特許第5958852号(P5958852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5958852
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】脊椎の牽引ズボン
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20160719BHJP
【FI】
   A61F5/01 D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-15427(P2012-15427)
(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-153851(P2013-153851A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190862
【氏名又は名称】新宅 久吉
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】新宅 久吉
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−075516(JP,U)
【文献】 特開2006−144140(JP,A)
【文献】 特開2011−184821(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3076538(JP,U)
【文献】 特開2001−303320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズボン(1)の両側に指掛けバンド(4)を縫い付けて指挿入部(3)を設けてなる牽引ズボンであって、
前記ズボン(1)が上縁に沿って設けられてなる腰バンド部(10)と、この腰バンド部(10)の下縁に縫い付けられると共に、ズボン(1)の両側に沿って縫い付けてなる前布(11)と後布(12)とを備え、
前記指掛けバンド(4)は、立位状態における前記ズボン(1)の水平方向または水平方向から傾斜する姿勢として、その端部を前記ズボン(1)の上下に伸びる縫着ライン(5)を介して後布(12)または前布(11)に縫い付けて、対向する縫着ライン(5)の間に指挿入部(3)を設けており、
前記対向する縫着ライン(5)が、前記指挿入部(3)の開口縁(3a)から指挿入部(3)の先端部に向かって次第に間隔が狭くなるように縫着されており、
仰臥する姿勢で、前記指挿入部(3)に手の親指を掛けて下脚方向に押圧し、前記腰バンド部(10)を介して腰を下脚方向に牽引して、椎間板を開く方向に脊椎を牽引するようにしており、
前記指掛けバンド(4)は、対向する縫着ライン(5)を、指挿入部(3)の開口縁(3a)に対して互いに接近する方向に傾斜する逆ハの字状として、指挿入部(3)の内幅を、指の挿入方向に向かって次第に狭くしている牽引ズボン。
【請求項2】
上下に離して複数の指掛けバンド(4)を縫い付けて、複数の指掛けバンド(4)で上下に離してなる複数の指挿入部(3)を設けている請求項に記載される牽引ズボン。
【請求項3】
前記指挿入部(3)がズボン(1)のポケット(2)内に設けてなる請求項1又は2に記載される牽引ズボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎の牽引バンドを装着することなく、必要なときにはいつでも脊椎を牽引できる脊椎の牽引ズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
腰に巻き付けて脊椎を牽引するベルトは開発されている。(特許文献1参照)
