池は、互いに結合され、充電回路を形成するように構成され、前記マイクロプロセッサは、
第1の充電電圧を供給するために前記電圧調整器を制御し、
前記第1の充電電圧が所定の電圧レベルに達した後に、
前記第1の充電電圧と、前記第1の充電電圧よりも低い第2の充電電圧とにおける前記充電回路中の電流を測定することによって前記充電回路の内部抵抗を特定し、
前記特定された内部抵抗および前記第2の電池の特性に基づいて、前記電圧調整器によって供給される前記第1の充電電圧を最大充電電圧に制限する
ように構成される、ポータブル電子喫煙システム。
【請求項2】
前記マイクロプロセッサは、
前記特定された内部抵抗および前記第2の電池の特性に基づいて最大充電電圧を計算し、
前記第1の充電電圧が前記最大充電電圧に達するまで所定の充電電流を維持するために前記第1の充電電圧を調整し、その後、前記最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに前記第1の充電電圧を調整し、その後、定期的にまたは継続的に前記最大充電電圧を再計算し、前記再計算された最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに前記充電電圧を維持するように前記充電電圧を調整する
ように構成される、請求項1に記載のポータブル電子喫煙システム。
【請求項3】
前記マイクロプロセッサは、前記第1の充電電圧から電圧を所定の電圧差だけ低減させることによって前記第2の充電電圧を特定するように構成される、請求項1または2に記載のポータブル電子喫煙システム。
【請求項4】
前記マイクロプロセッサは、前記内部抵抗を定期的に再計算するように構成される、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポータブル電子喫煙システム。
【請求項5】
前記第2の電池は、10mmの直径および37mmの長さを有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の電子喫煙システム。
【請求項6】
従来のたばこパックと同様の形状およびサイズを有するハウジングを含み、エアロゾル形成基体を加熱するように構成されたヒータを含む、一次デバイス中の第1の電池から従来のたばこと同様のサイズの二次電気加熱タバコデバイス中の第2の電池を充電する方法であって、前記一次デバイスおよび前記二次デバイスは、ポータブル電子喫煙システムを形成し、前記一次デバイスは、酸化リチウムコバルト電池である第1の電池を有し、前記二次デバイスは、リン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池である第2の電池を有し、前記第1の電池の容量は、前記第2の電池の容量の5倍から40倍の間であり、前記一次デバイスおよび前記二次デバイスは、2Cから16Cの間のレートで前記第1の電池から前記第2の電池を再充電するように構成され、前記方法は、
充電回路を形成するために調整可能な電圧源を有する前記一次デバイスに前記第2の電池を接続するステップと、
前記第2の電池に所定の充電電流を提供するために前記電圧源によって供給される第1の充電電圧を制御するステップと、
前記第1の充電電圧と、前記第1の充電電圧よりも低い第2の充電電圧とにおける前記充電回路中の電流を測定することによって、前記充電回路の内部抵抗を特定するステップと、
前記特定された内部抵抗および前記第2の電池の特性に基づいて最大充電電圧を計算するステップと、
前記第1の充電電圧が前記最大充電電圧レベルに達するまで所定の充電電流を維持するために前記第1の充電電圧を調整し、その後、前記最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに前記第1の充電電圧を維持するために前記第1の充電電圧を調整するステップと
を含み、
前記内部抵抗を特定する前記ステップ、および前記最大充電電圧を計算する前記ステップは、前記第1の充電電圧が所定の電圧レベルに達した後だけ実行される方法。
【請求項7】
前記第2の充電電圧は、前記第1の充電電圧から所定の電圧差を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最大充電電圧を計算する前記ステップ、および前記最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに前記第1の充電電圧を維持するために前記第1の充電電圧を調整する前記ステップは、単一の充電サイクルの間複数回実行される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記最大充電電圧を計算する前記ステップ、および前記最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに前記第1の充電電圧を維持するために前記第1の充電電圧を調整する前記ステップは、単一の充電サイクルの間、前記第1の充電電圧が最初に前記最大充電電圧に達した後継続的に実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記内部抵抗を特定する前記ステップは、定期的に実行される、請求項6から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
単一の喫煙セッションの後、前記第2の電池を再充電するために前記二次デバイスを前記一次デバイスに戻すステップをさらに含む、請求項6から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記単一の喫煙セッションは7分続く、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
6分未満の間、前記第2の電池を再充電するステップをさらに含む、請求項6から12までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器および二次デバイスを含むポータブル電子システムに関し、二次デバイスの充電および動作のための方法に関する。本発明は、ポータブル電子喫煙システムに適用され得る。