この牽引ベルトを図1に示す。図1に示す牽引ベルトは、図2に示すように、ユーザーが腰に巻きつけて仰臥し、ベルト91の両側に連結している指挿入部93に手をかけて押し下げることで脊椎を牽引する。この牽引ベルトは、ユーザーが指挿入部93を手で押し下げて脊椎を牽引するので、脊椎を牽引するための重りやスプリング、さらに複雑な牽引機構等を必要としない。このため、極めて簡単な構造で脊椎を牽引できる。また、手で押し下げる力で脊椎を牽引できるので、使用するユーザーは、自分に最適な力で脊椎を牽引できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5−6976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1の牽引ベルトは、簡単な構造としながら、ユーザーが最適な力で牽引できる特徴はあるが、牽引するときには、腰にセットする必要があり、また、牽引するときにのみ使用するので、種々の場所で脊椎を牽引するには、常にこれを携帯する必要がある。したがって、種々の場所で脊椎を牽引するユーザーには、必ずしも便利には使用できない。また、脊椎を充分な強度で牽引するには、バンドに相当な強度が要求されることから、バンドを厚くて強靭な構造とする必要があって嵩張る欠点もある。
【0005】
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、ユーザーが牽引ベルトを持ち歩くことなく、種々の場所で、必要なときにはいつでも脊椎を牽引できる牽引ズボンを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の牽引ズボンは、ズボン1の両側に指掛けバンド4を縫い付けて指挿入部3を設けている。牽引ズボンは、ズボン1が上縁に沿って設けられてなる腰バンド部10と、この腰バンド部10の下縁に縫い付けられると共に、ズボン1の両側に沿って縫い付けてなる前布11と後布12とを備え、指掛けバンド4は、立位状態における前記ズボン(1)の水平方向または水平方向から傾斜する姿勢として、その端部をズボン1の上下に伸びる縫着ライン5を介して後布12または前布11に縫い付けて、対向する縫着ライン5の間に指挿入部3を設けている。対向する縫着ライン5は、指挿入部3の開口縁3aから指挿入部3の先端部に向かって次第に間隔が狭くなるように縫着されている。この牽引ズボンは、仰臥する姿勢で、指挿入部3に手の親指を掛けて下脚方向に押圧し、腰バンド部10を介して腰を下脚方向に牽引して、椎間板を開く方向に脊椎を牽引する。
【0007】
以上の牽引ズボンは、従来の牽引ベルトのように、ユーザーが牽引専用のベルトを持ち歩く必要がなく、種々の場所で必要なときに、いつでも脊椎を牽引できる特徴がある。それは、ユーザーが着用しているズボンの両側に指挿入部を設けて、ズボンを介して脊椎を牽引できるからである。
【0008】
本発明の牽引ズボンは、指挿入部3を、ズボン1のポケット2内に設けることができる。
以上の牽引ズボンは、手をかけて脊椎を牽引するために必要な指挿入部を連結していながら、指挿入部が外部には露出せず、外観を従来のズボンと同じようにすっきりとしたデザインにできる特徴も実現する。
【0009】
指掛けバンド4は、対向する縫着ライン5を、指挿入部3の開口縁3aに対して互いに接近する方向に傾斜する逆ハの字状として、指挿入部3の内幅を、指の挿入方向に向かって次第に狭くすることができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
本発明の牽引ズボンは、ズボン1の両側に上方を開口するポケット2を設けて、このポケット2内に指掛けバンド4を縫着ライン5に沿って縫い付けて、縫着ライン5の間に指挿入部3を設けることができる。
以上の牽引ズボンは、ポケットの上端を開口しているので、ポケット内の指挿入部に手の指をスムーズに挿入して脊椎を牽引できる。
【0015】
本発明の牽引ズボンは、ポケット2内に、上下に離して複数の指掛けバンド4を縫い付けて、複数の指掛けバンド4でもって上下に離して複数の指挿入部3を設けることができる。
以上の牽引ズボンは、上下に離して複数の指挿入部が設けられるので、ユーザーが手の指を挿入する位置を上下に変更することで、最も理想的な姿勢で脊椎を牽引できる。また、手の長いユーザーも、手の短いユーザーも、理想的な指挿入部に手の指をかけて脊椎を効果的に牽引できる。
【0016】
本発明の牽引ズボンは、ズボン1が、上縁に沿って設けられてなる腰バンド部10と、この腰バンド部10の下縁に縫い付けられられると共に、ズボン1の両側に沿って縫い付けてなる前布11と後布12とを備えて、前布11と後布12とに指掛けバンド4の両端を縫い付けて、指掛けバンド4で指挿入部3を設けることができる。