【背景技術】
【0002】
従来技術の電気動作喫煙システムは、典型的には、喫煙物を収容するためのハウジングと、エアロゾルを生成するための加熱要素と、電源と、システムの動作を制御するための電子回路とを含む。
ポータブル電子喫煙デバイスは、従来のたばこの喫煙者によって広く採用されることになる場合、ユーザにとって小さく便利である必要がある。このことは、ポータブル電子喫煙デバイスの電源に対するいくつかの技術的な要件につながる。電源、典型的には電池は、従来のたばこと同様のサイズの喫煙デバイス内にフィットするほど十分に小さくなければならず、喫煙物からエアロゾルを生成するのに十分な電力を供給しなければならない。再充電可能電池を使用する考えは、従来技術で示唆されてきたが、商業的に実施可能なシステムでは、再充電可能電池は、少なくとも1つの喫煙セッションの間、十分な電力を供給することができ、次の喫煙セッションの間、再使用することができるレベルに迅速、安全、かつ便利に再充電することができ、数千の充電サイクルの間、動作可能でなければならない。
【発明の概要】
【0003】
再充電可能電源に対するこれらの要件を満たす、システムおよび充電方法を提供することが、本発明の目的である。
本発明の一態様では、一次デバイスおよび二次デバイスを含むポータブル電気システムが提供され、一次デバイスは、第1の酸化リチウムコバルト電池を有し、二次デバイスは、第2のリン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池を有し、一次デバイスおよび二次デバイスは、2Cから16Cの間のレートで第1の電池から第2の電池を再充電するか、またはその再充電を可能にするように構成される。
二次デバイスは、電気加熱喫煙デバイスであり得る。電気加熱喫煙デバイスは、第2の電池によって給電される電気ヒータを含み得る。電気ヒータは、エアロゾル形成基体を加熱するように構成され得る。一次デバイスは、ポータブル充電ユニットであることができ、従来のたばこパックと同様の形状およびサイズにされ得る。二次デバイスは、再充電サイクル中に二次デバイス内に収容され得る。
【0004】
二次デバイス用のリン酸鉄リチウム(またはチタン酸リチウム)電池の使用は、安全に高速充電放電レートを可能にする。電気加熱喫煙デバイスの場合には、ほんの数分の時間期間にわたってヒータに供給されるべき高電力が必要なので、高速放電が必要である。喫煙者はしばしば、第1のたばこの後に極めて短時間で次のたばこを吸いたいので、高速充電が必要である。
単一の第1の電池から第2の電池の充電を提供するために、第1の電池は、第2の電池よりも高い電圧を有しなければならない。第1の電池はさらに、それ自体を再充電または交換する必要がないうちに複数の再充電サイクルを提供すべき場合、第2の電池よりも大きい充電容量を有しなければならない。酸化リチウムコバルト電池化学特性は、所与のサイズにおいて、リン酸鉄リチウム(または、チタン酸リチウム)電池よりも大きい電池電圧および充電容量を提供する。したがって、第1の酸化リチウムコバルト電池を有する一次デバイスと、第2のリン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池を有する二次デバイスとの組合せは、ポータブル電気喫煙システム、または二次デバイスが電池から高電力の短期間のバーストを必要とする任意の同様のポータブルシステムにとって有利である。
第1の電池の容量は、有利にも、第2の電池の容量よりも少なくとも5倍大きい可能性がある。第1の電池の容量は、有利にも、第2の電池の容量の5倍から40倍の間である可能性がある。一次デバイスは、0から1.5Cの間のレートで主電源からの第1の電池の再充電を可能にするように構成され得る。
【0005】
第2の電池は、有利にも、1サイクル当り900Jを超えて少なくとも6000充電/放電サイクルを経ることができ、1サイクル当り900Jを超えて少なくとも7000充電/放電サイクル、または1サイクル当り900Jを超えて少なくとも8000充電/放電サイクルを経ることができ得る。平均充電レートは、12Cまでであり得る。第2の電池は、有利にも、しきい値電池容量、たとえば定格電池容量の80%未満まで降下することなく、少なくとも6000充電/放電サイクル、好ましくは少なくとも8000充電/放電サイクルを経ることができる。第2の電池の放電レートは、約13Cであり得るが、28Cと同程度でもよい。
【0006】
一次デバイスは、二次電池に接続するための出力端子の対と、DC電源と、充電電圧を制御するためにDC電源と出力端子との間に接続された電圧調整器と、電圧調整器および出力端子に結合されたマイクロプロセッサとを含むことができ、充電デバイスおよび二次電池は、互いに結合され、充電回路を形成するように構成され、マイクロプロセッサは、
第1の充電電圧を供給するために電圧調整器を制御し、
第1の充電電圧と、第1の充電電圧よりも低い第2の充電電圧とにおける充電回路中の電流を測定することによって充電回路の内部抵抗を特定し、
特定された内部抵抗を補償するレベルまで電圧調整器によって供給される第1の充電電圧を制限する
ように構成される。
【0007】
一次デバイスは、二次電池に接続するための出力端子の対と、DC電源と、充電電圧を制御するためにDC電源と出力端子との間に接続された電圧調整器と、電圧調整器および出力端子に結合されたマイクロプロセッサとを含むことができ、充電デバイスおよび二次電池は、互いに結合され、充電回路を形成するように構成され、マイクロプロセッサは、
第1の充電電圧を供給するために電圧調整器を制御し、
充電回路の内部抵抗を特定し、
特定された内部抵抗および二次電池の特性に基づいて最大充電電圧を計算し、
第1の充電電圧が最大充電電圧に達するまで所定の充電電流を維持するために第1の充電電圧を調整し、その後、最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を調整し、その後、定期的にまたは継続的に最大充電電圧を再計算し、再計算された最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに充電電圧を維持するように充電電圧を調整する