以上の牽引ズボンは、ズボン両側に露出するように指掛けバンドを設けて、前布及び後布と指掛けバンドとの間に指挿入部を設けているので、ユーザーがとくに手の指をスムーズに挿入して脊椎を牽引できる特徴がある。
【0017】
本発明の牽引ズボンは、上下に離して複数の指掛けバンド4を縫い付けて、複数の指掛けバンド4で上下に離してなる複数の指挿入部3を設けることができる。
以上の牽引ズボンは、上下に離して複数の指挿入部が設けられるので、ユーザーが手の指を挿入する位置を上下に変更することで、最も理想的な姿勢で脊椎を牽引できる。また、手の長いユーザーも、手の短いユーザーも、理想的な指挿入部に手の指をかけて脊椎を効果的に牽引できる。
【0018】
本発明の牽引ズボンは、指掛けバンド4の両端を縫着ライン5で後布12または前布11に縫い付けて、対向する縫着ライン5の間に指挿入部3を設けると共に、対向する縫着ライン5を、指挿入部3の開口縁3aから指挿入部3の先端部に向かって次第に間隔が狭くなるように縫着することができる。
以上の牽引ズボンは、親指を指挿入部に入れる状態で、指挿入部の内面を親指の腹部のより広い面積で押圧して、指掛けバンドを強く押し下げて脊椎を効果的に牽引できる。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来の脊椎を牽引するベルトの正面図である。
図2図1に示す脊椎を牽引するベルトの使用状態を示す側面図である。
図3】本発明の一実施例にかかる牽引ズボンの正面図である。
図4図1に示す牽引ズボンの一部拡大側面図である。
図5図4に示す牽引ズボンの拡大斜視図である。
図6】本発明の他の実施例にかかる牽引ズボンの側面図である。
図7図6に示す牽引ズボンの拡大斜視図である。
図8】本発明の他の実施例にかかる牽引ズボンの拡大側面図である。
図9図8に示す牽引ズボンの指掛けバンドを指で押し下げる状態を示す拡大斜視図である。
図10】本発明の他の実施例にかかる牽引ズボンの拡大斜視図である。
図11】本発明の他の実施例にかかる牽引ズボンの拡大斜視図である。
図12】本発明の他の実施例にかかる牽引ズボンの拡大斜視図である。
図13図12に示す牽引ズボンの指掛けバンドを指で押し下げる状態を示す拡大断面図である。
図14】本発明の他の実施例にかかる牽引ズボンの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための牽引ズボンを例示するものであって、本発明は牽引ズボンを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0022】
図3ないし図7に示す牽引ズボンは、ズボン1の両側に、手の指を掛けて脊椎の牽引方向に押し下げて腰を牽引する指挿入部3を連結している。牽引ズボンは、ポケット2の内部に指挿入部3を設けて、指挿入部3を外部に露出させない外観にできる。
【0023】
図3ないし図7の牽引ズボンは、ズボン1の上縁に沿って設けられてなる腰バンド部10と、この腰バンド部10の下縁に縫い付けられられると共に、ズボン1の両側に沿って縫い付けている前布11と後布12とを備える。腰バンド部10はリング状で、所定の間隔でベルトを挿通するベルト通し13を縫い付けている。
【0024】
前布11は2枚の布地であって、ズボン1の前部ではチャック9などで連結され、股下と両側では後布12に縫い付けられて、足を挿通できる筒状としている。後布12は2枚の布地であって、ズボン1の尻部で縫い付けられ、また、股下と両側で前布11に縫い付けられて、足を挿通できる筒状としている。
【0025】
牽引ズボンは、両側であって、腰バンド部10の下にポケット2を設けている。ポケット2を設けるために、ズボン1の両側部において、前布11と後布12を縫い付けない非縫い付け部14を設けて、この非縫い付け部14をポケット2の開口部2Aとしている。さらに、後布12は、ポケット2の開口部2Aからポケット2内に延長されて、後布12に前布11が重ねられて、前布11と後布12との間にポケット2を設けている。ポケット2をズボン1の内部に延長するために、前布11と後布12は、ポケット2となるポケット布地6を縫着している。ポケット布地6は、互いに縫着されてポケット2を設けている。
【0026】
ポケット2内に指挿入部3を設けるために、図3ないし図7の牽引ズボンは、ポケット2内で後布12の表面に指掛けバンド4を縫い付けている。この牽引ズボンは、ポケット2の開口縁2aに沿って所定の幅の指掛けバンド4を縫い付けている。指掛けバンド4はポケット2の開口縁2aから外部に露出しないように、開口縁2aに沿ってポケット2内に配置して、後布12に縫い付けている。
【0027】
指掛けバンド4は、複数カ所を縫着ライン5で後布12に縫い付けて、縫着ライン5の間に指挿入部3を設けている。図3ないし図7の牽引ズボンは、指掛けバンド4の上下の端縁と中間を縫着ライン5で後布12に縫着して、縫着ライン5の間に、上下に離してふたつの指挿入部3を設けている。縫着ライン5は、指挿入部3にスムーズに親指を挿通できるように、ポケット2の開口縁2aからポケット2の内部に向かって、下方に下り勾配に傾斜するように後布12に縫着している。図4に示す指挿入部3は、縫着ライン5を、上方に向かって前方に傾斜するポケット2の開口縁2aに対して垂直な姿勢としており、この縫着ライン5が水平方向に対して傾斜する傾斜角(α)を約15度としている。また、図6に示す指挿入部3は、縫着ライン5をポケット2の開口縁2aに対して傾斜させており、この縫着ライン5が水平方向に対して傾斜する傾斜角(α)を約45度としている。ただし、縫着ラインの水平方向に対する傾斜角(α)は、10度〜60度とすることができる。
【0028】
図3ないし図7の牽引ズボンは、指掛けバンド4の3カ所を縫着ライン5で後布12に縫着して、上下に離してふたつの指挿入部3を設けている。指掛けバンド4は、4カ所以上の縫着ラインを介して後布に縫着して、3カ所以上の指挿入部を設けることもできる。
【0029】
さらに、牽引ズボンは、指挿入部3を図8に示す構造とすることもできる。この図に示す牽引ズボンは、指掛けバンド4の両端を、対向する縫着ライン5で後布12に縫い付けて、縫着ライン5の間に指挿入部3を設けている。図8に示す指掛けバンド4は、指の挿入方向への横幅(W)を、図4に示す指掛けバンド4の横幅(W)よりも広くしている。さらに、図8に示す指掛けバンド4は、これを後布12に縫着する互いに対向する縫着ライン5を、指挿入部3の開口縁3aから指挿入部3の先端部である奥部に向かって、次第に間隔が狭くなるように縫着している。図8に示す指掛けバンド4は、対向する縫着ライン5を、指挿入部3の開口縁3aに対して互いに接近する方向に傾斜する逆ハの字状としており、指挿入部3の内幅を、指の挿入方向に向かって次第に狭くしている。図8の縫着ライン5は、指挿入部3の開口縁3aに対して垂直な方向から互いに接近する方向に傾斜する傾斜角(β)を約20度としている。ただし、縫着ラインの傾斜角(β)は5度〜40度とすることができる。また、図の指挿入部3は、指掛けバンド4の横幅(W)を、約4cmとして、ここに挿入される親指の先端から第一間接までの長さとほぼ等しくし、あるいはやや長くしている。ただし、指掛けバンドの横幅(W)は、2cm〜6cmとすることができる。
【0030】
以上の指挿入部3は、幅の広い開口縁3aから親指を簡単に挿入して、親指の先端が指挿入部3を貫通して先端から突出するのを抑制しながら、指挿入部3の内面を、指挿入部3に挿入される親指の腹部のより広い面積で押圧できる。このため、この構造の指挿入部3は、図9に示すように、指挿入部3に挿入される親指の腹部で、指挿入部3の内面を図の矢印で示す方向に押圧することにより、指掛けバンド4に対して力を加えやすくでき、指掛けバンド4を下脚方向に強く押し下げて、腰バンド部10を介して腰を下脚方向に牽引して、椎間板を開く方向に脊椎を牽引できる。
【0031】
図8図9に示す牽引ズボンは、両側のポケット2の内側に1枚の指掛けバンド4を縫い付けて、1段に指挿入部3を設けている。ただ、牽引ズボンは、図8図9に示す構造の指掛けバンド4を、上下2段に、あるいは3段以上に縫い付けて、複数段の指挿入部を上下に離して設けることもできる。この牽引ズボンは、ユーザーが手の指を挿入する位置を最適な位置に選択して、最も理想的な姿勢で脊椎を牽引できる。
【0032】