ように構成される。
【0008】
本開示の第2の態様では、一次デバイス中の第1の電池から二次デバイス中の第2の電池を充電する方法が提供され、一次デバイスおよび二次デバイスは、ポータブル電気システムを形成し、一次デバイスは、第1の酸化リチウムコバルト電池を有し、二次デバイスは、第2のリン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池を有し、本方法は、2Cから16Cの間のレートで第1の電池から第2の電池を充電するステップを含む。
本開示の第3の態様では、
リン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池と、
ヒータ要素であって、ヒータ要素の動作が電池を放電させる、ヒータ要素と、
電池に接続された放電検出回路であって、電池電圧がしきい値電圧レベル未満であると放電検出回路が判定したとき、ヒータ要素の動作を無効にするようにシステムが構成される、放電検出回路と
を含む、電気加熱喫煙システムが提供される。
【0009】
しきい値電圧レベルは、電池容量が回復できないほど低減される電圧を超える電圧に設定され得る。たとえば、電池は、最大電池電圧を有することができ、しきい値電圧レベルは、最大電池電圧の15%から25%の間であり得る。この充電レベル未満では、電池容量は、回復できないほど失われ得る。しかしながら、電池化学特性の改善または変更により、しきい値レベルを15%未満まで、たとえば最大電池電圧の5%まで低減することができ得る。
電池が完全には放電しないことを確実にすることにより、電池の不可逆反応を大幅に低減させ、それによって、電池の動作寿命を保存する。
【0010】
有利にも、電池電圧がしきい値電圧レベル未満であることを放電検出回路が判定する際に加熱要素を無効にした後、システムは、単一の喫煙体験を完了するのに十分なしきい値充電レベルに電池が充電されるまで、ヒータ要素の無効化を維持するように構成される。しきい値充電レベルは、最大電池容量の約90%であり得る。
本開示の第4の態様では、
リン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池と、
ヒータ要素であって、ヒータ要素の動作が電池を放電させる、ヒータ要素と、
電池に接続された放電検出回路と
を含む、電気加熱喫煙システムを動作させる方法が提供され、本方法は、
電池電圧がしきい値電圧レベル未満であることを放電検出回路が判定する際にヒータ要素の動作を無効にするステップを含む。
本方法は、単一の喫煙体験を完了するのに十分なしきい値充電レベルに電池が充電されるまで、ヒータ要素の無効化を維持するステップをさらに含むことができる。
【0011】
本開示の第5の態様は、二次電池を充電するための充電デバイスを提供し、本充電デバイスは、
二次電池に接続するための出力端子の対と、DC電源と、充電電圧を制御するためにDC電源と出力端子との間に接続された電圧調整器と、電圧調整器および出力端子に結合されたマイクロプロセッサと
を含み、充電デバイスおよび二次電池は、互いに結合され、充電回路を形成するように構成され、マイクロプロセッサは、
第1の充電電圧を供給するために電圧調整器を制御し、
第1の充電電圧と、第1の充電電圧よりも低い第2の充電電圧とにおける充電回路中の電流を測定することによって充電回路の内部抵抗を特定し、
特定された内部抵抗を補償するレベルまで電圧調整器によって供給される第1の充電電圧を制限する
ように構成される。
【0012】
理想的な充電システムの場合、充電プロファイルは、2つの部分、すなわち、一定電流フェーズと一定電圧フェーズとに分割される。一定電流フェーズでは、二次電池の両端間の電圧は、それが規定された電圧制限値Vchに達するまで一定の最大充電電流Ichを維持するように調整され、IchおよびVchは、電池の特性によって設定される。一定電圧フェーズでは、電池の両端間の電圧は、電流が所定の値Ilow未満に降下するまで固定値Vchに維持される。高速充電では、一定電流フェーズの長さを最大化するのが望ましい。
実際には、充電システムは決して理想的でない。充電デバイスおよび二次電池によって形成される充電回路は、充電回路の構成要素と、充電デバイスと二次電池との間の接触抵抗の両方の結果としての内部抵抗を有する。充電デバイスによって供給される充電電圧のある割合は、充電回路の内部抵抗の両端間で降下し、その結果、二次電池の両端間の電圧は、充電デバイスによって供給される充電電圧未満になる。本開示の第1の態様の充電デバイスは、Vchよりも大きい充電電圧を提供することができる。充電回路の内部抵抗を特定することにより、電池の両端間の電圧がVchに等しいか、またはそれよりもやや小さくなるように充電電圧がVchを超え得る量が計算され得る。このようにして、充電デバイスは、充電回路の内部抵抗の両端間の電圧降下を補償する充電電圧を供給する。このことにより、一定電流充電フェーズの持続時間が増加するが、それは、電圧調整器においてではなく電池におけるカットオフ電圧Vchを特定することは、カットオフ電圧に後で達することを意味するからである。
【0013】
充電回路の内部抵抗は、時間とともに変化する。電池の内部抵抗は、電池の寿命とともに増加する。充電デバイスと二次電池との間の接触抵抗はまた、時間とともに変化する可能性があり、充電器によって、および電池によって変化する。本開示の第1の態様の充電デバイスは、充電サイクルの一定電流部分の長さが確実に最大化されるように、すべての充電サイクルの間、充電回路の内部抵抗を特定するように構成される。
一定電圧フェーズの間、マイクロプロセッサは、二次電池によって受け取られた電圧が所定の最大電圧Vchに等しくなるように、電圧調整器によって供給される充電電圧を制限するように構成され得る。
第2の充電電圧は、非ゼロであるのが好ましく、第1の充電電圧からの所定の電圧差を有し得る。あるいは、第2の充電電圧は、所定の非ゼロ電圧であり得る。第2の充電電圧が非ゼロであれば、充電プロセスに対するいかなる妨害もなく、充電時間が長くなる。