さらに、図5図7、及び図9に示す牽引ズボンは、指掛けバンド4を縫着ライン5で強固に後布12に縫着すると共に、縫着ライン5が逢着される後布12を補強するために、後布12の内面側に補強布地7を配設している。この補強布地7は、例えば、前布11や後布12と同じ材質の布地であって、裏地として後布12の内面に縫着している。この補強布地7は、指掛けバンド4を後布12に縫着する縫着ライン5を介して後布12に縫着される。ただ、補強布地は、指掛けバンドを後布に縫着する縫着ラインに加えて、これとは別の縫着ラインを介して後布に縫着することもできる。この構造は、補強布地をさらに強固に後布に縫着できる。以上の補強布地7は、指掛けバンド4とほぼ同じ外形の、あるいはやや大きな布地として、指掛けバンド4と一緒に後布12に縫着されて、指掛けバンド4の縫着ライン5と後布12を補強する。
【0033】
図3ないし図5図8、及び図9に示す牽引ズボンは、ポケット2の開口縁2aを、手を挿入しやすいように、上方に向かって前方にずれるように傾斜している。この牽引ズボンは、ポケット2の開口部2Aに手を入れやすく、ポケット2内に設けている指挿入部3には親指をスムーズに挿入できる。また、図6図7の牽引ズボンは、ポケット2の開口縁2aをズボン1の上下方向としている。
【0034】
図10図11の牽引ズボンは、ズボン1の両側に、上方を開口するポケット2を設けて、このポケット2内に指挿入部3を設けている。ポケット2は、前布11と後布12の表面に、ポケット布地6の両側縁と底縁を縫い付けて設けている。
【0035】
図10の牽引ズボンは、ポケット2内に指挿入部3を設けるために、ポケット2内に指掛けバンド4を縫着している。指掛けバンド4は、上下方向に延びる互いに平行な縫着ライン5を介して前布11と後布12とに縫い付られて、縫着ライン5の間に指挿入部3を設けている。図10の牽引ズボンは、指掛けバンド4を水平方向に延びる姿勢として、指掛けバンド4の両端を縫着ライン5を介して縫い付けている。指掛けバンド4は一端を前布11に、他端を後布12に縫い付けている。この牽引ズボンは、上下に離して、2列に指掛けバンド4の両端を縫い付けて、ポケット2内に上下に離して指挿入部3を設けている。上段の指掛けバンド4は、上端縁をポケット2の開口縁2aの近傍に配置して、ユーザーが親指を挿入しやすくしている。
【0036】
さらに、図示しないが、上方を開口するポケット2内に設けられる指挿入部3は、図8に示す構造で指掛けバンド4をポケット2内に縫着することもできる。すなわち、この指掛けバンドは、互いに対向する縫着ラインを、指挿入部の開口縁から指挿入部の先端部である奥部に向かって、次第に間隔が狭くなる姿勢として、両端を前布と後布とに縫着することができる。この指掛けバンドも、対向する縫着ラインを、指挿入部の開口縁に対して互いに接近する方向に傾斜する逆ハの字状として、指挿入部の内幅を、指の挿入方向に向かって次第に狭くすることができる。この指掛けバンドは、水平姿勢として、あるいは、水平姿勢から傾斜する姿勢として、対向する縫着ラインを介して前布と後布とに縫い付けることができる。、
【0037】
さらに、図11の牽引ズボンは、腰バンド部10の下方で前布11と後布12とが縫い付けられない非縫い付け部14を設けて、非縫い付け部14を指挿入部3の開口部2Aとしている。この牽引ズボンは、指挿入部3の開口部2Aの上下を、開口部2Aからズボン1の前方に向かって延びる縫着ライン5によって前布11を後布12に縫い付けて、上下の縫着ライン5の間に指挿入部3を設けている。この図の牽引ズボンは、上下に離して3列の縫着ライン5を設けて、縫着ライン5の間に上下に離して2列の指挿入部3を設けている。縫着ライン5は、前布11と後布12の境界から前方に向かって下方に下り勾配に傾斜するように設けている。この牽引ズボンは、親指をスムーズに挿入できる。縫着ライン5は、前布11と後布12との境界に対する傾斜角(α)を約45度としている。傾斜角(α)は、20度〜60度として、親指をスムーズに無理なく挿入できる。
【0038】
図11の牽引ズボンは、図の鎖線で示すように、ポケット布地6の両側縁と下縁とを縫い付けて、ポケット2の内部に指挿入部3を設けることができる。ただ、ポケット布地6を縫い付けないで、前布11と後布12との境界に指挿入部3の開口部2Aを設けることもできる。