【0014】
マイクロプロセッサは、充電電圧が、二次電池の特性および充電回路の特定された内部抵抗に基づいて計算された最大充電電圧を超えるまで、充電回路中の一定の充電電流を維持するために第1の充電電圧を調整するように構成され得る。
【0015】
マイクロプロセッサは、最大電圧を計算し、単一の充電サイクルの間、複数回、最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を維持するために第1の充電電圧を調整するように構成され得る。一定電圧フェーズの間、一定の充電電圧を単に供給するのではなく、充電回路の内部抵抗の両端間で降下した電圧を補償する調整済充電電圧を提供するのは有利である。二次電池がフル充電レベルに近づくとき、所与の充電電圧に対する充電電流は降下する。その結果、充電回路の内部抵抗の両端間で降下した電圧は降下する。このことは、今度は、電池の両端間の電圧が確実にVchに等しくなるように電圧調整器によって供給されるのに必要な充電電圧が降下することを意味する。したがって、充電サイクルの間、特に充電電流が降下しているとき、複数回、最大充電電圧を再計算することは有利である。したがって、マイクロプロセッサは、最大電圧を継続的にまたは定期的に再計算し、単一の充電サイクルの間、第1の充電電圧が最初に最大充電電圧に達した後、最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を維持するために第1の充電電圧を調整するように構成され得る。
【0016】
マイクロプロセッサは、第1の充電電圧が所定の電圧レベルに達した後だけ最大充電電圧を計算するように構成され得る。たとえば、所定の電圧レベルは、最大電池電圧Vchであり得る。
本開示の第6の態様によれば、二次電池を充電する方法が提供され、本方法は、
充電回路を形成するために調整可能な電圧源を有する充電デバイスに二次電池を接続するステップと、
二次電池に所定の充電電流を提供するために電圧源によって供給される第1の電圧を制御するステップと、
第1の充電電圧と、第1の充電電圧よりも低い第2の充電電圧とにおける充電回路中の電流を測定することによって、充電回路の内部抵抗を特定するステップと、
特定された内部抵抗および二次電池の特性に基づいて最大充電電圧を計算するステップと、
第1の充電電圧が最大電圧レベルに達するまで所定の充電電流を維持するために第1の充電電圧を調整し、その後、最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を維持するために第1の充電電圧を調整するステップと
を含む。
【0017】
第5の態様と同様に、第2の充電電圧は、非ゼロであるのが好ましく、第1の充電電圧からの所定の電圧差を有し得る。
最大電圧を計算するステップ、および最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を維持するために第1の充電電圧を調整するステップは、単一の充電サイクルの間、複数回、実行され得る。
【0018】
最大電圧を計算するステップ、および最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を維持するために第1の充電電圧を調整するステップは、単一の充電サイクルの間、第1の充電電圧が最初に最大充電電圧に達した後、継続的に実行され得る。
内部抵抗を特定するステップは、充電サイクルの間、定期的に実行され得る。
内部抵抗を特定するステップ、および最大充電電圧を計算するステップは、第1の充電電圧が所定の電圧レベルに達した後だけ実行され得る。たとえば、所定の電圧レベルは、最大電池電圧Vchであり得る。
【0019】
本開示の第7の態様では、
二次電池に接続するための出力端子の対と、
DC電源と、
充電電圧を制御するためにDC電源と出力端子との間に接続された電圧調整器と、
電圧調整器および出力端子に結合されたマイクロプロセッサと
を含む、充電デバイスが提供され、
充電デバイスおよび二次電池は、互いに結合され、充電回路を形成するように構成され、マイクロプロセッサは、
第1の充電電圧を供給するために電圧調整器を制御し、
充電回路の内部抵抗を特定し、
特定された内部抵抗および二次電池の特性に基づいて最大充電電圧を計算し、
第1の充電電圧が最大充電電圧に達するまで所定の充電電流を維持するために第1の充電電圧を調整し、その後、最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を調整し、その後、定期的にまたは継続的に最大充電電圧を再計算し、再計算された最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに充電電圧を維持するように充電電圧を調整する
ように構成される。
【0020】
一定電圧フェーズの間、一定の充電電圧を単に供給するのではなく、充電回路の内部抵抗の両端間で降下した電圧を補償する調整済充電電圧を提供するのは有利である。二次電池がフル充電レベルに近づくとき、所与の充電電圧に対する充電電流は降下する。その結果、充電回路の内部抵抗の両端間で降下した電圧は降下する。このことは、今度は、電池の両端間の電圧が確実にVchに等しくなるように電圧調整器によって供給されるのに必要な充電電圧が降下することを意味する。したがって、充電サイクルの間、特に充電電流が降下しているとき、複数回、最大充電電圧を再計算することは有利である。したがって、マイクロプロセッサは、最大電圧を継続的にまたは定期的に再計算し、第1の充電電圧が最初に最大充電電圧に達した後、最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を維持するために第1の充電電圧を調整するように構成される。内部抵抗を特定するステップは、内部抵抗を測定するステップ、または内部抵抗を評価するステップを含み得る。
本開示の第8の態様では、二次電池を充電する方法が提供され、本方法は、
充電回路を形成するために調整可能な電圧源を有する充電デバイスに二次電池を接続するステップと、
二次電池に所定の充電電流を提供するために電圧源によって供給される第1の電圧を制御するステップと、
充電回路の内部抵抗を特定するステップと、
特定された内部抵抗および二次電池の特性に基づいて最大充電電圧を計算するステップと、
第1の充電電圧が最大充電電圧に達するまで所定の充電電流を維持するために第1の充電電圧を調整し、その後、最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに第1の充電電圧を調整し、その後、定期的にまたは継続的に最大充電電圧を再計算し、再計算された最大充電電圧のレベルまたはそれ未満のレベルに充電電圧を維持するように充電電圧を調整するステップと
を含む。
【0021】
本開示の第5、第6、第7、および第8の態様による充電デバイスおよび充電方法は、電子喫煙システムに適用され得る。電子喫煙デバイス中の二次電池を充電するために、充電デバイスが使用され得る。電子喫煙デバイスは、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された給電ヒータを含み得る。エアロゾル形成基体は、エンドユーザが吸入するマウスピース部分を有するたばこの形態で提供され得る。二次電池は、有利にも、単一のエアロゾル形成基体を消耗する、単一の喫煙セッションの間、十分な電力を提供することができる。
短い再充電時間は、電子たばこを受け入れるために重要である。本開示の充電デバイスおよび充電方法は、再充電プロセスの一定電流フェーズの持続時間を最大化し、一定電流フェーズが終了したとき、二次電池の両端間の電圧も最大化する。
【0022】
第8の態様では、リン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池を適格試験する方法が提供され、本方法は、
a)少なくとも2Cのレートで電池を充電するステップと、
b)電池を放電させるステップと、
c)ステップa)およびb)を少なくとも6000回、繰り返すステップと、
d)ステップc)の後、電池容量がしきい値容量よりも大きい場合、電池が適格基準を満たすことを判定するステップと
を含む。
【0023】
しきい値容量は、電池の定格容量のあるパーセンテージ、たとえば定格電池容量の80%であり得る。
【0024】
電池を充電するステップは、12Cの平均レートで充電するステップを含み得る。放電するステップは、約13Cのレートで実行することができ、ミリ秒パルスを使用して実行され得る。ステップc)は、少なくとも7000回または少なくとも8000回、ステップa)およびb)を繰り返すステップを含み得る。
第9の態様では、リン酸鉄リチウム電池またはチタン酸リチウム電池のバッチを適格試験する方法が提供され、本方法は、電池のバッチから複数の電池のサンプルを選択するステップと、複数の電池の各々において第8の態様の方法を実施するステップとを含む。複数の電池は、バッチからランダムに選択され得る。複数の電池のすべてが適格基準を満たす場合、電池のバッチは、適格基準を満たすものと判定され得る。
第10の態様では、第8の態様によって、適格基準を満たすものと判定された1つの電池または電池のバッチが提供される。
本開示の一態様に関連して説明される特徴は、単独で、または本開示の他の説明される態様および特徴と組み合わせて、本開示の他の態様に適用され得ることは明らかであろう。
【0025】
ここで、本開示の様々な態様による例は、添付の図面を参照して、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一次ユニットおよび二次ユニットを含む電子喫煙システムの一例を示す概略図である。
図2a】従来技術による、再充電可能電池の標準充電プロファイルを示す図である。
図2b図2aの充電プロファイルの制御プロセスを示す流れ図である。
図3図1の結合された一次デバイスおよび二次デバイスによって形成された充電回路の概略図である。
図4】本発明の一実施形態による充電プロファイルを示す図である。
図5a図4の充電プロファイルの制御プロセスを示す流れ図である。
図5b図4の充電プロファイルの別の制御プロセスを示す流れ図である。
図5c図4の充電プロファイルのさらに別の制御プロセスを示す流れ図である。
図6】充電回路の内部抵抗を計算するためのプロセスを示す流れ図である。
図7図1に示すタイプのシステム中の二次電池の余分な放電を回避するための制御プロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、一次デバイス100および二次デバイス102を示す。この例では、一次デバイス100は、電気加熱喫煙システム用の充電ユニットである。この例では、二次デバイス102は、エアロゾル形成基体を含む喫煙物104を収容するように構成された電気加熱エアロゾル生成デバイスである。二次デバイスは、動作時のエアロゾル形成基体を加熱するためのヒータを含む。ユーザは、エアロゾルをユーザの口に引き込むために喫煙物104のマウスピース部分で吸入する。二次デバイス102は、その中の電源を再充電するために一次デバイス100中のキャビティ112内に収容されるように構成される。
一次デバイス100は、第1の電池106と、制御電子回路108と、二次デバイスが電気接点110と接続しているとき、第1の電池106から二次デバイス中の第2の電池に電力を供給するように構成された電気接点110とを含む。電気接点110は、キャビティ112の底部に近接して設けられる。キャビティは、二次デバイス102を収容するように構成される。一次デバイス100の構成要素は、ハウジング116内に収容される。
【0028】
二次デバイス102は、第2の電池126、二次制御電子回路128、および電気接点130を含む。上述のように、二次デバイス102の第2の再充電可能な電池126は、電気接点130が一次デバイス100の電気接点110に接続しているとき、第1の電池106から電力の供給を受けるように構成される。二次デバイス102は、喫煙物104を収容するように構成されたキャビティ132をさらに含む。たとえばブレードヒータの形態のヒータ134は、キャビティ132の底部に設けられる。使用時、ユーザは、二次デバイス102を有効にして、電力が電池126から制御電子回路128を介してヒータ134に供給される。ヒータは、エアロゾル生成物104のエアロゾル形成基体からエアロゾルを生成するのに十分な標準の動作温度まで加熱される。二次デバイス102の構成要素は、ハウジング136内に収容される。このタイプの二次デバイスは、たとえばEP2110033により十分に記載されている。