【0039】
図12の牽引ズボンは、両側に指掛けバンド4を縫い付けて、指挿入部3を設けている。指掛けバンド4は、上縁に沿って設けている腰バンド部10の下縁に縫い付けている前布11と後布12とに両端を縫い付けている。指掛けバンド4は、一端を前布11に、他端を後布12に縫い付けて、指挿入部3を設けている。図の牽引ズボンは、指掛けバンド4を水平姿勢として、その端部を上下に延びる縫着ライン5で前布11と後布12とに縫い付けている。指掛けバンド4は水平姿勢から傾斜する姿勢で縫い付けることもできる。
【0040】
さらに、図12に示す指掛けバンド4は、対向する縫着ライン5を、指挿入部3の開口縁3aから指挿入部3の先端部である奥部に向かって、次第に間隔が狭くなる姿勢として、その両端を前布11と後布12とに縫着している。図12に示す指掛けバンド4は、対向する縫着ライン5を、指挿入部3の開口縁3aに対して互いに接近する方向に傾斜する逆ハの字状としており、指挿入部3の内幅を、指の挿入方向に向かって次第に狭くしている。図12の指掛けバンド4を縫着する縫着ライン5も、図8の縫着ライン5と同様に、指挿入部3の開口縁3aに対して垂直な方向から互いに接近する方向に傾斜する傾斜角(β)を約20度としている。また、図12の指挿入部3も、指掛けバンド4の横幅(W)を約4cmとして、ここに挿入される親指の先端から第一間接までの長さとほぼ等しくし、あるいはやや長くしている。ただ、縫着ラインの傾斜角(β)は5度〜40度とし、また、指掛けバンドの横幅(W)を、2cm〜6cmとすることができる。
【0041】
このように、指挿入部3の開口部3a側の内幅を広くする構造は、図13に示すように、指挿入部3に親指を挿入して下方に押圧する状態では、指掛けバンド4の開口部側、すなわち、開口幅が広い上側を、図に示すように外側方向に広がる姿勢とすることができる。このため、指掛けバンド4の内面を、指挿入部3に挿入される親指の腹部でより効果的に下方に押圧でき、いいかえると、親指の腹部で指掛けバンド4に対して力を加えやすくして、指掛けバンド4を下脚方向に強く押し下げて、腰バンド部10を介して腰を下脚方向に牽引して、椎間板を開く方向に脊椎を効果的に牽引できる。
【0042】
さらに、図12の牽引ズボンは、上下に離して2枚の指掛けバンド4を縫い付けて、2枚の指掛けバンド4で上下に離して2段に指挿入部3を設けている。図の牽引ズボンは、上下2段に指挿入部3を設けているが、3段以上のあるいは1段の指挿入部3を設けることもできる。
【0043】
さらに、図14の牽引ズボンは、腰バンド部10の下縁に、細長いベルト状の指掛けバンド4の両端を縫い付けて、指掛けバンド4で指挿入部3を設けている。指掛けバンド4は、一端を前布11と腰バンド部10の間に挟み、他端を後布12と腰バンド部10との間に挟み、腰バンド部10を前布11や後布12に縫い付ける縫着ライン5で縫い付けている。この牽引ズボンは、指掛けバンド4の長さで、親指を挿入する上下位置を調整できる。この牽引ズボンは、指掛けバンド4を長くして指挿入部3の位置を足先に近づけ、あるいは、指掛けバンド4を短くして指挿入部3の位置を腰に近づけることができる。
【0044】
以上の牽引ズボンは以下のようにして使用する。
(1)ユーザーが牽引ズボンを身につける。この牽引ズボンは、一般的なズボンと同じ用にして身につけることができ、また、身につけた状態においても、普段と同様に過ごすことができる。
(2)ユーザーが脊椎を牽引したくなると、床に仰臥した状態で、ズボン1の両側に設けた指挿入部3に両手の指を挿入して、指挿入部3を手で押し下げて脊椎を牽引する。
(3)脊椎の牽引が終わると、ズボン1の両側の指挿入部3から指を抜き取って、普段の生活に戻る。
【符号の説明】
【0045】
1…ズボン
2…ポケット 2A…開口部
2a…開口縁
3…指挿入部 3a…開口縁
4…指掛けバンド
5…縫着ライン
6…ポケット布地
7…補強布地
9…チャック
10…腰バンド部
11…前布
12…後布
13…ベルト通し
14…非縫い付け部
91…ベルト
93…指挿入部
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