エアロゾル形成基体は、加熱すると、基体から放出される揮発性のタバコ風味化合物を含むタバコ含有物質を含むのが好ましい。あるいは、エアロゾル形成基体は、非タバコ物質を含み得る。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成物質をさらに含むのが好ましい。好適なエアロゾル形成物質の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
エアロゾル形成基体は、固体状基体であり得る。固体状基体は、たとえば、ハーブの葉、タバコの葉、タバコの葉脈の断片、再構成されたタバコ、均質化されたタバコ、押し出されたタバコ、および引き延ばされたタバコのうちの1つまたは複数を含む、粉、顆粒、ペレット、断片、スパゲティ状のもの、ストリップ、またはシートのうちの1つまたは複数を含み得る。あるいは、エアロゾル形成基体は、液体状基体であってもよく、喫煙物は、液体状基体を保持するための手段を含み得る。あるいは、エアロゾル形成基体は、任意の他の種類の基体、たとえば、気体状基体、または様々なタイプの基体の任意の組合せであり得る。
【0029】
この例では、二次デバイス102は、電気加熱喫煙デバイスである。したがって、二次デバイス102は、小さい(従来のたばこサイズ)が、単一の喫煙セッションでは、ほんの数分、典型的には約7分の時間にわたって高電力を供給しなければならない。その場合、第2の電池は、再充電するために一次デバイス100に戻される必要があり得る。数分間のうちに、好ましくは6分未満で次の完全な喫煙体験を可能にするのに少なくとも十分なレベルまで、再充電が完了されるのが望ましい。
【0030】
一次デバイス中の第1の電池106は、それ自体を再充電する必要がないうちに、第2の電池126を数回再充電するのに十分な電荷を保持するように構成される。これにより、ユーザは、主電源のコンセントからの再充電が必要とされないうちに、いくつかの喫煙セッションを可能にするポータブルシステムを提供される。
さらに、第2の電池は、頻繁に交換する必要がないのが望ましい。第2の電池は、典型的なユーザでは約8000充電/放電サイクルに相当する、少なくとも1年の耐用寿命を有するのが好ましい。
【0031】
小さいサイズ、十分な容量および安全性があるが、高速に充電および放電でき、許容可能な寿命がある第2の電池126の競合する要件を満たすために、この例などでは、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池化学特性が使用され得る。この例では、第2の電池126は、10mmの直径および37mmの長さの円筒形状を有する。この電池は、1サイクル当り900Jを超えて8000サイクルの充電/放電を経ることができる。平均充電レートは、12Cまでであり得る。1Cの充電レートは、電池が、0充電からフル充電まで1時間で完全に充電されることを意味し、2Cの充電レートは、電池が、0充電からフル充電まで半時間で完全に充電されることを意味する。電池容量は、125mAh程度である。最大充電電流は、980mAから1.5Aの範囲であり得る。2Aまでの1ミリ秒パルスを使用して放電が行われる。放電レートは、ヒータの抵抗に依存し、同様に、ヒータの温度に依存する。大気温度では、放電レートは、28Cと同じ高さであり得るが、より高い温度では、ヒータの抵抗が増加するにつれて低減される。典型的な動作温度では、放電レートは、約13Cである。代替として、第2の電池にチタン酸リチウム電池が使用され得る。
【0032】
第2の電池のサンプルは、充電/放電の耐用サイクルの数の点で確実に適格基準を満たすことができるように適格試験され得る。適格試験は、少なくとも2Cのレートで電池を充電するステップと、電池を放電するステップと、少なくとも6000回、充電/放電サイクルを繰り返すステップと、次いで、電池容量が元の定格電池容量の80%などのしきい値容量よりも大きい場合に、電池が適格基準を満たすことを判定するステップとを含み得る。
一次ユニット100中の第1の電池106は、角柱タイプの酸化リチウムコバルト(LiCoO2)電池である。第1の電池は、第2の電池の容量の10倍を超える、約1350mAhの容量を有する。第2の電池は、2Cから16Cの間のレートで第1の電池から充電され得る。1Cのレートで第1の電池を放電することにより、第2の電池に10Cを超える充電レートが提供される。第1の電池の充電は、0から1.5Cの間のレートで、典型的には電池寿命を最大化するために約0.5Cのレートで主電源から行われ得る。
酸化リチウムコバルト電池は、リン酸鉄リチウムよりも高い電池電圧を提供し、単一の酸化リチウムコバルト電池からリン酸鉄リチウム電池の充電を可能にする。
【0033】
図2aは、再充電可能電池を充電するための標準充電プロファイルを示す。図2aは、充電デバイスからの充電電圧210と、充電デバイスからの充電電流220と、充電されている第2の電池の電池電圧230とを示す。充電プロファイルは、初期の一定電流フェーズ300からなる。一定電流フェーズ300の間、充電電圧210は、一定の最大充電電流Ichを供給するように制御される。これにより、最大レートの充電が提供される。しかしながら、一定充電電流フェーズ200は、最大充電電流を維持するのに必要な充電電圧が最大充電電圧Vchを超えるとき、終了する。Vchは、第2の電池の寿命を保存するレベルに設定される。図2aの点203で示す、このステージに達すると、一定電圧フェーズ202が開始する。一定電圧フェーズの間、充電電圧210は、最大値Vchに保持される。一定電圧フェーズの間、充電電圧210と電池電圧230との間の差が降下するとき、充電電流が降下する。充電電流が低しきい値Iendに達するとき、充電プロセスは停止される。最大充電電流および最大充電電圧は、電池製造者によって設定される。
【0034】
図2bは、このプロセスにおける制御ステップを示す。ステップ20では、充電電流が、最大充電電流Ichに設定される。一定電流フェーズの間、制御ロジックは、充電電圧を最大許容充電電圧Vchと比較する。このことは、ステップ22として示される。充電電圧がVch未満である場合、充電電流が維持される。充電電流がVchに等しいかまたはそれを超える場合、一定電流フェーズは終了され、充電電圧がVchに設定される。このことは、ステップ24として示される。次いで、制御ロジックは、ステップ26で充電電流を監視する。充電電流がIend未満であると、充電プロセスは、完了したと見なされ、ステップ28で終了される。
【0035】
図2aおよび図2bに示す充電プロファイルは、図1を参照して説明されるシステムに使用され得る。しかしながら、充電回路における内部抵抗を補償することによって、充電時間がより短くされ得る。より短い充電時間は、特に、再充電時間がほんの数分でなければならない、電子喫煙システムなどのシステムには望ましい。
【0036】
図3は、結合された一次デバイスおよび二次デバイスによって形成された充電回路を示す回路図である。一次デバイス側と二次デバイス側とに分割される。点線30は、一次デバイス100と二次デバイス102との間の境界を表す。一次デバイス側は、第1の電池および電圧調整器を含む制御電圧源320と、電流Iおよび電圧Vの測定値に基づいて電圧源340を制御するように構成されたマイクロコントローラ340とを含む。二次デバイス側は、第2の電池126を含む。充電回路の内部抵抗は、いくつかの電源からの寄与を含む。抵抗rp-およびrp+は、一次デバイスにおける電子回路レイアウトおよび半田タブの電気抵抗を表す。抵抗rs-およびrs+は、一次デバイスにおける電子回路レイアウトおよび半田タブの電気抵抗を表す。抵抗rc-(t)およびrc+(t)は、一次デバイスと二次デバイスとの間の接点の電気抵抗を表す。これらの電気抵抗は、デバイスによって変化し、充電サイクルによって時間とともに変化する。図1を参照して説明されるタイプの電気喫煙システムでは、一次ユニットおよび二次ユニットは、1日に数回、接触され、また離され、各回で接触抵抗が異なり得る。接触抵抗は、接点が掃除されていない場合も増加し得る。抵抗ri(t)は、第2の電池の内部抵抗を表し、第2の電池の寿命にわたって増加する。
寄生抵抗rp-、rp+、rs-、rs+、rc-(t)、rc+(t)が結合されて単一の抵抗R(t)になる場合、第2の電池の両端間の電圧は、Vdrop=I*R(t)だけ電圧源からの充電電圧よりも小さい。
このことは、電圧源によって供給される充電電圧が、量I*R(t)だけ最大値Vchよりも増加することができ、第2の電池の両端間の電圧は、Vchに等しくなることを意味する。充電プロファイルの一定電流フェーズは、充電電圧がVch+I*R(t)に達する点まで、延長され得る。さらに、その後に供給される充電電圧は、Vchよりも大きく、Vch+I*R(t)以下になるように制御され得る。
【0037】
図4は、本発明の一態様による充電プロファイルを示し、供給される充電電圧は、Vchを超える。充電プロファイルは、一定電流フェーズ400および疑似一定電圧フェーズ402を含む。電圧源からの充電電圧は、410として示され、充電電流は420として示され、第2の電池の電圧は430として示される。
一定電流フェーズ400は、充電電圧がVcomp=Vch+I*R(t)の最大値に達するまで延長する。疑似一定電圧フェーズ402では、充電電圧は、Vcompに等しくなるように制御される。充電サイクルは、充電電流がIendに等しくなるとき、終了される。
【0038】
図5a、図5b、および図5cは、図4に示された充電プロファイルを実施するための別の制御ストラテジーを示す。図5aは、ステップ500で開始するプロセスを示す。ステップ510では、充電電流は、製造者によって指定された最大充電電流Ichに設定される。ステップ520では、充電回路の内部抵抗が測定される。
充電回路の内部抵抗を測定するためのプロセスは、図6に示される。第1のステップ610では、充電電流I1および充電電圧V1が測定される。次いで、ステップ620で、より低い電圧V2まで低減されるが、V2=V1−ΔVである。ΔVは、数ミリボルトの固定された所定の電圧差である。ステップ630で、低減された電圧V2および対応する低減された電流I2が測定される。この電圧は、マイクロコントローラによって電圧および電流を一度(または平均値を提供するために数回)測定するのに十分な長さである、100〜400μsの時間の間、低減されるだけである。ステップ640で、充電回路の内部抵抗Riが、関係式Ri=(V1−V2)/(I1−I2)を使用して計算される。このプロセスは、ステップ650で終了し、以下で説明するように繰り返され得る。
【0039】
ステップ530では、充電電圧は、補償済最大充電電圧Vcompと比較される。内部抵抗Riは、寄生抵抗R(t)と電池の内部抵抗ri(t)の両方を含む。Vcomp=Vch+R(t)。第2の電池の最大内部抵抗rimaxは、電池製造者によって提供され、R(t)の値をRiから導くために使用され得る。代替として、電池の両端間の電圧は、寄生抵抗を特定することができるように、直接測定され、マイクロコントローラに渡され得る。R(t)の値を使用して、Vcompが計算され得る。
【0040】
充電電圧がVcomp未満である場合、一定電流フェーズは継続し、ステップ530は、Vcompの計算値に基づいて繰り返される。充電電圧がVcompに等しいか、またはそれを超える場合、一定電流フェーズは終了し、ステップ540で、充電電圧はVcompに設定される。ステップ550では、充電電流はIendと比較される。充電電流がIendよりも大きいか、またはそれに等しい場合、プロセスはステップ540に戻る。充電電圧は、新規に測定された充電電流に基づいてVcompの新規の値に再設定され、次いで、プロセスはステップ550に進む。ステップ540および550のこの制御ループは、必要に応じた頻度で繰り返され得る。ステップ550で充電電流がIend未満である場合、ステップ560で充電サイクルは終了され、このことがユーザに示される。Iendの値は、電池の全容量に基づいて設定され得るか、または二次デバイスの1回の標準的な使用、たとえば単一の喫煙セッションに必要なエネルギー量に基づく可能性がある。
図5bは、別の充電プロセスを示す。図5bのプロセスでは、ステップ500および510は、図5aを参照して説明されるステップと同一である。ステップ515が、図5aに示すプロセスに追加される。ステップ515では、充電電圧が、電池製造者によって指定された最大充電電圧Vchと比較される。充電電圧がVchに等しいか、それを超える場合のみ、プロセスは、内部抵抗を特定するステップ520に進む。ステップ520および530は、図5aを参照して説明される通りであるが、図5bのプロセスでは、充電電圧がVchに達した後だけ、内部抵抗およびVcompが計算される。図5bの疑似一定電流フェーズでは、第1のステップは、ステップ535の内部抵抗の再計算である。充電回路の内部抵抗は、充電プロセス中に増加する可能性があるが、再計算により、Vcompのより十分な計算およびより短くなる可能性がある充電時間が可能になる。ステップ540、550、および560は、図5aを参照して説明された通りである。
【0041】
図5cは、さらに別の充電プロセスを示す。図5cのプロセスでは、ステップ500、510、および520は、図5aを参照して説明された通りである。ステップ525では、図5aおよび図5bのステップ530と同様に、充電電圧が、補償済最大充電電圧Vcompと比較される。しかしながら、ステップ525では、充電電圧がVcompよりも大きいか、またはそれに等しい場合、プロセスはステップ520に戻る。
図5cのステップ535および540は、図5bのステップ535および540と同一である。ステップ545では、充電電圧はIendと比較される。充電電圧がIendよりも大きいか、またはそれに等しい場合、プロセスはステップ535に戻り、ステップ540の前に、内部抵抗が再計算され、Vcompが更新される。ステップ550で、充電電流がIend未満である場合、充電サイクルは、ステップ560で終了され、このことがユーザに示される。以上で説明したように、Iendの値は、電池の全容量に基づく可能性があり、その結果、電池は、フル充電の一定の割合、たとえばフル充電の90%まで充電される。あるいは、Iendは、二次デバイスの単一の使用に必要な蓄積エネルギー量に基づいて設定され得る。
【0042】
図5a、図5b、および図5cは、例示的な制御プロセスであり、同じ一般原則に従えば、他のプロセスが可能であることが明らかであろう。たとえば、図5a、図5b、および図5cの一定電流フェーズのいずれも、図5a、図5b、および図5cの疑似一定電圧フェーズのいずれかとともに使用されてもよく、9つの異なる可能な制御プロセスを提供する。
【0043】
電気喫煙システムなどのシステムでは、二次デバイスを再充電するのに掛かる時間が減少すると、ユーザの選択を大幅に増やし得る。重要な要件は、使いやすさおよび使い勝手の良さであり、数分しか続かない再充電サイクルでは、1秒1秒が目立つ。図4ならびに図5a、図5b、および図5cを参照して説明された再充電プロセスは、電池製造者によって指定された動作制限内で高速再充電を提供する。
【0044】
本開示のさらなる態様が、図7に示される。図1に示す二次デバイスを参照すれば、二次デバイス102は、第2の電池がそのフル充電レベルの20%未満まで降下した場合に動作を回避するように構成され得る。これにより、第2の電池の寿命が保護される。制御電子回路128は、使用時の第2の電池の電池電圧を監視するように構成される。電池電圧がフル充電電圧の20%まで降下したとき、本デバイスは、第2の電池がしきい値充電レベルに再充電されるまで無効になる。しきい値充電レベルは、再度、電池の寿命を保護するために、その最大電池容量よりも小さくなるように、たとえば全容量の90%になるように選択され得る。20%レベルは、リン酸鉄リチウム電池には良いしきい値レベルであることがわかったが、15%から25%の間の任意のレベルを使用することができ、様々な電池化学特性に合わせるために他のレベルを選択することができる。
図7は、制御電子回路128が実行するように構成された制御プロセスを示す。このプロセスは、ステップ700で開始する。ステップ720では、二次電池の電池電圧が、デバイスの動作を可能にするための最小開始電圧Vminと比較される。電池電圧がVmin未満である場合、二次デバイスは、ヒータのさらなる動作を可能にせず、次の再充電サイクルまで電池容量を保存するために低電流モードに入る。次いで、プロセスは、ステップ730で終了する。喫煙デバイスの場合には、このことにより、単一の喫煙体験(たとえば、従来のたばこを吸う体験に相当する)を完了するのに第2の電池に十分な電荷がない場合、デバイスの加熱動作が回避される。第2の電池が再充電されると、プロセスは、ステップ700で再開する。
【0045】
電池電圧がVminよりも大きいか、またはそれに等しい場合、デバイスは十分に動作することが可能になる。動作中、第2の電池の電池電圧が、第2のしきい値、この場合Vmin/5、すなわち最小開始電池電圧の20%と繰り返し比較される。これは、ステップ740として示される。電池電圧がVmin/5よりも大きい場合、デバイスは、動作可能であり続け、ステップ740が繰り返される。電池電圧がVmin/5よりも小さいか、またはそれに等しい場合、デバイスは、ステップ750でヒータが無効になる、低電力モードに入る。ヒータが無効になると、制御プロセスは、ステップ700で再度開始しなければならず、その結果、ヒータは、電池電圧がVminよりも大きいか、またはそれに等しいレベルに第2の電池が再充電されるまで、動作することができない。
【0046】
上述の例示的な実施形態は、例示するが、限定されない。ここで、上述の例示的な実施形態を考慮すれば、以上の例示的な実施形態と矛盾しない他の実施形態が当業者には明らかになるであろう。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7